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 Poor, Unfortunate People

【メインCP】ロシア×ウクライナ
【サブCP】エストニア×ウクライナ、ロシア×ベトナム
モブ×ウクライナ
【傾向】愛なし
【その他】ウクライナが性悪です。エロ度低め。冷戦時の東側でのお話。
ロシアもひどい男です。


ふと思い立って窓辺にたった。窓の外では、もう雪もやんでいる。雪夜は降っている間は
少し明るいものの、止んでしまえば常より暗く感じられて好きではない。私は、今日もここに白く閉じ込められている。

私の名前はウクライナ。今は、弟の家に同居している。昔みたいに兄弟みんなで住めて嬉しいねと
弟は笑っているけれど、私は到底そうは思えない。でも、弟を傷つけたくなくてそうだねと笑っていたら、
あれよあれよと国は広くなり弟は強くなった。
とはいえ、ここ最近はずっと平和だ。目立った争いもないし、弟は最近手に入れた女に夢中だ。
女は黒い髪のアジア人で、びっくりするくらい華奢だ。そのくせ負けん気が強くて、弟の目下の敵の
アメリカをも打ち負かしたのだから、たいしたものだと思う。
まぁ、私にはまったくもってどうでもいいのだけれど。

「ウクライナちゃん!」
ばしんと大きな音ともに部屋に転がり込んできたのは、ハンガリーだった。この子も割合最近この家にやってきた。
当初は弟が気に入って手元においておいたのだけれど、最近はあのベトナムにすっかりお株を奪われてしまっている。
「ウクライナちゃん!お願い、助けて……っ」
ハンガリーらしくもなく、彼女は震えて泣きじゃくっていた。目も鼻先も真っ赤で、
そういう顔は私に子供の頃を思い出させる。今より泣き虫だった自分や、弟や妹の顔なんかを。
「どうしたの?ハンガリーちゃん、泣いてるだなんて」
思わず駆け寄って肩を抱き寄せると、彼女はすがり付いてきた。騎馬民族の血が入っているためか、
彼女は小柄ながらも随分しっかりした作りの体だったのに、今はすっかり痩せ細っている。
「お願い……もうここにはいたくないの……お願い、家に帰して……」
「どうして?ロシアちゃんに何かされたの?」
泣きじゃくるハンガリーは、私にそう懇願した。気丈な彼女のこと、弟の大概の要求は呑んでいた
(もちろん、彼女の意思がどうかというのはまた別の話だけれど)。今回はよほどひどい目に
合わされたのだろう。事実、頬が不自然に赤くはれ上がっているし、服もところどころう破けている。
乱暴されてかわいそうに、と思い子供にするように髪をなでてやった。すがりつくハンガリーの指が腕に食い込んで少し痛い。
「もう嫌……家に帰りたい……オーストリアさんのところに帰りたい……」
「どうしたの?泣いてちゃわかんないよ?」
とりあえず指をはずさせようとそちらに目を向けると、いつもはめていた銀の指輪がなかった。
オーストリアちゃんにもらったものだという、彼女の宝物。はずせとどんなにロシアちゃんが言っても、彼女は言うことを聞かなかった。
なのに、今はそれがないということは、無理やりに奪われてしまったのだろう。
「ハンガリーちゃん、指輪を取られてしまったのね?」
私の問いに、ハンガリーは大きくうなずいた。何の変哲もない、ただの指輪だと私は思うけれども、彼女にはそうではなかったらしい。
おそらく、唯一の心のより所だったのだろう。殴られようが犯されようがへこたれない彼女だったのに、
指輪ひとつでこんなにも動転している。
「わかったわ。ハンガリーちゃん、きちんとロシアちゃんに言ってあげるわ」
同情する気持ち半分、いい加減に指をはずしてほしいと思う気持ち半分で、私は彼女にそう告げて
無理やり体をはずした。彼女はそれでも床に崩れて泣いている。
「こんなところにいたの」
音もなくドアが開き、入ってきたのはベラルーシだった。相も変わらず雪のように冷たく美しい私の妹。
彼女はその秀麗な眉を思い切りしかめて、泣いているハンガリーを指さした。
「こいつはろくでもない女ね。兄さんがせっかく仕事を与えてくれたのに、嫌がった挙句兄さんの部屋を飛び出して」
「仕事ってベラちゃん、何の仕事?」
「………知らないわ。私には兄さん、何も言ってくれないから」
私の問いかけに、妹は少しすねたような顔になった。妹は、彼女の兄であり私の弟である
ロシアちゃんを愛している。それはもう深く、熱く。
「とにかく、早くしなさい。兄さんは怒っていたけれども、ありがたくも許してくれるそうよ」
「嫌です!嫌!嫌!お願い、家に帰して!夫が、夫が待っているんです!!」
ハンガリーは喉も裂けよと大声で叫び、長い髪を振り乱して抵抗した。
わぁわぁ泣いている彼女に、妹は心底嫌そうな顔をした。が、すぐに近づきその腕を引っ張り上げた。
「やめてっ!」
「いいから早く!兄さんがそう言っている」
いささかの苛立ちをにじませて、妹がハンガリーを引きずろうとした。ハンガリーはまだ泣きじゃくっている。
何もかもが面倒くさくなって、私はため息をひとつついた。
「ベラちゃん、その状態でハンガリーちゃんに仕事をさせるなんて無理よ。
私が代わりにするわ。ロシアちゃんには、お姉ちゃんがちゃんというから」
仲裁に入った私に、妹はすっと目を眇めて軽蔑しきったような表情を見せた。
ハンガリーの腕を放し、私に向き直る。
「そういう風に、誰にだっていい顔するのね
言われた意味がわからなくてびっくりしていると、妹は不意に傷ついたような顔をして見せた。
それからすぐに顔を背け、足早に部屋を出て行く。
「ベラちゃん!」
廊下を覗いても、もう妹の姿は見られなかった。私はもう一度だけため息をつき、
そして弟の元に向かった。

