〜ムキムキとツルペタを一室に閉じ込めてみた[リヒ編]
●月×日
目を覚ましたら、お兄さまではない殿方が私の目に入ってきました。
あまりの事に言葉を失っていたら、そのお方……ドイツさんは説明してくださいました。
『いつの間にかつれてこられ、閉じ込められた』という事です。
お兄さまが心配していなければよろしいのですが……
●月△日
ドイツさんはお優しいです。
私に気を使ってくださっているのがひしひしと感じます。
きっと、あの体格ですから、私が怖がっているとお思いなのでしょう。
私は怖くは無いのですけれども、気を使ってくださるのが、とても嬉しいのです。
今日は私が食事当番ですので、ドイツさんの好きなじゃがいもを使ってみようと思います。
お兄さまから教わったルシュティなんてお口に合うでしょうか……
●月○日
ドイツさんと少々喧嘩してしまいました。
原因はベッドのことに関してです。
部屋の真ん中にあるベッドは私にゆだね、いつも壁に寄りかかって寝てらっしゃるので、
ベッドにお誘いしたら、ムキになって拒否されたので。
あ、ベッドにお誘いしたといっても、そういう……意味ではありません。
大きなベッドですので、私とドイツさんが一緒に横になっても十分な広さですし、私ばかりベッドを独占していても申し訳ないと思いました。
……私も大人げ無かったとは思っています。
あんなムキになって誘うだなんて。声を久しぶりに荒げたせいか、少々涙目になってしまったのが、今思い出しても恥ずかしいです。
きっと泣かしてしまったとお思いになったのでしょう。
気まずそうに左右を見回し、咳払いの後に大きな手が私の頭の上にのってきました。
暖かな手です。
でもすぐに手は引っ込まれてしまいました。
視線をそらし、『子供じゃないんだから、頭なでるのは失礼だよな。すまん』ですって。
そんなドイツさんの行動に、浮かんでいた涙も乾いてしまいました。
そして、今日からは一緒のベッドに寝ることになりました。
●月□日
ドイツさんが浴室へ向かわれる際、顔が強張っていたのが少々気になります。
……最近は、お兄さまより、ドイツさんの事を考える事が多くなってきた気がしますの。
ガラス越しに見えるドイツさんの影。お兄さまよりも筋肉質で、背が高くて。
抱きついたらきっと暖かいのでしょうか。
あの手で触れられたら気持ちよいのでしょうか。
いろいろ考えてしまいます。きっと人恋しいせいでしょうね。
そういう時は、少しだけ背徳的な行為になって表に出てしまいます。
私の手があの方の手だと思うと、身体が火照り……
――見られてしまいました。この火照った頬を。浴室から出てきたドイツさんに。
シーツに包まっていたから、身体の乱れは見られていないでしょうけれど。
あの方が隣寝ている……それだけで、私は……
●月▽日
ドイツさんに見られている気がします。
ドイツさんは厳格な方ですので、とても紳士的です。
だから、きっとそれは私の勘違いでしょう。
いえ、もしかしたら私の願望なのかもしれません。あの方にもっと見て欲しい。もっと触れて欲しい。
シャワーを浴びている時に飛び込んで、彼の胸に抱きしめられたい。
そんな思いが心の中を占め始め、切なくなってきます。
……もう少しだけ、近寄ってもよろしいでしょうか。
●月■日
今日はドイツさんが目を合わせてくれません。
どこかよそよそしい感じがして、少々寂しかったので、うたた寝してしまったふりをして、ドイツさんの肩に寄りかかってみました。
やはりドイツさんの肩は暖かくて優しくて力強くて、とても幸せな気分でした。
真似だけのつもりでしたが、あまりにも気持ちよかったので、少しだけ本当に寝てしまいましたの。
目を覚ました時、ドイツさんに膝枕をされていた時は驚きました。
きっと倒れそうになって受け止めてくれたのでしょう。
でも、驚いたのはドイツさんも同じだったみたいです。
わたしの様子を見ようと思ったのでしょう。
唇がふれそうなほど、顔が近くにあったのです。
澄んだ青い瞳、日焼けした肌、意志の強そうな眉毛、少しだけどきどきしてしまいました。
異性の顔をこんな間近でみたのは初めてでした。
ドイツさんと目が合い、しばらく時が止まったあと、慌てて彼は目をそらしました。
小さく「すまん」とだけつぶやいて。
もう少しだけ寝ていたら、または目覚めたとき、顔を動かしていたら……と思ったら胸が高鳴って体が火照って。
どうも今夜は眠れそうにありません。
●月◎日
ああ、なんて事でしょう。
私はなんてことを。
いえ、ドイツさんの事は好きです。好きだからこそ、あんな醜態を見せてしまうとは。
ああ、まだ頭の中は混乱していますが、できる限り明確にしていきたいと思っています。
ことの発端は目覚めた時からでした。
気がつくとベッドの上で四肢の自由を奪われていたのです。それも一糸まとわぬ裸体で。
それだけならば、私もそんな動揺はいたしません。
私はお兄様の妹です。いざという時の対処法は心得てるつもりです。
敵に捕らえられた時は、慌てず騒がず、脱出の機会をまつ。それがお兄さまの心得ですわ。
捕らわれる際に恥辱を煽り、戦意を失わせる為に、衣類をはぐという事もあると教えていただきましたし、お兄さまとの訓練で、羞恥に耐える事も身につきました。
