○お前ら男ならヒカルたんハアハアだよな?Part70● [転載禁止]?bbspink.com
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1416622185/
- 1 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 11:09:45.89 ID:???
- オレ達の天使「ヒカルの碁」のヒカルたんに、24時間(;´Д`)ハァハァするスレッド。
おまえらここで、心置きなく永遠の淫乱天使ヒカルたんに弄ばれよう。
<前スレ>
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1411663694/
- 2 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 11:12:23.87 ID:???
- 過去ログ〜〃ヾ▼ ノ
⊂(゚▽゚⊂⌒ヽつ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【Part1】 http://school.2ch.net/campus/kako/1014/10140/1014095514.html
【ログ保管庫】 http://hikarutan.chu.jp/makyo/ (過去ログは全部ここ!
→閉鎖:今までお疲れ様、ありがとう!)
http://blue.ribbon.to/~hikalog/hikaru/kakolog.html(part43まで)
【魔境避難所】 http://jbbs.shitaraba.com/movie/1361/ (困ったときやハァハァ以外はこちら!)
<兄弟スレ>
○趣味の部屋『塔矢愛好会』Part140 ●
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1326557865/
- 3 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 11:13:22.81 ID:???
- 【関連スレ】
ヒカルの碁 和谷13
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1354569060/
●筒井くんと囲碁を打ちたい子が集うスレ(dat落ち)
http://hobby6.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1031681695/
【倉庫番さんありがとう!】
●小説倉庫 ※まだ入ってない分はログ取り屋さんの小説倉庫(現・暫定保管庫)で続きが読めます
http://ime.nu/blue.ribbon.to/~hikalog/akira/index.php
http://www.usamimi.info/~hikaru/cgi-bin/novel/index.html(暫定保管庫たんありがとう!)
●魔境避難所 (修正・要望はこちら!プチ避難所、ヒカルたんAA達もこの中に)
http://jbbs.livedoor.jp/movie/1361/
【ひろたんありがとう!】
●魔境共同お絵描き掲示板(閉鎖) http://cat.oekakist.com/luck7/
※今までありがとう、そしてお疲れさまですた。
- 4 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 11:13:53.88 ID:???
- (お下劣しりとり・ブロック崩し2つを除いて閉鎖:今までありがとう、お疲れ様!)
(旧・1)http://fox.oekakist.com/ha2hika/ (旧・2は終了しました)
【ヒカルたんハアハアアプロダ】 http://hikarutan.chu.jp/makyo/up/ (春たんの妖艶春画もここに)
【魔境大辞典】 http://hikarutan.chu.jp/makyo/dictionary/h/ (お節介たん、ありがとう!)
【お下劣しりとりログ】 http://hikarutan.chu.jp/makyo/log/shiritori.html
【ムービー宝箱】 http://f22.aaacafe.ne.jp/~kaizo/ (改造たんの力作!)
【ブロック崩し】 http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pen/7331/haahaa.html
(ボールマターリ版) http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pen/7331/haahaa2.html
- 5 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 11:14:24.81 ID:???
- オヤクソク〜 〃ヾ▼ ノ
⊂(゚▽゚⊂⌒ヽつ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キモ男なら黙ってヒカルたんにハァハァしようぜ!
煽りや荒らしは大歓迎!
女の子は漢になりきってヒカルたんにハァハァすると(・∀・)イイ!!かも☆
- 6 名前:盆 :2014/11/22(土) 11:15:18.39 ID:???
- 前スレで指摘された通り、スレタイを戻したでつ
<テンプレ変更点>
・閉鎖URLアナウンス追加
・暫定保管庫誘導アナウンス追加
他、俺の至らなかったとこがあったらご指摘ヨロでつ
- 7 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 13:59:56.84 ID:???
- スレ立て乙!
- 8 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/22(土) 15:04:22.34 ID:???
- テンプレ変更乙
過去ログもサンクス!
前スレ盆たんSS ヒカルたんカワイイよ…(;´Д`)ハァハァ
- 9 名前:盆 :2014/11/23(日) 00:14:47.87 ID:???
- >>8
サンキュー・サー!
神経ワイヤーロープとかダイヤモンド級の硬質の心臓とか
色々アレだったヒカルたんが終わりに来てやっと俺にデレてくれたんだ…
(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 10 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/24(月) 17:43:11.71 ID:???
- 保守するよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
足開こうね(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 11 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/25(火) 01:25:30.86 ID:???
- ヒカルたんとせっくす
- 12 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/25(火) 18:34:40.98 ID:???
- >>11
阻止
- 13 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/26(水) 15:19:12.53 ID:???
- ラーメン×ヒカルたんの可能性について考えてみた
麺が触手のようにうねうねと絡みつき、
いつも食べてるラーメンに食べられるヒカルたん
- 14 名前:名無しさん@ピンキー :2014/11/27(木) 13:52:11.58 ID:???
- ヒカルたん「下の口にはとんこつじゃなきゃヤダァ…っ」(意味深)
- 15 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/06(土) 20:40:13.01 ID:???
- 保守するよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
力抜いて楽にしてね(;´Д`)ハァハァ
- 16 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/08(月) 23:21:02.60 ID:???
- 前スレが埋まったのでこっちで
例のタートルネックwithヒカルたんか、けしからんな(;´Д`)ハァハァ
- 17 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/09(火) 03:43:48.04 ID:???
- 前スレのタートルネックをヒカルたんが着たら安定のエロ可愛さだろうな…(;´Д`)ハァハァ
覗いた苺をれろれろしたい(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 18 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/09(火) 03:46:05.19 ID:???
- ヒカルたんの苺をなめなめかりかりしたい(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 19 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/10(水) 01:49:55.83 ID:???
- 今日はやけに進藤が寒い寒いと言う。碁会所でもエアコンの効きが悪いのではないかと言い、今もボ
クの部屋で同じ不満を口にする。
「なあ、部屋のエアコン、壊れてんじゃねーの?」
そんなことはない、と、リモコンの温度表示を見せてやるが、納得のいかない様子である。
暦の上では春だけど、まだまだ麗らかな気候には程遠い。それは認める。けれど、普段は寒さなど大
して気にしない彼がここまで寒がるのは珍しい。
「壊れてなんかないよ。その証拠に、ボクは暑くてのぼせそうだ」
嘘なんか吐いてない。本当に暑い。頭がぼうっとするくらい暖房は効きすぎている。できれば窓を開
けて換気したいくらいだ。
見れば、進藤は首を竦めて両手で腕を摩っている。本当に寒そうなその姿を見て、遅まきながらある
可能性に気付く。
「まさか……キミ、熱を出してないか」
心なしか唇の色も悪い。何てことだ、もっと早く察することができていたら、明るいうちに碁会所か
ら家に帰していたのに。午後七時前、帰したものかどうか迷う。タクシーで送ればいいのだろうが、
今なら近所の内科医院が開いている。
額に手を当てれば、やはり熱い。想像以上だった。
外に出ると、ダウンジャケットにマフラー・手袋で防備していても進藤は寒さに震え上がった。
徒歩でさほどもかからず、ボクが幼少から世話になっている医院に到着する。狭い待合室は混み合っ
ていて、ぐずる子供や咳をする会社帰りの男性など、様々な患者でソファーは埋まり、座る場所もな
い。
受付で保険証の呈示を求められ、進藤は持っていないと答える。
「やべ、実費……?塔矢オレ、やっぱ帰って出直、」
駄目だ、と即座に却下する。
「北斗杯前の大事な時期に、こじらせて大病を引き起こしたらどうする」
今回、昨年のボク同様に進藤も過去の戦績重視で予選は免除されていた。五月まで間があるとはいえ、
本当に大病でもしたらと思うと気が気でない。彼のようなタイプは往々にして、健康であることに胡
座をかいて手遅れになったりするのだ。
渡された体温計が計測終了の電子音を鳴らす。驚いたことに四十度を超えていた。
満員で座れないため壁に凭れて立っていた進藤の目はいつの間にか虚ろになっていて、体もふらつい
ている。
ここに来るまでの道中、外気に当たったせいで熱が急激に上がったのかも知れない。
バスや電車なら席を譲って下さいと頼みもできようが、生憎この待合室には席を譲られる側の人間し
かいない。思わず舌打ちしてしまう。
「無理して立ってなくていい。しゃがんで」
ぐらぐら揺れる小柄な体を支え、壁に沿ってゆっくりしゃがませる。
- 20 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/10(水) 01:50:34.41 ID:???
- 体温計を受付に返す際、容態が悪いので順番を早めてもらえないかと断られるの覚悟で交渉した。出
来るだけ早めに呼ぶと言ってはもらえたが、期待しない方がいいだろう。
案の定、随分待たされてからやっと診察室に呼ばれた。
馴染みの老医師はボクの顔を見ておや、と言ったが、話に付き合う気はない。
聴診器を当てるので胸を出して、との言葉に、ボクはどこを見ればいいのかと視線を彷徨わせる。
パーカーとシャツを一緒にたくし上げた進藤の、まだ出来上がっていない華奢な体の線。背筋の窪み。
滑らかそうな、肌。
ボクまで熱が上がったかのように、顔が火照る。
丸椅子がくるりと回り、今度は体の前面がボクの目に飛び込んでくる。少し肋の浮いた胸、厚みがな
くなだらかな腹。形のいい臍。
これまで同じ部屋に泊めてきて、着替えで裸身を見ないわけではなかったけれど。
去年の夏、暑さにしどけなく寝乱れる彼を意識してしまって以来、まともに目を向けられずにいた。
(いけない、彼は今、熱を出してるんだぞ)
布団に潜り込んできて、ぴったり体を寄せて眠る進藤の息遣い。触れる髪の柔らかさ。自分より小さ
めの肩。思い出してはいけないと戒めれば戒めるほど、それらが脳内を駆け巡って胸が苦しくなる。
インフルエンザだろう、と曖昧な診断を受け、栄養剤の注射だけされて処置は終わり。
「熱が高すぎる状態が続くと脳が煮えるからね、熱さましの座薬を出しとこう」
薬で強制的に熱を下げるのは、体が病と戦う機能を損なう事になるので本当は良くないのだとか。け
ど、それにも限度というものがあるらしい。
保険証持参ではなかったので、一時的に全額を支払う。進藤の持ち合わせで足りないでもなかったが、
交通費がすっからかんになるのでボクが一部立て替えた。帰宅する、と言い張る彼をどうにか説得し、
ボクの家へと連れ戻して布団に叩き込む。
「インフルだし、おまえにも感染ったらどーすんだ」
荒れた呼吸をしながらボクを心配するような科白を吐く進藤がいじらしくて、そんな状況じゃないは
ずなのに頬が緩む。
「薬局で熱さましもらって来るから、おとなしく寝てるんだ」
言い残し、コートを着込んで外に出る。遅くまで開いている調剤薬局は少し遠い。早足で向かう。
閉まる間際に滑り込み、処方箋を渡して暫し待つ。呼ばれて受け取るまでにそう時間はかからなかっ
た。
氷の作りおきがなかったのに気付き、帰りにコンビニに寄って調達ついでにスポーツドリンクや冷却
ジェルシートなども買っておく。しまった、シートは薬局で買えば良かった。二箱しか売ってない。
戻る時間が惜しい。行きと同じく早足で家路を急ぐ。
帰宅して真っ先に進藤の様子を伺うと、目を閉じて浅く短く苦しそうな息をしていた。
- 21 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/10(水) 01:51:06.37 ID:???
- 「塔矢?……あちぃ……」
自分の高すぎる体温で布団蒸しにされているせいか、今度はそう訴える。額や蟀谷に汗が浮き、髪が
張り付いていた。
「汗かいて体温下げなきゃ。これ置いとくから、喉渇く前に飲んで」
枕元にスポーツドリンクのボトルを置き、冷却シートを額に貼ってやる。冷たさに、ぶるっと進藤は
震えた。
本来なら酒を呑む用途のロックアイスを氷枕に詰め、緩衝材がわりに水を注いで口金で留める。
タオルで巻いて頭の下に置いてやると、進藤は気持ちよさそうに細く息を吐いた。それがやけに艶か
しくて、正視できない。
体の汗を拭いて着替えさせなくてはいけないのでは、とやっと思い至り、一応断りを入れて彼のリュ
ックを開ける。無造作に突っ込まれていたパジャマを出してから、洗面所にストックしてあるタオル
を数枚取って戻り、進藤の上体を起こす。自力で座っていられずにぐらぐらだ。悪戦苦闘しながらパ
ーカーとその下のシャツ、それにアンダーを脱がす。汗に濡れた肌はとても熱く、触れているボクの
手まで燃えそうな気がしてしまう。手早く背中を拭き、横たえて胸と腹を拭こうとして……タオルを
持った手が躊躇う。触っても、いいんだろうか。両胸で淡く主張する、そこに。
ひとつ頭を振って邪な考えを払い除け、ざっと汗を拭き取る。ぴく、と進藤が反応したような気がし
たが、きっと錯覚だ。
上が終われば、次は必然的に……下。胸を拭くよりよっぽどドキドキする。同性相手に妙な興奮をす
るボクは、傍目にもおかしく映っているに違いない。
ジーンズにかかる手が震える。変にもたつけば余計に警戒されるじゃないか。事務的に、さっさと済
まさないと。
露わになる内腿の、予想外の白さに動悸は激しくなる一方。下着も汗ですっかり濡れていて、替えな
いといけないのにボクはそれどころじゃなくなってる。朦朧としている進藤に声をかけ、それだけは
どうにか自分でやってもらった。
情けない。
ひと通り終わると、ボクは取るものも取りあえず手洗いへと駆け込んだ。恥ずかしさに死にそうにな
りながら処理をする。彼の名を小さく何度も呼んで。
何度か汗を拭き、着替えさせ、氷枕の中身を取り替える。着替えはとっくにボクのパジャマと下着に
なっていた。正視できないなんてカマトトぶった事を思ったのは初めのうちだけで、そのうち慣れた。
そう、汗拭きと着替え程度なら。
明け方が近づき、ボクの感情が寝不足で鈍麻してきたせいかも知れない。
進藤の熱は下がらない。いや、むしろ上がった。これはまずいのではないだろうか。
自分の机に置いた、進藤の熱さましが入った白い袋に目をやる。あれが必要なんじゃないか。でも。
……座薬、なんだよな。あれ。
- 22 名前: ◆lRIlmLogGo :2014/12/10(水) 01:51:37.11 ID:???
- 寸止めではヒカルたんも苦しかろうと思うて続きをば(;´Д`)ハァハァ
思ったより長くなってもうたorz
次で終わり、たぶん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 23 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/10(水) 20:39:38.48 ID:???
- ヒカルたんに座薬だと(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 24 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/11(木) 01:19:38.71 ID:???
- 医者役得だな(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんの肌に聴診器を這わせられるなんてさ
ヒカルたんのなめらかな背中(;´Д`)ハァハァ
- 25 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/11(木) 01:33:15.53 ID:???
- どうしよう。自分でやってもらおうか?いや多分、今の病状ではできないと思うし、こんな時間に起
こすのは気の毒だ。
でもこのまま放置して、本当に脳が煮えてしまったらと思うと怖くてたまらない。
ボクは意を決し、机に手を伸ばす。薬袋を掴んで、連なった座薬の銀色をした密封パックをひとつ切
り離した。浮き出したその形がどうしても、あらぬものを連想させてしまって鼓動を乱す。
なんでこんな形なんだ。わかってる、それが最適だから。何に?だから、ほら。
進藤の白い内腿が頭に焼き付いて離れない。夏に見た時は豆電球の乏しい光の下で、それでも破壊力
満点だったのに。蛍光灯に照らされた素肌がそれ以上に視覚に訴えてくるのは当たり前なのだ。
その奥に、さっきは怖気づいて本人任せにしてしまった場所に、ボクの手でなんて、そんな。
「ぅう…………」
進藤が苦しそうに漏らす声に、それどころではないと自分の頬を平手ではたいて正気を取り戻そうと
する。ボクは、ごくりと唾を飲み込んでから、そっと布団と毛布をめくった。部屋の空気に熱い体を
曝されて、進藤が身震いする。仰向けの体を横にして、パジャマのズボンに手をかける。躊躇わずに
一息でやってしまえ。心の中でせーの、と合図して、下着ごと強引に引っ張り降ろす。
「ごめん……すぐ、済むから」
言い訳するように謝って、銀のパックを破り、中身を出す。白い薬剤は、触れるとたちまちぬるつい
て指を汚す。そうか、腸の中で溶けるようになってるから融点が低いんだ。ますますもたついていら
れない。
もう一度、ごめん、と謝ってから、形のいい臀部を押し開く。汗ばんだその部分の肌が手に吸い付く
ようで目眩がしそうだ。熱さましを待ちわびるそこはきゅっと閉じていて、ほんのり淡い色。その中
心に、震える指でいかがわしい形のそれを、その先端を、宛てがう。座薬の底を指で支えるようにし
て力を込めると、するっと入った。底部が飲み込まれ、そこに触れていたボクの指が拒まれる。
この時点で、ボクは視覚的に充分すぎるほどの刺激を受けていて。箍が外れていることに無自覚だっ
た。
「っ!」
目を覚ました進藤が身を捩ってこちらを見る。信じられない、そんな顔。
「ぃや、っ、塔矢っ」
ボクの指は座薬を追って、彼の内部へと少しだけ侵入していた。肌よりももっと熱い粘膜が押し包む
感触に、欲望が暴走する。
「ヤダ、や」
彼が健康体なら、とっくに突き飛ばされていただろう。そもそも、こんな場所に触る状況にはなりっ
こない。でも今の進藤は熱で意識がはっきりしてなくて、体もうまく動かせない。
「はぁ……っ、はぁ、イヤだ、っ」
座薬が熱い肉壁に溶かされて、ぬるぬるが指に絡みつく。夢中になって指を蠢かしながら、もう片方
の手で進藤のままならない上半身を抑えつける。
「やめろよぉ、ヤダよ、こんな、っ」
- 26 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/11(木) 01:34:05.55 ID:???
- いつもの強気な彼じゃない。病は気から、そのまんま。そんな弱さすら、ボクを煽り立てる材料でし
かない。
「イヤ、ぅく、んっ、んん」
かぶりつくように小さな唇にキスをする。感染る?構うもんか。キミが欲しい。
どうして家に帰さなかったって?決まってる、こうしたかったから。下心があったからだ。綺麗事で
本音を隠して、尤もらしい事を言って。
誘うように潤んだ大きい瞳が。赤らんだ目元が。唇が。その熱い肌が。ボクを狂わせたんだ。
華奢な首筋に唇を滑らせると、びくりと反応する。体勢がきついので一旦指を引き抜き、もう一度完
全に仰向けにして脚の間に体を割りこませる。腿に当たる性器は熱のせいか恐怖のせいか縮こまって
いるみたいだった。可哀想に、そう思って、柔らかく握りこんで先端を弄くる。
「いや、やめてよ……塔矢、たのむ、から」
拒む口調が、少しだけ弱まった気がする。それに比して、握った性器の硬さと大きさが微妙に増した、
ような。先端を撫でる指に感じるぬるつきは、座薬とは違う。
苦しそうな呼吸の合間に、どこか淫らな響きの声が混じる。
「オレまだ……っ、わかんない、から、だから、っ、はぁっ、はぁ、」
「……何がわかんないの?」
質問しても、進藤は何度も首を振るだけ。何がわからないのかわからない、んだろうか。でも、ボク
とするのは嫌じゃない、そんなニュアンスが篭ってる。とか自分に都合よく捻じ曲げて、やってる事
を正当化しようとするボクは汚い。
「いたい、痛い、寒い……」
節々が痛むと訴えるのを無視して、ボクはパジャマの残りを脱がそうとボタンを外す。それを阻もう
と進藤が手首を掴んでくるが、振り払って続ける。身頃を大きく左右に開いて、胸にしゃぶりつく。
「ぁあっ……」
とうとう泣き出されてしまった。でもやめられはしない。
「っ、かったよ、も、ぜんぶ省略で、いいから、はやくやっちゃえよっ」
自棄になったのだろうか。何かとんでもない事を聞いてしまった。
「寒いし痛いし、だからさっさと終わらせろつってんの!」
余程辛いんだ。でも、受け容れてくれるって、本当に?いや、そんなの考えるのは後回しだ。
汗の浮く小さな鼻の頭に軽いキスをして、細い脚を性急に持ち上げる。ズボンのジッパーを下ろし、
ずっと出番を待っていたボク自身を取り出す。それを収める場所を探るのに手間取りながらも、どう
にか切先を宛てがい、そして、ぐっと力を込める。
「くぅ……!」
痛いのだろう、進藤が歯を食いしばって呻くのが聞こえる。ボクの先走りと、彼の内部にある溶けた
座薬が潤滑を少しだけ助けてくれてはいるが、挿れる方がこれだけきついんだ、挿れられる方は多分
もっと。
- 27 名前:冬の猫と春の熱 ◆lRIlmLogGo :2014/12/11(木) 01:34:50.06 ID:???
- 全部挿りきるまで、時間がかかった。進藤の中はめちゃくちゃ熱かった。そのせいでボクも汗だく。
「痛い?」
ボクの問いに、彼は可愛い顔を歪ませて小さく頷く。涙を零してしゃくり上げながらも、叫んだり喚
いたりせず、じっと堪えてくれている。それだけでもう爆発しそうだ。
「ごめん、外で出すの、間に合わなかったら」
傷つけたくないし、負担もかけたくない。でも、欲望のままに貪りたい。矛盾の落とし所はどこなの
だろう。
「はっ……ぁ、んっ、ったぃ、っ、はぁ、はっ」
ゆっくり揺さぶり始めると、やっぱり進藤は痛いと口にする。痛いだけで終わらせるのはあんまりだ
と自分でも思ったので、合間に感じそうな場所へキスをしたり、性器を擦ったりと、できるだけ快感
も与えるようにする。それが役に立ったかどうかはわからない。そのうち、自分が動くことだけに夢
中になってしまったから。
「あぁ、はぁっ、あ、あ、あ」
彼の喘ぎがボクを終わりへと急き立てる。痛いの?それとも気持ちいいの?
「あっ」
「あぁ……ごめん!」
結局、抜くのが間に合わず、ボクは進藤の中に放ってしまった。
その後は、惨憺たるありさまだった。
ぐちゃぐちゃに汚れた布団と毛布を交換し、進藤の体を拭いて着替えさせて。そこからが本番だった。
進藤はひどく腹を壊し、何度も手洗いに行く羽目になった。熱と行為のダブルパンチで足腰が立たず、
ボクの支えなしに歩けない。しまいには「もうトイレに住みたい」とまで言い出す始末。
そんなだから当然、次の座薬なんて使えない。最初に使った分は、ろくに吸収されなかったのではな
いかと思う。相変わらず熱は高い。
「……塔矢」
どうにか腹の具合も一段落し、敷き直した布団に入った進藤が呼ぶ。
「喉渇いた?」
「寝てないだろおまえ。ホラ、来いよ」
中から布団を持ち上げて隙間を作り、ボクを誘う。よっぽど妙な顔をしてたのか、彼は小さく笑った。
「ベロチューまでしといて、感染るとか今更だろ?ほれほれ」
いや、それ以上のこともしましたが、勘定に入ってないんですか。まあいいけど。
誘われるままに潜り込むと、熱すぎる腕が抱きしめてくる。
「挿れられて、出しちゃうとか思わなかった……キモチイイとか覚えてないのに、変なの」
耳元で囁く声は、ひどく艶めいていて。またしてもボクの鼓動を乱す。
「塔矢……治ったら、改めて、しよ」
気が付けば、もう陽は高く昇り。
ボクは彼の熱さに包まれて、まどろみに落ちた。
- 28 名前: ◆lRIlmLogGo :2014/12/11(木) 01:36:06.15 ID:???
- >>23-24
座薬プレイとお医者さんごっこは永遠の夢だよね(;´Д`)ハァハァ
まあこれでヒカルたんは「どっち問題」を解決したと(;´Д`)ハァハァ
こんな話書いてるさなかに
腹パン・「ひぎぃ」・精神ブラクラ(またかよ懲りねーな)なヒカルたんリンカーン話を
温めているんだよ俺は…俺は
ごめんねヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん「仕事しろや」
……ハイごめんなさい
- 29 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/11(木) 03:40:50.45 ID:???
- ヒカルたんはエロかった(地球は青かった風に)
ヒカルたんになにやっても許される若゛に歯軋り
ヒカルたんリンカーンだと(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 30 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/11(木) 22:00:54.36 ID:???
- 若゛やっぱり下心あったのかよ!
でも弱ってるヒカルたんにはどうしても萌えてしまうな(;´Д`)ハァハァ
そして最後のヒカルたんかわいすぎる・・・・(;´Д`)ハァハァ
- 31 名前:木の芽時の猫 ◆lRIlmLogGo :2014/12/12(金) 20:41:44.59 ID:???
- よくよく、冷静になってから自分の言ったことを振り返って。オレは転げまわりたくなってしまった。
あれがオレの本音だなんて、ちょっと信じたくない。
熱のせいだ。インフルエンザのせい。全部そのせい。うん、そうに決まってる。うんうん。
その証拠に、治ったらこうして「うわああああ」ってなってるじゃんよ。
でも。塔矢は通じねーヤツだから。納得なんかしないんだろうなァ。あーあ。どーしよ。
あんまやりたい放題やられたのがハラ立って、ダメ押し食らわしてやるつもりで塔矢を布団に誘き寄
せたのが効いたんだと思う。見事に伝染ってやんのバーカ。
塔矢に連れてかれたあの医者、インフルには薬使わない主義だったんだ。後でウチのかかりつけ行っ
たらそう言われて飲み薬出された。早く治したいからこっちの方がよかったのに。
ま、もう治ったからいいけどさ。
「……ふう」
何度目だろうか。こんな溜息ばっか。さすがに対局中はやってないだろうと思いたい。
世の中はお花見シーズン。まだじっとしてたら寒いのに、レジャーシート敷いて騒ぐ人間の多いこと
多いこと。
棋院から外濠公園が近いんで、よく誘われるけど。去年は北斗杯の予選でそれどころじゃなかったし、
今年は病み上がりでパス。また熱出して手合を休みたくないもんな。
家への帰り道に傍を通る公園にも、桜の木があってそこそこ咲いてる。チラ見するだけでいつも済ま
せてる。でも今日、オレは、そこでなんか変なものを耳にして立ち止まる。あ、これって。
前に塔矢に言われたのを思い出して、顔が熱くなる。そんな意味合いで言われたんじゃないけど、で
も……。
人気のない小さな公園に足を踏み入れると、そこには、やっぱり、あの、なんか、真っ最中の。
ネコ。
そうですか、やりたいシーズンですか。
あんな風に後ろから上に乗られて、うなじ噛まれながら挿れられたらどんな。
ってうわ、オレ何想像してんだもう!違うだろ!あれは事故だって!そう事故!痛かっただけだし!
後がタイヘンだったし!二度とあんなのゴメンだし!
でも目が離せない。心臓がバクバクしてる。呼吸が乱れる。
下にいたメスネコが、すんごい声で怒って?怒ってんだよな?オスに攻撃した。ヘタクソだったのか
な。ハハ、塔矢みてぇ……ってだから結びつけんなって!
「猫の交尾ガン見して、もしかして欲求不満なの?」
いきなりの男の声に、我に返る。三人、どいつも知らない。酔っぱらい?まだ夕方なのに?会社は?
「こんな可愛いのに、相手いないの?物欲しそうに猫のエッチ見てるなんてさ」
「どこのガッコの子?いいねえ学生は春休みで」
これはもしかしなくても。間違えられてる。結構あるから、いちいち怒んないけど。
こんな背の高い女がいるか、と反論しきれないのが痛いんだよなあ、ったく。ハンパな身長だから。
「アイソないなあ、せっかくの可愛い顔が勿体ないよ?」
余計なお世話だバカタレ。
- 32 名前:木の芽時の猫 ◆lRIlmLogGo :2014/12/12(金) 20:42:31.78 ID:???
- 「酒くっさ」
ものすごく正直な感想が口から転がり落ちる。
「仕事もしねーで昼間っから呑んだくれてる大人に学生どうこう言われたくねェよ」
「口悪いなァ。そんなじゃ男に好かれないよ?」
生憎、物好きが約一名おりますので間に合ってます。いらねーけど。
「大人にはね、色々あんの。花見の付き合いとかさ。今日だって朝の早よから場所取りで」
「そーそー、寒い中スペース確保して」
それが苦労かよ、めでてーな。こんな時間に出来上がってる言い訳には苦しいぜ。
オレだって週五日みっちり仕事ってわけじゃないけど、空きの日は大抵勉強なんだよ。
こんなとこで油売ってるヒマなんてないのに、ないのに。ネコ見て変な気分になってるから、こんな
のに絡まれるんだオレのバカ。
さっさと帰ろうと公園の出口に足を向けたら、お約束の通せんぼ。
「冷たいなァ。そう邪険にしないで、カラオケでも一緒しよーぜ」
「誰か一人歌ってる間に、交代でキモチよくしたげるからさ。したいんでしょ?エッチ」
こっちにも選ぶ権利ってヤツがあるのを忘れてやがるコイツら。つか、さっきからベタベタ触りまく
りでまだ気付かねーほど酔っ払ってんのかよ。なら醒ましてやる。
「あんたらさ、男でいいからヤリたいってくらい飢えてんの?うっわカワイソー」
きょとんとしてやがる。もう一発必要ってか。
「こんだけ触っても女と区別つかないくらい酔っぱらってちゃ勃たねーだろ、ん?」
オレきっと、すんげー悪いカオしてる。会心の笑顔だと思う。
男だとわかってて手ェ出してくる変態は塔矢だけでたくさんだっつの。
ああ気分悪ィ。このムカムカ、どこへぶつけてくれよう。
────たぶん。オレは、塔矢とすること自体を否定してるんじゃない。
メスネコの役に抵抗感があるだけなんだ。それだけで充分、オレもどっかおかしい。壊れてる。
じゃあ塔矢をメスネコにしたいかって言えば、全然。ほらおかしい。イカレてる。
あの晩の出来事を思い出すと落ち着かなくてそわそわする。やっぱおかしい。ダメすぎる。
あんなん、要は超痛いカンチョーじゃん。そりゃ下痢もするわな。なのに。アタマは覚えてないのに
カラダが覚えてるらしくて。
そうなんだよ。思い出すたびに、なんか溶けそうな感覚がじわっと来ちゃって。
けど塔矢にぶっちゃけるのはシャクだし。言ったらアイツ大喜びで伸し掛かってくる絶対。
それはハラ立つからヤダ。だけど。カラダの中がドロドロして、そんでネコ見てああなって。
「ウチ来るのはいいけど……突然だな、こんな時間に」
アポなし訪問は初めてだったので、塔矢はちょっとびっくりしたみたいだった。
「他に誰か来てる?」
先生の門下の人が出入りしてるから、いつもコイツ一人ってわけじゃないのは知ってる。
「いいや、誰もいないよ」
「そう」
- 33 名前: ◆lRIlmLogGo :2014/12/12(金) 20:44:02.32 ID:???
- 予想以上に長くなったので一旦投下
…これを書くためにぬこの交尾動画まで見たとかどうやねんな俺
- 34 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/12(金) 23:59:39.86 ID:???
- そのぬこをヒカルたんに脳内変換すると下半身がやばいことになる(;´Д`)ハァハァ
- 35 名前:木の芽時の猫 ◆lRIlmLogGo :2014/12/13(土) 03:24:47.41 ID:???
- 「進藤、どうしたんだ」
まだちょっと顔色が悪いかな、オレよっか治りが遅そうだったもんな。
「ん、あぁ、べつに……特には」
おいおいおい。嘘でも今年の北斗杯の予選がどうこう中韓の代表がどうこう言っとけよ!
「陽が暮れてから来るなんて、期待させるキミは酷いな」
「期待ってなんだよ」
わかりきってて、しらばっくれる。恥ずかしいし。
「ん、っ」
玄関先だと思って油断してた。ぎゅっと抱きしめられて、唇も塞がれる。
口の中をいっぱい舐められて、アソコがむず痒いような変な感じになって。どうにかしたくて、塔矢
に擦りつけてしまって。なんでこんなんなっちゃうんだろ、わかんない。
「んふ……んぅん……ん……」
漏らす声も、全部塔矢の口に吸い取られてしまう。カラダの表面が嘘みたいに敏感になって、服の上
から撫で回されると鳥肌。これも下半身直結。どうなってんのさホント。
さっき酔っぱらいにキワドイとこまで触られたって全然へーきだったのに。なんで。
やっと唇が離れて、視界いっぱいの至近距離に塔矢のどアップ。
なんとなーく、納得する。コイツだって女顔なんじゃん。だからオレ、誤認しちゃうんだ。そんでき
っと、コイツもおんなじで。
互いに互いを女みたいだって思って、そういう対象にしてるってことなんだろ、結局。
……それで全部説明できんのか?じゃあ、オレのいびつな認識と感覚はどうなんだよ。
塔矢としてもいいって思ってる。でもメスネコの役はやだ。塔矢をメスネコにしてでもって気にはな
らない。じゃあしなくてもいいじゃんって話になるけど、それもやっぱ違う。混乱する。ああ。
「ここ最近は……碁会所に来ても閉まる時間で直帰だったから、避けられてると思ってた」
「ん、避けてた」
息がかかる距離のままで、オレ達は会話する。
「じゃあどうして今日は?」
塔矢の声が掠れてる。なんかエロい。腰にくる。
「……ネコが」
「猫?」
「ぁ、いや。うぅん、こっちの話」
「要領を得ないな。キミは何の用で来たんだ」
「用がなきゃダメかよ……んっ」
耳を舐められて声が出ちゃう。塔矢の腕を振りほどけなくて、逆にしがみついちゃってる。
「改めて抱かれに来たんじゃないのか」
抱かれ、って言葉がずしんと胸に響く。塔矢にはオレみたいな変な迷いはないんだ。くっそ不公平。
「そうスッパリハッキリ割りきれてたまるか!」
うわあ情けねー、涙出そうになってる。
「でも今、キミがこうしてここにいるのが何よりの答えじゃないの?」
もしかしたら、この容赦ない言葉によるひと押しが欲しかったのかな。決められないオレは。
- 36 名前: ◆lRIlmLogGo :2014/12/13(土) 12:32:54.61 ID:???
- 続きを投下しようとしたら、さくらが咲いてしまいますた
残りは避難所に置きますた
ひどいよつれないよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 37 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう :2014/12/13(土) 20:27:41.26 ID:???
- 見てきたぜ!
ぬこヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
開き直りヒカルたんえろい、えろすぎる
- 38 名前:盆 :2014/12/14(日) 18:25:37.71 ID:???
- >>37
若゛の心境
(え゛、鴨が葱しょってキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!)→
(イヤ言いながらめっちゃヤル気になってる!きゃっほう!)→
(エロいよヒカルたんエロいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ)→
((;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ)→
(もう一回?もう一回って言った?ヒャッハー!(;´Д`)ハァハァ)
どうみても俺らです、本当に(ry
- 39 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/14(日) 20:37:19.48 ID:???
- 今日は若゛の誕生日だな
ヒカルたんもお祝いしているのだろか
ケーキ代わりにヒカルたんのいちごにホイップをトッピング(;´Д`)ハァハァ
- 40 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/14(日) 21:32:55.18 ID:???
- 28歳のヒカルたんが内心(毎年かよマンネリだな)ってうんざりしつつも
買ってきたホイップ全力で泡立てるのか…(;´Д`)ハァハァ
- 41 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/15(月) 17:34:35.03 ID:???
- ヒカルたんという名のケーキ(;´Д`)ハァハァ
- 42 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/16(火) 14:57:49.34 ID:???
- ヒカルたんがいるから俺は生きていけるんだ…(;´Д`)ハァハァ
- 43 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/16(火) 18:49:50.35 ID:tNoa/Sw3
- 若以外でヒカルを手籠めにできそうなのはどんだけおる?
- 44 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 00:34:17.89 ID:???
- 若゛いい加減にしやがれと言うブーイングの中、華麗に↓を投下するKYな俺であった
途中で不自然に止まってたら、さくらが咲いたので避難所に続きがあると
思ってくださいでつ
- 45 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─imaharaita- :2014/12/17(水) 00:35:04.09 ID:???
- 大人ふたりが暮らすには狭すぎる部屋に、空調の音と混じって淫靡な声、濁った水音が充ちている。
「……っ、ぅうん……っん……っ、っふ」
控え目なその嬌声が頭上から降ってくるのを聞きながら、アキラは快楽に従順な恋人への施しを続け
る。口の中では肉茎が限界近くまでその嵩を増して、解放を今か今かと待っているように涙を零す。
雫を甘露の如くに味わえば、アキラを挟む膝が小刻みに痙攣する。
ふと、目線を上げれば。汗と体液で濡れ光る薄めの茂みから俯瞰で、ヒカルの愉悦に蕩けきった顔ま
でが伺える。薄い腹。忙しない呼吸で上下する胸の上には、愛撫を欲して切なげに色づき膨らんだ、
ふたつの尖り。
半開きの唇は体内の熱に炙られて珊瑚の色を濃くし、艶めいている。時折瞬きする瞼の下にある大き
な瞳が、アキラの視線を捉えた。短い髪をかき乱す細い指に力が籠り、口淫を終わらせて欲しいと訴
える。
「は、ぁ、塔矢……やっぱ、まだ……ね、ダメ?」
ヒカルを咥えたまま、アキラは小さく首を振って拒否の意思表示をする。
こうする事は、則ち終わらせる事。双方暗黙の了承としているので、行為だけで通じる。ヒカルはそ
れが嫌で、まだ続けたいと望んでいるのだ。
「もう勃たないなら……指でいいから、こっちと同時に責めていいから、ねぇ」
本来なら厭う、前後同時の追い上げすら条件として挙げてくる。いつもの事だが、アキラがこの要求
を突っぱねきれた試しはない。それほどまでに蠱惑的な表情で、声音で、仕種で、彼は懇願する。
淫魔なのではないか、と往々にして思う。これほどまでの情欲を彼は何年も抑えこみ、アキラの前で
淡白な振りをしてきたのか。それとも、アキラに隠してきた三年間の出来事が、彼を変質させてしま
ったのか。怖ろしくて、訊けない。
十年近く、強制的に眠らせていた自身本来の碁を解禁したように。これも彼本来の性質が解放された
結果なのだろうか。奔放で、相手を振り回し、消耗させて喰い潰さんとする。
返答を渋るアキラに焦れて、ヒカルは右脚を上げて肩を軽く蹴り、体を離す。アキラの唾液とヒカル
の先走りが混じった透明な粘液の糸が唇と性器の間を暫し繋ぎ、距離が開くとともにふっつりと切れ
る。壁に背中をつけて座っていた体勢からくるりと身を反転させ、今度は壁に胸をべったり着けて膝
立ちになり、尻を突き出した格好で肩越しに振り向いて、ヒカルは無言で促す。
数時間に亘ってアキラを貪っていたそこは腫れぼったく、血の色を透かしながらひくついている。
最後とする、その符牒はもうひとつあった。その証が、咲き綻んだ蕾の中心から零れた精液の跡。
「あぅ、ん……ん、ん……」
鼻にかかった声が悦びに濡れている。取り決めを悉く反故にして淫楽に酔い痴れる姿に、消えたと見
えた火がまた燃え上がるのをアキラは感じながら体を進める。
「本当に……これで、最後だからね」
言い聞かせるような語調に、ヒカルは頷く。早く早くと、肉壁が熱く絡みついて精を搾り取ろうと蠢
いて催促する。どういう訳か、体に負担のかかる中出しを彼は求める。それを説き伏せ、苦肉の策と
しての折衷案としてそれは最後にしようと決めた経緯があった。
「んン────……っ、ぅうん、ぅん、ん」
必死に声を殺すヒカルがいじらしい。ここで最初に交わった時、大きな声を出して隣に聞こえたので
はと気にして、以来、意識して抑えているのだ。
- 46 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/17(水) 00:37:14.41 ID:???
- しまつた自分から鳥バレした
変えまつごめん
- 47 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/17(水) 00:38:07.81 ID:???
- 今、彼がへばりついている壁の隣に部屋はない。ここが角部屋だからだ。それでも構造上、上や逆側
の隣室に音が伝わるらしかった。何故判るかと言えば、左隣と思しき生活音が右の壁伝いに聞こえた
りする所為だった。
「はっ、あ、塔矢、もっと一杯まで、引い、て」
「時間が経ってる、少し慣らしてから」
「いいからっ、はぁ、ゆっくりちょっとじゃ、足りな、っ」
どことなく日本語が怪しいのは、快楽に酩酊しきっているためだろう。まあ意味が通じるだけまだ上
等だ。
「ンんくぅうん────……!」
要求通りの動きに、あっという間にヒカルは絶頂へと駆け上がる。喘ぐ語尾が震え、不自然に反らさ
れた汗塗れの背中が悩ましくうねる。
「進藤、ボクは、まだ」
構わずに続けろ、とヒカルは首を縦に振る。
「んッ、んふ、んんっ、んぅ」
突かれる体が揺れ、壁に密着した胸が上下に擦られる形になる。どうしてこんな苦しそうな姿勢を自
ら取ったのかと先刻から訝しかったが、やっとアキラにも理解できた。ヒカルは壁のクロスにある、
細かく不規則な凹凸に敏感な乳首を嬲らせているのだ。そこだけで達する事が可能な場所を。
「ん、また、キちゃ、ぁああん」
それはそうだろう。置いてきぼり感に少し虚しささえ覚えてしまう。
「声、大きくなってるよ」
言ってやると、くっと喉を鳴らして堪えようとする。不自然な体勢の犠牲となった頭は反らされ、汗
に濡れた髪が振り乱される。
腰を叩きつけるように動かしながら、限界を予感する。道連れにしようとヒカルの前に手を廻すと、
思った通りイヤイヤと身振りで拒む。
「駄目だ、約束だろ」
そう窘めて赤い石の小さなピアスごと耳朶を噛む。キャッチから出たポストが口内に刺さらないよう
留意して、新たに出来たピアスホールと言う名の性感帯を舌で責める。壁に押し当てられたヒカルの
手が、クロスを掻き毟る。
「あぁ、あ、終わりたくな……まだっ、おねが、っ」
折角育てたのに少し萎んだ性器を、もう一度刺激して言外に要望を断る。
ヒカルの射精感がこの上ない締め付けを誘発し、アキラは呻いて腰を強く押し付ける。
「っあ、塔矢のっ、バカっ!」
最後に達する時の言葉がこれだ。体力にも限りがあるのにどうしろと。
「おまえさー……衰えたんじゃねーの?」
呼吸が落ち着いてからの第一声に、アキラは眉を顰めた。
「キミが際限ないだけだ。体が幾つあっても足りないってよく言うけど、まさにこれだと思い知った
ね」
一月は去り、逃げる二月に突入していた。比較的温暖な地域のはずだが、流石に寒さが厳しい。
- 48 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/17(水) 00:39:59.98 ID:???
- #つけ忘れて大惨事に…恥ずかしすぐる///
十代の甘酸っぱい「快感ってナニ?わかんない」ってな初心くさいヒカルたん、さよなら
爛れきって新しい快楽のステージを追い求める熟れたヒカルたん、久しぶり
しょっぱなからコレもんでつよ、吸い取り魔人でつよ、どうしてこうなったヒカルたん
若゛だけで足りるかい?(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
実は、最初の構想から大幅に内容が変わってまつ
なんでかっつーと、本編の生放送パートと最終パートの間にあった1パートをごっそり削った
のが原因…終わりを急ぎすぎた弊害でつ
後日談つーより、本編の補完みたいになってまつ、そのせいでサブタイもちょっと削れた
また長くややこしくなりそうなんで、読みたくねーよってメイツはNGであぼんお願いするでつ
- 49 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 10:03:46.82 ID:???
- ヒカルたんを手篭めにできるのだなんて若が強烈すぎて思い浮かばねえ…
- 50 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 10:06:38.95 ID:???
- えっちなヒカルたんはかわいいなあ(;´Д`)ハァハァ
- 51 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 13:34:15.28 ID:???
- >>49
保管庫で勇名をはせた
父ちゃん先生・緒方兄貴・座間・芹澤・トーマス・冴木・佐為・その他のメイツ「解せぬ」
- 52 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 13:37:50.38 ID:???
- あと忘れてはいけない、ヒカルたんハメ撮り恫喝の輝ける先駆者とも言える
「禁断」の越智を
- 53 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 14:47:37.55 ID:???
- 門脇・椿「俺らも忘れんな!」
- 54 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 14:51:10.56 ID:???
- 社「処女やあれへんかったんはノーカンか?ノーカンなんか?」
- 55 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/17(水) 22:42:25.79 ID:RhBfxapH
- 椿にできること
他のメイツにはない屈強なガタイと粗暴さでヒカルたんを種付けプレス
- 57 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/18(木) 20:15:39.97 ID:???
- 小説おつ!
乳首擦り付けるヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 58 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/18(木) 22:46:44.04 ID:???
- 汗が冷えれば、即座に震えがくる。風邪など引いては堪らない。乱雑に脱ぎ捨てた服から自分の着て
いたシャツをごそごそと漁って羽織る。裸のままカーペットの上に寝そべったヒカルは不満げにそれ
を見やった。
午前中から始めてしまったので、まだ昼を過ぎたあたりの時刻でしかない。
アキラがこの部屋に転がり込んでからというもの、ヒカルはのべつ幕なしに求めてくる。毎日だ。
「ンだよ、前はオレが気絶するまで責める鬼畜だったのに」
「人聞きの悪い。頻度を考えてくれ。キミは平気で何ヶ月もお預けを喰らわす人だったじゃないか」
「その分濃かったってか?」
「よく解ってるじゃないか、ご名答だよ」
諾として貰えたかどうかは怪しいが、取り敢えずヒカルは文句を垂れる口を閉じた。のろのろと身を
起こし、何も着ないまま頼りない足取りで手洗いに向かう。一旦篭ったら、暫くは出て来ない。
機嫌を損ねたのではなく、単に腹痛なだけだ。
「何度言っても聞かないけど、そうやって苦しむのが予測できるのにどうしてナカに欲しがるかな」
閉ざされた扉の向こうに嫌味を投げかける。うるさい、と買い言葉が戻ってくる。
色々理由は考えられない事もない。何れも、精神的な充足感に繋がるものだろうとは思う。
それでも、彼の体が心配になるのは仕方ないではないか。あれから、まだ三ヶ月少しだ。
異常なまでの興奮が醒めると、部屋の中と自分の臭いが気になりだす。ユニットバスだから、ヒカル
が腹具合を落ち着けて出るまで風呂を使えない。不自由なものだ。どうせヒカルも同じだろう、つい
でに体を洗って出てくる。いつものように。
四六時中、狭い空間で寝食を共にする経験を二十日ほどして。互いに知らなかった事が山ほど噴出し
た。ほんの一日二日、アキラの実家にヒカルを泊める程度では判らなかった性質のものが。
基本的にヒカルが適当な性格なのは長い付き合いなので百も承知。食べ物の好みについても同様。た
だ、それらに何日も狭い世界で対応し続けると、想定を超えたストレスになる。あちらも一緒、相身
互いだ。
そして、まず最初に爆発するのは導火線の短いアキラかと思いきや、ヒカルの方なのも意外だった。
あれこれ細かく日常における注意をされるのが我慢ならないらしい。
(いや、昔はああだったんだ。大人になって引っ込んだだけで)
検討で大喧嘩になって、掴み合いになる前にヒカルがさっさと帰ってしまうのは頻繁にあった事。
多少、抑えるのを覚えただけで気に入らない指図を拒む根っこは変わらないのだ。
そう気付いて、少しほっとする部分もある。変わらない所はちゃんと残っている、と。
「もう昼もだいぶ回った。うどんでも作ろうか?」
作ると言っても、炊事道具などない。そのまま火に掛けられる鍋焼きうどんの買い置きをIHヒーター
で温めるだけ。精々、卵を落とすのが関の山だ。
「えー?外食いに行こうぜ。別に病気で下してるわけじゃないんだし」
シャワーを使う音と共に返事が聞こえる。
外食は気が進まない。髪を短く切った自分と、逆に伸ばして目立つ前髪も染めて隠したヒカルは、ぱ
っと見では判別しにくいだろう。しかし、比較的長い時間ふたりで一処に留まっていれば、見つかる
危険性は高まる。余計なトラブルを背負い込みたくはない。
アキラの懸念などよそに、ヒカルはしょっちゅうあちこちに出掛ける。無理にアキラを誘ったりはし
ない。ひとりで行きたい所へふらりと行って、帰る時間は気紛れ。
- 59 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/18(木) 22:47:17.91 ID:???
- さながら、糸の切れた凧のようだ。セックスも、日頃の行動も、そして、打つ碁も。
無軌道で定まらず、いつ墜落するか知れたものではない不安定な挙動をする凧だ。
(あれは、奇跡の一局だったんだ)
師との決別のために打った、渾身の一局。その時見せた新しい碁が実は余りに不完全で穴だらけであ
ったのは、後日アキラと打って露呈した事実だった。
十四歳当時の荒削りで未熟な碁を、経験と元々持つ読みの深さで辛うじて補っていたに過ぎない。
経験と言っても、かの師の千年に及ぶそれが嘘ではないなら塵芥も同じ。
(勝つのが主眼ではなかったのだろう、恐らくは)
取り戻した己の碁をもって対峙する事そのものが彼には必要だった。そうアキラは理解している。
「フロ空いたぜ。おまえも入んないと外出れねーじゃん」
沈思している間に、ヒカルはシャワーを済ませて出てきていた。湯で上気した肌と濡れ髪が、アキラ
の情欲をまた煽ろうとする。ボクから切り上げたくせに、と胸中で自嘲して、アキラは立ち上がった。
***
「釣り?この寒いのに?」
その夜、突拍子もない提案をされてアキラは面食らった。
「それに、釣り道具なんて持ってないだろ?買うのか?モノを増やすのは必需品でも嫌がるキミが?」
「行きたくなきゃ明日は留守番してろ。道具の心配はいらない、レンタルで間に合う」
ヒカルはどこ吹く風で、さらりと返す。
「大体、釣りってどこへ行くんだ。ここから海まで遠いんじゃ……釣堀でもあるのか?」
住んでいるハイツは山がちの場所にある。電車で来た際に海を見たような気もするが、車で東京へ向
かった折りは県境まで山ばかりだった。
「おまえは今住んでる場所の地図も見てないのか。この辺は山と海がすげー近いんだよ」
馬鹿にした口調にカチンと来て、アキラは相手を思わず睨んだ。
「……案外さ、頭ん中で戦型とか考えんのにいいんだ。雑念がキレイに消える」
「ボクが同道したら、邪魔そうだな」
「そう思うなら来なくていいつってんじゃん」
餓鬼のようにアキラとの性行為を求めるかと思えば、こうして突き放しもする。同じ時間を過ごせば
過ごすほど、アキラにはヒカルが理解不能な生き物になっていくような恐怖感を覚える。
「今はチヌなんだってさ。釣れたら捌いてもらえるとこがあるから、刺身で一杯といこうか」
「皿の一枚もないのに?」
「わーかったってもう。オレが行ってる間に皿でも椀でも買って来いよ」
降参の意をヒカルは大仰な身振りで示す。
病的なまでに部屋にモノを置かないのは、ここを仮宿としてしか見ていないからだ。そこまでは解る。
(でも、ここを出てキミは……どこへ行くつもりでいるんだ)
そのビジョンが語られた事は一度もない。棋院側はヒカルの処分を保留のままにしている。だが、現
実問題として日本の棋界に戻るのは不可能だろう。
- 60 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/18(木) 22:47:49.49 ID:???
- この話のヒカルたんは超ワガママでつ(;´Д`)ハァハァ
俺もぶん回されたい(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
冬はグレもいい…うまい…ポン酒が進むお
刺身によし、水炊きによし、はらへった
>>57
ヒカルたんの淫乱度マシマシでお送りしておりまつ(;´Д`)ハァハァ
まだ書いてないプレイ予定が(;´Д`)ハァハァ
- 61 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/19(金) 13:48:22.08 ID:???
- 皿がなければヒカルたんにお刺身を盛ればいいじゃない(;´Д`)ハァハァ
- 62 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/20(土) 00:19:36.27 ID:???
- 世間の猛烈なバッシングに晒されるのは当然、他の棋士も復帰に難色を示すのは想像に容易だ。除名
処分としたいが、棋院にはそうするに値する理由が未だ見繕えない、そんな所だろう。これを綺麗に
解決する方法ならある。ヒカルから引退を申し出ればいい。
(居場所など、もうない。なのにキミはどうして)
ヒカルが未だ宙ぶらりんな立場なのは、そう言う事だ。
彼の決断にアキラは従う。その気持ちに些かの揺らぎもない。だが。当のヒカルが決めないのでは。
(いつまで、ここで。こんな暮らしを?)
海外に活路を見出すつもりなら、早目に言って欲しい。薬物使用の捜査関連で出国が困難だった時期
はとうに過ぎた。疑惑は晴れたのだから。
親の力を頼るのはみっともないが、ゴミのようなプライドになど拘泥している場合ではない。
父親の口利きがあれば、東アジア圏内のオープン棋戦へのエントリーも比較的すんなりいくだろう。
だが、ヒカルから具体的な話が何ひとつ出ない現状では、勝手に便宜を図るよう動くもならず。
こうして焦れているくらいなら、自分から切り出せばいいではないか。そうは思うが、彼が完全に立
ち直ったと確信できない以上、迂闊な真似をして閉じかけた傷口をまた開いてしまっては、と及び腰
にならざるを得ない。それほどまでに繊細な問題なのだ。
結論の出ない考え事をやめる頃には、朝早く出掛ける予定のヒカルはとうに布団に入って寝息を立て
ていた。
***
車はヒカルが乗って行ってしまったので、許可が出た食器の買い出しには一番近いスーパーまで片道
ニキロ近くを歩かねばならなかった。とはいえ、それさえ済んでしまえばアキラのする事は何もない。
余りに余った時間をただ潰すだけでは腕も頭も錆びついてしまう。食器同様、散々不平を言われなが
ら買った折り畳みの碁盤と、碁笥を出して棋譜並べを始める。自分らがプロの対局から遠ざかってい
る間、他の棋士は弛まず前進を続けているのだ。ヒカルの不安定な碁を、斬り結ぶ事で使い物にする
のは傍にいる自分の役目。刃が鈍らでいいはずがない。
いざ集中、と腹に力を入れたところで携帯電話の着信に出端を挫かれた。液晶ディスプレイで確認す
ると、この部屋の書類上の借主だった。
『おまえ、進藤んとこおるんかいな』
もしもしも言わせず、社は明らかに気分を害した声で口火を切った。
「……あ、それは……済まない、キミに無断で」
電話の向こうで、ほとほと呆れたと言いたげな嘆息が聞こえる。
『誰と一緒に生活しようが別にええんやけどな。文句かましたろ思たら進藤は電話出よれへんし』
「ああ、今日は朝から出掛けてるんで、それでじゃないか」
『今日に始まった話やあれへんわ。なんや、先月のえべっさん辺りからいっこも通じへん』
「えべ、何だって?」
『あー、東京モンにはわからんかったか。戎神社でやる商売繁盛の祭りや。おまえら住んどる辺にも
ある思たけど』
「えびす、もしかして七福神の」
- 63 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/20(土) 00:20:11.94 ID:???
- 『まあそんなんええわ、要は先月の十日らへんから、アイツとろくに電話で連絡取れんのや』
「あ」
『やっぱしかい。おまえ来よったせいか』
時期は確かに一致する。でもどうして。
「だからってキミとの電話を避ける理由なんてないと思うけど……」
困惑しながらも、アキラはそう答えるしかない。
『アイツの携帯、マナーにしとるにしてもバイブでわかりよるやろ。なんやその微妙なリアクション』
「いや、彼の携帯が鳴ってるのを聞いた事はない、バイブも。そもそも彼の携帯をここで見、」
見た事がない。ここに来た初日に携帯電話で話したのに。部屋に上がった時に、目につく場所にあっ
ただろうか?記憶に無い。
『簡易メッセージに切り替わるよってな、電源も電波状態も問題ないんや。けど出よれへん』
「進藤に、喫緊の用が?」
『喫緊言うほどでも。けど耳入れといた方がええわな。大家からクレームや』
「クレーム?彼に伝えればいいのか?」
『何他人事みたいに構えとんねん。おたく毎日女連れ込んでヤリまくんの慎んで下さいって管理会社
からさっき電話来て、死にたい気分やでホンマ』
そっちには心当たりがありすぎる。確かに顔から火を噴くほど恥ずかしい。
ヒカルの声は元から高めで、快楽に溺れるともっとトーンが上がる。それを女性の嬌声と間違えられ
たなら不幸中の幸いかも知れないが、全く身に覚えのない社にしてみれば災難に変わりない。
「うわ……ごめん、本当にごめん」
隣室の住人とはこれまで顔を合わせた事がない。たまたまなのだろうが、今後はコンビニへの買い物
にすら神経を使う必要がある。後ろめたい事情で隠れ住んでいるのに、本末転倒になってしまうよう
では社の厚意を無にするに等しい。
『で、アイツちゃんと医者行っとるんかいな』
「医者……?え?」
社が知っていて、自分の知らない事がある。一緒にいる自分が知らないなんて、そんな馬鹿な。
『おまえ来てから行ってないみたいやな。ったく、その分やと薬も飲んでないな』
「医者って何の」
電話機を持つ手が、汗で不快にぬるつく。緊張で、口の中が乾く。
『はぁ?おまえマジで言うとんのか。決まっとるやろ、精神科や』
服薬しているところなど見ていない。一度も。薬袋など、どこにあった?知らない。
『最後に入院しとったとこから紹介で、こっち通院しとるはずやったのに』
「それも……キミが手配したのか?」
問う声が震えるのを抑えられない。それを訊いてどうなる?どうもならない。
『せや。東京離れてほとぼり冷まさんかって話になった時、医者どないしよ言われてな、ネットで色
々口コミやら調べて教えたった』
ヒカルの生活は無軌道で、無秩序で。食べ物には無頓着だし、酒も呑む。
服薬しているなら、飲酒は禁じられている可能性だってある。
ざっと音を立てて、アキラの頭から血が下がっていく。思考が凍りついたように停止しかける。
- 64 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/20(土) 00:20:52.04 ID:???
- 悲しいけど、これ『蓮』なのよね(おい
エロ大増量とは確かに言った、でもメイツのSAN値が減らないとは言ってないお(´・ω・`)
あれれーおかしいなーカラッとのーてんきなごじつだんのはずだったのにー(CV高山みなみ
>>61
それは○年放ったらかしの「ソープ十九路レポ」を完成させろとのお達しですかい旦那…orz
- 65 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/21(日) 03:31:43.00 ID:???
- 寒いので小学生のぷにヒカルたんがあっためてくれるって(;´Д`)ハァハァ
体温高くて気持ちいいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 66 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/21(日) 09:39:09.64 ID:???
- うお、久しぶりにのぞいたら次スレにうつってた
やっぱこのスレタイが一番落ち着くぜ
そして大量投下(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 67 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/21(日) 09:41:37.23 ID:???
- ついでに自分暫定保管庫の中の人なんですがテンプレにリンク貼ってくださりありがとうございます
保管庫更新しようと思ってるんだがパスワード忘れてしまって放置状態スマソ
- 68 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/21(日) 15:49:34.07 ID:???
- >>67
暫定保管庫たんお久でつ
パスワード忘れ、あるあるっすなあww月日経ってるとそんなもんだよ
輪舞曲たんが仕事忙しいみたいなので、ここ何ヶ月かは俺の投下ばっかなのが
にんともかんとも…復帰を待ち焦がれておりまつ
てなわけで俺で申し訳ないけど↓
- 69 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/21(日) 15:50:45.87 ID:???
- ヒカルが帰って来たのは、日が暮れた後だった。
服にも髪にも磯の匂いを染み付かせ、満面の笑顔で『釣果』を差し出して見せる。
「アハハ、面目ない。クッソさみー中、粘ったけどボーズだった」
「じゃあそれは?」
手に持った白いポリエチレンの袋には捌いてもらった魚が入っているようだが。
「実はさー、行ったのって海直結の超でっかい釣堀だったんだよね。入場料ボッタクリだけど、ボー
ズでも手ぶらで帰さない親切仕様。で、コレ一匹もらったから捌いてって頼んだんだ、タイ」
「……そう」
思わず知らず、声が沈んでしまう。ヒカルの楽しそうな話に乗れない。
「あれ。タイのお造り好きじゃなかった?」
訝しがられ、アキラは気を取り直そうと努めて笑顔を作った。
「ちょっと呆れてただけだよ。太公望気取りで偉そうに講釈ぶっておきながら、釣果がそれかって」
「言うと思った。想定済みですから残念無念ー」
小憎らしい表情で唇を尖らせるのが、年齢不相応に可愛らしいと思うのは贔屓目だろうか。
「お許しを貰えたんで、お皿買ってきたよ……用意しとくから、シャワー使えば?体冷えてるだろ」
「うん、そうする。あ、コレもね、よろしく」
魚の袋と一緒に、コンビニのレジ袋も渡される。ガラスがぶつかる音。覗くと、冷酒の小さなボトル
が二本入っていた。眉間に皺が寄るのが自分でも解る。
ヒカルは歩きながらダウンジャケットやらセーターやらを脱ぎ散らかし、寒い寒いと呟きながらユニ
ットバスの扉の向こうに消えた。
手渡された袋をキッチンのシンク脇に置く。晩酌の準備より、確認したくて堪らないものがアキラを
衝き動かした。
脱ぎ捨てた服と同じく、ぽんと投げ置かれたヒカル愛用のリュック。かつて病室の家宅捜索の際に中
身ごと押収されていたものだが、無事戻ってきた。断りなく開けるのは気が引けたものの、社との電
話の内容が背中を後押しした。探し物はふたつ、いや、みっつ。
携帯電話は、外側の大きめのポケットの中にあった。何故か、充電用ACアダプターと一緒に。二つ折
りの本体を開けると、ロックが掛かっている。履歴の確認は不可能だ。
リュック本体の内部はごちゃついていて、年季の入ったマグネット碁盤やらが整理もされずに放り込
まれている。病院で処方されたと思しき白い薬袋もそこだった。袋に印字された日付は一月七日。確
かに、アキラがここに来る前だ。一ヶ月近く経つのに、袋は丸々と太ったまま。
ヒカルはカード類をケースに分けてはいない。全部札入れにしまってある。ならば在処はリュックで
はない。乱雑に放置されたジーンズの尻ポケットから、目当ての物を抜き出す。まるで盗人のようだ、
と惨めな気分になる。
「……あった」
財布のカード入れの中、クレジットカードやポイントカードに紛れるように。角のへたれた紙製の診
察券。病院の住所はこの市内。間違いない。社に教えられて通っている所だ。
裏を見る。予約日時らしい日付と時刻。一月七日の次は……。
アキラは漁ったものを全て元に戻し、立ち上がって隣室に接した壁際のキッチンへと向かった。
- 70 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/21(日) 15:51:17.02 ID:???
- 「おー、醤油入れる小皿もそういや必要だったな。さっすが」
「醤油も山葵もなしで、どうやって刺身を食べる気でいたんだか」
キッチンには調味料すらなかった。小瓶でもヒカルが嫌がると思い、醤油は弁当用の小分けパックを
買った。山葵は仕方ない。チューブひとつくらい、いざとなれば捨てればいい。
(毒されてきたかな)
粗末にするなと躾けられてきたアキラには、まだ使える物を態々買っておきながら捨てる事に抵抗感
があるはずだった。それが、たった二十日そこらでこれだ。
ヒカルは早速、手酌でやっている。小さなグラスも、今日買ったものだ。
本当に、この部屋には何もなかった。
「食わねーのかよ」
箸が進んでいないのを指摘され、アキラは小さく笑って誤魔化した。
「そう言えば、今日は節分だったよね」
「今からでも豆買って豆まきするか?」
「柊鰯はもう用意できないな」
「あれさ、切らずに食う海苔巻き。こっちの風習だっけか?」
「そうらしいね。最近は全国区になったみたいだけど」
「色々足りねェな。おとなしく刺身食ってろってこった」
「……ハハ。だね」
追儺の真似事で、事態が全て好転するのなら。鰯の頭でも何でも揃えよう。けれど、現実はそう単純
明快には出来ていない。
アキラの右手が、向かいに座るヒカルの左手に躊躇いながら触れる。ヒカルが顔を上げ、アキラに視
線を向ける。
「ゴメン。実は、明日も朝から出かけるんだ。だから」
アキラの方から仕掛けるのも、ヒカルがしたがらないのも、この部屋で暮らすようになって初めてだ
った。名状しがたい感情に少しだけ顔が歪むのを、アキラは自覚する。
「病院だろ」
もっと、驚くか狼狽するかと想像していた。それに反して、ヒカルはあっさりと認めた。
「うん。明日、予約の日なんで行かなきゃ」
「薬を飲んでて、酒なんて駄目じゃないのか」
「もらってるけどさ、基本飲まない。それで様子見ていいって医者にも言われてる」
「嘘じゃない保証は」
「……何なら、病院までついて来いよ。じかに聞きゃいいだろ」
「どうして黙ってた、通院してた事」
「訊かれないことまでいちいち喋んなきゃなんないの?」
「薬もリュックに隠してて」
「もらって入れっぱだったんだ、隠してなんかない。つかおまえ、勝手に開けたのかよ」
「じゃあ携帯は?アダプターも一緒に入れておく必要が?」
「こっちが訊いてんだ、勝手に開けたのか!」
ヒカルの言葉に刺が出始める。もう、和やかに晩酌という空気ではなくなった。アキラが壊した。
- 71 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/21(日) 15:51:48.20 ID:???
- 「何故、社からの電話に出ない?」
「タイミングが合わなかっただけだ」
「ならどうして折り返さない?ボクがここに来てからずっとだそうじゃないか」
く、とヒカルが言葉に詰まる。痛い所を突かれたらしい。
「オレが出ねーから、おまえんとこ掛けたのかよアイツ」
「ああそうだ。キミのよがる声が大きいんで隣が迷惑してるって管理会社から苦情が来たってさ」
「……っ、あ」
ほろ酔いの頬に、更に赤みが差す。今すぐ食べてしまいたいほど美味そうに、アキラを誘っている。
「キミだかボクだかが女性を連れ込んで鳴かせてるって認識になってるみたいだね。良かったじゃな
いか、鳴き狂ってるのが男だとバレなくて」
ふい、とヒカルは顔を逸らす。流石にばつが悪いと見た。
「電話。電源は入ってるって、社は言ってた。でも、着信音もマナーのバイブも、ボクは聞いてない。
ここへ来てから、一度もだ。これだけ狭い部屋なんだ、リュックに入れてても聞こえないなんてはず
ない」
からくりは解っている。だが、何の理由でそんな事をしているのか、それが知りたい。
「どうして、着信音を消してるんだ。メールのまで」
ボリュームをゼロにしていれば、着信があっても聞こえない。バイブレーターを解除していれば、震
えもしない。どうしてそんな事を。
「ボクに聞かれたくない、知られたくない相手からの着信があるから?」
ヒカルは黙っている。無言である事が、則ち答えだ。
「社は巻き添えを食ったってわけか。一体、誰からの電話を隠してる」
「……ゴメン。ちゃんと説明する、でも、ちょっと、まだ……その、ゴメン」
話してもいいけれど、まだ心の準備が整っていない。そんな口振りに、アキラの頭が少し冷える。
こうやって問い詰めて傷つけたのは、ほんの少し前でしかない。その傷も癒えたかどうか判らないの
に、また同じ轍を踏もうとしている。
「いや……こっちこそ、済まない。無神経な事をしてしまった」
一旦引き下がりはしたが、胸中に巣食う黒々とした醜いものが消えた訳ではない。
彼に抱いている感情が愛なのか憎悪なのか、それともただの支配欲なのか。混沌として分かち難く感
ずる時がある。
睦み合って甘い時間を過ごしたいと思う一方で、意のままに弄んで絶望の淵に叩き込みたくも思う。
あれほど憎しみの炎を燃やしたあの少年と同類ではないかと己を蔑みながら、自分の出来なかった事
をやってのけたのに羨みを覚える部分も否定しきれない。
肉体を、精神を、人生そのものを縛り付けて。心に秘めた全てを暴き立て、ヒカルから自由を奪う。
頸動脈を切り裂き、温かな生き血を浴びるが如き禁断の。それは余りに甘美な誘惑。
だからああも、アキラはかの少年を憎んだ。
同族嫌悪に過ぎなかっただなんて。泣きたいくらい笑えてくる。
ヒカルが箸を置き、グラスの中身も残してローテーブルから離れた。
「もういいの?折角苦労して手に入れたのに」
「苦労なんて別に。残り食べちゃってよ、もう寝る」
- 72 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/21(日) 15:52:23.65 ID:???
- 太くて黒い恵方巻きを頬張るヒカルたんが書けず、無念至極なり…
エロは次回、たぶん、はい、でつ
- 73 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/22(月) 03:31:18.80 ID:???
- 若゛の太い恵方巻きを頬張るんですねわかりまつ(;´Д`)ハァハァ
- 74 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/22(月) 03:57:19.88 ID:???
- 就寝にはまだ早い時間にも拘らず、ヒカルはそう告げて窓際に畳んである布団を広げた。
布団はひと組しかない。毎晩、はみ出ないよう身を寄せ合って眠る。
今夜はどうにも、彼と密着して寝る気にはなれない。テーブルに残ったものをちびちび摘みながら、
夜明けを待とう。アキラはヒカルの残したグラスに唇をつけ、中身を少し流し込んだ。
寝息はなかなか聞こえて来ない。この時間では寝付くのに随分掛かるだろう。
ヒカルも察しているのか、いつまで経っても寝に来ないアキラを不審に思わないようだ。
一晩中まんじりともせず、由なき事にぐだぐだと悩む。
いつからこんなに苦しいのか。
いつまでこんなに苦しいのか。
いちいち勘繰る自分が悪い。
この期に及んで隠し事をする彼が悪い。
────ふと見れば、もうアキラを酔わせる狂い水はとうに尽きていた。
陽の光が窓越しに髪を暖める。瞼を開けると、ローテーブルの向こうに延べられていた布団が畳まれ
ているのが目に入った。もう出たのか、と寝起きのぼんやりした頭でアキラは部屋を見渡した。知ら
ぬ間に、テーブルに突っ伏して眠っていたようだ。肩にはヒカルが掛けたと思しき毛布。いつ掛けて
くれたのだろう。
暖房は昨夜からずっと付けっ放しだったのか、風の吹き出す音を耳障りに発している。
書き置きの類はない。行き先は昨日の時点ではっきりしているのだから当然か。
テーブルの上は片付いている。ここからシンクの中は覗けないが、ヒカルに洗い物を期待するのはや
めておいた方がいい。食器を移動させただけでも上等だ。
「何時……」
時計もない。時刻は専ら、アキラの携帯電話か若しくはPCに頼っている。
午前十時過ぎ。朝食には遅いし、昼食には早い。コーヒーでも飲みたいと思ったが、インスタントの
瓶すらヒカルは買おうとしないし、それ以前にカップがない。
コンビニで缶コーヒーを調達するほどの意欲も湧かず、冷蔵庫に何本かストックしてある水のボトル
で喉の渇きを誤魔化す。
昨夜の諍いが尾を引いていて、詰碁に取り組もうにも集中力が散漫だ。社からの有難い御注進のお陰
で、気晴らしに散歩と洒落込む事にも二の足を踏んでしまう。
アキラは窓の下の壁に立ててしまってあったノートPCをローテーブルに引っ張り出し、電源を入れた。
ネットを見ても碌な記事がないだろうし、精神衛生に悪いのは判りきっている。反面、怖いもの見た
さも少しはある。
世間の移り気を期待するものの、ネットではしつこく炎上する話題がいつまでも残る傾向にある。
────アキラが、思い立ってとあるキーワードで検索をかけたのは天啓だったのか、それとも悪魔
の入れ知恵だったのか。
昼過ぎに帰ったヒカルを、アキラは玄関上り口で立ち塞がるように迎えた。
「ただい……うぉ、びっくりさせんなよ。んなトコいて。昼メシまだだろ、食いに行こうぜ」
アキラはその腕を掴み、体を引き寄せて、驚いたように見開かれた鳶色の大きな瞳を見据えた。
- 75 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/22(月) 03:57:57.27 ID:???
- 「どうして一尾だけだったんだ?」
「え?なに言って」
「キミが昨日、朝から晩までいた海の釣堀。一日なら坊主でも二尾ついてくるはずだ」
「はい?おまえあんま喜んで食わなかったのに、今日んなって文句?」
ヒカルは詰問の意図に気付いていないようで、頓珍漢な返しをする。対して、アキラは釣堀の場所と
施設名を口に出し、確かに行ったと言質をとった上で『それ』を突きつけた。
「…………な」
サイトの案内ページが印刷されたA4用紙。PCに挿しっぱなしだったSDカードに入れ、コンビニで出力
して来た。隣人に会うと恥ずかしいのどうのは、アキラの頭から吹き飛んでいた。
「誰かにお裾分けでもしたか?そうじゃなきゃ丸一日いて持ち帰ったのが一尾って変だろ」
「んなケチく、」
「半日なら一尾だ。キミは釣堀に半日しかいなかった、違うか」
「いたさ、一日いたよ」
「嘘だな」
「ホントだって、おまえいちいち疑うのな。マジ怒るぞ」
「残りの半日、どこにいた」
「だから他にどこも行ってねーって、嘘なんかじゃない、んぅ」
噛みつくようなキスで、反論を封じる。たった一日空いただけで、こうも飢えるのか。ヒカルの事を
淫魔などと喩えられた義理ではない。彼の欺瞞を暴いた紙はもう不要、投げ捨てた。
華奢な顎を掴んで口を開かせ、舌で舐り廻す。ヒカルの右肩に引っ掛けただけのリュックが腕を滑り
三和土に落ちる。唇を塞いだまま、未だ細い体を壁に押し付けて前を開けたダウンジャケットの中に
手を入れ、荒々しく服の上からまさぐると、くぐもった呻きがアキラの口内にまで響く。
「……嘘だろう?」
興奮で口中に溢れた唾液を垂らしながら唇を離し、右耳のピアスを噛んで引っ張る。銀色のポストが
唾液に濡れ光ってピアスホールを動くさまは、肉棒の抽送を連想させる。
「ぁ、うそ、じゃ……な、あっ」
段差のある場所にいるふたりの頭の位置は、実際の身長以上に差が開いている。それがヒカルをより
小さく見せ、嗜虐心を唆る。
「社にまた迷惑をかけたくなければ、声を出すなよ」
「……っ、ふ、……、……」
効果は覿面。ヒカルは必死になって声を殺そうと頑張る。その分逃げ場を無くすのか、より敏感に体
が愛撫に反応する。靴を脱ぐのも許さず、アキラは上り口にヒカルを引き倒し、伸し掛かった。
プルオーバーと厚手のシャツ、アンダーにしているTシャツを纏めてたくし上げ、薄い胸を露出させる。
衣服に守られていた肌が急に外気に曝され、ヒカルが寒さに胴震いした。構わず、アキラは吸い付く。
「あ!」
びくり、とヒカルの上体がカーペットから一瞬浮き上がる。アキラの口から思わず、含み笑いが漏れ
る。
「さっき言ったばかりなのに、もう忘れたんだ。いいか、声を出すな」
ヒカルの目に涙が滲む。しかし、抵抗はない。好きなようにしていい、アキラはそう取った。
ぷっくりと膨らみ、愛撫を待ちわびて色を濃くした乳首の周囲を焦らすように舌先で撫でる。
- 76 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/22(月) 03:58:35.13 ID:???
