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 小さな約束

【メインCP】 ロマーノ×ベルギー
【傾向】 いちゃいちゃ? 最後だけ無理矢理
【その他】 エロは少しだけ。




初めにベルギーの目の端に映ったのは、ぐらぐらと不安定な動きで揺れるホウキだった。

「ホウキはひとりでに動かへんしなぁ……。お兄ちゃん、あれ何やと思う?」
「知らん」

短く言葉を返すなり自分を残し歩き去ってしまった兄に、ベルギーは頬を膨らます。
(どうせスペインと顔合わすん嫌やからとかそんな理由やろうけど……
 ほな最初から一緒に来なきゃええのに。もう、お兄ちゃんなんか知らん!)

会いたくない相手の家の近くだからこそ送ってやりたかった兄心などベルギーは気付かない。
そんな彼女は兄の後を追うことはせず、動くホウキの方へと近付いていった。

近付くに連れ、ホウキの妙な動きと共に白い布が揺れているのがわかる。
その白い布が三角巾であること。
そして、掃除をしているのにしては、あまりにもぎこちない手付き。
この二つからホウキの主に見当が付いたベルギーは、嬉しそうな表情で駆け寄っていった。

「ロマーノ君っ」

メイド服を纏ったロマーノがびくりと震え、やや強ばった動作で振り返った。

「な……なんだベルギーか…」
「おぉ、ベルギー姉さんやでー。よいしょっと」

ベルギーが彼の背丈に合わせてしゃがみ込む。
顔が間近になったことで、ロマーノは恥ずかしげに顔を赤らめた。

「今日もかっわかわええなぁ、自分」
「べ、ベルギーの方がかわいいぞこのやろー…」
「にゃー!! 誉め上手なんは親分譲りやないの」
「あいつと一緒にすんな…っ! リップサービスなんかじゃねーよ!」
「ほんまに? むっちゃ嬉しいわぁ」
「ふん、きれいな女の人を誉めるのは当然だっ。………って、じーちゃんが言ってた」

ベルギーの喜ぶ様子に、どうだと言わんばかりにロマーノは体を踏ん反り返らせる。
その姿にベルギーは口元に手を当てくすくすと笑みを溢した。

「そんな誉めてくれても何も出ぇへんで? ……あ、嘘。お菓子あったわ。一緒に食おか?」

――お兄ちゃんと食べよ思うてた分やけど……あげてまお。
ベルギーの兄への反抗心からなどとは知らないロマーノは、素直にその誘いに応じたのだった。

「美味し?」

ロマーノは両手で持ったお菓子を少しずつ頬張りながら、こくりと頷く。

「頬っぺにチョコ付いとるで。待ってな」

そう言ってベルギーはロマーノの頬に手を伸ばす。
ふと、彼女の指が一本だけ飛び出ているロマーノの髪の毛に触れた瞬間だった。

「ちぎ!」
「わっ、ごめ……!」

甲高い声を挙げ、強く目を瞑ったロマーノにベルギーは慌てて手を引っ込めた。

「そういや、このくるんとしたの触られるん嫌なんやったっけ…。
 この間もスペインとその事で喧嘩しよっとったもんな。痛いん?」
「……痛くは無い。でも、何か変な感じがする」
「変な感じ?」

反応が激しくて、痛くは無くて、変な感じがする。
ベルギーはうずうずと沸き上がる好奇心に、口元を猫のように紡いだ。

「……ロマーノ君。強く握らへんから、もっかいだけ触ってもみてもええ?」

ベルギーは小首を傾げ、ロマーノの顔を覗き込むようにして尋ねた。
しかしロマーノは何も答えず、そればかりかベルギーの視線から目を逸らしてしまった。

「やっぱあかんよなぁ。ごめんな、変なこと言うて……」

照れたように頬をかいたベルギーだったが、ふと黙りこくっていたロマーノが口を開く。

「…………ベルギーなら、良い」
(む、むっちゃかわええ………!)

