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【メインCP】イギリス×セーシェル、フランス+セーシェル
【傾向】セーシェルの領有権をイギリスが主張し始めたあたりのイメージで。
一応、保護者はまだフランスの設定です。
たくましい腕にきつく抱かれ、まだ幼さの残る少女は甲高い猫のような嬌声をあげ、そして大きく脱力した。
がっしりした腰にまわした脚も一瞬ひきつり、そしてそのままゆるゆると男の尻から腿を伝って背中に敷いたシーツに落ちた。
少女の脚が外れたのを機に、男は彼女の体から離れ、そのまま乱れた息をふたり、浜に打ち上げられた魚みたいに並んで整えた。
それからほどなく、少女は体勢を立て直して、寝そべる男の下腹部に顔をうずめた。
先ほどまではびっくりするくらい熱く、硬かったものも今は力なく垂れている。
少女がためらいなくそれを口に含み、残滓をなめとっていると男の一物はむくむくと大きく育った。
「……お前、本当にやらしいな」
にやりと笑って言われたセリフは、まったくもって今少女が言おうとしていたものなので、
彼女はかすかに目を見張る。
彼女はちらりと男に視線をやると、ちゅぽんと音を立ててそれから口を離し、にやりと笑い返した。
「それはこっちのセリフです。エロ眉毛」
男は立派な眉をひそめると、再び少女に飛びついてきた。
汗だくの体を二人、すり合わせながら再び男が少女に沈む。
あぁ、と思わず少女の唇から満足げな吐息がこぼれたが、それはお互い様であった。
「いい気持ち」
行為の後、何も身につけないまま海につかるセーシェルに、未だ浜辺に敷いたシーツに寝そべっているイギリスが
冷笑とも苦笑とも取れない笑みを浮かべた。
「ねぇー、イギリスさんも来てくださいよー」
「行くわけねぇだろ、馬鹿」
にやにやと笑う彼に、セーシェルは半ば本気でむっとしながらも、そのしなやかな肢体を波に任せ、
ゆらゆらと漂っていた。
その様はまるで物語の一幕のようだと、月明かりを背にしたセーシェルを見ながらイギリスは思う。
海に住み、船乗りの男たちを誘惑し海の底に誘い込む人魚の娘は、きっとセーシェルによく似ているはずだと。
「お前、そんなんでどうする気だ?」
しかし、イギリスの口からはそれを称賛する言葉が出てこない。彼女が美しいのはよくわかっているのに、
美しいと言えない。
彼女が自分よりうんと年下の南の国の娘だということと彼の高いプライドが、そう言わせない。
おそらく、彼女に向けて素直にそう言えるのは、あの腐れ縁のいけすかない男くらいなものだろう。
「何がですかー?」
「まだガキなのに。今からこんなに淫乱で」
先ほどまであんなに乱れていたのに、今やただの無垢な少女となっているセーシェルを揶揄するつもりで、
イギリスはそう言った。
イギリスのきつい言葉に、セーシェルはすっと表情を無くすと、ざぶざぶと波をかき分け浜に戻ってきた。
「知りませんよそんなの」
明らかに機嫌を損ねたらしく、セーシェルの言葉はとげとげしかった。
全身からしずくを滴らせたまま、冷ややかな目でイギリスを見ている。
小さな頭部、少しずつ少女らしい丸みを帯び始めた、それゆえにひどく男の欲をそそる体、
むしゃぶりつきたくなる滑らかな肌。
そのすべてに目をうばれているイギリスから、セーシェルは力任せにシーツをはぎ取った。
「私がもし仮に、万が一淫乱だとしたら、その責任はアンタにあるんですからね!この変態エセ紳士!!」
ベー、と思い切り顔をしかめ舌まで出して、汗やら何やらでぐしゃぐしゃのシーツと
そばに散らばっていた服を抱えてセーシェルはイギリスに背を向け歩きだした。
「おい!」
呼びとめても、セーシェルは歩みを止めなかった。お姫様は完璧におかんむりらしい。
「なぁ、おい……次は?いつ会える?」
「へえ、イギリスさんこんな淫乱な私に会いたいんですか」
厭味ったらしい返答に、イギリスは一瞬ムッとし、しかし自分に非があるのは
分かっていたので唇を尖らせた。
「別に、お前が淫乱で悪いとか、そういうんじゃねぇよ」
「へぇ?」
「むしろそっちのが……ってそんなこと言わせてんじゃねぇよ馬鹿!!
