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  『バレンタイン中止のお知らせ』ドイツ×ベラルーシ


今日はバレンタインデーだというのにもかかわらずとくに予定もなかったドイツはラジオから流れる音楽を聴きながら部屋でのんびりと読書をしていた。
集中して本を読みすすめていると呼び鈴が鳴る音が聞こえたのでページをめくる手を止める。
一体誰だ?本に栞を挟むと玄関に向かって歩きだした。
思い当たるのは…イタリア辺りだろうか、思わず前のバレンタインの出来事を思い出し足が遅くなる。
そんなドイツをせかすように呼び鈴の音が鳴り続けた。

「いやに急かすな、イタリアじゃない…のか?」

玄関の前に着くと同時にピタッと呼び鈴を押す音が止まる。
やっと音が止まった、まったく一体誰だ、ドアに手を伸ばす。

だがドイツがドアを開けるより先にバキッバキッと鈍い音を立てて扉が開いた。

「なんだ、いるならさっさと出ろ。来るのが遅い。」

ドイツの目の前に現れたのは意外な人物だった。

「ベラルーシ!?いや、確かに少し遅かったかもしれんがドアを破壊する必要はないだろう!」

「脆かったんだろ、勝手に壊れた。」

そう言うとドイツを押しのけて勝手に家に上がり込む。

「私は客だぞ、さっさと茶でもいれてこい。」

いきなり訪ねて来てこの横柄な態度を振る舞うベラルーシに文句の一つでも言おうとしたその時―。

「ん。」

目の前に紙袋を差し出された。

「な、なんだ?」

ベラルーシから渡されたものだ何が入っているかわからない、慎重に紙袋の中を確かめる。
中には白い箱が入っていた。
恐る恐る箱を開けるとそこには普通のチョコレートケーキが入っていた。

「ケーキ?」

「ハッ、それ以外の何に見えるんだ。」

ベラルーシが小馬鹿にしたような態度をとる。

まさかベラルーシが自分にチョコをよこすなんて思ってもみなかった。
なんだろうじわじわと胸の辺りから熱いものが込み上げてきた気がする。

「なんだ、黙り込んで。どうしかしたのか?」

「いや、お前からチョコを貰うなんて…その、う、嬉しいというかなんというか…まさかそこまで想われていたなんて…」

赤面しながらごにょごにょと喋るドイツにベラルーシが首を傾げる。

「チョコケーキぐらいでなにがそんなに嬉しいんだ?」


理解できないという顔でベラルーシが聞いてくる。

「なんでって、バレンタインだから俺にこれをくれたんじゃないのか?」

「バレンタイン?なんのことだ、それはただの手土産だぞ?」
「……えっ?」

照れているのかと思ったがどうやらベラルーシは本気で聞いているようだったので部屋に向かいながらバレンタインについて話した。

「そうか、今日はそんな日だったのか。どうりで店先でチョコばかり売っていると思った。すぐに食べたかったからここによったんだ。」

「……お前の国ではバレンタインはやらないのか。」

思わず舞い上がってしまった先程までの自分を恥じて頭を押さえながら聞く。

「バレンタインというのはまだあんまり聞かないな。でも似たような日なら2月の23日にある。」

もちろん兄さんとやるつもりだとかなんとかベラルーシは喜々として話している。
部屋の前に案内するとドイツはハァとため息をついて紙袋を持ち直した。

「…茶をいれてくる。」

「ああ、早く用意しろ。」

そう言ってベラルーシは部屋の中に入って行った。
バタンとドアが閉まる。
あまりにそっけないベラルーシの態度。

「…ハァ」

また、ため息をつきながらドイツはキッチンへ向かった。

この時、ドイツもベラルーシもこのチョコレートケーキにとんでもないものが混入していた事を知らなかった。

ガチャリ、ドイツがケーキと紅茶を乗せた盆を持って部屋に入るとベラルーシがさっきまでドイツが読んでいた本を読んでいた。
ラジオからはクラシックが流れ大人しく椅子に座り本を読む姿は可憐な美少女に見えないこともない…中身は別として。
テーブルにケーキと紅茶を置いて自分もベラルーシの前に座る。

「ん、やっと来たか。」

そう言って読んでいた本を後ろに放り投げた。

「あ、おい!人の本だぞ!」

抗議するがベラルーシは拾う気配がまったくないどころかもうケーキを口に運んでいる。
仕方ないので立ち上がりベラルーシの後ろに落ちた本を拾いに行く。
本はカバーが外れて折れ曲がった上に栞まで飛び出していた。
拾いあげてカバーを直す、これは流石に怒らなくてはと思っているとカシャンと食器が落ちる音がした。

