兄ちゃんの週末
最近パリの人間はよくブリュッセルに住居を構え、週末だけをブリュッセルで暮らす…というパターンが増えてきているという。
しかし俺の家では逆の現象が起きている。
週末になるとベルギーがブリュッセルからやってくる。
今日も携帯のメールに『20時に着くから北駅迎えにきてな!』とだけ入っている。
それをみて少し顔が緩む。
「じゃ、とりあえず準備するか〜」
誰に言う訳でも無く仕事部屋から出る。可愛いお嬢さんのための夕餉の準備だ。
何食べたい?とメールを打てば『パン!!肉!!!』口笛を吹きながらマルシェへ向かう。
「分かりやすいねえ〜じゃお姫様のリクエストにお答えしましょうか。」
お気に入りのパン屋でクロワッサンとフランスパンと、ブッフ・ブルギニョンは昨日作っといたし、マルシェで総菜とジビエものを買って行こうか。
ワインはセラーに入ってるし、ビールとショコラは自分で持ってくるだろ。
あとはデザートと…ゴムはあったな。薄くて軽いのを日本に貰ったw
ま、こういう時っつーのは自然と足取りも軽くなるよな〜ふふ〜ん。
ぶらぶら店を覗いていたら見慣れた女の子が前にいるじゃないか?
あ、セーシェル?おおいセーシェール〜お兄さんだよ!今日は何だ、お兄さんに会いにきたのかい?
残念だね、今日はお兄さんも…ってああ、見たくない眉毛もご一緒ですかい。ちっさいから見えなかったよ。
何?おい…何だよお前らパリでデートかよ。じゃあ俺んちには近寄ってくれるなよ!
さっさとガキはユーロディ○ニーでも何処へでも行っちまいな!邪魔したら殺す!
お互い親指を下に向け別れる。ああもう何でいるんだよ。
気を取り直してマルシェを覗く。まあ本当なら一緒に見て回りたいがそれは明日以降のお楽しみにしようか。
なんせ今回は少し長く休みが取れたらしい。10日くらいはこっちに居れると言っていたし。
いつもは土曜にやってきて日曜の昼過ぎに帰ってしまう。近いと言っても近すぎてゆっくり出来ないのが寂しくてね。
お目当てのものもそろい、自分のルノーに積み込む。おお、花、花。忘れてた。
花屋のお嬢さん、君のように輝いてるその花、全部くれるかい?
チューリップを一抱え買って、さあ一旦家に帰って準備、準備♪
俺の家はモンマルトルの一角。窓の外にはぶどう畑が広がっているなかなか良いロケーション。
…まあ色々と遊ぶのにも便利だし。うん。それは内緒。
取りあえず、布団はそれなりにふかふか。掃除は家政婦さんにやってもらってあるから完璧。
鍋の中身の再確認もしたしね。今何時だ?おお、そろそろ迎えに行くか〜
春と言えど中々パリの天気は気まぐれで、結構今日は寒い。まあ俺様だからね。諦めてくれ、国民よ。
北駅に5分前に到着。
「いつもの出口の柱にいるよ」とだけメールを打っておく。
人の流れの邪魔にならない程度に離れて待っている。待つ5分が結構長いな。
到着のアナウンスが流れ人の波が押し寄せる。
一番後ろに荷物を抱えた、少し短い明るい金髪が見える。
顔がゆるむ。ああ、だめだめ、まだしっかりした顔じゃないとなと頬を指でぐいっと上げる。
出口を通りきょろきょろと俺を捜している。メール、見てないな。こいつ。