これは、俺のほうが大人だから折れてやっただけなんだからな!!」
ぎゃんぎゃん言い募るイギリスに、セーシェルはなんだか脱力してしまい、小さく笑った。
自分が大人だという割に、彼は時折ひどく子供っぽい。
ここはひとつ折れてやるかと、セーシェルはイギリスを振り返った。
「じゃあ、近いうちに会いに来てください。で、またぎゅってしてください。そしたら、いいですよ」
可憐な笑顔とともに紡がれた言葉に、イギリスは一瞬我を失った。そしてそれから、
ひどくきまずそうに視線をさまよわせた。
「なぁ、それ……今でもいいか?」
イギリスの言葉に、セーシェルは目を瞬かせた後、にやっと笑った。
「エロ眉毛〜」
「うっ」
さすがに反論できず、口をパクパクさせているイギリスを尻目に、
セーシェルは抱えていたシーツを再びばっと広げた。
「でも、だからって悪いわけじゃないですよ。私も、一緒です」
晴れやかな笑顔でそういうと、セーシェルはシーツの上に身を横たえた。
イギリスは与えられた僥倖にどぎまぎしながらも、彼女に近寄って行った。
薄青い空気と物憂さの中、セーシェルが家にこっそり戻ると、居間の椅子にフランスが座っていた。
怒られるかもしれない、と思いセーシェルは首をすくめた。
彼は自分を見つけ、ここまで面倒みてきてくれた保護者である。
それゆえにか、少しばかり過干渉なきらいがある。
「フランス、さん?」
声をかけても、フランスは反応しなかった。寝ているのかもしれないと思い、セーシェルは胸をなでおろした。
これなら、気付かれる前に自室に戻りさえすればいい。
「……セーシェル」
セーシェルが今まさに息をつめ、彼の後ろを通り去らんとしたときに、
絶妙のタイミングでフランスが声を発した。セーシェルの肩がびくんと跳ねる。
おそるおそる振り向くと、フランスがこちらを見ていた。一睡もしていないのだろう、
顔色は悪くかすかに隈が浮いていた。
「あ……あの、」
何か言わなければと頭で思っていても、うまく言葉は出てこなかった。動転しているセーシェルに、
フランスは小さく微笑みかけると彼女を手招きした。
「フランス、さん?」
フランスを訝しがりながらもセーシェルは彼に近づいた。そして途端に、抱き寄せられた。
「お帰り。セーシェル。俺の宝物、かわいい真珠」
あまやかに、どこまでも優しく囁かれる声音に、セーシェルは凍りついたように目を見開いた。
この人は、何もかも知っているのかもしれないと、半ば本気でそう思った。
自分が優しい保護者の彼を裏切り、粗忽なイギリスと愛欲におぼれているのも、全部、ぜんぶ。
「あの……」
「いいんだ、セーシェル。お前は俺の所に帰ってきた。それで、いいんだ」
心底ほっとしたような、力のないフランスの口調と声がセーシェルをどんどん追い詰めていった。
セーシェルはついに耐え切れず、その大きな瞳からぼろぼろと涙を流し始めた。
「ごめんなさい、フランスさん」
「なんで?どうして謝るんだい?」
「ごめんなさい!!」
「セーシェル」
「ごめんなさぁいっ!!」
ほとんど叫ぶようにして謝罪する少女を、フランスはことさら優しく抱きしめた。
すべらかな肌に、赤いおおきな鬱血痕がみえたが、頬を押し当て見ないふりをした。
「いいんだ、セーシェル。俺は、いつだってお前を許すよ」
きっと、フランスは何もかもわかってる。自分が、情欲におぼれていることも、
もうすぐ彼の手を離れてしまうことも、全部ぜんぶ。
「Je suis très désolé. Veuillez me pardonner, pardonnez-moi, my dear…」
涙ながらにセーシェルがささやいた言葉に、フランスは何も言わなかった。
ただ、その青い瞳を悲しげにくもらせるだけだった。
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