- 靴を履いたままの足が、三和土を蹴る。声に出せないので、感じているのを全身で伝えるほかない。
どこをどうすればどんな風に悦ぶのか、知り尽くしたアキラの指が、唇が、舌が、歯が。小さく敏感
なその場所だけを執拗に責める。
「罰だ。ナカになんてあげないよ。ここだけで、何度でもイクといい」
耳孔に触れんばかりの零距離で囁いて、右手の人差し指と中指で乳頭を挟むようにして上下に乳輪を
擦りたてる。結わえていない前髪部分を振り乱し、ヒカルは喉まで出かかった嬌声を飲み込む。
指の腹で押し潰すように捏ね回すと、アキラという重石を乗せたにも拘らず腰が跳ねる。
「はっ、はぁっ、っ、は」
不規則に乱れた呼吸に、ほんの僅か声が混じる事もアキラは許さない。ならば、とヒカルはダウンジ
ャケットの左袖を噛もうとする。その腕をアキラが掴み、カーペットの上に押さえ付けた。右腕も同
じように顔の横に固定し、両手の指を全て絡めて握る。
「────……っ!」
もうこれで、ヒカルは手で口を塞ぐ事も袖を噛む事も出来ない。
「もしかして、ボクに教えられない例の誰かと電話してた?」
質問の返答を待たず、乳頭を尖らせた舌先で嬲る。びくびくと全身が小さな痙攣を起こす。
「早かったね。一回目」
「は……は……はぁ……は……」
ヒカルの声なき喘ぎに、涙の湿り気が混じる。この程度で、まだ解放などしない。
「いやらしいな。可愛いよ、とても」
乳頭にぎりぎり届かないよう、乳輪だけをくるりと舐める。指を絡めた両手に、ぐっと力が込もる。
「声、出せないとなると、出ちゃうまで責めたくなるよね」
舌の広い面積を使って乳首全体を何度も舐め上げる度、乳頭の尖りが舌にぷちっとした感触を伝える。
「進藤。半日のうちのどこかで、電話してたんだよね?」
「っふ……ふー……はぁ……、……っ!」
もう聞こえていない。また、達したようだ。アキラの手が強く握られる。
「別に電話自体を咎めたいわけじゃない。ボクは、騙されたのが気に入らないだけなんだ」
乳輪ごと歯で強めに挟み、先端に向かって扱き上げる。これだけでヒカルは三度目の頂点を迎えた。
がくがくと体の痙攣が大きくなる。
「まだ片方だけなのに。そんなで大丈夫?」
繋がれた手が、じっとりと汗で濡れている。剥き出しにされたヒカルの肌も汗ばんでいる。
長い睫には涙が溜まり、目尻から蟀谷へと雫が落ちる。
「イキっぱなしで触られるとキツイよね、わかるよ」
言葉と行為は裏腹。乳頭の中程をじわりと噛み、根本を強く噛み、乳首の芯を揺らすように乳輪ごと
噛みながら吸う。
「ッぁああぁ……!」
堪え切れず、ヒカルは尾を引く嬌声を上げた。握ったアキラの手の甲に、爪が立てられる。
「駄目じゃないか、こんな聞こえやすい場所で。お隣が聞いてる」
ヒカルは首を懸命に振り、涙をぼろぼろ零して我慢の限界を超えたと無言で訴える。
- 77 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/22(月) 03:59:44.94 ID:???
- 大体若゛先生がヒカルたん(;´Д`)ハァハァを拗らせて勝手に病んでいくんだな、本編も後日談も
書き始める前段階で構想が大幅に変わり、今、若゛のせいで絶賛軌道外れ中でつ
ラストは変わらない…本編も力技で予定通り着地させたし、大丈夫大丈夫あっはっは
予定してるプレイ一覧を書き出してみたら、案外ソフトなのばっかりだった件
メイツによるがっかりだよ!の大合唱が聞こえる(幻聴
>>73
いいや、俺の黒光りするごんぶとな恵方巻きですが何か?(;´Д`)ハァハァ
- 78 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/22(月) 17:26:50.72 ID:YP5li7ph
- ヒカルを攻め立てる上での若の特技エロは何?
- 79 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/23(火) 00:37:08.40 ID:???
- 挿入もしていないのに、興奮だけで息が上がる。抗われる、我慢を強いるのが刺激になっているのか。
胸を曝け出されただけで、ヒカルは服も靴も、ダウンジャケットすら脱いではいない。外から戻った、
そのままの姿で泣きながら喘いでいる。
「ぁ、ぁ、ぁ……っ」
手はどちらもヒカルの手を戒めているので、どうしても両方同時に愛撫は出来ない。片方ずつだけで
この乱れ様だ。今の状態で同時に責めたら。
試しに右手だけを解いて口で苛めていた方を指に替え、お留守になっていたもう片方を吸いたてる。
がくん、と体が大きく跳ね、半眼になってヒカルは意識を飛ばしてしまった。爪を立てるほど強く握
られていた手の力が緩む。
終わりにするつもりはない。失神したなら戻すだけ。頬をはたき、無理矢理覚醒させる。
「んぁあ……、あぁ、っ、あ」
「学習しないな。声が出てしまうまで責めるけど、キミは声を出しちゃ駄目なんだよ」
自制を強要するのは最早不可能らしい。脅しつけてもヒカルは声を抑えきれていなかった。それでも、
音量を最小限に絞る努力はしているようだ。また袖を噛もうとするので、もう一度しっかり指と指を
絡め、手を床に縫い付けてやった。
「ひっ、ぃっ、ぃひゃ、ふぁ……あぅぁ」
ヒカルの呂律が怪しい。手がまた塞がったため両方の乳首を一緒に責めるのは断念し、アキラは吸っ
ていた方に専念する事にした。抓ったり引っ掻いたりなど、他にも施してやりたかったが。住宅事情
を鑑みれば致し方なしだ。別に今回限りで出来なくなる訳でもあるまい。
「思えば、ヤツらも可哀想だね。下らない『契約』なんかのせいで、キミのここを愉しめなかっただ
なんて」
耳に入っていたとしても、まともに脳が処理できてはいないと踏んで、アキラは去年の傷口をこじ開
けるような話題を選ぶ。
医療関係者から足がつかないように、ヒカルの体表に痕跡が残るような行為は厳禁。あの少年と、彼
が依頼した陵辱者達との間で交わされた約定だった。
「キミも本音じゃ物足りなかったんじゃないか?これだけ狂える場所に触れてもらえなくて」
ヒカルが素面なら、とても聞かせられない。何を言っているんだ、やめろ、と良心がブレーキをかけ
ようとする。重い車輪は、一度動き出したら制動が困難。加速がついてしまえば舵すら効かない。
(学習しないのはボクだ)
またこうして、ヒカルに疑心暗鬼から来る憤懣をぶつけている。彼に何の落ち度が?
「んくぅ……!っあ、ゃあ、あ!」
彼を信じてやれないのか?
「やっとイヤだって言った、それが聞きたかったんだよ進藤」
信じろって?いつも曖昧な返事しか寄越さない、掴み所がないままの彼をどうやって?
「もっと噛んで欲しいよね?優しくされるよりずっと好きだよね?」
九年もかけて引き出せたのは、やはり持って回った言い方の『好き』だけ。
「ぁああ……っ!」
「もう天井?苦しい?……まだ噛まれ足りないだろ?イキ狂い続けろよ!ハハッ!」
キミがボクの真に欲しいものをくれないならば。ささやかな意趣返しをしたっていいだろう?
- 80 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/23(火) 00:37:40.47 ID:???
- 達したままの状態で乳首を口で責め続けられ、ヒカルはまた飛んでしまった。指を絡めていた手を解
き、ぐったりした体からアキラは腰を浮かした。
微かなアンモニア臭を鼻に感じる。見下ろせば、ジーンズを履いたままのヒカルの下半身が濡れて生
地の色を濃く変えている。
「はっ。漏らすほど良かったのか?いい眺めだよ」
靴を履いた足は狭い三和土に投げ出され、全身が与えられ過ぎた快楽で間断なく痙攣を続けている。
アキラは、ずっと前から窮屈だと自己主張してきた怒張をズボンから解放する。精を吐き出すまでに
そう時間も手数も掛からなかった。自分だって到達を我慢していたのだ。
「……っく、ぁあっ、はぁ」
白濁が、意識のないヒカルの顔や髪を汚す。ねばついた液体が半開きの瞼や唇の中にも入り込んだ。
飽き足らず、己の肉棒で擦り込むように塗りたくる。
それから踵を返し、ローテーブルに置いてあった携帯電話を取って戻った。
そこまでする気はなかった。ただ。確認したくなった。
ヒカルを磨り潰した少年のやった事を追体験して、自分が本当に同類なのかどうかを。
液晶画面に表示されたモニターを見ながら、距離と角度を調整する。
薄暗い玄関を一瞬眩しく灼いた閃光を浴びて、アキラは結論を出した。
(ベクトルが違うだけで、ボクは)
やはり同類だ、と。
汚れた顔の傍らに膝をつき、ヒカルの左手を取る。痕すら残っていない薬指を根本まで咥え、今一度
きつく歯を立てて噛み破る。力なく横たわった体が、びくりと震えた。
口中に広がる鉄臭さを味わいながら、アキラは呟いた。
「ずっとボクのものだよ、離さない」
その手を放り投げるように下ろし、部屋の奥へひとり戻ろうとする背中を小さな声が呼び止める。
「塔矢」
足は止めたが、いらえなどせぬ。
────────好きだよ。
聞くなり足音を殊更立てて戻り、アキラは無抵抗な恋人の脇腹を蹴った。
欲しかった一言のはずなのに。
どうしてだか無性に腹立たしかった。
どれだけ年月を経ても、変わらぬ心が欲しい。
そんなものはやれないと彼は言う。
瞬間の積み重ねが永遠になるならと一度は納得した。
なのにもう、こんなに足元が危うい。
監禁して拘束して全ての自由を奪えば、不安は消えて無くなるだろうか?
一度失いかけた恐怖が、ボクをおかしくさせる。
- 81 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/23(火) 00:38:15.03 ID:???
- 本編のラストでいい事言って〆たのに、色々台無しだな若゛先生…
ヒカルたんの痴態を提供してくれる点においては有り難いけど(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんの逆襲(プレイ的な)は、あるようなないような(;´Д`)ハァハァ
俺の書く若゛は基本不器用かつ情緒不安定な男なので、強いて言えばキレ芸と表裏一体の
言葉責めが得意分野wかもしれぬ…他の職人さんのは保管庫で読むと、テクニシャンもいれば
不器用系にお道具大好き系、果てはヒカルたんとセットで食われる系もいて
書く人の好みが出るなあといつも思いまつ
- 82 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/23(火) 01:53:28.95 ID:???
- ヒカルたんに顔射(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
最近書けてなくて申し訳ない、ちょっと忙しくてな
二月くらいには落ち着くはずなのでヒカルたんアンアンなやつを書くぜ(;´Д`)ハァハァ
盆たんのヒカルたん(;´Д`)ハァハァな小説が俺の栄養剤
- 83 名前:盆 :2014/12/23(火) 04:12:39.69 ID:???
- 輪舞曲たん仕事おつ
なんか輪舞曲たんから俺の元々の職種のかほりがする…
鬼納期とかデスマとか仕様変更とか追加とか本番稼働と並行で開発とか
出勤したら他社メンバーが一斉トンズラしてて現場から逃げそこねたとか
…くれぐれも無理して体壊すなよー俺みたいになるぞー
- 84 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/24(水) 13:16:04.66 ID:???
- ナイスミドルなベテラン棋士を次々咥え込み、後援会のおじさん達を魅惑の肉体と
円熟のテクで接待し、後進の若手に欲望のままガン掘りされてトロトロになる
そんなヒカルたん28歳はいいものだ…(*´Д`)ハァハァ
そして今夜の性なる六時間、ヒカルたんは俺にアヘらされるのさ(*´Д`)ハァハァ
- 85 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/24(水) 21:17:06.29 ID:???
- アヘ顔ダブルピースヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん?俺の隣で寝てるけど?
- 86 名前:性夜2014 :2014/12/24(水) 22:03:35.58 ID:???
- 12月24日の午後9時から翌25日の午前3時までの6時間は
1年間で最もセックスをする人の多い「性の6時間」です。
貴方の知り合いや友人であるヒカルたんももれなくセックスをしています。
普段はあどけない顔して世間話してる中学生ヒカルたんもセックスをしています。
貴方が片想いしているあの綺麗な未亡人ヒカルたんもセックスをしています。
貴方にもし年頃のヒカルたんがいて、いま家にいないのでしたら間違いなくセックスしてます。
貴方と別れたヒカルたんも貴方がヒカルたんにやってきたことを別の男にやられています。
貴方の将来の恋人や結婚するヒカルたんは、いま違う男のいちもつでヒィヒィ言っています。
貴男が憧れている28歳ヒカルたんも今宵はベッドであおおーっ!!と他の男性と一夜を共にしている
ことでしょう。
- 87 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/24(水) 22:56:12.62 ID:???
- ヒカルたんは俺とベッドで過ごしてるから、すまんなメイツ達よ
- 88 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/25(木) 00:12:39.81 ID:???
- >>87
そのビニール人形空気抜けてるよ
- 89 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/25(木) 02:07:09.00 ID:???
- >>88
本物だし!照れて喋らないだけだし!
- 90 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/25(木) 03:04:51.48 ID:???
- 陽が落ちて夜の帳が下り、また陽が昇って。新しい一日の始まりは清々しいものではなかった。
勝手に布団を占拠したアキラの傍に、ヒカルは来ようとせず。シャワーを浴びた後は暖房の設定温度
を上げてカーペットの上に転がり。掛布代わりの何もなく、眠ったのかどうかも定かではなしに夜を
明かした。のそのそと起き出したアキラに、酷い顔にも拘らずヒカルは柔らかな笑みを向けた。腫れ
た瞼に半ば隠れたどんよりした瞳、目の下の隈。
「やっぱ、朝イチでコーヒー飲める環境くらい作らなきゃダメか。ドリップとかそんな大層なんじゃ
なくて、インスタントの瓶でも」
どう受け答えしていいものか、アキラは困惑した。自分の勝手な不安をあんな風に叩きつけて、何故
何事も無かったように穏やかな笑顔を作って貰えるのかと。
「あ゛ー、ノドがヘン。エアコンの温度上げたのに加湿できなかったせいだな。冬場はこれだから。
おまえは大丈夫だった?」
「…………」
口を噤んだままのアキラに、ヒカルはちょっと苦笑するような表情を作った。
「……オレさ。いっつも説明ベタで、おまえを怒らせちゃうな」
弁解させて欲しいと何故ストレートに切り出さない。寝起きのせいも手伝って、アキラは仏頂面でヒ
カルを見ただけだった。
「朝から夕方まで海洋釣堀と海釣り公園にいたのはホントだよ。でもさ、釣堀は遅刻したんだオレ」
「遅刻?」
「うん。なんかそれゆーとバカにされそうでさ。そんで……あー」
「それで」
「十時半入場の半日ならいけるって。えー?七時半入場なのに七時に行かなかったらマジでアウトな
の?三時間も待つの?って粘ったんだけどさ、ムリだった。アハハ」
「そうそうどこでも得意のゴリ押しはきかないさ。キミは本当にクレーマー気質なんだから」
ぶう、とヒカルは膨れっ面を作る。
「どうせ七時半に行けば間に合うと高をくくって、ギリギリに行ったんじゃないのか」
「よくおわかりで」
「……ごめん。あんな……」
「いいよ。おまえが言ったこと、全部ハズレってわけじゃないし」
アキラは顔を上げる。ヒカルは困ったような笑みをもう一度口元に浮かべ、言葉を継いだ。
「電話待ちするためだったんだ。誘っても、釣りだったらおまえは一緒に来ないと思って」
「誰、って訊いちゃいけない、んだよね」
「今は……うん。悪いと思ってるけど」
「連絡は取れたのか」
「ん。朝、ぽっかり時間空いてる時に掛けてくれりゃいいのに、そうじゃないのな」
「電話は来なかった?」
「来たよ。これがまた、十時半過ぎって計ったみたいなタイミングで」
「でも、電話待ちのために行ったんだし、いいんじゃないのか」
「予定通り入場できてたらまあそうなんだけど。純粋な空き時間が出来るとゼータクになっちゃう」
「確かに、そうだな」
- 91 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/25(木) 03:05:22.88 ID:???
- 「片手間じゃあ釣れるわけもなし。で、結果が不名誉なボーズ」
「そんなに長い時間、電話を?」
「…………」
困ったような笑みのまま、ヒカルは首を小さく傾けた。布団に半身を起こしているアキラにいざり寄
り、手を取って自分の右胸に押し当てるようにする。
「ここ。おまえじゃなきゃあんなに感じない」
いきなり何を。言いたい事が読めない。胸に触れた手を軽く滑らせ、アキラはスウェットの上から当
て推量で軽く引っ掻く。ヒカルが小さく身動いだ。
「証明できるの?」
「手立てはないなぁ。だって、比較対象が自分しかいないから」
自分で扱くよりも扱いて貰った方が確かに気持ちいい。ヒカルの言を経験則に代入すればこうなる。
「他に比較対象を作ろうなんて」
「アハハしないしない。考えたこともない。怖い顔すんなって」
信用できない。キミには前科があるじゃないか。見ず知らずの男達を相手にイキまくって。
乳首はたまたま、比較できるデータがそいつらで取れなかっただけだ。違うか。
ヒカルがこうして寛容なところを見せるのは、後ろめたい事があるからだ。
また、深刻な何かを抱え込んでいる。
アキラには明かせない電話の相手と内容。情況証拠はそれで充分。
「進藤」
「ん?」
「昨日、ボクは全然だ。やっぱりキミのナカがいい」
「ここですると、また社が恥をかくんじゃなかったっけ?声ガマンすんのだって結構苦行だし」
これを『断る』の意だと解釈するほど、アキラは遠慮深くなかった。
「あ……あ、はぁ……あぁ……」
一糸纏わぬ姿に剥き、壁に凭れるよう立たせて、すんなり伸びた脚を爪先から内腿まで舐め上げる。
感じて筋肉が緊張すると、柔らかい内腿の表面に腱の形が浮き上がる。
「イヤ、ぁ、そこは、まだ、っ、あ」
アキラの舌が辿る先は、少しだけ勃ち上がった性器の向こう。垂れ下がった袋を含んで口内で転がす
と、ヒカルの膝ががくんと落ちかける。
全身にまだ残っている、所有欲の徴。中二日で消えるはずもない。
「どうした?今度はいくらでもいやらしい声出していいんだよ」
「ヤダ……だって、っ、廊下、あっ、すげー聞こえてっ」
市内のメインターミナル近郊に、その手のホテルが数軒あったのをヒカルが覚えていた。
この辺りの地理に短期間で精通するほど車であちこち行っているのか、と妙なところで感心した。
入店を断られるかと思ったが、従業員に会う事なくすんなり空き部屋を確保できた。念のため、カム
フラージュにヒカルは髪を解いていたので咎められなかったのだろうか。ラフでマニッシュな服装を
好む長身の女性に、繊細な顔立ちのヒカルは無理すれば見えなくもない。
「大丈夫、キミの感じてる声はそこらで聞こえてるのよりよっぽど可愛いから」
- 92 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/25(木) 03:05:54.98 ID:???
- 「そんな問題じゃ、ッあぁ!」
アキラよりも数段、ヒカルは面が割れる危険性が高い。隠れ住んでいるのがこんな事で露呈すれば、
目も当てられない事態になる。百も承知だ。
危険な綱渡りをしたい誘惑に勝てなかったのもある。バレたから何だ、彼は自分のものだと開き直る
気持ちも。
どこかで、破滅を望んでいるのだろうか。
ボクがヤツと同じ穴の狢だから?
「嫌がるキミはやっぱりそそるよ……前はもっと積極的ならって思ってたけど、いざそうなると結構
飽きが来るんだな」
「……はぁ……っ、天邪鬼……」
ヒカルはアキラの愛撫から逃れ、逆に腕を取ってベッドへ投げるように振り回した。不意打ちにアキ
ラは足を少し縺れさせ、背中からベッドに落ちる格好になった。広いダブルベッド。ここでゆったり
眠るのもいいか、と仮住まいの狭い布団に閉口しているアキラはちらりと思う。
ヒカルが伸し掛かってキスをしながら、アキラの履いているジーンズを脱がす。新たに買うとモノが
増える、とヒカルが嫌がって、結局はずっと社が提供した古着で我慢している。ヒカルにと用意した
ものだから、昔より体格差の開いた自分に合うサイズがあまり無いのではと最初のうち思ったが、案
外そうでもなかった。
「上、自分で脱げよ」
唇を離したヒカルに促され、ネル地のシャツとぴったりしたラインのセーターをもたくさと脱ぐ。寝
たままではやり難い。
裸の胸の真ん中に音を立ててひとつキスを落とし、馬乗りになったヒカルは碌に準備もせずアキラの
屹立を我が身に沈め始めた。
「待て、まだ」
避妊具を着けていない、と続く言葉がヒカルの唇に吸い取られる。
「いいじゃん、妊娠するわけじゃなし。それとも今更、シモの病気の心配?」
積極的なのは飽きると言われて気分を害したのだろうか。心なしか憮然とした表情で、ヒカルは腰を
ゆっくり落としていく。天邪鬼はお互い様だ、アキラは口に出さず呟く。
「後で辛いのはキミだぞ、だから」
「ぅ、そんなの余計な……っ、お世話、っ、く」
やはり痛いのだ。大して慣らしもしないで咥え込むから。眉を寄せ、呻きながら全てを収めきってヒ
カルが息をつく。
「全部欲しい。おまえの、カラになるまで全部……ナカにくれよ。なあ」
アキラの同意など待たずに腰をグラインドさせる。きつく締まった後孔を拡げるような動き。
「おまえ、昨日……足りなかったんだろ?オレに挿れたかったんだろ?そう言ったじゃん」
結合部分が、ぎちぎちと音を立てる。内部の粘膜が物欲しげに絡みつき、アキラを容赦なく追い上げ
る。
「んっ……はやく、出して。オレを、濡らして、っぁう」
不随意な痙攣ではなく意図的に緩急をつけ、ヒカルが徐々に上下動を大きくする。
「出して塔矢っ、はやく、くれよ……!」
- 93 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/25(木) 03:06:28.37 ID:???
- だんだんプレイ内容が変態臭くなって参りますた
男ふたりはお断りってラブホ、備品(重量のあるやつ)ドロ・盗撮カメラ設置を警戒
若゛「ヒャッハー!金目のモノ強奪だぜ!ハメ撮り盗撮高値で売るぜ!」
ヒカルたん「本日も大漁だぜヒャッハー!」
…もあるけど、やっぱり(お察し)な理由が一番でかいみたいでつ
なので、ヒカルたんのかわゆいカモフラが効いたのではなく、もとからおkなとこだったってオチ
聖夜なので、ヒカルたんを抱いて寝るぜ
>>89
やっぱ空気嫁じゃねーか!
- 94 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/25(木) 15:05:45.06 ID:???
- 怒涛の(;´Д`)ハァハァ供給乙!!!
- 95 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/25(木) 21:29:39.86 ID:???
- ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 96 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/26(金) 02:11:54.29 ID:???
- 今回投下分、どうもさくらが咲きそうな気配なので
投下が途中で切れてるくさい、あるいはこのレス以降全く投下されてなければ
避難所にあると思って頂けたら幸いでつ
- 97 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/26(金) 02:13:07.70 ID:???
- 「進藤痛い、そんなに焦るな……っ」
「痛い?ンだコラ、オレが泣いても突貫かましたくせに、自分にはゲロ甘かよ、っ」
締め付けがきつ過ぎて、快感よりも痛みに気を取られる。そのせいで到達が遅れ、ヒカルの不満を招
く悪循環に陥りかけていた。
いつの間にか、主導権が移ってしまっている。
「あ、っ、ん、あぁ、んぅあ、はや、くっ、はやく……!」
ヒカルの顎が仰け反り、腰がびくびくと痙攣する。先に到達され、唯でさえ痛いのにその上の締め付
けが襲いかかって、アキラは掴んだヒカルの腰に思わず爪を立てる。
去年までは、騎乗位で動いて貰うなど妄想の域でしかなかった。アキラの性欲解消に付き合ってやっ
ている、そんなスタンスでしか彼は行為に応じなかったから。
それがどうだ。この変わり様は。
痛かろうが何だろうがお構いなしで射精と無関係な絶頂を迎え、まだ腰を振りたてる。
アキラを置いて、ひとり勝手に快楽を追求する。
自分でなくとも、いや、生身の人間でなくとも、もう玩具で慰めればいいじゃないかとすら思う。
苦痛までをも脳内で快感に変換し、二重取りする化け物。
年月を掛けてそんな体にしたのは確かにアキラかも知れない。今、その報いを受けているのかも知れ
ない。それでも釈然としないものは残る。
「あぁはやくぅ、でないと、あぅ、んっ、またぁ!」
一度到達してしまうと、次以降のピークはすぐにやって来る。いつもと同じだ。アキラが精を吐き出
す度に遅れていくのと逆。
その一度がアキラにまだ来ないのに、ヒカルはインターバルが短くなるばかりのオーガズムに溺れて
いく。
「あっ、あっ、ぁはぁ、あっ、あー!」
ベッドについたヒカルの膝が浮いて痙攣を始める。到達したまま戻れなくなるのも時間の問題。
アキラの上で半ばトランス状態となって踊る体に、下から一撃を喰らわす。
「ひぃぁ!」
内部が蕩け、動き易くなったおかげでやっと要望に応えられそうだ。ヒカルの腰を押さえつけ、形の
良い臀部がひしゃげるほど結合部を密着させる。
「あァきて、きて、いッ、あっ、ぁあー……ッ……!」
肉茎が膨れ上がり、ヒカルの待ち望んだものを奥深くに満たす。だがこれで終わりにしては貰えない。
何せ、「睾丸が空になるまで欲しい」と仰せだ。
だがここで、ヒカルは動くのをやめた。疲れたのだろうか。
「えっ……進藤、なにを」
たまに上体を支える程度で、揺れるままになっていた腕が伸びてきて。両手がアキラの首にかかり、
軽く絞める真似事をする。
「はー……はぁ……あのさ。首、絞めると、下も、すんげー、締まるんだって」
「……どこで仕入れたんだ、そんな知識」
「だからさ……おまえ、やってみる気、ない?」
目眩がする。去年のあの日、壊れてしまった彼は。死の深淵を見て、そこにまで快楽を見出したのか。
- 98 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/26(金) 02:13:50.71 ID:???
- 死とオーガズムは薄紙一枚隔てただけの隣り合わせだと言われてはいる。だからと言って、そんな禍
々しいものに彼が魅入られただなんて。
「馬鹿なことを」
つい、吐き捨てるような口調になる。
く、と首に回った手に軽く力が入って、アキラの全身に緊張が走る。
「あ、すげ……ナカでピクってなった」
生存本能がそうさせるのか、アキラにはよく解らない。所謂疲れ魔羅とどう違うのか、区別すらつか
ない。
「やめてくれ」
それでヒカルはあっさり手を離してくれた。
「ん、ッ」
呻きながら大儀そうに腰を上げ、まだ硬さと大きさを充分以上に保った肉茎を抜く。
満足したようには見えない。どうするのだろう、とぼんやり思っていたら、視界が予想だにしないも
ので一杯になった。
「ぅわ、」
慣れたはずの臭気でも、いきなりでは吐き気を催しても仕方がない。それ以前に息ができない。
遠く、頭上からヒカルの声が降ってくるが、耳が太腿に挟まれて明瞭さを欠いている。
「窒息プレイってさ、首絞めるだけじゃないんだよね」
手でどかそうと無駄な試みをするが、どっかり落とされた腰はびくともしない。半ばパニックになっ
て、横に転ばせればいいのだと言う単純解すら導き出せない。
「舐めて」
そう言われても、ぎっちり密着されては口もまともに開けられない。少しでいい、隙間が欲しい。
酸欠の苦しさに足をじたばたさせていると、通じたのかヒカルは心もち腰を浮かせた。
「あぁ、ぁん……ぅう、ん」
すっかり柔らかくなった場所に舌を差し入れると、快感に喘ぐ声が上から聞こえる。
閉じきっていないそこからは出したばかりの白濁が漏れている。アキラは自分の精液を舐め取りなが
ら、擦られて感度の増した秘所を舌で愛撫し、熱を持って腫れた襞を唇で吸い上げる。
「あぁっ、は、塔矢イイ、イイよ、っ、ぁあぁもっと、はぁあ」
紡がれる嬌声はところどころ裏返り、震える。肉棒とは違う柔らかく濡れた感触に、酔っ払っている
のが顔に密着した部分の微妙な動きで見て取れる。
「んあぅ、くる、キちゃぅ、んぅふぁあぁ……」
早い。天井寸前なのは間違いない。やっと頭がまともに回りだしたアキラは、顔面に乗っかったヒカ
ルの体を横にとん、と突いた。バランスを崩した上体を腕で押さえつけ、それを支えに自分の体を起
こす。
荒い呼吸で上下する胸に唇を滑らせるだけで、もう痙攣しだしている。
「全部欲しいんだろ?たっぷり飲めばいい」
脚を持ち上げれば、手が肌に触れた刺激で体が跳ねる。
「キミが意地の悪いことをしてくれたおかげで、こちらには余力があるよ……イキっぱなし寸前だろ
うが容赦しない。お望みのまま、全部あげる」
- 99 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/26(金) 02:15:36.59 ID:???
- 若゛「こんにちは、ただの肉ディルドです」
ヒカルたん「番外で肉オナホにした人がなんか言ってるー(棒」
本編書いてる時にも思ったんだけどさ、俺ってスカ属性あるよね…orz
実際にやりたいと思った事ないよ、ホントだって(超力説
さくらが咲く基準がわからん…今回無事だったようでつ
でもって乙してくれるメイツに超感謝でつ
- 100 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/26(金) 11:50:45.18 ID:???
- ヒカルたんの肉ディルドになりたい
- 101 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/27(土) 14:23:34.09 ID:???
- うおおお乙乙乙!!!
こんな俺でよけりゃいくらでも乙するぜ!!
職人さんありがとう!
- 102 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/28(日) 04:28:23.83 ID:???
- 書けなかったので短くテスト、すまんでつ
- 103 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/28(日) 04:29:11.48 ID:???
- 皮肉のつもりだった。だのに、待ち草臥れた、歓迎するとでも言いたげな表情で。
ヒカルはちらりと白い歯を覗かせて笑う。
まんまと挑発され、アキラは肉付きの薄い体に全体重をかけて押し潰すように乗った。後孔が上を向
き、腰が浮いて脚がアキラの肩に担がれる形となる。そのまま、重力に逆らわず下方向へと自分の腰
を勢いで落とし、一気に貫いた。
「ぁひ……、────────ッ!」
一撃で、快感の天井にぶち当たったらしい。降りられない、インターバルもない、延々とピークが続
き、最早苦痛でしかない状態。声すらも出せなくなるほどの。
がくんがくんと何度も大きく跳ねる体を伸し掛かった上半身で押さえ、叩きつけるように激しい抜き
挿しを繰り返す。肉と肉のぶつかる音が、安い装飾の室内を満たす。
他には、ヒカルの引き攣れた悲鳴のような呼吸音と、アキラの呻きが混じる荒々しい呼吸音だけ。
肩に届きそうなほど伸びた髪に顔を埋め、誘うような匂いを放つ首を噛む。嬌声は上がらないが、そ
の身の全てでヒカルは反応を伝える。
内部は火傷しそうなほど熱く蕩けきり、肉棒をこれ以上なく美味そうに舐めしゃぶる。
苦痛を快楽として受け取れるのなら。過ぎた快楽が苦痛となった時、それもまた快楽として回収し、
享受できるのではないか。もしそうなら、よく出来た永久機関だ。まるで騙し絵。
彼を抱いていると、どんどん自分が醜く歪んでいくような気にさせられてしまう。
「まだ、っ、余裕だろ?イけよ、限界?嘘、吐くなよ!」
自分が凶暴になるのを制御できなくなる。あんなものを見たから。観てしまったから。
何度、記憶から消去しようとしても消えない。強烈に灼きつけられた所為で、脳そのものが変質した
かのように。
悍ましい内容に嘔吐しながら、一方で興奮しているのを認めたくなくて。綺麗事を述べ立てて汚い本
心を覆い隠そうとする。
────────あんな風に、進藤を甚振りたい。
(違う!)
「鳴けよ、ホラ!鳴けっ!鳴け!」
もう鳴けないのを知っていて、無理を強要する。独特の痺れが、放出の先触れとなって腰を震わせる。
「くぁ……、ぅ、はあ!」
ごり、と自分の骨盤が音を立てるほど上から圧力をかけ、先端を直腸が折れ曲がる突き当たりに届か
せようと肉棒を内部に押し込んで精を注ぎ込む。
その場所は今日、先端にキスをしようと迎えに来てくれない。ヒカルの精神状態に大きく左右される
ようで、達したかどうか、昇りつめて降りられなくなるまで責めたかどうかは関係ないらしい。
滅多に遭遇しないその現象が起きる時は決まって、ヒカルは多幸感に溢れた表情で穏やかに涙を零す
のだ。
ほぼ毎日、盛りのついた獣のように交わっていながら。あの幸せそうな顔を見たのはこれまでたった
の三度か四度。それも今年、この土地に来てからの事だ。
アキラは吐精の余韻を味わいながら短く息をつく。休んだりしない。休ませたりしない。
いつの間にか飛んでしまっていたヒカルの意識を戻すのに、頬を叩くのではなく乳首をきつく抓り上
げるのを選んだ。昨日散々噛んで、乳輪の周囲にまだ赤黒い歯型が残っている。
- 104 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/28(日) 04:30:17.56 ID:???
- アキラを咥え込んだままの秘所が、強い刺激にぎゅうっと締まる。
「……ぅ、ふぅ……ふぅ……」
「始める時さ、キミ、なんか面白い事言わなかった?妊娠の心配がどうだか」
視点が定まらずふらふら泳ぐ瞳が、ぼんやりとアキラの顔を捉える。
「そうだね。いっそ妊娠させるつもりで、てのもいいかもね。でさ」
無反応な表情に、アキラは少し苛立ちを覚えた。
「ボクはそんなもの望んじゃいないから、腹を殴ってすぐ流してしまおう」
何て事を。相手が女性なら洒落になっていない。本当に、感情も善悪も、箍が外れてしまっている。
口の端が吊り上がっているのが自分で判る。愉しくて愉しくて、笑っているのだ。
(キミに未来はない。ボクにはもっとない)
ヒカルの選択に従うなどと、どの口が言う。従うまでもない。
棋界復帰の可能性がないのは自分の方だ。何故なら。いつまでも謹慎が解けないのは。
「孕むほど欲しかったんだろ?丁度いいじゃないか……やるよ!」
同じ体位のまま、狂ったようにピストンを開始する。すぐに息が切れる。ヒカルは失神と覚醒を繰り
返し、もうアキラにしがみつく力さえないようだった。
「ぁふ、ぐぅ……!」
嬌声とも苦鳴ともつかぬ音を喉から漏らし、健気にアキラを締め付ける。
「壊れろ、壊れろ壊れろ、壊れろ……ッ!」
ヒカルがどう感じているかなど、最早関心事ではない。ただ壊したい。
自分が涙を流しているのにも気付かぬまま、アキラは呪詛にも似た言葉を吐きながらヒカルを穿ち続
けた。
彼の望み通り、打ち止めになるまで。
くたくたになって、手も足も言う事をきかない。腹を殴って注ぎ込んだものを出すと脅しつけたけれ
ど、実行に移す力など残っていない。どさり、と痙攣の止まないヒカルの体に倒れるように覆い被さ
るのが関の山だ。
こうして、彼に不安や不満、猜疑心の塊を獣欲に上乗せして暴力的になる頻度が上がっている気がす
る。いや、確実に上がっている。
不規則な呼吸音が、耳のすぐ側で聞こえる。恐らくは、横隔膜まで痙攣を起こしている所為だろう。
時折しゃっくりのように引き攣れ、小さく悲鳴のように喉を鳴らす。
いつものように、陰茎を刺激して終わらせてやれるような状態ではなかった。このまま、自然に降り
て来るのを待つのは、今の消耗しきったアキラにとっても必要な時間だった。
「……ごめん。キミは何も悪くなんて……ないのに」
謝罪など、失神している相手に幾らしたところでどうなる。
「詰ってくれていいんだ、愛想を尽かされたって当然だ」
ヒカルは詰りも、愛想を尽かしもしないだろう。そんな打算が言わせる科白。
汗に濡れて冷たくなり始めたヒカルの薄い肩を、アキラは掌でそっと撫でる。
萎えた己の分身は、いまだ彼の熱い襞に包まれている。そこは艶かしい蠕動を続けており、なおもア
キラから搾ろうとするかのようだった。
- 105 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/28(日) 04:31:05.89 ID:???
- やっぱさー、書いてる俺の性癖がモロ出しになるよね…
えっいや違う違う、俺はリアルではジェントルだからマジだから!
>>100
俺のヒカルたんに挿れるなど許さぬ阻止してくれようぞ
>>101
俺のヒカルたん(;´Д`)ハァハァを吐き出してるだけの小説に
乙してくれるとすげー嬉しくて一緒にヒカルたん(;´Д`)ハァハァしようぜ!ってなりまつ
- 106 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/28(日) 14:13:07.07 ID:???
- ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ!(;´Д`)ハァハァ!(;´Д`)ハァハァ!!!
- 107 名前:↑に対するヒカルたんのリアクション(妄想) :2014/12/28(日) 20:51:31.30 ID:???
- ・幼稚園児ヒカルたん→「ヘンなのがいる!ヘンなのがいる!キャハハハ!」
・小学校低学年ヒカルたん→「お、ヘンなのはっけん!えいっ!」
と防犯ブザーを躊躇なく鳴らし、メイツを晒し者にして喜ぶ
・小学校高学年ヒカルたん→(…やべ、コイツ近づいちゃいけないヤツだ)
と気持ち悪そうな顔で防犯ブザーを鳴らし、家へ猛ダッシュする
・院制試験本戦前までのヒカルたん→「ヤダ近寄んな、ハァハァすんなよぉ」
半泣きで家へ猛ダッシュする
・中2終わりまでのヒカルたん→「おまわりさーん、コイツ変質者でーす(大声で棒読み」
・未亡人ヒカルたん→メイツを煽りまくるような憂い含みの表情で華麗にスルー
・28歳ヒカルたん→「…なあ、なんかイヤなことでもあったのか?悪いこた言わない、
今からでも真っ当になろうぜ、な?」
うまくいけば一緒に飲みに行けるかもしれない可能性を匂わせる
- 108 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/28(日) 20:53:55.36 ID:???
- ヒカルたんが院制敷いてどうすんだw
○院生試験
- 109 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/28(日) 21:32:43.57 ID:???
- ヒカルたんと飲みに行ってあわよくばへべれけになったヒカルたんと(;´Д`)ハァハァしたい
- 110 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/29(月) 00:20:32.44 ID:???
- お、俺は小学校低学年の無邪気で残酷なヒカルたんに通報されたい(;´Д`)ハァハァ
- 111 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/29(月) 02:11:16.01 ID:???
- 俺は中2終わりまでヒカルたんに蔑んだ目で見られたい(;´Д`)ハァハァ
- 112 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/29(月) 10:07:07.71 ID:???
- 俺達メイツはヒカルたんに調教されきっているのだ…(;´Д`)ハァハァ
- 113 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/29(月) 21:02:03.01 ID:???
- ヒカルがどうにか動けるようになるまでには、夕刻を待たねばならなかった。まだ朝のうちからホテ
ルに入り、随分長い時間在室して、自分らは従業員に好き者客のレッテルを貼られていそうだ。
開けっ放しの手洗いのドア。その中から、嘔吐する音と苦しげな呻きがかれこれ数分以上続いている。
ふたりして朝食も摂らずに性欲優先で駆け込んだのだから、本来なら胃液以外に吐くものはない。
大丈夫か、と声を掛けるのが躊躇われる。ヒカルがこうなる原因を作っておいて心配面など図々しい。
と、開いていたドアが閉じられる。今度は下の処理だ。まだ、切れ切れにえずく声もする。
「う゛あ゛あ゛ぁ……づれ゛ぇ……じぬ゛ぅ……」
色気も糞もないぼやきがドア越しにアキラの耳に届いた。黙り込まずにこういった愚痴めいたものを
聞かせてくれるのは悪い傾向ではない。ほっと息をつく。
「進藤、帰りだけど、車どうする?」
返答はすぐ戻ってきた。
「あ゛ー?ム゛リ゛ィ、お゛ま゛え゛よ゛ろ゛じく゛ぅ」
「わかった」
この辺の地理と交通事情が飲み込めてきた頃から、時たまヒカルにステアリングを任せて貰えるよう
になっていた。別行動で車なしでは不便な場所に行く際、アキラが単独で乗って行く時もある。やけ
に高さのあるSRVのシートにもシフトレバーのマニュアル操作にもどうにか慣れた。
「シャワー、手を貸さなくて大丈夫か」
訊いたのは介助が要るなら服を着られないのと、どうせなら一緒に浴びれば手間が省けるからだ。
「いーよ別に、先使っといて」
口調が徐々にしっかりしてきた。アキラはバスルームに向かい、シャワーの温度を高めに調節して頭
から熱い湯を浴びた。
昨日今日と立て続けに、ヒカルを手酷く扱った。当のヒカルはさばさばしたもので、それが逆に薄気
味悪さを感じる。
熱すぎる湯が、肌に痛い。この程度で自分を罰したつもりなのか。アキラは情けなさに唇を噛んだ。
帰りの車内、助手席にぐったりと体を預けたヒカルは、アキラの運転に何の評価も下さなかった。普
段ならブレーキを踏むタイミングひとつにも煩く注文をつけるのに、サイドウィンドウに頭を凭せか
けておとなしくしている。道路から伝わる揺れが響くのか、微妙に顰めっ面だ。
「……なあ塔矢」
ぽつり、独り言のようにアキラを呼ぶ。危うく聞き逃すところだった。
「ん?体、辛いのか?もうそんなにかからず着くけど、どっか停めて吐く?」
体内で暴れ狂う肉の棍棒が内臓を滅多打ちにした影響が、まだ残っていると判じてアキラは訊いた。
「オレといるの、キツい?泣いてしまうほど……苦しい?」
暴力的な責めのさなか、混濁していたであろう意識下にあった彼に。
見られていたのか。自分の涙を。醜く笑いながら泣く顔を。
アキラは言葉に詰まってしまった。
「……東京へ、実家へ戻れって?」
「おまえが決めろよ。別にどうしろって強制なんかしないし、オレにそんな権利ない」
胸が、引き裂かれそうな痛みに声なき悲鳴を上げる。帰したくない、とここへ攫って来たのは誰だ。
- 114 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/29(月) 21:02:50.12 ID:???
- 「キミはどうなんだ、どうして欲しいんだ」
薄暮が夜の闇へと変わりゆく車外、沈みきる直前の赤みを増した陽光がヒカルの瞳に照り映える。
信号が赤から青に変わったことを後続車のクラクションに教えられるまで、その儚げな光の美しさに
アキラは見蕩れていた。
「どうして欲しいなんて。どうしたいって訊かれるならまだしも」
「じゃあ……どうしたいんだ」
「おまえを、連れて来た日のまんまだよ。変わんない」
でも、それがおまえにとって苦痛になってきてるなら。そうヒカルは結論をぼやかした。
「ゴメンな。オレがもっと早く動けてたら、今頃とっくに」
「親御さんの行動は正当なものだ。ボクが恨む筋合いも、キミが謝る必要もない」
「だからって、先生にあんな事までさせるかよ」
アキラは視界の左端に、ヒカルの眉が辛そうに歪められるを認める。
「ボクらの価値観だけで物事を見るのは、よくないと思う」
ここまで踏み込んだ話をするのは、アキラがこの地に来てから初めてだった。いや、欠片すら話題に
出なかった。お互い暗黙の了解として、口の端に上らせないよう注意を払っていた。
それが出てきてしまった、それもヒカルの口から。
もう潮時だと、一ヶ月弱に及ぶ仮初の蜜月は終わりなのだと。認めたくなかった。
「……オレはさ、おまえにメチャクチャされたいんだ」
「同情など、惨めになるだけだ。やめてくれ」
「わかってるんだ、おまえがアレに引きずられちゃってるの」
「なら尚更だ」
「オレもそうなんだって、想像したこともなかった?」
もう少しで赤信号で停車する前の車に追突するところだった。急ブレーキに、ふたりしてつんのめっ
た。この道路は一旦赤信号に引っかかると延々引っかかり続ける曰く付きだ。しかも、通勤帰りのマ
イカーでごった返す時間帯。のろのろとした流れに普段なら苛つく。
「経験しなかった頃になんて戻れない。フツーにしてる時でも、あれって思ったらなんかヤバイ方向
行ってんのが自分でわかる。おまえが昨日今日みたくガチで怒ってると……期待しちゃって疼く」
ステアリングを握る手が、かたかた震える。色々と綯い交ぜになった悪感情の奔流が、悪罵となって
口をつきそうになる。
自分ではない複数の男に犯された時の感覚を欲しがるのは裏切りだ。
そんな汚いものを自分に求めるな。
何よりも、暴力的な陵辱を自ら求めてしまう彼が……哀れだ。
「おまえので、ナカからいっぱい殴って欲しい。おまえので満たして欲しい」
「聞きたくない」
拒めば、彼を傷つける。でも自分の感情は殺せない。
ヒカルは右手を胸の辺りまで上げ、指でつぅっと下腹までなぞった。
「こっからこう……掻っ捌いて。左右にがっつり開いて。内臓の隅から隅まで、ぶっかけられたい」
「もうやめろ」
落日の最後の光が、ヒカルの艶然たる微笑を禍々しい紅に染め上げる。
またも後続車にクラクションで催促され、アキラは半ば呆けながら車を発進させようとしてノッキン
グを起こした。
- 115 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/29(月) 21:03:38.64 ID:???
- 若゛先生のSAN値がピンチに…
そしてヒカルたんの肉体がハードM方面へ引っ張られ…どう着地させんの俺
でもS役を若゛に強要するヒカルたんって精神的にドSだおね(;´Д`)ハァハァ
誰も半泣きで逃げるヒカルたんを捕まえてアレコレする選択をしないとは
メイツって紳士の集まりだなあ
- 116 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/31(水) 01:40:14.87 ID:???
- One for ヒカルたん
All for ヒカルたん
- 117 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/31(水) 01:41:19.56 ID:???
- 盆たんおつおつ!
だが俺はヒカルたんに鞭打たれたい愚かなメイツ…(;´Д`)ハァハァ
- 118 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/31(水) 05:46:39.98 ID:???
- ***
昨年十一月初旬。
予期せぬ訪問者は、身柄拘束の権限を有する法的な書類を携えてアキラの元へやって来た。
けたたましく玄関の引き戸を叩くのがいつまでも止まず、苦情のひとつでもと思って顔を出したら、
目の前にドラマでしか見ないような身分証と紙切れを突き付けられ、同行願うと紋切り型に告げられ
て手に枷を嵌められ車へ押し込まれた。誰が見ても判る、赤い回転灯のついた白黒塗装の車。
何を、と疑問に思う暇もなかった。
ドラマのよう、と言ってもさほど観ていた訳ではない。子供の頃、母が夜の空き時間に観ていたので
ちらりと目に入れた程度。あとは父の門下生からの又聞きくらい。
そんな曖昧な知識しか持たず、アキラはやけに近代的な建物へと連れて来られた。
内部も自分の持っていたイメージのような古く薄暗く黴臭い感じはなく、ごく普通のオフィスと変わ
らない印象を受けた。近年になって移転か建て替えでもしたのだろう。
聴取を担当する刑事から、ヒカルの両親が代理としてアキラを名指しで傷害の被害届を出したと聞か
された。遅いくらいだと思った。ただ、意外だったのは。
「え」
「えーとだね。要は、単独の件を逐一じゃ埒が明かないってんで、纏めて一件にしたと」
「纏めて、ですか」
「平成十七年以降の分は無条件で全部。それ以前はね、七年だったのよ傷害の時効。だからねぇ」
「……そう、ですか」
簡単に計算してみる。一つ一つ単独扱いでは、平成十四年の分が時効となってしまう。
だから、その分も含めて継続した事案としてしまえば、全てを包括的に罪に問うことが可能になる。
「親御さんは被害者本人じゃないからね。本末転倒だけど、ご本人にも話を聞かにゃならん」
「その必要は……彼は話ができる状態じゃない。私の犯した罪は届け出通り全て認めます」
「ま、ま、ま。早く解放されたいのはわかるけど、こっちもいい加減な内容の調書で検察持ってけな
いから……あとさ」
「あと?」
「被害者、おクスリ絡みの調べで自分が泥被るのお構いなしに黒幕庇い通したって実績の持ち主だか
ら。あんたに対してもおんなじなんじゃないかなー、って、懸念が拭えないわけよ」
「ここまで大っぴらになっているものを、隠したり庇ったりする理由がない」
「だといいけどねぇ……んじゃま、届け出の内容、合ってるかどうか今から答えてくれる?」
事実確認はところどころ齟齬があったものの、概ね間違いは無かった。時間の無駄だと思った。
「じゃあ、今度は動機ってヤツを聞かせてくれるかな。まずは直近のから。今年九月ね」
包み隠す気などさらさら起きない。彼が体に変調をきたすほど重大な隠し事をしていたから。彼を唯
一だと感じ、代わりなどいないのに、彼が自らを痛めつけ続けているのが耐えられなかったから。
執着と猜疑の果て、己を律する箍が弾け飛んでしまったから。
────彼の身になってなど、考える余裕を失ってしまっていたからだ。
- 119 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/31(水) 05:47:13.62 ID:???
- 「好きが嵩じてってヤツね、俺にゃ男の痴情のもつれなんざ理解できんけど。ああそうそう、被害者
に関連する件で、バッチリ証拠残ってるってんで見逃すわけにもいかないのを暴行で引っ張ったのよ。
したらさ、あんたと被害者の関係で気になる事言うわけ」
「証拠?」
「映像で垂れ流せばそら言い逃れもできねェやな。幾ら濡れ衣晴らすためとはいえ」
和谷か。あの生放送でヒカルに暴言を浴びせ、暴力とまではいかずとも確かに蹴るなどしていた。映
像という動かぬ証拠を呈示されれば否認もかなうまい。誰かが録画でもしていたのか。アキラは疎い
のでその辺の仕組みが理解出来ていない。
「それで、和谷君がどんな事を」
「最初に被害者と関係持ったのが平成十四年五月。さっき言ってくれた通りで間違いないよね」
「はい」
「痛くて泣き叫ぶのを無理強いした、てのも聞いたね」
「相違ありません」
性的なプライバシーを根掘り葉掘り訊かれるのは、やはり羞恥と苦痛を伴う。自分は構わない。けれ
どヒカルをこれ以上晒し者にしたくない。
「その和谷君曰く、無理強いが一年以上続いたって、ホントなの」
思わず閉じた口の両端がぐっと下がり、歪むのが判る。こじ開けて返事を絞り出すのに労力がいった。
「……はい」
刑事は右手のボールペンで頭を掻いて、ふう、と息をついた。
「あんたさ。向こうの親御さんに随分恨まれてるよ」
「それで当然だと思ってます」
「殊勝な態度が通じるかねぇ。示談には絶対応じない、起訴まで持ってって必ず罪人の烙印を押して
やる、なーんて、凄い剣幕だったそうで。届けを出しに来た弁護士が言ってた」
「先方の仰る通り、罪に応じた罰は受けるべきです。償いは必ずします」
「随分物わかりがいいけどさぁ、なら最初っから間違いなんかすんなって話だ」
刑事の正論に、返す言葉を失ってしまう。
間違いを間違いだと思わなかった。罪を罪だと思わなかった。償いなど頭の片隅にすらなかった。
その報いが今の状況。九年間積もり積もって、雪だるま式に利子まで膨らんで。
「いつだって、反省しても遅きに失している。進藤に関しては、一事が万事そんな調子で……謝ろう
と思っているうちに、次の過ちを犯す」
「これ重要なんだけどさ、痛いって泣いて、次は触らせもしないってならなかったの」
確かに、不思議に感じていた時期もあった。そのうちなし崩しになってしまったが。
「……いえ、その……ぁ」
アキラは刑事から目を逸らし、口篭った。恥ずかしげもなく言える人間がいたら拝んでみたいものだ
と胸中で呟く。
「不機嫌にはなりましたが、あの、次、と言いますか」
「迫ったら嫌がらずにヤらせてくれたって?そんでまた痛いって泣くの?」
「あ……はい、ええ」
ヒカルへの恋情がアキラの碁を曇らせてはならない。抱かせる事でそれが防げるならと、彼は身を投
げ与え続けてくれたのだ。碁打ちとしての性がそうさせた。
- 120 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/31(水) 05:47:50.83 ID:???
- 弁護士の手配が比較的迅速だったのと、すんなり何もかもを認めたお陰で勾留はどうにか免れ、留置
所に一泊でアキラは釈放となった。在宅事件に切り替わったため、書類送検の日取りは未定だ。
「あっちの父親も、息子本人から傷害で届けを出されれば文句など言えない立場です。そこを攻めれ
ば」
駆けつけてくれたのは、父の顧問弁護士が所長を務める法律事務所から派遣された人物だった。逮捕
の一報を聞きつけた緒方が手配してくれたと言う。
「いいえ。そのような弱みを突く真似はしたくありません」
「先方は民事でも争う構えでいます。示談も拒否しているし、唯々諾々では色々と不利になりますよ」
「それで構いません」
もうどうにでもなってしまえ。正直、投げ遣りだった。
ヒカルとふたり、揃って碁の世界に居場所を失うならそれでいい。
「起訴されて刑が確定となれば、執行猶予はつくでしょうが前科となるのは実刑と同じです」
「覚悟の上です」
覚悟など。ただ流されるまま、他人にこうと決められた咎を受け容れているだけのくせに。
「お父様の立場を危うくしても平気でいられると仰いますか」
中学を出る前から殆ど海外に出っぱなしの父を引き合いに出されても、心は余り痛まない。
「急いで帰国なさるそうです。どれだけ騒がれても風聞でしかなかったものが被害者側によって具体
化した以上、これまで同様のノーコメントは貫けまいと」
「……そうですか」
怒鳴られるだろうか。殴られるだろうか。一度も経験のない怒気に曝されるのは決定事項と言ってい
い。目をかけてくれていた分、失望もされる。
帰国した父は家に帰るいとまも無く関係各所を行脚しているようだった。顔を見ぬまま日は過ぎる。
父よりも先に、刑事がアキラの自宅に顔を出した。供述調書には既にサイン済みなのに何の用かと訝
しんだアキラに、三十代と思しき痩せぎすの刑事は教えてくれたのだった。
「俺の睨んだ通りになったよ。あんた、前科者にならずに済みそうだ」
「何故ですか。睨んだ通りって一体」
「被害者本人がね、親に被害届の取り下げを懇願したのさ。言ったろ、ありゃあんたも庇うかも知れ
んって」
「…………あ」
「事実関係を詰めに、被害者の入院先に行ったら丁度修羅場でさ。こりゃまた悪いタイミングに出く
わしたなぁと」
満身創痍で、身も心もズタズタになって。なおも碁打ちを守ろうとする精神力を振り絞れるのか。
「もういい……進藤、もう、いいのに」
喉が詰まって、声がうまく出ない。他人の前で、それも自分を取り調べた刑事の前で醜態を晒したく
はなかった。
「あんたの親父さんが土下座して謝ってるのを、お願いだからそんなことしないで下さいって親から
体張って庇ってたよ奴さん」
碁打ちの誰も彼もが、自分を居ないものとして扱っている。そんな錯覚に襲われそうだった。
- 121 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2014/12/31(水) 05:49:03.61 ID:???
- 本編で書いとけよ!的な内容で申し訳ないでつ
用語とかいろいろ間違っていても、「またかよ」なんて言わず生暖かい目で
スルーしてくれたら幸いでつ…orz
>>116
試合(隠語)が終わればノーサイド…ふぅ
>>117
乙ありがとでつ
鞭はやっぱ、先っぽが分かれてて細かいトゲがいっぱいついたのをヒカルたんに
振るって頂きたく(;´Д`)ハァハァ
- 122 名前:名無しさん@ピンキー :2014/12/31(水) 19:23:48.26 ID:???
- 今年も終わりがいよいよ近づいて来たぜ
小説倉庫で煩悩の数だけ突かれまくるヒカルたんと
姫始めヒカルたんを補給する時期である(;´Д`)ハァハァ
念入りに予習(;´Д`)ハァハァ した後、
俺はヒカルたんと激しく年越しエチーをするのさ(;´Д`)ハァハァ
ああごめんヒカルたんがもう挿れてって早くもおねだり始めたんでこれで
- 123 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/01(木) 01:17:08.20 ID:???
- ヒカルたん姫始めだよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 124 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/01(木) 04:17:42.81 ID:???
- ヒカルたん、あけましておめでとう
今年もヒカルたん(;´Д`)ハァハァしまくるぜ!
- 125 名前: 【末吉】 【1957円】 :2015/01/01(木) 18:21:35.49 ID:???
- あけおめメイツ諸君
いやぁ除夜の鐘からの姫始めでヒカルたんがもっともっとって凄くてさ
魅惑の肉壷乾く暇なしってなもんで腰が保たないぜ(;´Д`)ハァハァ
再戦はおせち食って休憩してからねヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 126 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/02(金) 05:10:43.08 ID:???
- ヒカルたんと楽しい楽しい姫始め(;´Д`)ハァハァ
- 127 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/02(金) 19:24:04.39 ID:???
- (;´Д`)ハァハァスレができて何度目の姫始めかなヒカルたん
時の流れは速いねヒカルたん…
- 128 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/03(土) 18:12:04.04 ID:???
- 休みが明日までということに動揺を隠せないよヒカルたん…
- 129 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/03(土) 21:16:45.72 ID:???
- ____,....
,. ‐';ニ"´ニイ:i!:、ヽ:.:`ヽ、_
/.:///:.イ:.|:|:|i:.:ヽ:.、ヽ:、ヽ、
:.:/:/./://:|:.:|:!:|:|i:.:.:゙,:.:.:.リ:.ヽ\
./:.:/:/:.:.//ハ:.:i:.:l:.:.i:.:.:i:.ヽ`:|:!:.:ヽヽ
:.:/.:/:.:./:.l!::.:.ハ:.V:.;、:i:.:.|:.:.ヽ|:.i:.i:.:.',:.゙:,
/l!:/.:.:/|!.|:.:./ハ:',:|:ヽ:、|!:.:.:.ハ:.||:.',:.i:、:',
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
:|l.|:.:.:.:|!.:|:.//¬i:.{‐、.:|.ト、:l:|、:.!:.:.i:ヽ|:.|:|
i:.:| |:.:.|l:.:.l/ィ示ヽミ !.メ| 〉ヽ!:|_!:.|:i.:N:.|
:.:.l!:l、.:.:l、:l`ヽ::ノ_, ' リ |i |.,.ィl、.|::!||:.メ:リ
、:.l!.N、:い!. !く:::ソ } |:.:|/:/
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:::::::!:i! !i!::i!:i. 、____ /i::::::!::!i!:!i!
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- 130 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/03(土) 23:04:24.20 ID:???
- >>129
許さんぞ若゛ちくしょうめ!
- 131 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/06(火) 04:10:18.22 ID:???
- ヒカルたんと交わりたい
- 132 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/07(水) 05:31:49.24 ID:???
- あけおめでつ、新年投下一発目でつ↓
>>131
阻止である!
- 133 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/07(水) 05:33:14.62 ID:???
- ***
実際に聴取に当たった先輩に、一筋縄ではいかない人物だと有難い助言を頂いてはいた。
しかしながら、今の彼にそんな気概などあるだろうかと疑問だった。
不特定多数が観ている中、精神的に追い込まれた挙句に絶望して死を選んだ人間など、逆の意味で供
述が取れるかどうか怪しいものだ。
覚醒剤の一件から彼についている弁護士にお伺いを立て、事情を訊いても構わないとお許しが出たの
は半月以上も過ぎてからだった。許可された事自体が驚きだった。
(生ける屍に話を聞いたところでなァ……)
無駄だと思うと、病院に向かう足取りも自然、重いものになる。
病室の番号は事前に弁護士から知らされている。受付で教えて貰う必要はなかった。野次馬対策のし
っかりした病院らしく、当該病室にネームプレートは掲げられていなかった。
室内から剣呑な口論の声が洩れ聞こえている。割り込んでいいものか、刑事はノックする手を止めた。
よくよく耳を澄ませば、激しているのは片側だけで、受けている方は冷静な口調だ。
立ち聞きは趣味が悪いと自嘲しながら、入室のタイミングを図るため会話に耳をそばだてる。
まくし立てていた女の声が、次第に冷静な相手の論調に圧されていく。
『ゴメン。全部、オレが招いたことなんだ……アイツの顔なんか見たくないのは解る。先生をこうや
って責めたいのも解る。けど』
『けど何なの!』
『アイツの碁打ちとしての未来を、オレのせいで断ち切りたくはない』
『届けを取り下げろと言いたいのね?あんた、親より』
『うん。強い碁打ちの未来を守る方を選ぶよ……使えるならどんな手段でも使う。ゴメンよ』
奇妙な話だ。親が被害者の代理で警察に届けを出した。当の被害者はそれを取り下げろと迫っている。
本人の正常な判断力が喪失している時に、相談もなく勝手に届けたのか。だとしても、これだけ達者
に喋れるようになったのなら、本人が直接取り下げればいいだけだ。何故、変にややこしくなってい
るのか。
(不孝者としちゃ負い目もある。親の顔も立てなきゃならん、てとこか)
碁打ち、という言葉が強調されているのは、庇う相手にそれ以外の意味はないと予防線を張っている
ように聞こえる。穿ち過ぎだろうか。
『もう遅いわよ。あんたが潰されたのと同じように、あの子も世論に潰されてしまえばいい』
そうだ。ふたりの関係が表立った時点で、もう詰んでいる。日本棋院も仏の顔は出来ぬだろう。
『潰れたオレにでも、まだできることはあるさ』
一体、どんな起死回生の手を使う気なのか。仕事とは別に、個人的な興味が湧いた。
敗戦寸前の崖っ淵で粘りに粘るのを得意とするのは、碁に限った話ではない。それは先輩が聴取の際
に実感したとしみじみ語っていた事だ。死体に不毛な語りかけをするのを覚悟していた身としては、
不謹慎ながら楽しい展開になったと内心小躍りした。
流石に、そろそろ仕事に掛からねばならない。聞き耳を立てるのに結構な時間を食った。
刑事はドアを強めにノックし、返事を待たず入室した。
「お取り込み中、大変恐縮です。アポありますから警戒しないで下さいよ」
- 134 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/07(水) 05:34:07.13 ID:???
- 場が静まり返る。ベッドを挟んで奥、窓側に中年の夫婦と思しき男女、少し離れてスーツの男性。そ
の反対、刑事のいる側に、床に正座した初老の男性と、その傍に立つパジャマ姿の青年。
「……ああ、岸本弁護士から聞いてます。わざわざご足労下さいまして」
静寂を破ったのは、青年の柔らかい声だった。
「いえいえ。予想してたより随分お元気そうで、こっちも安心してお話が伺えます」
進藤ヒカルは小さく肩を竦めて苦笑するような表情を一瞬だけ作り、すぐに消した。傍らに蹲るよう
に正座する男性の肩に手を置き、顔を寄せて言葉をかけた。
「塔矢先生。これから事情聴取ですので、今日はもう。ご帰国なさってからろくに休んでいらっしゃ
らないでしょう?心臓に持病もおありだし、無理はくれぐれも」
かつて日本における最強のプロ棋士として名を馳せた男は、重い動作で腰を上げた。立ち上がると、
その上背は青年を見下ろすほどあった。年齢の割にがっしりした体躯と少し厳つい印象の顔立ちには
本来なら気迫や威厳が備わっているのだろう。だが、今そこにあるのは、疲れた表情だけだった。
「進藤君。あれのために骨折りしてくれるのは有難いが、気持ちだけでいい。ご両親を悲しませ、己
を粗末にするような手段を取るつもりでいるなら、やめて欲しい」
図星を突かれたのか、進藤の返答が少し遅れる。
「……お言葉には、添いかねます」
決して大きくはないが、強い意志の篭った声音だった。
人払いが済むまで、結構な時間を要した。我が子の言葉に取り乱した母親が退室を拒んだからだった。
届けを出しに来た時に刑事と顔見知りとなった弁護士が取りなして、どうにか出て貰えた。
「済みません、見苦しいところを」
「お気になさらず。あんたも二重三重に聴取ばっかで、いい加減うんざりでしょ」
自身の覚醒剤疑惑。少年主犯による数々の事案。ネットの生配信を企てた青年による暴行。加えてこ
れだ。おちおち心神耗弱にもなっていられまい。
「いえ。クスリは濡れ衣だって検査ではっきりしたし、他は大して」
刑事は勧められた丸椅子に腰を下ろす。進藤はベッドに入り直して半身を起こした状態で聴取に応じ
た。窶れてはいたが、その顔は穏やかだ。
「クスリの件であんたを担当した俺の先輩がさ、前に行った時にはこりゃもう廃人だなァなんつって
たけど。半月そこらでえらい回復ぶりじゃないの」
「ひっでェ。『七割方あんたのドSな取り調べのせいだ』って伝言お願いしますよ」
冗談めかして笑う声にも、陰湿さや捩じ曲がった皮肉めいたものは混じっていない。
「……ま、たっぷり鎮静剤やら何やらブチ込まれましたからね。今尿検査したら、モロ陽性出るよ」
「根に持つねェ。結果、逮捕には至らなかったんだからカンベンしてよ」
「弁護士が間に合わなかったらアウトですよ、ったく。濡れ衣で誤認逮捕とか最悪じゃん」
投薬治療のおかげでここまでの回復をみたようだ。目覚ましいと言ってもいいだろう。
「で?あいつ、しおらしく『全部ボクが悪いんです、償います』ってほざいたんでしょどーせ」
あたかも、その場にいたかのようだ。作られた表情の深刻さや声真似までそのまんまだ。小学生の頃
から互いをよく知っているだけの事はある。
「お察しの通り。そんでさ、あんた今回はどんな口車で奴さんを庇うんだい?」
- 135 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/07(水) 05:34:41.06 ID:???
- 「は?」
「クスリの件みたいにはいかないぜ?何せ、本人の自白は勿論、医者の所見ってぇ情況証拠がある。
合意の上ってのはちと苦しいと思うがね」
「……先輩の刑事さんに、何聞いてきたんですか。オレ、都合の悪いことにはダンマリ決め込んだけ
ど、嘘は一切言ってないですよ」
嘘吐き呼ばわりされたと感じたのか、進藤は些か気分を害したように眉を顰めた。
「ああごめんよ。いやね、一発逆転ホームランを狙うなら、合意、いや、もっと」
「オレが誘惑したことにすれば?」
顎を引き、大きな瞳で上目遣いにして睨んでくる。獲物を狙う猛禽さながらの迫力に、刑事はまあま
あと手を上げて失言を引っ込めた。
「バレちったことに対してあれこれ工作するような真似はしねーって。アイツも望まないだろうし」
想像していたより、ドライな関係だったのだろうか。それとも、全てが露見したあの生配信での遣り
取りで、愛情が冷めでもしたのだろうか。
「オレにできたのは隠すくらいで、それが見つかっちまったらしょーがねェわな」
口調がだんだん砕けてきている。畏まった物言いはもともと苦手なのかも知れない。被疑者とは正反
対の印象だ。あちらは品行方正を絵に描いたような優等生タイプだった。
「じゃあどうやって庇うね」
「庇うって何すかそれ。庇いようがないじゃん……ただ」
「ただ?」
「アイツがキレちゃった理由を補足するくらいならできるかな、って」
オレにはずっと、アイツに言えないで隠してきた事がありました。
違うな、うまく説明できないから、できるくらいのボキャブラリーが身についたらちゃんと話そう、
って考えてました。その日が必ず来るって保証は自分じゃムリ。だから、曖昧に『いつか話すかもし
れない』って誤魔化してました。
それが絡んでる事だったから、オレが体調崩してアイツが心配してくれても何も喋れなかった。向こ
うがもどかしかったように、オレももどかしかった。そんなのが積み重なって、ほんの些細なすれ違
いがアイツを爆発させてしまった。パンパンに膨らんだ風船に、針の先ちょこっと当てたのと一緒。
独りで耐えてた?そんないいもんじゃないですよ。言うに言えなかった、自分がボキャ貧なせいで。
だから、オレが自分で招いた事態なんです。どれもこれも。
オレのせいで、アイツは碁打ちとしての将来を失おうとしてる。オレが縋り付いたから。弱かったか
ら。独りじゃどこにも進めなかったから。真っ暗な闇の中、前後左右、上下の感覚すらなくて、目印
になる灯りがないと一歩も踏み出せなかったから。
「どこにも進めない、ってのは……十五歳の、最初に被疑者と関係した時期?」
「正確には、もっと前ですよ。師匠を突然失って、何を頼りにしていいかわからずフラフラして、ア
イツの背中を追うと決めたことでどうにか自分を保ってた」
「それは碁打ちとして?」
「ええ。だからアイツには、常に前を向いてガンガン進んでって欲しかった。オレが追い抜いたら、
速攻で抜き返して欲しかったんだ。オレなんかに目もくれないで」
- 136 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/07(水) 05:35:31.53 ID:???
- 改めましてあけおめでつ
年越しとか姫始めとかスレが楽しそうでヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんがアヘアヘするとこを早く書きたいと思いつつ、恒例の誰得パートを
書いている俺…そして久々の時系列スイッチバック(今回やらないと思ってたのに!)
この後日談、若゛先生が暗黒面にフォールダウンしてく話になってしまって俺「あるぇ?」
自動的にヒカルたんがまたも酷い目に遭って…俺「あるぇ?」
エロはあるよ、うん、これから結構盛りだくさん…
(本編のリンカーンよりはマシってレベルのやつばっかり)
- 137 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/07(水) 23:35:54.14 ID:???
- 盆たんあけおめでつ
えろえろなヒカルたん楽しみにしてる(;´Д`)ハァハァ
- 138 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/09(金) 04:46:42.18 ID:???
- ***
────────アイツが前じゃなくオレを見てるって知った時、最初は戸惑って、次に嬉しくて。
けどすぐに、怖くて堪らなくなった。
アイツが向いてる方を前だと信じて全力で突っ走ってきたのに、こっち向かれたらオレの足はどこ向
いていいのかわからない。ふたりで止まってしまうのが怖ろしくて、ただ怖ろしくて。
アイツはひとつの事に打ち込む集中力がケタ外れに凄い。それが分散してしまったらと思うと。
違う。その集中が、碁よりもオレに傾いてしまったらって。自惚れだって笑われそうだけど。でも、
初めてアイツに公式手合で勝った時、オレん中にこみあげたのは……喜びよりも恐怖だった。オレの
せいで碁にならなかったんじゃないか、これからもそうなんじゃないかって。
その下らない恐怖心が九年分も折り重なって、全てをぶち壊した。
もっと、アイツを信用してれば。こんなことにはならなかったんですよ、刑事さん。
塔矢邸を訪った刑事から話を聞かされて、もう三ヶ月近くになる。
刑事の読み通り、アキラの起訴は見送られた。深い反省と償いの意志が認められる事、及び被害者で
あるヒカル本人が語った、犯行に至るまでの双方の心理的な推移を汲んでのものだった。
もう一点、示談の成立が起訴猶予への高いハードルとなっていたが、アキラの弁護士が対抗策として
挙げていた『弱点』を突くやり方を、手段こそ違えヒカルが採った。カウンターとして、自分の父親
に対し傷害で被害届を出すと、なかば脅したのだ。怪我でいえばこちらが上なのだから、こちらも訴
えねば筋が通らないと。
それは、親との断絶すら意味しかねない決断だったはずだ。
彼は自分を選んでくれた、と、それでも手放しで喜べなかったのは。
(進藤が救おうとしてくれたのは……ボクの、碁打ちとしての未来)
この期に及んで、まだ「前を向け、自分を見るな」と叱咤されているように感じてしまったからだ。
(でも無駄に終わる。結局、ボクは)
起訴猶予が決まって暫くの後、緒方が自宅を訪れて棋院内部の動向を教えてくれた。
『前科とまではいかずとも、前歴はついてしまった。これを区別して考える一般人はいないだろうと
上の年寄り連中は考えてるようだ』
謂れ無き濡れ衣で何の罪もないと判ったヒカルはともかく、実際にやらかしたアキラに対する棋院内
部の目は厳しい。
母を台湾に置いたまま緊急帰国した父は、結局アキラと顔を合わさぬまま日本を後にした。棋院では
息子の復帰に関する根回しを一切しなかったと聞く。
全ては伝聞。何もかもが、アキラの頭越しに素通りしてゆく。現実感が喪失してゆく。
そんな中、様子はどうだと電話をくれた社からヒカルの今の居処を聞かされ、伝聞では得られぬもの
に飢えていたアキラは心の欲するまま動いたのだ。
なのに、毎日のようにヒカルの肌を貪り、彼と肉体で深く繋がってなお。
重要な情報が自分の頭越しに飛び交う不安感と不快感が、アキラに纏わり付いて離れない。
- 139 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/09(金) 04:47:20.31 ID:???
