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12_402-409

 旧サイゴン市街にて

【メインCP】 アメリカ×ベトナム
【傾向】 愛なしエロ控えめ
【その他】
ちょっと政治的、歴史的要素が入ります
エロも愛もカロリーオフで


「お願いがあるんだけど」
戦後処理のための会議で、たっぷり賠償金をふんだくってくれた女狐が、上目遣いにまだ
そんなことをぬかした。
「まだ何かほしいのかい?貪欲が良しとされるのはステイツの中だけなんだぞ」
皮肉たっぷりにそう返してやると、ベトナムはきゅっと眉をひそめた。アジア人らしく
童顔の彼女は、そうして困ったような顔をしているとどこかいたいけで、こちらが
悪いことをしているような気分になって困る。
「あー、OKOK。一体なんなんだい?」
「子供を引き取ってほしいの」
「子供ォ!?」 
何を言っているんだ、とアメリカは素っ頓狂な声を上げてベトナムをまじまじ見つめた。
「そうよ。戦争で親を亡くしてしまった子供がね、ここにたくさんいるの。
ねぇ、アメリカに連れて行ってあげてよ」
「あんだけいろいろふんだくっておいて、まだ金を出せって?キミはとんでもない強欲なんだぞ!」
非難もあらわに親指を下に向けて突き出し、唇を尖らせるアメリカに、ベトナムは目を伏せた。
真っ黒いまつげがつやつやとしていて、そういえば彼女はなかなか美人だとアメリカは考え、
じっと彼女を見つめた。
「お願いよ。あんたにしか頼めないの」
細い指を組み合わせ、ベトナムはなおも言い募ってくる。そのはかなげな風情にはからずも
ムラっとしてしまい、アメリカはニッと笑った。アジアンビューティーは嫌いじゃない。
「…OK。いいよ、呑もう。でも、タダでなんて言わせないんだぞ」
「もちろん。相応のお礼はするわ」
嬉しげに表情を緩めたベトナムの腕をひっつかみ、アメリカは彼女に顔を寄せた。きめ細かい
肌からは、オリエンタルないいにおいがする。
「一発ヤラせろよ。わかるだろう?」
彼女はかぁっと目を見開き、心底忌々しげな表情を浮かべた。しかし、すぐに不快感をひっこめると、
小さくため息をついてうなずいた。
「わかったわ―――明日、またここに来て」

