ヒーロー対メガマック
2004年、11月。ニューヨーク。
市内でも有数の高級ホテルに、アメリカはいた。
(はあ……面倒くさいんだぞ)
心中で毒づく。
今日は午後からこのホテルで「国」としての仕事が彼を待っていた。
非公式だが、名目上は「国家間協議」である。サボタージュするわけにはいかない。
(なんだっけ? 相手は確か、ウ、ウ――なんとか。よく覚えてないな)
適当にボーイを捕まえて身分を明かすと、ホテルの支配人だとかいう小太りの中年男が音速で飛んできて、奥
まった一室へと案内された。
ホテルの格に相応しい、金の匂いがぷんぷんする部屋だった。
設置されたテーブルや椅子は全て有名ブランドの高級品で、敷かれた絨毯は足首が埋まるくらい毛足が長い。
壁には防音処理が施されているようだ。
わかりやすく、密談用の部屋、というわけだった。
(こんなところで“お話”ってことは、ロクな話じゃないってことだぞ)
カッシーナのソファに浅く腰掛けて彼を待っていたのは、抜けるような白い肌が美しい、妙齢の女だった。
「え、えっと……こんにちは。ごめんね、こんなところに呼び出したりして」
女が立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。短めにカットされたアッシュブロンドが小さく揺れた。“美人”という
よりは“可愛らしい”と表現したくなる、柔らかな印象の女だった。
支配人はいつの間にか消えていた。さすがはプロだ。
「あ、あの、えっと……す、座って。えとえと……あ、そうだ。お茶飲む? さっき出されて飲んだんだけど、
ここのお茶すっごく香りが良くて美味しいんだよ。……あ、君はコーヒー派だったっけ? あ、あのあの、座っ
てて。わ、私ちょっと頼んでくるね」
女はいきなりキョドりまくっていた。
オロオロと無意味に行ったり来たりするたび、ボイーン、バイーン、ドバボーン、と得体の知れない音がする。
雪のように白い肌。
澄んだ湖畔のごときブルー・アイ。
柔らかげなアッシュブロンドの髪もたいそう魅力的ではあったけれども、それより何より凄まじい存在感を放
つとある一点に、アメリカの視線は集中する。
というか、せざるを得ない。
アメリカは思わず生唾を呑み込んだ。
でかい!
これはでかい!
かてて加えてでかい!!
布地の上からでも、そのけしからんまでの巨大さが分かる。白い綿シャツを押し上げる膨らみは正に大鑑巨砲。
両脇のサスペンダーが更にその凶悪さを引き立てる。
内心の動揺を悟られぬよう表情筋を引き締めながら、アメリカは女の白い手を取った。
柔らかかった。
「飲み物はいいよ。それより、えーっと……」
「?」
「その……君、誰だったっけ?」
「……え? え? ええー!?」
ボイン、ボイーンと、奇音。
「はじめましてじゃないよね? 世界会議とかで会ったことあるよねええ!?」
「いやその、顔は覚えてるんだ! 名前もここまで出かかってるんだけど――」
ここまで、と喉元を指すと、女はひどく傷ついた表情でペタリとソファに沈み込んだ。
情けなく肩を落としたその子供っぽい仕草が、思い出したくもないどこかの誰かを彷彿とさせる。
そうなのだ。こんなインパクト充分の巨乳、覚えていないはずがない。
それを覚えていないというのなら、それは更にインパクトのある人物のせいで印象に残らなかったということ
であり、それはつまり――
「――ええっと、もしかして、だけど」
アメリカは、口の中が苦くなるのを感じながら、その名を出した。
「君……ロシア、の?」
北の巨大国の、朴訥としながら妙な凄みのある白い顔が思い出される。
目の前の女にそっくりだった。
「うん。ロシアちゃんの姉の、ウクライナです。よろしくね」
そう言って、ウクライナはちょこんと可愛らしく小首を傾げてみせた。
「――つまり、君の家の選挙に意義を唱えろということかい?」
ウクライナの話はこうだった。
先日彼女の家で行われた、彼女の上司を決める選挙。その結果に不明瞭な点が見受けられるので、世界的に強
い発言力を持つアメリカに意義の申し立てをしてもらい、再選挙がしたい、という。
「今回の候補者は二人……わかりやすく言うなら、ロシアちゃん派の人とアメリカちゃん派の人だね。それで、
結果はロシアちゃん派の人が勝ったんだけど……その……」
「不正が行われていた形跡がある、と」
「……ん……」
ウクライナは言い淀み、明言を避けて俯いた。
当然だろう。そこでの肯定は、彼女の弟への糾弾そのものとなるのだから。
アメリカは脱力したようにソファの背もたれに体重を預け、「なるほどね」と溜息混じりに呟いた。
「それはヒーローとして放っておけないんだぞ」
持ち前の正義感がむくむくと頭をもたげてくる。
勿論、それだけではない。
ウクライナはヨーロッパ連合と中央アジアの門だ。黒海に面していることもあり、地理的に考えて利用価値は
