平安幻想秘聞録・第五章(序)

(1)
「だって!」
「落ち着け!進藤」
「だって、東宮って偉いんだろ?」
 ここにはいない佐為の代わりに自分を宥める明に、ヒカルはやり場の
ない気持ちをぶつけてしまう。
 せっかく囲碁勝負での座間・菅原の画策をうまく乗り切ってくれてい
たのに、自分が佐為を陥れる原因になっていたのでは同じことだ。
 ヒカルにだって、東宮がどんなに尊い身分の者かぐらいかは分かる。
次の帝、今でいえば皇太子さまだ。しかも、この時代ではまだ天皇家に
政治の実権はある。いくら有力な貴族がいようと、最期に全てを決める
のは、帝のたった一声だ。もし、自分が原因で佐為が東宮や帝の不況を
買うようなことになったら・・・。
 内裏、東宮の下へ参内するのがまるで日課のようになっていた。それ
故に最初に持っていた緊張が薄れ、相手の思惑が自分を手に入れようと
することだというのを、すっかり忘れていた。
「オレの、オレのせいで、佐為が、佐為・・・」
 ぎゅっと袴の膝を握り締め、肩を震わせるヒカルに、さすがの明も声
をかけることができなかった・・・。

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