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  スペイン×女ロマーノ

にょたりあ注意

「どうして俺はこう不器用なんだろう。」
目の前に広がる手作りチョコケーキの失敗作の山を見て、
ロマーノは悔し涙をにじませた。
昨日のうちからスペインがいない隙を見計らって作り続けてるのに、
当日の夜になっても結局ものにならなかった。

『今度こそ素直に「いつもありがとう」って言って、あいつに喜んで欲しかったのに。』
悔しさをこらえるように口元がゆがんで、いつの間にか涙がぽろぽろこぼれていた。

スペインがいつも自分をどれだけ大事にしてくれているか、本当は良く分かってる。
自分のせいで上司に怒られたり、苦境に立たされたりしていることも。
でもスペインが弟ばかり誉めるので、素直に甘えるタイミングを逃し続けてしまった。
このバレンタインでは一大決心をして準備にとりかかったのに、
いざ作ってみると普段のように思いばかりが空回りして、ちっとも上手くいかない。
「もうやだ……。」
ロマーノはしゃがみこむと、しゃくり上げながら泣いていた。

「俺が手伝ったるから、もう泣くな。」
突然後ろから抱きしめられて、驚きと恥ずかしさで一瞬涙が止まった。
「まったく〜、ロマーノは不器用なんやから無理したらあかんで。
初めから相談してくれたらええのにー。」抱きしめたまま頭をナデナデするスペイン。
「ロマーノにチョコあげたい奴がおるなんて知らんかったわ。お前も成長したもんやなぁ。」
「あ、ああ…なん…ええっ、いつから、何でここに、えっ…あ」
『見られた!こんな恥ずかしいところ。失敗作に埋もれて…。
もう渡すこともできないのに。何でこんなときに来るんだよ!?やだ、やだ〜〜〜』
「いや〜なんか父親みたいな気分やな。お前がチョコ作るようになったなんて
嬉しいような悔しいような…。」と、スペインはいつもどおり空気を読まず、しみじみしていた。
「で、誰にあげるん?」とロマーノを覗き込んだスペインの顔は笑顔だった。

「〜〜〜うわぁーーーーん!うえっ、えっ、ひっく…」ロマーノはもうたまらなかった。
『何でそんなに嬉しそうに?父親って、そんな、確かにそうだけど。
でも俺は好きで、好きで、それで、チョコあげたかったのに。
ああ、でももうあげられないんだ…!』思いがごちゃ混ぜになったまま泣き続けた。
「いやっ、だ。もう、もう…あっち、いけ。うえっ。おまえなんかに、おまえなんかに…ひっく…もう…うぇ」
余計に泣かれて一瞬あせったスペインだったが、物語の都合上、奇跡的に空気を読んだ。
「えっ、俺にくれるつもりやったん!?」
『こいつが!俺に!チョコを!!』スペインはさっきの笑顔がかすむほどの光あふれる笑顔になっていた。
『不器用なこいつが。いつもそっけないこいつが、最近「ふん」か
「うるせえ」でしか答えてくれなかったこいつが。ああー…ほんまにうれしいわぁ。』
改めて台所を見回すと、今までの戦い(?)の様子が見て取れる。
それを見て、スペインはさらに胸が熱くなった。
愛しさがこみ上げて、腕の中のロマーノを強く抱きしめた。
「ロマーノ、俺ほんまにうれしいわ。お前が俺のためにがんばってくれたんやろ。
それだけで、もう嬉しいてたまらんわ。」
ふっと力が抜けたロマーノが、涙に潤んだ瞳でスペインを見上げた。
「でも、だめだったんだ。あげたかったのに。お前に…スペインに、喜んでほしくて…」
涙に途切れ途切れになる言葉もかわいくてたまらない。
普段あれだけつっぱってるロマーノがこんな風に思ってくれていたなんて。
こみ上げる嬉しさで微笑んだまま、スペインはテーブルに残ったチョコの欠片を手に取った。
「ほな、これもらっとくわな。」
「そんなちっちゃいの。残り物じゃねえか。俺の気持ちなんて、ちっとも…」
込められてないというわけか。
「じゃあ、気持ちをこめて食べさせてや」ほいっとチョコをロマーノに手渡す。
…しばらくチョコを見つめると、ロマーノはそれを口にくわえて、んっと突き出した。
『なっ!?』一瞬あわてたスペインだが、そこは女関係では場数を踏んでいるほうである(国的に)。
すぐに落ち着きを取り戻し、優しい顔でロマーノの肩を引き寄せる。
途中で一瞬『ええんかな…』と思わないではなかったが無視する。
二人の顔が近づき、スペインの口にチョコが届いた。
そのままスペインはロマーノの腰をぐっと引き寄せ、キスをした。
二人の熱でチョコが融ける。二人の唾液が溶け合って、まざりあって、
つっとこぼれたのはチョコか唾液か。
キスは甘く、抱きしめた体は柔らかく、ロマーノの体からは女の色香がこぼれていた。
「んっ、ん…ふっ…」とされるがままに息を漏らすロマーノに、スペインは勃起していた。
『やばい、今日のこいつ可愛すぎるわ。こんな…我慢できひん』

一方ロマーノもスペインの勃起に気づいていた。抱き寄せられた勢いで
ロマーノは軽くスペインに馬乗り状態になっていたが、ロマーノの敏感な場所が
まさにスペインのそれの上になっていたのである。
『どうしよう。こいつの、これ…。俺いいのかな…。こいつは俺でいいのかな。
ああ、でももう何も考えられない。キス、気持ちいい…。スペインが抱きしめてくれる…うれしい。うれしい!』
熱に浮かされたようにキスを交わす二人。
そして覚悟を決めたスペインがすっと唇を離した。「ロマーノ、ええか。俺、お前を抱きたいわ。」
嬉しさと恥ずかしさでスペインの胸に顔をうずめると、
ロマーノは小さく「うん」と答えた。髪のくるんがかすかにゆれた。



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