ウク・EUと野球拳おまけ
【1時間半とちょっと】
「結局ウクライナはEU入れへんでええんやんな?」
「そうなるわ…な、っていうか、スウェーデンの狙いはウクライナ本人だったのか?あの男の考えてることはわかんねえ・・・」
ベルギーとフランスがこのどんちゃん騒ぎが終わって人のいなくなった部屋で二人片づけをしている。
「あーでもちょっとああいうの憧れるわー」
「え?野球拳で脱がされるのがか?そんなに脱がされたいなら今すぐやってやるぞ!」
「アホか!大事にされるってことにやわ!」
ベルギーがフランスに向かって叫ぶ。
「まあ、あたしも奪われてばっかやんか・・・たまには大事にされたいもん。」
そういったベルギーの目は少しさみしげだった。
フランスも一時期確かにこの国を占領していたので少々バツがわるかった。
フランスは顎を掻きながら少し話をそらそうと努力してみる。
「スペインとはどうなんだ?」
「!・・・あのドアホのことは聞かんといて・・・」
さらにベルギーの顔が曇る。
「いつまでもいつまでもえらっそうにあたしのこと自分のもんって言うけど、なんもしてくれやんし・・・」
気の強いベルギーの声が小さくなっていく。
「あたしがどんなけ辛いなんて考えてくれやんもん・・・あいつは・・・」
やれやれといった風情でフランスはソファーに腰掛ける。
「話が長くなるなら聞いてやるよ、こっち来い。」
ちょこんとベルギーはフランスの横に腰掛ける。
「今やおまえもEUの首都がある国だもんな、色々あるのにフォローしてやらんのは男として駄目だよなあ。」
ぽすんとフランスの膝にベルギーが顔をうずめる。
フランスはちょっと面食らったが、黙って頭をなでてやった。
なでながら話しかける。
「パリからブリュッセルまで特急で1時間半ってとこだよなあ。」
「・・・そやけど。」
「辛くなったらいつでも電話してこい。ちょっと待ったら会える。」
「・・・」
「仕事終わって、顔見たくなったらいつでも来れるし行ける。」
「・・・」
「うまい飯食って、楽しいことして、それでまたお前が元気になるならお兄さんはいくらでも協力してやるよ。」
「・・・ありがとう。」
やっと顔をあげたベルギーに軽くキスをする。
「じゃ、行くか!パリへ!!」
そうフランスは言うと立ち上がりベルギーをお姫様抱っこする。
「えええ??な、何するん!?」
「大事にされたいんだろ?お姫様。」
「・・・うん。」
フランスはベルギーを抱えて部屋を出る。
結局一番役得だったのはこの男だったかもしれない。