リモンチェッロ
今日は世界会議の日。
第1日目の会議が終わったあと、各々別れて懇親会と称した飲み会が行われている。
情勢関係なしに国同士旧交や親交を深めるのがこの会議の際の数少ない楽しみであった。
会議終了の後、ベルギーは鬱々とした顔で歩いていた。
「はあ・・・鬱や・・・」
普段かなりさばけた性格の彼女がこんな暗い顔を見せるのは珍しい事である。
原因は・・・非常にしょーもない事であった。
よくイギリスがセーシェルを拉致ってどこぞの倉庫でレイプまがいの事しただの、ハンガリーがオーストリアにおもちゃ突っ込まれたまま
会議に出さされただのをよく聞いて笑っていたのだが、まさか自分がそう言う羽目に合うなど思いもしなかった。
事の発端は会議の時、偶然隣になったスペインに今晩付き合えと言われた。
あんまり気分が乗らなかったので、軽く嘘をついた。
「今日は先約があるででまた今度な。うちも忙しいんよ。ごめんなあ〜」
と言ったら切れたスペインに会議中にも関わらず机の下から手を伸ばされ・・・
思いっきり喘がされた。
真面目な会議中なのに。
長い付き合いなので的確に弱い部分を責められ、あっという間にイカされ「ああっ!や、ああ!!!!」と艶っぽい声が会議場に響いた。
スイスに「貴様、会議中に何をやっている?」と銃口を向けられた時本当に殺してくれと思ったくらい恥ずかしかった。
そしてそんな目に遭わせた本人は素知らぬ顔だった。
女子同士でグチをと思い声をかけて回ったが、各々「ごっめ〜ん☆今日は○○さんと久しぶりなの〜明日聞くから!」と振られまくった。
「・・・死にたい・・・」
とぼとぼとホテルに戻る。シャワーを浴びて、ベッドの上で暫く寝っ転がっていた。
「・・・なんでなんやろ。うちらは普通の甘甘なカップルにはなれへんのかなあ・・・ 合意であるかもしれんけど大体一方的にやられまくりやし・・・」
自分も満足はしているのだろうがなんかこう、スペインとは精神的な結びつきが無い様な気がずっとしている。
ハンガリーなんか見ていると近い系統のSっ気炸裂オーストリアでもお互いを想い合っているのが解る。
考えれば考えるほど鬱々していく。
「はあ、バーカウンターで呑も。呑まなやっとれん・・・」
のろのろと立ち上がり、服を着替えバーカウンターへと向かった。
最上階のラウンジへと向かうエレベーターの前で意外な人物が立っていた。
「・・・ロマーノ?」
ロマーノは仏頂面でひょいっと片手を上げる。
「よ、ベルギーじゃねえか。」
「このホテルやったんや。」
ほわわわっと自分の顔に血液が回るのが解る。
誰でも良いから話しを聞いて欲しい。その一心だけだった。
「ちょうどええわ・・・奢るで付き合って・・・呑むの・・・」
今日の会議での彼女をロマーノも解っていた。
縋る目つきのベルギーを見てロマーノは何も言わずこくんと頷き、一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「そういや会議でちょくちょく顔合わせるけど、こうやって差しで呑むのって初めてやな〜」
二人で向かい合わせに座り、軽く乾杯をする。
「スペインちにいたころは俺まだガキだったしな。」
ロマーノはちびりとネグローニを舐める。
「そのお子さんとまさか酒を飲むようになるとはなあ。」
「お互い消えてたかもしれないしな。」
にっと意地悪げに笑うロマーノ。
ベルギーはマルガリータを一気飲みし、ロマーノを見据える。
「・・・うちは今日消えたかった・・・」
・・・しまった。地雷踏んだ。ロマーノの目が宙をさまよう。
「ま、まあ呑めよ。エル・ディアブロ一つ!!!」
「何でアイツはあんなに変態なんやあ!!!聞いてよ!今日の会議の時な、いきなりスカート手ぇ突っ込んできてな!」