ここで泣き叫んでは敵の思うつぼです。
だけれども、それは敵に対しての訓練でしかありません。
味方、それも好意のある方への対処法は教わっていませんの。
目の前に仁王立ちでいらっしゃるのは、ドイツさん。
手には何やら鞭やろうそくやら、なにかわからなかったけれど、どことなく凶悪な物体を持っていました。
目にはいつもの力強い光がありませんでした。
代わりに口元に邪悪な笑みが浮かんでいました。
「目覚めたか」
今まで聞いたことのないような冷たい声。
もしかしたら、私がスパイ容疑をかけられているかと思いました。もしそうでしたら、この後想像するに、尋問でしょう。
多少の尋問ならば耐えきれる自信はあります。お兄様に鍛えられましたもの。
でも、この誤解を解かなければいけません。
「ドイツさん、お待ちださいませ
なんで私はこんな格好でこんなところに縛られているのでしょう 」
まずは最初の疑問を投げかけてみました。もしこれで確信のもてる答えが返ってくるならば、ちゃんと誤解を解かなければいけません。
だけれども……
ドイツさんは口元をゆがませるだけで、返答はありませんでした。
無言のまま、私へと歩み寄ってきて
ビシッ
空気を削く音、そして太ももに走る痛み。ドイツさんの笑み。
「ドイツさん、な、何を……やっ」
再び痛みが私を襲いました。今度は胸に赤い筋が一つ。
その赤い筋は次々と増えていきました。お腹、もも、腕、乳房、恥丘。
身体に赤みが増えていくたびに、ドイツさんの笑みは深くなっていくのです。
痛みに声を上げたくなりますが、唇をかみ締め、どうにか押し黙ります。
ここで声を上げてしまったら、お兄さまとの訓練が無駄になると思いました。
でも、それが気に食わなかったのでしょうか。ドイツさんは振り上げた鞭をおろし、その代わりにろうそくに火を灯しました。
ゆらりと揺れる赤い炎。ドイツさんの瞳に映る炎はとても神秘的で、ひどく残虐的で。
「声あげてもいいんだ。もっと泣け。鳴いて俺に許しを請うんだ」
そうは言われましても、このような場合は声を出すなと教わりました。
だからできる限り声を抑え……
……恥ずかしいことですけれど、もうこの時点で私の身体はかなりの熱を持ってしまいました。
好意を抱いている殿方に裸体をさらされ、飛び交う鞭が私の敏感な所をかすっていったのですもの。
自ら確認はできないですけれども、小陰唇付近は分泌液ですでに濡れていることでしょう。
話は戻しまして、ドイツさんの手にしているろうそくがじりじりと私に近づいてきました。
炎の熱さがゆっくりと身体を嘗め回し、
「ひっ」
熱い蝋が乳頭の上に垂れ、私は思わず声を出してしまいました。
蝋は焼け付くような熱さ、そして周りの空気に冷やされ、白く固まりつつあります。
主張するかのように勃起した乳首にはきつい刺激でした。
「やっと声を出したか。さあ、もっともっとその声を聞かせろ」
そこからはドイツさんの独擅場でした。
足、乳首、お臍、腕、陰核、次々と落とされ、白い固まりが増えていきました。
その度に、熱さと痛さと……恥ずかしながら性的興奮のため、嬌声が響き渡っていたことでしょう。
もうすでにお兄さまの教えなど、頭の中にありません。
声を出すことで、迫り来る痛みと快楽から逃れようとしていたんです。
ただし、それは今のドイツさんには逆効果でした。
声を出すたびに、ドイツさんの瞳に狂気の光が揺れているのがわかりました。
でも、もうどうにもなりません。
腕が自由にならないのがもどかしい。腕が自由ならば、ドイツさんに抱きついて、更なる行為を懇願していたことでしょう。
「ひゃぁ……もうイヤです……んっ、あふぅ……」
「もう熱いのはイヤなのか。それでは解放してやろう」
言葉だけならば、もうこの行為はおしまいだったはずです。
だけれども、ドイツさんの声は冷たいものでした。
ろうそくの炎を吹き消すと、ドイツさんの手が私の胸へと伸びてきて
「やぁ……あぁ」
乳首にはりついた蝋を爪ではがし始めたのです。
すでに固まっていた蝋はそう簡単にはとれません。
もちろん、ドイツさんも簡単にははがそうとしませんでした。
私の声を楽しむかのように、わざと蝋のない所をこすってみたり、爪を立てて反応を確認してみたりと。
次々の身体の蝋ははがされ、身体に赤い痕が残りました。
そして最後に残ったのは、陰核のみ。
きっとすでに痛々しく腫れ上がっていることでしょう。蝋の熱さと……からだの奥底から生み出される性的興奮によって。
「淑女を装っていたわりに、ずいぶんと濡れているな。実は淫乱娘だったというわけか」
大陰唇が指でひろげられる。ドイツさんの息が更なる刺激となって、絶え間なく分泌液を放出してしまっています。
「んふぅ……んっ、ドイツ……さぁん、もう私……私ぃ……」
「どうして欲しいんだ? なぁ、しっかりとお願いしてみろ」
ねっとりとしたドイツさんの視線。それすらも一つの刺激。
どういって欲しいかはわかっています。声にだして行為のおねだりをしろといっているのです。
わかっています。私自身も何を求めているか。
頬を雫が流れおちる。きっとこれは快楽のための涙。そう、私は堕ちていっている。
「ドイツさんのっ! ドイツさんの陰茎を……陰茎をっ! 私の膣に入れてくださいまし!