いくらでもある。損得勘定だけを考えたとしても、打てる手は打っておくに限るだろう。
それに――これはごく個人的な感情だけれども――あのロシアから姉を奪ってやるだなんて、これ以上ないく
らい痛快だ。
単純に異性として見たウクライナは、非常に魅力的な女性だった。元々スラブ系の女性には美人が多い。豊か
な胸に安産型の尻、むちむちと肉付きの良い腰つきなど、見ているだけであらぬ妄想が止め処もなく溢れてしま
う。
ぐるぐるとやましい考えを巡らせているアメリカの態度を、迷っているのだと受け取ったのだろうか。ウクラ
イナは不意に立ち上がると、アメリカのすぐ隣におずおずと腰を下ろした。
「……ぁ……あのね、私、貧乏だからお金は払えないけど……その……、……ん……」
そっと、腕をとられる。
二の腕の辺りに、はち切れんばかりの弾力が押しつけられた。
「えと……その……アメリカちゃんが協力してくれる、なら……あの、ど、どんな要求でも呑みなさいって……
言われてる……から……」
ウクライナの色素の薄い肌色は、すっかり朱に染まっていた。
女に恥をかかせるのは、ヒーローのやることではない。
「――OK、わかった。……場所を移そうか」
ウクライナは紅潮しきった顔を伏せたまま、きゅ、と小さく頷いた。
ご丁寧なことに、同じホテル内に部屋が用意されていた。
バカっ広い部屋の中央に備えられたバカでかいダブルベッドに、アメリカは腰かけている。
ウクライナはシャワールームの中だった。
ホテルのシャワールームは、曇りガラスで仕切られている。その向こうに、ウクライナの成熟した曲線が蠢く
のが見えていた。くっきりとは見えないのだが、そのもどかしさが却って想像力をかき立てる。
アメリカは近視の人がよくやるように薄目でガラスの向こうを睨みながら、
――……シャワーだけ、浴びさせて欲しいな……
と消え入るようなか細い声でお願いしてきた彼女の様子を思い出していた。
伏せた睫毛は微かに震え、唇に添えられた指は青白かった。おっぱいはたゆんたゆんだった。
あのおっぱいが……あのおっぱいがもうすぐ俺のものに……!
俺のものにイイイィィィィィィ!!
心の中でガッツポーズを取り、絶叫する。
アメリカ。体はまだ19歳。おっぱいに夢見るお年頃である。
妄想が加速して、既に股間のモノはぱんぱんに腫れていた。
「……おいおいジョニー。ちょっと気が早いんじゃないのかい?」
肩を竦め、アメリカンなオーバーリアクションでやれやれと首を振るアメリカ。股間のムスコに話しかける。
ノリノリであった。
「――お待たせ、アメリカちゃん」
十数分ほどして、シャワールームからウクライナが現れた。
新雪の肌は火照ってピンク色に染まり、濡れたアッシュブロンドからは雫が落ちている。放漫な肢体をバスタ
オル一枚に包んだ彼女の姿は、アメリカの若い欲望を滾らせるに充分な破壊力を秘めていた。
ジョニーも思わずスタンダップしようというものである。
「あ……ああ、うん! いや! 全然待ってないんだぞ! うん……じ、じゃあ俺もシャワー浴びて来ようかな
……!」
思いっきり声が上擦った。
無意味に大声を上げて立ち上がろうとしたアメリカの肩を、ウクライナの白い手がやんわりと押さえる。
「……でも、君のそこはもう待ちきれないみたいだよ……?」
恥ずかしげに、悪戯っぽく、微笑む女の目は、ズボンを持ち上げる膨らみをしっかりと捉えていた。
その視線だけで、アメリカのそこは更に元気になる。
ウクライナは朱の滲む瞳を悩ましげに伏せ、アメリカの広い肩口にそっと顔を近付けた。
「それに――私……男の子の汗の匂い……嫌いじゃない、から……」
そこまでされてなお我慢できるほど、アメリカは大人ではない。
乱暴にウクライナの体をベッドに押し倒すと、彼女の肉体を包んでいた忌々しいバスタオルを急くように剥い
だ。
「……Oh,Jesus!」
知らず、呻きが漏れる。
間近で見るウクライナの生乳は、想像を超えて遥かに素晴らしかった。
その、圧倒的なまでの質量。ビッグマックでもまだ足りない。メガマックだ。何を食ったらこんなモノが育つ
のか。
染みひとつない雪原のような双球は、うっすらと血管が透けて見えるほど、ただただ白い。少々大きめの乳輪
がちょっと下品で、清純そうな彼女の容貌とのミスマッチも相まって、とてつもなくエロティックだ。ここまで
立派なサイズなのに、醜く垂れ下がることもなく美しい釣鐘型を保っていることも凄い。
アメリカは感動していた。
かつてアームストロング船長がアポロ11号で月面着陸を果たしたときに匹敵する感動だった。
「……ん……っ、あ、あんまり見ちゃ、嫌だよ……」
恥じらいながら身を捩ると、乳房も揺れる。桜色の乳首がぱゆんぱゆん踊る。黒土地帯万歳。
(おお、主よ! 大いなる恵みに感謝します!)
