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 続きの言葉


ポーウク投下します。
以前(4スレ目?)に投下したやつの続きっぽい感じで。

ウクライナの言葉はポーランド語の語彙がけっこう残ってて、
ポーランド語の愛してる:kochac(コハチ)が
ウクライナ語でкохати(コハーティ)になってまだ現役で使われてると聞いて。

NGは「続きの言葉」かIDでよろです。







「kochac,kochac.ウク、kochac」


「恥ずかしいよ」
くすぐったそうに笑う少女。
「何べんでも言ってやるし。kochac,kochac」

クラクフ城の古びた厩舎。薄暗い小屋の中には人影が二つ。
藁の上に仰向けになっている少女と、その上に覆いかぶさる少年。
少女の服はほとんど脱がされ、体のわりに発達した乳房が露わになっている。
彼女より少し幼い少年は、彼女の耳元で熱っぽく睦言を囁く。

「愛してんよ。愛してんよ。愛してんよ」

耳元にあった唇を相手の唇へ持っていく。
啄ばむようにキスをする。次第に止まらなくなり、深いキスを何度も繰り返す。
「んっ、はぁ、あはあ・・・」
少女が甘ったるい声を出す。彼女が息を荒げている間、少年は少女の乳房をやわやわと揉みしだく。
首筋に唇を移し、白い喉に赤い花びらをつけてゆく。

およそ情事には似つかわしくない、幼さを残す二人。
誰かがこの姿を見たら、早熟な彼らを咎めるだろうか。
――――いや、何者も、二人を戒めることなどできはしない。
なぜなら彼らは、その国のどんな人間の夫婦よりも、永い永い恋人同士なのだ。

「ひぃう・・・っ!」
少年の歯が少女の乳首を噛んだ。少女はたまらず身震いする。
「はぁん、ポー、ちゃ・・・」
「待ってろだし」
欲しがるように少年の首に手をかける。少年は少女の意図を汲んで下の方も刺激してやる。
指で襞をつまむたび、指で中を引っ掻くたび、少女は「あ!」と声を出しよがる。

少年は少女の体を全て解っていた。百年単位で同じ相手に行為を重ねた当然の結果だった。
だが不思議な事に彼女とのセックスに飽きることは一度もなく、
行為の一回一回が新鮮な歓びを彼に与えてくれた。



指だけでイかせてしまうことも出来たが今日はそうしない。
自身を彼女の秘部にあてがう。一瞬息を止め、ぴくん!と大きく動く少女。
挿入を続けると「あ、あ、あ、あ」と段階的に声が出た。
全て挿入すると腰を揺らす。「あ・・・」と少女が声を漏らし、首に回した腕の力が強くなる。
唐突に激しいストローク。振動で周りの藁が散った。
「あ!ああああああああっ!!!!」
たまらず少年の背中に爪を立てる少女。少年は少し顔を歪めたが構わず腰を振る。

「あああああああああああ!!!」

一際大きな嬌声の後、唐突に彼女の声が止む。果てたらしい。

一拍置いた後、少年は少女に「ウク」と呼びかけた。
少女は未だ夢見心地の表情を浮かべているが、意識は取り戻したようで眼は少年の方を向いていた。
「・・・なぁに?」
柔らかい声で訊き返す。
乳房にまで汗を流しながら微笑む少女は、性的でありながら健康的な美しさに溢れていた。
その姿に、少年の喉がごくりと鳴った。たまらず再び唇に吸いつく。
勢いのあまり藁山の上をごろごろと転がる。転がっている間、お互いに何回かキスをした。

いったん止まると、どちらからともなく笑みがこぼれる。
じゃれあうようなセックス。それを、何十年、何百年と続けてきた。

そして、これからも。

「ウク」

――――このままの日々が続けば。
まじないのようにまたその言葉を紡ぐ。




「kochac」


***
「・・・кохати」
女性がその言葉を口にすると、少年は驚き振り向く。

ポーランドのクラクフ。中世の街並みが残る市街の歩道をポーランドとウクライナの二人は手をつなぎ歩いていた。
ポーランドがウクライナの手を引く形で、どうやら街を案内しているようである。
街には車が音を立てて走り、観光客や客引きの人々で賑わう。

「何、ウク、まだ俺んちの言葉覚えてるん?」
「・・・忘れないよ」
ウクライナはふわりと微笑む。
「だって、ポーランドちゃん、あんなに何回も言ってくれたじゃない」
「そうだったっけか。忘れたし」
「言ったよ。もう」

頬を膨らますウクライナ。年甲斐もない表情のようにも思えるが、幼い顔立ちも相まって、
昔の彼女の姿がフラッシュバックした。思わず笑む。

実の所を言うと、ポーランドは忘れていたわけではない。
ただ、その言葉が、二人を守ってくれなかったことを恨んでいたのだ。

―――変わらず、このまま。ずっと、一緒に。
そう、願いを込めていたのに。

結局、彼女とはその後離別し、長い間会うことは無かった。
再会が叶ったのはここ数年前のことである。スプートニク号の打ち上げを一緒に見た、あの日。

成熟した彼女。流れた時間の長さを感じた。
だからあの日、なるべく昔通りに振る舞い、そしてセックスをした。
そうすればあの日々に戻れるのではないか、とそう思った。

しかし、現実に流れてしまった時間はどうしようもなかった。
自分も変わった。彼女も変わった。最初は、会わなかったことを例えようもなく後悔したものだ。
だが次第に、久しぶりに会った彼女は時を経て増した美しさ、厳しい過去を乗り越えてきた強さを備え、
さらに愛おしい存在になっていたことに気付いた。

時間は流れる。だが、必ずしもそれは物事を負の方向に進めるものではない。
流れた時間の到達点である今。今の地点。ここから、どうするのか。
普通の人間より何倍もある過去と、それと同じくらいの未来を持つ自分たちには、それが重要だった。



(そういや、すっげーおっぱいでっかくなってたし。
 あ、俺のせいとか言われたっけ)

そんなことをぼーっと考えてると、ウクライナが「どうしたのー?」と声をかけてきた。
「ん、なんでもないし」
と素っ気なく返し、にやっと笑って腕を差し出す。
その腕にウクライナが自然に自分の腕を絡ませる。

「でも、このへんもずいぶん変わったね」
「そりゃそうだし。お前がいたの何百年前だと思ってるんよ」

そっか、そうだよねえとのんびりとした口調で言うウクライナ。
そんなウクライナにポーランドはくくっと笑う。こののんびりな所は相変わらずだ。

「あ!あそこ、ピエロギ売ってる。ねえ、買って行っていい?」
「いや、多分ピエロギなら今日の晩飯に出るし。クラクフ城のディナー」
「そっか、じゃあいいや。
 ・・・ああでも久しぶりだなあ、ポーランドちゃんち。まだ間取りとかわかるかな?」
「んー観光地になってるトコ以外は変わってないし。・・・あの馬小屋もまだあるんよ?」
いたずらっぽく笑う。女性は情事によく使われたその場所を思い出し、顔を赤くした。
「・・・もお」
ぷいとそっぽを向く。そんな彼女に、ポーランドは背伸びをして耳元で囁く。

「kochac」
その言葉に彼女はにこりと笑み、答える。
「кохати」


流れて行った時間の中で、変わらずお互いの中に留まっていてくれた言葉。


この言葉は過去の時間を繋ぎとめることはできなかったが、
これからの自分たちを紡いでいくのにうってつけの睦言にはなりそうだ、とポーランドは思った。




カテゴリー
[ウクライナ][ポーランド]

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