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  『クーベルチュールチョコレートの誘惑』



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『今年は「日本式バレンタイン」にチャレンジだよ!』


 ――日本式バレンタイン

 それは某デパートメントストアがはじめた忌まわしき女性から男性へとチョコを送る販売戦略。
 昨今は「逆チョコ」なるおいおいそりゃ欧州スタイルじゃね? という流れもあるがまあ省いていこう。

『最近日本さんのお家のことを色々教えてもらってね。それでこっちとは違うバレンタインを教えてもらったの』
 と、お誘いの手紙には書いてあってまあ、色々な感情を含めホイホイついてきてしまったのだが。

「ようは手作りとかチョコを男の人にあげて高いお返しをせしめる日なんだって!」
「姉さん腹黒いよ!」
 本日面と向かってこういわれてしまい喜ぶべきか悲しむべきかもの凄く迷ってしまった。
 ……しかしながら『男の人』という単語に若干喜んでしまったのはチェーカーにも知られることの無い秘密だ。

 そういえば、一昨日辺りから妹のベラルーシがものすごいチョコを買い込んでいたという情報を得ていた。
 一体何に使うのだろう? と考えていたけどなるほど、姉のウクライナと同じ理由なのかもしれない。
 曲解された表現ではあるが女性が男性にチョコレートを送る日、という口実で家のポストにはみっしりチョコがあるかもしれない。
 そう考えるとロシア的にはため息をつかざるをえなかった。


ウクライナの家のリビング兼ダイニングにはレトロなラジオからの音楽と暖炉のパチパチという音が合唱していた。
 机の上にはバナナ、イチゴ、マシュマロにクッキー、パンなど沢山の材料が並んでいる。
 色とりどりのチョコレートの袋が雑多に置かれ、製菓用のビターチョコレートの袋が空になっていた。
 おそらくはこれを使って作っているんだろうな、とにぎやかな机をソファーに腰掛けながら考えていた。

 ウクライナはキッチンで楽しそうに刻んだチョコレートを生クリームに混ぜ合わせていた。
「二人だけなのにちょこっと張り切っちゃったかな? あ、いまのシャレじゃないよ!」
「……日本くんの家で何を勉強してるの? あきらかにオヤジギャグってヤツじゃないそれ?」
「ち、違うってばー。もう、ロシアちゃんの意地悪っ!」
 白の生クリームは渦巻状に徐々に色を変えて、完全のチョコレート色に変化していく。
 その香りと、ウクライナの鼻歌に寄せられて、ロシアはキッチンに入る。
 キッチンの中は暖色系の色で纏め上げられており、使用する人の性格を伺わせていた。
「姉さん、もう出来たの?」
「まだだよ。あとこれにー、お好みで洋酒をちょっと……か。これで大丈夫かなぁ?」
 ウクライナが琥珀色のビンを取り、丁寧にチョコレートに混ぜ込んでいく。その様子をロシアは後ろから眺める。

 普段のチョコレートとはどこか違う香り。どこか誘うような、媚びるような艶。
 思わず指を伸ばす。手袋を外した指先にチョコレートは人肌には少しだけ熱い温度であった。
 火を止めて、ロシアの指先は舌に運ばれた。あまく、脳髄が痺れるような感覚。
 どこか覚えがあるような、何かが焼き切れるような感覚。

 ああ、そうか。これは理性が飛ぶ瞬間に似ているんだ。


「んもう! お行儀悪いわよ、ロシアちゃ……」
 姉が、弟の表情の変化を見て表情を失う。彼女には何度か見た覚えのある表情。
 穏やかな口元に対し、外の吹雪よりも低い温度に見える瞳。でも、どこかが違う。
「どう……したの?」
「ううん。それよりも、ちょっと指が汚れちゃったんだ」
 中指と人差し指、ロシアの長い指にはぬちゃりとチョコレートが塗られている。
「ねえ、姉さん。綺麗にしてよ」
 チョコレートのあまい香り。ウクライナの奥が熱くなっていく気がした。

 そろりと、口元に運ばれた指に舌先を伸ばす。爪のつるりとした感覚がいやに冷たく感じる。
 第二間接まで走らせると骨ばった男の指であると分かる。表面を根元まで舐めあげると、何かに捕らわれる感覚を覚える。
 指の腹側まで舐めあげると、ウクライナの頬は紅潮し二人の視線は自然と近づいていた。
 そのまま上を見上げると、ロシアがぞくりとするほど支配的な笑みを浮かべていることに気づかされる。


「ねえ、気づいてる?」
「ん……何が?」
「姉さん、すごくいやらしい顔をしてる」
 そう良いながら、二人は唇を重ねた。舌を重ね裏側まで絡めあう。
 チョコレートの味が、二人の何かを崩壊させていた。


『何者かによる製菓用チョコレートへの異物混入の疑いもあるとして、現在原因調査中です
 チョコレートやココア等、危険と思われる品目は口にしないようご注意ください
 繰り返します、口にしないよう御注……』



 流れてくる無粋なラジオの電源を落とし、リビングのソファーの上に二人は倒れこんだ。
 普段着のワイシャツをを羽織った姿で、上下の下着はロシアの手によって取り去られていた。

