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2_706-718


 独辺



 真夜中0時、夜の纏い、穏やかな静寂を打ち破るようにけたたましく鳴り響いた電話のベル。
 ドイツは眉間に寄った皺を指の腹で押し付けながら受話器を取った。
 こんな時間に相手の迷惑など考えず電話してくる奴なんて、ドイツの頭には2人しかいない。
 一方は陽気なパスタの国、イタリア。そしてもう一方は――……。
「ドイツだが」
「……」
「……誰だ?」
「……」
 イタリアであれば「ドイツードイツーあのねー聞いてー!」と音量調節せず、けたたましい
声で喚いてくるはず。
 となればこの無言電話は恐らく、欧州の変わり者、ベラルーシだ。
 深々と溜息をついて、ドイツは「ベラルーシ?」と呼びかけた。
 相手からの返答はなく、だからこそドイツは電話先の人物がベラルーシだと確信を得る。
 何を思ってか知らないが、彼女は時折こうやって無言電話をかけてくるのだ。
 迷惑に感じる一方、邪険に扱えないのは、強面で他者から怖がられがちなドイツにベラルーシが
無遠慮に歩み寄ってくるから。
 どうもドイツは自分に近寄ってくる者に無条件で弱いらしい。
「ベラルーシ、用件は?」
「……」
 無駄だとはわかってはいる物の問いかけてみれば予想通りの反応にまた溜息。とりあえず側に
あった椅子を引き寄せ腰掛けながら、
「用事はないのか?」
 と繰り返す。
 更に、テーブルに手を伸ばして読みかけの本を膝に置き、頁を開きながら持久戦の構えを取った。
 どうせいつものように最低2時間はこの無言電話に付き合わされるのだろう。
 受話器を耳に当てながらじっとしている作業は確かに苦痛だが、電話の向こうに相手がいると
思えば、我慢出来ない話ではない。
 繰り返すが、ドイツは自分に悪意以外の感情で寄ってくる者に甘いのだ。
 ところが、返事なんか期待していなかったドイツの耳に、突然声が届いた。
「ポスト」
「……は?」
「ポスト見ろ」
 女であるにもかかわらず粗雑な口ぶりはまさにベラルーシ。今日も無言で通すのだろうと考えて
いたドイツは彼女の声に驚く。
「ど、どうしたんだ? 珍しいな、話すなんて……」
「速くしろ」
 一体何事かと問いかけるドイツの言葉を遮るように、ベラルーシが命令口調で訴えた。
 こうなったら目的を達成するまで話を聞かないだろう。
 ドイツは首を傾げながらも「ちょっと待ってろ」と本をテーブルの上に戻し、受話器を置いて
立ち上がった。
 とにかくポストの中身を確認しなければ。勿論、相手を待たしてはいけないと駆け足だ。
 しかし、同居人達が目を覚ましては困るかと、家のドアに手をかけたところで気付く。今更では
あるが今度はゆっくり過ぎる動作でドアを開き、忍び足で外に出た。
「……っ」
 吹き込んだ冬の風は鍛えられたドイツの肌を突き刺し震えを走らせる。
 薄手の部屋着で出てきてしまったので、なお一層寒さが堪えた。
「寒いな……」
 こんな寒い日は、昔、ドイツが占領していたベラルーシを奪還するために、ロシアが冬将軍を
連れて現れたことを思い出す。
 勿論、あの寒さは今日の気温の比ではなく、心まで凍り付いてしまいそうな地獄の寒さだった。
 兵達が次々に倒れ、ドイツ自身も銃の引き金を引く余力も消え失せた中、彼女がロシアに
連れられて去っていく姿を見て、胸が締め付けられたのを今でも覚えている。
 そんなことを考えながら到着したポストの前で、ドイツは腕を組み身を縮ませながら中身は
何だろうと首を傾げた。
 ここはオーソドックスに手紙だろうか。
 それともまさか、自分宛にプレゼント?
