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 夜から朝へ、また夜へ

99 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2010/04/18(日) 22:52:11 ID:PRFwT5FY
そいや裸エプロンネタってないような気が。 
ハンガリーさんが二重帝国時代にやってたら萌える。 

【メインCP】 オーストリア×ハンガリー
【傾向】 純愛
【その他】 エロ描写はなし(肉体関係にはある設定)

>> 99を見た勢いで書いた二重帝国時代の裸エプロンネタ
ラブコメってる感じです


「ん……」
窓から差し込む穏やかな光と、庭から聞こえる小鳥のさえずりに目を覚ます。
「朝……ですか」
オーストリアは隣でいまだすやすやと寝息を立てている伴侶を起こさないよう、
ゆっくりと上体を起こした。
「……う」
あたたかな布団の中から急に外気にさらされ、少しの寒気を覚えてから思い出す。
昨夜の行為のあと、汗を流すどころか服も着ずに寝てしまっていたのだった。
そう、確か昨夜は随分とおねだりをされて、それで何回目だったか、もう体力が
もたないだろうと心配になった頃、案の定彼女は絶頂の直後に落ちてしまって
ああやっぱりと思いながら、少し休ませてから起こして風呂に入らせようと考えていたのに
やわらかい彼女を抱きしめていたら、その心地よさにそのまま自分もうとうとと……
「……って、朝から何を考えているんですか、私は」
オーストリアはそこで記憶を辿るのを止め、かぶりを振って早く身支度を整えようと
静かにベッドから離れて服をまとい、洗面所へ移動した。


オーストリアは基本的に早起きだ。
妙に几帳面な性格が災いして支度にやたらと時間がかかったり、
妙に完璧主義な性分が災いしておもむろに掃除などを始めたり、
そうした特異な行動のせいでその後のスケジュールが遅れることはあるのだが、
基本的には早起きだ。
なので、オーストリアが身なりを整えたあとにベッドに戻って、
その中の人物を起こすことはさして珍しくない。
昨夜は服を着る余力もなく落ちてしまうほど体力を消耗させてしまったし
きっとまだぐっすり夢の中だろう。
本日はそこそこ滞りなく身支度を終えたオーストリアが、そんなことを思って
寝室のドアを開けると、
「……おや?」
ベッドはもぬけの殻だった。
──かちゃん。
その時、硬い音が調理場の方から響いた。
「……食器の音?」
予想に反し、もう起き出して朝食の準備を始めているのだろうか。
意外に思いながら、相手がいるとおぼしき部屋を覗いてみると……
「なっ……何をしているんですかハンガリー!!」
「ふぇ? あっ、オーストリアさんおはようございます。今、朝食の準備を……」
いつものはきはきした喋りよりは若干スローテンポな返事を途中でさえぎり、
オーストリアは声を荒げた。
「そうではありません! 何ですかその格好は!」
オーストリアの指摘したそれ、ハンガリーの服装は──いや、およそ『服』と
呼べるようなシロモノではなかったのだが──寝ていた時の格好の上に
エプロンをつけただけの……いわゆる『裸エプロン』と呼称されるものだった。
「えっ、あ、あの……」
なかなかに穏やかでない雰囲気にやっと頭が覚醒したのだろうか、
ハンガリーは叱られる子供のようにうろたえ、萎縮してしまった。
「話は後で聞きますから! 早く着替えておいでなさい!」
「はっ、はいっ」
ぴしゃりと言いつけ、その場からハンガリーを追い出す。
ぱたぱたと急いでオーストリアの横を抜ける時、翻ったエプロンと同時に
形の良い尻の曲線が視界に飛び込んできたのは誤算だった。
調理場から離れていく足音を聞きながら、オーストリアはピッチャーから
注いだ水をグラス一杯分ぐいっと飲み込む。
色々な要因で高まる動悸をおさえ、何故朝も早くからこんなことに……
と、一つため息をついた。