「ロシアちゃん、お姉ちゃんよ」
この家の中で一等広い執務室に、弟はいた。彼のそばにはベトナムが影のように控えている。
「やぁ姉さん。一体どうしたの?」
弟は歌うようにそう言った。大きな体に子供っぽい笑み。彼は昔から変わらない。
「ん……ハンガリーちゃんの仕事ね、お姉ちゃん代わってあげようかなって」
自分でも媚びた笑顔だと自覚している表情で、私はにっこりしてみせた。
弟は目を見開き、それから大げさに肩をすくめた。
「ハンガリーはいけない子だね。きちんとお勤めを果たさないで」
「ロシアちゃん、ハンガリーちゃんの指輪取っちゃったでしょ?あれ、あの子の宝物なのよ」
ゆっくりと弟に近づき、私は彼を懐柔するようにその頬に触れた。弟は腕を伸ばし、私の腰を抱き寄せる。
「だって、お客さんたちが嫌がると思ったんだもん。仕方ないよ」
「お客さん?」
「そう。今日は上司のお客さんたちがたぁくさん来てるから、ハンガリーにお相手してもらおうと思ってたのにさ」
私をひざの上に乗せて、弟はまるきり子供のような口ぶりで私に訴えた。弟の言葉に、私は反射的に顔をしかめた。

彼の上司のお客さんというのは、往々にして最低の人間だ。私たちが国だから、
なにをしても傷つかないと思っていつも私たちを好き放題蹂躙していく。
私も、そういう相手にさせられ奴隷よりも惨めな目に合わされたことがないわけでもない。