 ベラルーシに限ってそんなわけ無いと思いながらも妙にドキドキしながらドイツは中を覗き込む。
「……っ!?」
 だが、ベラルーシ相手にそんな予想は生温かったらしい。
 ポストの中に入っていた物を確認するや否や、ドイツは体を仰け反らせた。
 そのまま逃げるように後ろに跳ね飛んで、周囲をキョロキョロと見回してから、勇気を出して
もう一度中身の確認。
 やはり見間違いではない。
「ベラルーシめ……!!」
 ドイツはどんな表情をして良いのかもわからずそれに手を伸ばし、さっと懐に入れ込むと家の
中に逃げ込んだ。
 足音を気にする余裕はもうすでにない。
 ドタドタと騒がしい音を響かせながら自室に戻り鍵を閉め、懐の中にしまった物を恐る恐る
取り出す。
 明るい照明に照らされたそれは間違いない。
 ――極太のバイブだ。

「何を考えてるんだ、あいつは……!!」
 ドイツは顔を赤らめながら握り潰さんばかりの勢いで受話器を取り、「おい、ベラルーシ!!」と
叫んだ。
 右手に受話器、左手にバイブ。人が見ればご乱心かと疑うことだろう。
「なに? うるさい」
「『なに? うるさい』じゃない! お、おまっこれは……!」
「バイブだけど?」
「そうじゃなくてだなっ」
「使用済み」
「使用、済み……!?」
 ベラルーシのとんでも発言にドイツは握りしめていたバイブを思わず凝視した。こんな極太の
バイブを、あのベラルーシが……と危ない思考に走ったところで鉄壁の理性が動く。
「そ、そんなこと関係ない、俺が言いたいのはだな……」
「それだけ。じゃあ」
「じゃあって、おい待て、ベラルー……」
 シ、と言い切る前に切られた電話。ツーツーと無情に響くコールにドイツはがっくり項垂れる。
 しかし、左手の物が目に入り、大人しくがっくりする心持ちさえ消え去った。
 自分はこれを一体どうしたらいいのだ。
 とりあえず何かに包んで隠すなり捨てるなりしようとしたドイツだが、一人になったことで
取り繕う必要がなくなった思考発想がベラルーシの乱れ姿を頭の中に思い浮かばせる。
 これを使ってどんな表情をしていたのか、どんな声を上げたのか。
 そんなことを考えると体が疼いてしょうがない。
 そういえば、占領中、まるで発情期の猫のように幾度と無くドイツの体に擦り寄り体を求めて
きた彼女は、どこから仕入れたのかわからない小道具を使うことを頻繁にドイツに求めていた。
 あの頃から彼女の趣向は変わっていないらしい。
「ど、どうすれば……っ」
 崩れ落ちそうな勢いで眉間に渓谷を作り悩むドイツ。
 開いている右手が、何故か宙をさまよいズボンのベルトに行きかけるのを必死で止めながら
部屋の中をグルグル回り続けた。
 どうしたらいい、どうしたらいい、どうしたら――……。
「……!?」
 しかし、そこで突然、穏やかな夜に不釣り合いな殺気を全身で感じる。染みこんだ防衛本能に
ドイツが反応し、反射的に体を伏せた瞬間、何かが勢いよく窓ガラスに突っ込んできた。
 散らばるガラス、折れ曲がる窓枠、けたたましい破壊音。
 ガラスの破片がいくつかがドイツの体を掠め傷を作る。
 こんな時に奇襲かと慌てたドイツだったが、隠し持っていた銃を握り顔を上げた瞬間、硬直した。
 そこには、窓ガラスをぶち壊した事なんて気にした風もなく、腕を組み堂々と仁王立ちする
ベラルーシの姿があったからだ。

「……」
「人には無言電話は止めろと言うクセに、あんたも無言か」
 酷く尊大な態度でベラルーシが言う。
「な、どうしてここに……」
「窓の側にある木に上って、突っ込んだ」
「何で木に上って窓から突っ込んでくる必要があるんだ! 玄関があるだろう、玄関がっ!!