「あっ……つめた、」
 先ほどまで扱ったチョコフォンデュのベースも、ウクライナの肌の上では冷たいものとなっていた。
 普段白い分、まるで誰にも踏みあらされていない雪色の肌は快楽を帯びてうっすら紅色となる。
 その上を荒らしまわるように、チョコを指先で伸ばしていく。
「はぅ……んんっ」
 その動きすら、今のウクライナには快楽にしかならない。胸の頂から垂らされたチョコレートは、彼女の上半身に薄く広がる。
 もぞもぞと内股になる動きをわざと無視しながら、ロシアは下乳の円やかなラインに舌を這わせる。
 舌先を尖らせ、わざと突くように舐め挙げるとそのたびに高い声を上げる。
「ゃんっ! ろし、あちゃん……」
「どうかしたの? 姉さん」
「へん、なの。変になっちゃうよぉ……」
 腕で真っ赤になった顔を隠しながらそう言う。うっすら滲んだ眦の雫を指で払いながらロシアは言う。
「大丈夫。僕も同じ気持ちだから」
「う、嘘! だってロシアちゃんぜんぜん、いつもと同じじゃない」
「ううん。すごくドキドキしてるよ」
 それは本当だった。どうやら先ほど切ったラジオの内容からいって、製菓用チョコに何かあったに違い無い。
 しかし、チョコに酔ったのかウクライナの上目遣いに酔ったのか。最早今のロシアにはどうでも良くなっていた。


「ほんと、だねー。そういえば、いつもよりほっぺ真っ赤、かも」
「姉さんのせいでも、あるんだよ」
 つつ、と胸の頂にまで舌を滑らせるとまた口の中に甘い痺れが広がる。
 何もかもを考えずただ目の前のしなやかな肢体を貪りたいと、そう思ってしまう。
「や……胸、ばっか」
「随分、早いんだね」
「だって……頭がボーッとして、ほしくて、たまらないの」
 熱に浮かされたウクライナの瞳が、ロシアのズボンを捉える。そのままチャックを下ろし、そっと指を添える。
「ねえ、ロシアちゃん。お姉ちゃんにも、頂戴?」
 サイドテーブルの上に置かれたチョコフォンデュソースを指につけ、そっと撫で始める。
 ウクライナの指の動きと、ぬるりとしたチョコレートの感覚に背筋からぞくりとした快楽が走っていく。


 薫り高きグランマニエ、むせ返るような甘いチョコレートの快楽。
 ロシア自身に添えられたウクライナの舌の動きに目が離せなくなる。
 裏筋に舌を這わせ、両脇は指を動かしながら、最後は先端に口付ける。
「ん、おっき……」
 あまり大きいとは言えない桜色の唇で咥えようとする動きを、ロシアの指が止める。
「もう、大丈夫」
「でも……」
「限界、でしょう? それは僕も同じ」
 ウクライナの秘所に指を這わせる。ぐじゅり、という水音にウクライナは頬をますます染める。
 ロシアもイタズラっぽく笑みを浮かべながら指先でチョコレートをすくい上げる。


「ほらコレ」
 ロシアはぬるりと光る、艶めいた指先を見せる。
「姉さんのとチョコ、一緒になっちゃった」
「や……言わないで」
「どっちのせいで、こんなにぬるぬるしてるんだろうね?」
 その指先をウクライナに突きたてると一際高い声をあげる。そしてロシアの指に合わせて、声音が変化していく。
「ね、ロシアちゃ、一緒に……」
「うん、そうだね」
 二人は見つめあい、もう一度口付けあう。その睦みあう様子はまるで恋人同士のようであった。


 挿入した瞬間、互いに快楽が走った。突き上げられる快楽に絡みつく快楽。その双方にお互いは酔ってゆく。
「あんっ……凄っ……」
「ねえ、さんっ……」
 油断をすればすぐにもっていかれると、そう互いに自覚をしているのか。確かめ合うように手を繋ぐ。
 痛いくらいに握られた手すらも、今の二人には色欲を楽しむ道具にしかならない。
「い……いいっ。ロシアちゃん、もっと……」
 激しく突き上げられながらも、ウクライナは途切れ途切れに強請る。その言葉に笑みを浮かべながら、ロシアも動きを早める。
「やっ……いっちゃ」
「……一緒に、だよ」
 最後に打ち抜かれるような快楽と共にウクライナは意識を飛ばす。そして搾り取られるような感覚に、ロシアもソファーに倒れこんだ。

+++

『……本日未明チョコレートを口にした男女が 異様な興奮状態におちいり性欲をもてあますという報告をうけました 。警察は……』

 再びスイッチを入れたラジオからはそんな言葉が聞こえてきた。
 少しだけ早く目覚めたロシアはその放送内容を聞きボリュームを絞った。

 未だ意識を飛ばした姉への配慮もある。だがそれ以上に今日の出来事を不可思議なチョコレートのせいにしたくなかったのだ。
 この瞬間、たしかに同じ気持ちになったし手を繋いだままだと。そう思いたいのだ。


 まずは互いのチョコレートを落とすためにシャワーを浴びよう。
 そう思いながら無防備な寝顔のウクライナを抱え挙げてソファーから立ち上がった。



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