幼少期普洪
「なぁプロイセン」
「なんだよ」
「お前、もうちんちん生えてるんだって?」
あまりに唐突すぎて、プロイセンはぽかんとしてしまう。
「あ、当たり前だろ!」
(あれ?ちょっと待て、そういえばこいつ、まだちんちんは後から生えてくるものなんだって信じてんのか?)
以前、ちんちんは大きくなったら生えてくるものだ、と自信満々に言い放ったハンガリー。
プロイセンは、知ってはいけないことに気付いてしまった罪悪感のため、しばらくハンガリーの顔をまともに見ることができなかった。
「いいなぁ! お前、俺より先に大人になっちまったのかよー」
やっぱりそうか。プロイセンはため息をついた。
「おいハンガリー、ちんちんっていうのは…」
「なぁ」
ハンガリーは話をさえぎって、ぐっとプロイセンの近くに寄り、こう言った。
「お前のちんちん、俺に見せてくれよ!」
「はぁ?! ぜってー嫌だ!」
「何だよ、先に生えたんなら見せてくれたっていいだろ! 生えはじめはどんななのか、気になるんだよ!」
「うわっ、ちょ…ハンガリーっ!」
男として育てられているとしても、所詮は女。力の差など歴然…のはずなのだが、戦闘で鍛えられたハンガリーは、その辺の女とは比べ物にならないくらいの力を持っている。そんなことはプロイセンがいちばん良く知っている。
ベッドに押さえつけられ、さっさとベルトを外され、下着ごとズボンを脱がされ…プロイセンは、あっという間に裸の下半身をハンガリーに晒してしまった。
「…ちっちぇー」
服の下から現れたそれは、ハンガリーが思い描いていたもの――見慣れたマジャールのそれよりも小さなものだった。
「なっ、うるせぇ! これからデカくなるんだよ!」
無理やり服を剥ぎ取られ、見せたくもない下半身を晒され、なおかつ小さいとまで言われ。最悪だ。今日はついてない。プロイセンはハンガリーに押さえつけられたまま、唇を噛んだ。
「あ、もしかして、お前のも擦ったら大きくなるのか?」
「は?」
ハンガリーはプロイセンのモノを両手で包んで、マジャールにしたように、ゆっくりと上下に擦りはじめた。
「うわあああっ!! 何すんだよハンガリー! や…やめ…っ」
「そんなちっちぇーちんちんじゃつまんねーだろ。俺が大きくしてやるんだよ」
「バッカ野郎! いい加減にしろッ! 離せ!」
他人にそんなところを触られたことなどないプロイセンは、突然のことに慌てふためき、ハンガリーの手を退けようとする。
しかし、抵抗をしても無駄で、意思に反して下半身に熱が溜まってゆく。
「あ、ほら大きくなってきた!」
ハンガリーの手によって、プロイセンのそれは硬さを増し、腹に届く程まで反り返った。
「これでちょっとは格好よく…っわ!」
くすぐるような刺激に耐えられず、プロイセンはハンガリーの手に射精してしまった。
「うわぁ、服にかかっちまった…なぁプロイセン、気持ちよかったのか?」
「な…」
「マジャールが言ってたぞ。せーえきは、気持ちいいときに出るんだって」
(くそ…マジャールの野郎、ハンガリーに一体何を教えてんだよ…!)
