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12_226-229

 恋の命日(中編)

恋の命日(前編)の続き


今イギリスは、何と言ったのだろう。
脱げ?服を脱げと言ったのだろうか。まさか。
「おい、聞こえないのか?着ている物全部脱げ」
「なっ…」
聞き間違いではなかった。
男に自慰を見られるという恥辱に混乱していたリヒテンシュタインの頭が、警鐘を鳴らす。
この人は危険だ――。
逃げなければ。でもどうやって?
イギリスはドア側にいる。窓から?いや、ここは4階だ。飛び降りられる高さではない。
「手伝ってやるよ」
「!!」
必死に逃げ道を模索していたリヒテンシュタインに、歪んだ笑みを浮かべながらイギリスがゆっくりと近付いて来た。
「あ…いや…」恐怖で声が出ない。体が動かない。
「そんな怯えんなよ…もう半分脱いでるようなもんじゃねえか」
イギリスがベッドの上に乗り、リヒテンシュタインのワンピースに手を伸ばす。
弾かれたように彼女は叫んだ。
「いやぁっ、やめて下さい!誰か、お兄様、助けて!!」
次の瞬間、イギリスの平手が飛んだ。
強い力ではなかったが、殴られた衝撃にリヒテンシュタインは目を見開く。
「…俺は良いんだぜ?スイスに全部ばらしても。
 お前がホテルで兄貴の名前呼びながらオナるような淫乱だって。
 ただ、お兄様はそんなお前をどう思うかなぁ…?」
「…!!」
「お前次第だよ、リヒテンシュタイン。
 どうしても嫌だっつうなら、俺は何もしない。お前の本性がスイスに知られるだけだ。
 それが耐えられないなら――まぁ、大人しくしてろよ」
リヒテンシュタインに選択肢は無かった。
彼女は、本当にこの下劣な男が自分の知っているイギリスなのかと考えた。
しかし、彼の暗い笑みに答えは無かった。

リヒテンシュタインは生まれて初めて、全裸を異性の前に曝していた。
あまりの恥ずかしさに、消えてしまいたかった。スイスに嫌われたくないという強い想いだけが、彼女を支えていた。
ごくり、とイギリスが唾を飲み込む音が聞こえ、更に彼女の恥辱を煽ぐ。
イギリスの手が、リヒテンシュタインの小さな胸に伸びてきた。大きな手が乳房を包み込む。
びくりと震える体。
優しく揉みしだくと、小さな喘ぎ声が漏れる。その声に気を良くしたイギリスは、今度は力を込めて彼女の胸を揉んだ。
「…ふっ、ふぅっ…あ、いやぁ…」
「はっ…こんなに小さいと、かえって揉み辛えよ」
密かに気にしていた事を揶揄され、リヒテンシュタインの顔が赤くなる。
イギリスは、その様子を楽しみながら薄桃色の乳首を指でつまみ、舌を這わせた。彼女の体がびくん、と跳ねる。
もう片方の乳首も指で転がしながら、そのまま赤子の様に吸い付いた。
「ああっ…やめてぇ…」
いやいやと首を振って哀願するが、イギリスは構わず吸い続ける。
チュウ、チュウとわざと卑しい音を立てて吸うと、リヒテンシュタインの固く閉じた瞳から涙が溢れた。
それを見たイギリスは、今度は乳首を舌の先で転がすように愛撫する。すると切ない快楽がリヒテンシュタインの体に走った。
(いや…何、これ…)
「気持ち良いか?リヒテンシュタイン。乳首が立ってきたぜ」
「気持ち良いわけ…ありませんっ」
「へえ?じゃあこれはどういうことなんだ?」
彼女の秘所に触れる。そこはすでにとろとろと蜜を零していた。
「ああっ、いやぁ…触らないで下さい…」
「嫌じゃねーだろ。こんなにぐちょぐちょにして、本当は気持ち良いんだろ?」
「お願い…やめて…」
聞きたくない、と耳を塞ごうとするリヒテンシュタイン。しかししっかりと手を捕まれ、それは叶わなかった。
「よく聞けよ」
イギリスは指を一本、彼女の蜜壺に差し込んだ。あまり痛みは無かったが、異物感に彼女の顔が歪む。
ゆっくりと指を動かすと、くちゅくちゅと恥ずかしい音がして、リヒテンシュタインの口から喘ぎ声が漏れた。
「好きでもない男に辱められて感じてんだよ、お前は。それともお兄様にされてる妄想でもしてたか?」
お兄様、という言葉にリヒテンシュタインは我に返った。
イギリスの愛撫に感じてしまった自分はまるで兄を裏切っている様な罪悪感に駆られた。
そこにイギリスは冷酷に追い討ちをかける。
「それにしても、淑女で通っているリヒテンシュタインがこんな淫乱女だったとはな。
 あの潔癖なスイスが知ったらお前…どうなるんだろうなぁ」
「ああ…そんなこと、言わないで下さい…」
初めて男に体を自由にされて、何も感じない少女がどこにいるだろうか。リヒテンシュタインの反応は、極めて自然な生理現象だった。
しかし、彼女は経験が無い故にイギリスの言葉を鵜呑みにし、自分の体が淫らなものだと思い込む。
――兄に知られたら、絶対に軽蔑されてしまう。いや、もう自分には彼の妹を名乗る資格など無いだろうか。
「俺と一緒に堕ちようぜ…リヒテンシュタイン」
リヒテンシュタインはまだ信じられなかった。これが、あの優しいイギリスの本性なのだろうか。
確かに彼の他国からの評判は良くなかった。あまり近付かない方が良いとも言われた。
しかし彼はただ不器用なだけで、周りが彼の優しさに気付いていないだけなのだと思っていた。それなのに。
絶望の中で、リヒテンシュタインはイギリスの顔を正面から見た。どこか狂気を孕んだ、歪んだ表情。
やはり彼女の知っているイギリスでは無い様な気がしたが、涙で霞んでよくわからなかった。
イギリスは、涙を溜めながら自分の顔を見つめるリヒテンシュタインを静かに見下ろした。
彼女はまだ現実が受け入れられないのだろう。
自分は彼女の前では常に紳士だった。現に今日も、会いたいと言われればこうやって彼女が泊まるホテルまで出向いた。
けれど、どんなに優しくしてもリヒテンシュタインの想いが自分に向くことは無いのだ。
心が手に入らないならば、せめて体だけは自分のものにしたい。
その思考を異常だと思う程の理性は、イギリスには残っていなかった。
「おらっ、足開け。全部見てやるよ!」
「いやあっ、やめて!見ないでぇ!」
リヒテンシュタインの両足をしっかりと掴み、無理やりに開かせる。彼女は必死に抵抗したが、力の差は歴然だった。
「へぇ、すげぇな…」
「見ないで…見ないで下さい…」
陰毛も生え揃ってない、リヒテンシュタインの秘所が露わになる。
男を知らないその部分は、蜜壺から溢れた愛液ですでにぐっしょりと濡れていた。
今まで娼婦の商売道具としてのそこしか見た事の無いイギリスは、異様な興奮を覚えた。
「はは…お前の恥ずかしい部分、丸見えだな」
あまりの仕打ちに、もうリヒテンシュタインは言葉を発することが出来ず、ただ嗚咽を漏らしていた。
イギリスは本能の赴くまま、彼女の秘裂に口を付ける。
「ひっ…あああっ!」
リヒテンシュタインから今まで一番大きな声が上がった。
その声に更に劣情をそそられたイギリスは、ひたすら溢れる蜜を吸う。
「あっ、あっ…ああっ!」
陰核を舌でつついてやると、彼女の体が快楽に震え、蜜の量が増した。
それらを余すこと無く吸い上げ、やっと口を離すと、リヒテンシュタインは息も絶え絶えに横たわっていた。

