側にいる事、嫌う意味  [幻想水滸伝]より

久の字作
元赤月帝国、現トラン共和国の首都グレッグミンスター。その一角にあるテオ・マクドール邸。その地下室に明かりが灯り始めて四日が経った。もともとこの地下室は座敷牢として使われていたために防音は完璧で外からも中からも音が漏れないのである。その完全な別世界の中で大の字の姿で一糸纏わぬ少女が鎖で繋がれていた。いやそれは女と少女の狭間の裸体だった。 「いい格好だね、カスミ」  目の前に立った少年の声に繋がれた少女・カスミが顔を上げる。 「ジオ…様……………………」  ジオ・マクドール、先の開放戦争で解放軍を率いた少年である。 「……………そんなに震えて。………怖いんだね?」  無表情と言うよりなにかを押し殺した雰囲気でジオが繋がれたカスミに問い掛ける。 「…………」 何も言わず、優しい瞳でジオを見るカスミ。 ……ヒュゥ……ビシッ!! カスミの眼差しを断ち切るがごとく空気を裂き、鞭の音が鳴り、カスミの乳房に赤い跡 を残していく。 「くうぅ、」 カスミが鞭の痛みに呻きをあげる。 「痛いだろう、カスミ。いいよ。僕を恨んで、憎んでも。」 ジオは表情を崩さずに鞭を振り上げる。 ヒュッ、バシッィィ! ふたたびカスミの肌に跡が刻まれる。 「ひぐぅ!」 ビシッィィ!……バシッィィ!!! カスミの胸を鞭で何度も攻め立てる。乳首、乳房の上を、下を。みるまに乳房に紅い跡 が幾重のも付いていく。 「ひィくぅぅ……ぁはぁ、はぁはぁはぁ」 痛みを和らげるように荒い息を吐き出す。そんなカスミの肌はゆっくりと熱を帯び始め ていた。 無言で乳房に手を伸ばすジオにカスミは身を堅くする、がすぐに力を抜き愛撫を受けて れた。 「ぎぃッ!!」 優しくない愛撫。形が変わるほどに握られた乳房の痛みに押し殺そうとした叫び声が上 がる。 「痛いだろう。止めてほしければ言えばいい。すぐに止めるから。」 握っていた力を抜き、表情無くジオが乳房に付いた紅い跡を指でなぞる。 「ふ、んん〜」 ビクビクと痙攣するカスミ。痛みとむず痒さに何かが目を覚まそうとするがその前にジ オが手を引く。汗で張り付いた肌同士が離れる感覚がどこか気持ちいい。 「くふウぅ………うんんん」 優しく、熱を持ち始めた眼でカスミは目の前の少年を見つめる。 ………………この人と出会ったのはどのくらい前だったのだろう。気になりだしたのはい いつだったのだろう。解放戦争の時、住んでいたロッカクの里が襲われていることを伝えた時?クリンにからかわれた時?……忘れてしまった。どうでも良かった。この少年と一緒に戦えて、一緒に居ることが嬉しかった。 「ひぃぃ!!!」 予告なく秘所を弄られる。ジオの指が陰唇をこじ開ける。親指がクリトリスを潰し、人差し指と中指がヴァギナをなぞる。 「ク・・ふううぅぅん……。」 カスミの口から吐息が漏れる。 「ドロドロだね・・…」 カスミの耳に息がかかるくらいの所に顔を近づけ,罵りの言葉を囁く。 「いやぁ……いわないで・…・……ください」  さらに頬を赤く火照らせるカスミの蜜壷に指を突き入れる。 「や、いや……そんなぁ………ああぁぁぁ………」  クリトリスを ガクン!! 快感に下半身の力が入らずに腕の鎖に体重が架かる。 「くぅ!」 痛みが伝わる。その痛みにより、靄のかかった頭が少し晴れていく。しかし、淫らな水 音の場所からの刺激にまたゆっくりと靄がかかって行く。 「くぅんん……ジオさまぁ………ああああぁぁぁぁ」 甘い喘ぎを紡ぎ出し、身を戦慄かせるカスミ。普通の男ならば笑みのひとつも見せるところである。しかし目の前の少年は無表情、感情を押し留めている感もある。 両腕の鎖を外すとさきほどの責めで下半身に力が入らないカスミは座りこんでしまった。 「だらしないな、カスミ。」  自分と同じ様に全裸になったジオにカスミはすこし見とれた。必要最低限の脂肪と実戦的な筋肉。旅をしているにしては白い肌に刻まれた幾つかの傷もどこか野生的な雰 囲気を出していた。なにより愛しい人の体というのが大きかった。 「何を見ている?」 目の前に立つジオがカスミを見下ろす。