10杯目のブラックルシアンを呑みながらベルギーは叫ぶ。今まで当たり障りの無い話しをしていたがそろそろ防波堤が決壊したらしい。
「ウチの弱いとこ、するするって入ってきて、こっちが声出すの我慢してたら、にやあああって嫌な笑いかたしてさ! 思いっきりな指でぐりぐりって・・」
「アイツの変態っぷりは俺もよくわかってるから、ベルギーもうちょっと声落とそうぜ。」
酒のせいなのか目が真っ赤になっている。ぐっとロマーノに顔を近づける。
「なあロマーノ覚えとる?うちがアイツんちにいたころな・・・」
「解ってた。俺の寝てる部屋の横でスペインと聞こえよがしにやってたのやテラスでやってたのも・・・」
「・・・やっぱり。」
ベルギーはがっくり肩を落とす。
「すいません、ウイスキーダブルで・・・」
「俺も・・・」
「ごめんなあ。」
背中を丸めてウイスキーを舐め、ぽつりベルギーは呟いた。
「うち、子供の前であんなことさせられてもよう断らんで・・・ロマーノきつかったよなあ・・・」
くいっとウイスキーを飲んでロマーノは口を尖らせる。
「気にしてねーよ。別に。悪いのはスペインだ。ベルギーのせいじゃねーよ。」
その言葉を聞いてベルギーはやっと笑った。その笑顔は
(・・・昔のまんまじゃねーか・・・)
その笑顔をみてロマーノは微妙な気分になった。気がつけばベルギーのグラスが空になっている。
「もう一杯飲むか?」
「うん・・・そやなあ・・・そしたらもう軽いの一杯で止めようかな。」
「そうだな・・・じゃ、まあさっぱりしたの一杯。」
柑橘系のベースらしい淡い黄色のフローズンカクテルが運ばれてくる。
ベルギーは一口飲んで「甘いけどさっぱりやね。レモン系?」とバーテンダーに訊ねた。
「お連れ様がイタリアの方の様にお見受けしましたので、イタリアのリモンチェッロをベースにしたフローズンカクテルでございます」
「そうやよ、こいつは南イタリアや、大当たり!ああ〜美味しい、ありがとう。」
満面の笑み。思わずバーテンダーもロマーノも見とれる。
呑み終わり、「チェック、ウチが・・・」とベルギーが言いかけるとさっとロマーノは自分につけた。
「お、男になったなあ〜ロマーノ〜〜〜、うち、今違う意味で泣きそうやわ。」
「部屋まで送るからでようぜ。」
二人きりのエレベーターに乗り、下へ向かう。硝子の向こうには夜景が広がっている。
「綺麗やなあ・・・」
ベルギーがぽつり呟く。ロマーノは何も言わずそれを只見ていた。
硝子に映るベルギーを見ていて、今まで押さえていた気持ちがむくむく頭をもたげてくる。
一緒に住んでいたときから少し憧れていた姉の様で姉ではない女。
今その女が自分がほんの少し手を伸ばせば届く所にいる。
(手ェ出したら・・・やっぱスペイン怒るどころじゃ済まねえよな・・・)
悶々とする間もなく、自分達の部屋の階に到着した。
「今日はごめんな!ありがとう」
そういってベルギーがロマーノに軽くキスをする。お礼のつもりの軽い軽いキス。
「・・・それだけか?」
すねた目でロマーノはベルギーを見る。ロマーノにとっては一か八かのセリフだった。
ベルギーは少し目を伏せ、もう一度キスする。
顎に手を当て、深く舌を絡め、家族にするキスでは無い。恋人同士の口づけをする。
頭の芯から溶ける様な感覚。立っているのも辛いくらいだ。ベルギーが離れた瞬間、ロマーノは口があいたまま塞がらなかった。
「じゃ、ロマーノの部屋、行ってええ?」
くるりと腕をロマーノの首に絡め耳元で囁く。
密着する体。ふんわり香るリモンチェッロの匂いとベルギーの香りにロマーノの頭は沸騰寸前だった。
「え?い、いの・か?」
予想外の答えにごくりと唾を飲み込む。潤んだ目でベルギーはロマーノを見つめている。