自らも全裸になり、イギリスはリヒテンシュタインの上に覆いかぶさった。身を固くする彼女の首筋を舌で舐め上げる。
それだけの刺激で体を震わせる彼女に気を良くしながら、自分の勃起した赤黒い肉棒を見せつける。
「……!」
「よく見ろよ。これが今からお前ん中入るんだぜ?」
目を逸らすリヒテンシュタインの頭を押さえつけ鼻先まで近付けてやると、いよいよ犯されるという恐怖の為か、もう涸れ果てたであろう涙が溢れた。
そのまま奉仕させてやっても良かったが、興奮が極限まで達したイギリスの肉棒はこれ以上無いほどそそり立ち、もはや限界だった。
亀頭をリヒテンシュタインの秘裂に添える。もう体に力が入らないのか、先程の様な強い抵抗は無かった。
「挿れるぞ…」
「……っ」
挿入する瞬間、イギリスとリヒテンシュタインの瞳が合った。
その一瞬、イギリスはリヒテンシュタインの無垢な笑顔を思い出した。思わず動きが止まる。
しかしそれは、本当に一瞬のことだった。
イギリスの欲望が彼女の蜜壺に押し入っていく。
まだ男性を受け入れたことの無いそこは狭くきつい為、少しずつ腰を押し進めるしか無かった。
「くっ…」 
痛みにリヒテンシュタインの顔が歪む。泣き叫ぶかと思ったが、悲鳴は無かった。
体は征服されても心は屈しないという事を、彼女なりに示しているのかもしれない。
しかしその様子が逆にイギリスの嗜虐心に火を点けた。
何とか屈服させてやろうと、更に深く彼女の中に侵入する。そして腰を浅く前後に動かす。
「ほら、もっと声出して良いんだぜ…?」
「つうっ…うう…」
リヒテンシュタインが純潔であった事を表す鮮血が太腿を流れ、白いシーツに点々と飛び散った。
しかしイギリスは気にすることなく、快楽を求め腰を振り続ける。
皮肉なことに、その血のせいで徐々に腰がスムーズに動くようになってきていた。それに気付いたイギリスは、一気に腰を押し進めた。
ミチミチと膣を押し広げる感覚。
「ああっ…あああっ!!」
ついに、リヒテンシュタインは悲鳴を上げた。イギリスの口元がつり上がる。
最も深い場所で繋がったのがお互いに分かった。
「はは…全部入ったな…」
「……」
「どんな気分だ?好きでもない男に処女を奪われるってのは。初めての相手が俺で残念だったな」
「……う…」
我慢していた嗚咽が、再びリヒテンシュタインの口から漏れた。
「悔しいか?でも、すぐ気持ち良くしてやるよ」
そう言ってイギリスは律動を開始した。生温かく締め付けてくるような女性の膣の感触は初めてでは無かった。
けれど、愛している人と繋がるのは、初めてだった。




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