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 トルコ→ハンガリー←ギリシャ



ギリシャとトルコが自分を狙っている
…そんな噂を風の便りで聞いた時、ハンガリーはそんな馬鹿なと一蹴した。
2人と同居したのは随分前で今更話すことも無く、
自分を取り込む事で得られる利点も想像できない。
3流女性週刊誌並のくだらないネタなどいつの間にか忘れていた。

ある昼下がり。
いつものように自室でオーストリアの写真集(自主製作)
を眺めていると突然慌ただしい足音が聞こた。
何事かと思い、写真集を机に置いて身構える。
バン、っとドアが開かれ、トルコが乱暴に入って来た。

「ハンガリー!俺と結婚しやがれ!!」
いきなり何を言い出すんじゃボケェ!
と叫んで殴ってやりたかったが。
オーストラリアさん(写真)が見ている手前、そんなはしたないことは出来なかった。

「何ですか!?いきなり押しかけてきて!」
「お前の力がひつようなんでぃ。
 昔一緒に暮らした仲じゃねぇか。さぁ、今すぐサインしやがれ!」
机にほとんど記入済みの婚姻届を置いて、無理やりペンを握らせる。
冗談じゃない!
今トルコと結婚なんてしたら、せっかく築いた
オーストリアさんとの関係が台無しになってしまう。
力ずくでサインさせようとするトルコに必死に抵抗する。
押されてペンの先が用紙に触れたその時、突如トルコは腕の力を失い、
ゆっくりと前に倒れていった。

よく分からないが、助かった。
安心したのもつかの間、トルコの後ろから現れた人影に
再びハンガリーは身を強張らせる。

「…これだからトルコは…。」
ギリシャ…。
トルコと超絶仲の悪い彼が一緒に来たとは思えない。
では、何故ここに?

どうやら彼がトルコを殴ってダウンさせたらしい。
お礼を言うべきか迷って、口をもごつかせていると
ぽやっとした笑顔をこちらに向け、再びトルコを蹴った。
「…もう、大丈夫……。
  …俺と結婚しよう…。」
「はい?」
聞き間違いだろうか。
脈絡が全然ない言葉が聞こえた気がする。
ハンガリーは思いっきり眉を寄せた。

「…だから結婚…。」
「何でそうなるんですか!」
「…いや?」
首を傾げて猫のおねだりのように言うギリシャ。
「当たり前です。」
取りつく島のないハンガリーにギリシャはむっと口を結び、
ハンガリーの肩に手を置いた。

「なら…、既製事実作れば良いって…
 母さんが昔言ってた…。」
「え、ちょっと待って…」
止める言葉も聞かず、ギリシャはハンガリーを押し倒し、
自分の片手で彼女の両腕を床に縫い止めた。
空いている手で服のボタンを器用に外して、ブラウスを広げる。
このままではいけないとハンガリーが足を上げ蹴りあげようとすれば
すかさず膝でスカートを押さえ付けて攻撃を不可能にさせる。
さすがスケベ大国。

「…トルコには…渡さない…」
ギリシャは呟いてハンガリーの胸元に口を寄せた。
息が産毛をくすぐり、なんとも言えない感覚になる。
僅かに頬を赤らめたハンガリーに気をよくしたギリシャは
拒絶できない彼女の胸元に顔をうずめ、片手を下半身へ持って行く。
ハンガリーはその様子を見ることが耐えられず瞼をキツく閉じた…。

ガシッ
鈍い音がして急に体が軽くなった。
恐る目開くと今度はギリシャが横に倒れている。
いつの間にか意識を取り戻したトルコがギリシャを脇から攻撃したのだ。

強力な不意打ちで痛んだ体を起こし、ギリシャはトルコを睨みつける。
トルコも売られた喧嘩は買うとばかりに臨戦態勢をとる。

部屋の時計が鳴ったのを合図に2人は取っ組み合いの喧嘩をはじめた。
唐突に起きた一連のことにハンガリーはただ呆然と2人を見てた。
ギリシャがトルコを机へ突き飛ばし、派手に机上の物をぶちまける。
反撃にでようと、トルコが助走をつけてギリシャへと飛び掛かった。






オーストリアの写真集を踏むというオマケつきで。




「オーストリアさんが…」
あの麗しいお顔にしっかりとトルコの靴後が残っている。
オーストリアさんが、オーストリアさんが……………。
オーストリア…さん…。


「お前ら!!
 いつまで何好き勝手さらしとるんじゃい。
 2人まとめて地獄に送ったろか!?」

ハンガリーがいたはずの場所、そこには般若がいた。
日本から聞いた通りに恐ろしい顔つきで角を生やしている!
背後にはハデスやサタン、死神もいる気がする。
他にもなんか怖そうな生き物達(?)が渦巻いている。
あまりの迫力にトルコもギリシャも動くことができない。

「今すぐ出て行け!
 そしてオーストリアさんに頭ついて謝ってこいや!」

従わなければ殺られる…。
2人は本能で感じ、全速力でオーストリアへ向い、
理由も分からず一日中オーストラリアに謝り続けた。


この一件を機にトルコやギリシャは2度とハンガリーに
無理強いをさせなくなったと言う。



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