アメリカは父なる御神に罰当たりな祈りを捧げると、早速目の前のごちそうにむしゃぶりついた。
ウクライナの乳房は、正に神秘であった。
「す、凄いんだぞ! こんなに柔らかくてふにゃふにゃのグニュグニュのわふわふなのに、弾力もちゃんとあっ
て、揉むと指を弾き返してくる! Wow……俺の手でも収まりきらないなんて……信じられるかい、これが胸
だって言うんだよ? ジーザス、凄すぎるよ! もうこんなnqwせdrftyふじこlp!!!」
ことほど左様に、おっぱいは男をアホにする。
脳みそあったかい発言を連発するアメリカに、ウクライナは困ったような、それでいてほんの少し誇らしげな
微笑みを浮かべた。
「おっぱい、好きなの?」
「おっぱいが嫌いな男なんていないよ!」
「うふふ、アメリカちゃんったら……じゃ、おっぱいでしてみる?」
「お、おっぱいで?」
ウクライナは頬を染めながら小さく頷き、ズボンの上からアメリカの怒張をゆっくりと撫で上げた。
「……私のおっぱいで……アメリカちゃんのコレを……サンドイッチするの……」
「お、おぱ、おっぱ、おっぱいで……サンドイッチ……っ!」
アメリカは間髪入れず、首がもげそうな勢いでガクガクと頷いた。
「ん、しょ……」
「うぉあ……っ」
ビクビクと波打つ怒張を、白く柔らかな巨大マシュマロが挟み込む。
その素晴らしい感触に、アメリカは思わず声を出した。
アメリカのモノは決して小さいわけではない。それが、ウクライナの乳房の間に完全に埋没してしまってい
る。――グランドキャニオンの夕焼けにも勝る絶景だった。
「あ、あの……どうか……な?」
豊かすぎるほど実った乳房で勃起した肉棒を捕まえながら、不安げな上目遣い。
反則だ。それは反則すぎるだろう。
「あ、ああ、その……」
「うん?」
「き、気持ちいいんだぞ」
「……うんっ」
心の底から嬉しそうに笑って、ウクライナは更に乳房の圧力を強めた。
「じゃ……動かすね」
ふにゅっ、ふにゅううぅぅぅっ。
しっとりとした肌の柔らかさが、張り詰めた男根に絡みつく。大きな乳輪の真っ白な双球から赤黒い肉塊が
時折頭を出す光景は、気が狂いそうなほど背徳的で淫猥だった。
「んん……っ、ちゅる……」
「ぅあッ! く……ぅ」
もごもごと何やら口を動かしていたウクライナが、肉棒を挟み込んだ乳の谷間に自らの唾液を垂らした。
唾液が潤滑油となり、乳の優しい柔らかさの他にニュルニュルとした粘性の刺激が加わる。ペニスにまとわり
つく粘ついた液体の摩擦が、まるで膣内に挿入しているかのようだ。アメリカは知らず、自らも腰を動かしてい
た。
「はぁ……っ、アメリカちゃん、すごい、大きい……っ。私のおっぱいの間でピクピクしてるぅ……。それに、
凄い匂い……っ」
先程までのまるで少女のような表情から一変し、ウクライナは完全に発情しきった雌の顔になっていた。
うっとりと熱っぽい視線で見つめるアメリカの先端に、躊躇うことなく舌を伸ばす。
「えろぉ……っ、はぷっ、んちゅううぅぅっ。んはぁ……っ、味も凄いよぉ……濃いよぉ……はむ、んくんく、
ちゅぶぅっ」
「く……っ、ぅあ……、うっ」
「はぷぅっ、ちゅっ、ちゅっ、ん……塩辛くて……エグみがあってぇ……っ、ちゅぶっ、えろぉっ、んちゅ、
ちゅうっ……えっちだよぉ……すっごくえっちなお味だよぉ……っ」
ウクライナが胸を上下に摺り合わせる度、アメリカの腹にコリコリと固い感触が擦れた。興奮からすっかり
勃起した、ウクライナの乳首だった。
「……う……っあ……ッ、ろ、ロシアは……」
「んちゅ、はむ、くぽくぽ……ん?」