やられっ放しのままではいられない。
ハンガリーは自分を男だと思い込んでいる。それなら…と、プロイセンは脱力した体を起こした。
「…おい、ハンガリー、俺がここまで恥晒して見せてやったんだ、お前のも見せてくれたっていいよな?」
「は? いいけど…ちんちんついてねーし、つまんねーぞ?」
「別にいい」
形勢逆転、ハンガリーはプロイセンに押し倒されてベッドに沈んだ。ハンガリーは抵抗しない。
そろそろとハンガリーの服を脱がしにかかる。手が震える。
本物の"男"の服を脱がすなら、こんなに緊張するはずがないのに。
「……な。面白くもなんともないだろ」
露わにされた下半身には、やはり何もついておらず、ひと筋の割れ目しか見えない。
「さ、触っても、いいか?」
「いいけど…」
ゆっくりと、その一線を指で挟んで左右に割る。
初めて見る女性器は、綺麗なピンク色をしていた。
「……」
「…な、何だよ。そんなにまじまじと見んなよな」
「さんざん俺のちんちん弄んだヤツに言われたくねーよ」
そっと、その中に指を挿し入れる。指の先がハンガリーの体温に包まれた。
「なー、もういいだろ。そんなの見てたってつまんねーじゃん」
プロイセンにハンガリーの声は届かなかった。ゆっくり、もう少しだけ指を奥に進める。
話によると、女は感じはじめると、その中が濡れてくるらしい。ハンガリーのそこはまだ湿ってすらいない。
「なー、もうやめようぜ、俺がつまんね…ひゃうっ!!」
そっと指を抜いて、入り口の上にある突起に触れた途端、ハンガリーがビクリと身体を震わせた。
「な、何だ…?」
プロイセンは、そっとその突起を摘んで、転がすように指を動かしてみた。
「や…ぁ…そこ、嫌っ…」
「ハンガリー、これ、何なんだ?」
「っく…それ、は…ちんちんのもとだって、マジャールが…ぁ…」
確かに、そこに触ると、男がそれに触れられた時のような反応を見せる。
「気持ち、いいのか?」
プロイセンは、その突起を少し強めに摘んで、ハンガリーに尋ねた。
「ひっ…わ…かんな…っあ、うぅ…っ」
赤くなる頬。荒くなる息――きっと、ハンガリーは感じているのだ。
プロイセンは、再び指をハンガリーの中へ挿れた。
(やっぱり…)
ハンガリーの中は"濡れて"いた。
プロイセンの指は、ぬるりとした粘液のおかげで、すんなりと中に入ってしまう。
ゆっくりと指を出し入れする。指をつけ根ぎりぎりまで挿し込んで、内壁をなぞると、ハンガリーはプロイセンの指をきゅっと締め付けた。
ハンガリーは、初めて味わう感覚に、身体の力が抜けていく。
「ひぁ…プロイセンっ…なんか…変…ッ!」
身体がこわばるのと同時に中がきつく締まり、ゆっくりと息を吐くと締まりもゆるくなる。
ここに自身を挿れることを、大人は「セックス」と呼ぶらしい。それは、とても気持ちいいことなのだという。
確かに、こんな温かくぬるぬるした場所にそれを挿れて、締めたりゆるめたりを繰り返されたら、気持ちいいに違いない。
「…なぁ、ハンガリー」
「は…ぅ…なんだ、よ…」
「挿れて、いいか?」
「は? 何を、だよ…」
「だっ、だから…ちんちんを、ここへ…」
ハンガリーの顔が一気に青ざめた。
「なっ…バカかお前! 男のケツに突っ込むだなんて、お前もトルコんとこの妙な風習に感化されちまったのか?!」
「お前な…ここはケツじゃねえだろ」
「でも…」
ハンガリーの乱れた姿に反応して硬さをとり戻したプロイセン自身を、今まで指を挿れていた部分へあてがう。
「え…マジでやんのか? おい、ちょっ…ひあッ!!」
小さいとはいえ、指よりは太く大きいモノが身体の中に入ってくる。
身体は異物を必死に拒み、体外へ押し出そうとするが、一気に腰を進めると、彼のモノは全てハンガリーの中に飲み込まれた。
「はぁ…ぁ…入って…る…っ」
「だ、大丈夫か?」
「なんか…やだ…気持ちわる…ぃ…」