そのまま弟の頭を抱きしめてやると、彼は私の胸に顔をうずめる。彼の頭越しにベトナムと目が合う。
彼女は心底理解できないというような顔をしていたが、かまうもんか。
「あらあら。でも、無理やりに取っちゃったからハンガリーちゃんは泣いてるわ」
めっ、とその鼻先に人差し指で触れると、弟が顔を上げた。その顔はもう先ほどまでの無邪気な弟の顔ではなく、
冷たく残忍な、独裁者の顔つきだった。
「だって、ハンガリーが悪いんだよ。もう僕のものなのに、いつまでも別れた男のことを引きずってるんだもん」
「………そうね。ハンガリーちゃんも、諦めが悪いわね」
今は調子を合わせておけと私の本能が警告してきた。だから、私は弟から目をそらし、
頬を彼の頭に当てた。弟は何も言わず、私のブラウスのボタンをはずしはじめる。
粗末なブラウスはすぐに捲り上げられ、弟の手が胸に伸びてくる。つけていた下着までまくられて、
素肌が外気に触れた。そこが、弟の大きな手のひらに包まれる。
「ロシアちゃん、イタズラしないで」
面白くもなんともなかったけれども、私は笑いながら弟をたしなめた。
弟はきっと、私が冷め切っているのを知っている。だからか、手のひらに力を込めてますます熱心に
胸をもみしだく。
「ふぁあんっ……もう……ロシアちゃんったらぁ」
くにくにと乳首をいじられ、私はおもわず甘ったるいあえぎ声を漏らしてしまった。
弟の手は大きいから、私の胸がうまい具合に包まれる。それに、ちょっとした愛撫も他の男に比べて巧い。
私がいやいやと身悶えていると、弟はすっかりとがったそこに吸い付いてきた。
「ハンガリーは、情にあつい子だとおもってたんだけどなぁ」
出し抜けにそうつぶやき、期待はずれだと言わんばかりに弟は眉をひそめた。
弟の愛撫を受けながら、私はぼんやりした頭でそれでもそれは違うと思っていた。
彼女は情にあついわけではなく、それだけ件の夫に愛情をもっていたというだけだ。誰彼かまわず愛しているわけではない。
「んんっ……ロシアちゃ、咥えたまま……しゃべっちゃ嫌…ん」
だんだん考えるのが面倒くさくなって、私はひたすらに喘いだ。弟は気を良くしたのか、
ますます派手に吸い付いてくる。舌を絡められたり歯で甘噛みされたりするとたまらなくて、腰をくねらせた。
ズボンの下で、下着がじんわりと濡れてきているのが良くわかる。
「あ、あは…ん、ろしあ……っちゃあん……も、下も触ってぇ……」
こうなってしまうともうとめられなくて、私は恥も外聞もなく弟に次をねだった。
早く熱くなったそこに触ってほしい。早く弟の大きいそれを挿れてほしい。そしてメチャクチャに
してほしい。もうそのことだけで頭がいっぱいになってしまって、私は犬みたいに浅ましく、
弟の腰に自分のそこをぐいぐい押し付けた。ベトナムはいよいよ薄気味悪そうに、
軽蔑しきった目をしてこちらをみている。
「でも、お客さんはまだ待ってるから、姉さん、代わりに言ってくれるよね?」
私の胸から口を話して、わざとらしいくらいに無邪気な声で弟が言った。
途端、体温がすぅっと冷めた心地がして、私は顔をゆがめた。
「……ベラちゃんは?」
なんとかこの危機を切り抜けたくて、私は媚びた笑顔を再び作った。しかし弟はにっこりして
大きく首を振る。
「ベラルーシは他のお客さんの所に行くんだよ。ねぇ姉さん、エストニアを今から呼ぶから、
連れて行ってもらうといいよ」
ベトナム、と弟は鋭く控えていた女を呼びつけ、エストニアを迎えにやらせた。
やせた体に似合う薄い素材の民族衣装が寒々しくもエロティックで、弟はこの後この子を抱くのだろうなと思った。
私は乱れた呼吸をおさめるように二三度大きく息をついた。
「失礼します」
数分後、戻ってきたベトナムは弟の指示通りエストニアをつれてきた。メガネをかけた細面の美男子は、
イスに腰掛ける弟とそのひざの上にいる私を見て、気まずそうに目をそらした。
「エストニア、お客様たちが客間でお待ちかねなんだ。姉さんを送っていてくれるね?」
私をひざから下ろして、弟はにっこり笑った。大きな笑顔。エストニアは信じられないというように
ぱちぱちと瞬きし、私を見つめた。私はうつむいて、はだけた胸元を直した。
「エストニアくん、お願いね……」
かすかに唇をゆがめるようにして微笑みかけると、エストニアは切なそうに眉根を寄せた。
その顔が殊のほか素敵で、私は彼から視線がはがせなくなってしまう。
「……わかりました。ウクライナさん、行きましょう」
ロシアちゃんに一礼して、エストニアは私を促した。ロシアちゃんはさっそくベトナムを
ひざに乗せてその首筋に顔をうずめている。ベトナムはすっとこちらに視線を送ってきたが、
私は無視してエストニアに続いた。