指定されたのは真昼間だった。かつての宗主国の存在を思わせる、仰々しいつくりの迎賓館の
きれいなソファにどっかり座り、ガムを噛み噛みアメリカは彼女を待っていた。日の高いうちからの
セックスは大好きだが、彼女もそうなのだろうか。あんな顔していやらしいやつ、と
若干ニヤつきながら待っていると、不意にドアが開いた。
「待たせたわね―――行きましょう」
「ここでするんじゃないのかい?」
「……ここはもうサイゴンじゃないのよ」
あんた余裕ね、とだけ言い添えて、ベトナムはさっさと部屋を出てしまった。軽く肩をすくめて、
アメリカもその後に続く。
自分を先導するように歩くベトナムは、憎らしいことにカーキの軍服の上着を着ていた。
薄汚れてところどころすりきれたそれは、明らかに男物で、小柄な彼女には大きすぎた。
上着の裾からはすんなりとした素足がのぞいていて、それがなんとも言えず色っぽくて
つい凝視してしまう。昨日話したときはあんなにいやそうだったくせに、とアメリカは唇を尖らせる。
でもまぁいい。この女の仲間は、表面上はニコニコ笑っていても、いつ襲い掛かってくるかわからない。
この国を知るのに、表情は何の指標にもならないのだ。自国の兵士たちはその変貌に散々悩まされ、
心を壊した。今日はたっぷりその仕返しをしてやろう。そう思うと現金なもので、体の一部が
むくむくと元気になってきた。そういえば先の戦争のせいで、最近めっきりと女日照りだ。
案外、これはラッキーな取引だったかもしれないと、アメリカは口元を緩めた。
「ここよ」
つれてこられたのは、ホテルでも家でもなく、薄暗い路地裏だった。湿っぽい、ひどく
じとっとした場所で、下水の匂いが鼻につく。時折、くたびれた様子の若い女がそこここを
行き来する以外は、ひどく静かでもあった。
「おいおい。キミはこんなトコでするのが好きなのかい?」
からかうつもりで言ったのに、ベトナムは何も答えなかった。アメリカは肩をすくめ、
大げさに首を振ってみせる。
「もっとムードとかないのかい?そりゃあヒルトンのスイートとまでは言わないけど、
もう少し……」 
ぶぅぶぅ文句を垂れるアメリカを横目に、ベトナムは着ていたカーキの上着を脱いだ。
「おっ」
軍服の下は、ピンクのアオザイだった。袖のないデザインのそれからは、華奢な二の腕が
むき出しになっていて、ベトナムの線の細さをますます際立たせていた。
セットのズボンを脱いでいたために、短く切られたアオザイのスリットから、白いふとももが
大きく覗いている。そうなると現金なもので、アメリカはにやにや笑いながらベトナムを観察した。
「へぇ……なかなかクールなドレスだね。いいねぇ、セクシーだ」
意図的に低い声を出しながら、アメリカはベトナムに近づく。彼女はちらりとアメリカを一瞥すると、
壁に手を突いて形のいい尻を突き出した。
「さぁ、好きにして」
突き出された臀部に下着はついておらず、アメリカは思いのほか興奮してしまった。
アオザイ越しにその感触を確かめ、相好を崩す。細い細いウエストと腰の割に、尻には肉が
むっちりとのっていて、色っぽい。よく考えたらこの女は自分よりうんと年上なのだ。
この滴るような色気もさもありなんと、アメリカは極上の双球をなでまわしながら考える。
「んっ……ふ、………あぁ」
耐えるように吐息をこぼしているベトナムに、アメリカはますます有頂天になった。
はたして後ろの穴は使用可能だろうかと下卑た笑いを口の端にのせつつ、
ベトナムの耳たぶに歯を立てる。
「あんっ」
突然の痛みに、ベトナムが声を上げた。慰めるようにそこに舌をはわせ、尻をなでていた手を
ゆっくりと上に持ち上げていく。両手でつかめそうなウエストを超えて、
やわらかな膨らみにたどり着く。
上等そうなアオザイ越しに触れた胸にも、もちろん下着はついていなかった。
ゆるく握ると、ベトナムがまたため息をつく。敏感な女だと思い、アメリカはその細い首筋に
吸い付く。彼女のしみ一つないすべらかな肌に、赤い花が咲く。
「ぅん……うふ…ん、あっ……」
面白いくらいに自分の手の中で形を変えるそれをもみしだきながら、アメリカは丸い臀部に
自分の腰を押し付けた。すっかり固くなっているそれに、ベトナムはいやいやと首を振る。
「あっ、嫌……硬い、わ…」
「そろそろ、こっちも可愛がってあげようか?」
にやりと笑い、アメリカはアオザイの裾をめくった。白い皮膚が覗く。細身の体に比べると、
そこはやはり肉付きが良かった。アメリカはぴゅうっと口笛を鳴らす。
柔らかな内腿に手を這わすと、そこはしっとりと湿っていた。感じているようだとニタニタ
笑いながら、先ほどから自分を誘うなめらかな形の尻に手を這わす。直に触れると、
そこは想像以上に暖かく、やわらかくそれでいて吸い付くような感触だった。そこをめちゃくちゃに
撫で回し、時折からかうように窄まりをなでる。ベトナムは小さく震えている。
「さぁて、そろそろプッシーに欲しくなったんじゃないか?」
「そうね、はやくして……」
うめくように、ベトナムが振り返りながらそうささやいた。黒い瞳はアメリカを捉えると、
ふっと微笑んだ。媚びるわけではなく、むしろ可笑しそうに。
その微笑になんだか嫌なものを覚えながらも、アメリカはベトナムのスリットに指を這わした。
熱く、濡れた感触。指を滑らせると、とろりとした液体がぬるぬるとまとわりついてくる。
「おいおい、どうしたんだよこの濡れ方!キミはそんなに感じてるのかい?」
びしょびしょと形容してもよさそうなそこの様子に、アメリカが嬉しげに声を上げた。
メガネの奥の目は興奮に潤み、頬も赤く息も荒い。ベトナムは相変わらず首をねじって
アメリカを見つめている。
「だって見て見ろよこれ、キミ……」
はぁはぁと犬のように呼吸を早くしながら、アメリカはぬめる自分の指を見つめた。
そしてその刹那、固まった。