「あのぅ……」
服装を含む、身だしなみを整え終えたハンガリーがダイニングへやってくる。
「お座りなさい」
「はい……」
足取りが重い。大分こたえているようだ。
「それで、先程のお下品な格好は何だったんですか」
「ええと……朝起きたら、オーストリアさんがいなくて……
 それで、ああ寝坊しちゃったんだ、って慌てて……」
「エプロンだけつけて、朝食の支度を?」
「う、はい。半分寝ぼけてました……」
「……そうですか」
まあ、不可抗力みたいなものだろう。すっきりと起きられなかったのが
昨夜の体力の使いすぎだとしたら、自分だってその一因ではある。
そこを踏まえるとあまり叱りつけるのも可哀想だ。
そんなことを考え、オーストリアがあと一言注意して話を切り上げようとした矢先、
「……でも、半分は起きてました……」
ぽつ、とハンガリーが先ほどまでとは若干違う語調で話し始めた。
「二重帝国になって、体を合わせるようになって、もう気の置けない仲に
 なったんだって思って……」
とつとつと語るハンガリーの思いつめたような空気。
オーストリアは彼女の言わんとするところを聞き漏らすまいと、真剣な面持ちで耳を傾けた。
「多分、私の一方的な思い込みだったみたいですけど……オーストリアさんにしか
 見せられないような格好でも、二人きりでなら普通にいられて、それで……」
「……それで?」
する、と長い髪を分け、大きな手がハンガリーの頬に触れた。
いつの間にか、オーストリアはハンガリーのそばに立っていた。
「それで……それで、可愛い、とか、思ってもらえたらいいな、って……」
「可愛い、とか……他には?」
赤くなった頬に頬を寄せ、耳元でささやく。
「他、には……ほかには……えっと……」
ちゅ、と耳のすぐ下に唇が触れ、そのままゆっくりと首筋を下りていく。
その感触にぴくっと身を震わせ、オーストリアの袖をぎゅっと握るハンガリーに
もう思考する余力は殆ど残っていなかった。
「……やはり、寝ぼけていたようですね」
唐突に身を離し、ため息混じりにオーストリアはそう告げた。
「え……え?」
「ハンガリー、よくお考えなさい……。あのような格好、可愛いという以上に
 扇情的だとは思いませんか」
「そう……言われると、そうかもしれません」
「そうかもじゃありません、そうなんです。朝からするような格好ではないんです。
 貴方だって、今のキスから先に進まれたら困ったでしょう」
「……困る半分、嬉しい半分……ですね」
「全面的に困りなさい、そこは」
えへへ、と照れ笑いを返すハンガリーに、少々脱力しながらオーストリアは返した。

「オーストリアさんでも、ああいう格好でドキドキするんですか?」
「私を何だと思っているんですか……」
「だって、夜に寝室でそういう雰囲気になった時しか……ですから……
 朝にそういうことになるなんて思わなくって」
「普通にしててくだされば、そういうことにはなりません」
「うう……そんなに変でしたか……?」
「朝にするような格好ではないと言っているんです」
「じゃあ……夜だったらいいですか?」
「そうですね、よ……ん?」
はた、とそこでオーストリアの言葉が止まる。
何だこの展開の仕方は。
「わかりました! 夜にしますねっ」
「ハ、ハンガリー、別に私は……」
「あっ、やだオーストリアさん! いくらなんでものんびりしすぎです、お仕事の時間
 なくなっちゃいますよ。朝ご飯、食べちゃわないと!」
「……」
どうやら彼女の中では結論まで達してしまったらしい。
そしてどうやら次に行為に及ぶ夜は、あの格好でということらしい。
「オーストリアさん?」
ハンガリーは、もういつも通りだ。
いつもの、明るくて前向きで、オーストリアに一途で、オーストリアに優しくされることが
この上ない幸せだという、そんな……。
「……そうですね」
ハンガリーの頭を軽くなで、オーストリアは席についた。


朝食の後片付けは自分に任せて先に行っていてほしいと言ったハンガリーを残し、
オーストリアは仕事場へ向かう。
可愛いと言ってほしいのなら、言ってあげよう。
優しくされたいというなら優しくし、愛されたいというなら愛してあげよう。
何のことはない。夜の営みならば、夫婦として自然な行いだ。
そんなことを考えながら──



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