「ロシアは……どんな顔をするだろうね……? 俺と君とがこんなことをしていると知ったら?」
「……」
やられっぱなしではヒーローの名が廃る。
意趣返しのつもりでロシアの名を出すと、ウクライナは急に押し黙った。
パイズリの手は止めなかったが。
「君はロシアが不正を行ったと言ったが、あれは本当の話かい? 不正をやったのは本当に彼なのかな? もし
かしたら……ウクライナ。君がただ彼と手を切りたいというだけで、そのために俺を利用しようとしているん
じゃないのかい?」
「……」
「だとしたら酷い話なんだぞ。実の姉に裏切られ、陥れられ、無実の罪を着せられた挙句に大嫌いな俺に奪われ
るんだから。ああ、かわいそうなロシア! なんという悲劇だろう!」
「……そんなの、だって……」
俯き、二三瞬きをしたウクライナは、少しだけ間を置いてから顔を上げた。
場違いなほど明るい笑顔だった。
「しょうがないじゃない?」
「……え」
一瞬の気の緩みを突かれ、肉棒を弄ぶ乳房の動きが激しくなった。固く勃ち上がった乳首に裏筋の弱い部分を
責められ、思わず腰が浮く。
「私たちは“国”だよ? たとえ姉弟だって……ううん、国境を接するきょうだいだからこそ、騙し合い殺し合い
は日常茶飯事じゃない。アメリカちゃんだってそうだったでしょ?」
「う……っ、あッ! お、俺、は……ッ!」
「育っててもらったのに。可愛がってもらったのに。裏切ったでしょ出し抜いたでしょ突き放したでしょお?
なんて可愛そうなイギリスさん! かつての大英帝国は見る影もなく衰退し、背信者の弟は今や世界一の超大
国ッ!!」
「ぐっ……、あっ、あっ、ちが……ッ、俺は……!」
「ううん、いいんだよアメリカちゃん。だって私たちは“国”だもの。ヒトの形をしていても人じゃない。誰も君
を責めたりしない。奪うのも侵すのも殺し合うのも、私たち“国”にとっては当たり前のこと。それにね、イギリ
スさんは今でもアメリカちゃんのことを愛していると思うな。――私がロシアちゃんを愛しているのと同じよう
に」
びくびくと痙攣してカウパーを吐き出す醜悪な肉塊を貪りながら、ウクライナの豊乳はぐにゃぐにゃと歪む。
その笑みはただただ明朗で美しい。
「私にとって、ロシアちゃんはいつまでも可愛くて愛しい弟だよ。今までもこれからも未来永劫変わらずに。
――でも、あの子が私の国民にしたことは許せない。これは、それをあの子に認めさせるために必要なことな
の。キミにだって充分見返りはあるんだもん、協力してくれるよね、アメリカちゃん?」
ウクライナは笑顔だったが、その瞳だけは一切笑っていなかった。
どこまでも透き通ったクリアブルー。
あまりに透明度の高すぎる湖では、魚は生きることができないという。彼女の瞳はそういう類のものだ。アメ
リカは思った。なんてそっくりな姉弟だろう。
これを何と呼ぶのか、アメリカは本能で知っている。
狂気だ。
あれに捕まったら最後。抵抗も自由も全て封じられて、底なしの煉獄へと引きずり込まれてしまう。
アメリカにとって、それは「死」を意味した。
「あは……っ! アメリカちゃんの、真っ赤になってエッチなお汁いっぱい出してるよ? 私のおっぱいがそん
なに気持ちいいんだ、嬉しいなぁ。もっとしてあげるね? んぷ……っ、ちゅばっ、れろれろ……」
「ぅあッ、あッ、あッ、も……っ、やめ……!」
「んぶ、くぽぉっ、ちゅくちゅく、ぷあっ……ふふふ、やめてあげないよ。こうやってぇ……乳首コリコリ擦り
つけてぇ……っ。あっはは! アメリカちゃん、先っぽ膨らんできたよぉ? 感じてるんだねアメリカちゃん!