- ただの被害妄想だろうか。腫れ物に触るような扱いを受けていると感じるのは。
父も、父の門下の人間も。誰も彼も。
ヒカルですらも。
触れさせてはいけないかのようにアキラから情報を遮断している。
それがアキラの苛立ちを掻き立て続ける。
「はっ……はぁ……んぁ……っは……、ね、今日は……なんかフツーだったけど……どしたの」
すっかり抵抗感もなくなったラブホテルのベッドで、快楽の余韻に浸りきっているヒカルが疑問をぶ
つけてきた。軽く開いた珊瑚の唇に小さくキスをして、アキラはまだ終わっていないと告げた。
「やっぱねー。おまえ、その荷物。アヤシーと睨んでたんだよ。なに持ってきた?」
「当ててみれば?」
アキラはノートPCが入るくらいの手提げ紙袋を持ち込んでいた。
「うん?時期的にアレだろ?ゴテゴテのラッピングはチョコ。ヘンな気分になるもんでも入ってんの
かよ?」
半分当たりだ。バレンタイン商戦でコーナーができていたスーパーで購入した。ごく普通の商品で、
催淫剤の類は含まれていない。
「つか、いくらオレでもこんな食わねーし。腐るもんじゃないからいーけどさ」
ヒカルの指摘はもっともだった。会社で女子社員がばら撒く義理チョコよろしく、袋の中には幾つも
の包みがある。
必要なのは中身ではない。綺麗に飾られた外装、それもほんの一部。アキラは袋からチョコの小さな
包みをひとつ出し、巾着状に纏めていた金糸をするりと解いた。もうひとつ、同じ包みを出して、そ
れからも金糸を外す。その意図にヒカルは感づいたらしい。くすくす笑いだす。
「おまえさー、どんなカオしてレジ並んだんだよ。男が山ほど買って、店員ドン引きしてなかったか?」
「別に。いちいち気にしてたら何も買えないよ」
「ヘンなとこで図太くなっちゃってまあ。んで?オレを綺麗にラッピングして、おまえが食うんだな」
質問ではなく確認だった。
「ンっ」
何度も達した後で感度の増した乳首をきゅっと摘み上げられ、ヒカルは肩を揺らす。
「オイオイ、まさか……ねぇ?ア、アハハ」
「そっち。自分で持ってて」
「えー?マジすか。いやまあ、そうおっしゃるなら……ぁン」
しゅる、と擦れた金糸の感覚に、ヒカルの声が上擦る。
「じっとしてて。もっと引っ張りあげてて」
固く勃起しているとはいえ、小さな乳首はぐっと持ち上げて乳輪まで縛らないと金糸で飾るのは難し
かった。
「ふぁ、ぁ、もげそ……つか、ァ、キそう」
冗談ではないようだ。萎えた状態で蜜を零している陰茎が、ぴくぴくと小さく動いている。
「縛られてイキそう?全部結び終えるまで何度イクか、見ものだな」
囁きついでに耳孔を舌で舐れば、熱と湿度の上がった吐息が小さな嬌声とともに漏れる。
- 140 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/09(金) 04:48:51.96 ID:???
- やっと時間軸が戻ってきたでつ、そんで俺待望のエロが書ける書けるぞーエロが書けるぞー♪
次はヒカルたんラッピングの続きをだな(;´Д`)ハァハァ
>>137
あけおめでつ、今年もヒカルたん(;´Д`)ハァハァな一年にしような
- 141 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/10(土) 11:04:00.39 ID:???
- ラッピングヒカルたんいただきます(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 142 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/11(日) 03:21:25.93 ID:8xZX5vMK
- そろそろ若いがいの話が見たいなー
- 143 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/11(日) 16:40:51.12 ID:???
- お前さんが書いてくれてもいいんだぞ
むしろ書いてくれ!
- 144 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/11(日) 17:03:15.60 ID:???
- プリーズヒカルたん
- 145 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/11(日) 20:25:56.16 ID:???
- ID:8xZX5vMKは誰に要求してんの?
- 146 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/12(月) 02:13:01.76 ID:???
- 俺たちは職人さんが時間を削って俺たちにヒカルたん(;´Д`)ハァハァを与えてくれているのだということを忘れてはならないのだ…
- 147 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/12(月) 04:43:34.64 ID:???
- 結ぶのに失敗して金糸がつるんとすっぽ抜ける。ヒカルが反応して声をあげ悶える。それが面白くて、
何度か故意に失敗してやった。
「っテメ、ムダに遊ぶのもいい加減に、っ」
確かに、手を貸して貰っておいて時間をかけ過ぎるのもどうかと思ったので、要領も掴みかけてきた
ことだし手早く済ませてやろうとアキラは金糸を軽く扱いて伸ばした。ヒカルが自分で摘んで持ち上
げている乳輪の外縁に、金糸をくるりと巻きつけて一度ぎゅっと絞る。
「んァう……っ」
甘噛みに近い刺激になったのだろう、ヒカルは背を軽く反らして襲い来る快感に喘いだ。
「じっとして。また失敗する」
もう一巻きして、またきつく絞る。ヒカルは体が跳ねそうになるのを、シーツを掴みしめて堪えてい
る。その姿がまた扇情的で、アキラの体芯に新たな情欲の火を点す。
「進藤、随分気持ちよさそうだね。ひとりだけ狡いな」
「はぁ、ぁ……今すぐブチ込みたくてたまんねェんだろ?ガチガチにおっ勃ててやがって」
アキラの怒張をちらと見やり、ヒカルは薄く笑った。濡れた舌が、欲しそうに唇を舐める。
抜けや緩みの余地がないと確認し、今度は固定ではなく飾るのを主眼に金糸を乳頭に向けて巻き上げ
てゆく。長さに余裕を持たせて巻き終わり、小さめの蝶結びを三つ作れば、些か不格好ではあるが花
弁に見えないこともない。
「ホラ、反対側も持ち上げないと結べない」
体表で一番の性感帯を自分で弄らせる事に、仄暗い愉悦を覚えながら指示を出す。
「……今度は、ちゃっちゃとやれよ……」
「キミ萎えたまま出さずにイクからさ、正直わからないんだよね。結び始めから、これまで何回?」
「自己申告だからなー、大昔から演技してるかもなー……アッ!」
ぎりぎりと強く巻きつけた金糸を絞り上げてやると、高く甘い嬌声が可愛い唇から零れ落ちる。
「ん?なんだって?」
「ダメ、ァ、ざわざわする、くる……あがって、っ」
アキラの胴体を挟み込んだ膝が、がくがく痙攣している。最初よりは手際良く、時々意地悪に刺激を
与えながら二つ目の金糸の花を咲かせ終わると、力んでいた上体がくたりと弛緩してアキラに凭れか
かってきた。つい、と背中を撫で上げてやり、腕の中で身をくねらせる様を愉しむ。
「もう終わりだって安心した?」
「……てこた、まだラッピングは途中ってか」
嫌がっているようで、声は期待に濡れている。熱い吐息が、アキラの肌に当たって湿り気を与える。
「そうだよ。もっと綺麗に飾らなくちゃ」
「自分がおいしく頂くために?っはぁ、ん、とんだナルシストだな」
憎まれ口をたたく唇を塞いで封じ、差し込まれてきた柔らかな舌を吸う。背中に廻ってきたヒカルの
腕を拒むように振り解き、がっちりと頬を両手で挟んで更に深く口付ける。
「ぅん……んふ、ん……ぅうン……ん」
ヒカルの喘ぎは全部鼻から抜けてしまい、甘えたような、ねだるような響きを帯びる。
「あ、ぁ」
離れた互いの唇から唾液の糸が繋がり、やがて粘度の限界を超えて切れた。
- 148 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/12(月) 04:44:06.04 ID:???
- 上気した頬。潤んで揺らめく琥珀の瞳。交換し、混ざり合った唾液で濡れ光る珊瑚の唇。伸びたせい
で艶っぽさが増した乱れ髪。
その髪の、偽りの、黒。
いまだアキラに何かを隠し、心を開かない彼を象徴するかの如き闇の色。
腹の奥から湧き起こる、いつもの暴力的な衝動をアキラは抑え込む。まだだ。まだ解き放つのは早い。
「あれ?もう今食っちゃうの、それ?」
アキラが金糸を解いたチョコレートの外装を開け始めたので、ヒカルがそう訊くのは当然だった。
中身は取り立てて特徴のないトリュフ。購入時、何が入っているかは重要な関心事ではなかったのだ。
ブランドもメーカーも、国産も輸入物も、どうでも良かった。外装だけに用があったから。
それなら雑貨屋か手芸店でラッピング用品だけ求めれば余計な出費をせずとも済んだろうに、と思わ
なかった訳ではない。
けれど、数日前立ち寄ったスーパーでバレンタイン用の特設コーナーを目にした時の閃きを大事にし
たい気分が勝った。手芸店で素材だけ買い求めるなど、無粋だと思ったのだ。
「相変わらずこーゆーの、ガワが大層な割に中身はお粗末なのな。どんだけカサ増ししてんだって話」
ヒカルが、申し訳程度に入ったトリュフの箱を覗き込んで呆れたように言う。
「お粗末じゃなくて、上品なんだよ。質より量のキミにはそう見えるだけで」
「下品で悪うござんした……、……」
暫し言葉を忘れた風にヒカルが顔を凝視するので、アキラはにわかに居心地が悪くなる。
次いで、にや、とヒカルは悪そうな笑みを口元に浮かべた。
「いやあ、ふふ。おまえの綺麗な顔でそんな咥え方すると、エロさ三倍だなーって」
トリュフを唇で挟むように咥えて、どうするつもりなのか読めているに違いなかった。ならば正解の
ご褒美をやろう、とアキラはもう一度顔を近づけた。
「もったいねー、髪長い時に見たかっ、ぁむ、ん」
互いの口内を行き来しながら、小さくなって形を無くしてゆくチョコレートの塊。消える寸前の最後
の欠片をヒカルの舌が奪い取り、唇が離れる。間髪を入れずヒカルは上体を屈め、膝立ちになってい
たアキラの股間で屹立したものを咥えた。
「く!」
唾液をふんだんに乗せた舌の広い表面で全体を撫で付けるように舐め上げられると、腰の奥から我慢
に我慢を重ねた射精感がせり上がって来そうになる。飲む気はないのか、ヒカルは一通り舐めると口
を離した。
「アハハ、チョコバナナ完成ー」
「……それをやりたかっただけか」
ヒカルは溶けたチョコレートを飲み込まずに、アキラの肉棒に塗りつけたのだ。もうチョコレートと
は言えないほど唾液で薄まったものが、太く張り詰めた茎を処々まだらに汚していた。
「怒んなって。んじゃ、改めて。いただきまーす」
夜店の定番を食べるのと同じように、まず先端をチロチロと舌先で擽る。アキラは思わず、ヒカルの
髪を両手で掴んで掻き乱した。雁首の部分を軽く噛まれ、背筋に電気が走るような感覚に襲われる。
「ぅお、ぁ、っ」
「ん、れろ、んン……うま」
- 149 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/12(月) 04:44:38.20 ID:???
- このひと月ほどで、ヒカルの口淫は随分上達した。摂食障害のお陰で他の男に汚されず済んだ場所は、
アキラを初めての男として迎え容れてくれた。そのはずだ。他に誰がいる。去年の師走に退院して、
そう時間を措かず東京を後にした。誰もいない。自分以外。誰も。
本当に?
「っ、まったくキミは、とんだ淫乱だよ……ぅく」
舐めしゃぶりながら感じるようになったのは初めての時から程なくだった。何度経験しても貫かれる
痛みに順応できず泣いていた頃が嘘のようだ。だから詮無きことを考えてしまうのだ。
「んぷ、るせェよ、ん、んむ」
チョコレートと唾液と、アキラの先走りが混じったものを吸い、舐め取りながら。ヒカルの舌は裏筋
から睾丸まで丹念に愛撫を繰り返す。やがて、すっぽりと奥まで咥え込み、ピストンを始める。いつ
でも出していいと言う合図だ。
「あ、ぁ、イイ、イイよ、進藤出すよ、出すから、っ」
ぐしゃぐしゃとヒカルの髪を激しく乱しながら、その頭を自分の股間に強く押し付ける。くぐもった
苦しげな呻きが下から聞こえ、呼応するように尿道を熱く滾った精が出口目指して迸る。二度、三度。
後孔に出すのとはまた違う、最後の一滴まで吸い取られる感覚にアキラは仰のいて喘いだ。
「……はぁ、はぁ……ぁあ」
「っふう……スゲェな、まだ、ビンビンじゃん」
硬度と反りを保ったままの肉茎に、ヒカルは頬擦りしながらうっとりと呟く。
「欲しい?」
「欲しい。ナマで」
「進藤、忘れた?まだ途中なんだよ」
「えーもう、めんどっちくなってきたァ」
胸にふたつ、金色の不格好な花を咲かせて。不満気に口を尖らせるヒカルのアンバランスさが淫靡な
雰囲気を醸している。
アキラはチョコレートの包みが幾つも入った紙袋の奥をごそごそ探り、底に埋もれていた大きめの箱
を出した。きらびやかなデコレーションの小さな包みと比べる所為で、その箱は余計に無骨さが際立
っていた。表面には、何か貼っていたのを剥がした跡がある。
「?なんじゃそりゃ」
箱の中身に、ヒカルが訝しげな声を出す。薄いケースと、不思議な形状の透明な何か。他にも何点か
入っていた。そのうちから、アキラはケーブルの絶縁テープに似たものを取り出し、ビニールの包装
を破った。巻かれた端をこそいで剥がし、ピッと引っ張り延ばす。光沢を持つ桃色のそれは、やはり
幅広の絶縁テープにしか見えない。
「手を出して。両手」
不可解な表情をしながらも、ヒカルは言われた通り両手をアキラの前に差し出した。その手首を一纏
めにし、桃色のテープをぐるぐる巻きつける。
「大丈夫。テープ同士でしかくっつかないから、肌を傷めたりしないよ」
完全に拘束するのが目的ではないので巻くのは二重でいい。それ以上は見た目が悪い。
紙袋から新たなチョコレートの包みを取り出し、アキラは周囲を飾る赤いビロードのリボンを外した。
それは買った中でも大きめの箱に巻かれていたもので、太さは物足りないが長さは充分に見えた。
- 150 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/12(月) 04:45:13.05 ID:???
- 大人用チョコバナナ食べるヒカルたんが書きたかった、ただそれだけだ(キリッ
案外長いなこのエロパート、まだ半分くらいかもしれん
このスレも賑やかなりし頃は職人さんが沢山いたから、誰かが>>142のリクに
応えてくれてたと思うよ…皆色々あってスレを去ってしまわれたかROM専になられた
一番最近では灼熱たんが神小説を量産して、春たんがオカズもとい美麗な春画を描いてくれてたが、
灼熱たんは元々が海外赴任の多忙な企業戦士だし体を壊してた時期もあったしで、かれこれ
二年半音信不通なのが非常に心配だ。春たんも就職して以降忙しいんだろうなあ
ふたりとも元気にバリバリ仕事してるのかな…それなら安心だけど
俺は自分のヒカルたん(;´Д`)ハァハァを吐き出してるだけのただのメイツだし
今いる職人さんは来月復帰予定の輪舞曲たん一人だけだし
…なんか俺、スレ潰ししてる嵐になった気分で切ない。輪舞曲たんプリーズカンバックスーン!
- 151 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/12(月) 19:49:22.05 ID:???
- チョコバナナヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
俺のチョコバナナも舐めていいんだよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 152 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/13(火) 23:17:22.52 ID:???
- 赤いリボンをテープで拘束した手首の間に通し、隙間を閉じるようにぎゅっと絞める。
「イテッ……おい、血が止まる」
「黙ってろ」
確かに、手首に巻いたテープを更にリボンで締め付けたため、絞めた部分を中心にテープに皺が寄り、
その皺が肌に食い込んで痛そうだ。掌と指も鬱血して少し変色している。指先に触れると冷たくなっ
ていた。
リボンは敢えて飾り結びをせず、固結びだけでだらりと垂らしたままにした。その方がヒカルの汗に
濡れた肌にもシーツの白にも映える。沈んだ赤を流れる血に見立てるのも悪くない。
テープのカラーバリエーションに赤が無かったのが不満だったが、いざこうしてみるとリボンとの対
比が血とぬらつく粘膜のようでいやらしくていい。下手に色を揃えなくて正解だった。
興奮で、また息が荒くなるのが自覚できる。
起こしていたヒカルの上体を押し倒し、纏めた手首を頭の上に上げさせる。
「動くなよ、じっとしてろ」
脚を大きく開かせ、枕を腰の下に入れる。このホテルの枕はベッドの端から端まで届く長い円筒状で、
クッションが固めだ。重みによるへたり防止に中央で折り曲げ、拘束用のテープで巻いて止めてある。
興醒めになっては台無しなので、その部分はヒカルの体の下に隠れるよう工夫した。
アキラの肉棒で慣らし済みの秘所は、先刻使ったローションが乾きかけてはいたがいまだ充血して淫
らに膨らみ、ひくひくと侵入者を誘って蠢いている。
そのすぐ上には、力なくしおたれていながら快楽の涙を零し続けている性器。アキラは透明な露が滴
る先端を、音を立てて吸った。限界まで開かれたヒカルの脚がびくりと震える。
「ぁんっ……」
茎から袋、その裏に続く会陰まで唇と舌で嬲る。重く垂れ下がる袋を中身ごと噛んだ時、頭上で悲鳴
じみた声があがった。
「いたっ、痛い!」
その声音の余裕の無さに北叟笑んで、アキラは更に噛んだ。痛みに強張った腿が、内側の付け根あた
りに固い腱を浮かせているのを触れた掌で感じる。
「やめ、ゃ、いっ……!痛い、ヤダ、っ」
これも慣らせば快楽に変えてしまうだろう。彼なら。確信できる。
アキラの歯の間で固い実がごり、と音を立てる。
「イヤぁっ!」
聞きたかったのはこれだ。従順すぎるヒカルはつまらなかった。どんな無茶をしても全て受け容れ、
果ては悟りきったような表情で「好きだよ」などと言って寄越す彼など。
「ぅあぁ!あぁ……!っひぁ、イヤ、いた、ぃっ!」
片方だけでは不公平だ。もう片方も、ごりごりと噛んでやる。ヒカルの全身がびくんびくんと大きな
痙攣を始める。ほらみろ。もう感じるようになってきてる。痛いなど、口だけになってきてる。
「痛い、ァ、いた、うぅんッ」
醒め始めた自分を頭の中で嘲りながら、アキラは睾丸苛めを放棄した。新たな苦痛を快楽としてイン
プットし始めた体に息づく肉色の蕾が、もう適応して物欲しげに咲き綻びだしている。
僅かに盛り上がったそこを吸い上げてやると、ヒカルの欲情しきった嬌声が聞こえた。
- 153 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/13(火) 23:17:54.77 ID:???
- 流石に時間を食い過ぎたせいか、後孔の筋肉は挿れた時の柔軟性を失いかけていた。それを取り戻す
べく、アキラは舌をこじ入れて内壁を濡らす。
「あぁ、も、挿れ、て、あっん」
上擦った声が催促するが、そんなつもりで舐め解している訳ではない。かさかさと何かが立てる音に
何かと思って少し顔を上げると、ヒカルは自由にならない腕を胸の辺りに持っていき、肘で弄ってい
るらしい。音の正体は肘で擦れる乳首の金糸だったようだ。
「我慢が足りないな。動くなと言ったのを守れないのか」
「だって、っ、んぁ」
悩ましく身をくねらせてのおねだりも無駄だ。
「おとなしく待ってろ。いいものをやるから」
蕩け始めた粘膜がアキラの舌に纏わりつき、もっと欲しいとせがむ。望み通り更に奥へと舌を進め、
処女を相手にするような入念さで解してゆく。
「はうぅんッ、あぁー……」
声の尾を細かく震わせ、ヒカルが腰を痙攣させて達する。内壁の圧迫感が増し、舌を押し包んで断続
的に収縮する。
感じる演技などヒカルに出来るものか。こんな場所の不随意運動まで御せる人間など、いたとしても
ごく少数だ。常人に可能な領域ではない。幾らヒカルが悪びれた風の口を利こうとも、肉の悦びを奥
の奥まで刻みつけられた体は嘘を吐けない。粘膜を舐められただけで達く、こんな淫蕩な体は所詮正
直者にしかなれないのだ。
舌だけでは心もとない。もっとしっかり解さなくては。ヒカルの体が傷つくか否かではない、挿入出
来るか否かだ。持参したジェルのボトルはベッドの上に投げ出されたままになっている。たっぷり手
に取り、温めもせず秘所になすり付ける。
「ぃひゃ」
冷たさに驚いたヒカルが間抜けな声を出す。だがそれはすぐ、快楽に溺れる者の嬌声に変化した。
指の数は二本から。届く限りの範囲で丁寧にジェルを塗りつけながら円を描くように後孔を拡げてい
く。感じさせる意図はそこに存在しない。感じるのはヒカルの勝手だ。
「あっ、あ、そこはもう……ナカ、奥、きてよ、きてぇ」
「浅いところはもう充分だって?ホントにそうかな」
充分かどうか、じきに試してやる。良すぎて現実に戻れなくなるかもな。
親指を除く全ての指を根本近くまで飲み込ませ、揃えていた指先を開いてやる。こじ開けられた内部
が隙間から覗けるものの、光が届かないのでただの暗い穴にしか見えない。
「んんんっ、ぁはぁあ……もっと、あァそれイイ、塔矢もっと」
後孔から直腸内まで四本の指を広げてぐりぐり捏ね回す動きが気に入ったらしい。もしかしたら、手
首から腕まで挿れられても悦び狂うのではないか。
それはそうだろう。あんなものにまで感じていたじゃないか。息も絶え絶えになりながら。
だから、今日アキラが用意したものなど、余裕で咥え込むはずなのだ。
「アッ!」
指を開いたまま勢い良く引き抜かれた衝撃に、強烈な排泄の快感が一気に押し寄せたのだろう。ヒカ
ルが鋭く叫び、仰け反った背中がベッドに叩きつけられてスプリングを軋ませる。
- 154 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/13(火) 23:19:51.37 ID:???
- さくらが咲いた模様…続きは避難所でつ
- 155 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/13(火) 23:22:18.34 ID:???
- 最後の1レス分は避難所に投下したでつorz
年を取ると前立腺肥大のせいでキレが悪くて困る…いやなんでも、独り言
ヒカルたんラッピングを前回に引き続きお届けでつ、まだ完了しないようでつ
どんなかわいいのが完成するのかな〜(はぁと
…500行くらいで終了すると思っていた時期が俺にもありました(AAry
ラッピング除いてあと3プレイ分残ってまつ、ってプレイで残りを計算するなよ俺
- 156 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/14(水) 04:10:56.42 ID:???
- 大量投下乙です(;´Д`)ハァハァ
スレ潰し荒らしだなんてとんでもない
今でもこんな職人さんがいてくれるというだけで嬉しいよ
いつも乙するしかできなくてスマヌ…
- 157 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/14(水) 13:07:58.64 ID:???
- 盆たんの書くヒカルたんはえっちでたまらんでつ(;´Д`)ハァハァ
いつもありがとう盆たん
- 159 名前:盆 :2015/01/16(金) 12:23:15.95 ID:???
- 書けるようになったかのう…
昨日エラーばっかでここ無理だったんで
避難所に投下しますた
- 160 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/16(金) 13:25:59.47 ID:???
- ヒカルたんが酷い目にあうと興奮してしまうのは何故なのか(;´Д`)ハァハァ
おつでつ!
- 161 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/16(金) 21:43:59.30 ID:???
- >>160
そのS発言はエログッズマスターの輪舞曲たんだな
仕事の調子はどないだ?インフルエンザ流行ってるから気をつけてなー
- 162 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/17(土) 02:58:42.06 ID:???
- >>161
なぜわかった
なんとか間に合わせてみせるを合言葉に頑張ってるぜ…
いつもヒカルたんごちそうさまでつ
- 163 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 03:22:14.89 ID:???
- 一通り撮影が済んだカメラの電源を切ってをヘッドボードに置き、アキラは無慈悲な責め具をヒカル
の口から勢い任せに引き抜いた。
「がは!え゛っ、う゛ぁは、う゛ぇほっ、あ゛あっ」
咳とえずきを激しく繰り返し、上体を捻って顔を俯けたヒカルは口からも鼻からもだらだらと唾液を
垂らしている。
唾液まみれのプラグがぬらぬらと電灯の光を反射して、アキラの火勢衰えぬ獣欲に燃料を追加する。
「あ゛っ……はっ……あ……あぁ、うぅ……アゴが痛ェ、口の端切れそう」
人相が変わるほど苦しんだ割には感想が呑気だ。
「案外余裕じゃないか。流石、この程度じゃ屁でもないって?」
「バカゆーなよ……きっついっての。もーあー鼻も痛ェ、プールでしくった時みてー」
聞いていなかったのだろうか?あの恫喝の言葉を。無反応なヒカルに、身勝手な怒りを抱く。
「そうは見えないな。折角買ったのに、甲斐がなくて少しがっかりだ」
「おまえ、こんなのどこで……んッ」
問おうとしたヒカルの言葉が途切れた。口に捩じ込んだ時同様、大きく開口した先端部を潰して後孔
に宛てがい、ずぷりと突き刺してやったからだ。
数センチめり込ませたところで、押さえていた指の力を緩めて原形を取り戻させる。後孔が急に拡が
った感覚に、ヒカルが喘ぐ。
「あぁ……っ」
半端に挿入された透明なプラグの向こう側、空洞を通してぬらぬらと蠢く肉色の粘膜が見える。精液
は一度出しただけの所為か、ジェルに紛れて判別がつかなくなっていた。これなら最初に二度達った
時も生で出しておけば良かった、と残念な気持ちが頭を過る。
「あ、あ、あ……」
最も太い部分を飲み込むと、くびれた処までつるんと一息に吸い込まれた。アキラはストッパーを持
って、逆らうように最大径の部分まで引き抜く。
「んぁあ!あぁああっ」
抜けないよう留意しながら大胆な抜き差しを繰り返すと、啜り泣きのような喘ぎが漏れ聞こえだした。
中空のお陰で快感に悦ぶ内部が露わになり、透明な本体は押し拡げられた腸壁と後孔が蠢く様もつぶ
さに見せてくれる。捩りながら奥に挿れると粘膜も捩れるのがはっきり判る。引き抜けば未練がまし
く濡れ光りながらプラグ表面に追い縋るのも内側から丸見えだ。
「あぁっ、あっ、いっあっ、んっ、あぁん」
「極太が大好きなんだな、でも短いぞ?いいのか」
ヒカルが好むのはプラグの全長よりももっと奥への刺激だ。前立腺よりも更に奥。そこから腸粘膜を
こそげるように肉茎を引き抜いてやると、それだけで達してしまう時すらある。
「あ、んん、アナんとこ太いのがっ……すげ、イイっ、あぁっあっ」
大きく開かれた脚が硬直し、下半身全体が力んでプラグをぎちぎちと締め上げる。逃がすまいと後孔
がきゅんと収縮して、アキラが引いても胴体が出てこなくなった。
「あっ……はっ……あ……ぁ」
丸まった足指が、シーツを掴みしめて震えている。滅多にないほど拡張された後孔への責めが、余程
良かったらしい。ヒカルは到達した余韻に、胸を大きく喘がせていた。
- 164 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 03:22:47.19 ID:???
- 「凄いな。食いついて離さないなんて……いやらしいにも程がある」
汚れた顔を拭う暇も与えず、アキラは次の責め具を手にとった。筆箱に似た、薄いケースのファスナ
ーを開ける。中には、先端が丸められた金属の細い棒が何本か入っていた。よくよく見れば、それら
は一本一本が違う太さである。そのうちの最も細いものをアキラは選んだ。
「素人がいきなり太いのを使うのは骨が折れそうだからな。おまえには足りないだろうけど」
「え……なに、それ」
何となく用途を察したのか、ヒカルの声に若干の怯えが混じる。アキラはプジーという名の金属棒に
たっぷりジェルを纏わせ、堪え切れぬ笑いを漏らしながら空いた手でヒカルの陰茎を掴み、狙いを定
めた。
「うそ、ヤダ、やめ……!アァ!」
冷たい金属の先端が、つぷりと尿道口に埋まる。そのままゆっくり、プジーを奥へと進めてゆく。
「痛いッ、塔矢お願いそれは、ア、っ痛ぅ……!」
「心配するな。どうせおまえのことだ、すぐ気持ち良くなってしまうさ」
少し進めては小さく抜き差しをして、潤滑具合を確かめる。きちんと濡れてさえいれば、彼はよがり
狂えるはずなのだ。去年の九月、病院で実証済みだ。アキラが慣れさえすれば、あの日挿入されてい
たカテーテルの太さと同程度のプジーを受け容れさせられる。
「ダメ、あとで地獄見る、からっ、あァっ」
「ふぅん、興味深いな。どんな地獄だった?」
三分の一ほど埋まったので、抜き差しの幅を少し大きめにする。アキラの予告通り、ヒカルはびくび
くと全身を震わせて痛みの訴えと甘やかな吐息を半々に唇から零すようになった。
「い、や……っ、あッ……」
「教えろよ。どう地獄だったんだ」
勃たないからと言って、そこが感じない訳ではない。内側から冷たい金属で肉茎を犯される感覚に、
ヒカルがもんどりうつ。
「あぁあ、ヤダ、いたい、ぁふぅう、んンぅ」
艶めいた声では、幾ら痛いと言っても説得力が無い。ジェルの滑りだけでなく、内部のぬるつきも充
分だとアキラは手応えで判断した。挿れられるギリギリまで一気に埋め込み、大きく抽送してやると
華奢な体が淫らにうねった。こつこつと突き当たるのは、膀胱の括約筋だろうか。門外漢なので解ら
ない。
「アッ!ア!アァ!ダメぇ!」
どうやら、この突き当たりを責められるのがいいようだ。こじるようにプジーを抜き差ししながら、
後ろを犯すのでは勃たない肉茎が膨らみあがるのをじっくり鑑賞する。
慣れない快感が怖いのだろう、ヒカルは「ダメ」を繰り返す。
「当たって、あぁっ、あぁああっ、ダメっあっあぁっ」
「……骨の髄まで犯されるのが好きなんだな。喜べよ、まだあるぞ」
プジーから手を離し、アキラは更なる道具を求めて箱をまさぐった。簡易パッケージを破りながら、
桃色の拘束用テープも用意する。電池をセットした小ぶりの無線ローター本体を、鈴口からにょっき
り生えたプジーの持ち手に宛てがい、テープでぐるりと巻いて抜けたり落ちたりないようしっかり固
定する。チョコレートの包みから、今度は赤いサテンのリボンを選んで陰茎の根本に蝶結びした。
ふ、と笑みを零し、アキラはローターのスイッチを入れた。
- 165 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 03:23:23.13 ID:???
- お道具使いに完全覚醒した若゛先生であった…
まだヒカルたんラッピングは途中でつ、只今ラッピング中でござる
この分では、今後予定してた3プレイのうち1プレイが消滅の公算大…
勿体ないけど話がダレそうだしなー
>>162
わからいでかwww仕事頑張れ超頑張れ、でもって新作待ってるぞー
- 166 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/18(日) 14:33:18.41 ID:???
- 思わず尿カテのところ読み返してきたぜ(;´Д`)ハァハァ
乱れてるヒカルたんエロかわいいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 167 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 23:38:40.94 ID:???
- 「────────ッ!」
声にならぬ悲鳴とともにヒカルの体が大きく跳ね上がり、ベッドに落ちてバウンドする。
拘束された両手を股間に持って行こうとするのを、アキラが強引に頭上へと戻して押さえ付ける。
「残念。うかうか外させるとでも思ったか?」
ローターによる刺激は続いている。ヒカルは強烈な快感から逃れるべくベッドの上で転げ回ろうと何
度も身を捩る。腰の下に置いた枕がずれ、撮影に適した姿勢が崩れてしまった。
「うぁあああぁあぁぁあァあ……!」
とっくに涎でべちゃべちゃに汚れた顔が、新たな唾液塗れになる。充血した目を大きく見開き、口も
全開にして、舌を突き出し濁った声で苦痛とも快楽ともつかぬおめきを吐き出す。
「そうか、そんなに嬉しいかヒカル。ならもっとくれてやらなきゃな」
痙攣が止まらない体を組み敷き、金糸で括り出された乳頭の先端をかすめるように舌で撫でる。下か
らぐっと持ち上がるような抵抗が、密着した肌越しに伝わる。
こんな声、誰かが廊下か隣室ででも聞いて『すわ事件か』などと勘違いされたら一巻の終わりだな。
ただのプレイです、なんて弁解するしかないのだけれど。
「ぃいァあぁ……ィ、イッ、ィあぅうぅあ」
無機質な金属と機械による内部から陰茎全体へのダイレクトな責めで、快楽の天井に下から突き上げ
て潰すように押し付けられる。その凄まじい圧力にひしゃげそうなヒカルが面白い。
「天井を突き抜けられずに潰れたらどうなるのかな……見たいよ、とても」
体がどこか故障するのだろうか。心が壊れてしまうのだろうか。
(心が?彼はとうに壊れてるじゃないか)
アキラが愛しいと思った、追いかけて手に入れたいと思った彼は、昨年の十月終わりに死んだ。壊れ
て砕け散ってしまった。
ならば、今ここで性の悦楽に溺れ鳴いているのは何だ。
「好きだ」と九年越しの返事を寄越したのは。
毎日のように淫奔に脚を開き、熱くぬかるんだ肉壺にアキラを誘い入れる。この生き物は一体何だ。
どれだけ手酷い責めを食らわせても、けろりとしてお代わりまで求めてくる。こいつは一体。
ヒカルであって、ヒカルでない何かだ。
アキラがこうも胸中を波立たせてしまうのは。原型を留めぬほどに壊れ変容してしまったこの得体の
知れない何かの所為だ。
求めに対する応じ方が違う。最中の恥じらいのなさが違う。髪の長さも、色も、柔らかな耳朶に開い
た、赤い石を飾るための小さな穴も。アキラが愛した彼のものではない。許容できない。
打つ碁すらまるっきりの別人。
自分が嬲っているのは、ヒカルと同じ顔をした偽物だ。
なのに、妙な秘密主義だけは同じときている。だから騙されてしまうのだ。
「……ち」
舌打ちし、アキラはローターのスイッチをオフにした。自分の体の下で跳ね悶えていたヒカルが途端
におとなしくなった。硬直が緩み、くったりと脱力している。
「チョコ、あんな一度に食べきれないって言ってたのは本当なのかな……訊けばいいか、その腹に」
- 168 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 23:39:15.96 ID:???
- 胸を大きく上下させ、ヒカルは喘ぐばかりで反応を返さない。それは織り込み済みだ。恐らく、意識
は飛んでしまっている。瞼が半分被さった瞳は虚ろで、何も見ていないかのようだったから。
小さくぴくぴくと痙攣するだけで暴れなくなった体の上からアキラは退いた。邪魔だったのでベッド
下に追いやった手提げ紙袋を身を乗り出して引っ張り寄せ、チョコレートの包みを全部出した。ヒカ
ルを飾るリボンなどを使った後のものも、全く手付かずのものも。手当たり次第に包装を解き、中の
チョコレートを無造作にベッド上の一箇所に山積みした。集めてみれば、そう大した量でもない。
購入の際、中身がどうだかは頓着しなかった。外装だけあれば良かった。トリュフだろうがナッツ入
りだろうが関心は無かった。
山の中からひとつを摘み上げる。ココアパウダーのまぶされた、柔らかな生チョコだった。暖房の所
為でぐにゃぐにゃになりかけている。
それを一旦山に戻し、アキラはずれて落ちかけている枕を引き寄せ、ヒカルの腰の下に置き直した。
ぱっくり拡張されたままの後孔が、斜め上を向くように位置を調整し直す。
赤いリボンと桃色のテープで飾られた肉茎は、アキラがこれまで見たこともないほど硬く張り詰めて
ひくりひくりと上下に揺れている。尿道が塞がれたので、到達したくとも出来ないのか。
手で向こうに押してやると、ぺたりと先端のプジーがローターを重石にする格好で腹にくっついた。
「ァ…………」
快感を拾ってしまったヒカルが、喉の奥から小さな嬌声を漏らす。
「そろそろ腹が減ったんじゃないのか?さあ、おあがり」
生チョコをもう一度指で摘み、強制的に開きっぱなしとなっている後ろの洞窟へ放り込んだ。反応は
薄い。些か肩透かしを食らった気分になり、アキラは次々とチョコレートを機械的に入れる。
「美味いだろ?遠慮は要らない、もっと食えよ」
チョコレートで遊ぶ予定はなかった。だがこれも一興。包装による嵩上げで見た目よりもかなり少な
かったとは言え、プラグ内がチョコレートでぎっしり詰まってまだ余るほどには量があった。
「そうそう、さっき、チョコバナナ食べたがってたよな。丁度いいものがある」
アキラはダンボール箱に残った最後の性具を手にした。ずっしりとした重量感のあるそれは、クリス
ラルガラス製のディルド。各種ある中、深くまで突ける長さで反りのあるものにした。パッケージか
ら取り出し、ジェルを形ばかり塗りつけて、チョコレートが詰まったプラグの空洞に押し込んだ。
立て膝で目一杯開かれたヒカルの脚がびくつき、爪先がシーツを引っ掻く。
「…………ッ」
声にならない喘ぎが、ふっくりした小造りな唇から紡がれる。それに少し気を良くして、アキラは更
に奥へとディルドを進め、チョコレートを内部へ送り込む。
「ぁ、あ……はぁ……ンぅん……」
鼻にかかった声は、明らかに気持ちいいと主張している。慣れた後孔への責めだからか、感じてはい
てもどこか余裕が伺える。だが、まだ意識がはっきりしていないようだ。何でどう責められているか
認識できていない反応。
熱い肉襞で溶け始めたチョコレートが潤滑の役目を司り、冷たいガラスディルドで固まって粘つく。
ディルドに体温が移りきるには時間が掛かりそうだ。にちゃにちゃと卑猥な音を立て、ディルドの行
き来できる範囲が徐々に広がってゆく。ごつごつした固形物の感触が消えるにつれ、どろりとした半
液体状のものがディルドを引くたびプラグの外に漏れ出し、シーツを褐色に汚した。
- 169 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/18(日) 23:40:01.50 ID:???
- 美味しいチョコバナナの作り方:まずヒカルたんを用意します→できるか!
てなわけで、ヒカルたんラッピングの終わりがようやく見えてきた…過剰包装だな
ムイてしまえばおいしく食べられるヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
>>166
それは俺に対する羞恥プレイだ…///
あの辺、誤変換とか酷かったはず…ぎゃー!
てゆーか、食いつく場所がそことか流石のドSエログッズマスターですな
- 170 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/19(月) 00:56:25.63 ID:???
- クリスラルガラスって何だよオイorz
○クリスタルガラス
治らんなあうっかりは
- 171 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/20(火) 14:52:33.71 ID:???
- ヒカルたんでチョコレートフォンデュだと(;´Д`)ハァハァ
若゛もメイツ筆頭としてマニアック化したな
- 172 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/20(火) 14:54:03.73 ID:???
- お、書き込めた
最近書き込もうとしたら怒られまくりでやっとヒカルたん(;´Д`)ハァハァできたぜ
職人さんいつもおつかれさまです
- 173 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/20(火) 19:02:37.89 ID:???
- 乙
- 174 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/21(水) 07:07:18.72 ID:???
- ヒカルの体に異変が現れたのはいきなりだった。
全身がみるみる茹だったように紅潮し、汗がどっと噴き出す。声にも苦しげな呻きが混じる。
「くぁ……ぁ……あつぃ……っ」
何が起こったのか、アキラの理解が追いつかない。
立てられていた膝の片方がぴんと突っ張り、脚がベッドに投げ出されて小刻みに震えている。
「あつい、やける……ッ!さまして、さましてぇ!」
体が焼けるように熱い、とヒカルは訴える。こんなに激変するものを彼に与えただろうか。
(あ、もしかして)
ひとつの可能性に気付き、アキラはぐしゃぐしゃにして捨てた包装紙をベッド下から拾い上げて原材料
の表示を探す。
アルコール度数六パーセント。洋酒をくるんだボンボンが、購入した中にやはり混じっていた。
座薬が血管注射とほぼ同じ効果を持つのは、腸粘膜による高い薬剤吸収率のお陰だ。つまり。
飲酒より遥かに少ない量で酔っ払うことが出来る。
薄っすらと知ってはいたが、これほどまでとは思わなかった。個人差があるとは言え、ヒカルはそう弱
くもないはず。それに、ボンボンが腸内で全部割れたとしても、中身の酒は大した量ではない。
「冷ます?どうすれば冷めるんだ?」
水でも浴びせるか、と少し真面目に考えたが、ヒカルの懇願がそれを見事に卓袱台返しした。
「ナカ……もっと、もっと突いて、っ、いっぱぃ……!」
性感が高まり過ぎて体内に篭った熱を逃がせず苦しい、そう言うことか。
「アァ────ッ!アッ、アッ、アァ!」
要望通りでは癪にさわる。アキラは手元にあったローターのスイッチを入れた。ヒカルの背が弓なりに
反り返り、更に上がった体温をどうにかしたいとベッドでのたくる。
「イヤぁ!おかし、っ、かしくっ、ちが、こっちじゃ、ア、ア、アァア!」
再び暴れだした体を全体重で止め、アキラはディルドでの責めも再開した。ヒカルの望む、奥のいい場
所。ディルドの反りを利用し、ぐるりと回転させてプラグの向こう側で蠢く内壁を拡げ擦り上げながら
チョコレートの残骸をかき分けて突いてやる。溶け残ったチョコレートは、ディルドに追い立てられる
ように内部に入り込む。
「気持ちいいだろ?どうなんだよ、言えよ」
「ひッ、いっ……ぃあぁ……ぁあ」
言葉はおろか声にするどころでもない様子のヒカルに、アキラの口角が吊り上がる。出番を干された肉
棒がガチガチに硬くなり、肉の鞘を欲して涎を流し猛っている。
尿道と後孔を同時に激しく刺激され、アキラが下腹部を向いて胸に馬乗りで押さえているため暴れるも
ならず、初めて味わう強烈な快感に灼き切れそうなヒカルの姿は、醜悪でありながらも淫らで刺激的だ。
焦点を失った瞳は見開かれた瞼の中で落ち着きなく動き回り、瞳孔が収縮している。閉じることを忘れ
たかのような珊瑚色の唇からは過度の興奮で止めどなく湧き出る唾液が溢れ、顎を伝ってシーツをぐっ
しょりと濡らす。
これだけ乱れ狂っているのに、アルコールを摂り込んで以降はまだ失神していない。気を失うという逃
げ場すら奪われ、終わらない快楽地獄にヒカルは喉を引き攣らせて嬌声も出せなくなってしまっている
らしい。天井がついに抜けたか。アキラの頭をちらりと掠めたのはそれだった。
- 175 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/21(水) 07:07:51.66 ID:???
- 失神するのは、脳が「これ以上は耐えられない」と感覚の受容をシャットアウトする防衛機構を働かせ
るがゆえだ。それが取り払われてしまえばどうなるか。
拷問時に甚振る相手の意識を失わせないように、と編み出された様々な覚醒手法は、拷問の目的が自白
なら情報を引き出し易くするため、甚振ることそのものが目的なら苦痛を長く強く味わわせるためもの。
何れにせよ、脳の正常な働きを妨げるのが肝となる。
余りに大きすぎる苦痛を肉体が馬鹿正直に受け止めればショック死に繋がる。開腹手術を麻酔下で行う
理由がこれだ。
では、快楽はどうか。許容量を超えた感覚という点では同じだ。強すぎる快感は危険と判断し、脳がブ
レーキをかける。
そのブレーキが、違法薬物などにより効かなくなった時。脳が設けているリミットは無効化され、上限
の無い快楽に幾らでも興じられる。病みつきになってしまえば、もうリミッター付きのセックスなど無
味乾燥なものにしか思えなくなり、人は道を踏み外す。
無論、アキラはそこまで深く考えていた訳ではない。チョコレートに酒入りが混じっていたのはアクシ
デントだ。
ただ、アルコールがヒカルの脳に設けられた快楽の天井を消してしまった事だけは解った。
「ん────!んん────!うぅう……!」
絶え間なく全身を痙攣させ、喉が引き絞られて最早唸る以外に快感を訴えられない。プラグで丸出しに
された腸壁はぐねぐねと激しく蠢き、ディルドで奥まで塗りつけられたチョコレートが蕩けて内部を溶
岩のように移動する。
「中毒になったら面倒だな……まあ、いいか」
アキラは呟き、ディルドを性急に引き抜いた。ガラスの表面には、チョコレートのコーティングが薄く
施されていた。体の前後を変えて改めて馬乗りになり、喘ぐヒカルの口元に持って行く。
「チョコバナナ、たかだか一本じゃ足りないだろう?遠慮しないで食え」
唇に押し付けてやると、ディルドの亀頭部分にちゅうと吸い付き、待っていたかのように深々と咥え込
む。強制してなどいないのに、頭を動かして自分で自分の口腔を犯している。ローターはまだ作動した
ままだ。尿道の内側を震える金属棒で嬲られ激しく悶えながら、一心不乱に張型への奉仕をする。アル
コールの力が一助となっているとは言え、ヒカルのこの淫蕩さはどうだ。
「ふん。普通に呑んでてもこうはならないのに、尻から入れるとそんなにいいのか」
そんな嫌味のひとつも言いたくなるほど、ヒカルは熱心にディルドを口淫している。ローターのスイッ
チをオンのままにして、アキラはヘッドボードに手を伸ばし、カメラを掴んだ。全身のロングショット、
中空の透明なプラグによって曝け出されチョコレートで汚れた腸壁、尿道にプジーを挿し込まれ硬く勃
起した肉茎、拘束された両手でディルドを持ち夢中で舐めしゃぶる恍惚とした顔。憑かれたようにアキ
ラは何枚も撮った。動画も、下半身から顔まで舐めるように。
撮影が済むと、アキラはカメラを置くのも早々にプラグのストッパーに手をかけた。達きっぱなしのヒ
カルの体には力が入っていて、後孔もきつく締まっている。プラグを引き抜くのは一苦労だった。
「ンン──────ッ!」
抜かれる感触にヒカルが肌を粟立て、極太プラグによる排泄の快感に尻を振る。
捻りながらプラグをどうにか抜き、先走りの涙を零し続ける怒張を代わりに突き入れてやる。拡張され
ていたにも拘らずぎゅうぎゅう締め付けてくる後孔に、アキラはさほども保たなかった。
- 176 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/21(水) 07:08:38.95 ID:???
- もしかしたら、投下前に「スカ注意」のレスを入れておくべきだったかも知れぬ…すまぬ
ヒカルたんラッピング、多分次回投下分で終了…なげぇ!
乙レス、いつもありがとうでつ
>>171
物凄くマニアックな方向に行ってるよな筆頭…もう真人間には戻れないな
ほんま淫乱天使ヒカルたんは恐ろしいでえ(;´Д`)ハァハァ
- 177 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/21(水) 07:25:22.33 ID:???
- 大怪我した時って、直後しばらくは痛くないんだよなこれが
後からきやがる。事故で顎吹っ飛んだ時に「今なら麻酔なしで手術できるけど
まあ念のためにやっとくわ」と言われて衝撃だった思い出、人体ってすげえ
- 178 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/22(木) 11:49:56.76 ID:???
- 昼休憩に覗いてみたら新たなヒカルたんが(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんのチョコレートぺろぺろしたいお(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 179 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/22(木) 23:15:58.91 ID:???
- うおぉおー!!エロエロ天使ヒカルたん!
(;´Д`)ハァハァ!(;´Д`)ハァハァ!!(;´Д`)ハァハァ!!!
いつも乙!身体大事にしてくれ!
- 180 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/23(金) 07:04:06.85 ID:???
- アキラが果てた後も、ヒカルはディルドを咥えしゃぶっていた。表面についたチョコレートはとうに
舐め取られ、ディルドは透明なガラスの男根に戻っている。
暫く動けなかったアキラが呼吸を整えながらそれを取り上げると、唇と手が追い縋ろうとしてきた。
「あぁ……」
失望の声は多分に媚を含み、アキラの萎えた股間に訴えかける。だがもう、体力的に限界だった。
ローターは電池切れでも起こしたのだろう、いつの間にか停止していた。ヒカルはこれに与えられる
快感にも慣れ、止まって物足りなさを覚えでもしたのか。
「……うっかりしてたな。透明なプラグの中に透明なこれを突っ込んで、写真に収める段取りだった
のに。最後、おまえにナマで挿れたい欲求に勝てなかった」
段取りが狂ったのは、自分が熱くなり過ぎた所為。そんな事までヒカルに責任転嫁する気には余りな
れなかった。
せめて、と思い、アキラは唾液で濡れたディルドをヒカルの秘門に宛てがい沈めていった。
「…………っ」
ぶる、とヒカルが胴震いする。アキラの抽送でプラグを抜く時よりは柔らかくなっていて、抵抗は強
めであったものの後孔への挿入に困難はなかった。根元までは挿れず、半ばくらいで止めた。
視線を自分の肉茎にやると、プラグの向こう側を突いた先端あたりがチョコレートに塗れている。
なんだか滑稽で、笑えてきた。自分は何を下らない事に躍起になっているんだろう。
ヒカルの鈴口からはみ出したプジーに巻きつけてあった桃色の拘束用テープを外し、役立たずになっ
たローターをベッド下へと放り投げる。チョコレートの包装の残骸から太めの赤いリボンを拾い上げ、
ディルドの根元に結ぶ。まだ飾り足りない気がして更にリボンを物色し、朱色をした長めのものを首用にと選んだ。肩に届くほどの髪が肌に張り付いて巻くのに邪魔だったが、この際完璧は求めない。
首と両膝は手首と同じく固結びで端を垂らし、肌に纏わらせて血に見立てた。
我ながら悪趣味だとアキラは自嘲した。
ラストショット。アキラはみたびカメラを手にし、飾り直した全身、そして串刺しにされた後孔と陰
茎もファインダーに収めた。
下の穴を二箇所同時に犯されたヒカルの下半身に、征服欲が満たされるのを感じる。奇妙な達成感。
そろそろプジーも抜いてやらねば。後ろは何やかやと色々出たり入ったりしたが、こちらはその間挿
れっぱなしだ。
持ち手を摘んでくい、と鈴口を拡げるように動かす。ディルドを半分咥えた尻が揺らめく。
「ぃ……ひぁ」
鈴口に開いた小さな隙間から、尿道の粘膜が覗く。色は不鮮明だが、カウパーでぬるついているのは
判る。新たな興奮がアキラの腰奥から背筋を駆け昇るが、それを行動に移す体力は残されていない。
衝動を抑え、アキラは金属棒と肉との摩擦感、ずるりと抜ける感覚を愉しむ余裕もなく尿道をプジー
から一気に解放してやった。
「ぅぉあぁ……あぁぁ……っ!」
抜かれた衝撃でがくん、とヒカルの体が跳ね、白い飛沫を勢い良く撒き散らして果てる。
「あっ……あっ……あっ……あっ……」
余韻と呼ぶには強すぎる絶頂感が次々と波のように押し寄せるらしく、ヒカルは水揚げされたばかり
の魚のように全身をびちびちと躍らせ続けた。
- 181 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/23(金) 07:04:57.63 ID:???
- これほど派手に、いや、まともにヒカルが射精したのを見たのはいつ以来だろうか。後ろの味を覚え
る前まで遡るなら、十六、七の頃が最後になる。
「あっ……は、塔矢……っ、あぁ……ぁ……どうしよ……」
「どうした」
熱っぽく潤んだ鳶色の瞳が、縋るようにアキラを捕まえる。全く焦点が定まらない状態から正気寄り
に戻ってはいるようだが、それでもまだ揺れてふらついている。
「やばい、とまんな……あぁ、つなが、つながっ、ちゃぅ、たすけ、てっ」
また大きく体が跳ね、ヒカルは助けて、繋がると繰り返しながらベッド上をごろごろ転がろうとする。
プジーは抜いた。刺さっているディルドからアキラは手を離している。何もしてはいない。
「あぁああまたっ……また……あっ、んぅん……また、もう、また……!」
肉茎は大きく張り詰めたまま、間欠的に勢いのない白濁を吐き出す。
「ぉかしい……あぁ、こんなの、きもちぃい……ヘン、なんかちがぅう……!」
「何を言いたいのかさっぱりわからない。突いて楽にして欲しいのか」
掠れてしまった声で、ヒカルは違う違うと訴える。ディルドで突いて欲しいのではない。プジーをも
う一度挿せと要求しているのかと訊いてもそうじゃないと答える。お手上げだ。
足が忙しなくシーツの上を泳ぎ、爪先が白い布を何度も掻く。湯上がりのように美しく染まった肌、
汗でじっとり濡れた全身。疲れ果てたアキラをこれでもかと誘惑する悩ましい媚態。
幾ら誘っても無理なものは無理だ。もう腕一本動かすのも億劫なほど体がきつい。
いつもなら、最後に射精させて強引に終了させるか、熱を冷まして突き当たった天井から降りてくる
のをゆっくり待つのだが。
降りる気配も勃起が治まる気配もない。ディルドも抜いてはみたが、抜く際の刺激で火に油を注いで
しまったようだった。
「何をして欲しいんだ」
のたうつ体を抱きしめ、宥めるように耳元で囁いてやる。その、ほんのわずかな空気の流れにさえヒ
カルは過敏に反応して鳴いた。
「あっ、わかんね……っ、こわい、戻れない……イク、また……あぁ!」
(『来る』じゃない……なるほど、ね)
口癖で区別できてしまうのは便利ではあるが、妙に醒めてしまう事もある。厳密に使い分けてはいな
いが、少なくともヒカルが前で到達する時に『来る』と言うのを聞いた覚えが無いのは確かだ。
前で連続して達するのが初めてで、未知の体験に恐怖感を覚えているのと。何もされていないのに勝
手に何度も絶頂を迎えてしまうのと。
天井知らずになってしまった純粋な快楽がヒカルを今蝕んでいる。あの陵辱の上書きに値する成果を
得たのに先程のような達成感がない。満ち足りないのは何故だろう。虚しささえ感じるのは。
「塔矢……ぁ……おねがい、あぁ」
「なんだ」
「つかんでて、でないと……とんでく、から、あ、あ、あ」
「掴んでるだけでいいのか、何もしなくても?」
しゃくり上げながら、ヒカルは頷く。拘束された手首を自由にしてやろうと思ったら、リボンの固結
びが邪魔をして上手くいかない。仕方なく、輪になった腕を首に通させて捕まれるようにした。
その体勢で強く抱きしめ、アキラはヒカルが落ち着くまで待つほかなかった。
- 182 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/23(金) 07:06:04.41 ID:???
- 久々に改行ミスやっちまったorz
チョコバナナ3本目…のはずがでっかいきのこの山になっていた
若゛先生のマニア道中ってヒカルたんがけしかけては悪化していくスパイラルループ…
思わせぶりで淫乱なヒカルたんは実に悪い子だなあ(;´Д`)ハァハァ
>>178
ヒカルたんのチョコレート(意味深)
>>179
事故ったのは四半世紀も前なので無問題でつありがとう
- 183 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/23(金) 22:36:22.35 ID:???
- もともと悪いのがヒカルたんなだけにフォローできないぜヒカルたん
だが若もメイツならば小悪魔ヒカルたんに翻弄されて本望であろう…(;´Д`)ハァハァ
- 184 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/24(土) 03:29:42.75 ID:???
- 事務所の内線電話が客室からの着信を告げ、スタッフの一人が応対すべく受話器を取った。
「はい、どうしました?」
電話の向こうから聞こえる若い男の声はどことなく遠慮がちで言葉もつっかえ気味だ。
『あの、すみません。車の荷物を取りに一人だけで出たいんです。すぐ戻ります……駄目ですか』
「お連れさんは部屋に残る?」
『ええ残ります』
このホテルは室内精算機で支払いを終えたらオートロックが解除されて外に出られるシステムを採用
している。なので、時間差の退出を望む客がいた場合、どちらか片方は事務所側の操作でロック解除
をする必要がある。珍しい話でもないので、頭の中に出来上がったマニュアルに沿ってスタッフは客
を誘導する文言をすらすら並べたてた。
「じゃあ、すいませんけど車のナンバー教えて貰えますか」
踏み倒しを防止するため、足のチェックは不可欠だ。まだ片割れが在室していたとしても、それは担
保に成り得ないのを経験上彼は知っていた。最悪、死体を残して逃亡の可能性も考えねばならない。
男はナンバーを問われて少し口ごもり、自信なさげに答えた。記憶があやふやらしい。どうやらこの
男の車ではないようだ。イントネーションから首都圏の人間らしいと推察できるが、車のナンバーは
地元のもの。しかし『わ』、則ちレンタカー。警戒していいかも知れない。出鱈目の可能性もある。
フロントに人を置かない形式であるため、来客のチェックは廊下の監視カメラで行う。はて、この客
と連れはどんな風体だったか。確か、ストカジの二人連れだったように思う。肩あたりまで黒髪を伸
ばした女が身長やスレンダーな肢体から男にも見えたので、利用を断りはしないまでも遠慮したい客
ではあった。
「わかりました。で、車へ何取りに行くんです?」
面倒なものを持ち込まれたくはない。当然の質問だ。
『……財布です。車内に置き忘れてしまって』
「お支払いして頂けないのは困りますね。わかりました、今開けますがいいですか?」
『あ、はい、お願いします』
了解を得て電話を切り、スタッフは当該客室のロックを解除して廊下を注視した。
大股な急ぎ足で廊下を歩く男は、二十代前半といったところか。右手に紙の手提げ袋を持っている。
カメラのフレームからすぐに消え、再び現れるまで所要時間はおよそ五分。セカンドバッグだけで紙
袋は持っていなかった。
駐車場との往復を考えれば、財布を取りに行くついでに荷物を先に放り込んだだけなら妥当だ。
この客がチェックインしてから三時間半強。休憩には少々長いが、長すぎる程でもない。ビデオでも
観てムードを高めていればそれくらいにはなる。
財布を忘れたと申告した客が部屋に戻ってから実際に精算をしてチェックアウトするまで、更に三十
分以上を要した。廊下の監視カメラには、ぐったりしたパートナーを背負って歩く件の男の姿があっ
た。ヤバイ事案でなきゃいいけど、とスタッフは傍にいた同僚に向かって愚痴めかした。
アキラは格納してあった後部座席を起こし、意識のないヒカルを横たえた。
睡眠導入剤が効いてくれた事に、ほっと胸を撫で下ろす。
- 185 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/24(土) 03:30:17.16 ID:???
- 為す術無く抱きしめているだけなのに、ヒカルは達き狂い続けて治まる兆候を全く見せなかった。
壊れろおかしくなってしまえと煽って細い体を犯しはしたが、自分が何も手を下さないのに自壊して
ゆくヒカルはアキラにとって薄気味悪いだけだった。
そんな時に思い出せたのは幸運だったのだろうか。ヒカルのリュックの中に隠された薬袋。
原色で目立つ大きさのリュックは、車に置いてきた。あの中に、ヒカルを落ち着かせる作用を持つ薬
が入っていないだろうか。
祈るような気持ちで車から持ち帰った白い袋を開けると、薬についての注意書きも入っていた。有り
難いと思って読めば、何行目かに睡眠導入剤レンドルミンの説明と服用量が書いてある。導入剤と言
うくらいだから短い時間で眠りに落ちる効果を期待していいだろうと判断し、多めに飲ませるか迷い
はしたが結局処方通りに一回二錠を苦労しながら飲ませた。何しろ水をうまく飲んでくれない。口移
しにしたら薬に耐性のない自分まで眠気に襲われて車を運転するどころではなくなると、変に構えて
しまったのも災いした。
薬は三十分もせずに効果を表し、ヒカルは呆気無く意識を手放して体をぐんにゃりと弛緩させた。
体内に残したものを綺麗にする処理もせず、タオルを濡らして肌をざっと拭いただけのヒカルに服を
着せてそそくさと精算を済ませ、ほうほうの体で車に逃げ込んだ。
(酒と併用するなって書いてあったけど……チョコのあれ大丈夫かな)
後部座席裏側のスペースには、リュックと一緒に手提げ紙袋も置いてある。洗いもせず袋に突っ込ん
だ数々の性具が放つ臭気で、密閉された車内が充たされ始めていた。チョコレートの包装の残骸、ヒ
カルを飾ったリボンもごちゃごちゃに入れてあった。これらはどこか道中の適当なゴミ捨て場に投げ
込むつもりだ。何度も使う気で購入した訳ではなかった。
「………………………………」
深く、長く、震える溜息を吐き出す。
一体、自分は何をしたいのだろう。どうしたいのだろう。
ヒカルと居れば、こうして嬲り傷つけて、同じ刃で自分も傷つく。
束縛し、拘束し、犯し尽くして、果てには殺してしまいそうだ。
逃げてくれればいいのに。拒んでくれればいいのに。反撃してくれればいいのに。
だってそうだろう?碁盤を挟んで戦う時は、こんな風にボクにやられっぱなしじゃない。
戦法は変わったけれど。軽やかに矢を躱し、思わぬ場所に奇襲の兵を潜ませ、巧妙に仕掛けた大掛か
りな罠へと大軍を誘き寄せる。
「……ボクは、応戦するキミが見たいのか。そうなんだろうか」
けれど。キミは独りで行ってしまうじゃないか。
キミの戻る戦場に、ボクは戻れない。
それが呪わしく、厭わしい。悔しくて、情けない。
日本の棋界に復帰するなら、アキラが父に東アジア関連の口利きをする必要などない。そもそも、帰
国しても息子の顔すら見ないで出国する父に、便宜を図って貰おうと考えていたのが浅薄に過ぎる。
「日本の国際ランカーが低レベルなのを、ボクらで補いたいからだって?ハッ」
本当なら二人揃って復帰させたい。しかし、性犯罪の加害者と被害者を共に戻すのはいただけない。
ならば進藤だけを戻す。それが棋院の意向だと、ネット記事の論調は足並みを揃えていた。
- 186 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/24(土) 03:32:47.85 ID:???
- 後日談での若゛のヒカルたん像がブレッブレなのは仕様でつ
俺の筆力不足で表現しきれてないだけでつ…orz
このままマニア道中を果たしてどこまで極めるのだろうか、とヒカルたんがwktk中でつ
>>183
淫乱小悪魔に翻弄される悦びを満喫してこそのメイツ、まさにそのとおり(;´Д`)ハァハァ
- 187 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/24(土) 11:48:17.08 ID:???
- 盆たんも若もヒカルたんもおつおつ
- 188 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/25(日) 07:06:21.74 ID:???
- 棋院がヒカルを復帰させたがっている、記事内容がそれだけなら鼻で笑い捨てられもした。
けれど、それには続きがあったのだ。
『進藤は了承、Xデーに向けて水面下で具体的な話を詰めている。棋院側の出した条件は』
塔矢アキラとの関係を完全に終わらせる事。それを以って禊となす。
ヒカルが表舞台に再び立つ日が本決まりになれば、自動的に彼がアキラを切り捨てたとの意思表示と
して世間に認知される。段取りはこんな具合だ。
ヒカルがいつものように「ちょっとそこまで」と行き先を告げず車で出掛けた隙に、記事の真偽を確
かめようと社に電話を入れた。一昨日の事だ。
東京には自分に情報をくれる人間が居なくなってしまっている。
緒方や芦原に訊ねたところで、はぐらかされるのが落ちだ。和谷に至っては、どの面下げて頼めると
言うのか。
昨年、警察で和谷が社といたところに合流した時。憔悴しきって涙も出ないその姿に、アキラは彼が
胸中に秘めた想いを悟ってしまった。
そうだ。でなければ自分の仕事を犠牲にしてまでああも献身的に動けやしない。
どこまで自分は鈍く、無神経だったかを思い知らされた。
『その体を試させろ』。生放送での暴言は、口をついて出てしまった血を吐くような心の叫び。
愚弄の意図などあろうはずもない。
その彼を感情任せに詰った。もう顔も合わせられない。情報をくれなど、厚顔無恥にも程がある。
和谷の謹慎は社と共に当初言い渡されたよりも短期で終了した。当初は世論に袋叩きにされたものの、
行動に至るまでの経過が明らかになるにつれ『已むに已まれぬ義挙だった』との同情が多く寄せられ
たのが大きく寄与した。巻き込まれただけなのに結構な怪我まで負った社にも、擁護の声が上がった。
翻ってアキラはと言えば。語るまでもない。
『オレにも確かな情報は回って来とらへんわ。噂ばっかしでな……ゆーても、組織がちゃうよって東
京がどんな動きしとるとかホンマのとこはどないやろな』
やけに含みを持たせた社の物言いは、疑念をより大きく膨らませただけだった。
『まあ、おまえにはアレかもやけど、アイツが復帰したら和谷の連敗も止まるんちゃうか』
事件は、社の成績にはほぼ影響を及ぼさなかった。謹慎中の不戦敗以外は。
だが和谷は。復帰後、現在に至るまで未だ一勝も挙げられていない。
知っていたのか、と目的語を省いて社に問うてみた。
『何のこっちゃわからん』
話の文脈を読める社がこう答えるのだから本当に知らない、気付いていなかったのだろう。
ヒカルへの和谷の想いを。
『仮に誰かがリークしとるんやとしたら、よっぽど嫌なんやろな東京。おまえと切れたっちゅう確約
要求してきよるんは、世間様に痛い腹探られたないアピールや』
外国に『日本の碁打ちは雑魚ばかり』と嘲笑われたくないので復帰して下さいお願いします、と本音
を出せない棋院の対外的な面子。そんなもののために。
もういいじゃないか。北斗通信システムと共謀して、八年もの間、散々彼を食い物にしたじゃないか。
いい加減解放してやってくれ。真っ直ぐ、碁にだけ向かわせてやってくれ。
- 189 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/25(日) 07:06:55.99 ID:???
- 違う。そんな綺麗なものじゃない。
奪わないでくれ。ボクから彼を奪うな。
後部座席から、ヒカルの規則正しい寝息が聞こえる。安らかで、静かな呼吸。
アキラが問われた罪は傷害だった。だが、相手が女性なら強姦罪になる。罰の上限は強姦の方が重い。
十五歳の時からの分を包括した罪ゆえ、最初に無理矢理挿入した時点で実質上強姦。相手が同性だっ
たのを幸い、傷害として逃れた。昨年九月、性器の挿入こそしてはいないが陵辱と呼んで差し支えな
いほどの行為の末、着衣の乱れを直すこともせず放置し逃亡。発見した母親が悲鳴を上げるほどの惨
状は入院患者のSNSによって拡散され、市井の人々の記憶に未だ新しく刻まれている。
とどめに、生放送でヒカルに追い討ちをかけ。死を選ばせる最後の撃鉄を落とした。
傷害は起訴猶予とはなったものの、これでは棋院がアキラを呼び戻したくとも戻せない。
国際ランキング上位にいる日本人はただでさえ少ない。その貴重な棋士を二人も失ったままならどう
なるか。棋士の平均レベル低下は国内棋戦の対外的評価を下げ、日本主催の国際棋戦の格も落とす。
それくらい小学生でも理解できる。
だからと言って、独りで戻れなんて。恥の塊のような動画をバラ撒かれ、味方など誰も望めない彼に。
和谷なら低俗な中傷に立ち向かってくれるだろうか。でも他には?表立って擁護する人間は期待でき
ない。誰にだって自分の立場がある。
引き離されては、彼を支えられない。彼の碁を理解し、磨き上げてやる事が出来ない。
無軌道で奔放、野放図なようにしか見えない、あの未完成で不安定極まる碁を盤石に近づけるには、
トップ棋士同士による数多の叩き合いを経なければならない。相手は別にアキラでなくとも構わない。
ああ違う、違う、違うんだ。アキラは激しくかぶりを振ってハンドル上に突っ伏した。キーは挿した
だけ、エンジンは始動させていない。こんな精神状態で運転するのは自殺と同じだ。
「いやだ……いかないで」
ボクから離れて行くなんて嫌だ。二度と抱けなくてもいい、離れないで。違う。ずっと抱いていたい。
永遠を約束させて、キミを縛ってしまいたい。好きだ。殺したいほど憎い。穏やかに過ごしたい。身
も心も今度こそ跡形なく磨り潰してやりたい。
差し向かいで打つことすらもう許されない。叩き潰してやれない。おまえは紛い物だ。慎みも恥じら
いも欠落した淫魔。淫獣。昔の彼はどこだ。返せ。死んだ。死んでしまった。違う。ボクが殺した。
認めたくないんだ。今のキミを。
ボクに背を向け、独り征こうとしているキミを。認めたくないんだ。
ふたりでなら、どこででも碁打ちとして生きていける。そう思った。彼の選択に従い、共に生きよう
と決めた。ヒカルが望むなら、アマとして中国でも韓国でも台湾でも、どこでも良かった。
まさか、自分が最初から除外していた選択肢だなんて。除外の理由は単純、揃って戻れる可能性が無
かったから。
目を背けていた。ヒカルだけが戻るという選択肢を見たくなかった。想定したくなかった。
「っう……うう……」
飲み込みきれない嗚咽が、次から次へとせり上がって来る。
「ぅああ……あああ……あぁあああ……ああ……!」
嗚咽は長い長い慟哭となり、狭い車内に反響して充ちた。
- 190 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/25(日) 07:07:40.42 ID:???
- ヒカルたん「くーすかぴー(なんかうるせー…ハラへったーラーメンくいてー)」
社さん、本編後日談通じて怪我させられてもまあしょーがない事やってまつ
そもそも大元の火付け役はこいつだww
おかげで若゛先生がこの有様だよ!
>>187
おつありでつ、なんかワロタww
- 191 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/26(月) 00:11:43.38 ID:???
- 若いっそのことヒカルたんを監禁軟禁なんでもしてしまいそうだな…
おつおつ!
- 192 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/26(月) 07:22:58.70 ID:???
- ***
無茶をし過ぎた反動は必ずあると予想できていた。腸内に残ったチョコレートその他の後始末もして
いなかったから尚更。
それは的中し、ヒカルは隠れ家到着後に激しい上げ下げを繰り返して高熱を発した。
短時間で抜けるレンドルミンの効果が薄れだした途端に戻し始め、アキラは掃除やらに追われた。
精神科のクリニックで処方された薬には、解熱剤も代替可能なものも無かった。
「……どこか町医者でいい。すぐかかれる所へ解熱剤を処方してもらいに行こう」
「なんつって説明すんだよ……熱さましなんて売薬でいいだろ。まだヨユーで店開いてる」
「でも」
「ヤだよ。名前でモロバレすんじゃん」
「なら、あの病院はどうしてるんだ」
「ん?……最初に電話で、ワケアリなんで名前呼ばないで欲しいって頼んだ」
「じゃあ、診察とか会計とかは」
「ナースと事務員が肩叩いて順番教えてくれる」
「もしかして、通院が月イチなのって」
「そうマメに行けるかよ……薬出せるのは法律で四週間分までだから、期間マックスなんだよ」
頑なに医者にかかるのを拒むヒカルに根負けし、アキラはドラッグストアで頭痛・解熱の市販薬を探
した。一番薬効が強いのはどれか薬剤師に訊ねたが、吐くのだと言ったら強いのは薦められないと返
され、案の定病院へ連れて行けと忠告された。
アキラが調達した薬で一晩様子を見たが、用量を遵守していては余り熱は下がらないと判った。
「……バファリンじゃイマイチかー……マズイなー、明日は」
「出かけるのか」
「ん」
隠そうともしない。けれど、行き先は。
「どこへ」
思った通り答えない。追求する気など失せ果てていた。どうせ、こそこそ電話だ。棋院との。
「昼食。雑炊なら食べられる?」
白粥はヒカルが嫌がった。入院中と岸本の部屋に匿われていた時に食べ飽きて見たくもないのだとか。
さもありなん。
「んー?カニのがいい。カニ入ったの」
勿論、鍋も米もないのに作れる訳がない。コンビニで買う出来合いだ。
「なかったら別のを買ってくるけど」
「ヤダ。カニ。カニがいい。フリーズドライじゃなくてレトルトかレンチンのやつ」
「小学生か。いくつサバを読んでる、図々しい」
額を軽く小突いて枕元から立ち上がり、アキラはコートを着込んで玄関へ向かった。
注文が煩い時に限って、それが売り切れていたりするのはありがちな不運だ。近所のコンビニには白
粥と梅干し粥は置いてあった。しかし粥を買って帰った場合のヒカルの不機嫌な顔がありありと脳裏
に浮かんできて、アキラは嘆息した。
- 193 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/26(月) 07:23:34.23 ID:???
- 一旦家に戻り、車のキーを取ってすぐに出る。ヒカルに声は掛けなかった。向こうも何も言わない。
ヒカルが釣りに行った日に皿やらを買ったスーパーは徒歩では時間を食い過ぎる。あの日はヒカルが
車を使っていたので歩かざるを得なかった。
店内で雑炊のコーナーを探すのに手間取った。普段買わないものは買い物中に目に入っていても記憶
に残らないものだ。レジ以外の店員と接触を持つのは躊躇われた。ヒカルほどでないにせよ、特定さ
れる材料は他者に極力与えたくない。慎重に越したことはない。
その所為でかなり時間をロスしてしまった。食欲はないだろうが、空っぽの胃に解熱剤は良くない。
運転も焦りは禁物。交通違反で引っかかりでもしたら。
すっかり習い性になってしまって、昨日ホテルの内線で車のナンバーを言い澱んでしまった。
(まるで逃げまわる指名手配犯だな)
そう立場は変わるまい。アキラには犯罪歴ありだ。
被害者と一緒に逃避行。ますますそれらしい。
いっその事、ヒカルを連れて国内国外問わず転々としてみようか。全ての桎梏から逃れ、流れるのも
悪くない。
「国外は無理だな。ふたりともパスポートは東京だ」
こっちに来る時もっと考えて物を持ち出せば良かった。
などと、妄想を膨らますうちに馬鹿らしくなった。刹那的な逃亡生活に熟慮もへったくれも。
雑炊ひとつ買うのに、結局はコンビニと合わせて小一時間ほど要してしまった。
「ごめん、遅くな……」
部屋の奥から聞こえる話し声に、アキラは三和土で思わず足を止めた。
車でスーパーに向かったから時間が取れると油断したのか。ヒカルが誰かと電話をしている。
「いえ……はい……はい、ええ。こっちはどうにか。はい」
上がり口に音を立てないようそっとレジ袋を置き、静かに靴を脱いで足音を忍ばせる。
ヒカルは気分が悪いのをどうにか堪えている様子で、布団に半身を起こして立てた膝に顔を伏せた状
態で携帯電話を握っていた。近づくアキラには気づいていない。
尻尾を、掴んでやる。どうせ棋院の事務局なのは判りきっているが。
「いいえ。こちらこそ、無理をお願いして申し訳ありません……それで、っ、あ!」
引ったくった電話機を耳に当てる。さあどうぞ、続きを話して下さい。
『……進藤君?どうした』
耳がおかしくなったのかと最初は思った。
『どうしたね、具合が悪くなったか。体調を崩しているのにわざわざ済まなかった』
そんな、何故だ。呼吸が知らず知らず荒くなる。頭がぐらつく。
「────────おとう、さん」
電話の向こうで、息を呑む音がした。暫しの沈黙の後。
『アキラか』
父、塔矢行洋は動揺ひとつ声に表さず。淡々とした口調で久々の我が子に対しそう呼びかけた。
- 194 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/26(月) 07:24:06.71 ID:???