「ええよ。」
ベルギーはロマーノの手を取る。予想以上の展開にロマーノは只引っ張られて行く。
「ヴェネちゃんと一緒じゃないんやろ?ほな行こさ?」
ベルギーはにっと口の端を上げて微笑む。昔の笑顔そのままで。
その笑顔にロマーノが逆らえるはずがなかった。
部屋に入りドアを後ろ手に閉め、もう一度キスをする。
ロマーノの目が微妙に泳いでいるのを見てベルギーは「かわええなあ〜」といってまたキスをした。
「本当に、いいのか?・・・その俺・・・」
「ここまで来てな〜〜〜に怖じ気づいてんのや。」
ロマーノは後悔やら期待やら不安やらいろんなものが混じった何とも言えない表情を浮かべていた。
「あんたが初めてやっていうのくらいわかっとる。スペインに遠慮してるのも。ヴェネちゃんにコンプレックスあるのも。」
ベルギーは諭す様に話しながらがロマーノの上着を脱がせて行く。
「ここにはスペインもヴェネちゃんもおらん。」
ベルギーは半分シャツを脱がせ、ロマーノの少し薄い胸にキスをする。
そのままつうっと舐め上げ、乳首を甘噛みするとロマーノは小さな声を上げた。
「二人しかおらんの。だから・・・」
自分の頭の下のベルギーから感じる異様なほどの色気。
ロマーノは彼女の細い肩をぐっと掴み自分から口づける。
必死の口づけ。本当はずっとずっとベルギーとこうしたかった。でもその気持ちを出してはいけない。
ずっとそう思っていた。
「だから、俺・・・やってもいいんだよな?このまま・・・ベルギーと今日。」
ベルギーは微笑んで真っ赤になったロマーノの頬に手を添えた。
「そやに。やっとわかったか、この子は。」
そのまま頬にキスをする。
「あんたはもうちょっと素直にならなあかんね。相変わらず困った子やな。」
ベルギーはするりとブラウスを脱ぐ。薄明かりに浮かぶ柔らかな曲線を描くミルク色の体に淡い桃色のブラジャー。
我慢できない。唾を飲み込んでロマーノはそのままベッドへベルギーを押し倒す。
「いいんだよな?本当にいいんだよな???」
「ええって言っとるやんか!もう!!」
結構往生際の悪いロマーノに業を煮やしたベルギーは自分の胸にロマーノの頭を埋める。
「むごっ☆xzせrdctfyvぐばぃんじょmkp、っlんじmこ、lp。!」
「今ここにはうちらしかおらん!」
ベルギーの声が震える。彼女は彼女で少し怖かった。弟の様なロマーノを誘う。
これが一応恋人であるスペインや本当の兄であるオランダにバレたら自分もロマーノもどうなるか解らない。
「・・・わかった。」
小さな声が胸元から聞こえる。そしてロマーノの手がするっとベルギーの背に伸びる。
ブラジャーを取り去り、胸を軽く噛む。そこに淡い色の花びらが落ちる。
「後悔、しねえから。」
ロマーノはそう言ってうなずくと、もう一度深く口づけた
ぎこちなく壊れ物を触る様にベルギーの胸に触れる。
「柔らけえ・・・マシュマロ見てぇだな。」
「ロマーノ、乳フェチ?」
「これはなりたくなるっつーの。」
ふにふに自分の手のの中で形を変えるベルギーの胸を夢中で触る。
「ん、ロマーノ・・・こっちも・・・触って?」
ロマーノの手をすっと下半身に誘い、既に濡れている秘所へと持って行く。
指に吸い付くベルギーの内側。初めての感覚にロマーノの背中が粟立つ。
「ファ・・すっげぇ・・・ぐちゃぐちゃ・・・」
指を抜き差しする度くちゅくちゅと水音が立つ。左手で胸、右手で秘所をまさぐる。
「あ、気持ちいい〜溶けるわあ〜・・・ん、そこもうちょっと強く擦って・・・」
余裕綽々でベルギーは快楽を貪る。ぐっと顔を寄せ耳元で呟く。
「そろそろロマーノも気持ちよくしたるわ♪」
「ふぇ??」
ベルギーはすっとロマーノの体の下から抜け出す。