「こっち!!」
ま〜だきょろきょろしてる。毎週来ている割には中々覚えねえな。
近寄ってくいっと腕を掴んでやる。
「はい、おかえり。」
まん丸い目のびっくりした顔で俺を見上げる。
「あ、ごめん!人多くってほんまわからへんだ。」
「いい加減覚えよろ〜まあいいさ。ほれ荷物持ってやるから。車にいくぞ。」
ひょいっとベルギーのスーツケースを持って、手をつないで歩く。
「パリは人が多いでいつ来てもフランスのおる所解らへん。」
ちょっとすねた口調でぶつぶつ言っている。
「言い訳はしなくていいから。早く待ち合わせ場所覚えような。」
「言い訳ちゃうもん。」
「じゃあ何?」
「うちが覚えやんでも絶対探してくれるやんか?フランスは。」
そう言って俺をにこっと笑い、くるんとした瞳で見上げる。
今そんな顔で俺を見つめてくれるな。ベルギー。ここがフランスじゃなくて、北駅じゃなかったら確実に押し倒す。
取りあえず何とか我慢し、軽く頬にキス。
「お前、俺にまだ言ってない一言あるんだけど?」
「あ、そやね、ただいま。」
ふにゃっとした笑顔。俺も思わず笑い返す。
「家に帰ったらブッフ・ブルギニョンとブルゴーニュの赤があるよ。子鹿と鴨も用意してある。何が良い?」
「ん、フランス作ってくれたんや〜じゃあブッフ・ブルギニョン!お腹空いとるんさ!」
なんて話をしていれば車の前。荷物を積み込んで車に乗る。
車で家まで1時間弱程。
たわいのない一週間の報告。なるべく仕事の話はしない。それが暗黙の了解ってもんで。
「ウク、なんかスウェーデンに強制拉致されて帰って来れないみたい。まあそれはそれで幸せやろけどねえ。」
「そうかあ…まあ良いんじゃないか?ロシアに素で対抗できるのはあいつくらいだし。フィンランドは大喜びだろ。」
家について車から降りる。家の鍵を開けた途端、ベルギーが俺の背中に抱きついてきた。
「ん〜〜〜〜〜1週間ぶりの匂いやあ〜充電するわぁ…」
すうっと深呼吸すると上下する胸が背中に当たる。
…そんな事されてこのフランス様が理性を保てるほど人間が出来ている訳ないじゃないですかw
ドアをそっと閉め、ベルギーに向き直る。
「おかえり。一週間お疲れさん。」
そう言って唇に吸い付く。
「ん、ふ…」
くちゅくちゅ音をたててキスをしてやる。みるみる間に耳まで真っ赤になる。
暫く抱き合って口づけを交わしていると、少し首を振ってベルギーは離れた。
「お腹空きすぎて気持ち悪い。昼からワッフルおやつに食べただけなんやけど。」
真面目な顔で俺をみている。なので俺も真面目に返答する。
「お兄さんはお前の顔見てからやりたくって我慢できない。」
正直に言ってみたが妙に沈黙が重い。
食欲と性欲ってどっちが勝つのだろう。俺は性欲だけどね。
ベルギーが目を瞑って上を向く。考え込こんで前を向く。
「しゃーないかあ。ウチが折れます。」
「え?いいの?」
「しゃーない。」
すっとベルギーが背中に手を回して、胸に顔を寄せてくる。
「ウチもフランスの匂い、嗅ぎたいし。」
真っ赤な顔でそう言うか!…こういうとこが可愛すぎる。お兄さん嬉しいよ!!