 って、俺は、そういうことを聞いている訳じゃなくてだな……!」
 至極当然なツッコミを入れつつ、更にこの理解しがたい状況を問いただすために声を荒げる
ドイツだったが、聞いているのかいないのか。
 そんなドイツを一瞥して、ベラルーシがやたら威圧感を滲ませながらカツカツと歩み寄ってきた。
 そして、ドイツの手に握られていたバイブを取る。
 右手に受話器、左手にバイブから進化し、今度は右手に銃、左手にバイブとお前は何がしたいんだ
状況にドイツは赤面した。
 命の危機に瀕しかけたのに、後生大事にバイブを握りしめていたとは何事か。
 左手のバイブはレギュラーメンバーか。
「こ、これは違うっ!」
 言い訳にならない言い訳をベラルーシは聞いている風もなく、何を思ったのか手に取った
バイブをペロリと舐め上げた。
 ふっくらとした唇から覗く、赤く熟れた果実のような妖艶な舌が、バイブを舐め取る姿に、
ドイツの肌が粟立っていく。
 鋭い彼女の眼差しがドイツの体をゆっくり眺める仕草さえ、ドイツの心をくすぐるようで、
先ほどから燻っていた火が、ジワジワと体を炎を産みだしていった。
「べ、ベラルーシ……」
「……違うから」
「……は?」
 しかし、上擦った声で名前を呼ぶと、彼女は突然それを否定する。
 今、自分は何か彼女に否定されるようなことを言っただろうか。
 まさか、ドイツ一人で勝手に盛ったことを見透かされて、暗にそんな気はないと制されて
しまったのだろうか。
 一気に熱が冷えていくのは女性慣れしていないドイツならでは。
 相手に確認する余裕もなく思考が先走り、自己嫌悪に穴を掘って隠れたい心境に陥った。

「これ、使用済みじゃない。新品」
 ところが、ベラルーシが問いかけずとも口にした言葉はドイツの思考の斜め上。
 拍子抜けするドイツの後方に、ベラルーシがバイブを投げつける。
 視線で追えば極太のバイブはドイツのベッドの上にボスンと落ちて、止まった。
「ネット通販で買った。一人でやろうかと思ったけど、つまんないから、あんたがやれ」
「なっ」
 その上、ムードの全くない言葉でそんな事を言ってくる。
 訳がわからずひとまず拒否してみようと思ったドイツだったが、突如首に腕が回り、その
柔らかな唇を押し当てられ、言葉を封印させられた。
 即座に入り込む舌がドイツの舌に絡みつき、唾液を飲み込んでいく。
「……っ」
 全てがベラルーシのペースで思考が追い付かないドイツの胸を軽く押して、彼女はドイツを
ベットに押し倒した。
 軋むベッド、ドイツの重量に凹んだ布団はドイツの手元にバイブを転がらせる。
「っ!」
 思わずバイブを払いのけたドイツだったが、重みに招かれ再び転がってきたバイブに、どこか
遠くに、それこそ気付かないふりで通してきたが、ぶち壊されて冷風が入りこむ窓の向こうに
投げてしまおうかと考えた。
 しかしそこで、ドイツに影が落ちる。
 顔を上げればドイツに跨り、鋭利な眼差しで自分を見下ろすベラルーシ。
 彼女はドイツの下腹部に腰を乗せると腹筋に両手をつき、軽く体を揺する。
「……っ」
 彼女の暖かく、柔らかい体の感触が、ドイツの体に伝わってきた。
 その上、ベラルーシはドイツが払いのけたバイブを手に取ると、顎を上げ、ドイツに見せ
つけるようにバイブを咥内に出し入れする。
 彼女の唾液に濡れたバイブは、部屋の照明に照らされヌメヌメと輝いていた。
 思わず唾液を飲み込んだドイツを彼女が見逃すはずもなく、体を屈め上下したドイツののど仏に
柔く歯を立てる。
 付いた歯痕をペロリと舐めて、いつもまとめているドイツの髪をくしゃくしゃに乱し
ベラルーシが言った。
「このオモチャを堪能したら、ドイツのこれが欲しい」
 そう言って、ベラルーシがズボンの上から容易く熱を持ち始めたドイツの肉棒に触れる。
