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!! きみはぼくのもの
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// 終わり
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薄暗い部屋のベットに、手錠でつながれたベラルーシが横たわっていた。服装や、髪は乱れ、魘されているのか手錠のせいかなのか、時折苦しそうな呻き声を上げている。 
「っ!?此処は・・・。」 
 ベラルーシが目を覚ました。どうやら薬か何かで眠らされていたようで、頭がまだボーっとしている。ぐるりとあたりを見渡してみる。見覚えのある部屋だった。綺麗に本棚に詰められた本、落ち着いた上品な調度品、塵一つない部屋。ここは、誰の部屋だったか・・・。 
「目が覚めた?」 
 ベットの傍らの椅子の上から、静かな声が降ってくる。まだ声変わりを迎えておらず、柔らかな少年の声だ。 
「ラトビア・・・・っ!」 
 明らかな嫌悪を込め、ベラルーシが少年の名前を呼んだ。ラトビアは可愛らしい容姿とは裏腹な、わずかな嘲笑をうかべている。 
「お前、何のつもりで・・っぐ!」 

 ベラルーシがラトビアに詰め寄ろうと身をよじったが、手錠が手に食い込み、鈍い苦痛が走った。眉根を寄せて、ベラルーシが顔をゆがめる。 
「何のつもりって、それ本気で言ってるの?」 
 ゆっくりと、ラトビアは椅子から立ち上がると、ベラルーシの顔を覗き込んだ。 
「はぐらっ、かすな・・・!」 
「はぐらかす?隠し事をしてるのはそっちでしょう?ねぇ、ベラルーシ。」 
 鼻先が触れそうな距離で、ラトビアがささやく。ベラルーシはふい、と目をそらした。 

「何のことかわからないの?じゃあ、教えてあげようか。」 
 ぐい、とベラルーシのメイド服を引き寄せると、ラトビアはびりびりと胸元の部分を引き裂いた。白くすべらかな肌があらわになる。それと同時に、白い肌に散った紅い鬱血あとが目に入る。 
「ね、これ、なあに?」 
 可愛らしい声で、ラトビアがたずねる。が、目は一切笑っていなかった。 
「・・・・・・・・・・・・。」 
 ベラルーシは、先ほどから目をそらしたままで、無反応だ。 
「なあにって言ってるでしょ?」 
 ぐっと顎を掴むと、ラトビアはベラルーシを自分と向き合わせた。 
「・・・ただの虫さされだ。」 
 吐き捨てるように、ベラルーシが答えた。 
「ふーん。そっかぁ・・・、虫に刺されちゃったんだぁ・・・。ねぇ、僕もその虫知ってるよ?」 
 鬱血跡をなぞりながら、ラトビアが微笑んだ。 
「地味な眼鏡のインテリ野郎でしょ?」 

 ぺろりと、鬱血跡に舌を這わせる。 
「っぁ・・・、」 
ぞわりとした感覚にベラルーシが震えた。 
「これ、あいつにつけられたんだ・・・。嗚呼、違うね。つけさせたんでしょ?」 
 気付いてないとでも思った? と、続け、ラトビアはまた別の跡に舌を這わせた。 
「んぅ・・・・っ!」 
 心なしか、ベラルーシの頬が上気している。息も少し荒い。 
「他にはどこにつけられたの?・・・首の付け根でしょ、おへその上、右の足首でしょ、内腿に、肩甲骨の間。それと、左の二の腕、へぇーずいぶんといろんなとこについてるねぇ。」 
 呟きながら、徐々に服を脱がせ、跡のついているところをなぞっていく。 
「ぅ、んぁ・・」 
 ベラルーシが、甘い声を上げる。 
「あれ、どうしたのベラ?もしかして、感じちゃった?」 
 くすくすとラトビアが笑うとベラルーシはラトビアを睨み付けた。だが、潤んだ瞳に、赤く染まった頬のせいで、迫力は欠片もない。むしろ誘っているようにも見える。 

「ベラ、なんでこんなことさせたの?僕がこうゆうの嫌いだって知ってるよね?あ、もしかして、僕にやきもちやいてほしかったのかなぁ。」 
ベラルーシから手を離すと、ラトビアは立ち上がり、自分の机に向かった。ベラルーシに背を向けているため、何をしているのかはわからない。 
「だったら、成功だね。僕はいますごくやきもちやいてる、っていうより、怒ってるなぁ・・・。かまってほしかったなら、そう言えばよかったのに。」 
 ベラルーシはもう何も言わない。ラトビアが何をしようとしているのかもみようとせず、ただ天井を見つめていた。  
「ねぇ、ベラ。・・・・悪い娘には、おしおきしないといけないよね?」 
 ざくり、とラトビアは手に持ったものをベラルーシの首の付け根につきたてた。紅い鬱血跡がみえなくなり、もっと鮮やかで、赤い液体があふれてくる。 
「あ゛ァァァァァァっ!」 
 ベラルーシの悲鳴が上がる。 
「痛かった?ごめんね。これ、フィンランドさんの国花なんだ。あ、でも安心してね?あんまり深くは刺してないから、すぐ血は止まると思うよ。」 
 苦しげにうめくベラルーシを見下ろし、ラトビアはもういちど鈴蘭をにぎりなおした。 
「これで、僕以外には見せられない体になるね・・・。まだ終わらないよ。我慢、できるよね?」 
 にっこりと微笑むと、ラトビアは別の鬱血跡に鈴蘭をつきたてた。 

バタン、と音を立てて、ラトビアは部屋を出た。部屋の鍵はかけなかった。 
ベラルーシの手錠の鍵は、はずしていない。まだ彼女はベットの上に横たわっている。 
 かちゃかちゃと、手のひらで手錠の鍵を弄びながらラトビアは廊下を歩いていく。 
「あ、ラトビア!」 
 少し前のほうからリトアニアが小走りにやってくる。 
「リトアニアさん。どうしたんですか?」 
「さっきロシアさんが探してたよ。まだあっちにいると思うから、いってきなよ。」 
「わかりました。あ、そうだ。リトアニアさん、ちょっと頼みごとしてもいいですか?」 
「? いいよ。なにをすればいいの?」 
「僕、部屋の鍵閉めてくるの忘れちゃって・・・。見られたくないものがあるので、鍵を閉めてきてもらっても良いですか?」 
「わかった。ちょうどそっちのほう行くところだったし。」 
「ありがとうございます。」 
 ラトビアは、ぺこりと頭を下げた。 
「これ、鍵です。」 
 そういって、リトアニアに2つの鍵を渡した。一つは部屋の鍵、もう一つは手錠の鍵だ。 
「大きいほうが、部屋の鍵です。じゃあ、おねがいしますね。」 
 そういうと、ラトビアはロシアがいるというほうへ向かった。途中、振り向くとリトアニアが急ぎ足で角を曲がっていくのが見えた。ラトビアはそれをみて、ひとりくすくすと笑った。 
「ベラルーシのあんな姿見たら、リトアニアはどうするのかなぁ・・・。」 
 興奮するかな?軽蔑するかな? 
あぁ、そろそろ彼は僕の部屋に着いた頃だろうか― 
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// 終わり
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