ヒョイっとお姫さまだっこをして寝室へ直行する。
ボフンとベッドの上に落としニヨニヨしながら服を脱いで行く。さあ今日はどんな風に啼かせてあげましょうかね。
何となくオーストリアな気分でベルギーを見下ろす。すっとシャツを脱がして、おお今日のブラはラベンダー色か!いいね〜
「ちょっと!シャワーくらい浴びさせてさ!」
「ま、あとで一緒に入ったら良いじゃない?」
話ながらスカートに手をかける。どうせ汗かくじゃないか。
「ホコリだらけやもん。シャワー浴びる!」
すたすたっとバスルームへベルギーは直行した。ちぇー。ここはお兄さんが折れますか…
仕方ない、ワインでも開けますか・・・ぐすん。
セラーでどれにしようかな〜白かな〜赤かな〜シャンパンにするかな〜ロゼもいいなあ〜と上半身裸でうろうろ。
「フランスーーーーごめん!スーツケース、持ってきて!!」
「ん、ああ解った。」
スーツケースを持ってバスルームへ。ワインは取りあえずきゅんきゅんに冷えたロゼにした。
バスルームの入り口にスーツケースを置いて、中に声をかける。
「置いておくぞー。」
「うん〜ありがと。」
軽いつまみ代わりのチョコとチーズ、イタちゃんちから強奪したオリーブををベッドサイドに用意して、お姫様を待つ。
この時間はちょっと拷問に近いけどね。
かちゃりと部屋のドアが開く。ちょっとだけ顔をのぞかせるベルギー。
「ごめん・・・な?今日、自分ちではいる暇無くてな・・・昨日も家帰れへんでさ・・・」
「いいよ、そんな事だろうと思ったから。こっちおいで。ワイン開けたから。」
ちょいちょいっと手招きする。淡いピンクのバラ色の液体をつうっとグラスに注ぐ。
チーズを幸せそうに頬張ってワインを一口。
「ふにゃああ〜幸せぇ〜〜〜〜美味しい〜〜〜」
隣に座って半分濡れた髪を撫でる。
「ビールのが良かったか?」
「ええよ。普段ビールやしな〜フランスの選ぶワイン美味しいし。」
アイボリーのキャミソールに同じ色のショーツ。紫、脱いじゃったのね。
ワインのせいか、シャワーのせいか解らんけどほんのり色づく胸元。
ベルギーはチョコを銜えてくるくるグラスを回している。それをじっと見つめている。
「疲れてる?」
「ん〜…ま、ちょっとな。休みのために頑張ったし。」
ぽりぽり音を立ててチョコをかじっている。いつの間にか俺にもたれ掛かってきてる。
「眠い。」
ベルギーはグラスをサイドテーブルにおくと、そう言って膝に頭を落とす。俯いてやがる。
おいこら、ここまで待たせてお眠の時間にはさせねーぞ。
つつーっと背筋をなぞって尻の割れ目に指を這わせる。
「…こら、ベルギー。起きなさいって。」
割れ目からすこーし指を中に入れる。無反応。悲しい。
「ン…眠い。ワイン空きっ腹に呑んだから…。」
「寝かさないよ。はい、ちゃんとこっち向きな。」
ぐいっと無理矢理起こすと眉根を寄せてかなり不機嫌そうな顔。
二人っきりになると見せる子供っぽいベルギー。普段頑張ってお姉ちゃんしてるからだろうな。
そう言うとこを見せてくれる様になった事が素直に俺は嬉しいんだけどね。
ワインを含んだまま口づけて呑ませる。
チョコとワインが混じって甘い様な苦い様な味が口に広がる。
口からつうっとワインがこぼれる。顎から胸へと伝って行く。
脇腹に手を回して抱きかかえ更に深く口づけてやる。
背中を撫でて、脇腹に手を下ろして行く。口は繋がったまま。
舌を絡めて唾液を送り込んでやる。ちょっと苦しげな表情がまあこう・・・いいな。
「ぶ・・にゃあ・・・やっぱする・・の?」
口を離し上気した顔で俺を見る。
「当たり前。」
多分今の俺は人生で一番真面目な顔をしている。
「もう駅からずっと我慢してるんだよ。焦らしプレイは趣味じゃないの。」
「え〜〜〜〜?」
そう言ってぐいっと押し倒してキャミソールをめくる。眠い眠いと言いつつ乳首はしっかり立っている。