この体制だといやでもジオのペニスが目に入ってくる。 「ああ・・」  カスミが熱い息を吐き、潤む瞳で見詰める。 「え?!」 ジオがいきなりカスミの頭を掴み股間に近付ける。 「咥えろ。」  静かな声でジオに命令される。背けない。嫌悪感。期待。綯交ぜの感情が心を染る。赤 くなっている頬にジオの亀頭が触れると染み出していた先走りのスジが付いていく。眉を顰めるカスミ を見て、カスミに問い掛ける。 「開けたくないのか…………。」 「い,いえ・・………・・……」 おずおずと開けるカスミに口に照準を遭わせるように剛直で唇をなぞり、汚す。 「あ、ん」 躊躇するカスミの唇を見つめるジオ。 「?!あぐぅ………」 無表情なジオがいきなり腰を突き出す。不意をつかれ、頭が真っ白になる。 「かむなよ。」 それだけ言い、カスミの頭をつかんだまま腰を動かし口内を蹂躙する。激しさに涙目に なるカスミ。 「うぐッ、ぐぅぅ」 のどを付かれるたびにうめき声が漏れる。ジュグジュグと唾液が口の端から垂れていく。 「…………………」 苦しくて本能的に口の中のペニスを押し出すようにカスミの舌が動く。ネットリと剛直の敏感な場所を扱き上げることになる。しかし、ジオは快感を耐えるように顔を顰めるが、すぐに元の表情に戻ってしまう。 「んんんん、ふ、ん……ぐぅぅ」 必死に鼻で呼吸するカスミの息でジオの陰毛がゆれる。突き込みに慣れてきたのか唇で締め付けていく。 「…………………」  自分のペニスを咥えるカスミの顎に、右のひとさし指と中指を伸ばして優しくなぞる。 「ふハァ…………ジオさまぁ……………」 カスミの顎をなぞっていた指に、だらだらと口の端から流れ落ちる唾液がまぶされて、ぬらぬらとぬめっていた。 「咥えて………」  ペニスから口を離し、甘えたカスミに冷たく言い放つジオ。再度口内を蹂躙しようと腰を突き出し、剛直を咥えさせる。カスミも素直に口を開け迎えて、再びくぐもった声を上げ始める。 「むぐぅ………ンン………………ふぅぅんん」  床にへたり込んだ格好だったカスミだったがいつのまにか四つん這いになっていた。ジオの腰の動きに体を揺らして対応している。  カスミの唾液で濡れた右手を顎から放す。 「ふぅんんん」  顔への優しい愛撫が中断されたことに鼻息で抗議するがジオは聞かない。左手でカスミの頭を抑えて、剛直の出し入れを繰り返し、カスミの口を犯し続ける。  上半身と右腕を伸ばし、濡れた指先でうなじから背中、腰へと伝ってお尻へと下がっていった。 「んん……ふぅんんんんん」  下半身の刺激に敏感に反応するカスミ。ここへの愛撫は初めてだった。 尻肉を片手であとが付くほど揉み、指先で押し、陵辱の印を着けながら、ゆっくりと窄まりへ触れていった。 「な、だめ、そこは…………ンァァァァ……」  ペニスを吐き出し、嫌悪の言葉を吐き出す。しかし頭は抑えられたままである。 「……………」 無表情なジオが一瞬哀しそうな顔をするが、元の無表情に戻ってしまう。 菊門の皺を一本一本なぞっていく。時折カスミの漏れている唾液を補充しながら、アナルを弄る。 「ふううぅう……ひ、はぁぁぁん」 ペニスを咥えたままの口の端から、己の排泄口からの得体の知れない刺激に喘ぐ。ゆっくりと柔らかくなっていくアナルが口を開け始めていた。 「!?や、な、うはぁ・・…だめ・・・や……」  嫌悪の言葉と喘ぎを紡ぐカスミ 「じゃあ、いってよ。嫌いだって、近寄りたくも無いって……」 「!!」  ジオの言葉を聞いて、喘ぎも言葉も押し殺すカスミ。刺激が快感に変わりかかっていた。 ・・……くノ一であるカスミは幾つもの拷問に対しての訓練を受けていた。同時に誘惑の方法も受けるはずであった。しかし、トラン戦争のとき、赤月帝国に焼き討ちに合い、終ってからも里の復興のために、国中を駆け回っていた。気がつけば、誘惑の術を知らずにいたのだ。そして、いまに至り、痛感を耐えてしまい、いつしか快楽を選び取る術を文字通り体で覚えていったのだった。 「いや……………いいの。」 「んん?」 ジオかカスミに聞き返す。 「お尻、おしりのあなが気持ちいいんです!!