「オモチャと、これ、どっちが良いか試したいから」
「……」

 ベラルーシの奇想天外な行動にドイツの容量はいっぱいいっぱいだ。
 そんな間にも、彼女はドイツのシャツに手を伸ばし、ボタンを外し始める。これはもう、
ツッコミが追い付きそうにない。
 だったらどうするか。
 全てリセット、なかったことにするしかない。
 ドイツはベラルーシの手を取ると彼女を引き倒す。そのまま彼女の上に覆い被さって、立場逆転だ。
 彼女の長くすべらかな髪がベッドの上に散らばるのを目を細めて眺め、頬に付いた髪を払って
やった。
「攻められるのは好きじゃないっていつも言ってるだろ」
「あんたがその気にならないから、先に始めようと思っただけ」
 ドイツは生意気な言葉ばかり口にする彼女の唇を塞ぐ。
 今度は従順にドイツの舌に答えるベラルーシ。そんな彼女の豊満な乳房を掴み上げれば、その
不機嫌面には似合わない可愛い喘ぎ声が漏れた。
「……既にその気だ。だから少しは待て」
 乱された所為でこぼれ落ちる前髪を掻き上げてから、ドイツは彼女の首筋に吸い付く。それを
見つめながらベラルーシが僅かに口角を上げるのを視界の端で確認した。
 いつも仏頂面で威圧感がある彼女が時折見せる笑みに情が流れる自分を安い男だと思いながら、
今度は恋人のように唇を啄ませて彼女の目を覗き込む。
「好きだと言ったら答えるか?」
「兄さんが私の唯一一番絶対神だけど、あんたがそれを望むなら、言ってやらなくもない」
 ロシア以外には会話を交わすことさえ嫌がるベラルーシだ。
 こうやって自分の元を訪ねてくるのは少なからず思われてはいるのだろう。
 彼女がロシアから貰ったメイド服を丁寧に脱がせながら、ドイツは彼女の白い柔肌を吸い上げて
いく。
「速く突っ込んで」
「だから、待てと言ってるだろ……」
 メイド服を脱がせ、髪を飾るリボンも解き、黒のレースの下着に手をかける。
 ブラジャーのホックを外せば、彼女の豊かな胸がこぼれ落ち、ツンと立ち上がった乳首が
目に入った。それを指で摺り合わせると、ベラルーシが顔を背け爪を噛む。
 そのまま軽く引っ張ったり舌先でこねくり回したりしていると、乳首の主張は強くなり、芯が
入り始めた。
 それを、乳房ごと咥内に招き入れ、吸い上げる。
「んあぁっ」
 上がった嬌声にドイツは内心喜びながら、彼女の胸を強弱を付けながら揉みしだいていった。
 手に収まらないほど豊満な胸は、ドイツの手を包み込むようだ。
 指の痕が残るほどに力を込めれば、ベラルーシが身を捩り、また甲高い声を上げる。
 雪のように白い肌を吸い上げると、くっきりと赤い痕が残り、鮮やかなほどだった。
 二つの乳房を両手で寄せれば、世の男が釘付けになるだろう谷間が出来て、その状態を維持した
まま、ドイツは乳首を執拗なまでに吸い続ける。
 タプタプと震える胸は別の生き物のようだ。
「挟めば?」
 そこでベラルーシが己の胸の谷間を指さし、パイズリを進めてきた。
 嬉しい誘いではあったが、ドイツはベッドに置かれたままのバイブを手に取り、「これが先
だろう?」と尋ねる。
 真面目すぎるドイツは自身の欲望よりも彼女の要求が最優先だ。
 ドイツの返答にベラルーシはフンと鼻を鳴らし顔を背ける。
 機嫌を損ねたか心配になったが「だったら後でしてやる」とぶっきらぼうに答えた言葉に
思わず顔が緩んだ。
 どれだけ揉んでも飽きが来ない豊満な胸はひとまず後に回して、今度は彼女が体を仰け反らせる
たびに浮き出るあばらにキスをする。
 そのまま手を腰から尻へと滑らせて、まだ脱がしてなかったパンツに手をかけると、ベラルーシが
腰を浮かせ、ドイツの動作を助けた。
 難なくずり降ろされたパンツには、彼女の体から滲み出した愛液がじっとりと染みこんでいる。
 もう十分すぎるほど濡れているように感じたが、ドイツは確認のため、指を秘裂に滑らせた。