- 「どうしてここにいるのか、とは訊かないんですか」
『訊く必要があるのか』
父は知っている。アキラがこの部屋に転がり込んでいるのを。誰が教えた。自明じゃないか。
不安げに瞳を揺らし、自分を見上げるヒカルを一瞥する。
「今、どちらにいらっしゃるんですか」
『名古屋だ。所要でね』
「国内にはいつまでご滞在ですか……いいえ。明日、進藤に会うご予定なんですよね」
『そんな予定はない』
もう一度ヒカルを見る。力なく首を振ることで、彼は父の言葉に追従する。
「予定は繰り延べですか、彼の体調が優れないから」
『彼は明日、外出する予定だったのかね』
当てが外れた。ヒカルは父に会うため外出するのではないようだ。
アキラは息を大きく吐き出し、緊張感で掠れそうになる声を何とか落ち着けようとした。
「直接会ってお聞きしたいことがあります。時間を頂けないでしょうか」
『……明日の夕方、東京本院に寄って羽田だ。午前中なら空けられないでもないが』
「それで構いません、お伺いします。名古屋ですね」
『そこから遠いのでは?』
「距離など問題ではありません」
『わかった。名古屋駅に着いたら今繋がっているこの番号に電話してきなさい』
ちらりと液晶画面を確認する。表示されているのは携帯電話の番号だった。
「ありがとうございます。では、失礼します」
ヒカルに話したいことが残っていようが問答無用で、アキラは一方的に通話を切って電話機をぞんざ
いに投げ返した。小さなボディが、掛け布団に当たって落ちる。
ヒカルがそろそろと布団を抜け出して何かしようとするのを、肩を掴んで引き止めた。
「後にしてくれ。オレ、先トイレ」
「足元があやしいな。ついててやるよ」
「なんつーヤなツラして笑ってやがる。鏡見てみろ変態」
毒づいても虚勢を張っているようにしか見えない。手洗いに行くのが嫌だからだ。
「我慢はいけないな。催したらちゃんと行かなきゃ」
背中に手を回して体をホールドし、逃げられないようにしてユニットバスへ連れて行く。
「ド変態。見たいのかよ」
「ついでに声も聞きたいね」
便器の蓋と便座を纏めて上げてやり、ヒカルが局部を出すのを背中越しに見物する。
「んなじっと観察されたら、縮こまって出るもんも出ねェよ」
「焼け火箸突っ込まれるくらい痛かったら、そりゃ怖いよね……手伝おう」
「へ?……あ!コラ!やめ……!」
グレーのスウェットのズボンを膝上までずり下げると、ヒカルが泡を食って制止した。
「テメこのっ……あぅ!いっ……!痛っ……!」
何度も下して爛れかけた後孔へ、手近にあったボディソープをローション代わりに指を一本。
しみる痛みに、ヒカルは身を捩ってアキラの腕から逃れようとする。
「いつだって欲しいくせに遠慮するなよ。中から圧迫して、出しやすくしてやるから」
- 195 名前:泥中の蓮・後 ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/26(月) 07:24:40.92 ID:???
- 物凄くニッチな、というかピンポイントな需要しかないプレイに突入でつ
つか若゛先生、前の日しおしおになって泣いてたのに元気だなオイ変態
監禁か……それもいいな(ゲス顔
- 196 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/26(月) 15:04:42.53 ID:???
- だが俺得である(;´Д`)ハァハァ
- 197 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/27(火) 20:54:47.22 ID:???
- ヒカルたんのエロ可愛さの根源ってなんなんだろうな…
無邪気に見せかけての溢れ出る色気からか…
- 198 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/27(火) 21:49:15.01 ID:???
- だいたいけしからん扉絵のせいだと思う(;´Д`)ハァハァ
M字開脚で咥えてたり、Tシャツめくってお腹丸出しで胸に手が入ってたり
誰向けのサービスなのかと小一時間(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 199 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/27(火) 22:24:08.50 ID:???
- M字開脚は殺人レベルのエロさだったな(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんは無意識のうちに誘ってくるからけしからん
- 200 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/28(水) 00:41:05.91 ID:???
- あれらのエロ可愛いサービス絵に、どれだけのメイツが屍の山を築いたか(;´Д`)ハァハァ
- 201 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/28(水) 02:23:50.95 ID:???
- 痛みに硬直している所為か、指をぎっちり噛み込んで動かすどころか第二関節まで挿れるのも困難だ。
昨日、ぱっくり大きく口を開けて内部の粘膜が蠢くのを見せた淫らな場所と同じとは思えない。
「いだい、いでェって……やーめーろっつの!」
ヒカルが身藻掻いてアキラの腕を解こうとする。
こわばる筋肉の抵抗をねじ伏せ、指を更に奥へと突き立てると、いつもよりずっと熱い内部に興奮は
いや増す。関節を曲げ、くいくいと壁を押したり叩いたりすれば、感じ入った声を漏らす……はずだ
が、今日はそうではなかった。
鼻柱を中心に衝撃が走り、次いで脈打つような熱さと痛みがやってきた。ヒカルの振り上げた裏拳が
狙ったかのようにヒットしたのだ。
「痛ェつってんのがわかんねーのか!あ゛ぁ?ぶっ飛ばすぞ!」
次の瞬間、アキラはホールドする右腕の力を強めてヒカルの動きを封じ。指を引き抜いて。
「ッくぁ……!テメッ、マジかよ……うぁあッ!」
「……っふぅ、はぁ……残念、体調が万全なら、っ、伸せただろうに、ねっ」
「痛い、無理……!はなせっ、あ、あぁッ」
亀頭をめり込ませ雁首まで押し込もうとするが、入り口は固くてなかなか進まない。
「何てこと、ないだろ……経験が浅かった頃ならともかく、今は痛いのさえ気持ちよくなってしまう
因業な体なんだから、さ!」
「ンな便利に、いッ!いくか……!ぅああ!」
ガチガチに硬度を上げた肉の楔が、閉じた門を力尽くでこじ開けてゆく。ヒカルの項に冷汗で濡れた
髪が張り付き、アキラの唇を誘うような艶かしさで白熱電球の光を弾いて煌めく。
ここまで本気で抵抗されるのは初めてだ。もしかしたら、あの三年間のうち。本因坊戦の時期に拒ま
れても無視して襲えば、こうなったかも知れない。糞真面目に引き下がって勿体ないことをした。
「おしっこ出すのと、今突き刺されてるの。どっちが痛い?」
ヒカルはぶんぶんと首を振って呻くだけで答えない。
「思い出すなあ、慣れてなかった頃のキミを……いつも、こうやって、っ!」
「ぃっああああっ!」
「本当に学習しないな、大きな声を出したら、ダメ、だろ」
「ぐ、ぅ、うぅ……っ、ぅ」
腕の中の体が、苦痛で固まって小刻みに震えている。さしもの淫魔も、昨夕からの体調では快楽を追
うのは難しそうだ。
「あぁっ、いた、ぃ、はぁ、っく、う゛ぅう……」
唇から紡がれるのも、あえかな媚声ではなく喉から絞るような苦吟。
めりめりと音が聞こえるような錯覚を覚える。恐らくは切れたのだろう、きつさに変化はないが滑り
が少しだけ良くなり、一気に奥まで咥えさせることに成功した。アキラの腰骨がヒカルの尻に当たる。
「さあ……お待たせ。出せるように、協力してやるよ」
尿意を我慢していたのが腸壁越しに肉茎で触れて判るほど、膀胱が膨らんでいる。そこを押し潰すよ
うにゆっくり抽送を開始し、手を離してしまったヒカルの代わりに縮こまった陰茎を摘んで便器に向
けてやり、排尿を促す。
- 202 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/28(水) 02:24:22.58 ID:???
- 「ぅう────、ぁぐぅ……ひっ、いっあ゛」
「出ない?まだ押しが足りない?それは悪かった、ね!」
膀胱への凶悪な一撃が、頑なな内尿道口の関所を突き破る。
ヒカルの右手が彷徨い、胸に廻っていたアキラの左腕を掴んで。渾身の力で噛み付く。
「……っ、ぐ」
捕まえている体の熱が更に上がり、ヒカルの全身ががくがくと痙攣する。
「────────ッ!う゛ぅ────!ん゛ンん────!」
ちょろ、と僅かな水音とともに、申し訳程度の小水が萎えた先端から漏れだす。
「それだけ?嘘はいけないな、いくらキミの専売特許でも健康に良くない嘘は」
セーターの生地ごとぎりぎりと腕に食い込む歯の圧痛を堪え、アキラは悪意の篭もる笑いを漏らした。
ヒカルの膝が、痛みの余り大きく笑いだす。足踏みでもしているかのようだ。
「どっちが痛いんだよ?答えろよ、前?後ろ?減るもんじゃなし、教えてくれてもいいだろ」
ちろりと滴る度に痛みで排尿は止まり、アキラの突き上げでまた少し始まる。それが繰り返される。
「痛いのは何もキミだけじゃないんだ。ナカが狭くて固いからね、ボクのも、凄く、痛い」
拒む後孔に無理矢理挿入する痛さで萎えそうになるのを興奮が補い、アキラの肉茎は硬度と持続力を
維持し続けている。
「ん゛────!ん゛ぅうう!う゛ぅう────!」
ああ堪らない。快楽の欠片すら拾えず、自ら地獄とまで称した苦痛の井戸の底でのたうつヒカルを犯
すのはこの上なく罪深くて、昂りが止まらない。
「ホラ出して、もっと、もっと。まだだよ、まだいっぱい残ってるじゃないか……!」
膀胱の押し戻しが感じられなくなるまで肉棒でつつき回し、一応の終わりを見てもアキラのそれは硬
く反り返ったままだった。
ヒカルは便器の前にへたり込み、便器の縁に額をつけて、喉から笛のような音を鳴らしながら肩で息
をしている。その髪を掴み上げ、小さな鼻の頭に噛みつかんばなりに顔を寄せて、アキラは『次』を
強要した。
「いくらボクでも、今日ナカで出すほど鬼じゃない。でも、結構消耗したからさ、慰労くらいしても
らってもいいよね」
口元に突き付けられた怒張から、ヒカルは顔を背けようとする。髪を掴みなおし、アキラは唇の間に
先端をこじ入れた。茎の表面には、ところどころ血がこびりついている。
「噛むなよ。ちゃんと最後までやれ、綺麗にな」
「……………………」
その声は、小さすぎて聞き取れなかった。
「あぁ?何だって?」
ヒカルが大きく頭を振って、髪を掴んだアキラの手を払いのけようとする。
「ざっ……けんな畜生、ブチ切れんぞゴラ!」
これは間違いなく噛まれる。そう思ったアキラは口淫で射精するのを断念した。その代わり、髪を掴
んだままユニットバスの床に引き倒して頭を踏みつける。
「こっちの科白だ、ひとの親とこそこそ内緒話なんかしてやがって!舐めくさるのも大概にしろ!」
- 203 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/28(水) 02:24:57.74 ID:???
- 中学生ヒカルたんのエロテロリストぶりに(;´Д`)ハァハァしている空気など読まず投下してもうた
許してつかあさい(;´Д`)ハァハァ
痛がるだけのヒカルたんが書きたくて書いた、後悔などしていない
>>196
やあ輪舞曲たんww
- 204 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/28(水) 03:34:48.48 ID:???
- ×噛みつかんばなり ○噛みつかんばかり
…コソーリ
- 205 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/28(水) 04:56:28.64 ID:???
- 痛がっているヒカルたんもまた(;´Д`)ハァハァ
>>203
だから何故わかった
- 206 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/28(水) 04:58:25.55 ID:???
- ヒカルたんはケフィアで下肢を汚しながら笑みを浮かべるエロテロリスト(;´Д`)ハァハァ
- 207 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/30(金) 03:36:31.34 ID:???
- ヒカルたんもっといじめられてくれヒカルたん
- 208 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/30(金) 04:16:18.56 ID:???
- いじめられて半泣きになってるヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 209 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/30(金) 23:38:41.04 ID:???
- 「うぜェ、オレが誰と電話してようが勝手だろうが」
ヒカルは怯む様子も見せない。腹が立つほどふてぶてしい。アキラは側頭部を踏む足に力を込めた。
長くなった髪が、ユニットバスの床に乱れ文様を作る。そこに、あの明るい色は混じっていない。
根元が伸びれば元の色が出てくるため、市販の染毛剤を使って十日に一度の頻度で染める。
本当の彼を、黒で塗り潰す作業。自分の前でヒカルが本心を隠す、という暗喩に思えて、アキラは気
に入らなかった。
「そうだな、勝手だ。父とどんな企てをしようが、ひとのいない所で復帰の段取りを立ててようが」
「わかってんならいちいちキレてんじゃねーよ」
(否定、しない……!)
決定打だった。頭の中で一斉に無数のシンバルが鳴りだしたかのように、耳と目の奥が痛む。
ネット記事が、渦中にある当人によって裏付けされてしまった。
「……………………く!」
自分の歯軋りの音が、アキラの頭痛に輪をかける。
本当にいなくなってしまう。自分の前から。手が届かなくなる。触れられなくなる。
何故なら、ヒカルが復帰するために課せられた条件は。
(どうすればいい)
今すぐこの部屋を去って誰も居ない寒々しい実家に引き篭もるか。
それとも、最後の一日までヒカルと一緒に過ごし、肌の匂いと温もりを記憶にしっかり刻みつけるか。
(……それとも)
最悪の選択肢が昔のヒカルの姿をとって耳孔をちろちろと舐め擽り、選べ選べと甘く囁く。
自分だけのものにしてしまえばいいじゃないか。そんなに苦しいなら。
あの時、やり損ねただろう?今度こそ、確実に、言葉なんかじゃなく自分の手で。
「オレが言うこと何でもかんでも嘘で信じらんねーっつーくせに、その嘘つきに一生を約束させたい
とか。ハハッ、笑わせんじゃねーや。約束したらしたで、それも嘘だって疑うんだぜ?」
「黙れ」
「どこ行ってたか話しても嘘、どれもこれも嘘。好きだって言わせたのはそっちなのに、それも嘘で
片付けられたらやってらんねーや」
「うるさい」
「そんなに嘘つかれたと思ってムカつくなら、さっさとここから出てって帰れば?」
「……とっくに、ボクを切り捨てるって決めてたんだな」
「どうせ、こうと決めつけた結論しか受け付けないんだし、オレがどう言おうが動こうが一緒だろ」
「あ゛ぁッ!」
吠えて、横たわる無防備な体を蹴る。綺麗に脇腹に入り、ヒカルは体を折って呻いた。
「ぉあ……はぁ、おまえさァ、日本語が不自由になるくらいアタマ煮えてんのな、ぅお゛!」
今度は鳩尾。嘔気を誘発したらしくヒカルは二度三度えずいた。
「がは、っ、ムリして汚い言葉遣おうとすんなよ、みっともねーだけだぜ?」
へへへ、と小馬鹿にした笑いで挑発されると、乗せられたくなくても乗せられてしまう。
蹴り回した。いきり立った一物をしまう事も忘れて。それを見たヒカルが、苦鳴を漏らしながら指差
して嗤う。馬鹿にした笑い。ますます腹の中が煮えくり返る。
- 210 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/30(金) 23:39:13.65 ID:???
- 「く、アハハハ!ぁう、ッ、愛してるよ塔矢、そんなに好き?ムカついて殺したくなるほどオレのこ
と好き?あ、ふッ!そんな恥ずかしい、がは!カッコも気になんない、う゛ッ!ほどっ、アハ、アハ
ハハッ!」
揶揄嘲りの文言に『愛してる』なんか選ぶな。おまえの、ただでさえ水素のように軽い言葉がもっと
軽くなる。そんなものに価値など認めてたまるか。
「い゛っ!」
指差すその右腕に向け、足を叩きつけるように落とす。ヒカルが蛙の潰れたような声で呻く。
急に、自分のしている事が虚しくなった。胸の中も、腹も、頭も。液体窒素で一気に冷却されたかの
ように温度が下がった。
足下からは、ヒカルの苦しそうな息遣いと喘ぎが昇り聞こえてくる。
耳に入るもの、目に映るもの、そのどれを以ってしても。アキラの感情に響かなくなった。
激昂し過ぎた余り麻痺してしまったのだろうか。きっとそうだ。
────────今なら。眉一つ動かすことなく、最悪の選択肢に手を伸ばせる。そんな気がした。
ユニットバスの床に転がるヒカルに背を向け、服の乱れを整えた。セカンドバッグを掴み、コートと
マフラーを身につけ、玄関へと向かう。
どこへ行くとも問われなかった。帰るのかとも問われなかった。何も言われなかった。一言すらなか
った。
玄関ドアを開けると、表はまだ陽が高く眩しいほどに明るかった。そう言えば、買ってきた雑炊のレ
ンジ調理用カップを上がり口に置きっぱなしだった。昼食をと思っていたのだから、夕刻にはまだま
だ程遠いのも道理だ。
父との約束は明日午前。幾ら交通の便が悪い土地に居たとて、これから名古屋へ向かうには早過ぎる。
いいや。歩こう。メインターミナルまで歩こう。二時間も歩けば着く。アキラはそう決めた。
駅ビルで昼と夜を兼ねた食事をし、各駅停車を乗り継ごう。どこかで終電の時刻になるだろうが、別
に構わない。始発時間まで待っていればいい。
時間が押してきそうになったら、快速か何かに乗り換えれば問題はない。
車を使うのが常の生活に慣らされていた所為で、三十分ほど歩いたら少し足に重さを感じた。
その重さに逆らうように、アキラはぐっと歩幅を広げた。
「もっと到着が遅いと思っていたよ」
宿泊先のホテルの部屋で、父・塔矢行洋は穏やかにアキラを迎えた。厳しい視線を向けられると覚悟
していただけに、意外だった。
(もうボクには怒る価値もないってことか)
「済まんが、東京へ向かう前にもう一件急用が入った。そう長く込み入った話は出来んが、いいかね」
徹夜でJR線を乗り継いだので、寝不足と疲労で頭が回らない。簡潔に話を纏められるだろうか。
「……お母さんの具合は、その後いかがですか」
「もう随分いいのだがね……まだ日本に帰るのが怖いようだ。それで今回も置いて来た」
母は心労が祟って床に伏せ、現在夫婦で長期滞在中のシンガポールで療養していると聞いた。
自分の親に関する事柄まで伝聞に頼らねばならない。身から出た錆とは言え、世知辛いものだ。
- 211 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/30(金) 23:40:24.27 ID:???
- 「申し訳ありません」
「過ぎた事だ。それに、まだ子供だったおまえを身贔屓で過大評価した私の責任でもある」
静かな口調であるだけに、父の言葉はただの口汚い罵倒より何倍も重く圧しかかった。
「…………ですが、去年の事は」
「碁打ちとしてのおまえを頼もしく思う余り、中学生であるという事実を見失った。去年の事は、そ
の延長線上にあると認識している」
「だから、進藤に便宜を図っていると?罪滅ぼしで?」
「何の事だ」
アキラは一旦口を噤み、再度恐る恐る開いた。
「昨日の、電話は」
「以前からの頼まれものでな。私所有の不動産から、都内のマンションに空室があれば売るか貸すか
して欲しいと言っていた。それで、近日中に管理会社から書類を送らせると連絡したんだよ」
「それは……」
緊張で指先が冷たくなる。聞きたくない。でも聞かねば。
「それは、いつ頼まれたんです」
「去年だな。師走に入ってはいなかったか」
その時期はまだ入院中だったかも知れないのに?そんな早くから?
「都内って、それって……復帰に向けての準備を?」
「実家に戻って親と顔を突き合わすのが辛いのか、近所の好奇の目が辛いのか。彼ははっきり言わな
いが、そんなところだろう」
「進藤の復帰を、ご存知だったんですね?」
アキラを真っ直ぐ見る行洋の目は、読みきれぬ底の深さを持っていた。
「立ち話もなんだ、掛けなさい。酷く疲れた顔をしている」
ソファへと促されたが、アキラは従わなかった。行洋は小さく溜息を吐き、ひとりソファに腰を沈め
た。
「……彼の選択を、尊重するのではなかったのか」
「そんなことまで話していたのか、アイツ」
ふたりで大事に守っていたつもりの聖域が、実は第三者にもオープンだったなんて。聖域のつもりで
いたのは自分だけだと知った気分は最低だった。
裏切りの証拠が次々に出てくる。これでどうやって彼を信用しろって?変な笑いが出そうになる。
「聞く耳を持たなくなってしまったようなので、私から言って欲しいとも」
「何をです」
「国外に出ればどうにかなると考えるのは甘いとね」
ヒカルの精神衛生に遠慮して、提案すらできなかったのに。当のヒカルには見透かされていたなんて。
「残念ながら、私も同意見だ。おまえや彼の行状は、もうあちらに広く知れ渡っているよ」
アキラは俯き、下唇を強く噛み締めた。口の中に鉄臭さを感じる。
「無理に海外のオープン戦に活路を求めるより、処分保留で籍を置いたまま国内で復帰を試みた方が
現実的だ。私が引退した時とは事情が違う」
その後、何を話し何を聞いたか、記憶がところどころ散逸している。
ふと我に帰った時、アキラは自分が新幹線の車内にいるのを不思議に思った程だった。
- 212 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/30(金) 23:41:42.26 ID:???
- 煽りまくるヒカルたん…
自転車盗難→発熱→寝ゲロの三連コンボを食らってもうたorz
…こんな話書いてる罰なんでつかね
若゛「報いを受けるがいい、ふはははは」
ほんとさー、構想できた当初はお馬鹿でノーテンキなエロ短編だったのに
本編を端折って終わらせた影響がここまでとは思わなんだでつ
でも物凄く簡潔に書くと
「進藤があっちへふらふらこっちへふらふら行き先告げずに外出する、
おまけに毎日アッチの方は積極的で、振り回されるボクは超大変」
…元構想と今の話が同じになる不思議
>>205
この過疎った今のスレ内、尿道・放尿プレイにがっつり食いついてくれるのは
ボトラーヒカルたんを爆誕させた輪舞曲たんくらいでつよHAHAHA!
- 213 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/01/31(土) 01:50:14.68 ID:???
- ×精神衛生に遠慮して ○精神衛生を慮って
なんか色々ドイヒー…自転車どうすべぇか
- 214 名前:名無しさん@ピンキー :2015/01/31(土) 02:05:42.19 ID:???
- 若゛も苦労するな
- 215 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 13:57:51.46 ID:???
- >>212
自転車盗難→ヒカルたんによる犯行
発熱→ヒカルたんからの風邪菌
寝ゲロ→ヒカルたんからの貰いゲロ
と思えば乗り越えられるだろう…(;´Д`)ハァハァ
- 216 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 19:21:00.99 ID:???
- あのボロチャリを華麗に乗り捨てるとはヒカルたんの尻軽め(;´Д`)ハァハァ
しかしなんぼヒカルたんのでもゲロはハードルが高い…
こんな局面で俺のヒカルたんへの愛が試されるとは(;´Д`)ハァハァ
うおお寒気が止まらん、ヒカルたんに湯たんぽになってほしい(;´Д`)ハァハァ
- 217 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 19:43:19.85 ID:???
- あれ、もう2月だな…
忙しい時は毎日妄想が蔓延っていたんだが、暇になるとやる気がとんでいってしまう呪いにかけられて…
- 218 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 19:47:24.20 ID:???
- うおおおおおおおヒカルたん俺だ結婚してくれ!!!!
- 219 名前: 【末吉】 :2015/02/01(日) 19:52:14.60 ID:???
- >>217
待ってたよ輪舞曲たん…さあ、溜めにためたヒカルたん(;´Д`)ハァハァを
今こそ解き放ってくれ!
- 220 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 19:53:43.33 ID:???
- >>218
何が何でも阻止
- 221 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/01(日) 21:22:38.34 ID:???
- 俺の脳内でヒカルたんは触手とあんあんしてたぜ(;´Д`)ハァハァ
- 222 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/02(月) 04:18:42.75 ID:???
- 職人さんいつも本当にありがとう!
いつも感謝してるぜまじで!
- 223 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/02(月) 18:26:52.66 ID:???
- 最近エラーで書き込めないこと多いぜ(;´Д`)
ヒカルたんの反抗期か?お仕置きしちゃうぞ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 224 名前:盆 :2015/02/03(火) 05:30:08.81 ID:???
- てすとついでに
こっち書き込めなんだので、昨日投下分は避難所にあるでつ
ヒカルたんが反抗期…
「見るだけならいーけど挿れるのはヤダ!」→500 internal server error
(;´Д`)ハァハァ
- 225 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 08:58:55.38 ID:???
- 職人さん方いつも乙です
暫定保管庫のURLが変わったのでよろしくです
http://red.ribbon.to/~hikaru/rog/novel/
ぼちぼち更新作業もしていきたい
- 226 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 09:03:45.70 ID:???
- て間違えたこっちだ(;´Д`)スマソ
http://red.ribbon.to/~hikaru/novel/
- 227 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 10:20:05.09 ID:???
- 暫定保管庫たん乙です
もし俺が新スレ立てることになったら、テンプレの変更忘れないようにしなくては
- 228 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 13:32:27.57 ID:???
- >>224の通り、前回投下分は避難所でつ
でもって避難所の続き↓
- 229 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 13:33:04.91 ID:???
- ヒカルはにっと口の端を上げ、頷いた。
「マジでさ、気がついたらいんのな。気配消して入ってくんなよ怖いじゃんって」
「……桑原先生とは、どんな話を」
「どんなもこんなも、オレは息すんのもしんどいからさ、あの爺ちゃんオンステージだぜ」
「それで」
「長ったらしい話はなかった。自分のシックスセンス自慢、くくく、あーもー、ガチ霊感あったのな
ジジイ……さっすが、あの世とこの世の往復フリーパス持ってるだけあるぜ」
「何度もご病気で危なくなられた方を茶化すのは」
「気にしねーさあの妖怪は。面白がれるネタなら何でも乗るから」
「ただの雑談をしに、面会謝絶の部屋へ?」
「……雑談、つか向こうが一方的にしゃべってっただけだったけどね。でさ、時間は腐るほどあるん
だから気軽な暇つぶしをやってみろって爺ちゃんが」
「何を」
「考える。ただ考える。ぼんやりとでいいから考える……オレが碁を自分で打ちたくなったのはなん
でだろう、から始めてさ」
自分で打ちたくなったのは何故だろう。
強さを求めるようになったのは何故だろう。
プロを目指したのは何故だろう。
ひとつひとつの『何故』に対して答えを付与してゆく脳内作業に、ヒカルはいつしか没入していたと
言う。その答えにも『何故』が派生し、複雑でややこしくなっていったとも。
「なァんかゴチャゴチャになってきちゃって。嫌気が差しそうになって。もうやめようって思い始め
た時に……発見したっつーか」
「発見?」
「自分で打ちたくなったのは、打ってるヤツらが真剣で楽しそうだったから。強くなりたかったのは、
盤面に思い通りの模様を描いて楽しみたかったから。プロは……もっともっと強くなりたかったから。
そんで」
ここでヒカルは口を噤み、むにゅむにゅと恥ずかしそうに閉じた唇を動かした。キスを誘うようにも
見えたが、アキラには触れる勇気が持てなかった。
「アイツの猿マネしてまで碁打ちでいることにこだわったのは……アイツが消えた事実を認めたくな
いと思うほど尊敬してたからだ。アイツは確かにいたんだって証をオレの手で公式記録に残したいと
望むくらいに。なんで尊敬すんのかって言えば、オレが逆立ちしても勝てない強さを持ってたから」
圧倒的な強さを持つ打ち手に心酔する。盤面を支配し、頭に描いた通りの宇宙を創れるほどの強さを
持つ者に傾倒する。自身もいつかそうあれかしと憧れながら。
「強くなればなるほど、思う通りの宇宙ができる。それって、神様みたいですげーワクワクする。そ
う思ったからオレは強くなろうと頑張り始めたんだ……いつの間にか忘れちゃってた」
「神の一手を目指していたんだから、忘れてなどいないだろ」
「……昔からいる碁の神様に向かって手を伸ばすのと、自分が盤上で神様になるのとは違うよ」
「よく、わからないな。それは志が低くなったということでは?」
アキラの怪訝な表情に、ヒカルはくす、と笑った。
- 230 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/04(水) 13:33:56.56 ID:???
- 「あーやっぱオレ、説明ヘッタクソだな。『何故』の答えを整理してたらさ、めっちゃ単純な結論が
出てきちゃったってのをどれだけ回りくどく言ってんだか」
碁を自分で打ちたいと思ったのも。強さを求めたのも。失った師を追い求め、その幻影に雁字搦めと
なりながら打ち続けたのも。彼にとっては。
「どうしてもクソも。全部が全部『オレが』碁を好きだから。こんなんに気付くまで、十年かかって
んだぜ?アタマ悪ィよなあ」
碁を好きだと思ってはいけないと心に言い聞かせ、消えた師への罪悪感に苛まれながら苦行として打
ち続けた日々。圧し潰されそうに苦しみながら、それでも投げ出さずにいられたのは。
自らの最奥に押し込め蓋をした、自分自身の『好き』という感情があったればこそ。
「なーんだそっかー、って納得したらさ、誰がどうだとか理由つけてグダグダ悩んだのが、アホらし
くなっちゃった。アイツの存在した証とか、そんなんオレがただ打ちたいだけのイイワケでしかなか
った。違うイミで、アイツに申し訳なくてさ……オレが碁を続けるダシにしちゃってゴメンって」
アキラは一ヶ月前の、あの少年の家でのヒカルの言葉を脳内で反芻していた。
『おまえはおまえだし、オレはオレでしかない。そんな単純な話だったんだよな』
あれは、あの日の決別は。
考えて考えて突き詰めて突き詰めて最後に得た、彼なりの解答。
「朝も昼も夜もずーっと。眠ってる時以外ぶっ通しで考え続けた。一週間くらいだったと思うけど、
『何故』の答えの大元がハッキリしてからは早かったなあ。まあ折れたアバラはすぐくっつかないに
せよ、ウソみたいに体が楽になって、メシもモリモリ食うようになって……多分、その頃にアンニャ
ロの頭痛も消えたんじゃないかな」
「頭痛?」
「今となっちゃ、どーでもいいことさ」
ヒカルは悪戯めいた顔で、またくすりと笑った。
「……頭がはっきりして、これから何をするかってのは見えた。でもって、オレがおかしくなってた
間に迷惑かけた人のこと考えたんだ」
どうすれば償えるか。アキラに。和谷や社に。その他関係者に。
罪に問われている者がいるなら、その軽減のために口添えを。元はといえば自分が悪いのだから。
必要とあらば、実の親まで敵に回した。心苦しくはあったが、人の子である以前に碁打ちとしてのア
イデンティティを優先させて動いた。そう、ヒカルは言った。
「だからさ。もっと早く結論出して動けるようになってたら……おまえを逮捕なんかさせなかった。
遅くてホント、ゴメン」
もしも、ヒカルが両親による被害届の提出を阻止出来ていたなら。共に復帰の道があったのだろうか。
「……ボクが今も除名されずに謹慎のままなのって」
これは確信だった。やった事が事実である以上、示談成立のお陰で辛うじて起訴猶予となったレイプ
犯を在籍させておく理由は棋院にないのだ。ヒカルが懇願してくれた結果なのは疑うべくもない。
だが、現実はアキラの復帰を世論も棋院内部も望んではおらず。戻るヒカルにもアキラを切り捨てろ
と条件を突きつけている。
- 231 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/04(水) 13:34:55.52 ID:???
- ヒカルのしてくれた事は純粋な善意に基づくものではあるが。結果的にはアキラを生殺しにしている
だけだ。
今頃、棋院はアキラに対し、まだ引退の届けがないのかと待ち草臥れていることだろう。
「塔矢先生から聞いた?東アジア事情」
「……ああ」
「オレ、秀英とは昔から個人的な付き合いあるだろ?んで結構メールとかでやりとりすんだけど。最
近、国同士が輪をかけて険悪になってきてんのもあって、日本から逃げて来る恥さらしをこっちで面
倒みるとか寝言ほざくなってソウルじゃボロカスらしいよ。塔矢先生によれば、北京もご同様だそう
で」
「……………………」
「おまえひとりの話じゃないよ。フリーになっても碁の強い国で歓迎されないのはオレも同じ」
「それで?キミはいいよね、国内で復帰できるんだから。でもボクは?」
「……ゴメン。オレの見通しが甘かった。起訴されないで出国クリアできれば、なんとかなるって」
「だからキミひとりで戻るって?ボクが半端な状態で身動きが取れないのを尻目に?」
「あのさ塔矢、それは」
「御託はいらない!もしボクがフリーで海外参戦できてたとしても、国内を選んだキミとは結局歩く
道が違う!そうだろ!」
ヒカルは反論せず、アキラを静かに見据えたまま表情を曇らせた。
「キミは戻るんだな……ボクと別れるって条件に同意して」
「……ったく……誰だよ、口の軽いのは……メディアにちょろっとお漏らししてんじゃねーっつの」
ふい、と顔を逸らし、ヒカルは小さく悪態をついた。
緘口令が敷かれていた事については、さほどショックではなかった。
ネット記事の内容が棋院関係者によるリークであるのが完全に確定した事の方が、ダメージは遥かに
大きかった。アキラは言葉を失ったまま、ただヒカルの枕元に力なく座っているだけだった。
「あーもーめんどくせェ、ヤになってきた」
がば、とヒカルは頭から掛布をかぶり、アキラに背を向けて潜ってしまった。
面倒臭いなら、とっとと追い出せばいいのに。
そのくせ、帰らないで欲しいとしおらしい態度でアキラを引き留める。
束の間の蜜月など要らない。希求するのは永遠だけ。
────────それが叶わぬならば。
おとなしく寝ていたのは、実質まる一日だけだった。
翌日、まだ平熱には遠いのに、ヒカルは退屈だ辛気臭いと文句を垂れだして。ついには夕方近くなっ
て車で外に行ってしまった。
本当に退屈しのぎの外出なのかどうか、知れたものではない。しかし、アキラもいい加減、疑うのに
倦み疲れていた。
『貪婪』の出典となった小説について訊けずじまいだったが、もうそんな事を気にするほどの精神的
余裕はアキラには無かった。
- 232 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/04(水) 13:35:58.03 ID:???
- おおう、最初の1レス分名無しで投下してもうた
…本編のヒカルたんよりももっと、若゛先生は近視眼的になってまつね
まあ、こうなってしまったら何言っても無駄無駄無駄ァ!なんでつがね
でもって次回から残りの1プレイ…でつ、たぶん
暫定保管庫たん乙でつ、パスワード問題クリアできたようで何よりでつ
- 233 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/04(水) 16:13:34.00 ID:???
- 乙です!
もう終わってしまうのか…寂しいものである
- 234 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 16:29:08.91 ID:???
- 漫画の連載が終わって10年も経つというのに
こんな良質なSSを落としてくれる職人さんがいることに感謝
- 235 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 18:17:00.33 ID:???
- >>234
全くもって同感である
- 236 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 20:04:56.59 ID:???
- 俺も人生破滅するまでヒカルたんの肉体に溺れきりたい(;´Д`)ハァハァ
- 237 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 20:16:28.99 ID:???
- 魅惑のヒカルたん
- 238 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 20:17:13.42 ID:???
- 暇になったはずなのになんで忙しいんだわけがわからないよヒカルたん!
- 239 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 22:20:38.71 ID:???
- 俺の欲望を受け止めてくれヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 240 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 22:22:53.47 ID:???
- ヒカルたん(;´Д`)ハァハァしたくて小説倉庫覗きに行ったらなぜかアクセスできなかったからおとなしくお風呂にはいってくるよヒカルたん…
ヒカルたんの背中流してあげるよ(;´Д`)ハァハァ
- 241 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 22:24:44.92 ID:???
- ヒカルたんの背中はつるつるすべすべで気持ちいいなあ(;´Д`)ハァハァ
- 242 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/05(木) 22:43:40.12 ID:???
- >>240
http://red.ribbon.to/~hikaru/novel/
暫定たんがアドレス変更した
- 243 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:02:45.92 ID:???
- 原作読み返したらヒカルたんの手首の細さに(;´Д`)ハァハァ
- 244 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:23:23.66 ID:???
- 倉庫番さんの方も今日ずっと鯖落ちてたみたいだ
- 245 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:23:59.19 ID:???
- そっちじゃなくて倉庫番さんの方だったんだが、今行ったら普通にアクセスできた…なんでだ
ヒカルたんが早く風呂にいこうぜって誘ってたのかな(;´Д`)ハァハァ
>>243
ヒカルたんの手首の細さはたまらん
体の成長に肉が追いついてない感じが(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 246 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:24:50.10 ID:???
- >>244
なるほど、さんくす
- 247 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:27:33.68 ID:???
- 古いサイトだから繋がらなくなったらハラハラするな
ribbon鯖は放っておいても消えないらしいが
- 248 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:37:38.97 ID:???
- 定期的に(;´Д`)ハァハァさせてもらってるからなくなったら困るぜ…
- 249 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 00:47:07.35 ID:???
- 倉庫番さんとこも一時繋がらなかったのか
あそこが消えると困る超困る
ヒカルたんの細い手首をひっつかんで肘までペロペロしたい(;´Д`)ハァハァ
- 250 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 01:00:52.59 ID:???
- 個人的にはアイスキャンディを舐めてるヒカルたんの肘に溶けた液が垂れてそれをペロペロしたい(;´Д`)ハァハァ
- 251 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 11:28:34.02 ID:???
- 暫定保管庫、過去ログ追加されてた乙です
- 252 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/06(金) 15:25:39.80 ID:???
- おお、乙です!
- 253 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/08(日) 01:32:40.07 ID:???
- ヒカルたんの今日のパンツの色は俺だけが知っている
- 254 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/08(日) 17:13:02.05 ID:???
- 如何にしてズタズタにされた心を立て直したのか。
そのヒカルの告白は、切り捨ててゆくアキラに向けての最後の情けに思えた。
蛇足だ、と感じた。
下らない後ろめたさがそうさせたなら、有難迷惑でしかなかった。
そんなものを聞かされて、今更どうしろと。
三日前、怒りが振り切れたヒカルに出て行けと言われたが、その言い方も「嫌なら」と婉曲だった。
彼の真意が測れきれない。
本当に彼がアキラを好いてくれていたのなら。未練の発露なのかも知れなかった。
だから帰れと強くも言わない。傍にいるのも去るのもアキラ次第にしている。
でも、そうでないなら?
どっちでもいい。切るならすっぱり切ってくれ。生きながら切り刻まれるような苦しみはもう沢山だ。
生きながら?
どこかで聞いた話だった。ああそうだ、凌遅刑。アキラの記憶にいまだ新しかった。
ヒカルを『殺した』あの日。凌遅刑最後の一刀は、アキラ自身が振るった。
(ボクは今、復讐されているのだろうか)
ならば妥当ではないか。同じ手段でアキラの血肉であったものを次々削ぎ落とし。簡単に死なないよ
う適度な延命も心掛ける。一分一秒でも長く苦しめるために。
(ボクの血肉って、一体何だろう)
物心つく前から用意されていた真っ直ぐな道。尊敬する師。高い目標。十全な環境。居るべき場所。
戦場。
全身全霊をもって斬り結ぶ相手。
同じ高処を目指し、共に歩む者。
生涯を賭けて、鎬を削る者。
(すべて、失った)
戦場にあって、命の削り合いをすべき敵手に心奪われてしまった所為で。
いつ終わるとも知れぬ長い長い道程において、同じものを目指し歩む朋輩を穢した所為で。
(だけど。切り捨てられて、はいそうですかと身を引けるなら……こんなに)
胸の中が血塗れで溢れてしまうほど傷ついたりはしない。
日が暮れて、夜も更けてきたのにヒカルは戻らなかった。今に始まった事ではないが、体調が戻りき
っていないのは大きな不安材料だった。もしも、どこかで倒れていたりしたら。
探しに行こうか。でもどこへ。心当たりなどあるはずもない。三日前のように棋院関係者との会合に
行ったのなら、大阪かも知れないし、下手をすれば東京本院かも知れない。
(いや、あんな遅い時間に出掛けたんだ、東京はないだろう)
今更、人格者ぶってヒカルの心配か。我ながら反吐が出る。アキラは自分を皮肉らずにいられなかっ
た。
ローテーブルの上に置いた自分の携帯電話で、何度も時刻を確認する。二十一時。二十二時。ヒカル
は戻らない。駐車場に侵入するSRVのエグゾーストノートも聞こえて来ない。
少し遠くで、タクシーらしき車が停車したと思しきハザードの微かな音と、利用客らしき人物の上機
嫌な話し声が夜の静寂に響いた。二十三時半過ぎ。屋外なら小声でも結構遠くまで届く時間帯だ。
- 255 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/08(日) 17:13:37.07 ID:???
- 『……を、……ゃって、……りがと……うぅん、じゃあまたね』
その楽しげな声の主を判別できる自分が厭だった。
復帰に関する外出でないならないで、アキラの知らない誰かと──恐らくは地元の人間──アキラの
知らないところで盛り上がるヒカルなど認めたくはなかった。
あれほど、身元が割れるのを嫌がってたじゃないか。なのに何だ。矛盾も甚だしい。
ガチャガチャと玄関ドアの鍵穴がこじられる音がして、真夜中だという配慮の欠片もない騒々しさで
ドアが開け放たれる。
「たらーいまー。アハハハごめーん、もしかして寝てたー?」
微妙に呂律が怪しいのは。
「炎症も治まってないのに、呑んでたのか」
火照った顔。ボリュームを調整出来ない声。よろよろと頼りない足運び。典型的な酔っ払いの図だ。
「らってさー。どーしてもって、誘われちゃってー。オレ車だからって、いちお、断ったんだぜ?」
「復帰の前祝いか?いい気なものだ」
「んー?そんなんじゃねーけどー。まー、ソレ絡みでオレのやるこたみんな終わったから個人的には
オレお疲れさん的なー?アハハハハ」
底抜けに能天気なその言い種。そうか、恙無く終わったのか。こそこそ隠れてする電話も、内密の会
合も。もうしなくていいのか。ならば、完全に決まったのか。
ボクとの関係も、本当にこれで終わりなんだな。
ダウンジャケットの首根っこをふん掴み、スニーカーを脱がす暇も与えず部屋の奥へ引きずって突き
倒した。
髪にも服にも染み付いた、煙草の匂い。外出帰りの際、何度かあった。他の男にマーキングされたか
のようで不快だった。
ヒカル自身は吸わない。吸うと気分が悪くなると言って嫌った。キスが不味くなるからとアキラが吸
うのも厭がったほどだ。お陰で、中学からこっそり吸っていたのを止めるのに成功したほどだ。
だからこれは他の男の匂い。ボクを捨てるくせに。男は切らさないんだな。
ダウンジャケットにはところどころ水滴がついていた。雨音はしなかったし、雨の匂いもなかった。
ちらつく雪が解けたものだろう。今日は明け方から冷えた。
「……ん、ん」
ゆっくり、深く口付けると、素直に舌を絡めてくる。滑らかな髪を指で何度も梳き、冷たい耳を温め
るように撫でる。ピアスの石を軽く摘んでくりくりと回してやると、気持ち良さそうに溜息を漏らす。
「どしたの……怒ってるくせに、優しいじゃん」
返答代わりにもう一度唇を柔らかく重ね、何度も啄む。
抱き納めだ。髪の感触も、肌の匂いも。ふっくりした小作りな唇も。丹念に味わって記憶に刻みつけ
よう。
大きな鳶色の瞳も。繊細な鼻梁も。華奢な顎も。絶対に忘れない。
「……あ」
快感に漏らす声も。ふるいつきたくなるような項も。舐め回さずにいられない背中の曲線も。
永劫にボクひとりだけのものだ。
- 256 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/08(日) 17:15:03.25 ID:???
- 作中に出てくる小説は実在するでつ…手元にあるはずだがどこに埋もれてるやらわからん
若゛「ボクの愛したヒカルたんは死んだ!何故だ!」
ヒカルたん「(おまえが)坊やだからさ」
後日談なんてまあこんな話でつよ……ジーク!ヒカルたん!
でもっていつもおつありでつ恐縮でつ
俺はおぱんつよりもツルンとした白桃みたいなヒカルたんの中身がいいでつ
- 257 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/08(日) 19:23:49.69 ID:???
- もう終わりなんだな
本当に乙でしたすごい楽しませてもらったよ
ありがとう
- 258 名前:盆 :2015/02/08(日) 20:17:46.25 ID:???
- >>257
楽しんで頂けたなら幸いでつ
でも俺の場合、風呂敷畳みだしてからが長いので
(本編は3000行あたりで回収開始、最後端折ったのに終了時10000行超え)
終わるまでもう暫くかかると思うでつ
言えない、佐為視点の前日談がまだあるなんて怖くて言えないよ俺
- 259 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/09(月) 03:52:43.23 ID:???
- おおまだまだ楽しませてくれるみたいで楽しみだ
くれぐれも無理はしないでくれな!
- 260 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/09(月) 20:08:09.97 ID:???
- 寒い寒いよヒカルたん
ヒカルたんの中であったまりたいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 261 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/09(月) 23:07:24.50 ID:???
- ヒカルたんの中はあったかくて気持ちいいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 262 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/10(火) 01:37:27.11 ID:???
- 今晩はよく冷えるな…
ヒカルたんは子供体温であったかいなあ(;´Д`)ハァハァ
- 263 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/11(水) 11:41:38.76 ID:???
- 履いたままだったスニーカーを脱がせて放り投げる。靴下も一緒に脱げたが構わない。剥き出しにな
った足指。小指までもが細くて長い。しっかり形成された土踏まずのアーチが美しい。
「くは、ヤダ……くすぐったい」
汗で蒸れた匂いと一緒に舌で味わう。擽ったさにくすくすと忍び笑う声が耳に心地いい。
「ぁ、んん……んふん」
足裏がふやけるほど舐めているうちに、声は艶を増す。
ヒカルもその気になったのか、自分でダウンジャケットの前を開けた。こっちにも愛撫をくれと催促
しているように見える。望む通りに、シャツの裾から鼻を突っ込む。
「……服の中まで煙草臭い」
「しょーがないだろ……ぁ、ケムで真っ白なとこで呑んでた、んっ、から」
肌にまで染み付いているのが気に食わない。薄い胸にも、なだらかな腹にも、見知らぬ男の臭い息が
纏わりついているようで。
「なんだよ、おまえなんて碁会所育ちなんだから、つか昔吸ってただろ……アレか?門脇さんが言っ
てたっけ、自分が吸うのはいいけど他人のケムは臭いからヤダって自己中な」
「そうだよ」
「これだからヤニ愛好家は……んッ」
自分がヒカルの肌にマーキングするのはいい。けど他の誰にも許さない。当たり前だ。
汗で湿り始めた脇腹を掌でじっくり撫でる。たくし上げただけのシャツとトレーナーからは、耐え難
いほどの煙草の匂いが発散されている。我慢ならずにトレーナーを引き抜こうとすると、ヒカルから
待ったが掛かった。
「いたっ、ひっかかってる、ちぎれるから、っ、慌てんなよ!」
どうやらピアスが変に絡まったらしい。これも前から気に入らなかった。千切れたところで何だ。
「いッ!……あー……ちょっと切れちゃったじゃんよバカぁ」
強引に脱がせたため引っ張られて少し血の滲んだ左のピアスホールに手をやり、ヒカルが恨みがまし
げな視線をアキラに向ける。その手をカーペットに押し付け、二の腕の内側を強く吸う。ひくり、と
ヒカルの喉が動いた。
「前言撤回。やっぱいつも通りだおまえ」
「……………………」
目に、耳に、鼻に、唇に、舌に、歯に。媚態を、嬌声を、匂いを、感触を、味を、弾力を。
憶えさせる。死んでも忘れないように。
「ぁふ……あっ……ん、んん……あぁ、っ、じりじり、する、ぅ」
焦らすつもりはなかったが、結果的にそうなってしまったようだ。ヒカルの間接的な催促は読み取れ
なかったことにして、体中を隅々までまさぐり愛撫するのを、アキラは止めなかった。
ここも。そこも。全部自分のものだ。他の男の痕跡など、上書きして消し潰してやる。
どんな形であれ、ヒカルに性的な意図をもって何かの痕をつけたものは許さない。
そう。『どんな形であれ』。
(……………………)
アキラの目に、ふと入ったもの。
薄い肩と、腕の付け根。右側の。
- 264 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/11(水) 11:42:12.20 ID:???
- 『第一報』を耳にした時、アキラの全身で膨れ上がった、あの感情。
ヒカルの身の心配ではなく、義憤でもなく。
激しく心を焦がすほどの、殺意と渾然一体となった嫉妬。
あの体を好きにしていいのはボクだ。ボクだけだ。どこの馬の骨とも知らぬ奴が、許可もないのに。
いやらしい興奮に滾り、歪んだ性的嗜好でもって、一般大衆の目の前でヒカルの体に危害を加えたな
んて。
(許さない)
あの気持ち悪い男も、初犯で余罪なしという理由で執行猶予がついたのではなかったか。
(許せない)
生温い。ボクがあのイベントに同行していたなら、あんな男。
(どうしてたって?)
「ふぅ…………っ」
大きく息を吸い、止めて、吐き出す。思い出し怒りの所為か、怯懦の所為か、震える両の掌をそろそ
ろとヒカルの右肩に宛てがう。
掌底が、肩と腕を繋ぐ部分の窪みに食い込むように。
「……こっち、だったよね?昔、暴漢にやられたの」
言葉の奥に潜む何かを嗅ぎとったヒカルが厭がるように身動いだが、遅い。
一点に力と体重を集中させて掌底を押し込む。
「がぁ……ッ!」
ぼぐん、と鈍い音がして、掌底を食い込ませた窪みの深さと広さが大きくなった。
「ア、あ゛ぁあッ、かはァッ」
もうこれで右腕は動かせない。上書きしてやった。前からこうしてやりたかった。
他にないか?ボクが上書きできていない場所。埃一粒分も残してはおけない。
アキラの体の下で、ヒカルが苦悶に目をひん剥いて喘いでいる。くるくると感情豊かに動くその瞳も
飴玉みたいで美味そうだとずっと思っていた。だから、欲望の赴くままに眼球を舐めた。右も、左も。
「ぁぐ、は、アァあ゛ぁ……ッ!」
愛してる。他の誰にも触らせたくないほど。
彼が転んで膝を擦り剥かせたならば、その擦過傷を作った地面すら憎める。
快感に鳴かせていいのはボクだけ。
苦痛の涙を流させていいのはボクだけ。
この爪の一欠片、髪の一筋たりと他人には譲らない。何故染めた?あの明るい色が好きだのに。
何故切らない?人目を欺くためだって?おまえは嘘ばかりだ。嘘でないなら、地元の連中と気易く交
流など持たないはずだろう?
何だその耳の赤い石は?けじめだって?それも大嘘だ。
心はあの実体の無い存在のものだって意思表示以外にないだろ?正直に吐けよ。
「あ゛ッ、ア、あぁアアぁーッ!」
舌でたっぷり慣らした秘所に乱暴に捩じ込む。ここもだ。何度上書きしても、あの連中の痕跡が消え
た気がしない。あの忌々しい少年の顔が脳裏から拭い去れない。
そうさ、同類だ。あの暴漢も、連中も、少年も。自分も。
『恋愛感情』という美々しい言葉で虚飾を施しているだけ、自分の方が何倍も醜くてタチが悪い。
- 265 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/11(水) 11:42:43.28 ID:???
- 少し寒さが和らいだので(どんな理由だ)ラストワンプレイ開始でございまつ
多分、メイツ諸兄ドン引きだとお察しいたしまつ
なんか色々すいませんでつ
- 266 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/11(水) 13:13:17.32 ID:???
- ど…どんなひどいことをされてしまうんだヒカルたん
- 267 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/11(水) 13:31:36.81 ID:???
- ヒカルたんは嗜虐心が唆られるなあ(;´Д`)ハァハァ
- 268 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/12(木) 17:31:43.56 ID:???
- どの肉棒が美味かった?雁高のアイツのか?反りのきつかったアイツのか?太くて長かったアイツの
か?凄く硬いと泣き狂っていたアイツのか?
好き嫌いせずに何でもウマウマと食ってたな。この、だらしないペニスから透明な涎をぼたぼた垂ら
して食ってた。
自分の指も大好物だったよな。四本を根元までぶっこんでかき回してカメラの前でよがり悶えてたよ
な。あれならフィストなんて余裕だな。こないだ遊んでみて思ったよ。
そりゃそうか。フラスコを底から咥えこんで絶頂体験できるんだから造作も無いや。
「うッ……ひぐ、っ、うう……っ、ふ」
「……肩抜かれて泣くほどイイかよ……淫乱が」
忘れないよ。この淫らな体。地獄の底で這いずりながら思い出し続けるよ。
万が一赦されて転生できたとしても、今抱いているキミの記憶は手放さない。手放せと命令されても
絶対に従わない。
残念だな。多分、キミとは違う場所に送られる。それだけが心残り。
……なぁんだ。
今の状況と変わらないじゃないか。今生でも、死後の世界でも。キミとは別離するんじゃないか。
でも、もう本当に辛いんだ。今後、どれだけ手を伸ばしてもキミに触れられなくなるなんて。
それなら、最初から姿すら拝めない地獄の方がまだいい。足裏を容赦なく突き刺す針の山を延々と歩
かされても。煮えたぎる血の池に頭まで沈められても。餓鬼の群れに放り込まれて全身を食い千切ら
れても。最初からキミが居ないなら、まだそっちの方が救われる。
「なあ……コレ、試したかったんだろ?こないだ、拒否しちゃったのは間違いだったよ」
アキラの両手が、ヒカルの無防備に曝された細い首にかかる。とくとくと脈打つ場所を探り当て、そ
こに力を込めるようにしてゆっくり絞める。
「ぐ……く、………ッ」
まだ声が出せるなら、緩いのだろう。それでも、アキラを呑み込んだ秘門がきゅっと締まる。
「まだ?もっと?」
更に力を入れる。掌に伝わる脈動が強くなる。秘門の締まりが一段ときつくなり、小刻みな痙攣も加
わる。
「ああ凄い……ホントに締まる……噛みちぎられそう」
締め付けに逆らうように動こうとして、アキラは腹に違和感を覚えた。
熱いものが当たっている。確かめようとそちらに目を向けて、思わず失笑してしまった。
死に瀕した際の本能というものはつくづく侮りがたい。硬く反り上がったヒカルの肉茎が、ふるふる
と揺れてアキラの腹を突いていた。
生物として種を維持するための基本的機能が、こんなヒカルにすら正常に備わっている。
否。これまで外道の所業だとアキラが思っていた、数々の陵辱が温かったのだ。
自分がしてきた事も含めて。
あんなくらいでヒカルの体が壊れると認識していたのが間違いだった。
「わかるよ……キミが今、本当に壊れていってるのが」
首を絞める手の力を更に強め、アキラはヒカルの耳元で優しく囁いた。
「でもそんな容易く、楽にはしないから。ボクが満足するまで出してからだからね、ヒカル」
- 269 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/12(木) 17:32:15.27 ID:???
- 鬱血した顔が黒っぽく変色しだしたのは好みでなかった。なので、アキラは少し絞める力を緩めた。
絞めては緩め、絞めては緩めを繰り返しはするものの、死に顔が綺麗でないのは嫌だという気持ちが
強く働いて、駄目押しになかなか繋がらなかった。
一方、ヒカルはヒカルで絞められるのが殊の外いいらしく、硬く勃起させた肉茎を震わせながら、奥
を激しく突かれて何度も射精していた。
互いの腹の間は、ヒカルの出したものでぬちゃぬちゃと音を立てるほど濡れて滑り。アキラの抽送で
裏側が擦られてヒカルは絶えず腰をびくつかせた。
生と死の狭間で。際限なく快楽を貪る。
容赦なく降り注ぐ、南国のギラついた陽光。貪婪な。限りなく貪婪な。
アキラはもう一度、首を絞める手に力を込めた。駄目だ。無理だ。
ヒカルはこれすらもただの性的快楽として呑み込んでしまう。アキラの殺意さえも。
「あ、ッ、あぁあああああ!わぁあッ!」
吠え猛って、怯えを振り払おうとする。
「はっ、はぁ……ッ、はぁ、はぁ、あぁ!やめろ、見るな!」
手を緩め、呼吸を許せば。ヒカルは激しく咳き込みながらアキラを見て。
口元だけで笑う。
もっと。もっとしてよ。ねぇ、もっと絞めて。もう終わり?殺すつもりじゃなかったんだ?
涙が溢れ、鬱血で過剰に充血して、ところどころ点々と毛細血管の裂けた目が無言で責める。
口の端に泡を溜め、臨死の恍惚にたゆたいながら。肩の痛みなど忘れてしまったかのように。
して。もっと。絞めながらいっぱい突いて。もっともっとイかせてよ。死にそうなのキモチイイよ。
「やめろ」
どうして?オレを殺しておまえも死ぬんでしょ?
難しくなんかないよ、あの時と同じさ。オレの心を殺した。
今度は体だってだけじゃん。何が難しいの?
「やめろ」
ヒカルの首から手を離そうとした。絞める形に固まってしまって、外れない。
「いやだ」
なんで泣いてんのさ。やるならちゃんとやれよ。オレを誰にも触らせたくないって嘘なの?
「嘘なんかじゃないッ!」
そんなんで、オレを嘘吐き呼ばわりしたんだ。ふーん?
「……やめて」
おまえさ。ものすごーく根本的なことすっぽ抜けてるけど、それってわざと?考えたくないから?
「やだ……なに」
揃ってこの世とオサラバすんのはいいけどさ、そしたらオレ、迷わずアイツんとこ行っちゃうよ?
「あ……っ」
それでもいいの?
いいの?
「イヤだぁあ────────ッ!」
- 270 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/12(木) 17:33:05.04 ID:???
- リアルヒカルたんが目の前なのに脳内ヒカルたんと会話を始めてしまった若゛先生
完全に末期でつね
若゛の脳内ヒカルたんが俺好みのドSなのは仕方ないじゃん(おい
>>266
ヒカルたんがひどいことをしているような気が…気のせいでつよね
- 271 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 06:55:11.67 ID:???
- セルフSMプレイ若
- 272 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 07:15:29.71 ID:???
- ゴミ
- 273 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 11:52:21.99 ID:???
- ヒカルたん怒ってるの?
- 274 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 18:49:08.09 ID:???
- ヒカルたん怒らないで俺のひざにおいで
- 275 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 19:25:32.38 ID:???
- フーッ!ギニャー!カーッ!バリバリバリバリ!
- 276 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 19:54:54.68 ID:???
- ヒカにゃんだと…?!
ほら、おいで。ヒカルたんの大好物のラーメンもあるよ(;´Д`)ハァハァ
- 277 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 21:57:47.93 ID:???
- 塩分とりすぎはよくないよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
スープは残すんだよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 278 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 22:52:35.01 ID:???
- ほら、ヒカルたんあーん(;´Д`)ハァハァ
熱いからね、俺がふーふーしてあげるよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 279 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 22:58:23.61 ID:???
- ぬこヒカルたんにチューしようとして顔を引っ掻かれたい…(;´Д`)ハァハァ
- 280 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/13(金) 23:03:32.33 ID:???
- ぬこヒカルたんはツンデレだから引っ掻かいた後にザラザラの舌で舐めてくれるさ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 281 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 01:42:41.16 ID:???
- ぬこヒカルたんの尻尾をヒカルたんに突っ込めばにゃんにゃん喘いでくれるんだろうか…(;´Д`)ハァハァ
- 282 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 02:31:25.98 ID:???
- 書き込めねえちくしょう!
- 283 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 02:32:11.86 ID:???
- あれ、書けたよヒカルたん…なんだったんだ…ヒカルたんの反抗期か…
- 284 名前:ぬこヒカルたん(;´Д`)ハァハァ ◆FvK.L8.adE :2015/02/14(土) 02:34:00.43 ID:???
- にゃあにゃあとヒカルたんが俺の周りをゴロゴロと転がる。
ガツンとテーブルの脚に当たっては机上のラーメン鉢が揺れる。
少し溢れた汁をタオルで拭いていると、ヒカルたんを俺の膝に頭を置いてじっと見上げてくる。
それは誘っているのかいヒカルたん。俺の股間はいつでも臨戦態勢さ。
つぶらな瞳にノックダウンした俺はヒカルたんに乗り掛かろうとしたが、ヒカルたんは俺をその鋭い爪で引っ掻いた。
どうやら俺ではなくラーメンがご所望だったらしい。
少し血の滲んだ頬を撫で、ヒカルたんに俺の食べかけのラーメンを捧げると、ヒカルたんは満足気に「んにゃあ」と鳴いた。
ああなんてかわいいんだヒカルたん。
最後の一滴まで飲み干し、ご馳走様と言わんばかりににゃあと鳴く。
ご満悦のヒカルたんは俺の頬の傷をペロペロと舐め始める。
豚骨スープとヒカルたんの唾液が混じったものが傷越しに俺の体内へと入っていく。
俺はあまりの興奮に下半身がムクムクと反応していくのを感じた。
勃起した俺のそれにヒカルたんも気づいたのか、俺のジーンズ越しにぺろっと舐める。
喉が渇いたので俺のミルクが飲みたかったらしい。
俺は落ち着きのない手つきで下半身を寛げると、既に勃起したそれを取り出す。
ヒカルたんは伏せの体勢になり、ザラザラとした舌で亀頭をぐりぐりと舐め回す。
かと思えばすっぽりと亀頭を咥え、顔を前後に動かし唾液を絡ませる。
ああ、ヒカルたんの舌遣い最高だよ。さすがは俺のプリティにゃんこ様だぜ。
俺の腰も揺れ、ヒカルたんの柔らかい喉を突く。
びゅくびゅくとヒカルたんの口内へと吐き出すと、ヒカルたんはラーメンの汁同様一滴残らず飲み干し、どうだまいったかと「にゃん」と尻尾を揺らめかせる。
ヒカルたんにもご褒美あげないとなあ。
ヒカルたんの可愛らしい小粒を舌で舐め転がし、もう片方を親指と人さし指でくりくりと撫で回す。
ヒカルたんは気持ちいいのか、息も絶え絶えに体を跳ねさせる。
ぷっくりと腫れるほど赤く充血するまで虐め倒した後はヒカルたんのプルプルと勃ちあがるポークビッツをいただく。
口に収まるほどの大きさのそれを口全体を使って刺激を与えれば、ヒカルたんはすぐに達してしまう。
ヒカルたんの精液は練乳のように甘い。
もっと吸い尽くしてやりたいが、ヒカルたんが次に望むのはここではない。
- 285 名前:ぬこヒカルたん(;´Д`)ハァハァ ◆FvK.L8.adE :2015/02/14(土) 02:34:44.03 ID:???
- 「にゃ、にゃあ……ぁ、にゃ、にゃん……」
ビクンビクンと体を痙攣させ、次の快感を強請る。
唾液を垂らした人さし指をそっとヒカルたんへと差し込むと、ヒカルたんは大袈裟に鳴く。
「にゃあああっ、あっ、にゃあ、にゃああ」
ヒカルたんの感じるところを指で押しつぶすように圧力を加えると、ヒカルたんはまたすぐに達する。
ドロドロとした精液がヒカルたんから零れ落ち、ヒカルたんの凹んだ腹に溜まる。
「にゃ……にゃあ」
ヒカルたんの尻尾が俺の脚に絡みつく。
ヒカルたんの視線はヒカルたんの痴態に復活した俺のそれへと注がれている。
このまま挿入しても淫乱なヒカルたんならば存分に楽しめるだろう。
だが、少し意地悪したくなった俺は、脚に絡みついた尻尾を掴むと、ヒカルたんのナカへと挿入した。
ヒカルたんもまさかそうくるとは予想していなかったようで、目を見開かせ、口をだらしなく開ける。
「にゃあああッ!にゃ、にゃっ、んにゃあ」
ヒカルたんの長い尻尾はドンドン奥へと挿入されていく。
ふさふさとした尻尾がヒカルたんの内壁を刺激し、ヒカルたんは喘ぎ声を零す。
コツコツと奥に当たると、ヒカルたんは悲鳴にも似た声をあげる。
ゆっくりと抜き差しを繰り返し、たまに奥を何度かつつく。
自身の尻尾を内壁が締め上げることによる快感と、その内壁が刺激されることによる二重の快感に、ヒカルたんはヨダレを垂らしながら身体をヒクつかせていた。
こんな美味しそうなヒカルたんを見て、俺が我慢できるはずもない。
尻尾を引き抜くと、今度は俺のもので貫いた。
ヒカルたんのナカはきゅんきゅんと締まり、新たな快感を従順に受け入れる。
「にゃああ、にゃっにゃっ、にゃあっ、にゃん!」
絶頂による締め付けでヒカルたんのナカへ熱い飛沫をぶちまける。
ああ、ヒカルたんのナカは最高だ……。
もう一回とヒカルたんの脚が俺の腰に絡みつく。
しょうがないなあヒカルたんは。
いつまで経ってもミルク離れができない俺のお猫様だ。
愛しいヒカルたんを抱き締め、もう一度腰を突き上げる。
合わせたヒカルたんの唇は、甘いミルクの味がした。
おわり
- 286 名前: ◆FvK.L8.adE :2015/02/14(土) 02:35:59.10 ID:???
- ただ単に文字数が改行の問題だったようだ
久しぶりすぎて基準なんか覚えてねえよ!
とりあえずリハビリがてら即席でぬこヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 287 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 02:37:21.39 ID:???
- 後日、尻尾アナニーを覚えたヒカルたんが仕事から帰ってくるとにゃんにゃん喘いでいたという…
- 288 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 08:11:59.25 ID:???
- 半ケモなぬこヒカルたんがキテター!
おかえり輪舞曲たん待ってた!
相変わらずやらしくてたまらん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 289 名前:チョコちょうだい? ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/14(土) 10:00:13.34 ID:???
- (1)
「ねーねー、冴木さんチョコちょーだい?」
進藤が全開の笑顔でそう切り出してくる。一瞬ドキッとしたが、すぐにオレは意図に気付いた。
「おまえにやるほど貰ってないぞ、ていうか、おまえ自分が貰ったので足りないのか」
そう返してやると、進藤はぶーっと頬を膨らませる。
「お母さんだけだもん、足りるわけないよ」
ウソつけ。去年ならともかく、今年は山ほど来たろうが。オレなんか比じゃないほど。
すげえな北斗杯効果。
「だってー。棋院宛に届いたのはアブナイから食べちゃダメって」
なるほど。まあそうだが、密封されてる市販品ならそう神経質になることもなかろうに。
「それならオレが貰ったのだって一緒だろうが」
「冴木さん、知ってる人から直接もらうの多いって聞いたもん、毎年処分に困ってるって」
「誰にだよ」
「主に和谷」
あのヤロ、なんつーガセ情報を。
……スマンな、オレのは大体、しげ子ちゃんの胃袋行きなんだ。
師匠の娘には逆らえん。バレンタインには貰う側、ホワイトデーにも貰う側、誰の祝い事でも貰う側
なんだよあのコは。
おまえ正式な弟子でなくて助かったな。でなきゃ毟られまくってたぞ。
いや、既にロックオンされてるぞ。
『進藤君ってウチに来たことないよね』ってすんげータゲられてたぞ。
「おまえだって顔見知りにいっぱいチョクで貰ったんじゃないの?」
……そう訊いてやった時の、進藤のびっみょーな顔。何じゃそりゃ。
*
(2)
「ねーねー伊角さんチョコちょーだい?」
は?進藤おまえ何言ってんの?
「おまえそれはイヤミで言ってるのか」
「そんなんじゃないよ、ねー伊角さんってばぁ」
その可愛い顔で猫なで声でスリスリしてくんな。イヤミじゃなきゃ何だ。去年はともかく今年は(ry
「伊角さん、院生の頃からモッテモテだったじゃんよー。だからさー」
いや、モテてたというか、ずっと牢名主みたいなもんだったから義理チョコが多かっただけで。
だから返すのが毎年大へ……いやいやそうじゃなくて。
今年は桜野さんから何を要求されるんだろう。今から空恐ろしい。
『慎ちゃーん、今年はなんてったってプロなんだから、来月期待していいわよね(はぁと』
ブルブルブルブル。あ、あまりお高いものはご勘弁願いたいです……。
「いや、おまえだって他の若手やイベントのお客にモッテモテだろうが。貰っただろいっぱい?」
……あれ?なんでそんなしょっぱい顔してるんだ?
*
(3)
「進藤、おまえあちこちでチョコ乞食してるらしいじゃん」
「……倉田さんにはくれって言わないよ」
「どーゆーイミだ。オレをバカにしてんのか」
「別に倉田さんがもらってないって言ってんじゃないよ。ビタいち分けてくれるわけないって」
「それだって失礼じゃないか」
「じゃあくれんの?」
「やらねェ」
「そらみろ」
「ハハハ……んん?おまえ、なんつー顔してんだ、ゲテモノでも食ったみたいな」
「…………なんでもない…………」
- 290 名前:チョコちょうだい? ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/14(土) 10:00:47.90 ID:???
- (4)
緒方先生は必死にクールな顔を崩すまいとしたけど、目がカマボコになっていた。
もうそれクールじゃねェし。ヒトの不幸を喜んでるカオだし。
「しかし、他の男が貰ったものをお裾分けしてもらうくらいで解決するなら安い悩みだな」
「それもこれも緒方先生が」
「いや、事務局が過保護なのもどうかと思っただけさ。クックックッ」
絶対面白がってる。超ムカつく。
「誰が送り主だろうとチョコに罪はないだろ?」
「それでもやっぱヤダったらヤダ」
「オレなんかよりも進藤、よっぽど上手に対処しているいい先輩がいるじゃないか」
ぐっ。それは……アレは……アイツは……
いっちばん、相談しちゃいけないヤツだあああああ!
*
(5)
「おまえからのチョコはぜってーいらねー」
「ど、どうしてだ進藤!」
どうしてもこうしてもあるか!
事務局宛に来た、身の毛もよだつ大量の『ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ』のメッセージと激ヤバなナカミ
でアタマがぐわんぐわんしてんのに!下心満載なおまえの不純きわまりないチョコなんぞ危険物だ!
毒物だ!核廃棄物だ!触るのもイヤだ!
「そんな、何か仕込んでるみたいな言い方は傷つく……」
ち、ちくしょー、ショボンとうなだれて見せたってだ、だ、だ、だまされないからな!
「おおお、おまえだって、毎年あーゆーキモチョコやらプレゼントやらもらって、オレが今どんだけ
ダメージくらってるのか身をもって知ってんだろーが!」
「そんなの、すぐに慣れるさ。ああその初心な反応、可愛いなあキミは」
ぞわわわわわっ。うっとりした目でこっち見てヘンな事ゆーな!近よるな!こっちくんな!
あ、あ、あ、そんなトコさわんな、わぁ、ひぃ!
たーすーけーてー!
*
(6)
「ちょっと邪険にしすぎたかな……でもおねだりする進藤にグラっときそうになった、ヤバかった」
「ふー、危なかった。アイツ、無邪気なくせに時々妙に色っぽいから困る」
「なんだぁ?進藤、そんなにチョコ好きだっけ?どっちかつーと塩気派だと思ってたけど」
「ぶふっ、うぷぷぷぷぷ、イヤ笑っちゃいかん、いかんが、しかし、ぶふぉっ」
「「「「ま、来年は進藤の分を別枠で買っておいてやるか」」」」
*
(7)
とあるメイツは、愛しのヒカルたんが目を潤ませながら自分の色々な体液を混ぜ込んだ心尽くしの手
作りチョコをいやらしく舐め回しながらじっくり賞味するさまを瞼の裏にくっきり浮かび上がらせな
がら自家発電に勤しんでいた。
「ああヒカルたんヒカルたんヒカルたん、オレのはおいしいかい?そんな欲しそうな顔をして、本当
にいやらしいコだね……(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ」
メイツの耳に、遥か遠くでエロガッパの毒牙にかからんとするヒカルたんの悲鳴は届かなかった。
<おそまつ>
- 291 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/14(土) 10:01:32.01 ID:???
- 今日はバレンタインだという無駄な使命感が俺を突き動かしたのである。
食い物の話を書くと腹がへるなあ…
ヒカルたん『がッ!↑』食べながら!ヒカルたん『をッ!↑』食べたいッ!
こんな気分(;´Д`)ハァハァ
- 292 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/14(土) 11:47:40.99 ID:???
- <ヒカルたんへの愛を込めたチョコレシピ>
1.竿は洗わず、そのままで使用します。毛も除去しません。
2.上記1を石膏で型取りします。その際に毛や体液が付着してもそのままで。
型取りはタマ袋までしっかりと。ヒカルたんに子種出したいアピールとなってGOOD!
3.上記2で作成した型に、溶かしたチョコを流し入れます。
4.溶かしチョコには、ヒカルたんへの溢れんばかりの愛(唾液、精液)をたっぷりと。
5.上記3をゆっくり冷やし固め、細部がもげたりしないよう慎重に型からはずします。
6.愛情込めたメッセージカードと、ヒカルたんにより悦んでもらうためのプレゼント
(イボつきバイブや精液入りゴムなどお好みで)を綺麗な箱に詰め、ヒカルたんのように可愛く
ラッピングすれば出来上がり!
- 293 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/16(月) 12:06:32.08 ID:???
- ↑おまわりさんこいつです
- 294 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/16(月) 14:23:58.22 ID:???
- そうじゃない。そうじゃないんだ。失いたくない。手放したくない。離したくない。
なのになんでそうなってしまうんだ?
追えば遠ざかる。掴もうとしたらすり抜ける。抱きしめたら振り解かれる。
キミの正体はなんだ?そんなものなんて。
最初からないんじゃないのか?
ボクは何を追い求めていた?自分で勝手に創りあげた虚像?
ボクを翻弄した、入れ替わっては混乱させてきた。
混じり合い、分離もかなわなくなるほど乳化した存在に振り回された。
どちらがどちらだなんて、そもそもが間違い。
最早、分かち難く結びついているものに嫉妬だって?
『アレ』を否定し、排除しようとするのは……キミ自身を否定するのと同じ。
待って。待って。待って。
ならば、何故今までの碁を捨てた?でも待ってよ、今のキミの姿は『アレ』の真似事なんだろう?
成り代わるだなんて勘違いをするなと言ったけど、そうなんだろ?
もうわからないよ、わからない。
そんなキミに『好きだ』と言われたとて、奈辺に信を置けと?