目を逸らしたまま、真っ赤な顔で呟くロマーノにベルギーは興奮を抑えた。

「ほんまに? ええったらええの?」
「何回も言わせんなっ! 良いっつってんだろ!」
「ほんなら………失礼します」

ベルギーは一度深呼吸してから、身を乗り出すと恐る恐るロマーノのくるんに手を伸ばした。

「ちぎ……っ」

指がくるんに触れると、即座にロマーノの目元が潤み出す。
そのまま、優しく撫でるような手つきでベルギーはくるんを弄っていく。

「ち……ちぎっ…。んっ……ふぇぇ……」

いつもの威勢の良さはどこにやら、ロマーノの眉は八の字に曲がっていく。
小さな口からは、女の子のようなか細い声と苦しげな息が漏れた。

「……何や、うちまで変な気分になってきよるわぁ…」

自分の頬が段々と熱を帯びていくのを感じたベルギーは、数回頭を振るう。
ロマーノのくるんから手を離し、代わりに頭全体をぽんぽんと数回叩いた。

「おしまいっ。ありがとな、ロマーノ君」

「お………おお。こ、これ一体何なんだよちくしょー…」
「これはなぁ、気持ちええってもんやで」
「気持ち……? 全然眠くならないぞ」
「うとうとしてまう気持ち良さとは別なんよ」
「ふーん…。誰かと一緒に気持ちは良くなれるのか?」

ロマーノの鋭さに、ベルギーは一瞬どきりと体を浮かせた。

「せ、せやで」
「ベルギーともか?」
「そやなぁ……でもそれはロマーノ君が大きなったらな」
「……約束だからな!」
「え?」

上手く誤魔化したつもりだったのだが、約束という思わぬ言葉にベルギーは返答を言い淀む。

(……まぁ、どうせこんな小さい時のことなんて覚えとらんだろうし…。ええか)

「ん、約束なっ」

ベルギーは特に深く考えることもなく、その日、ロマーノの小指に自分の小指を絡ませたのだった。



「……おいベルギー。大きくなったぞ」
「へ?」

会議も終わり、書類などを片付けていたベルギーはロマーノの突然の呼び掛けに目を丸くした。

「何なん、いきなり」
「約束しただろ。シエスタ中に昔の夢見てやっと思い出した」
「会議中に寝たらあかんて何回言うたら………約束?」

ベルギーは、宙を仰いで記憶を探る。

「あ」
「思い出したかこのやろー」
「いや、その……。あれは…………きゃああ!」

青ざめた顔で言い訳を考えていたベルギーを、ロマーノは問答無用で押し倒した。
ベルギーの悲鳴が部屋に響く。

「ちょ、待っ……こんなとこで!」
「もう誰も居ねぇよ」
「………あれ、ほんまや」

ベルギーが思わず周りを見渡すと、確かに室内には誰も居ない。
いつの間にか自分達以外はもう部屋を出ていたようだ。
彼が人払いをした可能性もあったが……今はそんなことを悠長に考えている場合では無かった。

「も、戻って来るかもしれへんやろ!」
「誰かが来るまでは良いんだな」
「ええ訳無いやろ! 場所の問題やなくて…………ひぁ……っ」



――ベルギーは思い出していた。

『ええか、ラテン系の男には気ぃつけや。特にスペインとかスペインとかスペインとか。
 後その周辺にうろついてる奴も全員やざ。お前は女なんやからその辺しっかりくどくどくどくど』

かつて兄と同じ家で過ごしていた頃、口煩く繰り返された小言。
その全てを、毎度はいはいと聞き流したことをこんなにも後悔する日が来るなんて。

これから起こるだろうことが知れたら、兄はどんな顔をするのか。
……正確には、どんな風に怒りに歪むのか。

(それはそれで、ちょっと見てみたいかもしれんなぁ…)

ベルギーは熱に浮きゆく頭で、いつも冷静な兄が怒り狂う姿を思い描き、少しだけ笑った。



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