 ゆっくり指を立てて入れ込めば、あっけないほど簡単にドイツの指が飲み込まれ、温かな膣壁は
ドイツの指だけでは物足りないとでも言うようにひくついている。
 ドイツは一本だった指を二本に増やし、軽く出し入れを開始した。
「焦らすな」
 そこで、ベラルーシから文句が入る。
 彼女もこう言っている事だし、体も十分な状態だ。
 ドイツは「わかった」と手に付いた愛液を舐めてからバイブを取った。
 理性が働いているときは直視出来なかった極太のバイブは、男性性器を如実に再現し、ある種
グロテスクな恰好とも言える。
 そして、普通の女性であれば物怖じしてしまいそうな太さだ。
 自分の物よりも大きいんじゃないかと思って、これを入れた後、自分の肉棒を挿入して大丈夫
だろうかと不安が過ぎる。
 しかし、今は彼女から言い渡された指令が優先。
「……入れるぞ」
「速く」

十分濡れているとは言え彼女に配慮して、バイブにローションを垂らしてから電源を入れる。
 まずは弱で良いだろう。
 昔、彼女に付き合わされて使い慣れた物ではあるのだが、やや緊張しながらドイツはバイブの
先端を彼女の中に沈める。
 ベラルーシはようやく侵入してきた膣内を満たす異物に喉を仰け反らせた。
 極太のバイブは程なく彼女の体に飲み込まれ、穏やかな振動をドイツの手に伝えてくる。
 様子を見るべく一呼吸置いていたドイツだが、どうやら問題はなさそうだ。
 まずは彼女の良いところを見つけるべく、バイブで中を探る。
「んぁ、っあっ」
 彼女の喘ぎ声を頼りにあちらこちらの内壁を付いていると、ある一点で彼女が甲高い声を上げた。
「ここか?」
 確認するようにぐりぐりと押し付けると、生意気な口調は消え、涙を滲ませたベラルーシが頷く。
 ドイツはバイブを強に入れ替えると、ピストン運動を開始した。
「あっ、あっ、あっ!!」
 ドイツの動きに合わせるようにベラルーシの声が部屋中に響いていく。
 彼女の喘ぎ声だけではなく、ドイツの攻めに素直すぎるほど答える接合部の音がグチャグチャと
鳴り響き、溢れ出るそれは、ドイツのシーツを濡らしていった。
 長い髪を振り乱しながら何かを堪えるように目をぎゅっと閉じて絶頂を待つベラルーシ。
 真っ白な肌はうっすらと赤みを増し、バイブがよっぽど良いのか涙している。
 そんな涙の伝う頬に張り付いた髪を指先で払い、ドイツは空いている手で彼女の体に愛撫を
施した。
 耳朶を噛み、喉に吸い付きながらバイブの動きを速くすると、込み上げる快感にじっとして
いられなくなったのか、彼女がドイツの肩に腕を回し、引き寄せてくる。
 彼女の胸に顔を埋めたドイツは眼前にあった張りつめた乳首を舌先で突いた。
「ああっ、ドイツぅ……っ」
 砂糖菓子よりも甘ったるい声で呼ばれた名前にドイツは性的興奮とはまた別の興奮を得て、
彼女の唇を奪う。
「あああああっ!!」
 なお一層彼女の体にバイブをねじ込めば、ようやく訪れたらしい絶頂に彼女の体が伸び上がって、
そして、果てた。


「……大丈夫か?」
 イった顔を見られるのが恥ずかしいのか、俯せになり肩を上下させる彼女にドイツが問いかける。
 ドイツの肉棒は、未だはち切れんばかりに膨らんでいるのだが、ここは余裕を持って尋ねたい
ところだ。
 ベラルーシは布団に押し付けていた顔を僅かにこちらに向けてくる。
 しかしまた顔を伏せ、黙り込んでしまった。
 今日はもうこれでお終いになるかもしれない。そんな事を思いながら、ベラルーシの汗ばんだ
背中を撫でる。
 そして、指先に絡む絹糸のような髪を無意識の内に弄っていると、彼女が「触らないで」と呟いた。
 ここまでしておきながらそんな事を言うとは思わず、聞き間違いかと驚くドイツだったが、
今度ははっきり大きな声で「触らないで」とベラルーシが言う。