「なんか、ごめんね。私、一人でも大丈夫だけど、ロシアちゃんが心配性で……」
廊下をさくさく歩くエストニアの背中に向けて、私は声をかけた。
「それにしても、困ったなぁ。お客さんに会うのに私、こんな格好で。
せめてお風呂に入りたかったんだけれど、ダメかなぁ―--」
なんとなく思ったことを話し続けていると、いきなりエストニアは立ち止まり、私の手を引いた。
柱の影に押し込まれ、そしてそのままきつく抱きしめられる。
「ウクライナさん……っ」
押し殺した、苦しそうな声でエストニアが私を呼んだ。私はそれだけでもう、彼が私を
どう思っているかわかってしまう。私は唖然とする反面、やっぱりとほくそえんでしまった。
「エストニア君……?」
ちっとも驚いてなんかいないくせに、私の喉は戸惑ったような弱弱しい声を出す。
エストニアはますます私を抱きしめてきた。力強い腕と胸板にうっとりしてしまう。
「僕は……強くもないし、貴女を守ることもできない……けど、いつでも貴女の味方ですから……」
泣き出しそうな声でささやかれ、私はエストニアの背にそっと腕を回した。
エストニアの体は、少し震えていたけれど温かだった。
それから少しの間抱き合って、エストニアは私を解放してくれた。
キスのひとつもされるかと思ったけれど、何もなかった。私はがっかりしてしまう。純情な子。
「エストニア君、ここでいいよ。私、一人で行くから」
この先に起きることを見せるのが忍びなくて、私は客間の少し前の廊下でエストニアに
そう言って見せた。彼は相変わらず辛そうな顔をしていたけれど、私に向かってうなずくと
そのまま帰って行った。

客間までの道のりをだらだら歩きながら、私は考えた。私は知らない男と寝ることに別段抵抗は感じていない。
それは結局、私は誰も好きではないということだ。ハンガリーもベラルーシもエストニアも、
こんな所で恋しているなんてばかげている。誰かを好きになっても、この雪国では疲弊するだけだ。
無駄な体力は、使わないに越したことがない。愛だの恋だのじゃ、国民のおなかはふくれないし
自分の身の安全も得られない。

「失礼いたします」
ノックをしてドアを開けると、一見上品そうな男が5人いた。年齢も国籍もばらばらだが、
みな上等な服を着て身奇麗にしている。しかし、その目はそれぞれ獰猛そうで、
ぎらぎらと粘っこい光をたたえながら私の体を凝視している。
「ウクライナです。本日は皆様方のお相手をさせていただきます。至らないことも多々ございますが、
弟ともどもよろしくお願いいたします」
私が口上を述べると、それを皮切りに男たちが動いた。あきれるくらい大きなベッドに
放り投げられ、すぐに男たちが覆いかぶさってきた。全身をめちゃめちゃに撫で回され、
オーバーに喘いで見せながらも、私はもうすでにぐったりしていた。
そして疲れ果てた頭で、思った。

 なんてかわいそうなハンガリーちゃん。大好きなオーストリアちゃんと離れ離れで。
 なんてかわいそうなベラちゃん。私なんかのために自分を貶め傷ついて。
 なんてかわいそうなロシアちゃん。力はあるのに、誰からも愛されないで。
 なんてかわいそうなエストニア君。私なんか好きになっちゃって。
 そして何より。

「……あぁ、なんてかわいそうな私」

見知らぬ男たちに犯されながら、私はつぶやいた。そして、大きくため息をついた。



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