「はぁっ、はぁー……ッ、はぁ、う、ああああッ!」
だん、と薄い胸を両の手で叩き、アキラはヒカルから身を引き剥がした。
勢いを借り、そのまま膝立ちになる。肉茎が抜けた刺激に、ヒカルの下肢がびくびくと震える。
「待ってよ……違うんだ、ボクはただ」
憑かれたように、アキラは幾度も首を振る。
「どうして?こんな風に捨てるなら……ッ、最初から!」
ひと月前のあの夜、キミが攫って来なければ良かったんだ。ボクがついて来なければ良かったんだ。
まやかしの幸せな日々なんて要らなかった。
それならば、そんなものが無ければ。ゆるゆると緩慢に死んでゆけたろうに。
鍋の中でゆっくりゆっくり水温を上げられたことにも気付かず、茹で上げられた蛙のように。
「酷いよ、酷い、あんまりだよ!ボクに何の恨みが?」
…………あったね。心の奥底に秘めに秘めたものを暴き出し、晒し、穢し、踏み躙った。
それが万死に値するならば。そうなんだろうね。キミにとっては。
けれど、それでも。
ああせずにはいられなかったんだ!
ボクの道を捻じ曲げ、狂わせ、断崖に導いた存在を。幻惑し、進むべき正しい方向を過たせたものを。
……それはキミか?『アレ』か?ああ、どっちかじゃない。キミらは共犯だ。共同正犯。
等しく罪深い。だからボクに裁かれるべきだ。
「かは、はっ、え゛っ、あ゛ぁはッ、げはッ、は、は、はぁっ」
首を解放されたヒカルが咽せこんでいるのを暫し見下ろしてから、アキラは立ち上がった。
- 295 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/16(月) 14:24:31.48 ID:???
- 向かったのは壁際に設置された小さなキッチン。アキラが転がり込んで以降も、ついぞまともに機能
しなかったお粗末な設備。狭いシンク、一口のIHコンロ、安物の電子レンジ。ちゃんとした調理を行
う事を想定しているとは思えない代物。言い訳程度に設けられた小さな引き出しを開けると、そこに
は。
ごくり、とアキラの喉が鳴る。震える右手が『それ』の黒い持ち手に触れ、赤ん坊が掌に触れたもの
を反射的に握るようにそこを握りしめた。
必要に迫られて購入したものではなかった。ヒカルとの関係が不安定になり、疑心暗鬼が膨れ上がる
一方のなか、発作的に買ってしまったものだった。いつ必要になるかわからないから、と弁解して、
余計なものを部屋に増やすのを嫌うヒカルを丸め込んだ。
蛍光灯に翳すようにして見上げると、刃先にちらつく銀色の照り返しが美しかった。
(手段を変えたとて、それでどうなる)
どうもならない。そんなのは解っている。彼は『アレ』と同じ存在になり、『アレ』との永遠を得る。
ならば、綺麗な姿で『アレ』に逢わせてなどやらない。
黄泉比良坂。醜く変わり果てたイザナミとなり、逃げるイザナギを追うがいい。
それがボクの放てるなけなしの一矢だ。
二千年眠り続けた蓮。千年彷徨った魂。寄り添えるものなら添ってみろ。
『こっからこう……掻っ捌いて。左右にがっつり開いて。内臓の隅から隅まで、ぶっかけられたい』
キミがそう望んだんだ。そうしてやろう。
ボクの精液に塗れた内蔵を胴体からぼたぼたと汚らしく零しながら、愛しい師に逢いに行くがいい。
千年後の現世に生きる少年への生臭い情欲を抱くような存在に、果たして受け容れて貰えるかな?
足が縺れる。転びそうになる。一歩一歩が遠い。横たわるヒカルが遠い。
まろぶようにヒカルの傍らに膝をつき、不吉にぎらつく刃先を心臓の辺りに当てる。肌と、薄い筋肉
が、軽く当てた刃を跳ね返す感触。つい、と少し下方に滑らせると、ひと筋の赤い線が肌に浮かび。
遅れて、真紅の珠がぷくりと小さく膨らんでくる。
もっと力を込めれば。容易に筋肉を切り裂けそうに思えた。なのに、力が入らない。震えながら、下
腹まで刃を滑らせたが、掻っ捌くどころか薄皮一枚すらまともに切れない。
包丁が鈍らなのか?自分の決意が鈍らなのか?問うまでもない。
「────────ッ!」
声なき叫びを上げ、アキラは刃を振りかぶって、振り下ろした。
ぞぶ、と鈍い音がした。
「……く、くくくッ、ふ、あは、アハハ、ハハッ」
それはアキラの喉から発せられた声ではなかった。
嗄れた、歪んだ、潰れた声。
アキラの振り下ろした包丁は、カーペットに散ったヒカルの髪を一束、先の方をほんの数センチ切り
落としただけだった。
しんしんと更けゆく夜の静寂のなかで。
狭い部屋を、狂ったような哄笑と、同じくらい狂ったような叫喚が混じり、充たした。
- 296 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/16(月) 14:25:11.86 ID:???
- また隣の住人が管理会社に通報して社さん涙目の…イ`
やれやれ、次からほぼラストパートでつ、はよ終わらすためにもペース上げたいがなかなか…
もう読みたくないとご不快のメイツ諸兄、もう暫しNGおながいしまつ
明後日納期だ…逃げたい超逃げたいお
- 297 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/16(月) 21:25:53.61 ID:???
- なんだなんだ久しぶりにまとめ読みしたらなぜこんなハードな展開になってるんだ
ヒカルたん魔性にもほどがあるぞ
- 298 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/16(月) 23:45:18.60 ID:???
- もうちょっと待てば書けたのか…?orz
エラー出てたので、避難所に5レス分投下してまつ
- 299 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:40:53.88 ID:???
- 仕事のケリがついて安心したのだろうか、終わりに向けて加速中
避難所投下分の続きでつ
- 300 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:41:45.81 ID:???
- ***
時系列は少々遡る。
最初、アキラは電話の相手が言う内容が全く理解出来なかった。
理解の埒外だったからだった。
「……あの、済みません、飲み込めなくて。返答とは一体何のことでしょうか」
相手はアキラが事情を把握している前提で話している。何をだ。それを説明してくれ。そうでないと。
『送っただろう?通知書。受け取って、承諾したって返答を貰えないとね、いつまでもトーナメント
表が更新できなくて困るんだ』
「いいえ、通知って何です?まったく話が見えないんですが」
『届いてない?キミの自宅に郵送したんだけどね。事故ったかなぁ?』
通知書とやらは東京の実家に送られたものらしい。道理でここには来ないはずだ。
ここに来た当初、転送手続きをしようと思ったけれど郵便局員から居所が漏れたらヒカルに迷惑だと
辞めたのだ。恐らく、実家のポストはえらい惨状になっているだろう。もしかしたら、芦原辺りが気
を利かせて空にしてくれているかもかも知れないが。同門の誰も、恐らくアキラの居所を掴んでいな
い。発作的に飛び出したまま誰にも連絡しなかったから。
「ですから、通知書というのは一体」
『キミの謹慎を三月末付で解除して、四月の名人戦予選Aから出てもらう旨の通知だよ』
事務局職員の言葉が、ただの音の羅列にしか認識出来ない。何だって?
「あの、え?」
『ホントに誰にも何も知らされてなかったのかい?進藤君、その辺の口止め徹底してたんだなァ』
「進藤が……なんですって?」
頭が全く回らない。ヒカルは自分を捨てて、ひとり戻るのでは?
それが何故そうなる?
『彼、頑張ってたよ?キミをどうしても名人戦予選に間に合わせたいって、そりゃもう』
「あの……っ」
脳が言葉をうまく綴れない。口から出てくるのは、みっともなく狼狽えた声だけ。
ボクを切り捨てるという棋院側の条件はどうなった?それをクリアすると確約したから、彼は復帰す
るんだろう?それがどうなればこんな?
『無論、何もかも不問でとはいかないけどね。キミらの、その、不適切な関係を精算するのが条件と
なってる。だから承諾の返事が必要だってわけさ』
「それは知ってます、でもその条件で復帰するのは進藤だけって話なんじゃ」
『ああ、報道されてるの見たりしたのかな?うっかり喋った人間がいてね、以降の情報は一切漏らす
なってお達しが出てたんだよ。だからそれ、正しくないと言うか古いんだ』
そんな、馬鹿な。
ならばこの半月余り、ボクが彼にしてきた仕打ちは……理不尽にも程があるじゃないか。
- 301 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:42:22.71 ID:???
- (いや、別れるのが条件なら、結局同じなのか?)
全くもって、思考が整理出来ない。
時間が欲しい。でなければ、トチ狂ってとんでもない事を口走ってしまいそうだ。
「あ、あの。通知書を、拝見してからの返答で構わないでしょうか」
『そうか。見てないんだったねキミ。うーん、でも時間がないから再度郵送ってのも……キミ、パソ
コンは持ってたよね?』
「はい」
正確にはヒカルが社の友人から譲り受けたものだが、ここにあるにはある。
『通知書のPDFファイルをメールで送るよ。アドレス変わってないよね?』
「は……いえ、できれば、今から申し上げる方へ」
『送るのはウチのハンコない状態のやつだけど、そっちで印刷してハンコ押して郵送してもらえれば
こっちで体裁は整えるから』
「…………あ」
返事が遅れた。そうだ。捺印して返送しなければならない文書の内容と言うのは、きっと。
『塔矢君?』
「いえ、済みません。とにかく、早急に拝見しますのでお手数ですが宜しくお願いします」
去年、和谷に作って貰ったアドレス宛送られたメールの添付ファイルには、復帰の通知書と共に承諾
書が確かにあった。だがそれは、復帰を了承する旨の文言だけで、自分らの関係どうのについては記
載されていなかった。
てっきり、ガチガチに縛られた内容の誓約に判をつかされると思い込んでいたから、拍子抜けだった。
職員の話と明白に食い違っている。
これでは関係の精算云々は骨抜きに等しい。
(まさか……進藤、そこまで?)
どうしてアキラに隠してきたのだろうか。電話も、棋院関係者との会合も。
復帰に関する一連の動きは、隠す必要などなかったはずなのに。
変にこそこそするから、いらぬ疑念を抱いてしまった。それを短期間で化物のように大きく育て上げ、
ヒカルを無駄に傷つけてしまった。彼自身の所為じゃないのか?
彼の真意を知りたかった。今すぐに。
だが出掛けてしまっている。どこだ?捕まえなくては、早く。
電話に出るか?もう全部終わったのだから、居留守を使う必要などないはず。出てくれ、頼む。
不機嫌な声は、碁会所に居るとがなって一方的に切れた。
碁会所はこの街にどれだけある?余所者のヒカルが行くくらいだ、ある程度目立つ場所にある店に違
いない。
立ち上げっぱなしだったPCで、ざっと検索する。片手の指で足りるほどしかなかった。虱潰しにして
も大した時間は掛からない。動こう。一分一秒も早く。
電話でタクシーを呼び、待っている間に碁会所の一覧と通知書を印刷しにコンビニへと走った。
運転手に碁会所の住所を告げ、じりじりしながら到着を待つ。
幸運なことに、最初に行った店でヒカルを捕まえられた。予想した通り、幹線道路沿いの目立つ店だ
った。人目など今更気にしてはいられなかった。通知書を突き付け、問い質した。
- 302 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:43:08.47 ID:???
- 碁会所でのヒカルは、やけに客らと馴染んでいるように見えた。
もしかしたら。自分が乱入したことで彼のこの地での居場所を壊してしまったか。
いや。どうせ、すぐ縁の切れる場所だ。それがほんの少し早まっただけだ。良心の呵責を覚えなくて
もいい。
先に帰れと追い返され、頭に来て言われるまま店を後にしたが。
待つ時間が長かった。永遠にすら思えた。
早く戻ってくれ。そして、一から説明してくれ。でないとボクは。
「だって、変に期待持たせて『やっぱダメでしたー』じゃ、余計アレじゃんよ」
陽が落ちかけた頃に漸く戻ったヒカルは部屋の壁に凭れて立ったまま、悪びれもせず言った。
「けど」
「それと、おまえに下手に話したりなんかしてみろ、色々クラッシュすんのは目に見えてるっつの」
「ボクを何だと思って」
「視野狭窄で近視眼なイノシシ」
「……………………っ」
「はー、やっとぶっちゃけられる。おまえに関しちゃ今月入ってもずっと綱渡り状態で、どっち転ぶ
かヒヤヒヤだったんだぜェ……ま、どんなド汚ェ手使っても認めさせるって塔矢先生にもタンカ切っ
ちゃったしな、棋院のジジイどもに負けるわけにはいかねェわな」
「父は……やっぱり知って」
「全部ってわけじゃないけど、ま、うっすらな。だから共同戦線でどうたらってのはないよ」
「汚い手をって、まさか」
ヒカルは肩を竦めようとして、右肩に走った痛みに顔を小さく歪めた。
「できれば穏便に承認して頂きたかったんですがね。タイムリミットも迫ってきてたことですし?」
「そんな、キミの立場をこれ以上危うくするような真似を!脅迫でもしたのか?」
「まっさかァ。そんなことするワケないでしょ」
「なら」
「もう期限なのにさ、のらくら逃げられっぱなしだったから。東京の役員会で爆弾ブチ込んでやった
だけだよ」
「役員会だって?いつ行ったんだ」
「おまえが名古屋で親父さんと会ってた日。棋院じゃ先生とは入れ違いで会えなかったけどね」
あの日か。アキラは思い当たる。ヒカルがスーツ姿で帰ってきた、あの。
暴力を振るわれ、快楽など欠片もなく傷と苦痛のみ与えられる形で犯された直後の酷いコンディショ
ンを押して、東京まで行っていたとは。
「爆弾って」
うーん、あんま教えたくないなあと呟きながら、ヒカルは一旦しゃがんでリュックを漁った。
「ほい」
ぞんざいに投げられた小さな機械を慌てて受け取る。
「いやー、おまえがヒトのカバン盗み見するヤツだって知って肝冷えた。これ見つけられなくて一安
心だったわ。バレたらオレの努力が水の泡になりかねなかったもの」
- 303 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:43:47.54 ID:???
- ***
「本日は、わざわざ東京からお運び下さいまして恐縮です」
宿泊先のホテルの部屋にやって来た訪問者は、そう慇懃に言上して頭を下げた。
「いやいや。堺の方に用事があったからね。ついでだからそう恐縮しなくていいよ。進藤君こそ、こ
こまでそんなに近いわけでもなかろう」
「いえ。ここでしたら車ですぐですから」
「車で来たなら、夜にちょっとバーかどこかで一杯とはいかないな。残念だよ」
「申し訳ありません。次の機会にでも是非ご一緒させて下さい」
「ああ、楽しみにしてるよ」
躾のなっていない糞小生意気な餓鬼も、十年ほど大人に揉まれる経験を積めばそれなりにまともな言
葉遣いが出来るようになるか。男は我知らずにやついた。
変わったのは物言いだけではない。昨年の修羅場が余程影響を及ぼしたのであろう、全体的にしっと
りと落ち着いた雰囲気が出てきている。うまく形容できぬが、勝ちにがっつく棋士にありがちな険が
取れたとでも言おうか。テレビでお馴染みだった稚気溢れる見苦しさもすっかり消えている。
子犬のように印象的だった大きな目は少し伏せがちで、長い睫が落とす影が繊細な面に深みを与えて
いる。しなやかな細身を包むスーツは誂えたものではなく間に合わせの吊るしだろうが、体の線が程
よく出ていて実にいい。色のチョイスも、上下の黒にアクセントとなるネクタイの臙脂が浮き過ぎぬ
ようシャツの薄いグレーで抑えを効かせている。
美味そうだ。思わず舌舐めずりしそうになるのを堪える。
「私は飛行機で座って来ただけだしね、ここは空港からも近いし。キミ、運転してきたなら疲れてる
だろう?さ、掛けたまえ」
ソファに誘導する態で、細い体に腕を回した。警戒はされていないようだ。緊張感の類は伝わって来
ない。
さて。桑原はちゃんとコイツに因果を含めておいているのかね。食えない爺いだが、発言力と影響力
は侮れない。通したい要求のある進藤も反発すまいとは思うものの、万が一もあり得る。
「おや。磯の香りがするね……海でも見てきたかい」
隠遁のために全体を黒に統一したらしき髪からは、独特の潮の匂いが仄かに漂っていた。
格段の落ち着きは、この髪の色も多大に影響している。伸ばした所為で、年齢の割に中性的な感じが
強まった印象だ。十代のような瑞々しい少女っぽさを期待するのは酷だが、これはこれで趣がある。
「少し早く着いてしまったもので。りんくう公園裏にいい釣り場があると聞いて時間潰しにと」
「意外だねェ。キミが釣りに興味を持っていたとは」
進藤は少しはにかんだ表情を見せた。我を忘れてむしゃぶりつきたくなる顔だ。
「いえ、桑原先生に以前、色々とお伺いしたことがあるだけで……私などただの初心者ですよ」
「あの爺さん、ギャンブルに突っ込むだけじゃないのかい。いやはや手広いねェ」
桑原の名前を出した。いけると言う符牒だと男は判断した。口の中に唾が湧く。
自分の才能には早々と見切りをつけた。だが、行き場を失った上昇志向は嵐のように体内に渦巻いて
いた。ならばどうするか。既存の組織内で、碁の実力以外で伸し上がるには。
答えはひとつしかなかった。幸い、政治力はあったようだ。
お陰でこうして、かつて自分が後塵を拝した上位棋士をいいように扱う機会を得られる。
進藤は自分とは何世代も違う。しかし、男にとってこれは過去の復讐と言っても差し支えなかった。
- 304 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:44:19.26 ID:???
- 「……その、済みません。すぐ本題に入れ、では失礼だと重々承知ですけれど」
前置きの雑談などとっとと切り上げろ、か。焦りを丸出しにして、可愛いものだ。
「意見の取り纏めかい?私の一存では動けぬ部分もあるのでね、即ともいかんのだよ」
「先生のご尽力にはどれだけ感謝してもしきれません……ですが、もう時間が」
「名人戦予選か、拘るねェ。キミ自身と同一タイミングでの復帰か、それとも落とした名人位を早く
取り戻させてやりたいのか、どちらだい?」
体に回した腕にぐっと力を込めてやると、進藤が身動いだ。空いた手で内腿を軽く撫で上げれば、膝
を閉じて抵抗した。
「あ、あの」
狼狽が表情に現れると、一気に昔日の稚さが蘇った。
「それにしても。キミも図々しいと言うか何と言うか。塔矢君を切れと指示したのに、逆に彼のため
と病身を押して奔走するとは」
「実力ある棋士の救済に、同じ棋士として動いているだけの話です……あ!」
導いたのはソファではなくベッドだった。
「先生、あの、これは……あのっ」
「役員全員の了承が欲しいのだろう?一日も早く。塔矢君のために」
息が荒くなる。もう食いたい。今すぐ。
男の味を覚えたのは、人脈を手当たり次第に広げていた頃だ。その中の一人がある日、文化人御用達
との触れ込みで一軒の店へ連れて行ってくれた。店員にも客にも、いつか表舞台で名を上げんとギラ
つく若い男女がいた。中身はともかく、外見だけはどれも粒揃いだった。芸能界で成功を掴みたい者。
作家として大成したい者。様々だった。目的を達成出来るなら手段など選ばない。そんな連中が各
業界で既得権益を持つ者に擦り寄り、おべっかを使い、体で取り入る生臭い様を見た。
日本の囲碁の総本山には、彼が考えていた以上の価値があったらしい。どんな伝手を期待したのか、
言い寄って来る若者が何人かいた。何事も経験だよと紹介してくれた人物に背中を押されるように、
禁断の扉を開いた。初めて抱いた青年が誰だったか、昔過ぎてもう忘れた。
あれから、数えきれず食ってきたのだ。いちいち覚えていられない。
ただ、棋士だけは自衛のために対象外としてきた。下手に手を付けて放逐されては敵わない。
女流や新人の少年に好みのタイプが居ても、手を出さず我慢を重ねてきた。
その筆頭が塔矢行洋の一粒種だ。日本人形のように可憐な容姿。漆黒の切下げ髪。あの少年は良かっ
た。父親が棋院内で力を持っていたがため、手を出せば丸焦げにされていたに違いない。
その発言力が薄れてきた頃には、もう塔矢アキラは薹が立ち過ぎて好みから大きく外れていた。
体型がはっきり出る中学の制服から伺える腰のラインなどは絶品だったのに、つくづく残念だ。
目鼻立ちのはっきりした美形なのは今も変わらないが、完全に男として育ちきってしまっている。
密かに狙っていた少年が、今自分が組み敷いている相手に魅せられ、人生を踏み外したとはお笑いだ。
「お願いです先生、やめて、やめて下さい」
震える声で、進藤が小さく哀願する。そうだ、おまえにはその程度の抵抗しか許されていない。
休養中とは言え、現役タイトルホルダーをこれから蹂躙する。その昏い悦びに男は笑いを漏らした。
- 305 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/18(水) 23:45:04.19 ID:???
- これから舞台裏暴露大会でつ
なんか色々ともうアレでナニでつ
若゛「ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…」
この後日談が長引いた敗因を探るべく読み返したら、ヒカルたんラッピングパートが
異常に長いせいだと判明…何やってんだ俺…あほだ…
- 306 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 02:49:09.79 ID:???
- ヒカルたんを脅してレイープだと(;´Д`)ハァハァ
羨ましいことこの上ない!
- 307 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 03:00:54.19 ID:???
- 俺はヒカルたんと毎日ラブラブセックスしてるけどな(;´Д`)ハァハァ
- 308 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 18:58:19.16 ID:???
- >>307
ああ、そのきったねえドールな、今朝ゴミの日だったから出したった
- 309 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 19:18:14.58 ID:???
- 無知
- 310 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/19(木) 22:53:56.24 ID:???
- 「キミだって飢えてるんじゃないのかい?どれくらいご無沙汰だっけ?ん?」
「先生、今日はちゃんとお話を」
「塔矢の味に病みつきだから陳情に回ってるんだろうが。アレはそんなにいいのかね?」
「────私は!そんな意図で彼を!違います!」
棋士の矜持を殊更貶める発言に、しおらしく振る舞っていた化けの皮が剥がれたようだ。
頬を上気させ、睨み据えてくる瞳。怒った顔も唆る。
「私はどう罵られても、唾を吐かれても、事実それだけの卑しい人間だから構いません!でも彼は違
います!私のせいで、このまま埋もれさせてはいけないんです!だから早く話を!」
「卑しいと自覚しているなら、ここで気持ちいい思いをして帰ったところで何の不都合があるね?」
才能を買っている、か。口では何とでも取り繕える。
「日本に留まることを決めたのは、キミが処方されてる薬。何だったかな、どれかがどこぞの国では
違法薬物扱いだから入国許可が下りない可能性が高い……それで仕方なくだしねェ?」
濡れ衣が晴れても、結局薬が原因で海外脱出も叶わない。詰まるところ、進藤には国内での復帰以外
に選択肢など無かったのだ。レベル低下を怖れてこちらが復帰を頼んだなど、無責任に煽るメディア
の不愉快な憶測に過ぎぬ。
「減薬は順調に進んでます……今は服用せずに経過観察中です」
「そうかね、それは重畳。なら国際棋戦のエントリーも問題ないわけだ」
「んッ!ぐ……!」
顎を掴んで、強引に唇を奪う。顎関節の近くを強く手で押さえて歯を閉じられないようにし、口内を
舌で存分に嬲る。頭を激しく左右に振り、進藤はキスから逃れて荒い息をついた。
「桑原先生が、私に逆らえとキミに言ったかね?」
「あ、ぁ…………」
それは絶望の呻きだった。耳に心地よく沁み通る。
「キミは、今日のこの場を用意して下さった桑原先生の顔に泥を塗る気で来たのか」
進藤は言葉を失い、ふるふると力無く首を振る。義憤に紅潮していた頬からは血の気が引き、丸く見
開かれた目には涙が浮かんでいる。目尻から落ちそうになっている雫を舐め取り、そのまま舌を滑ら
せて耳孔を軽く責める。
「いや……です、やめて……」
泣きそうな声でそう乞われると、嗜虐心が燃え立って仕方ない。
囲碁一筋の真面目な堅物で通っていた塔矢の小倅を虜にし、盲目にし、破滅に追い込んだ体はどれほ
どのものだろう。期待で股間がはちきれんばかりに膨らむ。
「おぼこぶるんじゃないよ。誰のサオでもお構いなしに咥え込んで、足りなきゃ自分の指でイキ狂う
薄汚い淫乱のくせに。囲碁関係者には清純ないい子の振りが通じると思ってるのが浅いんだよ」
耳朶には赤い石。ピアスなど、以前はしていなかったはずだ。最近開けたのか。
「知ってるかい?ピアス穴ってのは性感帯なんだよ」
石に隠れたホールを舌で擽ると、体の下で進藤が身を捩った。
「や……やだ……いや……」
恥辱と嫌悪感からか、全身をかたかたと震わせている。案外、強情だ。
「ここはイヤかい。ならこっちは?」
- 311 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/19(木) 22:54:34.37 ID:???
- スーツの上着の胸元に手を入れ、小さな尖りを探して布越しに爪で軽く刺激する。
「ッふ……!」
進藤は喘ぎ、自分の両腕でぎゅっと侵入者の手を閉じ込んだ。拒んだつもりが、これでは逆効果だ。
「イヤだ……やめて……やだ」
壊れたレコード盤のように同じ単語しか出せなくなってしまっている。コイツにレコードなどと言っ
ても通じはせぬだろうけれど。
「ここが好きなんだな。さ、腕を緩めて。もっと良くしてあげよう」
閉じ込まれた手を蠢かせ、シャツのボタンを外そうとしたが頑なに抵抗された。
襟元から胸までを腕と手で守るようにして、進藤は服を緩められるのを拒み通した。
「わからないヤツだな。いいのかい?塔矢君の復帰が完全に無くなっても」
「!」
覿面に効いた。進藤の表情が歪み、それだけは、と目で語る。
「彼の除籍通知を、東京に戻り次第送らせてもいいんだよ?」
「おねが……それ、だけは」
掠れ、引き攣れた哀願が小造りな唇から弱々しく吐き出される。
「大体ね。地方に逃げて引きこもりながら、電話だけで大事なお願い事を済まそうなんてのが傲慢な
んだよ。それを、こっちから会いに来てやってるのは最大限の優遇だよ?キミのこれまでの成績故の、
特別扱いもいいところだ。そこを当然だと勘違いしてやしないかね?」
「……っ、……、……」
様子が可怪しい。胸を大きく上下させ、口を開けて苦しそうな呼吸を繰り返している。
パニックを起こし、過呼吸に陥っているように見えた。
使い物にならなくすれば、桑原の爺いが煩いかも知れない。このガキは何故か昔から爺いのお気に入
りだ。幾ら食う許可を貰ったとて、やり過ぎは禁物だ。死に損ないとはいえ囲碁界の重鎮の臍を曲げ
ていい事などひとつも無い。
男は身を起こし、哀れな青年を解放した。進藤はベッドの上で胎児のように縮こまり、丸くなって震
えていた。
「再来週に役員会が招集される予定だ。それまで猶予をあげよう。もう一度考えなおすんだな。私に
抱かれるか、再度拒むかを」
ゆらりと起き上がり、進藤はふらつく足でベッドから下りた。呼吸は辛そうなままだったが、もうこ
の部屋に居たくない気持ちの方が強いらしい。
「けどね、やはり何か持って帰りたいな。折角キミと愉しい一夜を過ごせると期待していたのに、遠
出のし損では収まらんよ」
「すみま、せん……でも」
何を土産に持たせればいいのか分からない、そんな途方に暮れた目で男を見る。
「塔矢君を復帰させる細い希望の糸を繋ぐためなら、私の靴にキスくらい軽いものじゃないかね?」
細く小柄な体がふらふらと近づき、男の足下に跪いた。
「ふ、いいザマじゃないかね進藤本因坊」
征服欲が少しながら満たされる実感に、男はささやかだが溜飲を下げる。
「いいね、役員会の日ギリギリじゃあ意味が無い。早めに肚を括ったが塔矢君のためだよ」
返事を待ったが、役員会当日になっても進藤ヒカルからの連絡は無かった。
綺麗事を述べ立てても、所詮は我が身が可愛いか。男は会合の場で塔矢アキラの除籍を議題に挙げる
算段を立てた。他ならぬ進藤によって、自分の首が締まる事も知らずに。
- 312 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/19(木) 22:55:14.83 ID:???
- レイポは未遂ですた…しかしエロ親父に追い詰められるヒカルたんを
(;´Д`)ハァハァしながら書くのはたのすぃ…
時系列スイッチバックに見えて、ちょっと違うようなそうでないような感じでつ
完結まで、あと残り1パートでつ(これが長くなっちまったらスマンでつ)
- 313 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 23:07:32.66 ID:???
- 未遂であることによってヒカルたんが変態おじさんに喰われなかったことに安心しつつ残念に思っている自分もいる…(;´Д`)ハァハァ
- 314 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/19(木) 23:10:45.48 ID:???
- ヒカルたんがかわいいから仕方がないじゃないか!
- 315 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 00:57:07.81 ID:???
- ヒカルたんは可愛い
それが世の真理なのだよ
- 316 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 11:56:35.43 ID:???
- ヒカルたんならおっさんになってもかわいいだろう
- 317 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 13:00:15.08 ID:???
- 魔性のおっさんとして枯れた年寄りから思春期まっただなかの院生まで魅了するに
決まってるさヒカルたんなら(;´Д`)ハァハァ
- 318 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 13:39:35.00 ID:???
- 普段は割とちゃらんぽらんなところがあるのに対局になると一気に溢れ出す色気(;´Д`)ハァハァ
これだからヒカルたんは堪らん
- 319 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 13:42:20.52 ID:???
- 俺が何故ヒカルたんに魅了され続けてきたのか
その理由を小一時間ほど考えたのだが一向に思い浮かばない
恐らくヒカルたんに本能から惹かれているのだろう…
- 320 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 13:47:34.83 ID:???
- ヒカルたん、どうしてキミはヒカルたんなんだい?
「お父さんとお母さんがオレにヒカルって名前をつけたからだぜ!」
そうじゃなry(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 321 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/21(土) 18:42:57.72 ID:???
- ***
言語中枢が完全に混線してしまって、違う、大元の思考が役立たずになってしまっていて。
どんな感情を目の前のヒカルにぶつけていいかすら、アキラには選択出来なかった。
「……こ、……どう……え、ぁ、あ?」
だらしなく開いた口から漏れるのは、意味を成さない音のみだ。
その情けない姿を見たヒカルは、嘆息しながら左手でぽりぽりと頭を掻いた。
「怒れもしないほど、かぁ。いやなんか、すいませんね」
これはいつの事だ。役員会はアキラが名古屋で父に会っていた日。そのおよそ二週間前なら。
『磯の香りが』
『りんくう公園裏にいい釣り場が』
「…………節分の、あの、釣りに行ったって……まさか」
やっとのことで言葉を引っ張りだす。
「おうよ、大物釣ってきただろ?クッソまずくて食えねェけどな、アハハッ」
アキラはヒカルの顔と、手の中の小さな機械を交互に見比べる。
「もらえるタイの数で発覚しそうになった時ゃ、ヤベェって焦ったぜ。ダメだ、コイツ鋭いから話が
決まるまでに暴かれそうだって」
「嫌味を。見当違いの的外れだったじゃないか」
頭を鈍器で思うさま殴られたようなショックから徐々に回復し、ようやく口が滑らかになり始める。
「そーだな、そっからどんどんナナメ上だったな。ま、気にすんな。嗅ぎつけられないように間違っ
た方向へオレが誘導した成果ですから」
「……キミは!命が要らないのか!」
総てがヒカルによる誘導だったなら、アキラの暴走すら想定のうちとなる。
(そんな、そんなことって)
「うん。オレが話をまとめるのが先か、おまえがオレを殺すのが先か。どっちでもいいって思ってた」
「バカなことを!」
「そう?」
「そうだよ!」
「おまえがオレを殺したら、オレは永遠におまえのものになる。オレが間に合ったら、おまえは一生
オレのものになる。何か問題でも?」
論理が破綻していないか?その強引な理屈は何だ。
「て……え?一、生?」
「なに。おまえ、一生碁打ちでいないの?途中で辞めんの?」
「いや、辞めるも辞めないも……」
- 322 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/21(土) 18:44:01.26 ID:???
- ぬか喜びさせないでくれ。そんな意味でなら。
「これ、この録音機。どうしたんだ」
耐え切れなくなって、アキラは話題を捻じ曲げた。
「おまえの先輩がさ、不利なこと言わされた時用に使えって去年渡してくれた。限りなく容疑者に近
い立場での事情聴取が一回きりで終わっちゃって出番なくなって。リュックの底に眠ってたヤツ」
「岸本先輩が」
「これが役員会議で大炸裂ですよ、そりゃもう。うぷぷ……あー思い出したらハラ痛ェ」
「やっぱり脅迫したんじゃないか」
「してませんって。逆、逆。この時は覚悟が足りなくて見苦しくも保身に走りましたが、心を入れ替
えました。この場の皆様の肉便器だろうが玩具だろうがお好きに弄んで下さい、誠心誠意お仕え致し
ますってな」
「────────もっと悪いッ!」
血圧が上がり過ぎて、頭頂と蟀谷から血が吹き出しそうだった。
本当に、何を考えている!こんな事で復帰が決まったって、嬉しくも何とも!
「晒されたおっさんみたくプレイの一部始終を録音される可能性が高いのに、ミエミエのエサに飛び
つくのは致命的にアタマ悪いヤツだけだよ」
「あ」
卑劣な手段でヒカルに迫った男は、録音されている事に気付かなかった。
その手の内が最初から呈示されていたなら。自ら火達磨になりに行く愚か者など居ない。
「だからって万全じゃない。裸にされて機械を壊されたらおしまいじゃないか」
「その場でストレートに脅迫なんてしてないけどさ。警察に駆け込んだりマスコミにタレコミすんの
はオレの自由だよね?」
「でも好きにしろって言ってしまったんだろ?キミの自業自得で片付けられてしまうぞ」
「つかおまえ、役員が全員オレに欲情する変態ばっかだって思ってるわけ?ないよ、ないない」
図星を指され、アキラは二の句が継げない。
「この釣れたおっさんに対する懲罰動議出たよ。オレもキッツイお叱りもらったけどな、会議の場で
公序良俗に反するような発言は控えなさいって」
それはそうだが。けれど、それでも。
「ま、桑原の爺ちゃんが生きてるうちは大丈夫さ」
「桑原先生が?」
「だって、この釣り計画立てたの、あのジジイだもん」
もう何が何だか理解不能だ。処理能力を完全に超えてしまった。
「ターゲットの選定から、ソイツの好みの格好やら仕種やら。シナリオ書いたのはぜーんぶあのヒト」
脚本通りに、あの吐き気がするような遣り取りが展開されたのか。それならば。
「キミが泣いて嫌がったのも……演技だったのか」
そう思えば、少しは気が楽になる。あんな痛々しい声、聞くに堪えない。
「……………………」
「進藤?」
「……マジ怖かったに決まってんだろ!怖かった、怖かった!怖かったよ!」
- 323 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/21(土) 18:44:35.65 ID:???
- 記憶がフラッシュバックしたのだろうか、ヒカルは顔を歪め声を荒らげた。
「失敗しちゃいけない、シャツのボタンいっこ外されたら終わりだよ、だって、っ」
左手で、満足に上がらない右腕を掴むようにして自分の体を抱く。
「見えちゃうもの、オレがおまえのだって証拠が!毎日してたんだ、消えないよ!」
かっと頬が熱くなる。前につけた痕が消える前に、次の痕をつけた。来る日も来る日も。
この肌は自分のものだと。所有権を声高に主張するように。誰に見せるでもないのに。
「ゴメンよ、ホントはあの日、すっごくしたかった。でもイヤで、あんなのに触られた体なんて、お
まえが汚れちゃうって思って。病院行くのなんて関係なかったんだ!」
ここで生活して初めて、彼を抱かずに越した夜。眠れずに、呑みながら夜明けを待ち侘びた長い夜。
汚れるだなんてとんでもない。拒まれても引き下がらず抱いてやれば良かった。
纏わりつく恐怖と嫌悪感を隠して堪えていた彼を、どうして抱いてやらなかったんだ。
「おまえがここにいると、色々不自由でやりにくかった。でも支えになってたんだ、このイヤな電話
が終わったらバカみたいにヤリまくれる、これが片付いたら部屋で塔矢が待ってるって」
誰が淫魔だなんて言ったんだ。淫獣だなんて。醜いだなんて。
彼は縋ってくれていた。心の平静を必死になって保つために、頼ってくれていた。
(ボクを救うために傷つきながら、ボクにも傷つけられて)
「そこまでしてくれる価値が……ボクにあるのかな」
「おまえのためなんかじゃねーし」
右腕を掴んでいた左手の甲で、ヒカルはぐいと目元を拭った。
「欲しいものを手に入れたかっただけだ。好きなものは好きだって言いたかっただけだ」
その表情は落ち着きを取り戻していて、眼差しは真っ直ぐアキラに注がれている。
「おまえに嘘吐きだって思われたって関係ない。信用されなくたって関係ない。オレはおまえが欲し
かった。だからここへ連れて来たし、一緒に復帰してやるんだって頑張った」
言葉が、また上手く出て来なくなってしまった。どうして。何か言ってやりたいのに。
「おまえの脳内にどんなオレが住んでようが関係ない。永遠なんてクソ喰らえだ。おまえはオレんだ
、
誰にもやらねェ……たとえ昔のオレ相手でもだ!」
愛して已まない、貪婪に輝く太陽。
直視できないくらい眩しい。
「言ってやったさ、オレらに切れろって命令できるほどそっちはおキレイなんですかねって!こんな
ことしでかす役員様がいらっしゃるんですが、この録音を耳の穴かっぽじってよーっく聞いて頂いて、
是非ともご意見を拝聴したいですって!」
「もういいよ、もういい、言わなくて」
燃え盛る高温の炎は、自らをも焼き尽くさんがほど。
もう間違わない。彼だけだ。今ここにいる彼だけが好きだ。
「別れたなんて、誰が証明すんだよ?いちいち行動を監視する人間が張り付くの?だからさ、誓約書
なんて無意味なんだっつの。口先だけでいいのさ」
「やっぱりキミか。あの承諾書を骨抜きにしたのは」
ヒカルはほんの少しだけ、照れたように笑った。
- 324 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/21(土) 18:45:26.63 ID:???
- 完結まで書いて投下しようと思ったけど、連投規制にひっかかりそうなので
とりま一旦3レス分投下したでつ
このヒカルたんのビジュアルについてでつが(今頃かい)、別マガバージョンのアル○ラーン殿下の
後ろしっぽをもっと短くして髪全体を黒塗りにし、ピアスを赤にして顔を小畑神の10年後ヒカルたん
に変換すれば近いものが出来上がる…かもでつ
ヒカルたんが可愛いのは宇宙の真理であるのには超同意(;´Д`)ハァハァ
- 325 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/21(土) 18:53:44.95 ID:???
- おおう、禁則大失敗してやがる…orz
- 326 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/21(土) 20:09:01.74 ID:???
- ヒカルたんは小悪魔であり大天使であったか…(;´Д`)ハァハァ
- 327 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/22(日) 20:40:39.94 ID:???
- 「……殺されてもだなんて。冗談だろう?」
「別に信じなくてもいいよ。どうせ、オレの言葉なんておまえには全部嘘に聞こえるんだから」
「ごめん。謝る」
「はかばかしくなかったってのは言ったよな。それで、何もかも投げ出したくなる時があって。おま
えに恨まれて殺されたら、楽になれるし一緒にいられる。追ってくるだろ?」
「ああ。でも、ボクだけ地獄送りだと思ってた」
「どうして、って……あー、わかった。そんなにイヤかよ、今のこのナリ」
師を真似たようなと少年に評された、髪とピアス。
殺してしまえば、連れて行かれると思った。奪われると。根拠もなく。
「アイツにはとっくにあの世の入り口で追い返され済みだから安心しろ、つってもおまえは信用しな
いんだったよな」
「わかった、信用するから、根に持たないでくれ」
「やけに素直だな、気持ち悪ィ」
「ああ言えばこう言う。まったくキミは」
「……ちったァ落ち着いた?」
気が付けば、壁に凭れて立っていたヒカルはすぐ近くにしゃがんで、アキラと目線を合わせて話をし
ていた。
「わからないことだらけで……まだ混乱してる。桑原先生といつから共謀してたのか、とか」
「十一月からだよ。考え続けたことに結論が出て、じゃあどうするってなって、色々調べてたら処方
薬のせいで海外アウトだってわかった。なら復帰っきゃない、けど塔矢はどうすりゃいいのと」
「それで、相談したのか」
ヒカルはこっくりと頷いた。入院中から動いていたなんて。その頃と言えば自分は。
「年明けが目標だった。覚悟はしてたけど、おまえの件が絡むとイヤんなるほど難航して長引いちゃ
って……一旦リセットしてェと思ったから、社に甘えてこっち逃げてきた。東京は人目が気になって
息が詰まっちゃう」
「……わかるよ、東京は……今のボクらには」
「オレだって、あんなもん流出してあちこちで色々好き放題言われて。棋院にしてみりゃ地雷なのは
おまえと大して変わんねェ。それをセットでヨロシクなんて、どんなツラの皮してんだってヤな顔さ
れんのは当たり前だよな」
ヒカルが交渉の場で、どんな心無い嘲りや罵りを浴びてきたかを想像するだけで居たたまれなくなっ
た。その場に自分が寄り添ってやれたなら。いや。十一月なら自分は容疑者の身だった。無理だ。
「おまけに、出版部の小瀬村さんがハンパなお漏らしまでしてくれやがるし。あのヒト、配属された
ての頃の北斗杯でぜんっぜん懲りてねェ。いいトシなんだからそういうのカンベンしろよって桑原先
生経由でぶっとい釘刺しといたけどさ」
小瀬村の情報で踊らされたのか。これは、復帰の挨拶がてらに『お礼』が必要そうだとアキラは物騒
な事を考えかけてやめた。
溜め込んでいたものを一気に吐き出すような、ヒカルの告白は続いた。
アキラとの短い生活の中で、どれだけ不安定に揺れていたか。
ふたり揃っての復帰に向けた困難な道程に挫折しそうになり。時には些細な事でアキラに当たり散ら
し、甘えて我儘をぶつけ。『釣り』以降、日に日に亢進するアキラの暴力的な行為に抗い難い死への
甘い蜜にも似た誘惑を見出して、何度それに溺れたいと思ったか。そう赤裸々に語った。
- 328 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/22(日) 20:43:07.84 ID:???
- 「おまえがオレを殺し損ねた時、勝ったと思った。これでおまえはオレのだって」
「……?」
意味がよく汲み取れなかった。
「おまえが勝ってたら、おまえはオレとの永遠を手に入れてた。でも、オレが勝った」
「その、わからない、んだけど」
「おまえを、オレが生きてる限り束縛するってこと。ずっと」
いつしか、ヒカルの左腕がアキラの背中に廻って這っていた。
「いや、あの」
「ホントわかんないの?」
息だけの囁きが耳孔を擽り、真珠の歯が耳朶を食む。
「ぁあ……」
自分の制御が及ばぬ喘ぎが唇の間を割って漏れ出る。
「なんでかな。棋院とかとのヤな用事が終わった後、おまえと『打ちたい』じゃなくて『いっぱいし
たい』で頭がパンパンになってたのは」
「欲求不満だろ、っ、ん」
やけに敏感になった自分の肌が、重ね着した厚い生地越しに届く軽い愛撫にも鋭い反応を返す。
「ね、挿れていい?挿れたい、挿れさせろ」
「は?」
「は?じゃねェよ。おまえの『荒療治』のおかげでこんなんだよ、責任とれよ」
呼吸を乱しながら、ヒカルが膝に乗って下腹部の昂りを擦り付けてくる。
プジーでヒカルの尿道を責めた直後の、狂乱ぶりが脳裏に蘇る。
後日調べてみたら、行き止まりになっていた場所は尿道の括約筋ではなく前立腺の辺りだと判った。
だからって、そんな極端な。
後ろだと前立腺なんかよりもっと奥が好きなくせに。直截な刺激で目覚めてしまったのか。
「いや、まだ尿道の炎症が完治してないんじゃ」
「全部欲しい。ナカの深いとこまでオレのにしたい。おまえがよくてオレがダメとか、不公平じゃね?」
相手を征服する器官が備わり、機能する以上、ヒカルのそれは自然な欲求ではある。あるけれど。
「また熱出すよ、これからバタバタするんじゃないの?」
「んふん。そんなのよりもおまえにぶっ挿してぐっちゃぐちゃに掻き回して鳴かせたい」
熱く濡れた吐息がアキラの首筋を湿らせる。本気だ。
「ボクに?悪趣味だな」
「オレなんかに欲情してズコバコしたがるような変態に言われたかないね」
「心外だ。キミは自分を鏡で見たことがないのか」
「残念ながら鏡見ても自分にハメたいとか思うこたねェよ、どこのナルシーだ」
呆れ半分、嘆息半分のような微妙な笑いが我知らず漏れる。
「自覚もなしに、大物を釣り上げようとしたのかい?」
もうヒカルは聞いていなかった。甲斐あって手に入れた獲物を味わうべく、夢中になってアキラの首
にかぶりつく。
- 330 名前:泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/22(日) 20:44:32.66 ID:???
- 「……これって」
黒のダイバーズウォッチ。アキラが贈ったもの。
最後に見たのは、確か。
「おまえがここ来た日、見せただろ?投げるわ叩きつけるわヒデー扱いでガラス傷だらけだったの」
どういう経緯でそんな扱いをしたかは知っている。だから訊かない。
無数の小さな傷と、端に欠けまであった。強度のある耐久性に優れた素材が、まるであの当時のヒカ
ルを象徴するかのように無惨なことになっていた。
その傷が、どこにも見当たらない。綺麗に消えている。
「交換できないかって修理持ってったらさ、ドライブもイカれてるって言われて。動いてるのが奇跡
だって……で、まあ、大掛かりになっちゃって、完了まで一ヶ月ですよ」
笑って言いながら、ヒカルは左手首にそれを嵌めた。やはり、細い手首に厳ついその時計はアンバラ
ンスだ。
「昨日、碁会所の帰りに取りに行くつもりでいたんだけどさ。それどころじゃなくなっただろ?」
携帯電話の所在ばかりに気を取られて、そっちが無いのには気付かなかっただなんて。
「……………………」
「なんって顔してんだ。まだ痛いのか?」
涙を堪えようとしている自分が、どんなみっともない顔になっているのか。鏡で見なくとも判る。
ぺし、とヒカルはアキラの額を軽く叩いた。
ローテーブルの上に、カバーの印刷が剥げた文庫本が放置されたままだった。
少年がその本から『貪婪』という単語を想起したのかと今朝訊いてみた。
「だとよ。なんでも、これの読書感想文書かないと中学卒業させてもらえなかったんだそうで。不登
校でも成績さえ良きゃ何でもアリなのな」
本人から教えられて読んでみたが、退屈だったとヒカルは笑っていた。
「ところでさ」
「……ん?」
「おまえ、あの大量エログッズ。通販だろうとは思うけど、社の名前で買った?」
「へ?」
何について訊かれたのかすぐには理解出来ず、思い出すまでにタイムラグが発生した。
「あ、ああ、うん」
「ここに届いたって記憶がないんだけど、局留め使った?」
「うん」
どうして蒸し返すのだろう。嫌な予感がする。
「いやァ、近々大阪へ行く用事があるからさー、そん時チクッてやろっかなー、なーんて」
「なッ!」
がば、と勢い良く起き上がろうとして、あらぬ場所と腰に響く痛みに思わず呻いた。
「あーもー土産話に困らなくて今から笑いが止まんねェや」
「やめてくれ!頼む!後生だ!」
形振り構わぬアキラのその様に、ヒカルは腹を抱えて笑い転げた。
<了>
- 331 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/22(日) 20:46:19.48 ID:???
- 終わりますた、長らく読んでくれた数少ないメイツ諸兄に大感謝でつ
この話自体がヒカルたんによる壮大な釣りだったってオチは、予定してたエロコメ路線から
大転換した時点で決まりますた…誤字脱字文法のアレなどは置いといて、かなーり言葉選びに
神経使ったでつ
若゛とヒカルたんの咬み合わない会話とかもうね…ライフ削られまくりですた
何より、構成上ヒカルたん視点で絶対書けない(ネタバレするぅ!)のがキツかったでつ
あと、ディルド三本刺し!書きたかったのにっ!(大絶叫
あと、尺の都合で説明ができなかったとこが結構あって
(cf:ヒカルたん、釣りの日から役員会までスーツどうしてたの→クリーニング出しっぱだった)
前作に負けず劣らず不親切なブツになってしまい申したでつ、反省しきりでつ
お許しが頂けるなら、ヒカルたん視点での補完(拾遺)を一本書かせてもらえたらなーと
思ってるでつ。書くとしたら四月以降でつ
前言った佐為視点の前日談はなかったことに…
拙作のご拝読本当にありがとうございますた(焼き土下座)
- 332 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/02/22(日) 20:48:44.89 ID:???
- ご拝読ってなんだよ、寝ぼけてんのか俺
なんかもう日本語が最後までおかしくて申し訳ない(焼き土下座ふたたび
- 333 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/25(水) 06:34:44.22 ID:???
-
∩▼〃ヾ
ヽ (*゚▽゚) 完結オメデトウダナ!!!
ヽ ⊂ ヽ
O-、 )〜
U
- 334 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/25(水) 18:50:40.10 ID:???
- もう糞を量産するなよわかったか
誰も読んでないんだよ
- 335 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/26(木) 05:00:24.17 ID:???
- 長い間楽しませてくれて本当に乙!
今になってこんな長編が読めるとは思ってもみなかったからマジで嬉しかったよ
ゆっくり休んでくれ〜
- 336 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/26(木) 10:37:14.19 ID:???
- 完結乙乙!ヒカルたん視点の補完正座して待ってる
>>333
大天使降臨 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
- 337 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/27(金) 01:21:41.96 ID:???
- 貪婪ヒカルたんとはもう半年近い付き合いだったんだな
大変お世話になりますた(;´Д`)ハァハァ
- 338 名前:盆 :2015/02/27(金) 17:10:20.90 ID:???
- メイツの情けが身にしみる…おつありっす
>>333
にゃー!ありがとうよヒカルたん!かつぶしあげようおいでおいで(;´Д`)ハァハァ
補完については既に書かれてる部分を基本割愛って形になりまつが…
主に伏線拾い損ねた的な部分を本編後日談通じてピックアップできればと思いまつ
…つかさ、書けば書くほど、メインPG(蓮本編)が呼ばなあかん外部モジュールが増えて
いってる悪夢のデジャブが…
昔あったなぁ、「現行動いてるヤツのソースしかないよ、仕様書もないよ、でもこれ解析して改良してちょ、
移行はいきなし本番環境でヨロ、でも本番データ使って走らせてコケたらブチコロ」
って無茶ブリ…
そんでメモリ拡張しても512kしか使えねぇ!メガじゃねぇキロだとぅ!いつまでもdos使ってんじゃねー!
そのせいで改良してもコンパイルしたらメモリ不足で落ちやがる、どーせいっちゅーんだー!
これがまたすっげぇ糞ラーメンでさぁ、誰が書いたんだと小一時間どころでなく問い詰めたかった
解析するだけでどれだけ費やしたかと…5000step以上あったっけ?
これが零細事務所じゃなく結構でっかい工場のシステムなのが泣ける…いくら枯れた技術がいいっても
限度があるわ!しかもライン止められないとか、理解できるけどどんな拷問ですかぁ……
げふんげふん
ま、補完はヒカルたんが淫乱天使なのを再確認するだけの話でつ
俺のショタスキーの原点に還る中学ぷにヒカルたんからスタートでつ
つか貪婪は去年の年末からだったような気が…ボケ進行したかな俺
今の仕事が余りにお安いので、元の仕事に戻ろうかとちょっと揺れ動いている俺…
ヒカルたんに膝枕してもらえたら正しい道が見えるかのしれない
- 339 名前:名無しさん@ピンキー :2015/02/27(金) 23:21:42.27 ID:???
- 「何言ってるか全然わかんねーけど
ま、がんばれよ!」
- 340 名前: 【豚】 :2015/03/01(日) 08:27:59.96 ID:???
- ありがとうヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
お礼に全身ペロペロしちゃうね(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 341 名前: 【中吉】 :2015/03/01(日) 08:29:37.88 ID:???
- 豚…確かに俺はヒカルたんに踏まれたい豚だけれども!
俺とヒカルたんの今月の愛の行方、ワンモアセッ!
- 342 名前: 【吉】 :2015/03/01(日) 17:04:05.39 ID:???
- ヒカルたんもう三月だよヒカルたん今年度が終わっちゃうよ
- 343 名前: 【小吉】 :2015/03/01(日) 18:09:38.80 ID:???
- ところでおまいら、3/3以降どうするよ
個人情報特定されてタマ握られた状態になるけど((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
でもって過去ログdat取得にログイン必要になるらしいから、イチゴ狩りとか
桃とか便所ヒカルたんとかが読めなくなる
避難所に移動すっかね?
- 344 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 02:02:36.27 ID:???
- 盆回したんは新作投下しにくいかもなー
ま、なるようになるさ!
- 345 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 04:47:27.96 ID:???
- 久しぶりにパソコンからここを見たら何故か2月初めまでのしか表示されないんだがこれも仕様変更の影響か俺のパソコンがおかしいのか…
- 346 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 04:48:38.42 ID:???
- ていうか盆たんの連載おわっとる!
おつかれさまでした!そして今まで多大なる萌えをありがとうございました!(;´Д`)ハァハァ
- 347 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 04:51:56.54 ID:???
- 一旦スマホ版見てからPC版に戻ったら全部表示するようになったのでただのデータ所得漏れかな…
俺も盆たんを見習ってそろそろ何か書こうとは思うのだがまあ期待せずに待っててくれ…
- 348 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 17:01:15.07 ID:???
- PCソフ板のにわか住人になって情報収集しているうちに
なんか楽しくなってきてしまいにゃ人柱やってたwww
・3月中にstyle・mateとあといっこスマホ用(何だっけ)の最新版以外
専ブラ使えなくなるのは確定だけど、それまでは今使ってる専ブラでおk
以降はwebブラウザにadblockなりブチ込んどけば広告に追跡される気持ち悪さは多少軽減されるかも
・API対応の専ブラは個人情報的な意味で(開発の元締め&広告会社の評判がおよろしくない)
不安なら使わぬが吉、レスや読み込みしただけでツイだの顔本だのに紐付けって話には
まだ明確な根拠見つからず、恐らくは浪人関連(以前の●大量流出事件)での不信と思われ
・webブラウザでスレ見る際、構造上でっかいセキュリティホールが見つかったらしいが
現在は対応済みとのこと
・過去ログはもう上記新仕様対応専ブラで浪人ログインしてしか取れない模様(一応試した)
今んとこはこんなもんかな
>>347
仕様と関係あることないこと毎日内部でこちゃこちゃいじって遊んでるようなので、その不具合だと思う
新作を紳士の正装でお待ちしております
- 349 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 17:06:31.98 ID:???
- あ、過去ログ試したってのはログインせずにって意味ね
俺浪人とかそういうの買ってないので
- 350 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 18:02:05.32 ID:???
- もいっこ
style・mate・BB2Cが現状最新版で新仕様対応済み
その他、いくつかの専ブラが運営と交渉中(少ないけど)
うちガラケで使えるのはべっかんこ(対応済み?ようわからんが今使える)ぬこ(交渉中、今んとこ使える)
ぬこと一緒に交渉中なのが讃岐(使ってないのでわからん、すまん)
スマホ用API対応専ブラは、動く広告がパケ量を食いまくるらしいので要注意
ただし、今はpink見る分には広告出てない…という話(ガラケ使いなんで確認不可)
- 351 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/04(水) 18:49:58.06 ID:???
- ごめん、訂正
過去ログ取れなかったのは俺の専ブラの設定が悪かったせい
設定しなおしたら取れた
今はまだAPI非対応専ブラなら取れます、すいません
- 352 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/06(金) 20:02:47.41 ID:???
- わかりやすいまとめができてた
http://bbs.lames.jp/2ch-api.html
これ以上はいい加減スレチっぽいし、この件に関しては何かあったら避難所で、って
ことでどうでせう
ヒカルたんの膝枕でぷりっぷりのふとももに顔をスリスリしたい(;´Д`)ハァハァ
- 353 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/08(日) 06:35:41.47 ID:???
- >>352
おお、さんくす
今日も朝からヒカルたんの寝顔が可愛いぜ(;´Д`)ハァハァ
もちろん起きてる時の生意気な顔も可愛いけどな(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 354 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/12(木) 01:09:51.01 ID:???
- ムキになるくせになんだかんだ流されちゃうヒカルたんが愛しい(;´Д`)ハァハァ
- 355 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/13(金) 01:19:37.83 ID:???
- >>354
一瞬ムキムキなヒカルたんかと思ってドキドキしたぜ…
だが細マッチョヒカルたんならよりエロスが増す(;´Д`)ハァハァ
- 356 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/13(金) 12:08:05.43 ID:???
- pink全般が読み込めなくなってしもうた
webブラウザから書けるかテスト
- 357 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/13(金) 14:34:42.69 ID:???
- 細マッチョでしなやかなヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 358 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/13(金) 19:19:38.20 ID:???
- >>352のまとめは頻繁に更新されてますな
参考になる
細マッチョなヒカルたんをムキムキしたい(;´Д`)ハァハァ
- 359 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/13(金) 21:44:51.77 ID:???
- かぐや姫ヒカルたんはやんちゃで大変だろうなあ(;´Д`)ハァハァ
- 360 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/16(月) 23:32:18.46 ID:???
- ヒカルたん!俺だ!ヒモにしてくれ!
もう働きたくないでござる!
- 361 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/19(木) 11:54:19.24 ID:???
- 暫定保管所がログイン要求してきて見れんくなっとる…
昼の(;´Д`)ハァハァ補給ができないよヒカルたん
- 362 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/19(木) 13:29:21.53 ID:???
- ヒカルたん相手だと食ザーとかちょっとマニアックなこともやって欲しくなる(;´Д`)ハァハァ
たぶんヒカルたんならメシがもったいないからなといいつつ食べてくれそう(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんの全身にぶっかけたい(;´Д`)ハァハァ
- 363 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/21(土) 18:25:42.47 ID:???
- 暫定たん、ここ見れてるかな
ちょいここではアレなんで詳しくは避難所で
- 364 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/27(金) 01:04:26.61 ID:???
- だれもいない…
たとえこの荒涼たる大地(スレ)にただひとりとなろうとも
俺はヒカルたんに(;´Д`)ハァハァを捧げ続けるさ、捧げ続けるとも
- 365 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/27(金) 13:23:43.56 ID:???
- おおおうすまない暫定の中の人だがあんなことになってるとは思わなんだ
いややったのは自分しかありえないんだが間違えて設定してたらしい
皆すまない
見れるようにしといたから存分に(;´Д`)ハァハァしてくれ!
- 366 名前:名無しさん@ピンキー :2015/03/27(金) 21:37:56.66 ID:???
- 暫定たんありがとうありがとうマジ感謝
もうそりゃあ(;´Д`)ハァハァしまくるに決まってるさ
いろんなヒカルたんを堪能できる場所に乾杯
- 367 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/03/30(月) 22:37:53.48 ID:???
- <序>
みっともないほど甘く乱れた呼吸が、空気を伝って鼓膜を震わせる。
その音は口腔伝いに、直接内部からも聴覚を刺激して興奮を煽る。
ぎしり、と、一纏めに縛られ頭の上に吊り上げられた手首が、身動ぎした拍子に皮のような紐と汗で
厭な摩擦音を立てる。
ダブルサイズと思しきベッドの上に全裸で座らされ、大きくMの字に開脚を強いられた姿勢が辛い。
────どうして、自分で自分の全身像が見えているのだろう?
簡単だ。目の前に、天井から床まで高さのある巨大な鏡があるから。
その自分の姿ときたらどうだ。頬を羞恥と期待で赤らめ、荒い息をついて、ペニスから大量の涎を零
しながら時折いやらしく身をくねらせる。その場に居る誰かを誘うために。
────誰かって、誰だ?
「やあ眼福だよ、進藤君」
脂ぎった情欲に塗れた中年男の野太い声。すぐ傍に居るはずなのに、どういう訳か姿が見えない。
鏡にも映らない。
鮫皮にも似たざらざらと硬い指の腹が、首筋をなぞってゆく感触。心ならずも、小さく声が漏れる。
その声色が白地に媚びていて、嫌悪感を催す。
「あっ」
「やはり、ここがいいのかい?ふん、女のようじゃないか」
乳輪ごと、とうに膨らみきった乳首全体を乱暴に指で揉みしだかれて、声ははっきりとした悦びに濡
れる。
「あ、ぁ」
「おやおや。声まで女みたいに可愛くなって。ここもこんなに濡らして、いけないなあ」
総身をくまなく這い回っていた分厚い掌が、やがて尾骨の付け根を焦らすように撫で始める。
快楽を欲しがる浅ましい肉体は、その微妙な刺激にもどかしがって揺れる。
「ん、だめ……っ」
「ダメじゃないだろう。『下さい』と素直になるんだ、でなければいつまでもあげないよ」
「んん……!」
焦れったい快感を逃がすかのように首を振るのが、鏡越しに見える。乱れた黒髪、その長さは自分で
ないような錯覚を起こさせる。
返事の代わりに、シーツにぺったりとつけていた尻を浮かそうと、開かされた両脚に力を込める。
不自然な体勢に腹筋が引き攣って震え、腿の筋肉も痛いほど収縮する。
男は無慈悲にも、その自分の努力をいとも簡単に無に帰してしまう。手首を吊った紐が少しだけ緩ま
り、とんと胸を軽く小突かれてバランスを崩す。無様に尻餅をついて姿勢が低くなった分、また紐が
ぴんと腕を吊り上げた。手首が締め付けられる痛みに思わず呻く。
体がくるりと裏返される。
「脚、ちゃんと開いておくんだよ」
言いつけ通り、腕が浮いた不安定な四つん這いの状態で再び大きく脚を開く。
無遠慮な掌が双丘を撫で回す。後ろを向いてしまったので、もう鏡で自分の姿は確認出来ない。
「崩れのない、いい形をしてるねェ……どれ」
今度は睾丸の裏から会陰を執拗になぞられる。ここを責められれば一気に、ああ駄目だ。
準備が出来上がってしまう。
「ふぅ……ッ!んン!」
瘧に罹ったかの如くに全身が痙攣し、尾骨から脊柱を通して脳髄が快楽に灼ける。
パッキンが劣化して馬鹿になった蛇口のように、萎えたままの性器からぼたぼたと透明な粘液が落ち
てシーツをぐしょぐしょにする。
「さあ、何て言うんだったかな?進藤君」
屈辱に、涙が溢れそうだ。でも……でも。
体が。体が要求する。してしまう。
- 368 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/03/30(月) 22:41:01.69 ID:???
- 「く……くだ、さい」
「素っ気ないねェ。それだけかい?」
意地の悪い言葉が耳孔をねっちりと犯す。それだけで息が上がる。
襞の周囲を軽くくるりと指が掠める程度に触れては離れる所業に、我慢も限界だった。
「ぉねがい、します……ッ!」
震え裏返る声に、中年男の北叟笑む気配がした。
慣らしもしていないのに、太くて節くれだった指が一本乱暴に捩じ込まれただけで。
頭が真っ白になり、理性が完全に飛んだ。
***
「…………ッ!」
階段を踏み外したかのような感覚にびくりと身を震わせて、ヒカルは慌てて目を開けた。
はあ、はあ、と荒れた自分の呼吸音が、潜り込んでいた布団に吸収されてくぐもる。
そろそろと顔を布団から出す。外はまだ暗いようだった。
起きだすにはまだ早い時間だ。病院は十時に行くことになっている。
視線をローテーブルの方へやると、同居人が突っ伏して寝入っていた。
どうやら、昨夕からちびちび呑んでいるうちに潰れたらしい。
「オレが残した分も呑んだのかよ」
起こさないように、小さく呟いてくすりと笑う。昨日持ち帰って来た鯛の刺身も皿から綺麗になくな
っていた。彼にとっては結構な量だったろうに、随分頑張って食べたものだ。
本当は買った。釣堀で電話を受けたは受けたが、相手の待つ場所へ生モノを持ち込むのは無理だった
から。
ふらつく頭と脚を落ち着かせ、動揺をアキラに悟られぬように。車での帰路、朝に電話待ちしていた
釣堀に隣接した海釣り公園で時間を潰した。
そこで鯛を持ち帰ると前日に言ったのを思い出し、辻褄合わせのために一尾、市場で買い求めて捌い
て貰ったのだ。
アキラに対する不実さが、もう出てきてしまっている。そう思った。
だから、あんな夢だって見てしまう。
あれは願望だ。
求められれば誰にでも喜んで体を開きたがる自分の、汚い欲望。
誰だっていい。プライドも何もかも引き剥がして、ちゃちで滑稽な本当の自分を曝け出してくれる相
手なら。
欲しいものは、愛だの恋だの甘ったるい情の交歓ではなかった。
昨日、その事実を最も残酷な形で、タイミングで、突き付けられた。
永遠など誓えない。三週間前のあの夜、そう返事をしておいて良かった。
やはり自分には、そんな資格などありもしなかった。
昨日までの、何の含みもなくアキラを求め貪っていた自分にはもう戻れない。
自分はこれから先、肉欲に振り回されて何度も後悔するだろう。
ショックが大きすぎて、昨日はアキラの求めを拒んでしまった。
でも、この狭い部屋で暮らし続けていて。欲しい体が目の前にあって。
辛抱がきく道理がない。
アキラが不要になった訳ではない。手放すつもりなど毛筋一本分もない。
でも物足りないのだ。
アキラひとりでは、足りない。
そもそもの最初から、ヒカルにとってアキラは『本物の肉棒』以上の意味を持たなかった。
ただそれだけの話でしかない。
- 369 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/03/30(月) 22:45:11.90 ID:???
- 保守がてら補完話のさわりだけ投下
小説倉庫と保管所がなくなったら俺のヒカルたん(;´Д`)ハァハァパラダイスが…!
暫定たんホントにありがとう
- 370 名前: 【大吉】 :2015/04/01(水) 15:13:17.91 ID:???
- 年度初めだよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
お、俺と、俺と…!(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 371 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/01(水) 15:15:45.71 ID:???
- やっ、たぁああああああああああ!やったよヒカルたん大吉だよ!
俺と、俺との、俺との(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 372 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/02(木) 10:32:41.28 ID:???
- 暫定たんへこそーり
(Part53、避難所にあるよ)
- 373 名前:372 :2015/04/02(木) 10:45:51.61 ID:???
- 見てみたら53って、超速で落ちてるっぽいな
それで暫定たん別の立て直し53を探してる?もしそうならごめん
- 374 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/06(月) 16:34:26.54 ID:???
- ヒカルたんの火照った身体(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 375 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/06(月) 21:48:56.95 ID:???
- いいや、能天気な誤謬を正されたのだ。昨日、あの現役崩れの役員に。
アキラに対する欲求が、恋人へのそれなどではないことを改めて悟らされた。
肌の上に散りばめられた所有の徴が知られたら計画がおじゃんになる、その怯れに嘘は無かった。
それとは別に、快感を与えようと服越しに蠢く手や唇や舌を。伸し掛かる男の体重と生臭さを。
全身で感じて易々と流され尻穴を嬉々として差し出しそうになった、その事実が絶えずヒカルの後頭
部を殴打し続けていた。表面的な抵抗など、本心を糊塗するための三文芝居。
あんな夢まで見てしまうほど、節操なく飢えていたなんて。まだ動悸が治まらない。
「塔矢……おまえさ、なんでオレなんか好きになっちゃったの?」
声に出さず、口の中だけで自嘲じみた問いを発する。
ヒカルの中で、碁打ちとしてのアキラは初めて会ったその時から些かも揺るがぬ存在だ。そこに偽り
など入り込む余地はない。
碁に向かう真摯な姿勢、一度見据えた目標に過たず真っ直ぐ放たれた矢のような伸びやかさと力強さ。
もっとだ。何だったか。何かで見聞きしたような気がする。最新技術によって生身の人間では目視不
可能な地点の対象物に針の穴を通すような命中率を誇る、現代の戦艦のミサイルだか何だか。漫画で
ちょっと齧った程度の知識だが、弓矢よりあれの方が近いような感じがする。
有無をいわさぬ強大な『力』という点において……。
敬意の対象であり、憧れだった。碁打ちとしてああで在りたいと望んだ理想像そのものの具現。
自分と同い年の同じ人間としてこの世に実在するのが誇らしいとすら思えるほどの。
実用品として究極まで洗練された兵器は美しいらしい。多分、それと同種の美しさをアキラにずっと
感じていた。
それは今も変わらない。こうと決めたら一心不乱な気性を、いつも羨ましく眩しく思っていた。
迷いや尻込みなど無く。ロックオンしたら最後。とどめを刺すまでターゲットを追う。
「なんで、ただの碁打ちと碁打ちでいられなかったんだろ?」
自分を対等な碁打ちとして認めてくれた時はとてつもなく嬉しかった。
肉体関係だって、実のところ厭々結んでいた時期など皆無だった。
あったのはアキラが考えていたような同性に対する嫌悪感ではなく、彼への罪悪感と自分への軽蔑。
被害者の顔をして、清廉なアキラを道具に歪んだ肉欲を満たしてきた己の醜さ。
「おまえの何にでもクッソマジメな性格じゃあ、オレとはどこまでいってもツラいだけなのにな」
直線的で、目標物の他に視線をくれてもやらないアキラの本質。
入力された座標目がけ、亜音速で飛行する無駄を削ぎ落した美しいフォルムのミサイル。
では、ミサイルの誘導システムがある意図をもってクラックされたら?
座標入力データが目立たぬよう微妙に改竄されたら?
アキラは知らない。目標のデータを僭越にも書き換えようと試みてきた我欲塗れの愚か者の事を。
昔から、都度。必要になるたび。まともに成功などした試しは無かったのに。
「なあ。他の男にヤらせたくないならさ」
浮気をしたら、相手ともども殺しに行く。アキラの気性なら、あの夜の言葉は実行可能な宣告に違い
ない。
たとい、それが行きずりの、ほんの一・二時間快楽を共有しただけの名も知らぬ男だろうとも。
「飽きたとか疲れたとか切り上げようとか言わないでよ」
- 376 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/06(月) 21:52:36.85 ID:???
- おまえだけで腹いっぱいだ、もうセックスなんてしたくないってギブしちゃうくらいに。
もっともっとオレんナカにちょうだい。
何も考えられなくなって、気絶してもまだ責め続けてよ。
ハメてハメてハメまくって。
よその男がちょっかい出して来ても、よろめくって気を起こさせる余裕なんか与えないでくれ。
「でないと……オレは」
無差別に男を食い散らかす、おまえに相応しくないゴミ野郎に成り果ててしまいそうなんだ。
「そうなっちゃう前に。おまえの手で」
引導を渡してくれていい。いまだ眠りの中にいるアキラに小さく呟き続ける。
体の疼きに屈して碁打ちとしての分別を無くしてしまうなんてイヤだ。
何のために、復帰を決意して動いているのかわからなくなる。
本当は、他人の蔑む目が。言葉の暴力が。
対局相手がまともに打ってくれるかどうかも不透明な現状が。
怖ろしくて怖ろしくて、それでも『打ちたい』という渇望の方がずっと勝った。
なのにこんな、下賎な欲望に堕ちて溺れきった体を持て余している。
「……ホントにさ。塔矢どうして、オレなんか好きになったんだよ、バカだなァ」
同じ道を一緒に歩こうとしてくれた碁打ちのおまえにしか頼めない。だから、お願い。
この三週間、おまえの事が好きだからと思い込んでサカり狂っていたオレを許さないで。
そしてヒカルは、またも正確無比なミサイルの軌道を変えようと愚挙を繰り返そうとする。
アキラに罪を重ねさせようと、画策する。
但し、今までと一点だけ違うのは。
これを期限付きの『賭け』にした事だった。
でなければアキラが余りにも救われないと思ったから。
自分たちふたりが期限内に『揃って』棋戦に復帰出来れば勝ち。
それ以外の出目ならヒカルの負けだ。
勝ちの場合の報酬など、何も設定していない。何も思い浮かばない。
────────負けた時は。アキラに我が身の総てを委ねる。
これから谷底へ突き落とすアキラへの詫びにもならないが、そう勝手に決めた。
勝負が決するリミットまで、さほど時間は残っていなかった。
「好きだなんて……答えなきゃよかったなァ。ヤりたいだけの勘違いだったのに」
涙など出ない。去年、流し尽くした。泣こうとも思わない。
自分を憐れもうなどとも思わない。
したいことを我儘に貫き通す。もう心の中できっちり整理済みだ。
それを肉体に息づく淫らな本能が妨げると言うなら。
満腹するまで手近な男を食いまくるか、本能を抑え込むかの二者択一。
抑え込むのは無理だ。自分の体は快楽にとことん弱く出来ている。ならば。
「殴り倒して、服破って、強引にブチ込んで……毎日こっぴどく犯して。犯してよ塔矢、ねえ」
そのくらいされないと、この底無し沼のような獣欲の塊と化した体は鎮まらない。
- 377 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/06(月) 21:56:12.57 ID:???
- <T・萌芽>
棋院無許可の『自主休業』をやはり自己都合で切り上げた頃には既に、『本物』を欲していたと記憶
している。
夏休みは幾日か残っていて、宿題が手付かずのままだった。
師が姿を消した淋しさを紛らわすために始めた手すさびは、指で後ろをそっと撫でるところから。
「っ……ふ、ぅく」
まだ陽の高い、晩夏の午後。噎せ込むような湿気と、夕立の気配。遠くで微かに低く響く、雷の音。
外は目の潰れそうな光に風景が白飛びするほど明るいままで、雨はここまで来ていない。
天気の急変を予告する控え目な音やツクツクボウシの声に混じる室内の、未熟で淫らな息遣い。
「っは、は、はふ……、ん、っ」
出そうになる声を呑み込む度に、体内に熱が溜め込まれてゆく気がする。
この湿度と暑さの中、エアコンもかけず汗塗れになって。ぐしょ濡れのタンクトップ一枚の姿で。
ヒカルはかつて好奇心の赴くまま師に尋ねた手順をなぞっている。
『で?そっからどうすんのさ』
もぞもぞと次の刺激を欲しがる窄まりの襞に、前から滲み出た粘液を塗りつけるようにしながら中心
を強めに中指の先で押す。
「……ッ」
指先がごく浅い部分の熱い粘膜に触れ、思わずきゅっと締め付ける。
足の指先がきつく丸まり緊張する。目を瞑り、眉根を寄せて口を引き結ぶ。
『ウソォ、マジ?できねームリムリ、アハハハ……んで?次は?』
再び口を軽く開いて呼吸を整えながら、少しずつ入り口を拡げるように指を奥へと進める。
この暑いのにざわりと肌が粟立ち、ぶるっと震えが来る。
「うぅ」
まだ全然、挿れたうちにも入らないのに。後ろがじんわりと痺れ、前はさっきよりもっと濡れてぴく
ぴく跳ねている。
これが性的に『気持ちいい』のだと脳内で把握した日以来、感じ始める速度が段違いに上がった。
『それからっ、それからはどんな?』
最近ちょろちょろと生えてきた毛を邪魔に思いながら、ぬるみを生産する場所に指をやっては後ろに
足して挿入の助けにする。
どうしてだか、後ろを弄るようになってから前を余り構わなくなった。
後ろで興奮して感じても、前とうまく連動しない様子なのだ。理由は、当時のヒカルには不明だった。
カウパーの滑りを借りて行き来しやすくなった指が、吸い込まれるような動きに誘われて根元まで入
り込む。
「んッ、んー……」
ベッドで横向きに寝転び、胎児のように縮こまって、誰にも言えない秘密の戯れに耽る。
ふと思い立って初めて後ろに手をやったのは、まだ六月に入る前だった。
それから三ヶ月も経っていないのに、もうこれ無しでは発散出来なくなってしまっている。
「はァ……ぁ、あっ」
汗を吸ったシーツがべたべたして不快だ。顔に張り付いてくる髪も鬱陶しい。
けれど、そんなものを全部後回しにしてもいいほど、指で尻穴をほじくるのが気持ち良すぎる。
「あッ、は、ぁあ、うぅんッ」
もう、一本じゃ足りない。もっと刺激が欲しい。内部に収めた指を第一関節のあたりまで抜き、左手
も使って穴を伸ばすように引っ張り隙間を作る。狭い隙間にこじ入れるように、既に挿っている中指
に添わせて人差し指を足す。
それもすぐに慣れてしまい、薬指も足される。指三本で夢中になって直腸を掻き回すうち、何かが体
の奥からせり上がって来る感覚に脚が痙攣しだした。
- 378 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/06(月) 21:59:56.01 ID:???