気持ちいいんだねアメリカちゃんん!」
「くぅッ……あッ! ぅああッ! やめ……っ、やめてくれ! もう……っ」
「出してもいいよ? お姉ちゃんのおっぱいに出して! アメリカちゃんの白くてネバネバして臭いの、情けな
い顔でみっともなく射精しちゃうとこお姉ちゃんに見せて!」
「うあ……っ! あっ! あ……――あああああッ!!」
爆発するように解き放たれたアメリカの精は、放射状に弧を描いてウクライナの顔面と乳房を汚した。
どろどろと粘ついた生臭い白濁を浴びながら、ウクライナはうっとりと妖艶に嗤う。
「すごぉい……っ、こんなに濃くて、熱くてぇ……ん……っ、いっぱい出たね。お姉ちゃん嬉しいよ……んちゅ、
ぺろ」
顔や胸を汚した白濁液を白魚の指が掬い、ぞっとするほど紅い舌がぺろぺろと嘗め取る。
自ら嬉々として精液を嘗めるその姿は、普段のたおやかな彼女からは全く想像できないほど淫蕩だった。まる
でケダモノだ。
ザーメンを貪欲に味わう姿を目の前で見せつけられ、ついさっき射精したばかりのアメリカの欲望は見る見る
うちに力を取り戻していく。
「きゃ! ……はおぉっ」
たまらず押し倒し、ウクライナの秘裂に愛撫もなく突き刺した。
ぐずぐずに蕩けたそこは、何の抵抗もなくアメリカのそれを呑み込んだ。
「……なんだい……胸で扱いてるうちに濡れてたのかい? もうドロドロじゃないか。淫乱め……普段の淑女ぶ
りは演技だったというわけだ!」
「ああっ、いやあっ、そんなこと……言わないでぇ……っ」
ウクライナが恥じらうように頬を染め、腰をくねらせる。
その一挙手一投足が、全て男を誘う動作だった。
「ほら、こいつが欲しかったんだろう!? ビッチめ! 野良猫の方がまだ貞淑だよ! そらっ……啼けぇ!」
「ああんッ! あはぁッ! そこォ……! ズコズコ来るぅ……っ、あああッ、私のマンコぉ……っ、カリがめ
くってるぅ……!あはぁッ、いいよぉ! アメリカちゃん、上手ぅ!」
ウクライナの苦痛などまるで考慮に入れず、アメリカはめちゃくちゃに腰を振った。汚い言葉で罵倒していな
ければ、すぐに持って行かれてしまいそうだった。
乱暴に、まるで容赦なく、子宮口を突き破るつもりで突きまくる。
しかしウクライナの膣襞は吸盤のように吸い付いて一本一本が別々に波打ち、じゅぶじゅぶと濁った愛液を撒
き散らしながらアメリカの激しい動きを全て受け止めていた。
首に腕が、腰に足が回される。がっちりとしがみつかれたことで豊満な乳房がアメリカの胸板に潰され、形を
ひしゃげさせた。その凶悪な柔らかさがアメリカの脳を更に狂わせる。
「上手だよアメリカちゃんっ! そう、そこぉ! それっ……いっち、にっ、いっち、にっ、いっち、にっ――」
「くそ……! くそくそくそぉ……ッ!」
「いっち、にっ、いっち、にっ、いっち、にっ……!」
「Shit, damn! Bitch! knock it off! うああ……ッ、あ――!!」
二度目の果ては、呆気なく訪れた。
ウクライナの最奥へ、搾り取られるままに吐精する。
尿道の中の一滴まで漏らさず呑み込まんと蠕動する膣襞に逆らえず、ビクビクと腰を跳ねさせながらアメリカ
は全てを吐き出した。
体中の全ての力が抜け、吸い取られたかのようだった。
「あ、はぁ……っ、いっぱい……私の中ぁ……アメリカちゃんの熱いのでいっぱいぃ……っ」
ウクライナが熱っぽい吐息を漏らす。
ぐったりと弛緩しきったアメリカは、感想を述べる体力もなかった。
全部搾り取られた。
体が悲鳴を上げている。
このまま意識を手放して、眠りに落ちてしまいたい。
「……ぅ……、ッ!? あッ!?」
しかし、アメリカのそんなささやかな願いは肉棒を再び襲う粘膜の動きで無惨に砕かれた。
熱く柔らかなトロトロの襞が挿入っぱなしだった男根を締め上げ、強制的に再勃起させる。
「んな……ッ、ちょ……!!」