 まるで燃え盛る火にでも触れてしまったようにドイツがバッと手を引くと、ベラルーシが
体を起こした。
「今日、兄さんが『ベラルーシの髪は綺麗だ』と言って撫でてくれた。だから触るな」
 そう言って、睨み付けてきた彼女。ロシアの名前にたじろいだドイツを見て、ベラルーシが
口角を上げる。
「夢の中でだけど」
 そう言った彼女は、いつもは見せない寂しそうな目をした。
「……何かあったのか?」
 彼女は何も言わなかった。
 話したくないのだろうか。だったら無理に聞く気はない。だけどやっぱり気になってしまう。
「……実際お前の髪は綺麗だから、ロシアに言えば撫でてもらえるんじゃないのか?」
 だからこそ、余計な一言かと思いはしたが、そう言った。ベラルーシは視線を遠くし、
やはり黙っている。
 沈黙は続き、答えは見えない。
 今になって、窓から入りこむ風の冷たさに気付き、ドイツは布団を手繰り寄せるとベラルーシに
かけてやった。
「……しばらく席を外すから、ゆっくりしていろ」
 ドイツは息を吐いて立ち上がる。今日はもうこれでお終いだろう。トイレで自分の性処理を
してこなければ。
 ついでに、何か温かい食事でも出してやろう。ここ最近の彼女は食うにひもじく芋ばかり
食べていたはずだ。
 何か、美味しい物を。
 そんなドイツの腕をベラルーシが掴む。
「……?」
「パイズリ、する。横になれ」

 まさかドイツに気を使ったのだろうか。そんな事を言うベラルーシにドイツは首を振って、
「そんな気分じゃないんだろう? 俺は自分で何とかするから、横になってろ。飯でも作ってくる」
「そんなおったてておいて、カッコつけるな」
「だからっ、それを自分で処理してくるって言ってるだろう!」
「そんな気分じゃないって誰が言った」
「触られたくないって言ったじゃないか!」
「別にいい」
 支離滅裂だ。
 ドイツは額を押さえ、とりあえずベットに腰掛ける。
 するとドイツの少しだけ萎えてしまった一物をベラルーシが手に取った。
 ドイツはそれを制する。
「ベラルーシ、なにかあったのか?」
 今度は真剣な表情でベラルーシのアメジストのような深い紫色の瞳を見つめ問いかける。
 彼女はまたしても顔をそらし、無言に徹した。
 そんな彼女に恐る恐る手を伸ばして髪を撫でると、今度は何も言わず、ドイツの行動を甘んじて
受け止めている。
「……兄さんが……」
「うん?」
 そして、その仕草を繰り返していると、ベラルーシが言葉を絞り出した。
「姉さんの髪を見て、とても綺麗だと言った。『触って良い?』ってふざけて、姉さんの髪を撫でた。
姉さんは困ってたけど、兄さんは嬉しそうだった」
「……」
「兄さんは、姉さんばっかり誉める。
 姉さんは美人だとか、綺麗だとか、可愛いとか、優しいとか、いつもいつも言う。
 いつもいつも見てる。
 だけど、私の事は見ない。
 私の方が兄さんのこと好きなのに。私の方が兄さんのことばっかり考えてるのに。
 兄さんは私を見ない。
 兄さんは、私の事なんか……」
 そこまで言って、彼女の瞳からポタリと涙がこぼれ落ちる。
 ベラルーシはそれを恥じるように涙を拭き取り「くそ」と呻いた。
 気の強い彼女が零した弱音にドイツはいても立ってもいられず、拒絶されることを恐れながらも
彼女を抱きしめる。
 ベラルーシは抵抗せず、ただ項垂れてドイツの肩に額を押し付けた。
「何で私じゃない……私の方が兄さんのことをよっぽど好きなのに……っ!」
 子供が物に当たるようにドイツの胸を叩くベラルーシ。
 ドイツもまた、幼子をあやすようにベラルーシの肩を撫で、髪を撫で、頬に口付ける。
「何で、何で……っ!」
 そんな嵐のような感情を、ドイツはしばらく受け止め続けた。

「……勃起させたまま体押し付けるな」
「……これは、仕方ないだろ」
 やがて出た憎まれ口。