- えっちなヒカルたんに会いたくて会いたくて投下
スマホメイツが多かったのだろうかこのスレ…更に過疎って寂しい限りだぜ
- 379 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/08(水) 03:52:07.44 ID:???
- いいんだ…例え一人になったとしてもヒカルたんさえいればそれでいいんだ
- 380 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/10(金) 10:58:11.52 ID:???
- 実際のとこ未だにスレが存続してるってだけですごいと思う
しかも職人さんまでいてくれるし
これもヒカルたんの魔性か
- 381 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/10(金) 19:05:45.83 ID:???
- なんだかんだでまるまる13年生存してるもんな
板をあちこち流浪する不安定なスレだったのに…
干支一回りしても褪せることないヒカルたんのかわゆさ故だな(;´Д`)ハァハァ
- 382 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/11(土) 14:46:47.82 ID:???
- 13年?スレ誕生時に産声をあげた赤ん坊が
ヒカルたんのような可愛い中学生になっている年齢ということか?
いやいやあんな奇跡のような可愛い中学生がヒカルたん以外に量産されてたまるか
外見だけじゃない性格もしぐさも全部可愛いかわいいカワイイ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 383 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/14(火) 22:03:16.53 ID:???
- マジか考えてみりゃそうか
2000年になってもう15年だもんな…
ヒカルたんの現在持ってるタイトルでも妄想するかな
- 384 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/15(水) 21:36:06.42 ID:???
- 「くゥ、う、ぅ────……!」
奥歯を噛み締めて、大声が出そうになるのを堪える。脚から背中、脳天まで貫くような感覚に身を躍
らせ、呼吸を止める。
「っはー、はー……あ、ぁ……んん」
(なんでだよ……ちゃんと、イッただろ……なんで)
すっきりしないのだろう。
その疑問に対する解答は知っていた。
この行為が、『男を受け容れるための準備』でしかないからだと。
師に教わった秘め事の手順で、自分が自分で施せるのはここまで。
ここから先は、相手が必要なのだ。
その相手をどこに求める?当てなど無い。だから、ずっと準備だけの虚しい独り遊びしか出来ない。
師がいまだ居てくれたとて、生身でないのだからヒカルのこの欲求を満たしてはくれない。
では、この渇きを、この止まない疼きを、持て余したままでずっと過ごさねばならないのだろうか。
「バッカヤロ……なんてこと、教えてくれやがったんだよ」
自分が教えろとせがんだくせに。もう居ない相手に責任を転嫁する。
いまだ熱いままの内部が、指をやわやわとしゃぶり続けている。
それに誘われて、ヒカルはまた抜き差しを再開した。
出すことでクールダウン出来る通常の自慰と違い、こちらは際限が無い。体がくたくたに疲れ果てる
まで、あるいは外的要因で邪魔が入るまで、延々と続いてしまう。
「ん……あ……ぁはァ……ア」
開け放していた窓の外がにわかに暗くなり、埃っぽい湿った匂いが部屋に吹き込んで来た。
雨が来る。轟く雷鳴を従えた、激しく、叩きつけるような雨が。
「あぁあ、くるゥ、キちゃう……ッ!」
落雷に弾かれたかのように、ヒカルの華奢な肢体が室内を白く染め上げる稲光の中で跳ねた。
『うわぁっ、なんだコレっ!』
それは昨年の夏の事だった。プロ試験予選をどうにか通過し、本戦を待つばかりだった夏休みのある
日。授業が無いのをこれ幸いと、寝穢くまどろみを満喫した朝。
『どうしたんです?』
真っ赤になって狼狽えるヒカルの顔が余程おかしかったのか、師は吹き出すのを堪えるような表情で
訊ねてきた。
『おねしょでもしましたか?』
部屋のドアの外からは、大きな声を聞きつけた母が階段を昇ってくる足音。
『オ、オレ、なんかビョーキになっちゃったかも……?オシッコがヘン』
口に出さず、脳内だけで師に状況を伝える。何となく、母には知られたくないと思った。
ドアを開けて何事かと問う母に、夢見が悪かったとだけ言い訳して追い返す。
『変、とは?』
やけに落ち着いた様子の師は、ヒカルが直面しているものの正体を察しているようだった。
『あ、あ、あの、えっと』
『当ててみましょうか。それって』
師の言うのがぴったりその通りだったので、ヒカルは目を丸くしてその秀麗な面に視線を集中させた。
『オレが寝てる間に……見たのか?』
『いいえまさか。ヒカル、あなた本当に学校の授業は右から左なんですねぇ』
『はァ?なんで学校が関係あんのさ』
やれやれ、と言いたげに、師は大仰に肩を揺すって苦笑を浮かべた。
この幽霊の、時代の変化への適応力は実に見事で、ともすれば現代に生きるヒカルが馬鹿にされる場
面もあったりするから面白くない。
元々が旺盛な知識欲の塊なのだろう。それでなければ千年を跨いで江戸・秀策の時代からこの現代に
至るまでの碁を短期間で吸収し、自分のものになど出来まい。
- 385 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/15(水) 21:38:23.25 ID:???
- 幼い頃から常に『こんなもの、自分には必要無い』と興味の湧かないものや嫌いなものを切り捨てて
きたこの当時のヒカルには理解しがたいものだった。
学校の勉強など、成績が小遣いの多寡に関わってくるから渋々やってきただけで。
本当はもっと碁だけに傾注したい。プロ試験に合格することが今の自分にとっては総てだ。
なので、その自分よりも授業のカリキュラムや内容に詳しいこの幽霊に、少し呆れ気味だったりする。
『あなたが無駄だと一方的に断じ疎んじているものの大半は、心して学ぶべき大事なものですよ』
『……そうは思えないけど。で?』
不貞腐れたヒカルに柔らかな笑みを向け、性の匂いに乏しいはずの師はこう告げた。
『保健体育の時間に習ったでしょう。大人の体になったんですよ、あなたは』
下着を濡らす、べたべたした黄白色のもの。
『えーっと、つまり……』
学校の授業には不真面目でも、年頃の男子が興味を持つ話題には人並みの関心くらいある。
同級生とのありがちな猥談に参加しないだけで、年上の院生仲間に色々吹きこまれていたりする。
『これ……精液?毛、生えてないけど出るもんなの?』
如何にも子供っぽい感想に、師は堪らず吹き出した。
ヒカルは年齢よりもずっと小柄で、顔も体つきも幼い。二次性徴に伴う発毛ともいまだ無縁だった。
幼馴染のあかりと比べて発育がいつも遅れ気味なのを昔から気にはしていたが、そんなコンプレック
スは碁に出会って以降、いつの間にかヒカルの中でさほど重要ではなくなっていた。
性器の大きさも形も、ここ最近は自分のしか実物を知らないから標準なのかどうなのか判らない。
『人それぞれですよ。大人になっても全く生えない人だっていますしね』
『そうなんだ……って、あー……コレどうしよ』
濡れた下着が気持ち悪いが、このまま洗濯籠に放り込みたくない。親に見られたら恥ずかしい。
『なら、お風呂場で洗っちゃえばいいんです』
『えー?あやしーじゃん、バレちゃうよ』
『ついでに体も洗えばいいんじゃないですか?朝起きて、汗だらけだからって言えば大丈夫』
「ん……ぁ……」
窓から吹き降る雨に、ベッドがあっという間に濡れてゆく。ヒカルの火照った体も濡らす。
起き上がるのが億劫だが、窓を閉めなくては部屋が水浸しだ。
「よい、っしょ」
疲労した体をどうにか起こし、尻穴に挿れていなかった方の左手で窓の桟を掴む。強風の所為か、閉
めるのに結構な力が要った。
雷雨に中断されて助かった。用事で外出中の母が帰宅する予定は夜。父が会社から帰るのも似たよう
な時間だろう。そんな時間までノンストップで弄っていたら、腰が抜けて言い逃れを考えるのに苦労
する。それに。
「勉強サボって、サルみてーにケツでオナってる場合じゃねェよな」
そうだ。
アキラの背中を追うと決めた。そう本人に宣言して来た。
その誓いに恥じぬ成績を残さなくては。
復帰して一ヶ月、今のところは負けなし。それでも先は遠い。
プロとして一年先輩なうえ、三大棋戦のリーグ入りを果たした彼に、今から届くのだろうか。
生半可な勉強では無理だ。
可能ならばもっと、一足飛びに実力を伸ばす術が欲しい。
「っ!」
至近距離で、耳をつんざく轟音と地響き。
「…………あ」
近くの避雷針に落ちたらしい雷に、揺さぶられて何かが目を覚ます。
『キミだよ。キミが』
- 386 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/15(水) 21:42:06.48 ID:???
- 「オレが……」
何故今まで気付かなかった。他ならぬアキラが言ったのではないか。
「そう……だよ……オレ」
アイツに何も返していない。ただ一方的に奪ってきただけだ。
与えてくれたのに。なんにも持ってなかったオレに。
返さなくちゃ。
もう手遅れなのはわかってる。でも、一生かけてでも返さなくちゃ。
「オレの碁の中にいるのなら。オレん中でもっかい育てばいい」
自分の碁は消えてしまうかも知れない。それでも構わない。
「だって、結局。塔矢が本当に打ちたいと思ってるのはオレじゃなくて」
不純物は濾過してしまおう。
『いや。キミの打つ碁がキミの全てだ』
その煮え切らない言い方。オレの碁の中にアイツを見たんだろう?それなら。
塔矢、おまえの望み通りに。
そして、オレの願い通りに。
閉めた窓を、もう一度開け放つ。バケツをひっくり返したような雨の圧力が、顔面を容赦なく叩く。
背筋がぞくぞくする。風邪の予兆などではない。
見つけたのだ。己の使命を。
まず最初にすべきは?勿論、現存する師の棋譜を完璧に網羅する事。
秀策の名で残っているものは、どれだけ貴重な古書だろうがかき集める。
ヒカルのもとに居た時打った碁も、記憶野をフル回転させて全部引っ張り出す。
ああどうして。
自分の所為で失ったと嘆き、もう打たないと背を向けるのではなく。
こうやって蘇らせようとしなかったのか。
「もう一度生まれてこいよ……オレを食い破って、出てこい」
そのために、打ち続ける。
十四の終わり。その決意が、大きな間違いであったことを。
ヒカルは九年後に教えられる。
師と打ちたいと望んでいたはずの、アキラによって。
だがそれは、決意したてのヒカルには見えぬ未来の出来事。
興奮に震える手が、雨に打たれ冷たくなった己が体を掻き抱く。
体の中が熱い。皮膚は冷えきってしまったのに、腹の奥がどうしようもなく熱い。
直結してしまっている。若すぎる性欲と。
「いちんちも早く……あぁ……おっきく、して、やる……から」
おまえも打ちたいだろ?塔矢と。
打たせてやる。何度でも。オレが。
ベッドもカーペットもぐしょ濡れになった薄暗い室内で。
自分自身もぐしょ濡れで。
時折閃く稲光にその肢体を白く浮かび上がらせて。
ヒカルは体内を激しく擦り続けた。師の名を幾度となく呼びながら。
- 387 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/15(水) 21:45:36.65 ID:???
- 若゛に初めてチューされた時には、とっくにアナニストだったヒカルたん…てのは
本編に入れたい入れたいと思いつつ入れられなんだでつよ
その形跡は本編中にかすかにあるんだけど、どうしても入らんかった
でもアナニストのくせに痴漢に遭うのは想定外だったとかおまぬけなヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
現在のヒカルたんのタイトル数かー…一番に想像できたのは、毎年若゛と奪い合いで
なかなか防衛できない感じ、そん中で倉田さんあたりが華麗にかっさらっていったり
グランドスラムは達成してるけどMAX四冠までしか獲れてない、こんなイメージでつ俺的には
あと考えたのはどうしても本因坊だけ獲れなくてヒカルたんぐぬぬってなってたら面白いなとかかなw
- 388 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/16(木) 01:46:58.81 ID:???
- 続き投下乙!
ヒカルたん色んな才能有り過ぎだよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 389 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/17(金) 12:11:22.79 ID:???
- <U・誤算>
少し遠方に所用で出掛けていた美津子が驟雨を避けて遅めに帰って来た。
炊事など一切しない夫と息子のために夕食は事前に用意しておいたが、気掛かりにはなっていた。
だが、夫は帰宅しておらず、息子も夕食を摂った形跡がない。
息子は外にでも行ったのだろうか、と思った彼女の耳に、ランドリールームからの馴染んだ機械音が
微かに届く。
どうしたのかと音のする場所へ行くと、洗濯機の前で息子がじっと佇んでいる。
「ヒカル?あんた洗濯なんてしてるの?珍しい」
呼ばれて、のろのろと自分の方を向いた彼の顔に表情が無かったので、美津子はまた何か塞ぎこむよ
うな事でもあったのかと内心身構えた。
折角、ちゃんと仕事に行くようになったのに。まだひと月しか経っていないではないか。
「うん……うっかり、窓開けっぱで寝ちゃってさ。雨でシーツとかびっちゃびちゃになったから。そ
れより」
「それより何よ」
「お金貸して欲しいんだ、多分まとまった額がいる。なるべく早く返せるように、頑張って強くなっ
て昇段するから。お願い」
仕事に関しては余計な心配だったようではあるが、それでもどことなく様子がおかしい。
「何に使うの」
「碁の勉強に必要なんだ、いろいろ」
「いくら必要なの?あんまり大金は無理よ、わかってるでしょ」
今のヒカルなら嘘を吐いて遊興に浪費などしないだろうと信じはするが、額によっては断らねば。
「わかんない……どれだけいるか、まだ調べてないんだ」
我が息子は、やはり肝腎な部分で抜けている。ほんの少しだけ肩の力を緩めて、美津子は言った。
「なら調べてからお願いしなさいな。ごはん食べてないでしょ、お腹空かないの?」
その科白を出したタイミングを計ったように、玄関ドアの開く音がした。
「お父さんも帰ってきたし。だいぶ遅くなっちゃったけど、揃ってお夕飯ね」
「ん。ハラ減った」
見せてくれた笑顔に陰がなかったので、そこで初めて美津子はほっとした。
結果ばかり先に欲しがる癖は、どうにかならないだろうか。
焦りは禁物だと解ってはいるが、努力に成果と評価が伴わない時、自分の不甲斐なさに苛立ちが募る。
碁会所でアキラの取り巻きに挑発されてついカッとなり、北斗杯代表に決まるまで来ないと啖呵を切
ってしまった。アキラと打つ機会を減らすのは、自分の力を伸ばす点ではマイナスなのに。
森下九段との初対局、緊張と怯懦で自滅する形になって序盤の良さも台無しにして負けた。これも経
験として糧になる、と頭では冷静に足りない部分を分析出来てはいたが、感情は荒れていた。
こんなんじゃダメだ。
もっと頑張れよ。
親に借金してまで購入した秀策の棋譜や資料。ちゃんと生かさなくては。
──────こうして、どんどん自分を袋小路へと追い込んでゆく。
社の碁を、羨ましいと感じた。昔の自分を彷彿とさせる、伸びやかで奔放な手。
だからつい、代表が決まるか否かの大事な一局なのに、初手五の五に乗せられて思い通りに打った。
とても楽しかった。充実した時間だった。久しぶりだった。
トーナメント組み合わせの所為で社が代表になれないのが残念だったが、越智のプライドが彼にとっ
て救いの神となった。越智には悪いが、北斗杯が楽しみになった。
だが初めて経験する国際棋戦で、大勢の前で。師を蔑ろにされる屈辱と怒りに震えた。
話を聞かされてはいたが、実際に面と向かって取るに足りぬと吐き捨てられた衝撃は計り知れない。
- 390 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/17(金) 12:14:56.72 ID:???
- 何がもう古いだ。知らないくせに。
おまえが馬鹿にしたその打ち手は、つい去年まで進化し続けていたんだ。
もし今も消えずにいたなら、おまえなんて蹴散らされてギャフンだ。
(でも。いなくなっちゃった)
団長の倉田に直訴した。自分を大将に据えて欲しいと。
実力が足りなかろうが何だろうが、この手で一矢報いてやらねば気が済まなかった。
誰に理解されなくてもいい。自分だけが、師の最強を証明出来る唯一の人間だ。
自分だけが。
結果、勝てなかった。
いつもこうだ。師の名誉を少しでも回復させたかったのに、これでは意味が無い。
何故打つのだと問われた。遠い過去と、遠い未来を繋ぐためにと答えた。
遠い過去とは、千年の昔。
遠い未来とは……その過去から見た、現在の自分。
悔しい。腹立たしい。悲しい。淋しい。心細い────────涙が溢れ、零れ落ちた。
敗戦をズルズルと引きずっていては本末転倒だ。まだ実績ではアキラに遠く及ばない。
湿っぽくなっている暇があるなら精進せねば。
師を蘇らせるのだと言う明確な目標が、気持ちの切り替えを早くさせたようだった。
そのお陰だろうか。北斗杯からほどなく開催された若獅子戦でアキラに勝てた。
公式手合としてではないが、それに近い場での勝利は大きいと思った。
なのに。
ライバルとしてしか見ていなかったアキラに触れられて、全身の血が沸き立つようだった。
彼の中で、そんな対象にされていたなんて。完全に想定外だった。
体熱と、肌をさぐる指と、唇と舌にどうしようもなく感じてしまって、抵抗すら忘れてしまった。
『本物』が欲しい。
自分の指なんかじゃない、本物の肉の楔が。
独り遊びの果てに、いつも抱くあの物足りなさが厭でも想起される。
でもそれをアキラに求めるなんて、思いつきもしなかった。
戸惑いが、理不尽な怒りに変換されてアキラに向かう。
自分如きに怒鳴られたくらいで涙目でしおたれるアキラなど、視界の端にすら入れたくなかった。
目標たるアキラには、常に背筋を伸ばして超然としていて貰わなくてはならない。
精彩を欠く碁を相手に勝っても、それは断じて勝利と呼べない。呼びたくもない。
院生を交えて行う若獅子戦とは違う、れっきとした公式手合なのに。
勝って手放しで喜べないのが不愉快でならなかった。
これは八つ当たりだ。解っている。アキラだって人間なのだから、不調の時くらいある。
それを自分が原因だと決めつけるのは傲慢ではないか。
現実はいつだって残酷だ。
こうでなければいいのにと願う事ばかり起きる。
軽率にその腹の裡を知ろうとして墓穴を掘り、アキラの激情に流されるようにして抱かれた。
己が指を楽々と三本まで咥え込み、散々遊んだ末に『本物』を欲しがっていたはずの後ろの穴は。
肉茎の侵入を頑なに拒み、泣き喚いてしまうほどの激痛を全身に齎して、血を流した。
ハハ、やっぱダメだよ。客の選り好みをしちゃうヤツなんて。
たとえ時代が時代でも体を売る仕事なんて務まらねェや。
- 391 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/17(金) 12:18:22.77 ID:???
- 『……なんだよ、見んな。恥ずかしいから』
『今更ですか?お風呂だって厠だっていつも一緒じゃないですか』
『デリカシーねェな!昨日までとおんなじにいくか!』
シャワーの水滴に洗われる肌を見られる羞恥心。寝る前と全く同じにしか思えない、新たな機能を備
えた性器。外見は何もかも同じはずなのに、いきなり全然違う自分になったようで落ち着かない。
『あの、さ』
『何です?』
『あー……その……』
『はっきりおっしゃい』
促され、顔から火が出そうになりながら、おずおずと切り出す。
『て、ことは、だな……えっと、コスったら、出る、んだよ……な?』
何がそんなに可笑しいのか、師はぶっと吹き出した後で風呂場のタイルを両の掌で叩いて爆笑した。
『ンだよっ!はっきり言えっつーから言ったのに!もー知らねェ!』
『ごっ、ごめ、ごめんなさい、ぶふッ、謝りますから機嫌なおして、うぷぷっ』
何をまたひとりで騒いでるの、と遠くから母の小言が聞こえて、ヒカルはむっつりと押し黙った。
ぶうと膨らしたその頬に、たおやかな長い指が触れる。触れると言っても、感触などないのだが。
『ごめんなさい。あなたがあんまり可愛らしかったので、つい揶揄いたくなって』
可愛らしいだなんて、女子供に使う言葉だ。
大人になったんだと言ったその口で子供扱いするのが気に食わない。
上目遣いで伺えば、師は今まで見せたことのないような典雅な笑みを美しい口元に浮かべている。
頬に当てていた手が、すう、と首筋から体の線を辿るように撫で下ろされる。何にも遮られない、生
まれたままの肌をなぞる。
実体のない存在にそんな事をされても、何の感覚も湧き起こらない。はずが。
「っ……」
どうしてか、思わず身を竦ませてしまった。
『ああ可愛い。食べてしまいたい』
揶揄われているくらい解っている。でも、何故か。
耳元で囁く声音にぞくりとする。背中がやけに熱を持つ。
『世が世なら……私、茶屋にあなた目当てで通い詰めて、身代潰してしまいそうです』
アキラの微妙な不調は続いた。
最初の一夜以降、可能な限り余計な接触を避けている間、ずっと続いた。
勝てていない訳でもなかったが、ここぞの時にいつもの大鉈で敵陣をぶった斬る、その力強さに欠け
ると碁会所で共に並べた一局から感じられてならなかった。
それを指摘してやれば、「そうだね、キミの言う通りだ」と歯応えの無い返事ばかり寄越す。
安直な手段以外で解決する方法をあれこれ思案してみても休むに似たりだった。
結局のところ、碁会所が閉まった後に両親不在の塔矢邸へ赴くくらいの下策しか考えつかないのだ。
「い……ッ、いて……、ぅぎ、ぐ、うぅう……ッ!」
本当に、他にないのだろうか。
思考は堂々巡りで、出口が見つからない。
『本物』が欲しいくせに、アキラのモノは受け付けない。
意識的にやっている事ではなかった。ヒカルとて、どうせなら苦痛よりも快楽が欲しい。
しかし恐らく、心の奥底でアキラとは綺麗なだけの関係でいたいという今更な願望が邪魔をしている。
なんで。どうしてだよ。なんでオレなんだよ。
塔矢、なんでオレなんか好きになっちゃったの?
「ヤダ、イヤ、いたい……っ!もぉヤダぁあ────!」
体内で凶悪なまでに膨れ上がった熱の塊が、びくびくと跳ねて達した事を腸壁越しに伝えてきた。
- 392 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/17(金) 12:24:16.81 ID:???
- 精通直後のヒカルたんを風呂場で口説くゴールドメイツ…うらやまけしからんと思いつつ書いた
書きたかったんだよ精通ヒカルたん、本編にちらっと単語入れるのが精一杯だったけど
ホントは本編でガッツリ書きたかったんだ俺のショタパトス!
前投下分と過去回想が分散してわかりにくかったと思う、ゴメンヨ
で、俺本編と時系列が矛盾してると勘違いしてますた、痴漢に気付く→アナニー開始で合ってたorz
おまぬけなんて濡れ衣着せてごめんよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
次回投下分からは若゛のフランクフルトを美味しく食えるようになった経緯をですな(;´Д`)ハァハァ
2ch全体があんなんなのにメイツがまだ残っている安心感、おつありでつ
- 393 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/17(金) 14:01:56.93 ID:???
- ×「っ……」
どうしてか、思わず身を竦ませてしまった。
○『っ……』(ry
回想んとこののカギカッコ間違えたorz
- 394 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/18(土) 20:53:39.59 ID:???
- 誰もいないから連投するよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 395 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/18(土) 20:56:09.81 ID:???
- <V・浸潤>
「CM……ですか?」
先に口を開いたのはアキラだった。
大事な話があると普及事業部の職員に呼ばれ、ふたり並んで説明を聞いていた。
「ホラ、北斗杯が来年以降も開催されると正式に決まっただろう?それで、スポンサーの北斗通信さ
んがね。栄えある初回の代表三人とタイアップして後援の宣伝を打ちましょうって」
「三人、てことは社も?」
ヒカルの問いに、職員は首肯した。
「社君も関西棋院さんで説明受けてると思うよ……ああ、特に何をしなきゃってのはないんだ。使用
するのはこないだの対局の映像だそうだから」
「ああ、肖像権の関係で本人の承諾が必要なんですね」
相変わらず、アキラはこういった類の事には慣れた様子だ。流石、囲碁界を背負うサラブレッドは違
うとヒカルは他人事のように聞き流していた。
無様に全敗を喫した自分などお呼びではないだろう。どうせ、三人と言っても建前だけで、クローズ
アップされるのは日本代表の面子をただひとり守ったアキラだけに決まっている。
そう、自分には関係ない。
高を括っていたら、予想外の方向での大袈裟過ぎる反響にヒカルは正直困惑した。
棋院内部もご同様だったようで、対応が後手後手になった。
こんな浮ついた騒がれ方は望んでいない。本音を言えば迷惑千万だ。
おまけに、自分が悪い訳でもないのに、他の棋士からは僻目で見られ、厭味を言われる。
棋院会館で出待ちなんかされて困るのはこっちだ。
女の集団に黄色い声で「カワイイ」と叫ばれて気分がいい人間なら天国なのだろうけれど。
馬鹿にされたようで不愉快になる人間の事も少しは考えて欲しい。
おかげで最近は、神田で古書店巡りも出来ない。江戸期の稀覯本をチェックし、秀策に関連するもの
を買うためのリスト更新もままならない。
棋院の資料室も、そう頻繁に出入りを許される場所ではない。所蔵本を使い潰すのは以ての外だ。
一挙手一投足を見知らぬ誰かに監視されているかのような居心地の悪さ。早く飽きて、次に夢中にな
れる対象を探して欲しいと心底願う。こんなものは一過性の流行。そう思わねばやっていられない。
「……え?オレ、だけ?」
北斗通信システムから、CM第二弾の話が来た時。もう勘弁してくれと逃げ出したくなった。
これ以上、碁を打つ環境を無知で無神経な第三者に荒らされるような事に加担したくはない。
ただでさえ他の棋士に煙たがられ、疎まれているのに。
だが、北斗杯の今後の成否が掛かっているとまで言われたら、断るに断れなかった。
それに、低段者の対局料や指導料などで賄えないものをCM出演料で補える、その魅力に惹かれなかっ
たと言えば嘘になる。
親に気兼ねなく予算度外視で秀策関連の物に金銭を注ぎ込めるメリット。撥ねつけるには惜しかった。
「進藤気付いてる?キミ最近、こうしてる時愚痴ばっかり」
「垂れ流せる場所が限られてんだよ」
痛い『おつとめ』が終わって一先ずは落ち着き、後始末も済んでアキラと同じ布団に横たわって、ヒ
カルは溜め込んだ不満を吐き出していた。
「森下門下の人とか、同期の研究会の人たちは?」
「一枚岩ってわけじゃねーし、誰からどう漏れて尾ヒレがつくかわかったもんじゃねェ」
「なるほど、もう痛い目に遭ったんだ」
察しが良すぎて腹が立つ。
「おまえにブチ込まれるほど痛かねェさ」
アキラの長くきりりとした眉が困ったように下がる。
- 396 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/18(土) 20:58:39.87 ID:???
- 「しっかしあちィな。こんな季節にべったりひっついてるもんじゃねーわ」
八月半ば。気候的に暑さもピークだ。夜とは言え男ふたりが密着して寝転がっているなどヒカルの主
観で言えば正気を疑う。
「エアコン弱いかな」
「そーゆーハナシじゃねェ」
終わった後も、ヒカルは服を着させて貰えなかった。アキラも当然、何ひとつ身につけていない。
最初の夜からずっと同じだ。少しでも長く、じかに肌を触れ合わせる事を彼は望んだ。
「今の状況、キミには災難なのだろうけど……ボクはある意味で嬉しかったりする」
「あ?」
「極めて限定的だけどね。決して、キミが碁だけに注力できないのを喜んでるわけじゃないんだ」
「限定的に何が嬉しいんだよ」
アキラの両手が伸びてきて、ヒカルの頬を挟むように触れてくる。
「人気者のキミを、こうして独占する優越感を味わえる」
「……やっす」
「安くて結構。ボクには極めて重大事だ」
形のいい唇が額に押し付けられる。なし崩しに関係は続いているが、アキラと同じ感情はいまだ共有
出来ずにいる。
所詮、彼の精神的コンディションを崩さぬための妥協。アキラ本人は知らなくていい事だ。
恋人気取りでも何でもしてくれていればいい。憧れて已まぬ力強い碁が失われるのを防げるならば。
そう割り切る事にしたら若干楽になった。言動には神経を使うし、本音を言えば疲れるけれど。
「なあ、ヤらせてくれる彼女作れよ。おまえだったらよりどりだろうが」
「キミ以外の人と体を繋げるなんて考えられない」
知らず、溜息が漏れてしまう。やってしまった。失言だ。
「今すぐって言ってねーだろ。オレとのこんなんなんて長続きしやしないんだから」
フォローのつもりが、失言を重ねただけのようだった。アキラの声に少し怒気が籠る。
「聞こえなかったのか。キミ以外は眼中にない」
「じゃあオレが彼女作ったらどーするつもりなんだ」
頬を挟むアキラの手の力が、ぐっと強まった。そのまま体を巻き込んで組み敷かれる。
「作らせない」
唇を強引に塞がれ、舌が絡め取られる。血は流さなくなったが腫れて痛みも引かない後孔を性急に指
で探られ、ヒカルはアキラの口内に呻きを漏らした。
「ッやめ……おま、ゴム!ゴムなしで突っ込む気かコラ!」
腰を進めて来ようとする所業に青ざめ、慌てて制止する。また始めるつもりなのか。とっくに限界で、
これ以上苦痛を与えられるともう身が保たない。
「イヤ、だ…………ッ!」
再び襲い来る激痛に脂汗が吹き出す。苦しさに醜く歪んだ顔を、今アキラは見ているはずなのに。
「キミのこんな顔、他の誰にも見せたくない……可愛いよ、進藤可愛いかわいい、っ、あ、っ」
やめてくれ。
思い出させるな。
『ちゃや?なにそれワケわかんね。あとカワイーとか失礼だかんな』
背伸びしたプライドをいたく傷つけたと勘付いた師は、宥めるような口調で謝罪した。
『済みません。それに、ヒカルにはまだまだ早いお話でしたね』
『だから!そーゆーガキ扱いが!』
『ハイハイ。ホラ、もう出ましょう。不精しないできっちり拭くんですよ』
いいようにあしらわれているのが丸わかりで面白くない。
師は見なかった事にしてくれているらしい。触られる感覚など起きようもない相手に体を撫で下ろさ
れ、耳元で艶っぽく囁かれた所為で膨らんで勃ち上がった、まだ形も大きさも幼いモノについて。
それがまたも、子供扱いされたように感じられてヒカルの機嫌を益々損ねた。
- 397 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/18(土) 21:02:18.15 ID:???
- 『おまえが悪いんだ。今日はもう碁の勉強になんて集中できないよ』
汚した下着は、風呂場で粘つきを洗い落としてドライヤーで生乾きの状態にまでしてから洗濯籠に放
り込んだ。
(……もうっ!コレ、どうすりゃいいんだ)
自室に戻ってもなお、固く膨らんでじんじんと疼く小さな肉の若茎。外部から刺激を与えて発散させ
ねば治まらないというのは、知識よりも先立つ本能が察知していた。
触りたい。触って、擦って、それから。
ごく幼い頃から、無意識に下着の中で弄っていたからその気持ちよさは既に知っている。
誰だって普通にやっていたはずだ。小学生の頃には巫山戯て触り合いだってした。
(でも……ひとりになりたいのに!)
多少の距離は取れるものの、今の状況ではそんなもの無いに等しい。
『後ろを向いて、耳を塞いでおきますよ。大丈夫、見えないし聞こえません』
おまえ、やっぱ人の頭ん中ノゾキ見できるだろ。
『ああそうそう、せっかく洗って着替えたのにまた汚したら大変ですからね、出そうになった時のた
めに“てっしゅ”はすぐ取れる枕元に』
『ウルセー!いーからとっとと後ろ向いて耳ふさげ!』
恥ずかし過ぎて顔中が熱い。どうしてオナニーひとつでこんな苦労をしなきゃならないのか。
親に隠れてこっそりするだけで大丈夫な他の同世代を、久々に羨んだ。
『……なあ』
『……………………』
『おい』
『……………………』
本当に聞こえていないのか。もしそうだとしても無性に苛々する。
なので後ろを向いたその背中に思い切り蹴りを見舞ったが、当然の事ながら綺麗に何の感触もなく貫
通する。
『おや。しないのですか?』
それでも蹴られたのには気付いたらしい。ヒカルの苛立ちが脳を通じて伝わったのだろうか。
『……ゴチャゴチャおまえに言われて怒ってたら、なんかしぼんだ』
それを聞いてまた、師は小さく吹き出した。
『それよっか教えろよ、さっきの。ちゃや?ってなにさ』
子供扱いされて教えて貰えなかったのが、自覚していた以上に気に障っていたようだ。
師は仕方ない、といった風にひとつ息を吐き、穏やかな顔をヒカルに向けた。
『話す前にくれぐれも。さっき私が言ったの、本気に取っちゃダメですよ?ただの冗談ですからね』
「ごめん……進藤、本当にごめん、この通りだからもう泣かないで」
「っ……謝るくらいなら、ぅ、最初っからすんなバカ、っ、もっかいとか、しんじらんね、っ」
恒例の茶番。自分が苦痛に耐えかねて泣き、行為が終わった後でアキラがおろおろと謝る。
これが毎度繰り返される。ウンザリする。
けれど、これでアキラの碁の調子が担保出来るなら安いものだ。
「……キミだけが好きだよ。だから、他の人の事なんて例えであろうと持ち出さないでくれ」
「……………………」
「進藤?」
「わかったよ。もう言わねェ」
おまえが必要なんだ。失うわけにはいかないんだ。
今だけ、オレを見てろ。
いつになるかは約束できないけれど、きっと『本当に打ちたい相手』と打たせてやる。
それまではオレを見てていい。でも、碁の道を歩く時は頼むからオレじゃなく前を向いてくれ。
勉強が足りない。研究が足りない。経験が足りない。実力が足りない。何もかも足りない。
ああ早く、もっと強く、強くならなくては。
- 398 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/18(土) 21:06:22.95 ID:???
- 生ハメ中出し精飲大好きエロ魔人ヒカルたん24歳と、ゴムつけろやとあわあわするヒカルたん15歳、
精通したんだから擦れば出るのかと疑問をぶつける初々しいヒカルたん13歳の対比を同じ話の中で
書くのは実に楽しいでつ(;´Д`)ハァハァ
でもって15歳夏のヒカルたんの腹ん中がえらく黒いのは俺の好みでつサーセン
- 400 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/20(月) 13:25:22.46 ID:???
- ヒカルたん来年30なんだな…
デブ体質なら痩せればどうにでもなるけど毛根のゆくえが気になるよヒカルたん
平八じいちゃんトシのわりにフサフサだったけど男の子の毛根は母親の血筋だってゆーから
向こうのじいちゃんの毛根が気になるよヒカルたん
もしかしてメイツの愛が試されているのだろうか(;´Д`)ハァハァ
- 401 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/21(火) 04:25:50.61 ID:???
- ヒカルたんは30になってもかわいらしいヒカルたんのままだ!
例え作者の言うとおり太ったとしてもそれもまた愛嬌だ!
ヒカルたーん!俺ももういい歳になっちゃったよー!
- 402 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/21(火) 13:04:34.92 ID:???
- 焦りに反して、ヒカルの時間はどんどん削られてゆく。
ヒカルにとっては皮肉なことに、念願通りの好成績を挙げた事が吉凶相混じる結果を呼んだ。
十六歳で迎えた四月十日、棋聖戦最終予選。リーグ入れ替え四名枠にまで勝ち上がり、前年度中に再
度本因坊リーグ入りを果たしていたアキラに遅れること十日、四月付で改定された新昇段規定適用に
より一気に二段から七段へと昇進。
これが仇となり、北斗通信システムによる各メディアへの、CMに留まらぬゴリ押しが始まったのだ。
リーグ入りを決めてからひと月足らずで第二回北斗杯が開催されたのも、ヒカルには悪いタイミング
だった。不必要に騒がれすぎて雑音に気を取られそうになりながら対局に臨まねばならなかった。
そんな中で、昨年苦杯を舐めた相手・高永夏にリベンジを果たせたのは何よりの収穫だった。
この勝利の意味を真に理解してくれる他人は存在しない。それでもいい。自分さえ解っていれば。
師に捧げるささやかな前進。これで満足などしてはいられない。いまだ、道は遠い。
他の棋士からの風当たりは一層強くなった。森下研究会のメンバーや院生時代の仲間は何くれと気を
遣ってくれるけれど、それでも蓄積する心身の疲労はそうそう解消されるものではなかった。
七月。
「テレビでチャラつきやがって、十六がなんだ、塔矢アキラが初めて三大リーグ入りを決めたのは十
四だった……だとさ、あんのクソ客。イベントの客じゃなきゃブン殴ってやったのに、ぁ痛って」
「痛い?大丈夫?年齢は仕方ないんじゃないか。そもそも新入段が一年遅いんだし、それに」
「プロんなって早々二ヶ月半サボってた、だろ。新人王戦だって、去年も今年もせっかく本戦でおま
えと当たったのに負けちゃうし」
アキラは昨年、新人王戦を制していた。今年もヒカルを本戦で撃破し、優勝の大本命と目されている。
「また来年挑んで来い、勝たせてもらうがね。八段に上がれば出場資格を失うけど、ボクらは七段に
なったばかりだ。腰が引けているとか、覇気がないとかって話じゃない。ここから先はボクらごとき
若輩が簡単に踏み越えられるような障壁などあるはずがないのだし、慢心は」
「いつまでも七段で足踏みしてる気なんてねェよ」
出場資格の年齢制限を大幅に下げる話は出ているようだが、十代のふたりには取り立てて縁のない話
だった。
(※新人王戦出場資格の年齢が二十五歳以下となるのが三年後の平成十八年、段位が六段以下となる
のは平成二十年以降の事である)
「確かに、キミが敗北を味わわせてきた棋士に七段以上の人は何人もいた。けど」
「わかってるよ。段位にアグラかくような雑魚なんて、この先の戦いにはいねェってことくらい」
「認識が正しいならいい。勘違いで増長してはいないようで重畳だ」
「何様だ、上からモノ言いやがって」
憎まれ口を叩きながらも、ヒカルは安心感に浸っていた。アキラはこうでなくてはならない。
到達すべき目標。憧れる棋士の理想像。
……今の状況が『通常通り』だったならば、文句のつけようがなかったろうに。
「進藤、横にならなくていいのか。辛いなら寝てくれ」
自室のベッドに腰を下ろしているヒカルは小さく首を振って、横にならずに話を続ける事を選んだ。
暴漢に脱臼させられた右肩が大きく脈打って熱を持ち、痛みとも疼きともつかぬ感覚を耐えず訴える。
「心配してくれるなら、帰ってくるって情報つかむなり駅で待ち構えるなんてすんなよ。ついててく
れた普及の人、びっくりしてたじゃねーか」
「……いやね。物凄く、鬱憤がたまってるだろうなと思って」
「わざわざグチ聞いてくれに駅からウチまでついて来たってわけ?やっさしーねェ」
どうしても言葉の端々に刺が突き出してしまうのは、怪我と熱の所為だろう。多分、アキラも解って
くれているはずだ。
甘えるのは本意ではない。弱味も隙も、今に限らず本当はいつだって見せたくない。
激しい苦痛を伴う行為の後の寝物語に零してしまう日常の不平不満すらも。
特に今は、手負いの獣そのままの見苦しく荒れた精神状態でアキラに相対したくなかった。
- 403 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/21(火) 13:08:26.78 ID:???
- 「まあ、そんな体だ。ちゃんと完治させるのを主眼に、今週一杯くらいはゆっくり休んで」
「そうはいかないさ。手合も出なきゃだし、明日も指導の予定が」
「明日ァ?」
アキラにしては珍しく素頓狂な大声だったので、ヒカルは何事かと目を最大に見開いた。
「正気か、そんな状態で!」
「芹澤先生の研究会は休みもらってっし、そりゃ行くよ」
脱臼した右肩を吊ったこの惨状で、指導など出来るわけがない。
そう言いたげにアキラは掌でぱしん、といい音がするほど額を叩き、そのまま顔を覆った。
「熱で頭のネジが二、三本飛んでるのか?それとも打ちどころが悪すぎたか?」
「……最初で最後の全国大会、個人戦出る三年生がさ、負けて帰るのはヤなんだって」
それは遠くに置いてきた郷愁なのかも知れなかった。ヒカルを追うためだけに囲碁部に在籍したアキ
ラには解るまい。解って貰う必要も感じない。
こんなところで、未練じみた感情を少し楽しむような真似など────本来なら不要なのだから。
「大会……藤崎さん、だっけ?彼女の学校へ行くんだったな、確か」
「ああ」
顔を覆う手を退けたアキラの表情に、ぎょっとした。
「塔矢、おまえ……なんつうツラ、してんだよ、おい」
烏の濡羽色した切下げ髪に囲まれた、底冷えのするような白い面と黒い瞳。笑みの消えた唇。
夏だというのに、冷房ではなく身を切る寒風が肌を撫でたような錯覚に襲われる。
元が怜悧な美貌であるだけに、こんな表情を見せられると寒気を通り越して怖気がする。
ぶるりと胴震いしたのは、熱の所為だけではなかった。
数瞬、見蕩れてしまうほど美しかった。
禍々しさを奥底に秘めた、鍛え抜かれ、研ぎ澄まされてぎらつく刃。
それで容赦なく肉を貫き、切り裂き、解体するのか。
体調は最悪なのに、下腹の奥が刃を欲しがって切なく疼く。痛いのは判りきっている。でも。
「おまえ、なにをそんな怒ってんだよ」
「別に。キミの頑固には付ける薬がないし。それよりイベントでの愚痴、もう吐き切った?」
「今日はもういいや。どうせこれからも山ほどイヤミぶっこかれるんだしキリがねェ」
ほんの束の間アキラが見せた、相手を蒼く凍りつかすような表情。
その裏の、心を炙り焦げつくほどの悋気をヒカルは読み取る事が出来なかった。
無理をしてスケジュールに穴を開けないよう動きまわったのが原因か、頭が回らないからと薬の服用
を忌避したのが悪かったのか。肩の完治までには随分な時間が掛かった。
幾つかのバラエティ番組の収録に何度か行くうちに顔見知りになり、そこそこ打ち解けた若手俳優か
ら声を掛けられたのはやはり収録日のスタジオだった。
「肩治ってよかったじゃん。ちょうどいい、あのさ」
休憩時間、出演者はそれぞれ自由に会話したり喫煙でスタジオを出たり、雑駁な空気が広い空間を充
たしていた。ヒカルも清涼飲料を飲もうとしていたところだった。
「なに?」
相手は年上だがほぼ同世代で、駆け出しのプロという立場も共通していて何度か顔を合わすうちに互
いに気安い口調で話をする間柄になっていた。ただ、接点が余りに少ないので収録後に各局のスタジ
オ近辺で食事する以外の付き合いはこれまで無かった。
「快気祝い、俺のダチんとこでやらね?俺みたいな連中のたまり場みたいになってる場所だけど、ヒ
カルちゃんさえイヤじゃなきゃ。大丈夫、みんないいヤツばっかだからさ」
正直、遠慮したかった。だが出演者同士で要らぬ波風を立てれば、自分を前面に押し出している北斗
通信システムの不興を買うかも知れない。
碁の勉強や仕事に障るからと誰に対しても必要以上の付き合いは避けてきたが、これはどう出るべき
か。暫し逡巡し、口を開く。
「そんな遠くじゃなきゃ大丈夫、かな」
- 404 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/21(火) 13:10:53.83 ID:???
- 若手の俳優仲間や新人アーティストが屯ろする場所と聞いて、失礼ながら和谷がこの間まで住んでい
たようなボロアパートを想像していたのだが。
「…………マジ?」
タクシーで連れて来られたのはベイエリアに位置する高層マンション群のうちの一棟だった。
「まあ、スポンサーつかダチのバンドを後押ししてくれてる人の持ちモンだけどな」
「っへー……スゲェのな」
あんぐりと口を満月の形に開けるほかない。
「ナニ言ってんだか。本人の稼ぎで比べりゃ、ヒカルちゃんに勝てるヤツなんて俺らん中にゃいねェ
よ、ハハハ」
「んなこたねェって。棋戦で優勝できなきゃ対局料なんてやっすいし」
「またまたァ」
海からの潮臭い夜風が生温く肌を舐めてゆく。海水が、日中に与えられた熱を今発散しているのだ。
肩に廻されてきたがっしりした筋肉質の腕が、エントランスへとヒカルを促す。
この俳優はアクション系を得意としており、上背もあって体格にも恵まれていた。
ヒカルのコンプレックスが厭でも刺激される存在だ。
一時期身長で追いつきかけたのに、現在またアキラに突き放されている。肩幅も手足の大きさも、置
き去りにされる一方だ。裸で抱きくるまれるたび、その差を思い知らされて惨めになる。
「筋トレとかやっぱ欠かさずやってんだよね?」
「そりゃあ。メシの種だもんな……ん?鍛えたいの?」
エレベーターが殆ど音も振動もさせずに上層階へと人間を運ぶ。気圧変化で耳が気持ち悪い。
「カラダ動かすのは好きなんだけどね、今は忙しくて走る時間もあんま作れないな」
「座りっぱは良くねェぜ、まあ忙しきゃしょーがねーか」
さほど雑談も進まぬうちに、目的階に到着したとチャイムが鳴る。
たまり場と言うその部屋は角部屋で、通されてその広さにまず驚いた。
間取りには詳しくないので、これを何と呼べばいいのか分からない。ワンルームのような、そうでな
いような。住む家というより、レッスンルームとでも表現するのが相応しいのか。
「うーぃ、ちゃんヒカ連れてきたー、どーだー!」
おー、と言う歓声とも感嘆ともつかぬダミ声の群れが、ヒカルを歓迎する挨拶だった。
本能的に、合わないと感じた。
やんちゃで歳よりも子供っぽかった頃から、この類の人種は今ひとつ苦手だった。
本当にチャラいってのは、こういう連中の事だよクソ客。思わず口の中だけで吐き捨てる。
先月のイベントで酔客にしつこく絡まれた件まで思い出してしまった。
広々とした床一面にぶち撒けられた、菓子類や乾き物とその空き袋に空き箱。何本も転がる酒瓶。
煙草は気にしていたら碁会所になど居られないので慣れはしたが、囲碁に無関係な場所で紫煙の匂い
を嗅ぐとやはり不快感が募る。
脱色と染毛で枯れ草みたいに荒れた髪。威圧感を見せつけるような髭。狩りの成果を品定めするかの
如き無遠慮な目。被害妄想だとも思ったが、彼らに対する嘘偽りの無い第一印象は甚だ悪かった。
他人を見た目で判断してはいけない、他ならぬ自分がそうされて厭だったから。
悪印象を払拭する好材料を見つけるべきなのか。快気祝いを開いてくれる気のいい面子なのだから。
「ホレ、おまえらお行儀ワリィぞぉ、ドン引きしてんじゃねーかちゃんヒカ」
「……あ、いや」
そんなことはない、と無理に笑みを作って続けようとしたのを初対面のひとりに引ったくられた。
「あれェー?おっとなしィなー。そっくりさん?」
何が面白いのか、車座になった一同がどっと笑い転げる。
「ンなわきゃねーだろ、俺がスタジオからチョクでラチって来たんだから」
ヒカルを連れて来た俳優も、その輪の中に入って馴染んだ。手を引かれ、ヒカルは転ぶように膝をつ
く。座れと言外に命じられたのだ。彼らが身に付けているごつい金属のアクセサリーが、自分を捕え
る鎖や枷に見えてくる。
自分よりも体格が良くガラの悪い、見知らぬ男たちに囲まれる圧迫感で息が詰まる。
- 405 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/21(火) 13:13:55.72 ID:???
- プロ試験予選で椿や外来の大人に怯えていた記憶までが想起させられ、体が震えそうになる。
何が怖い。コイツらはオレと大してトシ変わんないんじゃないのか。
怯える理由なんてどこにも。
それに、オレの快気祝いなんだろ?そうは見えないけど。
「そうキンチョーすんなって、CMみたいに泣いちゃいそ?ヤダー、カーワーイーイー」
如何にもヤンキー崩れの茶髪が囃し立てる。
「今年十七なんだってよ、おまえと学年タメじゃね?」
茶髪に話を振られたのは厳ついスキンヘッド。とても同い年に見えない。
「あっそ。俺のタイプじゃねーわ、ロリ巨乳がいい。顔のロリ分微妙に足らんし、おっぱいどこなの」
下卑た内容の解析を、脳が撥ね付けた。
「……ゴメン。せっかく誘ってくれたのに悪いけど、オレやっぱ」
そう告げて立とうとするヒカルのシャツが掴まれ、背中から引き倒された。
腕が、脚が。あちこちから伸びてきた手に拘束されて動かせなくなる。
「まーまーまーまー、そう言わずに。ゆっくりしてってよ」
「いやね、くっだらねェことなのよホント。キミの性別論争でこないだ超アツく語り合っちゃってさ」
「じゃあ確認すりゃいーじゃんって結論になってね。コイツに連れて来てもらったワケ」
不自然に痩せて変色した前歯を持つ頬のこけた男が、顎で件の俳優を指して言う。
手がもう一本伸びてきて、羽織っただけの半袖シャツの下に着たTシャツをめくり上げる。
「ッ!」
「アラ見事なちっぱい。女でも絶望的なマナ板が存在すっからなー。判定ならやっぱこっちでショ」
ジーンズのジッパーに指が掛けられ、ヒカルは渾身の力で逃れようと藻掻いた。
酒臭い。ヒカルと俳優が来る前から部屋に居た連中は漏れなく、呑んで完全に出来上がっている。
未成年じゃないのかと咎めたくなったが、この手の人間には蛙の面に水だ。悪いのが格好いいと本気
で思い込んでいる。
第一、俳優の友人であるこいつらは同じ若手俳優と新人バンドらしいが本当にプロかどうか怪しい。
インディーズですらない所謂『ワナビー』なだけではないのか。
それに、やたらと人数が多すぎる。単に非行少年がつるんで遊んでいるだけなのでは。
なんでこんな奴らに。第一印象は大正解だ。
元凶たる俳優はと見れば、輪の中から少し外れて無言でニヤニヤと床に縫い付けられたヒカルを見下
ろしている。
「問答無用でひっぺがすのもなァ。先に自己申告してもらいましょっか」
「だな。ちゃんヒカにしつもんでーす、おちんちん生えてる?生えてない?」
「おーい男でもヤれるつったヤツ。おまえら今から答え聞けよ、誰と誰だっけ?」
「オレだわオレオレ。どっちでもいいからはよ脱がせ、もったいぶんじゃねーよテメーら」
騙されて、警戒もせずに連れ込まれて。
何をやってるんだオレは。
『だいたいわかった。要は今で言うフーゾクの店だな』
『風俗……ですか?』
今度は師が首を傾げる番だった。単語の正確な用法に固執する所為で混乱を来しているようだ。
『さっきおまえが説明したんじゃん、男が金払ってヤりに行く店だって。ならフーゾクだろ』
『いえ、まあもうちょっと色々あったりするんですが、大体その理解で間違ってません……で、風俗、
ですか?うーん……』
師が戸惑っているポイントを、ヒカルは察してやれない。余り深く考えずに『風俗店』の名称と存在
意義を冴木あたりから仕入れた話だけで丸呑みにしているだけなのだから。
『あんま難しく考えこむなよ、ハゲるぞ』
『残念でした。私、もうハゲる事は永劫ありえませんから』
その言い方がやけに可笑しかったので、ヒカルは鹿爪らしい顔を保っていられずに喉からくっと変な
音を出してしまった。
- 406 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/21(火) 13:19:42.32 ID:???
- 連投規制にひっかかるので、続きは日付が変わったあたりに…
鬼納期に追われてた頃本編でろくろく調べず書いた部分が俺の首を絞め続ける…
ヒカルたん2002年度中にリーグ入り不可能と判明して涙目orz
名人28期→若゛に一次予選でやられてアウト、本因坊58期→森下先生に二次予選でやられてアウト
棋聖27期→勝ち進んでたとしても時期が悪すぎる(最終予選決勝が原作の北斗杯に近すぎる)し
原作ヒカルたんの当時の実力描写(上記森下先生にアワアワしてたり)と齟齬をきたして
アウト
苦肉の策で一番リーグ入りの決定時期が早い(最速4月上旬)棋聖戦予選を翌28期にシフトしますた
…また北斗杯と激近じゃねーか…けどしかたないでつ、ごめんよヒカルたんタイトすぎて
矛盾潰しはここまでが限界ですた、きっちり調べ倒して本編をドタマから改稿したいでつ切実に
18歳でチャレンジした初タイトル戦を棋聖にしといて良かった、マジ助かった
で、原作で天野さんが「15歳、三段!(で本因坊リーグ入り)」つってたけど、あれ中3の7月
だから(明記してないけど伊角帰国がプロ試験予選直前なのでそう判断)若゛の誕生日準拠で
本文中14歳にしますた…長文レスになってもうたスマヌ
- 407 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/21(火) 13:21:56.82 ID:???
- でもって俺のヒカルたんはイカ腹がかわゆい12歳ですが何か(;´Д`)ハァハァ
- 408 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/21(火) 17:51:06.29 ID:???
- ちょっとやつれた未亡人ヒカルたんが最高だろ
- 409 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/22(水) 01:18:55.86 ID:???
- 『でもさあ。オレがそんな店にいたら買いに行くって、念押しされなくても本気になんてしねェよ』
『そうですかね?』
『なんだそれ気持ちワリ、エンガチョ』
師が『そうですかね』と疑問を呈した理由は、後になって判った。
自分が痴漢の対象と成り得る事。
アキラに情欲を向けられた事。
偶像として消費されるに足る商品価値がある外見だった事。
────────それから、今日。
「珍しいな、キミが誘いもしないのにウチに来るなんて。しかもいきなり、こんな時間に」
家族の待つ家に帰るのを躊躇い、徒に電車で時間を潰していたら午後十一時を回っていた。
「ワリィ、寝てた?」
アキラは夜着ではなかったので、まだ就寝してはいないようだったが。一応、礼儀として訊いておく。
「いや。ちょうどパソコンで棋譜を整理してるところだったから」
「そっか、手を止めて悪かった……出直すよ」
玄関先で踵を返そうとしたヒカルの手を、アキラが掴んだ。
「もう終わるところだったから。疲れた顔してる、休みがてら上がっていきなよ」
「…………ん」
アキラの他に人が居る気配は無かった。相変わらず、元五冠は精力的に海外を飛び回っているらしい。
「今日はテレビの仕事だったよね。こんな時間まで収録?」
部屋に通されて、グラスに注いだ麦茶を一息に飲み干すと少し落ち着いた気がした。
「ああ……まあ、うん」
つい言葉を濁してしまう。察しの良いアキラに気付かれないはずが無かった。
「何かあった?」
心配げに寄せられた眉と、労るような声音に洗いざらい吐き出したくなる。
「べつに。ただの思いつき」
「ふぅん?」
訝しげな表情は、嘘が見破られている証左。
「ここんちってさ、結構古い棋譜とか資料とか山ほどあるじゃん。不意に、『ちょっとアレ研究した
いな』って思い立っちゃって、それでいてもたっても」
白々しく上滑りした声で口から出任せ。いつボロが出るだろうか。
恐らく時間の問題だろう。
「……秀策?」
まあそう来るのは当然か。そうだと答えればきっと、キミの持っていないものがウチにあるかどうか、
と十中八九帰ってくる。
「いや。そんな昔のじゃなくて。昭和五十年代の細かい資料、新聞のスクラップとか」
「その辺の棋譜や歴史なら普通に書籍で手に入るんじゃ?」
「んー、そーゆーまとまったんじゃなくて。リアルタイムで記録されたものが見たいんだ」
アキラは納得しかねると言った表情だったが、ならば父親の書庫を解放しようと申し出てくれた。
書庫と言っても普通の部屋に耐荷重の補強工事を施した程度のもので、厳密な温度・湿度・日光によ
る褪色の管理までしている訳ではなかった。年月を経た古紙特有の匂いが充満している。
「本当に貴重な文献なんかはちゃんとした施設に寄贈したんでね。残りは、まああんまり状態が良く
ないよ。新聞のスクラップは紙の質が質だからなあ」
「そうだな……オレも、コピー取って寄贈とかした方がいいかもな。本が傷んで残らなくなるのはイ
ヤだし。うん、そうしよう」
保存の事など考えもせず集めた秀策の文献。自分の思慮のなさから消失させるところだった。
無自覚に師の足跡を粗末にしていた事へのショックが先刻の出来事に上乗せされて、ヒカルを苛む。
「江戸期の古書で、和紙と墨のものならかなり耐久性あるよ。でもキミ粗忽だから、食べカスとかで
汚す前にそうした方が賢明かもね」
- 410 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/22(水) 01:21:05.72 ID:???
- 背中に、アキラの体温を感じる。後ろから肩にやんわりと腕が廻されて、耳元に吐息が触れる。
「……話したくないなら、もう訊かないよ。ボクにすら言えないような嫌な事、沢山あるだろうから。
でも、ウチに来た理由は嘘だよね?」
ああやっぱり。とっくにお見通し。
「痛い思いして沢山泣いて忘れるために来たのか?」
「まさか。一ヶ月お預けで、そろそろヤりたくてうずうずしてんだろうなって可哀想になったのさ」
この程度の虚勢を張るくらい、許してくれてもいいよな。
『うへェ、準備だけでそんだけメンドクサイのかよ。そこまでして男とヤるイミがわからん』
『社会の仕組みや身分などで、今よりも女犯に関して窮屈な制約を受けた人たちがいたんですよ。も
ちろん最初から男の子がいいって好事家も結構いましたがね、それこそ私が生きていた頃から』
性に目覚めたての幼い好奇心満々で、渋る師から男色に関する話を次々と引き出した。
師の困った顔を見て揶揄うのも楽しかったから。
『で。そっから先が本番なんだろ。どうやんのさ』
回を重ねるごと、アキラは入念に準備をするようになってはくれていた。
だが、自分の指なら容易く快楽を得られるのに、同じ事をアキラに施されても何故か苦痛ばかりだ。
今夜も同じだろう。
関係を持つようになって一年余り。アキラが他の相手を見つけるまでこの苦行は続く。
唇を重ねながら縺れ合うように布団に身を投げ出し、ヒカルの服を脱がせたアキラが押し黙った。
「…………」
無言でヒカルの臍に指を突っ込む。
形のいい指の先に付着した僅かな粘つき。
「誰にやられた」
残っていたなんて。迂闊だった。
「書庫でくっついた時から気になってたんだ。どうしてちょっと臭うんだろうって……誰にやられた」
自分では気付かなかった。鼻が麻痺していたのだろうか。
ヒカルが男だろうがどちらでもいいと名乗りを上げた男が、Tシャツを胸まで捲られた姿にハイテン
ションになり、剥けきらない不潔な亀頭の先を腹に擦り付け臍に捩じ込んできた。
それ以上の事は起こらなかった。
腹の上に精液をぶち撒けられた訳ではない。あの男の先走りが臍に塗りこまれた、ただそれだけ。
そこで件の俳優がストップを掛けたからだ。
質の悪い悪ふざけだった、サプライズパーティのつもりだった、許して欲しいとそう言った。
本人はそのつもりでも、連中はどうだか知れたものではない。それに、彼の謝罪には誠意が籠ってい
なかった。にやつきを消しもせずゴメンと言われても説得力が皆無だ。
洒落にならないレイプ沙汰になる前に、自分可愛さで止めた。それが真相だろう。
こんな経緯を導火線の短いアキラに打ち明けでもしようものなら、どんな行動に出るか分からない。
「誰にやられたんだ」
「……オレが言いたくなきゃ訊かないつったのは、どこのどいつだよ」
次の瞬間、左の頬が熱くなった。平手で張られたのだと認識するまでに数秒が必要だった。
荒々しく体が裏返され、いつもはおずおずと入ってくる指が潤滑剤も無しで突き込まれる。
「いッ……!」
後ろに被害が無いと確認したアキラは指を抜き、怒りに肩で大きく息をしながらヒカルから離れた。
「その忌々しい臭いを洗い落として来い!後ろの掃除もだ!早くしろ!」
深夜の広い邸内に響き渡るアキラの怒鳴り声が、涙混じりで悲鳴じみていてヒカルの胸を抉った。
もう堪え切れなかった。涙腺が緩み、塩辛い水が表面張力の限界を超えて溢れて落ちる。
嗚咽を止めようにも止まらない。
- 411 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/22(水) 01:24:45.80 ID:???
- 『いいえ、じっくり準備さえしておけばあとは女性相手とそう変わりませんよ』
そんなの嘘だ。痛い。どうなってるんだ。
自分で指を挿れて掻き回すのはあんなに気持ちいいのに。足りなくて、極太マジックだって使った。
長さが欲しくて、中学を卒業してからはもう用済みになったアルトリコーダーまで持ち出した。全部
良かったんだ。
「ぐぅ……う、ぅあ、っく」
二年も自慰に使ってきた後ろの穴が、アキラの指一本にすら引き攣れるような痛みで緊張する。
アキラはローションで手首まで滴るほど濡らしているのに、これ以上は駄目だと音を上げている。
少々雑に扱われはしたが、いきなり貫くような真似をアキラはして来なかった。
いつものように、ゆっくり辛抱強くヒカルの後ろを慣らそうと頑張っていた。
そしてやがては諦め、爆発寸前の熱量の塊を突き込んで来るのだ。それもいつもと同じ──────
「ッヤダ!それ、やめ、」
初回以来だった。アキラが剥き身のまま侵入したのは。
「あァああああぁ!」
叫ぶことで、少しでも力を抜こうと無駄な努力を試みる。
『まあ、多少勝手の違いはありますがね』
『どんな?』
正常位を取ろうとすれば、どうしても屈曲位に近くなる。肉体の構造上避けられない。
ヒカルにとっては腰への負担がきついのだが、アキラは向き合って行う事に拘泥した。
かてて加えて、全く軽減されることのないこの痛覚。
「ナカに出すよ……細胞に浸透するまで擦り込んであげる、ボクのものだって証だ」
ヒカルは激しく首を左右に振って拒否の意志を伝える。
ただでさえ痛いのに、中出しなんてされたら。
「イヤだ、イヤぁ!」
「よく言う、キミだって好きで抱かれてるんだろう?慈善事業だとでも?」
「ちがう、そんな、い、ッ、あぁ……ぁ」
絶望の声は、腸内でアキラが射精に伴う痙攣を起こしたのを感じ取って出たものだった。
「ねえ、『好きなんじゃないの?』なんていい加減な返答じゃなくて。ちゃんと言ってよ」
それは言えない。そこはどうしても偽れない。
「でなきゃボクは不安なままなんだ、だから今日みたいにキミが心に傷を負っても寛容になれない」
それでいい。優しくなんかされたくない。
碁を打つ時の、互いの間にあるひりつくような緊張感が失われる方が遥かに怖い。
生温いナアナアの関係になど堕ちたくない。
あの時のように。自分が原因でアキラが不調に陥るなどもう二度と見たくない。
触れただけで切れるような、彼の美しい刃を鈍らになどしたくない。
なら虚偽であろうと「好きだ」と言ってやるべきなのか?もう何がなんだか分からなくなる。
「ぁぐ……!」
抜かないまま、アキラがまた動き出した。左手でヒカルの肩を押さえつけながら、右手が下に伸びる。
「あ、あ、あ、ダメ、ソコ一緒はダメ、触んないで」
毎度の余計な気遣いだった。痛いだけでは忍びないと、アキラが小さく萎んだモノを緩く擦りだす。
痛覚と半端な快感が神経回路を混線させ、吐き気を催すので痛いだけよりももっと厭だった。
そう伝えると、アキラは痛いだけなのを本当に我慢出来るのかと念を押した上で手を離してくれた。
『でさあ、めちゃくちゃギモンなんだけど。男がケツにチンポ挿れられてなんかいいことあんの?』
その無邪気な問いに対する師の返答を実感出来たのが、よりにもよって今夜だったなんて。
- 412 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/22(水) 01:28:24.26 ID:???
- ヒカルが快楽を得られたと知ったアキラは当然、我を忘れるほど歓喜した。
離さない、好きだ、愛してると譫言のように繰り返しながらヒカルの熱く蠢く粘膜を堪能した。
ぼたぼたと愛液のようにカウパーを垂らしているのに、勃起も射精もしないヒカルの体に疑問を持つ
余裕もなく、若い体力任せに貪り尽くした。
「あッ……ア!あぁん!また、またくる……ッ!」
指や硬く冷たい異物とは違う。表面が柔らかく芯が硬い熱の塊で体内の急所を穿たれ導かれる法悦。
欲しかったのはこれだ。指で独り遊びをしていて、足りなくて求めたのはこれだ。
こんなに良いものだったなんて。知ってしまったらもう、無しではいられないほど危険な毒。
だけど、相手がアキラだ。
溺れてはいけない。溺れさせてはいけない。
でなければ、ふたりして駄目になる。
(たまんない、イイ、イイ……!塔矢、塔矢、塔矢っああもっと奥に来て……!)
こんな本音を口に出してしまう訳にはいかない。
だが、どうしても漏れる嬌声は抑えられない。次々に襲い来る快感のピークに狂いそうになる。
(もっと違う体位でしよう、後ろからいっぱい突いて、奥から一気に引きずり抜いてよぉ)
何が、塔矢とだけは綺麗なままでいたいだ。ずっと男の棒を欲しがってたくせに。
一年前に後ろを許した時点で、そんなものはとうに汚れきってしまっていたのに。
心の奥底で意地を張って、快感を拒んできたのも木っ端微塵だ。ザマァねーや。
(イかせて、何回も何回も何回も何回も、欲しい、欲しいよ、まだ、まだ、まだ!)
「あっ、あっ、ぁはぁ、んッあっ、イヤ、イヤァ!」
後ろで感じている時に女のような口調になるのは指で初めて快感を覚えた時からだ。
先入観なのか本能なのか、本当のところは不明だ。突き止めたところで毒にも薬にもならない。
アキラは突きながら、時折動きを止めてヒカルの肌を唇と舌で味わう。過敏になった肌は即座に反応
を返し、アキラを喜ばせる。再度、彼の手が股間に伸びてきたが、ヒカルは拒んだ。
折角の混じりっけなしの快感を損なうような気がしたのだ。
「ヤダ、そっちいらない……!あん、ぅうん……!」
腰を揺すり、脚でアキラの胴体を挟んで直腸への刺激をねだる。
(出して、またナカに出して。おまえのでぐちゃぐちゃに濡らしてよ)
興奮の極に達したらしいアキラが、ヒカルの肌にあちこち噛み付き始めた。首に、腕に、胸に、歯並
びの良さを誇示するような赤い痕が残される。
「やっ、ダメ、ダメ、っあ!っあうぅ!」
噛まれる痛みが快感に上乗せされて、ヒカルの頭が灼けつきそうになる。
そう言えば、後孔の痛みが消えた訳でもない。いつの間にか、同じ感覚が快感にシフトしていたと気
付く。どんなからくりかは知らない。
「進藤……すごく、気持ちよさそうな顔してる……そんなにイイ?」
否定の意味で首を振るが、そんなものにどれだけの信憑性があるのか。
(うん、イイよ、イイ。このままメチャクチャになるまでヤり潰して、死んじゃうまで)
初めて経験する壮絶な絶頂感が、ヒカルの脳内にある常識の軛を全て解き放ってしまっていた。
そんな中にあっても、ただひとつだけ守ったもの。それは。
「もぉしんじゃうぅ……こんなのイヤぁ……」
享受している強烈な快楽への素直な感想と欲しがる本心を、声に出してアキラに伝えない事。
『何ですかヒカル。将来男の子を抱く予定でもあるんですか』
『まっさかァ、ねェよ。単なる知的好奇心ってヤツだ』
『ほお、知的好奇心。ヒカルのくせに難しい言葉知ってますねぇ』
『バカにしてんのかコノヤロー!』
精通を迎えたあの日。調子に乗って下らない事を訊いたりしたから。
今、アキラとふたり甘い蜜に満たされた地獄に嵌り込んで抜け出せなくなってしまっている。
- 413 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/22(水) 01:38:02.41 ID:???
- 淫乱ヒカルたん十六歳の爆誕でつ
佐為の性教育のおかげでとんでもない事態に
精通直後のヒカルたんに何教えてんだよとwww
当然どのヒカルたんも最上級においしく頂けるけど、一番好きなのはやっぱ肉々しいショタヒカルたん…
あっよせやめろ通報するなそこのメイツ!
- 414 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/22(水) 01:40:26.95 ID:???
- 十中八九帰ってくる。→×
十中八九返ってくる。→○
恒例のアレ
- 415 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/24(金) 14:31:58.63 ID:???
- 一番性的なのは中学生のふりして大会に紛れ込んだ時のだぼだぼぷにぷにヒカルたん
- 416 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/24(金) 23:47:37.74 ID:???
- <W・擬態>
先に音を上げたのはアキラの方だった。
抜け出ようとするのを、ヒカルは入り口を強く締めてアキラの胴に絡めた脚で自分の方に引き寄せ、
阻止しようとした。
「ぁああ……んん……」
思わず零れ落ちた媚声に、アキラが苦笑のような微妙な表情を作った。
「どうしちゃったの?途中から急に人が変わったようになって」
その疑問は尤もだった。けれど、明かせない。
ずっと前から欲しかったのだ。生身の男の肉棒が。そんな恥知らずな事、口が裂けても言えない。
アキラ相手には快感を求めてはいけない。手前勝手に己に嵌めた枷が、恐怖と屈辱と怒りと情けなさ、
様々な感情が入り混じった結果壊れてしまった。
突かれているうちに、我慢の限界を超えたのだろうと思う。無自覚に自己が定めていた制約を、噴き
上がるような肉欲が打ち破った。痛いのはもう沢山だ、本当は感じたいのに、と体が叛乱を起こした。
多分、遅かれ早かれそうなったのだ。アキラとは厭だ、その気持ちよりも渦巻く本能が勝った。
その結果、アキラ曰く『人が変わった』ように見えただけだ。
柔らかなキスが鼻の頭に降ってきた。うっとりと蕩けた目の光が、ヒカルの瞳を捉えている。
「抱かせてもらえるだけでも、と思ってたけど……やっぱり、全然違った」
駄目だ。聞きたくない。
「ナカで感じてるキミは、見たことないほど可愛かった」
やめろ。やめてくれ。
そんなだらしない顔をした塔矢は見たくない。見たくなかったのに。
「……っ、ふ」
「進藤?……どうしたの、やっぱり痛い?」
涙が止まらない。
知ってしまった麻薬のような快楽を、知らなかった事になんて出来ない。
だから、これからもアキラを欲しがらずにはいられない。
他に誰か、この欲を満たしてくれる相手を作ろうとしても。
それをアキラが許すはずもない。
だから、熱く脈打つ『本物』を挿れられたいと、味を覚えた体が疼いてしまうなら。
もうアキラを選ぶ以外に無いのだ。
新たに生まれた怪物じみた絶望が、ヒカルの中に棲みついて高笑いする。
「ごめん、ボクが悪かったんだと思うからそんなに泣かないで、進藤、ねえ」
いつも以上に狼狽えた様子でアキラが謝り倒している。
事後に怒りもせずただひたすら幼児のように泣くだけのヒカルが初めてなので扱いかねているのだ。
この先どうするか考える。ちゃんと考えるから。だから今だけ。
泣いて思考停止するのを許してくれよ。
必ず前へ進むから。二年前の、雷雨に濡れながらの誓いは忘れてないから。
だから待っていてよ。オレの中で待っていて。
『本物』がいいならあの連中に身を任せても良かったのではないか。いいや。商売女だってあんな状
況はお断りに決まっている。金銭だろうが好意だろうが、最低限体を許すに足ると判断した男でなく
ては。
つらつらと取り留めなく詮無き事を考えている暇があるなら、頭の中で詰碁でも解いていればいいの
に。
テレビ局に居るとどういう理由なのか集中力が殺がれがちになる。多分、今もって拭えぬ場違い感の
所為だとヒカルは解釈していた。
修行不足だ。どこであろうと時間が空けば碁に没入出来るくらいでないと。
例の俳優とまた共演することになった。あの夏の夜からおよそ三ヶ月経っていた。前とは別番組だ。
- 417 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/24(金) 23:49:22.24 ID:???