膣にいれて、陰核の蝋を擦り取ってくださいぃっ!!」
私の言葉に一瞬だけ落胆した表情を見せたドイツさん。
私、何か間違った事を言ったのでしょうか。
いえ、間違った事は言っていなかったみたいです。
ドイツさんはすぐに歪んだ微笑を浮かべ、ズボンのファスナーを下ろしました。
中から顔をだしたのは、赤黒い亀さんの頭……じゃなくて、陰茎です。
もうすでに臨戦体制になっていました。ぷっくりと浮かんだ血管がどこか滑稽です。
少々お兄さまのと違う気がしましたけれど、そんなに悠長に観察する暇はありません。
亀頭を陰核を押し付けるように数回動かすと、一気に膣へと進入してきました。
「ひっ、あぁやぁーーーっ!! ドイツさぁっん!」
「ドイツ……様と呼べ。もうお前は俺のものだ」
「ドイツ様ドイツ様ドイツ様!! 愛してます大好きです強く強くしてくださいましっ!!」
熱い熱い熱い。
内臓がかき回されるような感覚に涙が溢れてきます。
厚い胸板が私の目の前に広がっています。
手が解放されました。痛みに耐えるため、ドイツさん……いえ、ドイツ様の胸にしがみつきました。
筋肉質な胸板。殿方の汗の香り。下半身に襲い来る刺激。
――それから何度突かれたかはもう覚えていません。
体位を変え、手を変え、モノを変え、ただただ身体をあわせ続けました。
様々な道具も使われました。何度も精を中にだされましたし、幾度か味わいもしました。
どちらか先に果てたかすらわからないまま、その日は終わりました。
●月☆日
小鳥のさえずりで目が覚めました。
隣にはまだ寝息を立てているドイツ様の姿。しっかりと腕枕をしてくださっているのがとても幸せで……
頬に一つ唇を落としました。
くすぐったそうに身じろぐ姿が愛おしくて、今度は唇にキスを一つ。
「……んっ」
やっと目を覚ましました。お寝坊さんですわね。
何が起こったのかわからないのか、寝ぼけ眼で左右を見回し……私の姿をみつけ、動きが止まりました。
そんなドイツ様に私は微笑み、口を開きました。
「おはようございます。ドイツ様」
●月Ф日
あの日から、ドイツ様はあまり顔を見てくれなくなりました。
私の顔を見るたびに、謝罪の言葉しか述べてくださらないんですもの。
とても寂しいです……
あの幸せだった時間は帰ってこないのでしょうか。
いつの間にか扉は開かれ、私とドイツ様の生活は終止符を打たれてしまいましたし……
いえ、お兄さまに会えるのは嬉しいです。
でもそれ以上に、ドイツ様と別れるのが寂しいんです。
私はドイツ様を愛しているのに。ドイツ様をこんなにも求めているのに。
ドイツ様は私の元から去ってしまう……
……寂しいです。
とうとうドイツ様とのお別れの時間が来てしまいました。
ドイツ様は私に一振りのナイフを渡してくださいました。
きっとこれは魔よけのためのプレゼントなんですね。
嬉しいです。お守りにさせていただきます……といったら、ドイツ様は笑ってくださいました。
久しぶりに見た笑顔です。
またお会いする約束も取り付けましたし、楽しみが増えました。
――今度は私がドイツ様をたっぷりと楽しませてあげます――