「今度はなんだぁ…!」

振り向くとベラルーシが胸の辺りを押さえて苦しんでいた。

「なっ!ベラルーシどうした!」
慌ててベラルーシの元に駆け寄る。

「…ハァ、ハァ…わからない…急に…体が…ハァ…んっ熱い」
まさかケーキに毒でも入っていたんじゃ!!
どうする!まず、吐かせるべきか?
慌てるドイツの耳にラジオの音が届いた。

―ザザッ〜緊急ニュースをお伝えします。
ただ今入ってきた情報によりますと、現在世界各地で 集団発作ともいうべき不可解な現象がおきています。
WHOから、本日未明チョコレートを口にした男女が異様な興奮状態におちいり性欲をもてあますという報告をうけました。
何者かによる製菓用チョコレートへの異物混入の疑いもあるとして、現在原因調査中です。
チョコレート等、危険と思われる品目は口にしないようご注意ください。―ザザザァ…

また、ラジオが音楽番組に切り替わる。

「…………」

世界中でそんなことが起きているなんて…媚薬の類いか?
まさかこのケーキにも!!
ドイツがベラルーシを抱き抱えながら今の現状に困惑しているとベラルーシがドイツの頬に手をのばした。

「ベラルーシ、んッ―」

驚くドイツに構わず突然ベラルーシが唇を重ね合わせてくる。
そして熱っぽいとろんとした瞳でドイツを見つめた。

「ドイツ…体が疼いて苦しんだ…助けてくれ」

ベラルーシがこんなふうに俺を求めてくるなんて…いやいや流されるな俺、理性を働かせてなんとか踏み止まる。
これはあのケーキのせいでベラルーシが本心から言ってるわけじゃ…ここは病院なりなんなり適切な処置を受けさせるべき…。
「ドイツ…お前が欲しい…私じゃダメか?」

ベラルーシはそう言って顔を紅らめるとドイツの胸に擦り寄った。
その一言がドイツの理性を吹き飛ばす決定打となった。
ドイツは我慢出来なくなりベラルーシを抱き抱え寝室へ運びこみベッドに押し倒した。

そしてドイツは熱のこもった目でベラルーシを見る。

「本当にいいんだな?」

ベラルーシはそれに答えるように自ら唇をドイツに押し当ててきた。
ドイツもその唇をたべるように舐めて、舌をねじり込ませる。
小さい歯をれろれろと舐めると、はぁはぁと吐息が漏れる。
その吐息がこぼれるのでさえもったいない。
ドイツは大きく口をあけて、ベラルーシの唇を何度も塞いだ。
ベラルーシの衣服を脱がすと、もう蜜はあふれだしている様子だった。

媚薬が効いていても恥ずかしいらしく目線を布団の端にうつしたまま、頬を紅く染めている。
可愛いな…本当にそう思う。
手を秘所へと近づかせ、軽く触れる。
「ふっ、はぁ…」
蜜は十分にあふれていて、侵入する前にドイツの指を湿らせた。
付近をゆっくりと撫でるたびにねちねちといやらしい音が響いて、行為を一層卑猥にさせる。
「ベラルーシ。すごく、濡れているな。気持ちいいか?いいんだろう?」
「ひゃっ、ん…、いぃ…、あっ、きもちい…んっ」
「そうか。じゃあ、これは?」
ドイツはそう言っってゴツゴツした人差し指をベラルーシの中に淹れた。
「ひゃあああ…、あっ、あっ…」
今までつぶっていたベラルーシの瞳が、ドイツを捉える。
うす紫色の瞳はそこと同じく潤んでいて、言葉以上にベラルーシが今、どれだけ気持ち良いのかを明確にしめしてくれた。
中で、指が軽く動くたびに、ベラルーシの体がいやいやとねじれる。
唇からは甘い声と、ため息だけが零れる。
ドイツは体をずらし、指をいれたまま、頭をベラルーシの足と足の間にねじ込んだ。
そのまま、プチュとなっている所に舌を沿わせる。
「ひゃあ!!!」
ベラルーシの声が一層甘みを帯びる。
れろれろと、上下左右にベラルーシを追い込むように舐めまわす。
「あっ、だめ、そこ、だめだぁ やぁ…、あん、あっ、ひゃあ…」
もう、そろそろだな…。
ドイツは、紅く充血している突起を唇ではさんで、そのまま舌でぎゅうと押した。
「!!!ひゃああああ!」
ベラルーシの体は大きくはねて、ビクンビクンと小刻みに動いた後、細く白い足をぶるぶると震えさせた。
はあはあ…と、紅くほてった体でベラルーシが呼吸を整えている。
ドイツはそんなベラルーシを見ながら、布団の上で座った。
ドイツの物は、大きく赤くそそりたっている。
ベラルーシは、それを見て、次に始まる行為を予測した。