- 自衛のために他の共演者からそれとなく彼の情報を仕入れていた。何故あんな目に遭わなくてはなら
なかったのか、無知のままではまたやられかねない。
攻め込まれて相手の形にされては挽回が難しい。じっくり受けに回っていい戦況と、そうでないもの
は早目に切り分けねば。上位の対局で序盤に押し込まれがちなヒカル自身の碁が包含する、解決せね
ばならない課題でもあった。
どんな場面であれ、押し負けてはならない。そう、今この瞬間も。
ヒカルの方から声を掛けられるのは予想外だったのか、彼は少し鼻白むような表情を見せた。
「よう、久しぶりじゃん。聞いてるぜ?なんかまたスゲェので勝ったって」
この間の名人戦三次予選決勝か。棋聖戦に続くふたつ目のリーグ入りが決まった一局。
「まァね」
やっとリーグ戦でアキラと対局出来る。予選トーナメントの組み合わせで最後までアキラと当たらな
かった事を喜んでは本当はいけないのだろうが。志が低いと謗られようとも、少しでも頂点に近いと
ころでアキラと戦いたいと望んでしまうのは遠大な目標に早く到達しようとする焦りか。
「この前はゴメンね。びっくりして帰っちゃって。せっかく誘ってもらったのに失礼だったと思う」
「あ、ああ」
そう切り出されるのが意外だったのか、戸惑うような返事だ。
残念だったな、こちとら舐められっぱなしでいられるほど温厚じゃないんだ。
「お互い大変だねェ、やらなきゃやられるっつーひでェ業界で生き残らなくちゃいけなくて」
「は?」
おいおい、話にちゃんとついて来てくれなきゃ。しっかりしてくれよ。
「オレもさ、色々理不尽なことばっか周りに言われて毎日キレそうになるんだよね。チャラついてな
いで結果出せって言うから結果出すでしょ、したら頑張らないで結果出ていいよねって。いや結果出
すために頑張ってますよつったら、努力をひけらかすなだって。負けたら負けたでホラ見ろチャラい
からだと言う。どーしろってんだってなるよな?」
いきなり愚痴を垂れられるとも思っていなかったのだろう。明らかに面食らっている。
「でもさあ、いくら周りに評価されなくてムカついても、『じゃあオレに勝った対局相手をイヤガラ
セで消そう』って考えにはならねーな」
「……いや、畑違いの業界のことはよくわかんねーし」
相手の眉間に、不快感を示す皺が寄る。何を言われているか漸く理解したのだ。
「ああゴメン。そうだね。お互い、相手の苦労なんて見えないもんだよねェ?」
『雛壇レギュラーだった番組がゲスト枠拡大の名目で進藤ヒカルを捩じ込み、その所為で仕事をひと
つ失った』
どうやら、それによる逆恨みであんな事を企てたと言う情報は当たりだったようだ。
「ま、オレはオレで結果出し続けるさ。誰にどう思われようが、碁打ちは勝ってナンボだから」
おまえは俳優だろう。ならドラマででも映画ででも役を獲ればいい。それが本筋じゃないか。
仕事を盗まれたとオレに報復するのはお門違いだ。
遠回しな当て擦りにまんまと挑発されてる暇があったら自分が生きると決めた世界で精進しろ。
「でもって、『これ』も仕事なんだよねェ。ビンボーな所属先、出稼ぎで支えなきゃなのオレ」
また盗られても悪く思わないでね、と言外に仄めかされた俳優は獰猛な顔つきで歯を剥いた。
「ク、ッソガキィ……メスみてェなツラしやがって、どうせケツマンで枕だろうが」
威嚇の表情と声は、負け犬が尻尾を尻の下に隠して無駄吠えしているだけに聞こえた。
なんだ。戦闘モードになって見てみりゃ、大したことないや。歴戦のトップ棋士の方がよっぽど怖い。
「あれェ?なんか怒らせること言っちゃった?ゴメンね、そんなつもりじゃなかったから許してよ」
あの夜のカウンターだ。食らいやがれ。軽薄ににやつきながら誠意の籠らない謝罪を口にする。
「オレも許すから。これでおあいこにしよ?」
塔矢との関係を決定的に歪めたおまえを一生許さない。叶うなら、干されて消えてしまえ。
呪詛が効いたのかどうかは人の身では与り知らぬ事。。
年明け以降、彼と共演の機会は無くなった。その後の消息など興味も湧かなかった。
- 418 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/24(金) 23:51:21.36 ID:???
- 四月下旬。第三回北斗杯開催を間近に控えた頃。
前々から耳にしていた不愉快な話が現実になるとの情報が内々に入ってきて、ヒカルの機嫌は上々と
は言い難かった。
「むっつかしカオしとんな、まあわかるけど」
自身より高段の相手と天元戦本戦で対局するため上京して来た社が、茶化し半分同情半分の口調で持
参した土産の菓子を頬張って苦笑した。
「いっつも思うんだけどさ、食い倒れって割にはあんま有名なお菓子ないよね」
手土産にまでいちゃもんをつけねばならないほど神経がささくれている。
「進藤、そんなこと言ってるとキミの分なくなるよ」
同じく微妙な苦笑を浮かべているアキラに軽く窘められ、ヒカルは溜息を小さく吐き出した。
「なんでやろな、全国区の有名どころ言うたら大体チープかネタに走るかやし」
大して気を悪くした風でもなく、社は一口大の饅頭をまた摘んだ。
「ところでさ、明日対局してから帰らずにこのまま北斗杯まで恒例の合宿突入?」
社はホテルではなく塔矢邸に泊まる。費用も気兼ねも不要とあって、上京する時は専らそうしている。
「いや。彼、どうしても出なきゃならない授業があるんだって」
「大学受験なんてなァ。もともと高校出りゃいいってハナシなんじゃなかった?」
そこで初めて、社の表情が少し険しいものになった。
「オレかて焦っとるわい。ガッコ行っとる時間全振りでけたらどんなけって」
北斗杯の戦友ふたりに実績で二歩も三歩も遅れている。リーグ入りなど遠くてとても届かない。
十代では間違いなくトップクラスなのだから腐るなと師匠にも諭されているが、時々家で暴れたくな
る。そんな胸中の告白を、ヒカルは複雑な心境で聞いていた。
自分はまだ、時間という意味では社より余程恵まれている。不必要な授業にも、試験勉強にも脳のリ
ソースを割かなくていいのだから。頑張りが親に認められない社を気の毒に思う。
けれど、自分の今置かれている状況だって。
「……進藤」
社が手洗いに立ってふたりきりになった隙に、アキラがそっと唇を寄せて来た。
「バカヤロが。寸暇を惜しんでサカってんじゃねェ」
「最近、語彙がまともになってきたんじゃない?」
軽く触れ合わせただけで身を引き、アキラは揶揄うようにくすりと笑った。
「企業のお偉いさん相手に、鍛えられてるんだもんね」
「まあな」
ぶすくれた顔がツボに入ったのか、アキラはくつくつと肩を揺らしてまた笑う。
「キミが時間やその他色々なものを犠牲にしながら、それでも碁に力を尽くしているのを見ると。負
けてなどいられないって闘志を掻き立てられるよ」
「それ、社にも言ってやれよ」
「イヤだね。恋人限定なんだ」
恋人になった覚えは無いが、不器用ながら懸命な激励が可笑しくてつい頬が緩む。
社に先制されて自分の不満が開陳出来なかったのを、アキラは汲んでくれていた。
不遇自慢合戦などしている場合ではないと解っているから呑み込んだのだと。
「お、なんや?オレが便所行っとる間に機嫌直っとんのかいな」
戻って来た社が、表情を和らげたヒカルを見て怪訝そうに指摘した。
「塔矢渾身のギャグがダダ滑りで、寒いの通り越して生あったかくなったんだ」
「えっ、え?違うよ」
さっきのは冗談なんかじゃない、とおたつきながら弁解するアキラがもっと可笑しくて腹が痛かった。
「……北斗杯もなあ。筋違いな方向で碁打ち客寄せパンダにして酷使するん、限度考えや思うわ」
社の言葉に、居間に漂っていた弛緩した空気がピリッと緊張を孕んだ。
「ただでさえ進藤の本業カン違いしとるヤツぎょうさんおんのに、これ以上職業不明にする気かいな」
「オレには……どうしようもないよ。発言力だってゼロだし」
諦めたようなヒカルの声音に、社はきまり悪げにガシガシと頭を掻いた。
- 419 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/24(金) 23:54:16.21 ID:???
- 今後の北斗杯開催を担保するため、本格的に日本棋院及び進藤七段とプロモーション契約を交わす。
それが北斗通信システムから呈示された内容だった。一方的な条件を突き付けられたのと同義だ。
体の良い人質。ヒカルに断る権利は事実上無い。
契約が発効すれば、今まで以上にヒカルのメディア露出は増える。恐らく倍増ではきかないだろう。
今でさえ時間の融通が不可能な生放送は基本的に断って、収録もなるべく複数回・複数番組を月一日
に圧縮して貰えるよう頼んでいるのに、様々な要因が絡んでオーバーフローしている。
「いっそ北斗杯でワザとボロ負けしたれや。ほんなら向こうも『いらんわ』ってなるんちゃうか」
「できるかよそんなん、バカじゃね?てかおととし二タテ食らってんだからイミねー」
どんな対局だって、疎かにしていいものなどひとつも存在しない。
全て勝つ気で臨む。当たり前の話だ。社とて、その前提を解っていて言うのだ。
「スポンサーの都合次第で棋戦が消えるのは珍しくないんだし、そこまでして北斗杯を存続させたい
って考えも疑問ではあるね」
幾ら若手にとって得難い経験となる貴重な国際棋戦であっても、歪な維持の仕方では早晩破綻する、
とアキラは危惧を口にした。
「北斗杯そのものがエサやろ。進藤で全方位からスポンサー釣ったろて市ヶ谷の思惑バレッバレ」
「不況続きだからね。緊縮財政のあおりを食って危ない棋戦もいくつかある。賞金引き下げでも続く
だけマシだよ」
「そんなんウチの親聞いたらますますフツーに就職させたがるわ、イヤやっちゅうねん」
「でもさ、就職先が潰れるのだってフツーっちゃフツーじゃん」
「やろ?そこわかってないねんウチの親」
「仕方ないよ。終身雇用が当然の世代なんだから」
十七歳の少年が三人揃って話すには甚だ辛気臭いお題だった。
「……塔矢に『終身雇用』でシメられたら違和感バリバリやな」
「オレも思った」
「ひどいな、フォローしたつもりなのに」
空々しい笑いが、室内の空気を揺らした。
「ん、ん……あぁん」
「ダメだよ、声聞かれちゃうだろ」
アキラの自室から客間は離れているとは言え、なにぶん防音性など期待できない日本家屋である。
明日、もう日付が変わっただろうから今日、社だけでなく自分たちにも対局があるのは互いに重々承
知しているにも拘らず。
泊まっていけと言われた時点で、アキラが求めてくるのは既定事項だった。
服もちゃんと脱がず立ったまま始めてからずっと、背後から上半身ばかり責められ続けている。
「やっ、ぁん……そこ、ばっか、っ、や」
初めて肉棒の快楽を体験したのを境に、ヒカルの全身はとてつもなく感度が跳ね上がった。
肌を愛撫されるだけで、ペニスは女性器に変化したのではないかと疑うほど愛蜜を垂らしてしまう。
(ああ……今日はダメ、なのに……おいしそうなの、食べたい……はぁ、ん)
乳首を指で執拗に弄られるうちに理性は快感に駆逐され、脳内に広がる桃色の霞が思考を妨げる。
「っ、やっぱもう、やめよ、だって、あぁ」
建前で言ってみただけだ。アキラの返答も決まりきったもの。
「ここまで熱くなってるのに、途中でやめて放置してもいいの?」
パーカーをたくし上げた背中に音を立ててキスをされ、膝が力を失って崩れ落ちそうになる。
「でも、っ、挿れるのはダメ……っ、座ってられな、っ」
挿れて達かされて、腰が砕けてしまった状態で長時間座って対局など無理だ。
ただでさえ腰にくる屈曲位紛いの正常位。これに固執するアキラが相手なら尚更。
(欲しい、食べたい、塔矢のが食べたい、アナで噛んで、ナカで、もぐもぐしたい、ッ)
心の声は真逆。座れなくなってもいいからずっぽり咥え込みたいと体も切なく訴える。
ヒカルは完全に、後先考えず獣の本能だけに従順な淫欲の権化と成り果てていた。
- 420 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/24(金) 23:57:50.03 ID:???
- 今夜も失礼しまつメイツ諸兄
消えた棋戦…富士通杯なんか八大タイトルに数えられたりもしてたのに…終了棋戦一覧見たら
歴史ある棋戦が結構なくなってて物悲しくなるな、事情は財政難以外にも様々なんだろうけど
小説内ではヒカルたん十七歳が順調に荒んできてまつ、作中ではみんな不景気が悪いんだ
前回投下分、本編にある部分だからと思って端折りすぎた…
レスをまたいでいきなりヒカルたん淫乱全開で、書いた俺も後で「なんだこりゃ」になった、反省
- 421 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/25(土) 02:41:37.39 ID:???
- 乙乙〜
ニュース見てたら囲碁で最年少なんちゃら言っててヒカルたん思い浮かべたわ
脳内設定ではヒカルたんは最年少本因坊だ…
- 422 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/25(土) 23:18:58.18 ID:???
- アキラとはそう頻繁に行為に及んでいなかった。スケジュールの摺り合わせが日を追うごとに難しく
なっているからだ。ヒカルだけでなく、アキラも多忙だ。本来ならヒカルが受け持つべき本来の普及
の仕事にも駆り出されている状態である。そして当然、各棋戦が詰まっている。全て東京で行われる
訳ではないので、ふたりとも社と逆のパターンで地方にも行くし、海外主催の国際戦にも出向く。
すれ違いや会えても棋戦前日となるのが多い故に、最近は月に三度抱かれればいい方なのだ。
その希少な機会もこれから更に減る見込みだから、アキラがここぞと迫ってくる心情は理解出来た。
だが今日はいけない。これまで対局日前夜は暗黙の了解で避けてきたのだから。
「ん、はァ……ぁん、ダメ、だって、っ」
もうどこに触れられても全身がぞわぞわするほど甘く痺れる。大脳などただのお飾りで、その下に隠
れた本能の器がヒカルの体を支配している。
早く後ろに欲しくて腰が揺れる。だがアキラはやはり、上半身だけを集中的に愛撫する。
自分だって挿れたくてはちきれそうになっているのにどうして。
「わかってるよ。対局前にキミの負担となるような事をするのは、ボクだって本意じゃない」
それならこんなに感じるほど高めて期待などさせず、手か口を使えと言えばいいのに。
ヒカルの後ろで達きたいアキラは代替手段として提案すれば手淫は渋々受け容れるが、口淫は厭がる。
潔癖なのだろうかと思ったりもしたが、そもそも潔癖なら他人の肛門になど自分の分身どころか指も
触れたくないはず。どれだけ綺麗に内部まで洗っても、そこはやはり不浄の場所なのだし。
(口で咥えるくらい、っ、言えばしてやるのに……でも今はアナで食べたい……!挿れて!)
もうアキラの肉茎をナカに納める事しか考えられない。だがどうやら、アキラは違う事をしようとし
ている。何なのか想像もつかなかった。
お預け状態だったのはヒカルも同じだ。昨年夏以降、少し間が空くだけで体がアキラを、肉の槍を欲
しがって夜泣きする。自慰での物足りなさは以前の比ではなかった。
貫通の悦びを知った場所はより貪欲になり、指を四本挿れても縦笛を挿れて捏ね回しても満たされな
い。おまけに肌の感度も上がっているものだから、自分で自分を撫で回しただけで家族が不審がるよ
うな嬌声が出てしまう。一度しくじって誤魔化しきったものの、以降は声漏れ防止に折り畳んだタオ
ルを噛んでする羽目になった。
声を殺すと、発散されない性感が体内に蓄積されて苦しくなる。余計に『本物』への欲求が高まる。
自分でするのでは味わえない、相手の都合でアンコントローラブルに動くモノに狂わされたくなる。
挿れて、動いて、力強く突いて、容赦なく引いて、予測不可能に掻き回して。
あのめくるめく快感に比べたら、独り遊びなど虚しくなるだけ。
けれど疼く体を単独で宥めるにはそれしかない。
だから今夜は待ちに待った『本物』を迎え入れる時なのだ。なのに間が悪過ぎる。
(挿れないの?こんなに感じさせといて、くれないの?ヤダ、イヤ、ちょうだい、欲しいよ!)
「……アァ、ンッ!」
ずっと弄られ続けていた両の乳首を指先できゅっと強く抓られ、ヒカルは思わず高い声で鳴いた。
下半身から何かがしぶいたのが判る。粘性がなくサラサラした液体が、下着を通してジーンズにまで
染みるのを重くなった布地で感じ取る。耳元を擽る、アキラの含み笑い。
「刺激、強すぎて漏らしちゃった?」
漏らしたにしては尿独特の臭いがしない。
「凄いね。乳首だけで潮吹いちゃったんだ」
後ろでこうなる事はあっても、他の場所では今まで未経験だった。
何となくおぼろげに、アキラの意図が見えてきた気がする。だがそれではアキラの滾る熱をどうやっ
て解消するのか。やはりヒカルに手で擦らせて妥協するのだろうか。
全くもって考えた事すら無かったが、乳首で達くのはナカ達きと近いものがあった。完全に代替し得
るものではなくても、これなら対局前でも負担を心配せず行為の回数を増やせるかも知れない。
ならアキラはどうすれば、という疑問にまた立ち戻る。
達したばかりの肌。項に息を吹きかけられ、びくりと体が跳ねる。
「ねえ。前からいちど、試してみたかった事があるんだけど……いいよね?」
情欲でぐつぐつと煮えた低い声に鼓膜が犯される。
- 423 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/25(土) 23:23:37.67 ID:???
- 夕方ウチのマンションが火事でちょびっと焼けたよヒカルたん…着の身着のままで飛び出したから
全焼なんかして家宝のコミックスと完全版が焼けたらどうしようってビビったよヒカルたん…
だからヒカルたんのぷっくり苺責めを書いて心を鎮めるよ(;´Д`)ハァハァ
>>421
プロ入り最速、最年少伊田十段やね…俺が今書いてるヒカルたんに「いやいくらなんでも」的な
最速(リアルアキラ・井山君がいない世界の設定なので最年少も)記録を持たせてたんだけど、現実はすげえな…
うん、もう荒唐無稽な設定じゃない、安心した→18で棋聖挑戦権はどうなんだ(セルフツッコミ
- 424 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/26(日) 01:19:29.58 ID:???
- 若゛調子乗り過ぎなんだよ
俺だってヒカルたんに…ヒカルたんに…(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァ!!!
- 425 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/26(日) 22:02:37.11 ID:???
- エロエロ本因坊進藤ヒカルたん30さい(;´Д`)ハァハァ
やっぱ30はやだ
- 426 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/27(月) 01:01:27.14 ID:???
- ヒカルたんは16がマックスでそれ以上齢をとりません
- 427 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/27(月) 20:58:57.24 ID:???
- 社が眠ったのを見計らって、客用の寝室にと用意された部屋を抜けて来たのだった。
足音を忍ばせてアキラの自室を訪い、不機嫌を装っていつものようにアキラの種火を煽る。
『やっぱ起きてた。オレが来るの待ち構えてただろドスケベ』
アキラもお決まりの反撃で応じる。
『キミの方が抱かれたくて来たんだろ?正直になりなよ』
彼は知るまい。ただの厭味のつもりが正鵠を射ているのだなどと。
まだ、悟られてはいないようだった。アキラに押し切られる体裁を装い自分の淫らな欲を満たしてい
る、浅ましくも歪んだヒカルの本心を。
騙し誤魔化し逃げ切る技術は、あの二年四ヶ月で否応なしに鍛えられた。こんな事に応用されている
とは、消えた師もよもや思うまい────────
「あ、あ、あッ、やっ、んン!」
仰向けに倒され服を脱がされたヒカルの体の上で、アキラが動いている。
「バカッ、ヘンタイ、なにやっ、て、アァ、ん、んー!んッあぁあぅ!」
猛々しく反り返ったモノが、いちど乳首で達かされ過敏になったヒカルの肌に擦りつけられている。
去年の夏、チンピラのひとりがやったのと奇しくも同じ行為。腹や胸に肉棒をなすり付け、臍に亀頭
を捩じ込む、そこまでは同じ。
「ん、ッ、変態って、罵るわりには……進藤、めちゃくちゃ悦んでるよね」
「よろこんで、なんか……ア!ダメぇ!ソコ、ソコ……イヤ、ぁはァ!ぁあん!」
ただ一点、アキラが先刻から変わらず乳首ばかり集中して責めるのだけが去年のあの男と違う。
もういちど達かそうとしているのは明白。ヒカルの固くしこった乳頭を使って鈴口をこじ開けようと
したり、雁首で引っ掛けてその感触を堪能したり。果ては太い幹の裏筋で一直線に乳頭を刺激して、
アキラは自分の快感も一緒に得ようと動く。
空いた方の乳首を空いたまま許してくれるほどアキラは甘くない。左手は忙しなく動き続け、ローシ
ョンでぬるぬるになった淡桃の蕾を指で緩急をつけ苛める。
一旦道筋のついた新しい絶頂への辿り着き方を、ヒカルの体はもう覚えてしまっていた。
「あぁあんもぉダメ、ダメ、ダメェ!くるよぉ、キちゃ……!」
全身が暴れ、馬乗りになったアキラごと跳ね上げる。
「まだだ、まだ、付き合ってもらうよ、ボクがイク……までっ」
ごく普通の前戯と正常位オンリーだったアキラが、こんなプレイを仕掛けてくるのは意外だった。
その意外性が、ヒカルを更に燃え立たせた。
直腸の奥がぎゅうっと締まり痙攣する。ナカで達く時とよく似た反応。
(なんにも挿ってない、のにっ、ちがうやっぱ、イクとき、は、チンポ食ってなきゃ……!)
空っぽの内部を締め付けるより、ずっしりした質量のモノをぎちぎちに締め上げたい。
(食いたい、食いたいよ、その目の前でゴシゴシしてるの、おいしそう、おいしそうなんだよぉ)
餌を置かれて「待て」と命じられた犬の気分だ。飢えて飢えて、そこに胃袋を満たしてくれるものが
あるのに、食うなと言われながら見せびらかされている。
思わず、頭を浮かせて舌を伸ばし、近づいてきた美味を捉えようとする。
「ダメだよ、キミはそんなことしちゃダメだ」
アキラが止めたのは、お預けの意味でではなかった。嫌いなのだ。口淫が。
はっきりそう言った訳ではなかったが、以前「挿れるのは今日無理だから、手か口で」と後ろでの行
為を断ったら「口じゃなく手で」と返ってきた。まだ挿入が苦痛でしかなかった頃だ。
態々「口じゃなく」と前置きしたのだから、口には抵抗があるのだろう。自分のモノをしゃぶった口
とはキスしたくない、理由はこんなところだと踏んでいたのだが。
でもそれほど潔癖なら後ろをなんて……と、先の疑問へと戻り堂々巡りしてしまうので、考えるだけ
無駄だといつしか割り切った。
「ねえ?もしかしたら……社、起きちゃったかもね?キミのいやらしい声で」
(いいよそんなん、別にどーでも……!おねがい、いじわるしないで、いれて、いれてぇえ)
恥も外聞も常識も世間体も、完全に頭から吹っ飛んでいた。
ヒカルの内心の叫びなど聞こえるはずもなく、アキラは三たびヒカルを乳首で絶頂に導き、その肌の
上に盛大に白濁を飛び散らせて肉棒で塗りたくった。
- 428 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/27(月) 21:01:27.74 ID:???
- 「あっ、あ、あ、はぁー……はー……、おい、どこ行く、んだよ」
二度三度太い茎をびくつかせながらヒカルの体表に全て吐き出したアキラが、身を離して立ち上がっ
た。ヒカルとしては、ここまで来たら挿れて掻き回して貰わなくては満たされない。
乳首達きは確かにナカ達きと似た性質だ。しかし、腸内を占める質量によって得る精神的な充足感の
有無がヒカルには決定的な差異だった。完全に挿入の代替とするには今後、工夫が要りそうだ。
「手洗いだよ。キミもお風呂入りなよ、お湯が残ってないならシャワーで」
「…………え」
思わず漏れた疑問の声に、アキラは不審そうな顔で眉根を寄せた。
「挿れるのはダメだってキミが言ったんじゃないか。朝には市ヶ谷だ。時間も時間だし」
もう少しで、口走るところだった。
「足りない」と。
ヒカルはアキラが部屋を出た後、唇を噛んだ。
アキラとしては、あれでも配慮したつもりでいるのだろう。けれどヒカルには生殺しに等しかった。
いつものように抱き潰すか、それとも指一本触れないか。どちらかにして欲しかった。
抱き潰されれば自業自得なのだから、ぐにゃぐにゃになった腰のサスペンションで対局に臨む肚は括
っていた。碁に集中出来ないほどの体調不良に陥るでもないのだし、姿勢が悪いと咎められようが屁
でもなかった。
そして、下心を持ってアキラの部屋を訪ねた時点で「対局日の前なのに」と追い返されていたなら。
食い下がらずにおとなしく社が眠る客用の寝室に戻るつもりでいた。
アキラの性欲にヒカルが仕方なく付き合ってやっている『設定』を守って。
たまに、何のためにそんな『設定』を作り守っているのか、意味があるのかどうか自問する時がある。
今もそうだ。
アキラが性欲と恋愛感情に左右されて碁の調子を落とさないように。まだ肉棒で快楽を得られない頃、
建前の最初はそうだった。
でも今は、肉棒アクメを知った自分が溺れてしまわないためのセーフティへと変質したのではないか。
歯止めが無ければどちらも溺れる、あの絶頂を知ってそんな恐怖感を持っていたのは確かだ。
その『どちらも溺れる』が間違っていたような気が、今はするのだ。
溺れるのはヒカルだけ。セーフティが必要なのは自分だけ。この体たらくがそう思わせる。
「…………怖い」
アキラが自分に性的関心を向けていることで、自分自身に制動が掛からなくなるのが怖い。
「怖いよ、塔矢、怖いんだ」
自制心を完全に失い、暴走した本能の前には碁の事など綺麗さっぱり押し流されてしまう現実が怖い。
「たすけて……だれか」
この甘美な蟻地獄から救い出して欲しい。
セックス如きでは些かも揺るがぬ、安定した精神を持つ人間に。客観的な目を持つ冷静な誰かに。
アキラと共倒れになるのは厭だ。他方、自身のケダモノみたいな性欲も御しきれない。
どうせ抱かれるなら……ヒカルの脳裏を掠めたのは、考えてはいけない事。
「塔矢、オレのこと、碁打ちとして以外に見ないで。恋人だなんて言わないで」
アキラは手洗いからなかなか戻らない。恐らく、彼もあの程度では足りずに抜いているのだ。
その姿を想像するだけで、何も挿っていない腸壁がきゅんと疼く。
勿体ない。便器に出すのなら、こっちに……。
「……────────ッ!あぁ!」
混乱して持て余した感情が、喉をついて汚く濁った音となった。
今何を考えた。
碁打ちとしてだけ見ろと言ったその舌の根も乾かぬうちに、熱く脈打つ男性器を挿れられたい?
「はじ、しらず…………ッ!」
絞り出すような、悲鳴のような、こんな惰弱な声を。
嬌声よりも喘ぎよりも聞かれたくない。他人になんか。
このみっともない有様で、師にこれから何の成果を捧げられると言うのか。
- 429 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/27(月) 21:03:25.95 ID:???
- 若゛先生、変態の片鱗が十七歳にして既に…でもまだヒカルたんに顔射できるほどではないでつ
俺は35歳ヒカルたん妄想を絶賛温め中なので、多分そこまでは余裕でいける
ただ、そこから先(;´Д`)ハァハァできるかは未知の領域かもしれん
いやいやヒカルたんはいくつになろうがヒカルたんだし、アレだ、長年連れ添った嫁みたいな存在に
なるんだよ、あ、今すでに俺の嫁だけど
- 430 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/27(月) 22:59:18.46 ID:???
- 35歳ヒカルたんはほっぺではなく腹がぷにぷにになってるんだろうか
- 431 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/29(水) 00:53:23.90 ID:???
- 例え腹ぷにになっていたとしても…愛でてみせるよヒカルたん!
- 432 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/30(木) 02:34:28.07 ID:???
- 久しぶりに来れたぜヒカルたん!
やっぱりヒカルたんはえっちだなあ(;´Д`)ハァハァ
- 433 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/30(木) 02:36:11.96 ID:???
- 25歳ヒカルたんはほっそりしてるんだぜ
- 434 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/30(木) 02:40:16.11 ID:???
- 最近ヒカルたんが暑いって薄手のTシャツで寝るようになって、tkbが浮かび上がってエロくてたまらんぜ(;´Д`)ハァハァ
- 435 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/30(木) 02:55:47.41 ID:???
- <X・具縛>
塔矢、碁打ちじゃない目でオレを見ないで。前だけを向いていて。オレに歩く背中だけ見せていて。
その足の進む方向が、オレにとって前なんだ。だからオレを向いて立ち止まらないで。
おまえの背中が見えないのが怖いんだ。緩んだ顔で正面を向かれるのが怖いんだ。
その甘すぎる顔と体にとろとろに蕩かされて流されてしまう自分が怖くてたまらないんだ。
こんなに弱い心で、強くなりたいだなんて。
横に並ぶことすら怖れるくせに、おまえを追い越したいだなんて。
おまえからすればふざけた寝言だってわかってるんだけど。
でもおまえが必要なんだ。
オレは弱いから、目標がいないとダメなんだよ。
こんなこと考えてるのバレちゃったら、きっとおまえは「信用がないのか」って怒るよな。
怒っていいよ。おまえにはその権利がある。
打たせてやるから。
いつかおまえに打たせてやるから。アイツと。
それまで頑張るから。必死になるから。
ずっと前だけ向いていて。オレの中にいるアイツを待っていて。
体内を侵食する邪念に逆らうように、日々の仕事に忙殺されつつ秀策の研究は深化していった。
師を再生し、更に成長させるにはまず『秀策そのもの』になる必要があると考えた。
秀策と言う碁打ちは、百パーセント師とイコールではない。
自分と同じ、平安の亡霊を宿したひとりの独立した人間だ。
ならばその為人から理解しなくてはならない。
自分との関係のように師が一方的に影響を与えたとは限らない。
師と出会った頃には既に出色の才能を持っていたのだから、彼が師に何かを与えた可能性もある。
理解が深まれば深まるほど。
師とふたりで『秀策』を創りあげた虎次郎に不穏な感情を抱く。
幼い頃から優秀で、師曰く人格者だった彼に。
自分には無い美点ばかり持っていた彼に。
本因坊家の跡目止まりで短命に終わったその一生までもが、奸計に堕ち宮中に居場所を失い世をはか
なんだ師の不遇と重なる。必然の出会いだったのかとすら感じる。
自分如きが、身の程知らずな事に挑んだのではないかと心がぐらつく。
師は間違って自分に宿ったのだと思う気持ちが更に募る。
それを打ち消すため、ヒカルはもっと深く、秀策の全てに学べる限りで没入した。
「父がしばらく家でゆっくりするそうだ。久しぶりにキミの顔が見たいってさ」
棋院会館で同じ対局日だったアキラがそう声を掛けてきたのは、ヒカルが十八歳、冬の手前だった。
「わかった。いつ都合がいいか聞いといて」
「いつでもいいよ。他の人も毎度アポなしでどんどん来るんだし、変に気を遣うことないって」
「相変わらず帰国したら碁打ちにモッテモテだなァ、ハハ」
塔矢行洋はすっかり、どこの国の人間だか判らない状態で海外を転戦したり将来有望な子供を発掘し
たりと渡り鳥のような生活が常態となっている。国を跨いで数ヶ所に別宅もあるのだとか。
「母もタフだと思うよ、昨日帰るなりニコニコしながらあちこちの話をしてくれた」
「へえ、興味あるな」
「そう?聞き手がいると喜ぶから、是非そっちも聞いてやってよ……と、キミ予定が過密だったね」
「なんとかするよ。先生どうせ、長くて一週間そこらしかいないんだろ?」
「そんなとこだね」
「相談……てほどでもないけど、先生にちょっと意見もらいたいことあるし」
- 436 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/30(木) 02:57:31.74 ID:???
- アキラの眉が少し顰められた。
「何か困り事?」
恋人の自分に隠すのはなしだ、と言わんばかりに訊いてくる。どうしても恋愛対象としてアキラを見
る事が出来ないヒカルには、重苦しく感じられた。
「大したこっちゃねーよ、サインのことでちょっと、な」
「サイン?悩むほどのことかな?キミの字は短い期間で見違えたし、問題があるようには」
「まだヘッタクソだよ、書道教室もマメに通えてないしな」
「うるさ型の誰かにまた下らないこと腐されたの?」
「例の碁会所だよ、『道玄坂』。おまえが気にしてくれるような深刻なアレじゃないから」
「……そう。ならいいけど」
アキラの表情には『納得がいかない』と書いてある。
『道玄坂』には過去、数えるほどでしかないが連れて行った。その時の店内の雰囲気からどういう遣
り取りがあったか察してくれたようではあるが。
「院生時代にお世話になったからって、あんまり律儀に要求をこなさなくてもいいんじゃないか」
今の多忙を極めるヒカルに余計な手間を掛けさせるな、と言外に客や席亭を非難している。
「まあまあ。多面打ちで持碁とか、プロ試験前に色々経験させてくれた恩もあるしね」
ヒカルは笑いながら、本当に大した事ではないと安心させるように言う。
取り敢えずこの場はアキラも不承不承ではあるが収めてくれた。
棋院会館のロビーでいつまでも機嫌を損ねた顔をしてヒカルと立ち話は目立つからだ。
「あっ……お、お疲れ様です、進藤八段、塔矢七段!」
剣呑な表情のアキラとうっかり目を合わせてしまった院生らしき少年が、慌てて頭を下げる。
「どうした、今日は院生が用事で来る日でもないだろ」
気易く声をかけるヒカルに、まだ小学生と思しき少年は恐縮しきりの様子だった。
同門の先輩である低段棋士に使い走りで呼ばれたらしい彼は、そそくさと早足で去って行った。
「八段、か。キミごときに先を越されるとはね」
「ほざけ」
一瞬、睨むような視線が絡んだ後で軽く微笑みあった。現状で満足などしない、更に上へ行く。
その意志を互いに確認出来れば充分だった。
「年明け、相手は緒方君だね。初めての七番勝負、気負わずやりなさい」
ヒカルの予想通り、塔矢行洋が呼んでくれたのは激励のためだった。
訪問したその日、当の緒方は姿が無かった。地方のイベントで前乗りらしい。
「はい。ありがとうございます」
「アキラから聞いているよ。私に相談があると……来なさい」
アキラを含め塔矢門下の棋士が数人集まって臨時の研究会会場と化した部屋を出るよう促され、ヒカ
ルも行洋に続いて腰を上げた。
「お?対緒方さんの秘策でも授けてもらうつもりか進藤君?オレも聞いとこっかな」
芦原の陽気な声が、背中にぶつかった。
「アハハハ、そうだといいなァ。残念ハズレー」
振り向かずひらひらと手を振って、ヒカルは軽口をいなした。
屋外の雑音や水回りなどの生活音から最も遠ざけられた、静かな書斎に通される。
ここなら門弟たちがいる部屋の喧騒も届きにくい。
「揮毫で悩んでいるとか」
穏やかな切り出しだが、どこか詰問されているようで少しだけ居心地が悪い。
「悩む、と言うほどでは……うまい文言が浮かばないだけで。もしかして大袈裟に伝わってますか」
アキラが針小棒大に報告した可能性は、棋院会館で誘われた日の会話から充分疑えた。
「キミの棋風がだんだん硬直してきているのと、何か関係があるかね?」
思わず背筋が伸びた。この人には、見抜かれてしまっている。直感だった。
- 437 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/30(木) 03:02:32.85 ID:???
- NGワードにひっかかった腹立つ!次1レス分は避難所でつ
- 438 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/04/30(木) 03:05:22.86 ID:???
- 貪婪ヒカルたん「刑事に嘘は言ってねーし、いやホント嘘じゃねーし(鼻ホジ」
…行洋先生の揮毫案、文法間違ってたら例によって俺の頭が悪いせいでつ、元五冠申し訳ない
もう4月も終わりか、早すぎて困る
メイツ諸兄はどのようなGWを満喫しとりまつか?俺は仕事でつ
35歳ヒカルたんはほっぺも腹もプニプニな倉田2号かもしれないな…
25歳ヒカルたん、小畑神がスリムに描いていてくれてほっとした(;´Д`)ハァハァ
- 439 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/30(木) 03:08:15.14 ID:???
- Tシャツからいちごがぷっくりなヒカルたんだと?
今から受領しに伺いますのでよろしく
- 440 名前:名無しさん@ピンキー :2015/04/30(木) 03:14:26.94 ID:???
- 続きキテターー!
奇遇だなメイツよ俺も仕事だ…
ヒカルたんもGWは仕事が忙しそうだから毎晩のお楽しみも暫くお預けかなちくしょう
- 441 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/01(金) 00:12:59.59 ID:???
- 明けて一月。
未知の領域を初めて体験する瞬間が刻一刻と近づいていた。
「進藤。レセプションじゃあカチコチだったじゃないか。アレで明日まともな碁になるのか、ん?」
関係者への挨拶とマイクを持たされてのスピーチから解放され、用意された部屋に戻ろうとしたヒカ
ルに緒方が近づいて声を掛けた。
普段の対局前のような、迂闊に触れれば針礫を食らいかねないギスギスした感じとは違う。
アキラ曰く『対局後も怖い』らしいが、ヒカルには対局後の緒方はそうでもない。相手によって緒方
の態度が違うのか、ヒカルとアキラで受け取り方が違うのか。どうやら前者のようだった。
「なんでオレと一緒に泊まりで仕事するときはいっつも深酒してるかな。緒方先生こそ、そんなで明
日大丈夫なのかよ」
「いつもだと?ただのイベントと三大棋戦の頂点を同列に扱うたぁ、太え野郎だな」
「ホンット、絡み酒だよなァ先生は」
「深酒と言うほど呑んじゃいない。相手がおまえ程度だろうが、大事な一戦の前日に油断はせんよ」
呼気だけでなく、全身に酒精の匂いを纏わせている棋聖は据わった目でヒカルの顔を覗き込んだ。
「まさか、アキラより先におまえが挑戦手合に来るとはな」
「皆さんそうおっしゃいまして」
「相変わらずスーツ姿は七五三だし」
「うるせェよ、ガキっぽいのはオレのせいじゃねェ」
リーグ戦含め、上位で戦う機会が増えれば服装にもTPOが求められる。場に合わせた格好で行けば似
合わないと揶揄されたり貶されたりは茶飯事で、いい加減慣れた。
「おまけに、目上にタメ口利くのも直らん。コレが棋士序列一位を争う相手かと思うと泣けるぜ」
ぴん、と右の人差し指で鼻先を弾かれる。
「わかってんのか?四勝した方が棋聖、全ての棋士の天辺に立つんだぞ」
「イマイチ。序列とか言ったってさ、棋聖だろうが名人だろうが他の棋戦で挑戦者なら下座じゃん」
決められた序列と実際の棋士のしきたりとの乖離がヒカルには釈然としないのだった。
「流石に、昔のバカガキじゃないな。足りなさそうなオツムでよくお勉強したじゃないか」
「勉強しないで来れるほど、タイトル戦がお安いもんじゃないのはわかってるさ」
緒方にも見くびられているのが丸分かりで腹立たしい。
確かに、アキラと比べてヒカルの成績が些か安定感に欠けるのは事実だ。
明日臨まんとするこの七番勝負も、棋聖戦Bリーグを制し、挑戦者決定戦でAリーグ覇者の倉田を下し
た折にはまぐれ扱いされた。倉田が酷い体調不良だったのではないかとまで言われた。
昨年中に三大リーグのうち棋聖を含む二つまで食い込んでも、周囲の評価は辛辣だった。
何故評価が辛いかは解っている。自分では如何ともしがたい要素だ。
容姿を落ち着かせるために髪色を統一するのは時間の無駄だとしか思えず、軽薄で浮ついた印象はメ
ディアによるイメージ操作で周囲が勝手にそう思い込まされているだけ。
実力を差し引いて見られる屈辱は、これまでを上回る実績で跳ね返すほか無い。
ずっとそうして来た。
「……アキラとは、めでたく別れられたのか?」
耳元に顔を寄せて来た緒方が、周囲に聞こえぬよう殆ど息だけで囁く。
思わず、警戒して身が硬くなる。
「随分長いこと無理強いされてたそうじゃないか。アキラが芦原にぴたりと相談しなくなったらしい
から、無事別れたなら良かったじゃないか」
「何のことさ、それ」
骨ばった大きな掌がヒカルの顎を掴み、強引に顔を上向かせる。
「さっきから物欲しそうなツラをしてオレを見てやがったな。小便臭いガキだと思ってたのに、そう
いう性癖だとは恐れいった」
「離してよ」
「アキラを観察してりゃわかる。おまえと切れてなんかない。暇ができれば我が物顔でベタベタして、
見ちゃおれんほどみっともない……で、当のおまえはアキラそっちのけで他の男を物色か」
- 442 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/01(金) 00:15:56.23 ID:???
- 気付かれていた。ヒカルの瞳がじわじわと迫る不安に揺れる。
「なるほど、そんな表情で男を誘うのか。免疫のないアキラが墜ちても責められんな」
ヒカルを見下ろす緒方の顔は酷薄な笑みを浮かべている。眼鏡の奥、色の薄い瞳は笑っていない。
下腹に、じん、と馴染み深い感覚が湧き上がる。
これが対局前夜でなかったら。このまま『お持ち帰り』されても逆らわないかも知れない。
「誘う?そんなのしてない」
「アキラは好みじゃないのか、それとも一人じゃ足りないほど淫乱なのか」
「……淫乱だったら、どうなのさ」
拘束されていた顎を乱暴に振り放され、視界が激しくぶれる。軽い吐き気が込み上げる。
「向こうは現在どう思ってるか知らんが、オレにとっちゃ変わらず大切な弟弟子だ。なんせアイツが
受精卵になる前からの縁だからな」
やっと、緒方の瞳に宿る感情が読み取れた。
怒りだ。
「敵手として脅威であり、一方で塔矢先生を差し置いて親のような気持ちにもなる」
胸倉を掴み上げられ、爪先まで浮きそうになる。
「おまえをこの世界に招き入れた事が、オレの汚点になりそうで残念だよ」
「ぅ、ぐ……くすぶってたアイツを焚きつけるための、ッ、『道具』に暴走された気分はどう?」
また、乱暴に突き放される。呼吸が楽になった喉元を手で庇い、ヒカルは荒い息をついた。
「なんで怒るんだよ、ホントのことじゃん」
「何か変だと気付いてここ一年半ほど静観していたが、おまえに関してアキラは悪化する一方だ。忘
年会の二次会で芦原が垂れ流したクソみたいな話を聞いて、介入しなかったのは間違いだったと後悔
した。このままではいずれ、アキラの打つ碁にも悪影響が及ぶ」
「オレの方から拒否れって?」
「どう出るかはおまえの自由だ、好きにしろ。ただな」
周囲がざわついている。明日対局を控えた棋士ふたりが不穏な雰囲気なのを察した足音が幾つか近づ
いて来る。
「アキラを潰したら、おまえを絶対に許さんから覚悟しておけ」
抑揚無く言い捨て、緒方は踵を返した。
戦前の下馬評に反して、ヒカルは棋聖戦七番勝負で善戦した。
初戦は慣れぬ二日がかりの対局に適応が遅れ中押しで負けたものの、第二局、第三局と連取。最終第
七局を残してイーブンに持ち込み、最後は三目半届かず最年少棋聖を逃した。
ヒカルへの評価を求められた緒方は「分不相応の割には頑張った」と短く答えるに留まった。
黴臭い碁だと緒方に指摘された。洗練が及ばぬと。
────至るに足らず、求むに満たず。道は道に非ずして、此れ則ち迷図の如くなり────
碁会所『道玄坂』に贈った色紙の揮毫。
行洋の言葉を座右の銘にしようと決めた。
出口の無い迷路。藻掻き這いずってでも進み続ける。
ただ只管に距離を踏み、師の碁へ近づかんと手を伸ばす。
もしも、この愚かな身で叶うならば。
師の名を公に刻みたい。
真っ先に望むのは、棋聖でもなく、名人でもなく、他のどの棋戦でもない。
虎次郎が早世して残せなかった名とは違う、あの名を。
たとい横紙破りの号だと非難されても。
自分がその号を称していいと許される日が。
師が再生する記念すべき日だ。
- 443 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/01(金) 00:18:11.83 ID:???
- 避難所の続きでつ
芦原は無罪でつ、一応……酒に呑まれてたんだからノーカンノーカン
で、まあ、次回投下分から本編通りフォールダウン開始でつ
既に書いてる部分だから豪快にすっとばすけどね、そんかしエロ分盛り気味でいきまつ
テストスレに何のSSか特定されないよう規制くらった部分を固有名詞とか抜いて書き込んだら
ちょっと目を離した隙に連投で弄ばれてた…レイポされた気分になったもうやりたくないorz
>>440
大丈夫、自宅が職場な俺が毎晩ヒカルたんをあんあん鳴かせてるから(;´Д`)ハァハァ
- 444 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/01(金) 00:40:01.51 ID:???
- もう五月だよ嫌だよヒカルたんダメ人間な俺を助けてくれ
- 445 名前: 【ぴょん吉】 :2015/05/01(金) 19:17:06.50 ID:???
- 俺とヒカルたんの輝かしい将来を占おうじゃないか
- 446 名前: 【凶】 :2015/05/01(金) 22:09:36.86 ID:???
- ダサイやつは放置だヒカルたん
- 447 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/02(土) 00:48:40.89 ID:???
- GWってなにかなヒカルたん…初めて聞くよ……
- 448 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:39:40.62 ID:???
- <Y・圧壊>
「あぁッ!ぁあぁん!んんッ、ぅふ、んンゥ、んんー!んんんぁアァん!」
アキラの容赦ない責めに、悦ぶ声が止まらない。
背後から奥深いところまで腸内を肉の長刀で蹂躙され、腹の中が臍の上まで連動して快感に戦慄く。
「いやァア!やめてェ!やめてぇえ!こわれるゥ、のうみそこわれちゃうぅううぁ……」
ヒカルの痴態にアキラはますますエキサイトし、腰を掴み直して更に突き入れる。
「イヤぁ!ゆるしてぇ、もぉゆるしてぇえ!うぁン、あゥ、あぁあァ────ッ」
このあられもない媚びた悲鳴が、アキラの大のお気に入りだ。
聞かせてやると実に上機嫌になって、言葉責めが興に乗る。
関係が続くうちにいつしか、アキラは色々と自分で自分に課していたらしい縛めを徐々に解禁してい
った。
今ヒカルを激しく前後に揺さぶり突いて犯しているこの後背位もそうだ。
「いやッ!いや!いやぁ!っ、ふぅ、あぁ!」
「可愛い……突かれて、女の子みたい、に、鳴いてる、キミが、ッ、最高に、かわいいよ、っ」
ぐりぐりと最奥の弱い所をこじられると、体中の穴という穴がだらしなく色々な液を垂れ流す。
緒方は慧眼だった。アキラの独占欲と嫉妬はエスカレートの一途を辿り、ヒカルが誰かに馴れ馴れし
く(ヒカルに言わせればアキラの主観でしかない)肩を抱かれ顔を近づけて親しげに会話するだけで。
溜まりに溜まったフラストレーションがたまの逢瀬の際に炸裂する。
今日もご多分に漏れずだった。
悋気の対象は同じ棋士だったりもするし、テレビ画面越しに見るバラエティの共演者だったりもする。
ヒカルにしてみればどれも取るに足りない、下らない事象でしかないのに。
アキラはそうでないのだ。
「ほかの、誰にも、許してない、だろうね?この、いやらしい、からだ、ッ」
「あァっ」
勢い良くペニスを引き抜き、アキラは快感にひくひくと震える小さめの双丘を両手で割り開いた。
両の人差し指を柔らかくなっている後孔に少し突っ込み、左右に拡げる。
「凄いよ……ボクに擦られて、ナカがみっちり膨らんでイイ色になってる……」
自分の後方で聞こえた、ぬちゃりという粘液質の水音と、同時に襲い来た感覚にヒカルは悲鳴のトー
ンを上げた。
「ッひぁ!イヤ、やめ、やめてッ、ァ────!」
散々、硬い芯を持つ棒に刺激されていたそこを、軟体動物のような熱く濡れたものが這う。
自在に形も硬さも変える舌が、神経が剥き出しになったのと等しいほど敏感にされた場所を責める。
「やっ、ヤダァ、それイヤ、イヤ、イヤぁあ!」
びくびくびく、と膝をついた状態の下肢が震え、粘度の低い透明な涎が性器の先端から蛇口を閉めそ
こねた水道の水のように細く垂れ落ちる。
「はぁ……、キミ、ナカに限らずデリケートな場所を一点集中で責められたら簡単にイクよね」
半月前だったか。極薄のポリエチレンテープを細かく裂いたミニブラシで全身を撫でられた。PCの掃
除に使うごくありふれたものだ。アキラが反応を見ながら感じやすい場所の範囲を絞ってゆき、最後
には特定の一点だけをさわさわとしつこく達くまで責める所為で変な痙攣が止まらなくなった。
「ンッ!」
「こことか」
後ろを弄っていたはずの指先がいつの間にか伸びてきて、触れるか触れないかのタッチで唇をなぞる。
「まだ試してなかったな。キスだけじゃあ、イけそうでイかないっぽいからどうかな」
(そんなこと、ない……なんかいも、かるくイッてる……キス、だけで)
回らない頭で反論するが、口には出さない。
アキラは憶えていないのだろうか。初めてキスをした時の事を。
立てなくなるほどほど体がぐにゃぐにゃになったヒカルを前に、泣きそうな顔でおたついていたのを。
あれを衝撃的な出来事として憶えているのは自分が快楽に弱い体ゆえなのかと思うとやるせない。
- 449 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:41:09.77 ID:???
- あのキスから来月で五年にもなる。
性欲の塊のような時期を過ぎればこの関係も消滅するだろう、そう楽観的に考えていた頃もあった。
否、考えたかった頃もあった。
物事が希望通りに転がるものならば、どれほど人生安易だろうか。
「ンンぅン────ッ!」
上半身に生まれた耐え難いほどに強すぎる甘い痺れが、背中伝いで頭と下半身にまで及ぶ。
楽しそうなアキラの小さな笑い声が項を擽り、追い打ちを掛ける。
「あれ、摘んだだけでイッちゃった。じゃあこうしたら?」
硬く張り詰めた胸の先を両の指先でくりくりと軽く転がされ、顎が上がる。
「も、ダメ、ぇ、げんかい……っ、やめて、ぃや」
「ええ?もう?それは困るよ、夏までキミを抱けないんだろ?今のうちにたっぷり食いだめしなきゃ」
汗の溜まった背骨の窪みを舐め上げられる。感覚の天井にかなり前からぶち当たっていて、これ以上
の刺激が齎すのは快感と同じものであっても苦しいだけだった。
自慰を教えた猿同然に際限なく欲しがる年齢ではなくなった。アキラとの行為でそれを実感する。
どうしようもなく狂おしくなって後ろを自分で慰める頻度も減った。
昔は何か挿れてなければと思っていた乳首での絶頂も、最近は単独で充分だった。
乳首達きに関するアキラの言い分は『感度が上がってより淫奔になっただけ』なのだそうだが。
セックスフレンドである彼を見て『男の肉棒が欲しい』と体が泣き出すのは変わらない。ただ、アキ
ラが満足する前に快楽を受容できる限界がやって来るようになった。そこを越すと辛いだけになる。
「我慢できそうにないからさ、四戦で結果出してよ。もうこの際勝ち負けはどうでもいい」
碁打ちの顔をかなぐり捨て、行為中のアキラは平気でこんな事を口に出す。
それが厭で厭で堪らなかった。
「もうやめて……やめ、ッ」
ガン、と下から体幹を突き抜けて脳天を揺らすような衝撃がヒカルを襲った。
「ぁっ、く!うぅ!」
無意識に声を飲み込み、喉を絞って呻く。
「い、いたぃ、いたいよ、おねが、やめて、つくの、やめ、ぃひぃッ」
一息に奥深くまで突き通された肉の凶器。過敏にひりついた入り口と粘膜は摩擦に耐えられない。
回を重ねるごと、アキラの隠れた嗜虐性が露わになってきている。
最初に酷くされたのはいつだったろうか。
昂らせるだけ昂らせておいて、満たされず熱いままの体を放置して抜きに行ったのがそうだったか。
それとも、本当に最初の最初から。
気持ちが急く余りに無理矢理こじ開けて挿れてくるのではなくて、本人も自覚しているか否か曖昧な
サディズムがそうさせていたのか。
「あ、あ、あぁ、ぃっ、あ、あぁあっ」
「ナカをこんなにとろとろにしときながら、イヤだなんて心にもない」
興奮で早口になっているアキラが言葉で畳み掛ける。
「痛いなんて冗談だろ?美味そうに食ってるよ進藤、キミの下の口は!」
その通りなのが悔しい。受容の限界を超えた快感は、痛覚を経由するとまた享受が可能になる。
苦痛は揺さぶられているうちに解け、内壁は痛みを別の感覚に変換して全身へと送り出す。
意識は体から切り離され、ふわふわと不安定に揺蕩う。アルコールに酩酊するのと似ている、そう気
付いたのは昨年の秋に成人となったからだ。
脳の働きを阻害すると喧伝されているものは碁の敵だと未成年のうちは遠ざけていた。
酒はともかく、煙草についてはどうしても好きになれなかったのが多分にある。こっそり喫っていた
アキラの舌が不味いとキスを拒否していたら、彼が十六歳にして禁煙に成功したのは笑い話だ。
呑むのも付き合いで必要に迫られた時だけ。面白がって浴びるほど呑ませる大人連中は嫌いだった。
(あ、あ、あれ、なんで、酒のこと、なんて、かんがえ……)
こんな風に混濁してくるのも度を越して酔っ払った時と同じだ。
腰奥から大きくせり上がってくるものが喉を衝き、ヒカルは仰け反って甲高い悲鳴を長々と上げた。
- 450 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:42:42.41 ID:???
- 長い夜が漸く終わる。
もう頭の電源を切っていい、と判断出来たのは、腸内でアキラが大きく膨らみ跳ねたから。
これ以上は勘弁して貰いたかった。
ふつりと体の何処かでスイッチが落とされ、視界が真っ暗になった。
「……三ヶ月分も食いだめする気だったのかよ、死ぬっつの」
泊まって昼前までゆっくり寝るのは久しぶりだった。双方二日間丸々オフにするのは至難の業で、同
じ棋院会館での対局日を幸い、先に終わったアキラに碁会所スルーで塔矢邸へと連れ込まれた次第。
「本因坊戦が終わるまでお預けなんて進藤が言うから。いくら初めてでも、七番勝負は棋聖で経験済
みじゃないか。ちょっと入れ込み過ぎだろう」
「棋聖は獲れなかったんだし、あん時以上に気合入れんのは当然だっつの」
尻を庇った変則的な横座りで、ヒカルは目の前の朝食に箸を伸ばす。白米とインスタントの味噌汁、
目玉焼きの手抜きメニューでも無いよりはましだ。
「あんだよ。なに食わずにヒトんこと見てんだ」
アキラの目つきが気に入らない。やに下がって目尻が弛んでいる。
「素面のキミと、感じてる時のキミのね。口調の差が面白いなって」
「うるせェ。あっちはとっとと記憶から消去してその分棋譜の一枚でも詰め込みやがれ」
「あの可愛いキミは、ボクだけのものだよね?今の女の子座りも、なんだか特別感があっていいな」
ヒカルは箸を置き、アキラの浮かれた顔を見据えた。
「あのな塔矢、おまえさ……ムリしてオレん中に『女』を探すこたねェんだぜ」
「無理って」
「ヤっててラリってる時の声が女でカワイイとか、顔のパーツが女だとか、その他もろもろ」
「ごめん、無神経だった。その、外見を気にしてるのは知ってたのに」
「オレの話じゃねーよ」
「え」
「オレを女みてーだと自分に言い聞かせながらヤんのは正直おまえ的にキツイんじゃね?ってこと」
「そんな、違う、ボクは」
「十五、六の頃ならまだ間違えられたりもしてたけど、さすがに最近はねーわ」
「何を言いたいんだ」
アキラの表情が警戒心を滲ませたものになる。
「…………ボクにはキミだけだって、耳にタコができるほど」
「それも自分に言い聞かせてるだけだろ、オレじゃなくて」
「どうしてそんなこと」
「いちいちオレに『女』を見出しながらじゃなきゃヤれないっつのが証拠じゃねーか。おまえは女が
いいんだよ。おまえが認める認めないじゃねェ、『そう』なんだよ」
これ以上アキラを追い詰めるのはいけない。解っているが、言ってやらねばならないとも思った。
「おまえがヤりたいうちは、まあ付き合うけど。ちったァ真面目に先んこと考えた方がいいんじゃね?
オレと違って親父さんの後援会引き継いだり何だりでその辺のしがらみとは無縁じゃいられなくなる
んだし……オレだって所帯持ったおまえと不倫なんざまっぴらだし」
肩をがっと掴まれ、アキラが溢れる激情を隠さぬ顔で睨んでくる。
いい機会なのだ。彼が自分などではなく、真っ当な相手と真っ当な人生を歩む軌道修正の。
二十歳を迎えたアキラに縁談が複数の筋から持ち上がっている、とヒカルに教えたのは緒方だった。
弟弟子についた悪い虫を快く思わない緒方は、その話をする事で「身を引け」と言外に迫ったのだ。
緒方の思惑はどうあれ、ヒカルには朗報だった。
これで安心してアキラを碁打ちとしてだけ見ていられる。余計な雑念が入らなくて済む。
自分たちの間に碁以外の要素など、害でしかないとずっと悩んできたのだ。
ヒカルはヒカルで、体が男を求めるなら後腐れの無い相手を選びたい。面倒は御免被りたい。
そんな都合のいい男が存在するかどうかは甚だ疑問だが。
別段、急いで探さなくてもいい。そんな事よりも来月からの。
- 451 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:44:33.76 ID:???
- 「不倫だって?ありえない、ボクはキミ以外の誰も選ばないと何度言ったら!」
ヒカルの愚考はアキラの憤る声で強制的に絶たれた。掴まれた両の肩に指が食い込んで痛い。
「……わかったよ、もうこの話はやめにしよう」
ただでさえ体調が悪いのに。起き抜けで味を感じない朝食が、この不毛な口論でもっと不味くなる。
かぶり気味に体を寄せているアキラの真っ直ぐな髪が、さらりとヒカルの肩に触れた。
「ずいぶん伸びたじゃん」
「キミが伸ばせと言ったから」
「いや、どっちがいいって訊かれたんで『長い方』つっただけ」
青年期に差し掛かろうとするのに、いつまでも切下げ髪はなかろうと。緒方が預かる形で残った塔矢
行洋門下による研究会で揶揄われたらしかった。二年ほど前の話だ。
そこで、『切る』派と『伸ばす』派に分かれて意見が紛糾したのだとか。
長さは変えずに『今風に調整』派がゼロだったのがヒカルには笑いどころだった。
まめに揃えながら肩甲骨の下辺りまで伸ばされた癖のない艶やかな黒髪は見事だ。
寝癖のつかない髪質は、起き抜けでもボサボサにならない。猫っ毛のヒカルには羨ましい限りである。
アキラの長い髪は、不思議と師を連想させない。
腰の下まであった師の豊かな髪には、柔らかい印象があった所為だろう。
長い方がいいと答えたのも、単にアキラの顔ならその方が似合うと感じたからだ。
端正な容姿。すらりと手足が長く腰の位置が高い。そのプロポーションでは和装が決まり辛いらしい
が、アキラには当て嵌まらない。父親譲りのしっかりした骨格になってきているから、最近はもっと
しっくり来る。スーツ姿は言及するまでもない。
誰にでも解るよう端的に表せば『美しい』。これで女性が色めき立たない方がおかしい。
自分のようにメディアによって大仰に作られた歪な人気とは違う、完全な本物。
だから、虚像に踊らされて『恋人』に近づく者への嫉妬で血圧を上げ、夜を共にするたびヒカルを酷
く苛む彼は滑稽だ。
自分は偽物。ただの器。
千年を経てなお進化し続けた碁打ちの怪物を黄泉路より喚び戻し、現世にまた解き放つためだけの。
違う。
それはあくまで『師の碁のような何か』であって、同じものではない。
彼の人の碁をトレースし、そこへ上乗せするものは自分が解釈し予想した進化形態でしかない。
(でも、それでも)
師の最強を証明するために。師の名を公に残すために。
道が道で非ずとも。
出口の無い迷路であろうとも。
進み続ける。これが彼の人への償い。
「どうしたの、気分悪い?」
また、思考がアキラに遮られる。
「おあずけがツラいから四戦でとっとと終わらせろつったな。見てろ、四連勝で決めてやる」
「……もしそうなったら桑原先生が引退しそうだね、そりゃ」
進藤は記録を追い、塔矢は実績で黙らせる。巷間囁かれている話だ。
ヒカルが棋聖戦で七大タイトル通しての最年少挑戦者となった翌年、アキラは王座と本因坊の挑戦権
を獲った。いずれも敗退したが、ヒカルの記録よりもこちらが評価された。その年、ヒカルは七大タ
イトルの挑戦権にひとつも届かなかったのだ。
今回も同様だろう。ただ挑戦者となっただけでは、桑原からタイトル奪取に成功しただけでは、アキ
ラと並ぶ評価は得られない。
「四戦を超えたら、第五局を待たずに食べちゃうよ」
「その前にメシを食え。冷めてんぞ」
アキラは聞こえない振りをして、ヒカルの唇を吸った。
「ん……ん、ふ」
今日は珍しいふたり揃っての完全オフ。下手をすれば夜まで離して貰えまい。
- 452 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:46:27.36 ID:???
- アキラの妙な拘りに、法則性が見つからない。
正常位とバック、たまに側位といった体位は今後レパートリーが増えてゆくかも知れないので措いて
おくとして。
自分はヒカルの前も後ろも舐め回した口でキスをしてくるくせに、ヒカルの口淫は頑なに断る。
やはり潔癖とは違う事情が存在するようだが、それが何かは判らない。
訊いてみようかとも何度か思ったが、どうにも間抜けなので結局は訊かないままだ。
今日はもう後ろは無理だからとさりげなく誘導してみたが、案の定「口はいい」とにべもなかった。
「う……ぁ、あ、っ、あ」
腫れて痛みも残っているそこへの侵入に、ヒカルは呻きを漏らしながら耐えた。
暫く待てば、適応した体が勝手に快感へと変えてくれる。
それまでの辛抱だ。
「よう小僧、有り金全部賭ける意気込みでこのジジイから毟りに来たようだの?」
現役最年長のタイトルホルダーが、レセプション後に飄々と話し掛けて来た。
この老爺は曲者である。緒方ですら彼の話術にまんまと引っ掛けられた過去があるほど狡猾だ。
まだ関係が険悪ではなかった頃に緒方から逸話を聞かされて、失礼ながら吹き出したのを思い出す。
「有り金、ですか」
「とぼけんでもいい。北斗通信の戸狩だったか、そいつに直訴して先月から七月まで民放のテレビ収
録は全部断っとるらしいじゃないか」
「前の棋聖戦でもそうしたかったんですがね。なんせまだ十代だったんでモノ言えなくて」
老棋士はふぉっ、と独特の笑いで青臭い厭味を一蹴した。
「雑誌の取材も碁と関係の薄いものはお断り。やけにこの本因坊戦にはストイックじゃないかい?」
挑発には乗らない。この妖怪の思う壺だ。
ヒカルがプロになる前から本因坊の座を守り抜いている老人。衰えたりとはいえ、このタイトルひと
つに凝り固まってしがみつけるだけでも常軌を逸している。
「桑原先生。もう永世本因坊の資格は持ってるんだから、いいですよね?」
五連続または通算十期在位、かつ六十歳以上。
この条件を既に満たしている桑原は歴代永世本因坊の末席に名を連ねている。
「実につまらんのう、そんなヒネリのない科白しか吐けんのかい小僧」
「ゴメンね、ボキャ貧なんだ」
「なんだ早々と素に戻っちまった。もっと緊張してくれんと全くもってつまらんわい」
桑原とは何故か、初対局からこんな砕けた感じだ。自分の新初段シリーズを観戦していたと和谷から
聞いた時も不思議だったが、どうしてだかこの老人はやけに好意的に接してくる。
行き過ぎたメディア戦略の所為でヒカルに刺々しい態度を取る棋士が多い中、アキラや身内とも言え
る森下門下の棋士、元院生仲間以外にこういった人物を味方につけられるのは頼もしかった。
これから最長二ヶ月以上に亘って火花を散らす相手ではあるが。
「タレント棋士なんぞ昔からなんぼでもおるのに、小僧も災難じゃの」
「いやあ、さすがにねえ。他にいっぱい人がいる対局場の前で出待ちなんかされたらオレが逆の立場
でも調子乗りやがってコンニャロ迷惑だってブチ切れるわ」
「ま、対局だけで充分食える棋士は囲碁以外で売らんでもええんじゃが。おまえさんは異色さね」
「じいちゃん。やけになごんだ会話してっけど、もしかしてオレんことナメきってる?」
桑原はにたり、と口角の片方を上げて醜悪な笑みを作った。皺と老人斑が不気味さを嵩上げしている。
「気づかんかったらどれだけボンクラかと失望するところじゃったが。ちぃとは楽しめそうかの」
懐からピースの潰れた箱を取り出して一本咥え、火を付けてゆっくりと美味そうに燻らせる。
ヒカルが煙草を苦手と知っての示威行動だ。
「もうハタチじゃろ。一本どうだね」
「うわあ、パワハラだ」
「パワハラってェのはもっとこう、『ワシの煙草が喫えんと言うのか!』て感じじゃろ?ホレ」
吸い口をヒカルに向けて近づけて来る。充分パワハラだ、と思うが、既に前哨戦は始まっているのだ
と気を引き締める方が大事だった。
- 453 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/03(日) 02:48:13.12 ID:???
- 若゛「ヒカルたんは恋人、つか伴侶」
ヒカルたん「若゛は超絶めんどくさいセフレ」
俺「また髪の話してる(AAry」
Eテレの囲碁番組にヒカルたんが対局とか解説とかで出てたらHD画質で録画してBDに焼くわ俺
そんで(;´Д`)ハァハァしまくるわ(;´Д`)ハァハァ
所詮そんな妄想から始まった小説だよ畜生ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
GW?なにそれ新しい録画規格?
- 454 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/04(月) 02:21:36.18 ID:???
- 淫乱なヒカルたんたまらねえ…(;´Д`)ハァハァ
- 455 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/04(月) 03:01:31.43 ID:???
- ヒカルたんが解説してくれてもルールを覚えられる気がしない
なぜならヒカルたんばかり見てしまうからだよ(;´Д`)ハァハァ
- 456 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/05(火) 18:06:23.69 ID:???
- sai成仏日は落ち込んでしまうヒカルたん
- 457 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:41:20.42 ID:???
- 「さて小僧。病に斃れ十五世となれなんだ秀策の境遇に何か思うところでもあるのかな?」
「…………」
桑原の勘は鋭い。聞けば、自分を買っているのは師の存在を第六感で検知したからだと言う。
最初に耳にした時には寒気がした。院生の頃、ほんのいっときすれ違っただけで見抜いただなんてと。
そんな処も人間離れしている。もののけ、あやかしの領域だ。
「来るべくしてこのいくさ場に来たか。さながら怨念でも憑いておるようじゃな」
「怨念も幽霊も、ここには存在しない。いるのはオレだけだよ」
「わかっとる。ワシがこれから真価を問わんとしとるのは生身の若造が打つ生きた碁だよ、進藤君」
自分には価値など塵ほどもない。正しい存在意義を見失うな。
『進藤ヒカルの碁が見たい』と誑かすその口車に乗ってはいけない。
生きた碁か。これから生かすのだ。まだその力が不足しているだけだ。
願わくば明日、頂に届くだけの力を。
強く強くそう念じた。
翌日から行われた第一局。序盤から出来過ぎではないかと思えるほどの碁だった。いつもよりずっと
先の手が読め、思考はどこまでも恐ろしくクリアで、どんな攻め手にも落ち着いて返せた。
桑原の攻めも守りも緩かった訳ではない。相手は八連覇中のタイトルホルダーだ。伊達に頂点でキャ
リアを積んではいないのを実感させられるような厳しくもいやらしい手を次々と繰り出してきた。
緒方がかつて見事に食らった、封じ手に絡めるなどの精神的揺さぶりも桑原は忘れなかった。
しかし、過去最高のコンセントレーションを得たヒカルには、盤上・盤外を問わずどんな困難な局面
も面白いと感じられた。封じ手による一晩の中断を経ても、猫の毛一本分すらヒカルの集中を乱す隙
は生成し得なかった。
掻い潜り、出し抜き、懐深く斬り込む。
いつしか。
左手に握られた扇子から重さが消失する。
周りの音が聞こえなくなる。
石を持つ自分の指に、見えないはずの懐かしくたおやかな指が重なる。
耳元で、心地よい柔らかな声が次に打つべき場所を囁く。
目に映るもの全てから色が無くなり、明と暗の濃淡だけで構成された写真のようになって。
「────────負けました」
桑原の静かな宣言に、遮断されていた感覚が一気に戻ってきた。
懐かしい指も、声も、消え失せていた。けれど、そこに『居た』。
(ああ────おかえり。ずっとこの日を待ってたんだよ)
「……羽田のゲート前まで迎えに来るとか、どんだけだよおまえは」
「だって、棋譜を速報で見せてもらってたら居ても立っても」
いまだ興奮冷めやらぬ様子でそわそわするアキラに、ヒカルは苦笑いした。
「棋院に張り付いてたのか、ヒマだな」
桑原の早い投了で思いがけずその日のうちに南紀白浜空港発の便に乗れてしまい、苦手なホテルとさ
っさとおさらばしてきたらこれだった。
本当はアキラとて暇などではないはず。昨日今日の対局予定や他の仕事はどうしたのやら。
「見事、としか表現できない碁だった……ただ」
「ただ?」
「いや、『秀策』だなあ、と……ん、違うな、秀策じゃない」
アキラは、その名を口にするのを躊躇った。ヒカルがその人物の話をしたがらないので、遠慮のよう
なものがあったのかも知れない。
「とにかく……美しかった。かつて、ボクが体験した感動が蘇ったような気分になれた」
その賛辞に対してヒカルは相槌ひとつ打たなかった。
- 458 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:43:55.75 ID:???
- すぐにあの一局の検討がしたい、とアキラに押し切られ、先の展開は読めていたもののヒカルは同意
した。一旦帰宅すると夕食やら何やらに捕まって遅くなる。そう判断して直行する事を決めた。
「若獅子戦?明日なのか」
五段以下だったなら年齢ギリギリで自分たちにも参加資格があったのに、アキラは既に関心を失って
いた。彼はそういう人間だ。固執するものとそうでないものとの認識の差が著しい。
「あ、そうか。今そっち、新しく弟子とってないもんな。院生にもプロにも出るヤツいないんだ」
「うん。ボクより年下の子はいたにはいたけど、プロになるの諦めちゃったからなあ」
タクシーの車内で少しうつらうつらしながらの会話。二日間に及ぶ極度の集中が解けた反動なのか、
やたらと眠かった。
「眠い?進藤」
「ん……着いたらコーヒーでもくれよ。激シブの日本茶のがいいかな。でさ、明日なんだけど」
「和谷君とこの研究会に来てる子が出るんだっけ?」
「何人だっけか、院生の方は入れ替わり激しいから把握してねェや、でも、まあ、ふぁあ……、うん」
「適当だなあ、顔知ってる子はいるの?」
「いるよ、だいぶ前にやっぱ若獅子戦でオレと当たったヤツなんかは院生だけど古株だな」
「キミと当たっててまだ院生って、それもう五年も前にならないか?」
「ハハ、そいつのダチで同い年のヤツが今年プロんなったから焦ってる焦ってる」
その新初段が同じく五年前、アキラと当たったのだとは言わなかった。彼は興味も無いだろうし。
「ボクも行こうかな」
珍しいこともあるものだ。ついさっきまで若獅子戦など忘れていたくせに。
「初心忘るべからず、てね。驕った心を戒めるのにはうってつけだ」
殊勝な事をほざいてはいるが、本音は訊くまでもない。
要はヒカルに『ちょっかいを出してくる』不届き者の監視がしたいのだ。
塔矢邸に着いてすぐ、置いてあった自分用のスウェットに着替えた。この家に来ればほぼ必ず泊まり
になるので、直接他所に出掛ける時などに備え何着か服を持ち込んでいるのだ。
リクエスト通り濃すぎるほどの緑茶に軽い食事も持って来たアキラと、早速今回の一局を並べ始める。
熱の入った検討にはなったが、やはりヒカルの睡魔は如何ともし難い。欠伸ばかり出てしまう。
「うぅー……でもこんな時間にカフェイン摂ると、なんか睡眠リズム狂いそうでヤだなあ……」
伸びでもして眠気を覚まそうと立ち上がりかけてふらつき、アキラが間一髪抱きとめた。
明確な意図を持って胸を撫でてこようとするその手を、ヒカルは無意識のうちに払いのけていた。
「あ、ごめ」
「……こっちこそ、済まない。お預けってきつく言われてたのに、こんなことして」
「いや……ワリィ。ゴメンな、したかったんだよな」
平常心を装って取り繕う。初めて本気で、意識もせず反射的にアキラを拒んだ。
落ち込んだ表情のアキラよりも恐らく、拒んだヒカルの方がその事実にショックを受けていた。
検討は長引き、結局就寝したのは午前四時あたりになってしまった。
目が覚めたらもう十時前で、慌てて身繕いをしてアキラが門前まで呼んだタクシーに飛び乗った。
眠っている間にアキラが何かをした形跡は一切なく、ほっとした事にごく微量の嫌悪感を覚えた。
布団も別々にして貰った。本因坊戦が終わるまでの間は、穢れた肉欲を一切持ち込みたくなかった。
自分自身に六年かけてこびりついた穢れなど、その場凌ぎの潔斎で綺麗になるものでもなかろうに。
あの指が、自分の指を導いた。
あの声が、正しく打つべき場所を示した。
第一局での体験を思い出すだけで全身が痺れ、喘ぎを零して甘い熱にゆるゆると融けそうになる恍惚。
それをアキラに横から邪魔されたくない、と認めるのが厭なだけではないか。何が潔斎だ。
最低な人間だ、と己を蔑んだ。
どうせ、本因坊戦が終われば前と変わらず被害者面をしてアキラをまた性欲処理に使うくせに。
- 459 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:46:29.43 ID:???