「……どうしたの?ねぇ、早く頂戴よ」
ベトナムが芝居がかった甘ったるい声を出してねだる。しかし、アメリカは動かない。
凍りついたまま、瞬きひとつしない。
「……おい、これって」
「なぁに?」
ようやく上がったアメリカの声は震えていた。ベトナムは相も変わらず猫じみた、底知れない
微笑を浮かべている。
「ふざけるな!このビッチ!これ、どうみたってスペルマだろ!!お、お前何考えてるんだよ!!
Damnit!!!ふざけるなよ!!shit!!」
生臭い白濁で濡れた自分の指を振り回しながら、アメリカが激昂した。ぎゃあぎゃあわめく
大声にもベトナムはどこ吹く風で、相変わらず微笑んでいる。
「だったら?」
「だったら?だったらってどういうことだよ!!お前、俺をバカにしてるのか!?
どうして俺がイエローモンキーのスペルマの中につっこまなきゃいけないんだよ!!」
アメリカは他人の精液をさわってしまったのがよほどショックだったのか、
顔を真っ赤にしてわめきたてている。
「あら、だったら大丈夫よ」
「何がだよ!!」
「今日のお客さんはみんな北の方だったもの」
あっさりと言い切ったベトナムに、アメリカはひゅうっと息を呑んだ。そして、そのまま
ずるずるとその場にへたり込んでしまった。あんなにヤル気になっていたのに、
今はもう激しい徒労しか感じない。
「ふざけるなよ……勘弁してくれよ…」
泣き出しそうに顔をゆがめ、アメリカは大きくうなだれた。ベトナムはしばし思案するように
彼を見つめると、その傍らにしゃがみこんだ。
「とりあえず、約束は果たしましょ」
ベトナムはなんでもないことのようにそういうと、アメリカのベルトをはずし、
ズボンのファスナーを下ろした。
「やめろよ!」
驚いたのか、アメリカは手を振り払ったが、ベトナムは気にしないでそのまま下着もずり下ろし始める。
華奢な腕のどこにそんな力があるのか、と半ば驚いてしまうほどの強引さをもって
彼女はアメリカの服を剥く。
「いい加減にしてくれよ……もう…」
怒鳴ろうにも、もう気力がそげてしまったのか、アメリカは力なく首を振った。
ベトナムは淡々とアメリカの萎えてしまったそれを取り出すと、細い指を絡めてしごきたてた。
「あらあら、全然大きくならないのね。これじゃあ入れられないわよ」
からかいまじりのベトナムの言葉にも、アメリカはちょっと目をやっただけですぐにうなだれた。
実際、彼のそれは相変わらず萎えたままだ。あきれたようにため息をつき、
彼女はおもむろに体をかがめた。
「一発できればよかったのよね?」
確認するようにつぶやき、ベトナムはいきなり指を絡めていたものを口にくわえた。
さすがにおどろいたのか、アメリカが体を固くする。
「やめろよ!」
「大丈夫。口は今日はじめてだから」
気色ばむアメリカに淡々と言い返し、ベトナムは奉仕を続けた。唇をすぼめて、しごく。
かと思えば口から出して伸ばした舌で舐めあげる。筋にそって舌を這わせ、先端に吸い付いて
下品な音を立てて先走りを飲む。そのまま全体を口に収め、頬の内側の粘膜にすりつけたりと、
彼女のテクニックはなかなかのものだった。さすがにそこまでされると萎え切っていた
アメリカも元気になってくる。
「やめ……やめろ…っ!!Fuckin’bitch!!……畜生!畜生!」
大きくなったそれを挑発的に舐め上げるベトナムに、アメリカは弱弱しく抵抗した。
しかし、あまりの快楽に声は振るえ、腰が抜けそうになってしまう。久々に感じる女の唇は、
それが売女のものでもこの上なく甘く、やわらかかった。ほとんどすすり泣くように声を上げる
アメリカを尻目に、ベトナムは仕上げとばかりに先端を咥えてぢゅうっと吸い上げた。
「あ、あ、あっ!あぁ、だめだっイく……っ!!うぁあああああああああああ!!」
情けなくも大声を上げ、アメリカが果てた。びくびくと脈打つそれを頬で感じたベトナムは、
吐き出された濃い白濁をのどを鳴らして飲み込んだ。ちゅぽ、と口を離すと、彼女は
にやりと笑った。濡れて光る薄い唇が、ひどく淫靡で、また恐ろしかった。