どんどん濡れて、グジュグジュになっていって、痺れて、気持ちよくって!!」 「?!なっ」 感情が爆発した。カスミの淫らな叫びに、ジオの顔にはっきりと怒りの表情が表れていた。 「気持ちいいんです。もっと、もっと弄ってくださいぃ。あそこも、おしりも、むねも、体中、かんじてるんですぅ。」 カスミが腰をくねらせ、アナルへの愛撫をうながす。しかし、アナルから手を離し、体を離し立ち上がるジオ。どこか悲しそうな雰囲気と怒りのために震えている ジオがカスミを突き飛ばし、あお向けにひっくり返す。 「ああぁ、ジオさまぁ………」 熱っぽい瞳でジオのそそり立つ剛直を見つめる。ジオが圧し掛かってくる。犯してもらえる。カスミはそう思っていた。 「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 圧し掛かられ、入り込んでくるペニスに歓喜するカスミの肉体。 「これが欲しいのか!淫乱がぁ!!」 「はひぃ、コレがいいんですぅ………!!あぁぁぁぁ!!」 罵りさえも快楽へのスパイスにしかならない。 「いいいぃぃぃ!!…ふぅふぅ……あう〜〜!!!!」 正上位でカスミを犯す。相手を考えない無茶苦茶な突き込みを繰り返す。 「はっ、はっ、はっ!」 ジオの汗が弾ける。快感が高まってくる。 「ひっ、はっ、いいぃ、凄い!!すごいんですぅ!」 カスミも限界まできていた。 「もう、もう、だめぇ、ジ、ジオさまぁ……」 「……………」 カスミが懇願する。   しかし、ジオは左手で体重を支えて右手をカスミの喉を突かんで力を込めていった。 「ぐぅぅ・……」 その上でドロドロになった秘所に剛直をねじ込んでいった。 …………なんで、このコは僕を求めるのだろう。構わないで欲しいのに、もう誰も「ソウルイーター」の犠牲になんかしたくないのに。絶大な力を持つ紋章「ソウルイーター」の呪い、歳を取らず、身近な人たちの魂を食らってしまう呪い。友人、肉親、恩人、宿敵。そんな運命を止めたいのに…………どうして…………どうして!!! 「苦しいだろう、いやだろう、憎いだろう!だから嫌いになれ!」  ジオが叫ぶ。限りなく悲しい顔で。 「く……………ぎ…………」 「なんで、なんで!…うぅぅ………」  酸欠と子宮に熱い液体を放たれる快感の中、意識を手放しかけていくカスミ、快感と苦しみの中、叫ぶジオの声を聞いていた。泣き声を聞いていた。  フッと喉に掛かる力が抜ける。 「ぐぅ、げほっ、げほっ!!グ……はぁはぁはぁ」 むせるカスミの体に、嗚咽に震えるジオが被さっていく。顔は見えないが泣いている、カスミは、顔を見せないジオを抱きしめていた。








………………地下室の小さな窓から碧く優しい月明かりが滑り込む。ゆっくりとした時間が流れる。シーツを纏っただけの姿で膝の上ですぅすぅと寝息を立てているジオの寝顔をカスミは少し複雑な気持ちで眺めていた。  愛しい人、守るべき人、だけどけっして振り向いてはくれない人。魂喰「ソウルイーター」の紋章のことは知っていた。それでも近くに居たかった。死んでしまっても惜しくなかった。 しかし、彼は許さないだろう。自分を拒絶してでも遠ざけようとするだろう。事実、五日前にカスミを強姦して嫌われようとして、それでも聞かない自分を犯し続けて今にいたっていた。 「僕が怖いだろう!憎いだろう!言え、あなたが嫌いだって!たのむから、お願いだから!!」  さっきと同じように叫びながら、自分の処女を奪った男の髪を撫でながらカスミはつぶやく。  ジオ様、あなたがわたしを憎むかぎりそばに居てもいいですよね?あなたを愛してもいいですよね?あなたが望まなくても、わたしは離れません。あなたがトシを取れる ようになったときに側にいたいから。  悔し涙が頬を伝う。運命を悔やみ、恨む涙が頬を伝う。  せめて,今だけはこの人の安らぎを与えてあげたい。運命に翻弄される少年を、自分だけ大きくなってしまい、自分より小さくなってしまった少年の安らぎを、ただ願っていた。


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