- 到着する頃にはもう、一回戦はほぼ終了していた。勝ち残た院生はひとりしかおらず、和谷四段率い
る『十四年会』の精鋭は若手プロ相手に総勢討ち死にという惨状だった。
プロで参加している十四年会メンバーはヒカルよりひとつ歳下の越智だけで、こちらは余裕の勝利。
越智に負けた院生はつい先月から十四年会に来始めた中学生だ。ヒカルが指導碁で初めて会った時と
変わらず頭痛に悩まされているようだった。これが持病なら実力が発揮し辛くて可哀想だな、と同情
してしまう。
本因坊戦のスケジュール的に観戦は間に合わないと諦めていた小学生の院生が、二回戦終了後にでも
自分が一回戦で打った碁を見て欲しいと目を輝かせて願い出てくる。
アキラと両方で、などと子供特有の欲張りでもって周囲を笑わせたが、アキラが快諾したので希望を
叶えてやることにした。
(……やめてくれ)
椅子を譲る態で背後に立ち、密着して横から口を出すのに託けてあちこちに触れるのは。
他人には判らぬようにしながら殊更性感を煽るような触り方に、感じるより先に苛立ちが募る。
今日はそんな気分じゃない。あの幸福な感覚が吹き流されて消えてしまう。
だがここで関係が露呈するような失言をしてしまったら。その怯えがアキラの増長を許す結果となっ
た。それが後に何を招くかなど、この時のヒカルには知る由もない。
この瞬間。この場に。『誰』が『居る』かなど、感じ取れるはずも無かったのだから。
「似合わんのう」
唐突に指摘され、何の事か解らず自分の身なりを見回した。
スーツが似合わないのは今更だ。改めて言われるようなものでもなかろうに。
六月十八日、本因坊戦第四局。初日はヒカルの封じ手で終えた。桑原に誘われ、本来なら断りたいと
ころだが何となく断れず老人の部屋で関係者数人と食事を共にしている最中だった。集中状態がなだ
らかに継続している所為でさほど食欲は湧かないが、温泉旅館自慢の福島牛の膳は美味だった。
「似合わないって、なにが」
桑原は自分の左手を上げ、行儀悪くも右手に持った箸で手首の辺りを指した。
「ん?ああ、コレか」
ヒカルは汁椀を置き、空になった左手を老爺と同じように目の高さまで上げた。
「またゴッツイのう。今時の若者のくせにトータルコーディネートってェヤツを考えんのかい」
「じいちゃん、ホント横文字に強いよねトシのわりに」
「知識欲旺盛でなけりゃあ、こんなジジイになるまで碁打ちはやっとれんよ」
「そんなもんかなァ、なんかじいちゃんのは違う気がする」
左手首に嵌めた腕時計。確かに今日着ている明るめのグレースーツには合わないと自分でも思うし、
そもそも細い手首には盤面が大きすぎるように見えるほど厳つい。
威圧的な黒のダイバーズウォッチ。欲しいと思いながら買うのを躊躇っていた品。
「第一局からずっと目についてしょうがない。ワシの気を散らす作戦か?」
悪戯っぽい口調が本気でそう言っているのではないと語る。
「そんなんじゃないよ。ゲン担ぎなんだ」
「ほう?」
老棋士の目が興味深そうに細められる。
「棋聖リーグで勝ち抜けた時。コレしてない時に限って負けたんだよね、そんで」
「しとっても負ける時は負けるじゃろ」
「まあそうなんだけどさ。緒方先生との七番勝負の時、さすがに遠慮してつけてかなかったら負け越
すし。ないよりあった方が勝率高いのはホントの話」
「ご利益頼みかい進藤君」
出版部の古瀬村が口を挟んできた。こちらは対局者と違って酒を控える必要も無く、少し入ってご機
嫌になっている。相変わらず空気を読まない男だ、とヒカルは苦笑いを隠せなかった。
「しかし、桑原先生にそんな口の利き方して笑って許してもらえるのはキミぐらいだねェ」
立会のベテラン棋士が厭味めいた事を言う。
- 460 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:50:02.42 ID:???
- 「なに、他の連中が勝手に畏まるだけじゃよ。緒方君なんぞ、面と向かって『ジジイ』とほざきよっ
た。小僧の物言いごとき、ヒヨコがピーピー鳴いとるのと同じさ」
その雛に、八連続在位中のタイトルホルダーが崖っぷちへと追い込まれている。
過去三戦はヒカルの全勝。この第四局は桑原優勢で運んではいるが、大した優位でもない。
第一局のような、師が『降りてくる』体験は今のところ再現されていなかった。
あの感覚を求めるほど遠ざかる、それが前の二戦だった。今日も同様だ。
それでもあの第一局以降、大脳を覆っていた薄皮のようなものが剥がされたような感じはある。
新品の家電製品やPCを箱から出し、壊れ易い部分を保護するフィルムやテープを剥がすのにも似た。
「進藤君が好きそうな時計ではあるよねェ。いつ買ったの」
話を強引に戻した古瀬村が訊く。ヒカルへの助け舟でも何でもなく、ただ自分が知りたいだけだ。
「もらったんですよ」
「へー、誰に」
「教えたらご利益が減るから教えません」
盛大にそっち方面の誤解でも何でもしておけばいい。
囃し立てる古瀬村の邪推は完全に外れでもないが、貰った相手が知れたら面倒になりそうだ。
十七歳の誕生日にアキラから贈られた時計。
いつだか、通りががった先のショーウィンドウで「いいなあ」と呟いたのを聞かれていた。
実際に嵌めてみたら予想以上に自分には厳つ過ぎて似合わず、暫くお蔵にしていたものだった。
「気に入らないのか」とアキラがしょぼくれた顔をしたので、翌年の棋聖リーグが始まる少し前から
身に着けだしたのだ。取っ掛かりは大した事ではなかった。うざったい追求を躱すためだけだった。
何とはなしに、薄っすら罪悪感のようなものが胸中に澱みはする。
ただ確率的に嵌めていた方が勝てそうだと言うだけで。
別に彼を想って身に着けている訳ではないからだ。
ヒカルの方から彼に何か贈った事は一度も無い。毎年貰いっぱなしでいる。
時計が失敗だとアキラは気にしたのか、翌年の誕生日からは食べ物ばかり贈るようになった。お陰で
ケーキの種類に妙に詳しくなった。
(いけない、今は塔矢のことなんか)
変な罪悪感などで頭の働きを曇らせている場合ではない。
明日は劣勢を巻き返さなくてはならないのだ。
案の定、昨夜の雑念の所為で二日目はうまく始動出来なかった。そこに桑原はどんどん付け込んでく
る。盤面は更に悪くなり、死に石が増えてゆく。
(焦るな……これ以上断点を作らせるな)
こんな局面が前にもあった。焦れば焦るほど状況は悪化し、崩れたところに容赦なく攻め込まれ、石
は無残に分断された。十五歳の頃、森下との一局だ。
(あんな無様な碁は二度と打たない!)
今どこで誰と、何を賭けて戦っている。
いいや、そんなものは瑣末。目の前の盤と石、それだけが総て。
読める限り読んで、更にもっとその先へ石を置け。師に教わった通り、斬られる事を怖れるな。
粘れ。粘れ。最後まで食らいつけ。それだけが辛うじて取り柄と呼べるものじゃないか。
細か過ぎるほどの碁は、整地が終わるまで勝敗が見えなかった。
「……ワシとしたことが。油断して半目足りんかったか」
勝てると踏んだ碁を落とした桑原が、ぽつりとそう零した瞬間。
視界が波打って歪んだ。頬を何かが転がって落ちた。
これ以上転がり落ちないように、仰のいて両手で顔を覆った。
「やれやれ。泣くほど欲しかったのかい……小僧」
新入段から数えて六年二ヶ月。二十歳九ヶ月となる一日前。
七大タイトルにおいて、二重に記録を更新するタイトルホルダーの誕生だった。
- 461 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:53:11.89 ID:???
- ヒカルたん「若゛うぜェ、テメーのせいで負けるとこだったじゃねーか」
ヒカルたんの最年少記録は井山君がいない世界を想定しとりまつのでハイ…毎度済まぬ
いてもヒカルたんの方が先(2007年)なはずだったような気がするようなしないような
今年のプロ入り最速新十段君とか、今年の話でつから、でつから…
佐為成仏の日に、突き落とす直前の幸せなヒカルたんを投下してしまう(;´Д`)ハァハァ
ちょっと色々不穏なのが混じってるけど(゚ε゚)キニシナイ!!
- 462 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/05(火) 23:55:30.06 ID:???
- ×勝ち残た→○勝ち残った
また恒例、何故何度もやらかすのか…俺が粗忽だから
- 463 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/07(木) 00:03:14.70 ID:???
- ヒカルたーん(;´Д`)ハァハァ
- 464 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/07(木) 00:38:48.64 ID:???
- 〃ヾ▼
ナンダ? (゚▽゚ )
- 465 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/07(木) 21:54:24.41 ID:???
- >>464
アアアアアアヒカルたんだヒカルたんだ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
ラーメンあげるからこっちにおいで(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 466 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/07(木) 21:55:07.22 ID:???
- 仕事終わりにヒカルたん
- 467 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/08(金) 21:37:33.75 ID:???
- 『出来の悪い秀策の劣化コピー。いくら必死に成り代わろうと頑張っても無駄。あんたの変な癖がど
うしても出てしまって台無し。秀策を現代に蘇らせて更に成長させるって縛りプレイはみっともない』
────────秀策その人に言われちゃあ、どうしようもないな。
『あんたの六年は、丸ごとただの虚しいオナニーだったってわけです』
────────ああ、そうだな。異論はないよ。
『崇め奉るお師匠が眼の色変えて、塔矢にあんたの処女食われたつって。そりゃもうえらい怒りよう』
────────何回聞いても、悪い冗談にしか思えない。
『あんたってさ、自己評価超ひっくいくせに死ぬほど欲深い、つか潔くないよね』
「……そうなのかな」
「そうですよ。自分のせいでお師匠が消えたのを悔やんでも悔やみきれなかったなら、すっぱり引退
を届け出て足洗っちゃえばよかったんです。それを」
ぐだぐだと二ヶ月半も決めかねて、結局は碁の世界に戻ってしまった。
「お師匠をダシにして、自分が打ちたいのを美談っぽく正当化してまでしがみつくとか。ホンット見
苦しいよなあ、笑っちゃう」
頭の中でオレがずっと泣き喚いてるんだ、ってそいつは言う。
六年前、十四歳のオレが。
あの後悔は嘘じゃなかったんだ。全部打たせてやればと心の底から。
だからそうしようと決めて、オレの中にいるおまえにいつか必ず打たせてやろうって、それで。
それで?
もう何をどうしたらいいのかわからない。六年かけて築いた砂の楼閣は瞬く間に潰れて壊れた。
打つ意味も見失った。
だって。
────────『本人』がここにいる。
ねえなんで?オレは生きてるのに、どうしておまえみたいにオレが他人に取り憑いてんの?
なんでオレがおまえと一緒にそいつといるの?声だけ?それどういうこと?
そいつの中にいるのがホントのオレなら、今ここでこうしてるオレは何?誰?
足下の脆い地面が崩れ、奈落へと垂直に果てしなく堕ちてゆく。
上も下も、右も左も。前も後ろも。どっちがどっちなのか、どこを向いても真っ暗で何の標も無い。
オレはこれからどうすべきなのか。偽って打ってきた碁をおまえに返して消えるべきなのか。
それとも、偽り通して打ち続けるべきなのか。
両方のいいとこ取りをしろとヤツは言う。それでおまえに償えるのだろうか。本当に?
声だけで姿がないんだって?ならそのオレをおまえは抱きたくても抱けないんだな。
生きたオレをおまえに抱かせてやりたくても、そいつはおまえに体を貸してはくれない。
生きたオレがおまえに抱かれたくても、そいつの体では抱かれたくない。
『キミだけを愛してる。キミ以外と体を繋げる気はない』
ふふ。あはは。はははは。あははははは。塔矢、ねえ、塔矢、オレがぶっ壊れるまで抱き潰してよ。
愛してなんかないけど。アハハハ……────────。
- 468 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/08(金) 21:39:33.29 ID:???
- <Z・受罰>
「よォ進藤、今日は電車か?まあいいや次の日曜空けとけよ」
市ヶ谷駅から森下研究会に出るため棋院会館へと向かう道すがら、がっと背後から和谷が肩を組んで
きた。今日は愛車が定期点検整備で使えないので、ヒカルは久々に電車を使ったのだった。
車検でないのだから自分でチェックシートを入手して点検すればいいのだが、時間が惜しいとディー
ラーに丸投げした。
「ちょっと待てコラ。なんで簡単に予定空けられるの前提なんだ」
「だっておまえ、この土曜は十四年会来れるんだろ?なら次の日は高確率で空いてるってこった」
「どんな理屈だよ。つか日曜は書道展に出す臨書を」
「あ?またアレか?ちっさい場所で教室の有段者は全員参加ってヤツ」
「そりゃそうさ。公募展とかに出品するほどヒマじゃねェし実力もねェ」
「ミミズがのたくったような字ィ書いて平気なツラしてたおまえがなァ。例によってまた秀策か」
「字のことで和谷にとやかく言われたかないね」
秀策か、の問いには答えなかった。それが則ち回答だとの暗黙の了解。
昨年に販売部から扇子の揮毫をと依頼された時、秀策の書にしようかとも迷った。
考えるほどに僭越だと思えてきてならなかったので臨書にするのはやめた。
結局、塔矢行洋が初めての挑戦手合前に贈ってくれた即興の言葉を扇子用に書いた。
今のヒカルは迷図を彷徨う力すら脚に無く、醜く這いつくばって何処にも進めていないのだが。
車を使いだした効用なのか、身構えていたほど駅からの道中に遠巻きのギャラリーはいなかった。
まあ、棋院会館前には小集団が待ち構えているのだろうけれど、それでも一時期の対局室前にまで出
待ち勢が押しかけるほどの過熱ぶりに比べれば随分落ち着いた。
弁えない連中を全て排除するのは現状不可能であっても、ましなのは確かだ。
書道教室にも迷惑は掛けられないので、必要最低限の接触に留めている。
幼い頃強制的に通わされていた近所の教室(すぐに辞めた)なので、主宰の師範とは昔から顔馴染み
ではあるし、仕事の予定に合わせた変則的な指導を依頼しても多少ではあるが対応して貰えた。
別に書道の段位など必要とも思わなかったが、隙あらば揚げ足を取りたがる喧しい連中を黙らせるの
にはそこそこ役立ったので時間の許す限り昇段試験は受けた。段位が上がることによる弊害とのバラ
ンスを鑑み、最近は教室の師範からの薦めも袖にしている。
書の仕事にまで手を広げるほど経済的に困ってはいない。ヒカルが書を学んでいるのは、可能な限り
秀策をトレースするための一環でしかない。
『今』となっては意味のある事ではなかろうが、かと言って擬態をやめるきっかけが掴めない。
「そんで日曜がなんだよ、って、あー……」
渋面を作ったヒカルに、肩を組んだまま和谷が顔を覗き込むようにしてにやりと笑った。
「ご名答」
「もうゲテモノ食わされんのはヤだぜ。何が悲しくて地方行った時にわざわざ虫系だのグロいの買っ
てきて自分で食わなきゃなんねーんだよ。しかも動画で公開処刑とか」
「喜べ。今回の優勝報酬は寿司だ。ナニで戦うかはまだ決めてないけど」
「ほほう?」
「やっとメシが食えるようになった祝いだ。勝ち抜いて遠慮なく受け取るがいい」
一応、和谷なりの気遣いのつもりなのだ。趣味の動画でおもちゃにされるのは敵わないけれど。
今年の本因坊戦、初めての防衛がかかった七番勝負。始まる少し前から口が食べ物を受け付けなくな
った。症状は酷くなるばかりで、第一局に突入する頃には水にすら吐き気を催すようになっていた。
初めての防衛戦にナーバスになり過ぎとの批判がぶつけられた。昨年、桑原からストレートで奪取し
たのは北斗通信が退き際の演出を模索していた老人と共謀したプロレスで、次の相手が買収のきかな
い塔矢アキラ王座・十段だから怖気づいているだの、詐病で話題作りしたいだけだのと言いたい放題
の中傷をゴシップ紙に書き立てられた。
棋院と北斗通信システム側は事実無根と一蹴し、自身の引退をネタにされた桑原は笑い飛ばしたが。
ヒカルは反論せず沈黙を守った。
これは罰なのだ。甘んじて受けるべき、盗人に相応しい罰。
- 469 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/08(金) 21:41:34.21 ID:???
- 「和谷くっそあちィ。ひっつくな」
八月の陽射しが容赦なくアスファルトに照り返して足元からも灼けつく熱が這い登る。
肩に廻された和谷の腕が汗ばんでいて、それがひんやりと心地よく感じられるほど外気が熱い。
半袖から剥き出しの和谷の肌が項と右の二の腕に直接触れている。
鼻腔を刺激する汗の匂い。アキラとは違う男の体臭。アキラより濃い目の腕の体毛。
(……バカじゃね、オレ)
あの夜の事はあれで終わりにしたはずだ。酒の上でのハプニング。
去年、本因坊位初奪取の祝いで悪酔いして潰れたヒカルが和谷の部屋で介抱されていた最中の事故。
朝起きて、『記憶に無いから何を謝っているのかさっぱりだ』と嘘を吐いて有耶無耶にした。
肌を這う和谷の唇。アキラの残した痕に執拗に吸い付き、繰り返し噛まれた時の逆らい難く甘い感覚。
挿れて貰えなかったのが惜しいと、思い返せば埋み火が燃え上がりそうになるほどの疼き。
そうだ。あれから何日もしないうちに、今いる地獄に叩き落とされた。
まるであの夜の事が予兆のようだと思えた。
多分、和谷を誑し込んで関係を結ぶのはそう難しくない。肉棒と直腸の相性も悪くないのではないか。
ここがこの世の地獄なら、自分が何をしてもしなくても居るだけで罰せられる世界なら。
構わないじゃないか、つまみ食いのひとつやふたつ。
今日の研究会が終わったら何処かに連れ込んで頂いてしまおうか。それとも彼の部屋へ押しかけよう
か。邪な考えが頭を擡げるのを、和谷の腕と一緒に振り払う。
「えい!もう、あちィつってんだろ!」
犯し尽くしてくれる相手ならば、ヒカルにとっては特にアキラでなくとも誰でも同じ。
何なら、十六歳の夏にヒカルを戯れで弄ぼうとした連中でも今だったら歓迎出来そうだ。
人数が把握出来ないほどの大勢に群がられて乱暴に嬲られる。想像したら思いのほか興奮する。
それほどまでに飢えていて、それほどまでに傷付けられたかった。
この世の総ては、ヒカルを罰するために存在する。
そして、罰せられるべき罪人であるヒカルがここに居る。
いっときの快楽を得て、その罪により罰を加算させられたい。
救われなくていい。救いなど要らない。
「ぶっはー、すずしー!」
棋院会館のエントランスに到着し、ロビーに足を踏み入れた和谷が大仰に冷房の有り難みを賞賛する。
「和谷」
エレベーター前で扉が開くのを待つ間に、ヒカルは口を開いた。
「気ィ遣ってくれてありがとな、あれはあれでガス抜きになってる」
ふざけた動画は観る側にしてみればバラエティ番組と何が違うのかと思うだろう。だが、自由に発言
しているように見えても、裏で誰に足元を掬われるか知れないからマスコミ界隈では言葉を慎重に選
んでいる。あの窮屈な世界は存外息が詰まるのだ。
反して、気の置けない連中だけで構成された和谷の動画では言いたい放題言える。危ない部分は和谷
がピー音を入れて隠してくれる。
それでも、全てを曝け出している訳ではない。言えない事も、言いたくない事も山ほどある。
ただそれを和谷に伝える必要はない。それはヒカル独りで抱えねばならない事。
独りで耐えなくてはならぬ事。
それでなくては罰が甘すぎる。救いや抜け道が目の前にあっても縋る事は許されない。
来たるべきその日まで、決意と秘密は誰にも明かしてはならないのだ。
「オレは再生数がっぽりでウハウハを狙ってるだけだから」
照れ隠しに捻くれた返事をするその顔に手を伸ばし、頬に触れる。
「お礼にキスしてやろう。近う寄れ」
地獄で罪人を管理する鬼は、人間を使った碁の打ち手としても非凡なのだと知る。
エレベーターの中に、塔矢アキラという石を仕込んでいるのだから。
最悪のタイミングで扉が開き、目の前の光景にアキラは表情を凍りつかせた。
- 470 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/08(金) 21:44:27.04 ID:???
- 『日記』のヒカルたんの可憐さが眩しすぎて、俺は自分が穢れきっていると思ったorz
『制服処女』のヒカルたんで抜き抜きして、俺は自分が穢れきっていると思った(;´Д`)ハァハァ
何故俺の書くヒカルたんはこんなにアグレッシブな肉食すけべっこなんだろう
>>464
うおおヒカルたん!ぺろぺろさせてヒカルたん!(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 471 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/09(土) 17:25:35.70 ID:???
- ヒカルたんAA懐かしす
また遊びに来てくれなヒカルたん
- 472 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/10(日) 17:54:02.20 ID:???
- ヒカルたんに近う寄れって言われたい
- 473 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/10(日) 20:49:31.00 ID:???
- レイプ目で絶望しきってるヒカルたんに連れ込まれて頂かれたい(;´Д`)ハァハァ
- 474 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/11(月) 01:38:20.25 ID:???
- ヒカルたんの御御足をさわさわしたい(;´Д`)ハァハァ
- 475 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/11(月) 01:39:22.26 ID:???
- ヒカルたんはどうしてこう魅力的で俺たちのハートを掴んで離さないんだろうな・・・
- 476 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/11(月) 01:51:09.61 ID:???
- 俺はヒカルたんの奴隷として生きていく(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 477 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:38:39.94 ID:???
- アキラには洒落など一切通じない。
どれだけ言葉を尽くしてただの冗談だと釈明しても、怒りの矛を収めはしないと判りきっている。
「これはこれは塔矢先生。ごきげんよう?」
ならば逆に挑発してやろう。
「……仮にもプロ棋士が一般の方もいる場所で破廉恥行為に及ぶのは如何なものかと、進藤先生」
静かではあるが、聞く者が聞けば完全に頭に来ていると判る口調だ。
「拙めなど、もとより人様からご批判ばかり頂戴する浅薄者ゆえ。見苦しいものをひとつ追加でお見
せしたところで『またか』で済みますからご心配は無用に存じますぅ」
持って回った物言いをただでさえ嫌うアキラが不愉快の極みにいるのを逆撫でするように。
彼の大嫌いな小賢しい言い回しで更に煽る。あの少年に毒されたのかも知れなかった。
「これから研究会か」
「そうですが何か」
「いつ終わる」
そら来た。終わったら家に来いと言う婉曲な命令。逆らいませんよ、お伺いしますとも。
「さあね」
和谷の腕を引っ張って、エレベーターにさっさと乗り込む。
「上に参りますけど、塔矢先生は降りなくてよろしいんですか?」
ヒカルを射殺しそうな眼光で睨み付けた後、長い黒髪を翻してアキラはエレベーターから出た。
「おい塔矢!今のは冗……」
大股で歩み去るその背中に和谷が慌てて声をかけようとしたが、閉まる扉に途中で遮られた。
「うわっちゃあ……進藤あのなあ、おまえ」
途方に暮れた顔で和谷が閉まったエレベーターの扉を見やる。
「なんだよ。未遂で残念だった?」
「バカ言ってんじゃねェ。人目があんだからさ、冗談でも滅多なことすんなよ」
「……あのさ、和谷」
「ンだよ」
「秋に始まる王座戦。塔矢から絶対かっさらってやっからよ、そん時は大間のマグロで頼むぜ」
「進藤おまえ、そーゆーのは挑戦者に決まってから言えよ」
本戦決勝には進出しているが、まだ挑戦者となってはいない。たったひとつの椅子を争う相手は倉田
だ。強敵。だが負けてどうする。弱くてどうする。
師はこの現代において負け知らずであったのだ。最強を真似ようとした身で敗北してどうする。
間違いで憑坐となったのであれど、師の碁を標榜する以上はその誉れを汚してはならない。
断じてならないのだ。
「おまえ、確か天元の挑戦権も射程距離内だったよな」
本戦も五番勝負も期間がほぼ重なっているふたつの棋戦で、ヒカルはいずれも挑戦権まであと一勝と
迫っていた。
「見てろ、今年は三冠だ」
「へーへー。今度はプレッシャーでメシ食えないようになったりすんなよ」
あれは本因坊戦限定だと思う。根拠は無いが、そんな気がする。
他の棋戦に対しても勿論、勝ちへの重圧はある。だが、本因坊戦はヒカルにとって『特別』なのだ。
恐らく来年以降の防衛戦も同じ症状に襲われるだろう。目標を達成し、解放されるその日まで。
ヒカルの肉体は毎年、端午の節句が近づくと悲鳴を上げる。確信に近かった。
「いや……ッ、あ……!」
淫らな手と舌で限界まで追い上げられた体が、止めを欲しがって咽び泣く。
弥生三月。
家屋においては何処よりも音が響く風呂場。温かな湯気が浴槽から立ち昇ってはいるものの、まだ春
浅い時期なので全裸では湯そのものに触れないと冷える。だが、今は湯に頼らずとも体が燃え立つよ
うに熱い。
- 478 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:40:11.41 ID:???
- 総檜造りの空間は俗世から切り離されたような清冽な薫りに充ちている。
手入れが大変だろうに、とこれまた俗な考えが頭を掠めたが、すぐに流されてしまった。
板張りの壁に向かって立たされ、先刻から背面ばかり責められている。
腿の裏から尻の小山までを何度も撫で上げるアキラの手。腰の括れを曲線に添って這う唇。
「く、ぅ……はぁ」
「どう?そろそろ、もう我慢がきかなくなってるんじゃない?」
独特の芳香を漂わす板壁についた手に力が籠り、爪が木肌を引っ掻く。
「やめてくれないか。両親が帰国した時に何をしてついた傷だと追求される」
おまえがここまで焦らすからいけないんだ。早く、早く……。
決して内腿からその奥には来ない愛撫。肝腎な場所に触れてこない指と舌。燻られるだけで火を着け
て貰えないもどかしさがヒカルの身を悩ましくくねらせる。
アキラの企みは読めている。けれど、従えない。
「さあ、意地を張ってないで楽になりなよ……ホラ、これだろ?」
「っ、く」
尻たぶに押し当てられたのは火傷しそうなほど熱く張り詰めた欲望の塊。
背中へのキスがしつこいまでに繰り返され、ヒカルに降参を促す。
「あんまり頑固だと……そうだなあ」
「いっ!あ、やめ、ぃぎ」
いきなりの痛覚にたまらず声が大きくなる。
「ねえ進藤、これマズいよね?ちゃんと正直にならないと、どんどん増えるよ」
背中にアキラの爪が片手分がっちりと食い込み、掻き毟らんとじわじわ力が込められる。
確かにまずい。だって明日は。
「傷だらけの背中を見られちゃったら困るよねえ。スタイリストの人とかに」
明日は雑誌のインタビューとそれに付随するグラビア撮影だ。普段着か対局時のスーツでいいとヒカ
ルはいつも言うのに、その希望が聞き入れられた試しが無い。毎度毎度、浮ついているとの謗りを助
長するような媚びた服を着せられ、媚びた表情を要求される。
今回は女性誌なので尚更その傾向が強い。
「あれね、キミのグラビア。本人が傍にいない時、抜くのに使うの重宝なんだよ」
「ぁう……!」
ぎり、と食い込んだ爪が肌を少し食い破る。
「アップの写真に艶っぽいのが多くてさ……カメラマン何考えて撮ってるんだと思わないでもないけ
ど。大抵どれも、実物より女の子みたいに撮れてるし。ああ、キミがイヤがること言っちゃってごめ
んね?もう二十二だもんね、気に障るよね」
態とらしい謝罪の言葉。厭がらせたくて言っているのだ。
「どうなんだろう。ボクの爪の痕とキスマークだらけで撮られるキミの写真。ボクとしては永久保存
版の逸品になること請け合いなんだけど」
公に出る史上最年少四冠の写真がそんな卑猥な代物だなんて想像しただけでもぞっとする。
去年の夏の和谷への宣言通りアキラから王座を奪い、ほぼ同時期に天元位も獲得した。
その勢いに乗る形で、続けてこの冬には芹澤から棋聖の座ももぎ獲った。
これで漸く、記録先行や病気アピールが派手なだけとの中傷は減った。
アキラはそんな無根拠な批判が為されるたびに正論をもって反駁してくれていたが、人の口に戸は立
てられぬのだから詮方無き事だった。
「まあ、化粧や照明なんかでうまく隠すんだろうけど。でもその隠してくれる人が何て思うかな」
爪が背中の下方へとじりじり動こうとする。その痛みが甘い感覚を引き出し、ヒカルを悶えさせる。
「あぁ……」
掠れた媚声がだらしなく喉から漏れる。
「言いなよ。具体的に、どこに何をどうして欲しいって、言葉だけでなく示してよ」
「ああぅああぁ!」
背の薄い肉を鷲掴みにしている右手と反対の手の爪が、躊躇いなく項から尾骨まで一気に掻き毟って
いった。感度が最高になった肌へのその刺激にびくびくとヒカルの全身が痙攣する。
- 479 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:41:36.91 ID:???
- 「さあ教えて。誰彼構わず色目を使うほど節操がないこの体のどこに、何が欲しいかちゃんと」
「してなぃ……そんなの、してない」
「見え透いた嘘を。最近のキミのはしたなさは目に余るよ」
いつもとご同様、アキラの独占欲と嫉妬心の発露。ただ、彼の怒りが単なる妄想から来るものでもな
いので強く否定出来ない。
積極的に誘惑しようとした覚えは確かに無いが、気が付けば色欲に濁った目であちこちの男を品定め
しているのはアキラの指摘通り。その手の趣味傾向が多少なりともあって勘の良い人間なら、いつぞ
やの緒方のようにヒカルが欲の対象として自分を見ている事に気付いても可怪しくない。
緒方の場合はアキラ絡みであって少し事情が特殊だろうが。
「ボクの目の届く範囲ですら酷いものだ。そこを外れたキミがどこの誰を引っ掛けてるのかと思うと
胸が灼けついて夜も眠れない」
また、アキラの左手の爪がヒカルの背を掻き下ろしてゆく。上半身が意識の制御を外れて勝手に反り
返る。
背中の皮膚はとうに掻き傷と蚯蚓腫れだらけだろう。このままではアキラの爪が背中以外の場所に及
ぶかも知れない。首や手の甲、まだ寒いこの季節でも服では隠しきれない場所まで。
下手をすれば顔にも。
スケジュールは満杯で、急に何日も延期したいと申し出たところで自分自身が別の予定にぶつかる。
先方の迷惑以前の問題だ。なにせ、四月半ばから七月までメディアの仕事は断っているのだから。
それに合わせようと思ったら、四月前半まであらゆる予定がびっしりになるのは必然。
「こんなでまた、再来月から本因坊戦でキミに触らせてもらえない。どうせ今年もそうなんだろ?」
「それは、っ、おまえだけじゃな……ぃアっ!」
だから安心しろと宥めたつもりが、またしても失言だったようだ。
「どうしてそこで他人が出てくる?ボクだけじゃないなんて語るに落ちたよね?」
触らせる触らせないの問題ではなかった。体調悪化の兆しはごく僅かながらもう出始めていた。
去年よりやけに早い。食べられなくなるかも、という不安がそうさせるのか。
それとも、精神状態が去年よりもっと酷くなっているのか。
手当たり次第に良さそうな男を下の口で味見したくなる欲求が強まっているのもその一端か。
今のところ体調不良は軽微で対局に影響は無い。集中力を乱される程のものではない。
持ち時間を使いきって軽い尿意を我慢しながら秒読みを聞いて打つのとそう変わらない。
具体的に言えば苦手な料理や食材の匂いに対する不快感が増した、それだけの話だ。
こんなもの嫌いだと撥ね付ければ、母親に「いつまでも子供ね」と呆れられるレベルの。
それでも自分の心身が乱調になりつつあるのは事実。
本来ならアキラの与える苦痛と快楽に酔っている場合ではないと思う。
「…………ねえ」
「やっと素直におねだりする気になったんだ、しぶとかったね」
「オレが、碁打ちじゃなくなったら……おまえはオレになんか興味なくなるかな」
アキラの責める手が止まった。八年前の出来事でも想起したのだろうか。
「キミは、ずっとボクと同じ道を歩くと言った。あれを撤回するのか」
動揺に少し震える声。そんな頼りない声は聞きたくなかった。
だからこうしてアキラに抱かれるのをやめられない。いまだに怖いから。
彼がタイトルホルダーとなってさえ、否、なったからこそ、その不調の原因に自分がなるのが怖い。
「……………………」
ふたり分の荒い呼吸が、浴室に反響する。
「どうなんだ」
「……しないよ」
今は、と心の中で言葉を追加した。
自分はどうなろうが後の事など知らない。
けれど、自分が棋界を去る所為でアキラが転落するのを見たくはなかった。それだけが気掛かり。
- 480 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:43:20.70 ID:???
- どれだけ自惚れているんだ。
八年前はどうだった?
自分が手合に出なかった期間、彼は不調だったか?
逆だ。とんでもない速さで三段に昇進し、最年少で本因坊リーグ入りを果たしたんじゃないか。
そうだ。もともと最年少記録男は彼だったのだ。自分とは違って実力もきちんと評価されていた。
その彼の、どこを心配しろと?何様のつもりだ。
「、っ、て」
「なに?聞こえない」
アキラの拘束から逃れ、簀子の上に大きく脚を開いて座る。両手を膝下に通し、尻たぶを左右に開く。
ぱくぱくと開閉するかのように息づく後孔も指で開いて、内部の粘膜を見せつけた。
「おまえがココに挿れたくてたまんねェんだろ?ムリすんなよ、ゴムつけんの間に合うか?」
挿れて。おねがい。もう食べたくて仕方ないんだ。これ以上お預けなんてしないで。
「可愛いおねだりを期待してたんだけどな、失格だ」
アキラは唇を歪ませて手桶を掴み、浴槽の湯を汲んで、ヒカルの頭上から中身を一気に浴びせた。
「ぅあぃいィ……ッ!」
熱い湯が背中の傷に焼けるような痛みを齎す。
簀子の上に仰向けに押し倒され、いまだ指も通っていない場所に滾る先端を押し当てられる。
「慣らしてないのに柔らかいじゃないか。どれだけ欲しくて待ってたんだよ、淫乱」
「アァ────!」
入り口の筋肉の輪をぎりぎりと押し開き、捩じ込まれてくるアキラの亀頭。これだけで達きそうだ。
けどまだ。欲しくて待ち焦がれている場所にはまだ、届かない。
焦れた脚がわななく。全身が『欲しい』と絶叫している。
アキラの先走りだけでは潤滑が足りないが、そんなものどうでも良かった。
流石に濡れていなさ過ぎて痛いのか、アキラが秀麗な顔を顰め呻きながら腰を進めてくる。
浴室の湿気と汗で重くなった長く美しい黒髪が、持ち主の上体より先にヒカルに覆い被さる。
その髪のひと束を、左手で掴む。意味は無い。アキラは厭がるでもなくさせるまま、動くのに専念し
ている。
「いッあっ、いた、いっ、あ、あ」
激しくなるピストン運動によってヒカルの背中が簀子で擦れ、掻き傷に新たな痛みが発生する。
終わった後で鏡を見るのに勇気が要りそうだ。
「いたい、いたいよ、イヤ、いたい、っ、でもくる、くるよ、いたい……ッ」
綯い交ぜになる苦痛と絶頂感。『痛気持ちいい』を突き詰めるとこうなってしまうのだろうか。
脳内が空っぽになり、視界が白一色で塗りつぶされ。
何もかも皆忘れてしまえるその瞬間が、唯一安らぎを覚える救いであり、また救えぬ業でもある。
まだ何か後ろに挟まっている気がする。背中の熱感と疼痛はひかず、腰から下の感覚がおかしい。
アクセルとブレーキの踏み込みに影響して、帰りの道中で何度か冷やりとした。
アキラが激しいのは今に始まった話ではないが、段々エスカレートする責めに体がついてこない。
普段ならもっとゆっくり回復を待つ。しかし取材の予定を延期出来ないので覚束ない下半身を引きず
って深夜にも拘らず帰路についた。
無理せず泊まって行けとアキラが幾ら引き止めようとも、帰りたい気持ちが先に立った。
自宅には駐車スペースが無い。近くの月極駐車場は青空だが、特に車体の傷や汚れを気にする質でも
ないので充分だった。カバーさえかけていれば上等だ。
その駐車場から家までがやけに遠く感じる。一歩ずつ足元の地面を確認するようにそろそろと歩く。
「あれ、ヒカル?」
久々に聞く声に、のろのろと振り返る。街灯に照らされて夜陰に浮かぶまろやかなシルエット。
「よう、あかりか。どうしたこんな遅い時間に、呑み会?」
午前零時を大きく回っている。幼い頃から慣れ親しんだ界隈とは言え、若い女がひとりで出歩くには
少々危険な時間だった。
- 481 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:45:45.03 ID:???
- 「会社の基礎研修が終わった打ち上げでねー。研修先の指導員の人が担当の新人みんな誘ってくれた
の。それで盛り上がっちゃって、同期だけで三次会まで行っちゃった」
やけに上機嫌な口調で幼馴染は答えた。街灯の下でよくよく見ると頬がほんのり染まっている。
「研修って、まだ三月だろ?卒業式終わったばっかなんじゃねーの?」
「会社によって違うよ。ウチは基礎研修が終わったら入社式の次の日には配属先でOJTだから」
「専門用語はよくわからん」
「OJTでわからないとか、どこの日本に住んでんのよ」
他愛ない、懐かしい遣り取りについ頬が緩む。
「わからんもんはわからん。碁打ちに不要なもんは頭に入れない」
「もう。相変わらずなんだから」
彼女も同じ懐かしさを共有したのか、くすりと笑う。
「こんな時間だ、送ってくよ」
「……いいよ。ヒカル、疲れた顔してるし、体調悪そう」
「おまえを襲う物好きがいないとは限らねェだろ」
「そんなフラフラした歩き方してて役に立つとも思えないから。それ以前に失礼なこと言うなァ」
物好きはどこに隠れているか判らない。自分自身で実証済みだ。
アキラと、それから。
「そういや、おまえ大学の囲碁部ってどうだったんだっけ」
「サークルは二年までだったなァ。その後は就活と卒論で死にそうになってたから、残念だよ」
「指導行ってやろうかつったら断りやがって」
「だって!高校の時でさえ『いいのかな』って思ってたのに、ウチの大学に来たら大騒ぎになっちゃ
ってたよ?女子大だよ?もしかして自覚ないの?あれだけテレビも雑誌も出てて?」
「あれま。おまえの大学でもオレ大人気?」
「……なにニヤついてんのよスケベ」
立っているのが辛くなり、民家の塀に寄り掛かる。これでは「長話しよう」と誘っているかのようだ。
「私が送ってった方がいいかもしんない。ちょっと待ってて、家に電話する」
「はァ?すぐそこだっつの、いらねーよ、つか女に送られるとかありえねー」
「わかったわよ、じゃあこうしよう。これからヒカルんちに指導碁打ってもらいに行く、これでどう
だ」
「こんな時間に働かす気かよ、オニだなおまえは。いやそもそも、具合悪いから送るってハナシだろ」
「そうそう、素直に送られるか夜中にタダ働きするか選びなさーい」
酔っ払いの論理破綻だ。しかも深夜の屋外なので声が響く。
近所の住人に聞かれて噂の種などにされたら厄介だ。お互い、とっくに子供ではないのだし。
「……深夜料金で、高くつくぞ」
ここは譲った方が賢明だ。
「おじさんとおばさん起こすの申し訳ないけど、事情が事情だから仕方ないよね」
玄関ドアを開けたヒカルに、腰を支えてくれているあかりが済まなそうな顔をした。
「いや。今日は誰もいない。じいちゃんに呼ばれて向こうで泊まりだ」
ヒカルも対局後に来いと言われていたが、獣欲を滾らせるアキラを優先せざるを得なかった。
後ろめたさに声が沈む。それを体調の所為だとあかりは誤解したようだった。
「ホント大丈夫?誰もいないなら尚更私がついて来て正解だったんじゃない」
「正解?」
こんな衝動が、自分の中にあるだなどと思わなかった。
「おまえ、本気でそんなめでてェこと考えてんのか」
甘酸っぱい体臭と脂粉の香りが混ざった特有の匂い。柔らかな腕の感触。総てが曲線で構成された体。
薄化粧で整えられた顔。グロスで濡れたように光るぽってりした小さな唇。
「………………ッ!や、」
抱き締めた感触は、力を入れ過ぎたら潰れそうなほど脆かった。
- 482 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/11(月) 22:47:33.62 ID:???
- ヒカルたん視点で書くデメリットは、ヒカルたんがナルシストじゃないので
地の文でかわいい淫乱天使っぷりを描写するのに限界が生じる事でつ
おっきな目ではにかんだ顔がかわいいとか、しぐさがかわいいとか、匂いがたまらんとか、
喘ぎがエロカワイイとか、肌が柔らかくて触り心地いいとか、アナルの粘膜が極上だとか
頭に「オレの」をつけるとえらいことに…
阿古田さんにヅラアタック二度かましてた初期悪ガキヒカルたんの性格が大好きなせいで、
時折大人ヒカルたんの内面が対阿古田さんモードになる場面ががが
そんで、大人の事情で振り回されまくってる設定なので、科白回しが変に達者な時があって
キャラ崩壊だと不快に感じるメイツ諸兄がいると思いまつ、申し訳ない
ヒカルたんに誘惑なんてされたら据え膳なんぼでもおかわりするぞ俺は(;´Д`)ハァハァ
- 483 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/13(水) 01:33:08.12 ID:???
- だれもいない…コソーリ投下
- 484 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/13(水) 01:34:30.46 ID:???
- 縺れるように上がり口に倒れ込み、頼りないまでに柔らかな体を自分の下に組み敷く。
背後でドアが半端に閉まる音がした。
「おまえ、オレを何だと思ってやがる。人畜無害で女に欲情しない草食系だとでも?」
「いや……やめてよ」
怯えてかたかたと震えるあかりの細い首に、顔を埋めるようにして囁く。
「わかるだろ?おまえの脚に、今当たってんのが。これがナニか知らないとは言わせねェぞ」
「やだ、やだよ……やめて」
こんなに凶暴な気分を引き出す存在だとは。彼女個人ではなく、女そのものが。
新鮮な驚きだった。
もう自分は男相手でなくては駄目だと思い込んでいただけに。
涙目でしゃくり上げるその様がテンションを上げる。触れる肌の柔らかさに歯を立てたくなる。
豊かな乳房を揉みしだき、その先端を甘く噛んだらどんな声を聞かせて貰えるのか。
これまで体験してきたのとは異質な興奮がヒカルを支配しつつあった。
薄いストッキングに覆われた脚を撫で上げ、淡い緑色したスプリングコートの下に着たスーツのタイ
トスカート、その奥へと手を忍ばせる。
ひ、と恐怖に引き攣れた呼吸音があかりの喉から漏れた。
ストッキング越しに下着のクロッチの中心を指で縦に何度もなぞり、反応を見る。
必死に閉じようとする脚の間に体を入れているので彼女は抵抗もままならない。
「なんだよ、もしかしておまえ……不感症なの」
恐怖心ばかりが渦巻く精神状態で濡れるどころではないのを承知で言い放つ。
「っ……う、ぇ……っ、ぅく」
あかりの嗚咽が大きくなる。
ぼろぼろと涙を零し、マスカラが溶けてくりっとした愛らしい目の周囲を少し汚す。
暴走したがる下半身の要求を抑えこみ、ヒカルは体を離した。
腰と背中が痛いのだ。ここで酷使したら取材を受けに撮影スタジオへ赴くのが本格的に危うくなる。
「わかっただろ。オレだからって舐めて無防備について来んな」
震えながら半身を起こした彼女は、非難の籠った眼差しでヒカルを睨んだ。
「とっとと帰れ。途中で襲われようがオレの知ったこっちゃねェ」
あかりは脱げた右のパンプスを覚束ない手で履き直し、乱れた服も髪も直そうとせずよろりと立ち上
がった。そのまま、上り口に座り込んでいるヒカルを無言で見下ろす。
「聞こえなかったのか!帰れ!」
苛立って怒鳴る声に、あかりがびくっと竦み上がる。だが、動かない。
「……私、ね」
何を語りだすつもりなのか。告白の類ならお断りだ。
鼻を啜りながら、彼女は言葉を継いだ。
「大学で囲碁サークルに入りたいって届け出しに行ったら、あんたみたいな勘違いの子ばっか来て迷
惑だって言われたんだ。先輩に」
相槌を打つ気も無い。愚痴を吐き出したいなら吐き出しただけで満足して帰って欲しかった。
「なんでそんなこと言われるのかわかんなくて、中学からずっと囲碁部でしたって説明した。それで
も疑われて、なんか悔しくて」
「……………………」
「アイドル棋士に会いたいなら、こんなとこ入るより日本棋院で出待ちした方が確率高いよ、って」
やっと解った。大学で理不尽な目に遭ったのはおまえの所為だと彼女は恨み言を垂れたいのだ。
「囲碁をやる気もないのにヒカルを学祭とかコンパに呼べますか、って訊いてきた子が前の年にも何
人もいたみたい。それで嫌気さしちゃったのはわかるよ、でも私はそんなの」
「まァな。おまえにゃ今更オレなんざありがたみもへったくれもねェやな」
「だから指導に来てもらいたくても頼めなかったの。何言われるかわかんないもの」
「オレと知り合いだともバラせなかったか」
「ムリだよ、ずっと隠してたよ。後輩の子たちだって騒いでたし。会社の人も知らないよ」
- 485 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/13(水) 01:36:08.52 ID:???
- 外界では、えらく面倒臭い事になっているらしい。幼馴染をそうと公表出来ないとは窮屈な話だ。
「初めて、囲碁部、サークル活動が楽しくないって思った。だからかな、就活が始まって、忙しいの
を理由に寄りつかなくなっちゃったのは」
「そりゃ悪かったな」
「……違うの」
やんわりした否定に、ヒカルは顔を上げてあかりの涙に汚れた白い面を見た。
「私がこんなにイヤな思いするくらいだから、ヒカルが辛いのはもっとずっとなんだなって」
「は」
知らず、間抜けな声が出る。
「いっぱい頑張ってるのにそうじゃないって言われて。記録作っても実力じゃないって噂されて。体
壊してるのに倒れながらタイトル戦に出て勝って、なのにポーズだなんて中傷されて。ホントは碁だ
けに集中したいのに、バカみたいなこといっぱいさせられて、ケガまでして」
「ケガなんていつの大昔だよ」
あかりはその混ぜっ返しを受けなかった。
「すごく、すごく、大変なのに頑張ってきたんだよね。他の棋士より何倍もきつい思いしながら」
「何倍ってのはそりゃ盛りすぎだ」
腹立たしく悔しい思いは確かにしてきた。だが、彼女の言うほども大仰ではない。
そこまでいちいち傷つくほど神経が繊細ならプロの碁打ちになど向いていない。
ヒカルが今、アイデンティティを喪失して苦しんでいるのとは完全に別次元の話だ。
「だから疲れちゃって怒りっぽくなるの、仕方ないと思う。今夜のヒカル、くたくたに見えたもの」
彼女は誤解に基づく同情を寄せている。自分を犯そうとした相手に対して。
くたくたである本当の理由が知れてもなお、彼女は変わらず同情と慈悲に溢れた優しい言葉をくれる
だろうか。
(ンなわけあるか)
「で、許して下さるってか。おやさしーな、今度こそ一発ヤるぞ」
伸ばした手を、あかりはぴしゃっと叩いてはねのけた。
「私のこと、好きでもないのにふざけないで」
大きく鼻を啜り上げると、彼女は落としたバッグを拾い、肩にかけ直して乱れたコートの裾を整えた。
もう震えてはいなかった。
「体、大事にしてね。応援してるから」
彼女が去り、残り香だけが微かに漂う玄関で、ヒカルは独り肩を揺らして声もなく笑った。
誰も自分を救えない。救われる気も、その資格もない。
股間はまだ、未練がましく膨らんでいる。
本当に久々に、陰茎を扱いて発散させなければ眠れないのは間違いなかった。
ヒカル自身の危惧通り、この年も五月に入る直前から口が食べ物を拒否し始めた。
苦しみ抜きながら第六局まで戦い、本因坊の座を守った。
防衛が決まれば少しずつではあるが拒否症状は治まり、二週間もすれば元のようになる。
だが前の年からの蓄積が心身に大きな負担となっていたのか。その後の対局は精彩を欠き、王座はど
うにか防衛したもののアキラに天元を奪われ、続く棋聖戦でも因縁の相手である緒方相手に失冠。
四冠から二冠へと所持タイトルを減らした。
一方、アキラは天元の他に名人位も奪取。三冠棋士となった。
アキラと共に竜虎と称する者も居れば、前の四冠はやはりフロックだったのだと評価を下げる者も居
た。トータルで是々非々なのだから大して不当評価とも思わなかった。
棋聖戦を七番フルに戦ってタイトルを落とした翌々月。
四連続在位を賭けた本因坊戦。
例年に漏れず食べ物も水も受け付けない最悪の体調で倉田の挑戦を受け、どうにか第五局で退けた。
この年。ヒカルの体調は回復せず、七月を過ぎ八月を越えて悪化するばかりとなった。
- 486 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/13(水) 01:37:27.95 ID:???
- <[・剔抉>
「久しぶりだな」と挨拶されても、誰だと疑問しか湧かなかった。
相手がべらべらと自己紹介を兼ねた嘲りと恨み節を延べ続けているうちに、この男が七年も前に会わ
なくなったきりの縁浅い人間だと判明した。
七月初旬。本因坊戦で三連続防衛を果たした数日後。少年の住居とは違うマンションの一室へ呼び出
され、この男と引き合わされた。
部屋は殺風景で、がらんとした小さな貸しオフィスのような雰囲気だった。道路に面した部分には大
きな嵌め殺しの窓がある。パーテーションで仕切ったその室内、一台のダブルベッドが違和感を作っ
ている。
「おまえ、あん時ガチで処女じゃなかったんだって?」
そのベッドに仰向けで押さえつけられ、ヒカルは男の罵詈讒謗が唾と一緒に降り注ぐのを耐えた。
「やっぱあん時遠慮しねェでマワしてやっときゃよかった」
こいつが現在どうやって生きているかなど興味も無かったのに、向こうから親切のつもりか微に入り
細を穿ち抑揚をつけて朗々と語ってくれた。碌でもない内容で吐き気がした。
少年はどうやってこいつを探し当てて来たのか。手段はどうあれ嫌がらせに関しての執念を少しでも
碁に向けられないのかと詮無き事を考える。
強者とは打たせて貰えず、教えようにもヒカルの泣き声が頭痛となって邪魔をするでは師も八方塞が
りだ。少年が碁を憎んでも責められないのが辛い。
「おまえのせいで、オレはなあ」
「ハイハイ、陰謀論は結構ですけど。この人にあなたを蹴落とすような権力ないですよ」
少年の茶々に、男は白地な不快感を顔に出した。
「枕営業なんて、この人の彼氏が許しませんから。あなたが仕事を失ったのは単なる自己責任です」
「ガキ、テメこの」
「あなたに今回求められてるのは、彼氏に操を立ててるこの人のケツ穴ぶち抜くことだけなんで」
操だなどと、そんな御大層なものではない。
今日の今日まで、他の男を食う機会に恵まれなかっただけだ。
元俳優は性根こそ最悪だが、記憶と変わらず体だけは美味そうだった。
用心棒は体が貧相では務まらない。まあ、適材適所と言ったところか。
「ナマでヤっていいのか」
「よくないです、申し訳ないですけど……っと、忘れてた、あとですね」
「まだあんのかよ、グダグダうるせェな」
「キスしたりフェラさせたりしない方がいいですよ。別に強制じゃないですが、ご忠告まで」
そんな言い方では、この男の場合逆効果だ。案の定、咥えさせようとしてきた。
口に亀頭が当たった瞬間、即座に胃から酸っぱい液体が逆流する。
「ッうぉ、いでェ!つか臭ェ!」
胃液に亀頭の敏感な粘膜を焼かれ、次に吐瀉物の臭気に鼻をやられた男が忌々しげに呻く。
「あーあ、だから言ったのに。この人、今は口に入るもの全拒否状態なんです。水ですら調子がマシ
な時にちょっとだけしか飲めない」
「先に言え!」
少年から手渡されたウェットティッシュで亀頭を拭い、組み敷いていたヒカルの体を乱暴に裏返す。
だぶついたヒカルのジーンズを膝下まで引き下ろし、ベッド脇に用意されていた避妊具の個包装を荒
々しい手つきで破って男は自身に装着する。
性急にローションを勃起した肉棒に垂らし、軽く手で塗り広げて穴に突入するまで数秒。躊躇いなど
まるで無かった。
「……ッ、ア!」
「もっとまともに肉ついてる時に呼べよ。ケツ肉が薄すぎてピストンしたら痛ェじゃねーか」
不平を垂れながらも、腰の動きは止めない。
「っくぁああぁ、あっ、あぁあ、あー!」
大きく腰をグラインドさせる動きに、いきなり突き込まれた痛みはすぐ快感に取って代わられた。
- 487 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/13(水) 01:39:14.46 ID:???
- 時系列順(序章除く)に話が流れて、やっと本編の本筋にあたる部分に突入しますた
ここまで9年分の時間が経過してるので、あと、あと残り8ヶ月分でつ…長かったらどうすべえ
伏線も布石も風呂敷もへったくれもない話なので、多分あと1000行くらいで終わるよ(白目
でもって、新スレの季節でつね…今回は早すぎないと思うでつ
- 488 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/13(水) 01:59:08.00 ID:???
- ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 489 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/13(水) 02:03:02.69 ID:???
- もう新スレの季節か…
いつも盆たんには感謝してまつ(;´Д`)ハァハァ
また新たなヒカルたんに会えるよ!(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 490 名前:盆 :2015/05/13(水) 02:22:53.29 ID:???
- 次スレでつ
●お前ら男ならヒカルたんハアハアだよな?Part71○
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1431450463/
- 491 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/13(水) 21:19:15.12 ID:???
- スレ立て&SS投下乙です
- 492 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/14(木) 02:18:09.66 ID:???
- ヒカルたんヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
おやすみヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 493 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/14(木) 03:08:56.66 ID:???
- 小一時間ほど前に遡る。
「今まであなたに生温すぎた、ってボクもお師匠も反省しましてね」
少年の気紛れで呼びつけられ、目の前での屈辱的な行為と引き換えに師との対局の機会を得ていた。
その『対局料』が安すぎたと言うのだ。
「だって、いとも簡単に四冠なんて獲っちゃうんだもの。こっちとしてもそれなりに条件を再考しな
くちゃフェアじゃないですよね」
いとも簡単にだと。変な笑いがこみ上げそうになる。
ただの凡人が血反吐を吐く思いでやっと成し遂げた事を、この少年は無価値同然だと扱き下ろす。
「棋聖と天元は落とした。もう四冠じゃない」
「でも大三冠のひとつは四年連続でキープしてますよね、王座も防衛」
「本因坊はおまえが出した絶対条件だから」
「そうなんですけどね。来年軽く条件クリアしちゃいそうじゃないですか。それじゃあねえ」
「軽く、だって?」
「倒れようが食えなくなろうが、あんたの鉄の意志は揺るがない。死体になったって五連覇達成しち
ゃいそうじゃないですか。もっとこう、お師匠に捧げるに相応しいのが。もうやっちゃった四冠超え
じゃないとね、七冠全部盛りとか派手でいいんじゃないですか?」
「いきなり前人未到の記録を狙えって?無理だ、リミットまでに七冠ならもう碁聖は」
碁聖への挑戦者を決めるトーナメント。本因坊戦七番勝負と期間が重なり体調が最悪の中戦わねばな
らず、アキラに準決勝で破れた。来年の本因坊戦が最後の戦いとなるのなら、それまでには間に合わ
ない計算となる。
名人と天元、十段をアキラから奪い、棋聖を緒方から獲ったとしても現在持つ本因坊と王座、合わせ
て六冠。グランドスラムを狙おうにもやはり棋戦スケジュール的に碁聖がネックとなる。
「六冠でも充分じゃないですか。塔矢行洋の記録を抜きますよ?記録男の面目躍如ですね」
握りしめた拳の中で爪が掌に食い込む。CPU相手のゲームではないのだ。相手は人間、自分も人間。
この軽すぎる口調。自分が戦うでもないのに。こいつには棋士への敬意が致命的なまでに欠けている。
「オンゲーだって相手も自分も人間ですよ?アナログオンリーがそんなに偉いですかね」
ああ言えばこう言う。こいつの論調にはうんざりだ。
こいつからも師が『この子は間違いだった』と早く去ってしまえばいいのに。
それで自分が間違いで憑りつかれた子という事実が消せる訳ではない。
この少年の頭の中で泣き叫び続ける自分が消える保証も無い。
自分の罪が消えたりなどしない。
罪とは何だ。
師を再生するなどと誇大な妄想を抱き、師の碁を盗んだ事。それを己の碁だと見せかけ騙った事。
師との思い出に耽る中で本物の肉棒を欲するほど自慰に溺れ、嵩じて師を裏切りアキラを貪った事。
これら皆、師が罪だと断じるから罪なのだ。三年前、理屈ではなく感じるままに受け容れた。
その師が、罪に応じた罰が甘いと宣告したのなら……。
「ボクも一方的に追加条件だけ押し付けるような鬼畜にはなりたくないんで。もっとお師匠と打ちた
いと思いませんか?」
「もっとオレのアナニーが見たいってか?」
くっ、と喉で自嘲的に嗤う。そんなもので師の寛恕が願えるなど、端から思ってはいない。
自分が見せたいからやっているのだ。師に擬似的に抱かれたくてやっているのだ。
塔矢の中古でごめんね、こんな体でもいいなら抱いて。
育って劣化した自分にはもう価値は無くて、食指は動かないかも知れないけど。でも抱いて。
そして足りない生身の分をアキラで補う。卑怯な自分を自分で殺してしまいたくなる。
「あんたの独り遊び見るのは飽きちゃったんだそうですよ、どうします進藤先生」
耳の奥で、在りし日の懐かしい声が谺する。
『ああ可愛い。食べてしまいたい』
蕩けるようなその響きが、切なく全身を震わせる。その声を、今聞きたい。もう一度聞かせて。
- 494 名前:泥中の蓮・後日譚拾遺─変節─ ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/14(木) 03:10:14.21 ID:???
- 「あァッ!あッ!あぁん、んん、んー!んァん!」
目からぼろぼろと涙が溢れて止まらない。情けなくて、悲しくて、悔しくて。
気持ち良すぎて。
二ヶ月半ぶりに味わう肉棒が美味すぎる。アキラとは違う形と大きさが新しい愉悦を喚び起こす。
「ガバマンかと思ってたらイイじゃねーか……締まる、おっ、締まるっスゲっ」
抜け出ようとするご馳走を、逃すまいと入り口が収縮する。擦られる快感をより得ようと、内部が緩
急をつけてペニスを愛撫する。
尻だけを丸出しにされて、屈辱的な格好で獣の交尾の如くに犯される。
これを師が見ているかと思うと堪らなく官能が昂らされる。
『ヒカル、可愛い』
幻聴が感度を更に上げ、脳の容量が受け取れる限界を超えて悦楽を満たそうとする。
そして溢れる。
遠くで誰かが何か話しかけている。いや、遠いように聞こえているだけ。
自分が聞きたくないだけ。
少年の嘲りを耳にしたくないだけだ。
「も、……ぅ、ゆるし……っ!」
「許さねェよ!おまえには、たっぷりお返しさせてもらわなきゃなァ!」
神経がびりびりと痛みのようなものを体に与え始める。快楽が逆方向に変換されているのだ。
「ぃや、っ、あ、あっ、あ!」
「なにがイヤだド淫乱。女みてェな濡らし方しやがって、ソコにぶら下がってんのはデカクリか?」
しとどに蜜を垂れ零す萎びた陰茎を揶揄される。
認めたくなかった。体はこの逆変換された痛みをまだ快感として受け取っている。
体のずっと深いところまで穿たれて、意識が飛びそうになる。
肌を這いまわる何かが悍ましい。
着たままだったシャツの中に入り込んだ無骨な手が、上半身を撫でまわす。
繋がった場所では、男がぐりぐりと腰を押し付けて奥の感触を満喫している。
感覚の奔流が呼吸を圧迫して苦しい。早く解放されたい。
(いやだ、こんな、っ)
『ヒカル、可愛い』
その声に誘われ、「気持ちいい」と口走りかけるのを必死で制する。
あさましい。自分が汚らしくて厭になる。
手を伸ばす。少年の、否、師の『居る』方へ。
「やだ、ゃ、たす、け」
誰に救いを求めているのか。そんな資格が自分にあるとでも?
自問したとて、正答は空の器の中になど無い。
自分の碁の中に師を見出す事で精算できたのだと勝手に思い込み、前だと信じる方向へ進んだ。
そう思わなくては、十四歳のあの夏、迷路の出口を探すことすらできなかった。
そのツケを今、払わされている。
至るに足らず、求むに満たず。道は道に非ずして、此れ則ち迷図の如くなり。
九年間、探しても探しても、迷路の出口など何処にもありはしなかった。
後ろを振り向かない、というのは体のいい言い訳。
過去を直視しなくても済む便利な言い訳。
前も後ろも過去も未来も、見失って迷走していただけなのは解っていた。
そんな事は百も承知で、自分すら騙してきれていないまま這いずってきた。
背後から伸し掛かる体重が心まで押し潰す。
「あぁ……あ、うっ、て、おねが、ぃ」
師に向けての懇願は、少年の冷笑によって無慈悲にも拒まれた。
- 495 名前: ◆aX9iWjd8PJZc :2015/05/14(木) 03:12:38.04 ID:???
- 現在510k、残り2kでつ
小説投下はもう無理なので、続きは次スレに投下しまつ
- 496 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/14(木) 03:18:59.29 ID:???
- 俺もおやすみヒカルたんちゅっちゅっちゅ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 497 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/14(木) 11:38:26.45 ID:???
- ヒカルたんのヒカルたんを埋めるよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんの中きもちいいよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 498 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/14(木) 20:03:38.76 ID:???
- ヒカルたんヒカルたんああ〜〜ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 499 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/14(木) 21:47:20.26 ID:???
- ヒカルたん、オレだ結婚してくれ
- 500 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 00:28:13.32 ID:???
- ヤダよー!
- 501 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 01:02:51.06 ID:???
- ひひひひヒカルたん!(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 502 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 01:14:55.56 ID:???
- これからも愛してるよ…俺のヒカル…
- 503 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 01:52:03.78 ID:???
- 俺のヒカルたんだ
- 504 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 02:17:33.70 ID:???
- いいえ進藤はボクのです
- 505 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 07:54:48.45 ID:???
- メイツ筆頭若゛が降臨したぞ…!
ヒカルたんはおまえには渡さん
- 506 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 07:56:02.45 ID:???
- このスレが埋まるまで毎日来るよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 507 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 09:31:38.73 ID:???
- ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 508 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/15(金) 18:07:19.20 ID:???
- 雑魚メイツ共も若゛ッパも何を身の程知らずな!
ヒカルはこの私のに決まっているでしょう!除霊されたって渡しませんよ!
- 509 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/16(土) 11:22:27.88 ID:???
- ヒカルたんは俺に任せて成仏しろよ、な?
- 510 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/16(土) 12:30:28.98 ID:???
- 陰陽師ですが、呼ばれた気がしたので来ました
- 511 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/16(土) 13:43:52.97 ID:???
- ヒカルたんのためならば時代をも飛び越えてくる賀茂…
さすがはメイツだと褒めておこう…
- 512 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/16(土) 18:12:13.61 ID:???
- カッパが2体…だと?
よし捕獲して皿を割ろう!これでヒカルたんは俺のものだ!
- 513 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/16(土) 23:52:26.51 ID:???
- 【座間先生がログインしました】
- 514 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 02:26:24.57 ID:???
- >>513
おかえりください
- 515 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 10:51:50.46 ID:???
- 【座間様も異聞空間からお出ましになりました】
- 516 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 10:59:44.28 ID:???
- >>515
おかえりください!
- 517 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 11:05:42.25 ID:???
- 【ついでに東宮様もお忍びで連れておいでです】
- 518 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 14:30:11.19 ID:???
- 大集合しすぎだろ!
ヒカルたんの魔力は恐ろしい…
- 519 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 15:00:36.62 ID:???
- エロ触手も平安時代からつれてきていいんだよ(;´Д`)ハァハァ
俺が颯爽とカコヨク退治したあとで、淫の気にあてられて淫汁でてらてらになって
催淫作用でいろんな場所がぷっくりしてるヒカルたんに清浄な精を注ぎ込んで
魔を祓ってあげるから(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 521 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/17(日) 18:47:31.55 ID:???
- 触手に玩ばれてえろえろになるヒカルたんには興奮を抑えずにはいられない(;´Д`)ハァハァ
- 522 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 00:36:25.94 ID:???
- もうこうなったら光たんとヒカルたんを並べてアレコレしたい(;´Д`)ハァハァ
- 523 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 01:49:58.36 ID:???
- どっちのヒカルたんがより敏感かを探ってやるぜ(;´Д`)ハァハァ
- 524 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 02:22:28.74 ID:???
- ヒカルたんにヒカルたんが正常位で挿れて、そのヒカルたんに俺がバックで挿れる
すばらしい(;´Д`)ハァハァ
- 525 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 02:49:01.35 ID:???
- なるほど
そして >>524 に座間が挿れると
- 526 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 10:52:32.54 ID:???
- >>525は御器曽とガマ店主が上と下のお口を丹念にかわいがってくれるよ
- 527 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/18(月) 22:40:59.94 ID:???
- 俺はヒカルたんと光たんがいちゃいちゃしている様をカメラ片手に目に焼き付けていよう(;´Д`)ハァハァ
- 528 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/19(火) 01:05:21.94 ID:???
- 俺のDTをヒカルたんに捧げる
- 529 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/19(火) 10:19:56.04 ID:???
- おまえらひどいなまったく
平安の光たんをラーメンやハンバーガー食べに連れてって
光たんが怪訝そうに(これ、食い物?)とか戸惑うんだけど、こわごわ一口食べて
もうその後は飲み物みたいに夢中になってがっつくのを
(;´Д`)ハァハァしながらビデオ撮影すんのが紳士のたしなみってもんだろうが!
- 530 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 01:54:20.53 ID:???
- 目を輝かせて貪る光たん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 531 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 03:49:51.56 ID:???
- なんだこの勢い
- 532 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 03:50:41.70 ID:???
- 油断も隙もないなお前ら
ヒカルたんは俺のものだというのに
- 533 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 13:06:41.65 ID:???
- いやいやヒカルたんは俺のですよ?こないだ頬を染めながら同性婚おkな国で婚姻届出すのに頷いてくれましたし
あの夜はお互い燃えたなあ、朝までノンストップでやらしい汁まみれでさあ
ヒカルたんったら永遠に俺と結ばれる嬉しさのあまりかわいい声で鳴きまくって、そりゃもうタマが空になるまで中出し撃ちまくりですよ
結婚するんだから妊娠したっていいよね?ってささやいたら首を何度もこくこく縦に振って、自分の性別まで失念するほど
快楽に溺れまくりでそりゃもうたまらんかったよ
- 534 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 14:03:57.14 ID:???
- というお話だったのサ
- 535 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 14:53:53.71 ID:???
- ナニイッテンダコイツラ 〃ヾ▼
(゚▽゚ )
- 536 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/20(水) 17:54:38.42 ID:???
- >>535
ああああああんヒカルたああああああんくんかくんか(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 537 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 01:58:24.62 ID:???
- >>535
ヒカルたんだあああああ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 538 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 02:00:17.80 ID:???
- ヒカルたんは 世界一 かわいい
- 539 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 02:02:05.36 ID:???
- 何でそんな当たり前のこと言ってんの?
- 540 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 02:11:44.33 ID:???
- 原作を読み返して改めてそう感じただけさ
そしてまたヒカルたんに惚れ直す(;´Д`)ハァハァ
- 541 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 19:11:53.40 ID:???
- ヒカルたんヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 542 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/21(木) 19:13:50.22 ID:???
- ヒカルたんに中田氏して睨まれたい(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 543 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/22(金) 00:54:47.65 ID:???
- 肉感がやばいぷにヒカルたんを電車でさわさわしてもじもじさせたい(;´Д`)ハァハァ
ぷにっぷにのぱっつんぱっつんで気持ちいいだろうなあ(;´Д`)ハァハァ
- 544 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/22(金) 01:18:24.81 ID:???
- ぷにヒカルたんには素股だろう(;´Д`)ハァハァ
竿酒でも可(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 545 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/22(金) 10:48:15.64 ID:???
- ぷにヒカルたんのまだワカメ入りじゃないポークビッツ酒…(;´Д`)ハァハァ
- 546 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/22(金) 11:24:30.32 ID:???
- ヒカル誕前日から、文京区にて18禁で春画展が長期開催されるそうな…
春たん元気かな
今年のヒカル誕は日曜なんだな
- 547 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/23(土) 01:43:58.34 ID:???
- こないだヒカル誕28歳おめでとうをやったばっかなのに、次までもうあと4ヶ月もないだと?
月日の経つのが早い早すぎるよヒカルたん
- 548 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/23(土) 06:08:44.23 ID:???
- ヒカルたんがもう29…?
俺の中ではピッチピチの15歳だから
- 549 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/23(土) 21:27:38.88 ID:???
- ヒカルたんにマッサージと称してエッチなことしたい
- 550 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/23(土) 21:41:31.04 ID:???
- この歳になると日が経つのがはやくて辛いよヒカルたん…
- 551 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/24(日) 11:24:18.63 ID:???
- ビッチな熟れ熟れヒカルたん29歳を想像するのもまた(;´Д`)ハァハァ
あっゴメンヒカルたん!30の一線が凄く気になるお年頃なのにゴメン!
わかったまだ28だよね、30までまだ間があるよねわかったわかったから怒らないでギャー!
- 552 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/24(日) 14:40:03.95 ID:???
- ヒカルたんの股間に顔をうずめて蔑んだ目で見られたい
あわよくば罵られたい
- 553 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/25(月) 01:23:17.88 ID:???
- ヒカルたん「変態共め」
- 554 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/25(月) 11:25:59.06 ID:???
- あっ…それ、28歳の大人なんだけどエロかわいいSボイスで再生された
もっと罵ってヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
- 555 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/25(月) 12:31:15.63 ID:???
- ヒカルたん「変態!変態!変態!変態!」
(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 556 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/25(月) 20:01:44.60 ID:???
- 今度は舌っ足らずなかわゆい中学2年生ボイスが聞こえたよ
息切らして必死でホントかわいいなあヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 557 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/25(月) 23:13:20.85 ID:???
- ヒカルたんが存在しているだけで俺の下半身はいつでも臨戦態勢さ
- 558 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/26(火) 09:45:44.45 ID:???
- ・ヒカルたんをズコバコしたい派
・ヒカルたんをさわさわして泣きそうな顔させたい派
・ヒカルたんに甘えられたい派
・ヒカルたんに貢ぎたい派
・ヒカルたんのヒモになりたい派
・ヒカルたんがごはん食べてる顔が好き派
・ヒカルたんに踏まれたい派
・ヒカルたんに冷たいまなざしでチラ見からの無視されたい派
・ヒカルたんを舐めまわしたい派(部位ごとに派閥が発生する模様)
ほかにもまだあるメイツの性癖…俺は、俺はなあ(;´Д`)ハァハァ
- 559 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/26(火) 23:27:33.23 ID:???
- 俺はヒカルたんに足コキされたい派
- 560 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/27(水) 00:06:55.11 ID:???
- 俺は淫乱ヒカルたんに騎乗位してもらいたいな(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 561 名前:盆 :2015/05/27(水) 12:55:55.24 ID:???
- ヒカルたん…俺、ヒカルたんにもっと貢ぐために仕事増やしたよ…
ヒカルたんのためにいっぱいがんばるよ…
- 562 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/27(水) 18:01:01.32 ID:???
- 迸るヒカルたん(;´Д`)ハァハァでメイツがカニ密漁船に乗るのか…ヒカルたんはほんと魔性だなあ
- 563 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/27(水) 19:27:01.92 ID:???
- いやだいやだヒカルたんもう六月だ助けて
- 564 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/27(水) 22:20:29.34 ID:???
- ヒカルたんを電柱の陰からこっそり見守りたい
でもって気持ち悪がられたい
- 565 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/28(木) 01:11:12.86 ID:???
- ヒカルた〜〜〜ん、愛してるよ〜〜〜!
- 566 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/28(木) 08:53:05.41 ID:???
- 「いつまでもラーメンばっか好きだなんて思うなよ!ガキ扱いすんなぶーぶー!」
- 567 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/28(木) 20:38:55.96 ID:???
- ごめんよヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
美味しいお肉をご馳走してあげるからこっちにおいで(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 568 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/28(木) 22:06:03.06 ID:???
- はりきってA5和牛の高級店連れてったら
「オージーの赤身のがおいしい」とブスッとした顔で言われたい(;´Д`)ハァハァ
- 569 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 00:03:11.24 ID:???
- 28になっても相変わらず子供っぽいヒカルたんでいて
わがまま放題言って振り回してほしい(;´Д`)ハァハァ
- 570 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 00:07:57.46 ID:???
- 美味しそうにご飯食べるのを柱の陰からコソーリ眺められたらそれでいい
こちらを向いて目が合いそうになったら俺は明後日の方向を向く
んで再び食べ始めたらまた気付かれないようにコソーリ眺める
ご飯が終わるまでこのだるまさんが転んだ的挙動不審をリピートするのである
- 571 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 00:21:23.97 ID:???
- ヒカルたんはなんてかわいいんだ…(;´Д`)ハァハァ
頬張るヒカルたん(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
- 572 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 00:37:57.83 ID:???
- 俺の肉棒も頬張っていいんだよヒカルたん
- 573 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 14:10:39.22 ID:???
- >>570
若゛の顔した店員さんが「お客様、お席にご案内いたしますのでどうぞ」と
おまいに変態対応マニュアルを速攻でにっこり発動、どう頑張ってもヒカルたんが見えない場所へ…
- 574 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 20:43:16.96 ID:???
- これはトイレに行くふりしてヒカルたんの横を通りまくるしかないな
- 575 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 21:34:15.22 ID:???
- ドリンクバーのあるファミレスならおかわりしまくる
- 576 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 21:55:20.53 ID:???
- 店員トーマス「申し訳ございません。お客様用のトイレは生憎故障中でして、従業員用でよろしければご案内いたします(個室に閉じ込めるけどな)」
座間店長「お客様、大変ご不便をおかけして恐縮ですが、只今ドリンクバーは清掃中ですので、お席でお待ちくだされば
お好みのドリンクをサービスさせていただきます(雑巾の絞り汁入りのをな)」
- 577 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 21:57:33.38 ID:???
- こうしてヒカルたんの輝く笑顔はヒカルたんの知らないところで守られるのであった
- 578 名前:名無しさん@ピンキー :2015/05/29(金) 21:59:09.57 ID:???
- そろそろ埋まりそうなので次スレ誘導
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1431450463/