〜ギリシャの一週間【国際裁判編】〜
カップリング雑多
「それじゃーギリシャのエロ裁判を行お……」
『異議あり!!』
始まってすぐに意義を申し立てたのは、世界三大エロの内の二人。
「どうみてもおにーさんより、ギリシャの方がエロくないか?」
「そうだ。俺だって、あそこまで節操なくないぞ。そりゃ、バカエロなニュースになりやすいからといって……」
「安心しろ。十分変態だ。二人とも」
「お前に言われたくない!このどSが!」
ぼそっと呟いたドイツの言葉に、素早く反応したのはイギリスだった。
怒鳴りつけるだけ怒鳴ると、瞳に涙が浮かぶ。
「俺のセーシェルが……あんな奴の餌食になるだなんて」
「お前のじゃないが、同感だ。
せっかく天塩にかけて、あそこまで育てたのに……」
こう言うときは妙に気が合い、お互いの肩を叩いて、慰め合っていた。
「でも、イギリスの野郎やフランスの野郎とやってる時より、ハッスルしてたですよ」
「それどこで……」
アイスランドがつっこみかけて、しばらく沈黙し
「後で詳しく教えろ。そうすれば先輩と呼んでやる」
「意外とむっつりですね。
では、教えてやるですよ。海の中でつながりながら、セーシェルお姉ちゃんは切なそうに息を吐くと、自ら腰を動か……」
『うわぁぁぁぁ! 』
話が聞こえないよう、大声で叫び……セーシェルラブの二人はエジプトの壷によって、沈黙させられた。
「続けて」
進行役のアメリカに指示する。ただし、壊れた壷の請求書をアメリカに渡しながら。
「あー、他に意見のある奴は……」
「……一回、殺らせるである」
今まで沈黙を保っていたスイスが、立ち上がった。ライフルを震える手で抱え、
「我輩のリヒテンシュタインをたぶらかしただけではなく、身体まで! 我輩の我輩の!!」
「殺るんだったら、手伝うぜぇ。この際だ。徹底的にやろうじゃねぇか」
日ごろの恨みを晴らそうと、トルコがスイスを煽る。
「ややっこしくすんじゃねぇ! ほら、カナダ、こいつ押さえておけ」
「あ、うん」
キューバの指示により、カナダが暴れるスイスを背後から押さえつける。
それでもなお、暴れ続けるスイスに、少しだけ眉をひそめ、
「ちょっと静かにしててね」
銃を取り出して、スイスに向けた。慌てて止めようとするが、すでに遅し。血しぶきを……
という事は無く、力を失い、地面にずり落ちるスイス。にっこりと微笑むと
「さ、これで解決だね。あ、大丈夫だよ。クマに使う麻酔よりは、弱いものだから」
一同は少し引いていた。あの温和そうに見えたカナダが、遠慮なく麻酔銃を使うとは。
……あまり怒らせない方がいいな……と思いつつ、眠りながら涙を流すスイスに同情の念を抱いたのだった。
「で、意見のある者は……」
「ベルギィィィィィィ! 俺のベルギーがぁぁぁっ」
「発作おさまっていたのに、うっせぇよ!!」
頭突きアタック一つで意識を失うスペインを引きずり、会議室を出ようとするロマーノ。
誰にも聞こえないと思ったのだろう。小さな声で、ぽつりと呟いた。
「……俺だって悔しいぞ。あのベルギーの……そんな話なんて聞きたくなかった」
姉のような存在の、そのような話を聞いてしまったのでショックが大きかったのだろう。
「うん、何かわかるよ。兄ちゃん。
……俺も、ハンガリーさんのそんな話聞きたくなかったもん」
「そうですよ! あのハンガリーが!」
机を叩くと、今まで沈黙していたオーストリアが、堰を切ったように言葉を発する。
「私も大人ですから、特には言いたくありませんけれど、ギリシャは節操なさすぎです!
あのハンガリーが! それも騎乗位……じゃなくて、騎乗した時のあの先祖がえりした時のハンガリーを手なずけて、やるとは!
