クリスマス突撃のお知らせ ソビエト姉妹とロシアの受難
女湯から可愛らしい少女の声や妖艶さを纏った女性の声が響き始めた。
夕飯も食べ終わって一息ついたあと、各国の興味はやはり温泉へ向いたようだった。
ハンガリーやリヒテンシュタイン、そして姉妹でもあるウクライナとベラルーシもゆったりとした時の流れの中で寛いでいた。
穏やかな月の光は彼女らが温泉の中で髪を揺らめかすたびに水面でキラキラと反射している。
女湯の真ん中辺りでハンガリーとリヒテンシュタインが話をしている。
「お兄様ったら全くオーストリアさんのことを話して下さらないのです。今回は間接的にですけれど、お話が聞けて良かったですわ」
「そう?それは良かったわ!私でよければいつでも言ってちょうだい」
ウクライナはそんな会話に耳を傾けながら、さっきからまったく相手にしてくれない妹にずっと話しかけていた。
「ねぇ、ちょっと待ってったらぁ!お姉ちゃん、ベラルーシちゃんともお話したいんだよぉ…?ダメかなぁ?」
そこに穏やかでない言葉が宙を舞った。
「姉さんと話すことなんてない」
その言葉だけを残し、ベラルーシは高い繁みを越えて混浴の方へ行ってしまった。
「どぉしよぉ……。あっちってたしか男の人もいるんだよね。でも万が一間違ったことが起こっちゃっても困るし。よーしっ!」
ウクライナはひとつ大きな深呼吸をし、さきほどベラルーシが消えた方へ向かった。
「また来たの。あなたも懲りない人ね、姉さん」
混浴の温泉内には意外にもベラルーシしかいなかった。
女湯とは違ってここはとても静かだ。しかしウクライナにとってその空気はとても重かった。
「ぇーっと、だっていつもはロシアちゃんや他の子たちがいるから、女の子だけで話す機会なんてめったにないじゃない?だから……」
「でも私にはあなたと話すことなんてないわ。それじゃ、失礼」
一言だけ残し、ベラルーシは繁みを越えて再びその姿を消した。
ただし、男湯の方に。
「ええぇっ!ちょっと、そっち男湯の方だよ!」
当然ウクライナの制止などベラルーシの耳には届かず、ウクライナは独り残された。
「あーもーっ!ベラルーシちゃんいきなりすぎだよぉ…。男湯かぁ。大丈夫なわけないよねぇ。うんっ、私が行かなくちゃ!」
繁みを通り抜けて現れたウクライナに、男性陣は度肝を抜かれた。
ただでさえ数分前に女性であるベラルーシが男湯に乗り込んできたのだ。
当然の反応だった。
「姉さんっ!ねぇ、頼むからこの子連れて帰って!お願いだから!」
悲痛な叫び声が聞こえた。
もちろんロシアの声ではあるが、いつもの余裕はない。
元凶は彼の妹・ベラルーシだ。
「兄さん、さわって?ほら、期待して胸が高鳴っているの」
「こっちだって兄さんが欲しいと言っているわ」
「それに兄さんも私の中に入りたいと言っているみたい」
「ねえ、兄さん。繋がりたいわ」
次々ととんでもない言葉が飛び出る口を塞ぐ勇者はいなかった。
ついにロシアの肩を叩く者が有った。
「俺たちは止めないからよ、頼むが姉妹ともどもあっち行ってくれるか?」
そう言って混浴の方を指さすのはフランスだった。
男性陣は半ば強引にロシアとその姉妹を混浴へ追い込んだが、全体的に真っ白で控えめな胸元を持った妹と成熟しきった身体を持った姉のお陰で、前屈みにならざるをえなかった男性が多かったとか。
混浴での3人の話はまた別のお話。