「約束どおり、子供は引き取ってね」
相変わらず路地裏で、足を投げ出して放心しているアメリカの横で、ベトナムがつぶやいた。
華奢な指には不釣合いな太いタバコが、煙をあげている。
「……いつも、こんなことしてるのかい?」
メガネをはずし、眉間をもみながらアメリカが問いかけてきた。目を合わせたくないらしい。
みえすいたポーズにベトナムは薄く笑った。
「あんたに引き取ってほしいのは、みんな戦争の間に生まれた子。鼻が高くて色も白いわ」
タバコをくゆらせ、不明瞭な発音でベトナムがつぶやいた。アメリカは顔を上げない。
「その子たちの母親は、戦争で死んで、父親は国に帰っちゃったわ。そして新しい国は
南で生まれた混血児が大嫌い。そういう子達はね、ゴミクズって呼ばれて虐げられてる」
小さな、あどけない横顔でベトナムは煙を吐き出した。黒い瞳はどこも見ていない。
ただぼんやりと、路地裏から見える表のとおりに目を向けている。
「南にはもう力がない。北がそんな子達をどうにかしてくれるわけがない。
だからね、時間が空くと道にたつの。そうすれば、随分たくさんの子が助かるんだもの」
「キミは、それでいいのかい?」
アメリカの問いに、ベトナムは彼を見つめた。それから、小さく笑う。
「私は国だから。それに、子供に罪はないわ」
奇麗事を、とつばを吐いてやりたいとアメリカは思った。しかし、そんなことを言った
ベトナムの唇の端に、白く乾いた残滓がこびりついているのを見て口をつぐんだ。
彼女は、確かに本気なのだ。本気で、子供たちを守ろうとしている。やり方はどうであれども。
「……子供、引き取るよ。きちんと、国につれて行く」
「本当?」
立ち上がり、ズボンを直しながらアメリカがそう言った。ベトナムは信じられないというように
上目遣いにアメリカを見やる。
「ああ。約束は守るさ。何せ俺はヒーローだからね」
「よく言う」
くすくす笑うベトナムの目じりには、くっきりと疲れの色が出ていた。
なんだかやるせない気分になって、アメリカはベトナムの手首をつかみ、タバコを咥えた。
随分と重たく、強いにおいのするそれが、一層むなしさを引き立てた。
体をかがめてタバコを吸う若い男の頭に、ベトナムはそっと頬を寄せた。



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