「なっ、じゃあ抜いて…」
「ひ…ああッ!」
急に自身を引き抜くと、ハンガリーの身体がぶるっと震えた。
「な、どうした?!」
「う…ぁ…やっ…なんか、変…びくって…なって…!」
ハンガリーが身体を震わせることは、ハンガリーが感じているということ。
それに気付いたプロイセンは、再び自身をハンガリーの中へ沈めた。
「う…ぅ…プロイセンっ…」
涙目でプロイセンを見上げるハンガリーは、両手をプロイセンのほうへ伸ばした。
その手をとって、プロイセンはハンガリーの身体を抱きしめた。
ぐちゅ、と結合部で音がして、2人はさらに深く繋がる。
そのまましばらく動かないでいると、重なった胸から互いの心音が聞こえた。
(な…なんだこれ…)
つい最近まで男だと思っていたヤツなのに。
口が悪くて、すぐに暴力を振るう、あれだけ気に食わなかった野郎が、こんなに…
「ハンガリー、動いてもいいか?」
プロイセンは、ハンガリーの髪を撫でて、耳元で囁くように言った。
「う…ゆっくり、だぞ…あんまり…激しく…っあ…」
そっと引き抜こうとするプロイセンのモノを、ハンガリーがきつく締め上げる。
「おい、ちょっと力抜けよ…」
ギリギリのところまで引き抜いて、また奥まで突き上げる。
始めは、ハンガリーの言うとおり、ゆっくり動いていたが、そのうち我慢がきかなくなり、本能のまま腰を動かしてしまう。
「や、ぁっ、もっと…ゆっくり…っ!!」
結合部から流れ出る2人の愛液には赤色が混ざり、シーツを汚している。
しかし、そんなことに気付く余裕は、2人にはなかった。
「気持ち…いいか?」
汗で額に張り付いたハンガリーの前髪を払って、プロイセンは訊いた。
「わ…かんない…っ、わかんない…!」
こんなことをされたのは初めてで、こんな感じを味わったのも初めてで、ハンガリーも混乱している。
プロイセンに内壁をこすり上げられると、身体がぞくぞくと震えて、背筋に電気が走ったような感じがする。
それが気持ちいいことなのかどうか、ハンガリーにはまだわからない。
「じゃあ、気持ち悪いか?」
「……」
ハンガリーは、首を小さく横に振って、プロイセンの背中に回した腕に力をこめた。
「……っ!」
(なんだよ…なんなんだよ…!)
今までのハンガリーに対しては死んでも抱かなかったであろう感情で、胸の中がいっぱいになる。
プロイセンの目の前にはもう、今まで一緒に他愛のない話をしたり、喧嘩したり、殴り合ったり、男同士の秘密を打ち明け合ったハンガリーはいなかった。
「あっ、あ…ぁ…んんっ…!」
ハンガリーの背中を掻き抱いて、引き抜いては、奥を突き上げる。ハンガリーの嬌声がひときわ大きくなる。
「っく…ハンガリー、俺、もう…っ」
一気にこみ上げてきた射精感に耐えられず、きつく締まったハンガリーの中で精を放った。
「っは…はぁ…」
息を切らした2人は、どちらからともなくキスを交わした。
(あれ…?俺、なんでプロイセンなんかと…キス、して…)
引き寄せられるように唇を重ねてから、ハンガリーはぼやけた思考の片隅で、キスの理由を考えた。
しかし、事後のけだるさと、襲ってくる眠気に、理由なんてどうでもよくなってしまう。
ずる、と身体の中からプロイセンのモノが抜けていった。
それでもなお抱きしめたままでいてくれるプロイセンの体温に安心して、ハンガリーはプロイセンの胸に倒れこんで目を瞑った。
「ハンガリー…? おい、ハンガリー、大丈夫か? …って、これ…え? 赤い…血?! 嘘だろ、大丈夫かよ!おい! 聞いてんのか?! 目ぇ覚ませって! ハンガリー!」
プロイセンがハンガリーの身体をがくがくと揺すって、何だかんだとわめいているのが聞こえたが、眠気には勝てず、ハンガリーは朝まで目を覚まさなかった。
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