そっと頂を舐めてやれば小さな鳴き声。
ハンガリーやウクライナみたいにもの凄い主張した胸じゃないけど、手から少しこぼれるくらいのが俺は好みなんでベルギーの胸は理想。
右手で胸を弄びながら下に手を伸ばす。さっきは無反応だったけど湿り気を帯びている。
さっとショーツの中に指を滑り込ませる。
「ふ・・・」
少し身をよじらせる。指を増やしてやると声が上がる。さっさとショーツを脱がせてぽいっと投げる。
中でかき混ぜてやると、ゆるゆると蜜があふれ出してくるのを顔を寄せて舐めてやる。
くちゅくちゅ音を立てて舐め続けるとどんどん蜜が溢れ出す。
「や…め…」
「止めないよ。せっかく目の前にベルギー居るのに何にも出来ないのは嫌だからね。」
舌を膣に差し入れてやるとひと際高い声。かわいいなあ。
「ひゃ、やん、ちょっとフランス・・・!」
何も答えず、舌で中をかき回してやる。ぷくっとふくれた莟を甘噛みしてやる
「い、ひゃあん!!!」
高い声で啼いたベルギーの体がぐっとこわばる。やべ、いかせちゃった。
ぐったり横たわって気を失っている。ああ・・・やってしまったか。
そういや疲れてるんだった。
「ベルギー?ベルギー・・・お兄さんが悪かったよ・・・悪のりしちゃったよ・・・起きてくれ・・・」
抱き起こして揺すってみるが起きそうにない。
・・・失敗したよ。
ああもう、この息子どうしたらいいんだよ。泣きたい。
舌でねちねちしないでさっさと突っ込めば良かった・・・焦らされたから意地悪したかった気持ちはあるけどさ。
かといって気絶している女の子に挿れるのも気が引けるし。名前を呼びながら軽くほっぺたを叩いてやる。
「ふにゃ・・・あ、気ぃ失ってた?」
「ごめん、悪のりした。」
俺は両手を合わせてごめんなさいをする。
「あ、ううん、うちこそごめんな。」
ベルギーが軽く頬にキスをしてくる。
息子にそっと触ってにっこり微笑んでいる。その顔は小悪魔の様であり天使にもみえる。
「一回だけしよ。その後ゴハン食べさしてな。」
神様ありがとう!という訳で1回と言わず3回やってしまい気がついたら夜の12時を超えていた。
真夜中のキッチンで夕飯の準備。
俺はトランクス1枚でベルギーはキャミ1枚。まあ二人だからいいでしょう?
「赤ワインあけるか?」
「うん、ブッフ・ブルギニョンにはやっぱ赤やろ。」
コンロの前に立つ俺の腕にベルギーは自分の腕を絡ませ鍋を覗き込んでいる。
作っておいた牛の赤ワイン煮込みを温めて皿に盛りつける。簡単な付け合わせとパン。
夜遅いディナーだがやっとゴハンにありつけたベルギーはニコニコしながら食べている。
「おいしい〜赤ワイン煮最高!幸せやわぁ。」
その顔を見ているとこっちまで幸せな気分。好きな・・・愛している女のこういう顔を見れるという事。
こんな気分は長らく味わってなかったねえ。と俺までにんまり笑う。
「明日どうする?」
「ん、どうする?」
「観光?」
「ゆっくりしたいなぁ。」
「じゃ、家にいようか。」
「えぇの?」
「えぇよ。」
喋りをわざと真似してやるとぷくっと膨れる。
その顔が心底愛しい。
メシを食べ終わったらもう一回お願いして、明日はゆっくり朝寝坊しようか。
明日の朝飯は何にしてやろうかね。
「ごちそうさま!美味しかったぁ〜〜〜」
口についたソースを拭ってやり、もう一度キスをする。
ベルギーもそれに答えてくれた。
そのまま、ベッドに行ってももう拒否されないよな?
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そして次の日、朝寝坊してのんびり家で二人でワイン飲みながら過ごしていた。
が、夕方、いきなり某米国産ネズミ耳を装着したイギリス・セーシェルに襲撃され甘い時間は1日持たなかった・・・
ああ神様。これから俺たちどうなるのでしょう。