すっとロマーノ自身に口づけする。それだけでも背中に電気が走る。
「寝っ転がって。腰、持っとってな?」
「え?」
ロマーノは自分が上になってする・・・つもり満々だったので面食らう。
ベルギーは膝立ちになって中心にあてるとぐっと自ら腰を落とす。
「えええ??」
ロマーノは間抜けな声で叫ぶ。しかし腰を襲うもの凄く暖かいぞくぞくする感触に頭が真っ白になる。
「ふぁ・・・あああ!」
どっちの声だか解らない。二人同時に嬌声があがる。ベルギーは夢中で腰を振っている。
「ロマーノのおっきて・・・めっちゃええわあ・・・」
愉悦に蕩けるベルギーの腰を支えていたが目の前で揺れる乳房に思わずロマーノは手を伸ばす。
乱暴に揉み、乳首を噛む。ベルギーの中がぎゅうっと締まる。
「いやあ!!ろ、ロマ・・・」
「気持ちいいのか?」
意地悪く微笑んだロマーノも自然と腰を突き上げ乳首を摘む。
「や、い・・・くぅ・・・」
ぐっと奥に当たった感覚と同時にベルギーの白い喉が反った。
それと同時に襲った締め付けられる快感にロマーノはベルギーの中に熱を放った。
下になったまま果てているロマーノ。それを見てベルギーにんまり笑う。
「まーだ元気やよね?」
「ちょっと・・・待って・・・」
微妙に息も絶え絶えなロマーノからベルギーは体を離す。足の間からとろりと液体が流れている。
目の前にあるそれを只じっと見ていたらゾワリとした感触が下半身を襲う。
「くっ・・・・かはああ??」
自身を舐め上げられながら・・・お尻の穴に人差し指を突っ込まれた。
強制的に前立腺を刺激され勢いよくそそり立つ。
「そんな事しなくても立つぞ!ベルギー!!!」」
ロマーノは半泣きで抗議したがベルギーは聞く耳を待たない。
「やってみたかったんやもん!よーし、第2ラウンド、行こうか?今度はロマーノ上な〜」
ベルギーは横たわって腕を広げて「おいで」と言った感じだ。
(こんな時でもやっぱ俺、弟なんだな。)
そう考えるとちょっと寂しい。そんな事を考えながらベルギーの中心に自身をあてがう。
(けど、いいや、今は)
無我夢中で腰をベルギーに打ち付ける。今は自分にちょっと悔しいけど主導権を持たせてくれている。
(今は俺のベルギーだ)
自分の腕の下で快楽に蕩けているベルギーを見ながら考えていた。
だんだん打ち付けるスピードを速める。
「ん、ロマーノ・・・好き・・・」
「俺も、ずっとずっとこうしたかった。」
(チビのころから・・・)
最後の言葉は飲み込んだロマーノはだんだん何も考えられなくなって行って、そのまま熱を解き放った。
「喉乾いた・・・水ある?」
二人並んでぐったりとベッドの上に横たわっていたらベルギーが呟く。
「ん、ちょっと待ってろ。」
ロマーノはがくがくする足がバレない様にゆっくり立って冷蔵庫に向かう。
小さな瓶とソーダと氷の入ったグラスを持ってくる。
ロマーノは手際よくベルギーの前でカクテルを作る。
「・・・カクテル?」
「リモンチェッロ・ソーダ」
「あ、さっきの・・・」
「これイタリアじゃナイトキャップ代わりなんだ。原液じゃ甘すぎるからソーダで割った。」
ベルギーはこくんと呑む。
「おいしいわ〜ありがと。ロマーノ」
もう一口呑んでロマーノに口移しで呑ませる。
そして極上の笑顔。
むくむく復活する下半身に逆らえず・・・そのまま三回戦に突入したのは言うまでもない。
翌日とんでもない二日酔いに襲われ会議どころではない二人は二人揃って会議をさぼり・・・
一日中ホテルの自室にこもって死んでいた。
ベルギーは回る天井を見つめながら考える。
取りあえず、バレたらやばそうな人間にはバレていない。
「暫く楽しませてもらおうっと。」
そう呟いてまた眠りについた。