「ベラルーシ。来い。」

両手を広げて、おいでのポーズをする。

ベラルーシはまだ快感に震える体を必死で動かして、ドイツに抱きつく。

「腰、落とすぞ。」

ベラルーシの細い腰を両手で支えながら、ベラルーシの腰をゆっくりと落としていく。
そして焦らすように蕾の方に何度も何度も欲しい物があてる。
ベラルーシが唇を震わせながら、目をぎゅうとつぶってこわごわと言った。

「あっ…、もう…れて、いれて…」

声の最後の方は羞恥のあまりに小さなか細い声だったが、それでも聞き取るには十分だった。
ドイツは細い腰を持って、一気に下へと打ち落とした。
「ひゃああああ、あっ、あっ、ひぃ、あっ!!!」
ベラルーシの声が体を更に熱くする。
もう、何も考えられなくなっていた。
「あっ、どいつ…、どいつ…」
腰を上下させながら、ベラルーシの乳房に吸い付き、唇を奪う。
ベラルーシの長いまつ毛から、涙がにじみ出ていてドイツの心をたまらなくさせた。

「ひゃっ、あっ、あっ、ひゃあ…」
ぎゅうと抱きしめる。

「気持ちいいか?」
そう聞くと、ベラルーシは目をぎゅっとつむったまま何度も何度もうんうんと首を縦に振った。
あの生意気なベラルーシが、今はこうして俺の物をくわえて、裸で、全身で快楽をむさぼっている。
そう考えるとより一層、背中にも熱がこもる。
ベラルーシの中に何度も何度も打ち付けるように動かす。
そのたび、ベラルーシの中は生き物のようにぐねぐねと動いて
どれだけ感じているのか、どれだけ熱くなっているのかを教えてくれる。
瞬間、限界に近づいたのを悟った。
今までよりも激しく上下に動く。
ベラルーシが何度目かの締め付けを行う。
「ひゃあああ!どいつ…、どいつぅ…」
ベラルーシの口を塞ぐように奪い、キスをした。
ドクドクドク…と、白濁した液体がベラルーシの中に放たれた。
「ひゃあ、あっ…」

そこでベラルーシの意識は途絶えた。


ベラルーシが目を覚ますとドイツがいきなり謝ってきた。
最初はなんのことかわからなかったがおぼろげに今までの出来事を思い出し顔が熱くなる。

「すまん、いくらあんな状態だったとはいえー」

「別に…気にしてない」

ベラルーシはドイツに背を向けて着替えている。

「意識がとぶ前にとぎれとぎれだけどニュースが聞こえた―あのケーキが悪いんだろ。」

冷静を装って気恥ずかしさを押さえ込もうとしているのにドイツがまだ謝ろうとする。

「いや、しかし―ごふッ!」

顔面におもいっきり枕を投げ付けてやった。

「だから気にしてないって言ってんだろうがこの馬鹿がっ!」
めずらしく赤面したベラルーシに怒鳴られた。
どうやら照れているらしい。

「十分気にしてるじゃないか…」

ヒュッ今度は軍用の黒塗りナイフを突き付けられる。

「黙れ、今日のことは忘れろ。いいな。」

「………」

こんなもの一体何処に隠してたんだ。

「…あとバレンタインというのは覚えた、来年はチョコぐらい贈ってやる。」

「えっとそれは…どういう」
「勘違いするな!一人寂しく恋愛小説なんか読み耽ってる男がかわいそうなだけだからな!このムッツリ!」
そういえば今日読んでいたのは恋愛小説だった。
「なっ!あの本はたまたま…」「帰る。じゃあ…またな。」
ベラルーシはそう言ってナイフをしまうと玄関に向かって歩きだした。
「ああ、また。」
また…か、またがあるのかとドイツは安堵する。
どうやら嫌われてはいないらしい。
でも、あいつは気まぐれだから忘れた頃にやって来るんだろうな。

「―そういえば、何処の誰がやったかわからんがチョコレートケーキにあんなモノを仕込んで何がしたかったんだ?」

ドイツは今回の出来事に陥った原因についての疑問を口に出して首を傾げた。


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