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 【タイ×ベトナム】




蒸し暑い夏の夜。
眠れないからと同じく眠れなくてボートを漕いでいたベトナムにタイは同行していた。
「何で女装してる。」
タイは国の女子学生風のノースリーブのシャツとミニスカートをはいていた。
すね毛を隠すためだろうが、ハイソックスまで履いている。
「だってズボン暑いじゃない。それに、何か気合が入るのよねー。」
「気合いなんて入れてどうする。あとその言葉やめろ、気持ち悪い。」
「うふふ、今更〜。」
ベトナムは船頭に立ってゆっくりとオールを漕いでいた。
時々民家の玄関に飾ってある提灯の光が見える以外は真っ暗で何も見えない。
「こっちおいで、ベトナムちゃん。別にどこを目指してる訳でも無いじゃないのー。」
言いながらタイは眼鏡を外した。
「変態の傍になんか寄りたくない。」
「あら酷い。幼馴染に対して冷たすぎやしないかしらー。」
ぎしぎしと木製の船が軋ませて立ち上がり、タイは船頭に立っているベトナムの腰に手を回した。
「相変わらず肉付き悪いのね。ちゃんと食べてる?」
耳元で囁かれて背筋がぞわりとする。柔らかい猫っ毛がベトナムの頬を撫でた。
「馬鹿!本当に・・・」
罵倒を出しかけた口をキスで塞がれた。それはほんの軽いキスで、すぐに顔が離れた。
「くっ、口紅の味がする・・・」
「味って。レモン味でも期待してたのかしら?」
くすくす笑うタイを横目で見る。ムカつくことに、かなりの美人がそこにいた。
「あなー。ねえ、蛍だわ・・・よく見えないけど、あの光は。」
タイが真正面を目を細めて見つめた。確かに蛍の群れだった。
「いいわねえ、良い夜だわー。」
「・・・まあ、ね。」
ベトナムは力を抜いて腰に手を回しているタイにもたれかかった。
「続ける?」
ベトナムは無言で返した。



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[タイ][ベトナム]

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