 これはきっと、彼女が落ちついた証拠だろう。
 体を離したベラルーシは、珍しく頬を染めている。どうやら照れているらしい。
 彼女はベットに体を投げ出すと、いつものようにしなやかな足を持ち上げ、ドイツの胸を指先で
なぞる。
「見苦しいから、さっさといれろ」
 高圧的な態度で言われ、ドイツは苦笑した。
 そうやって照れた自分を誤魔化しているつもりなのだろう。
「わかった」
 ドイツは彼女の体を追うように覆い被さり、ベラルーシの足を開くと、肉棒を扱いてから、
ベラルーシの膣口に当てる。
 即座に捻り込みたい衝動に駆られながらも、彼女を煽るように勃起したクリトリスを熱の先端で
突いた。
 そして、秘裂をなぞるように往復させ、肉棒に蜜を絡みつかせていく。
「焦らすな……っ」
 まどろっこしいことが嫌いなのかドイツの行動に文句を付けるベラルーシだが、そんな頬を
赤めた状態で言われても怖くない。可愛いと思うだけだ。
 更に焦らすようにただ擦り合わせるだけに留めていると、彼女が唇を噛む。屈辱的な表情に
嗜虐心が煽られ、冷えていた体に再び熱がこもり、更なる熱を求め始めたところで、ドイツは
彼女の足を左右に開くと、唐突に己の昂ぶりを彼女の中へと捻り込んだ。
「ああっ!!」
 不意を突かれ心の準備が出来ていなかったのか、ベラルーシが甲高い声を上げる。
 彼女の最奥に行き着いたドイツが「大丈夫か?」と問いかけると、「感じてなんかいない」と
説得力のない表情で彼女が言った。
 さっきまで極太のバイブを飲み込んでいたとは思えないほど、ベラルーシの膣内は狭く、ドイツの
肉棒を締め付けてくる。
 ドクドクと脈打つ彼女の体、体温を肌で感じ取りながらドイツはゆっくりと腰を揺らした。
 ドイツの動きに合わせて、ベラルーシの乳房も大きく揺れる。
 それを両手で揉みながら口をぎゅっと引き締めピストンを繰り返していると、ベラルーシが
露骨に顔を背けた。
 一瞬だけ彼女の表情を映してから、ドイツは知らない振りを決め込む。
 彼女の目から止めどなくこぼれ落ちる涙。
 今何を思い、何を考えているのだろう。
 彼女が考えているほど、ロシアはベラルーシに興味がないわけではないと思う。
 事実、ベラルーシには気をかけ支援し、彼女までアメリカに奪われることがないよう努力
しているのがドイツの目には確かに映っていた。
 だけど、男というのは理不尽な物で、常に自分を見つめ追いかけてくる女よりも、自分の手から
離れていこうとする女を求めたりする。
 ベラルーシの場合、ロシアに対する愛情や執着が常軌を逸しているのも原因の一つかもしれないが、
自分のいけすで泳ぐ魚に愛情をかまけるタイプじゃないのだろう。
 そう考えれば、リアとアニアニ執着するのもわかる気がする。
 自分だったらどうだろう。
 ベラルーシのたわわな乳房に噛みつきながらドイツは考える。
 彼女が自分を好きになってくれれば、自分は、今ほど彼女を悲しませないような気がする。
 なんと言っても、ドイツは自分に好意を示す者には誠意を尽くすし、大事にもするからだ。
 だったら自分を好きになればいいのに。
 だけど、そんな簡単な事じゃないこともわかっている。
 自分に出来るのはこうやって、時折袋小路に閉じこめられ、子供のように涙する彼女を慰める事、
ただそれだけ。
 ドイツは、ベラルーシの涙を見ないように、仰向けになっていた彼女の体を反転させ、
四つん這いにさせた。
 背後から獣のように攻めていると、再び彼女の唇から嬌声が漏れ始める。
 彼女がどんな表情をしているかはわからなかったが、少しは、気が紛れ、ドイツを虜にする
魅力的な顔をしているのだろう。
 パンパンと腰を打ち付ける音が響く部屋の中で今度はドイツが少しだけ泣きそうな顔をして、
彼女の柔肌に口付けた。
「あぅ、ああっ、もう、だ……だめっ」