「まだだよ……まだおねんねは駄ぁ目。朝まで時間はいっぱいあるんだもん。お姉ちゃんのこと、もっともっと
楽しませてくれなきゃ嫌だよぉ?」
「ひ……ぃっ、うわっ!」
逃げようとした腰を物凄い力で捕まえられ、次の瞬間、視界が反転した。
体勢をひっくり返されたのだと頭ではわかるのに、思考のスピードが追いつかない。混乱する。もがく肩を、
全体重をかけて抑え込まれた。ペニスを食い締める膣の力はまるで万力のようだった。
――騎乗位。逃げられない。
鍛え上げられたアメリカの腹の上で、ウクライナが全く遠慮のない力で激しい上下運動を始めた。
「ああッ! うあッ! あーッ!! っやめ……、やめてくれよッ! もう無理だ! 無理だからぁ……っ!!」
「うふふふふ……っ。だめ、だめ、だぁめえええ!! 最後の一滴まで搾ってあげる! キンタマの中空っぽに
なるまで犯してあげるぅッ! ほらぁっ、アメリカちゃんもサボってないでちゃんと動いてッ!!」
「ひぁああッ! あぅあッ! あッ――!!」
三度目の射精。
しかしウクライナの動きは止まらない。
射精中のペニスを尚も無理やりに扱かれ、アメリカは恥も外聞もヒーローの矜恃も全てをかなぐり捨てて悲鳴
を上げた。ウクライナは甲高い声で笑っていた。
巨大な白い乳肉が、目の前でめちゃくちゃに跳ね回る。汗を撒き散らし、ぶるんぶるんと音さえ立てながら。
その凶暴な光景が、アメリカの最後の記憶だった。
――2009年。現在。
アメリカは、またニューヨークにいた。
今度は高級ホテルなどではない。ごく一般的な、庶民御用達のファーストフード店だった。
「んー、やっぱりマックは美味しいよね。でもさ、この間G8会議のとき日本さんにそう言ったら、なんだか変
な顔されちゃったんだ。『そうですね、時間がないときとか便利ですよね。お財布の中身にも優しいですし』
……って言ってはくれたんだけど――アメリカ? 僕の話聞いてるかい?」
「――え? あ、ああ、勿論さカナダ! で、君んちのシロクマがどうしたって?」
「……もういいよ」
向かい合わせでしゃべっていたカナダは呆れたように溜息をつき、手にしたハンバーガーに齧り付いた。
アメリカはウインドウの外を睨んでいた。
街の中を、巨乳のブロンド女が歩いていたからだ。
――あれから暫くの間、アメリカはまるで使い物にならなくなった。
毎晩のように白い巨大マシュマロに押し潰される悪夢を見た。日本が手土産に持ってきた「まんじゅう」とか
いう菓子を半狂乱でブン投げたことさえある。
数年経ってようやく落ち着いたが、不必要なくらい巨乳の女を見ると今でも呼吸が乱れ、脈拍が早まった。
けれど、それももはや過去の話だ。あのときの約束はきちんと果たしたのだし、彼女との個人的な接触もあれ
以来一度もなかった。いずれ全部忘れて、元通りになるだろう。
アメリカは、そんな風に考えていた。
ボイーン
その、音を聞くまでは。
「……アメリカ? どうしたんだい、顔色がすごく悪いけど?」
目の前でカナダが何か言っている。
聴こえない。
全ての音を遮断して、アメリカの聴覚はひとつの音に集中していた。
危機をいち早く察知するための、野生の勘がそうさせた。
ボイーン バヨーン
だんだんと近付いてくる。
逃げなければと思うのに、足が竦んで動かない。
口の中はカラカラに乾いて、肩が小刻みに震えた。
それなのに、下半身は訓練された犬のように主張を始めていた。
「アメリカ? アメリカ! どうしちゃったんだい、震えているじゃないか!」
カナダが何か言っている。
聴こえない。
ひとつの音しか聴こえない。
ドバボーン
すぐ後ろで音がした。
白い、まるで雪のように真白い女の手が、アメリカの震える肩に置かれた。
「――久しぶりだね、アメリカちゃん」
アメリカは、喉の奥で悲鳴を上げた。
...never end???