共産主義の勝利へと!
「あなたの姉妹の胸が大きすぎるだけだと思うんですが・・・」
越南はウクライナとベラルーシの姿を思い浮かべる。
確か、片方が恐ろしく巨乳、もう片方もかなり豊かな体つきをしていたはず。
「そうかもね。」
ロシアは生返事で越南の胸を手の平でぐいぐいと押してみる。
越南は気恥ずかしさで赤くなるが、立場は彼のほうが上だ。
つまり、誠意をもって尽くさなければならないわけである、儒教的に考えて。
「・・・痛いです、ロシアさん。」
「共産主義の勝利のためだよ、我慢して。」
名曲と名高いソビエト連邦の国歌の最後のフレーズを唱えて越南の胸をいじりつづける。
「うーん、薄手でも服の上からじゃ微妙だなー。脱がすよー・・・いや、脱がし方分からないから
たくしあげちゃうよ。」
「いや、あの、ここ外ですよ?」
長い木々に囲まれた高床の家だが、その外の舗装はされてないがそれなりに整えられた道路には
自転車やバイクで通る人たちがたくさんいるのだ。
「だったら何かな?シベリアで木を数えたい?」
「?? 雪なら少し見てみたいです。」
ロシアはちょっと拍子抜けしたように肩を落とした。
「うん、別に何でも無い。騒がなきゃ気付かれないでしょ。」
「そ、そうですけど・・・」
「うん、これ以上の議論は不要だね。協力してくれるよね、越南?」
「共産主義の勝利のために?」
「分かってるんじゃない。」
淡い緑色の上着をたくしあげると、これまたよく分からない仕組みの下着が覗く。
まあ、ひもが付いているということは解けばいいということなのだろう。
紐を解くとしゅるりと下着が解け、クアンという滑らかな生地の薄手のズボンのウエストの部分に落ちる。
細い!
ロシアはしばし目を見張った。
胸はやはり扁平。腰つきも十分豊かとはいえない。
しかしこのぐいっとくびれたウエストは豊かな胸や尻と同等の価値があるのではないだろうか。
衣服が肌から離れたことが心細いせいか、越南は腕をロシアに絡めた。
そういえば腕も細い。
「すごい・・・細いんだね・・・。全体的にも細いと思ってたけど、このウエストとか。」
「ウエストを細くするのとお尻を垂れないように保つこと、これは越南の女子にとってものすごく大事なことです。
腕が細ければ更にアオザイの仕組みに映えるんです。」
「なるほどねえ。」
乱暴に扱えば壊れてしまいそうだ、と思えるのに、実際はどんな過酷な状況でもこれで戦い抜いてきたのだ。
「尊敬に値するよ。」
「え?」
ロシアは自然な動きでその場に片膝をつくと、越南の臍の少し上に口づけした。
「え?え?」
越南がさすがに慌てだす。
「ロシアさん、何を?」
「出るべきところは出たほうが、それは魅力的なんだけど・・・その逆もまた然りだね。」
「ロシアさん?」
ロシアは少し視線を上げる。
服を脱げば分かる、小さいながらも膨らんだ胸。
やっぱりある程度の大きさがあったほうが・・・とは思うのだが、
「君の場合は、これでいいんだろうね。」
と結論付けた。腕をのばして、太い指で先端を突いてみると淡い茶色の突起に赤色が付く。
越南は流石に顔を横に向けた。ちょっといじめすぎただろうか?
ロシアは再び立ち上がった。
「ごめんね、もういいよ。越南。」
越南がロシアを見上げる。怒りは見えない。
どう感じたらいいのか分かっていなくて途方に暮れているように見える。
越南は頷いて服を直し始めた。
「ロシアさん、私、何か役に立ちましたか?」
「それは分からないよ。何かできてはじめて役立ったかどうかわかるんだから。」
ロシアは適当にあしらったが、なんとなく罪悪感を感じて話題を変えた。
「そうだ、さっき雪が見てみたいって言ったね?」
「・・・あ、はい。」
「今度招待するよ。白夜の季節にね。」
白夜、と聞いてぱっと越南の顔が明るくなる。
南国育ちの彼女にとってはさぞかしロマンチックな響きなのだろうな、とロシアは思う。
青い空と強い太陽の照りつけるこの場所のほうが、ロシアにとっては夢のような楽園なのだが。