 やがて髪を振り乱し叫んだベラルーシにドイツも自身の限界を感じながら、彼女の体にのし掛かる。
「う……っ、はっ……」
 彼女の体に埋め込まれたままの熱の先端から、ほとばしった精。軽く数回腰を打ち付けて、
それを彼女の最奥に根付かせる。
 ベラルーシもまた同じく達したのか体を崩し、荒い呼吸を繰り返していた。
「……んっ」
 そんな彼女から肉棒を引き抜くと、後追うように彼女の中から白濁の精と、彼女の蜜が混じり
合って零れ出す。
「ベラルーシ」
 彼女はそんな物を求めていないかもしれないが、ドイツは顔を寄せ、幾重にもこぼれた涙の
軌道を無視するように慈しみを込めて彼女に優しくキスをした。


 それから、風呂に入り窓の仮修理を施したところで、ドイツは暖かいスープを手に部屋へと戻る。
 ベラルーシはドイツのシャツを羽織り、ソファーの上に膝を抱え座り込んでいた。
「食事だ」
 スープを差し出すとベラルーシは無言でそれを受け取り、ガツガツと頬張っていく。相当腹が
減っていたらしい。
 お世辞にも女性らしい食べ方には見えなかったが元気があって良いかと思いつつ、ドイツは
ベラルーシの隣に腰掛ける。あまりじろじろ眺めるのも失礼かと思いつつも、チラリと窺えば、
もう食べ終えたらしいベラルーシが食器を投げ捨てソファーに寝転んだ。
「おい!」
 投げ捨てられた食器を慌てて拾い彼女を責めると、ジロリと睨まれる。全く扱いにくい女だ。
 ソファーの肘置きに体を預けてまた寄った眉間に皺を親指の腹で潰してると、ベラルーシが
体を起こす。
 かと思いきや、またコテンと体を倒した。
 今度はソファーの上じゃなく、ドイツの膝の上にだったが。
「ベラルーシ?」
 自分を膝枕にするベラルーシに咎めるわけでもなく名前を呼ぶと、彼女は相変わらず無言で、
体を丸め目を閉じる。
「冷えるぞ、ベッドで寝ろ」
「うるさい」
 彼女を思って言ってやってもこの返事だ。
 仕方なく自分が羽織っていた上着を脱ぎ、彼女の体にかけてやった。彼女が寝たらベッドに
運んでやろう。
 そんなドイツの膝が、ふいに、何かで濡れる。
 それが何なのか、彼女を確認するまでもなく悟って、ドイツは膝置きに手を乗せ、頬杖を
付くと顔をそらした。そして、もう片方の手で、ベラルーシの髪を撫でる。
「……俺が会った女の中で、お前の髪が一番綺麗だ」
 柄にもなくそんな浮ついたセリフを口にすると、ベラルーシがいっそう体を縮ませ、ドイツの
ズボンをぎゅっと握りしめた。
「ドイツ」
「ん?」
「バイブより、ドイツの肉棒の方が良い」
「そういう単語を口にするな……」
 たまに出る彼女の下ネタ発言にはうんざりするが、親しいイタリアも本人意図してやっている
訳じゃないだろうが素っ裸で走り回ったりと下ネタ行動が多い男だ。
 悲しいかな、慣れてくる。
「ドイツ」
「ああ?」
「……」
「どうした?」
 涙はもう引っ込んだのだろうか。そらしていた視線をまた彼女に戻せば、ベラルーシは頬を
赤らめて、
「兄さんへの好きと、違う」
「何がだ?」
「けど、多分、好き……」
「……」
 それは、ロシアに対する好きとはまた違うけれど、ドイツのこともちゃんと好いていると
言うことだろうか。
 それが何だか嬉しくて、表情が緩む。
「俺もお前のことが好きだ」
 素直に返せば彼女は赤く腫れ上がった目を一度だけこちらに向けて、そして目を閉じた。
 そんな彼女の髪を撫でながら、ドイツは気分良く天井を見上げる。
 やがて聞こえる寝息も、きっと信頼の証だろう。




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[ベラルーシ][ドイツ]

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