是非、ご教授いただきたい……ではなく、私も混ぜて欲しかった……のではなく、えっとそのともかく、もう少し節操を持ってですね」
「でも、多重結婚してたオーストリアさんに、節操がないとか言われたくないかもね」
イカ墨パスタなイタリアの発言に、オーストリアは押し黙る。
反論の言葉を捜して、視線をさまよわせているあいだに、プロイセンが言葉を挟んだ。
「珍しく同感だ。それに、欲望ただもれだぞ。この貴族の皮をかぶった変態が。
……アン時は俺だけを好きだって言ってくれてたのに。俺のモノをしゃぶって、『美味しい』っていってくれたのに。
飲み込んでくれて、必死に腰を振ってくれるのが凄く可愛くて」
「それ、夢精した時の夢だったよね。一人楽しすぎてよかったね。それに皮かぶってるのは、プロイセンの…」
更にイカ墨をはくイタリアに、プロイセンは涙目になり……
「ばらすなぁぁぁっ!」
哀れ、いつものように一人楽しく泣きながら、部屋を飛び出していった。
いつもより、かなり黒いイタリアに、ドイツが近づく。
「お前、今日はずいぶんと……」
「……だって、俺だってハンガリーさん好きだったんだよ。だから、これくらいやったって、罪はないんと思うんだ」
強がってみても、やはりイタリアはイタリアか。
頭を軽く撫でてやると、視線をアメリカに向け、進行を促した。
「もう暴走する奴はいないよな。それじゃ、会議続けるぞ」
すーっと手を上げたのは日本。アメリカが発言を許可すると、にっこりと優雅に微笑む。
「一発ならば、誤射……でしたよね」
笑顔とは裏腹に、日本刀を引き抜いて、隠しきれない殺気を放つ日本。
その後ろで、大きく頷く中国。
「そうあるな。その後、我も誤射するつもりあるから、適当なとこでやめておくある」
「俺もkillから、ちゃんと残してな。……mouthの中で爆竹はdanger…」
「あー! 兄貴も日本も香港もやめるんだぜ」
微笑を浮かべる香港から爆竹を奪い取り、青龍刀を構える中国の腕にしがみつく。
「確かに、台湾は俺らの妹みたいなものだから、わかりますけど! 兄貴、落ち着いてくださいぃっ!!」
珍しく突っ込み役の韓国に、一同は少々驚いた表情を見せるが、まあ、韓国ならどうにかしてくれるし、
もし討ち死にしてもまあいいかと放っておくことにした。
「んじゃ、アジアは放っておいて、他に意見のある奴は」
「はい、えっと……サウナでそういう事やられると、ちょっと……」
温和な笑顔で話し始めたのは、フィンランド。
「サウナは健康的な場であって、そういう事を目的としているわけじゃないんですよね。
現に、アメリカさんの家では同性でそういう事する場として広がってしまったせいで……」
くだくだと長くなりそうなので、軽く聞き流しながら、回りを見回す。
そういえば、騒ぎをおこしそうな一同がいなかった。
「ロシア周辺はどこ消えたんだ?」
「ロシアたちならば、すでに別室に閉じ込めてある。……危険だったからな」
耳をすませば、聞こえてくる低音の声。そして誰かの叫び声。
「あああああ、ロシアさん落ち着いてくださいぃぃっ!」
「リトアニアも暴走しないでください! ちょっと、ポーランドも楽しんでないで止めてください」
「なんで俺がとめるしー? よーし、リト、俺も手伝うし! 凶器何もってくん?」
「……殺傷力のある奴ならば。ベラルーシちゃんベラルーシちゃん……」
「……ロシア、俺もヤる」
「あはははっ、君が手伝ってくれるなんて珍しいね。それじゃ、血の雨、降らしに行こうか」
暴走するロシアをラトビアが止め……る脇で、スウェーデンと何故か手を組み始め、更に凶悪さを増し、
やっぱり暴走するリトアニアを、ポーランドが手を貸し、エストニアが止める。
暴走四人に対して、ブレーキ役は二人と、かなり分の悪い戦いだろう。
まあ、会議室に被害が来なければよいのだが。
いや、このままでは被害は確実に来るだろう。
会議室の片隅で、我関せずと猫にまみれて転寝する諸悪の根源を見た。
こんなぼんやりした男が、女性陣を食うとは思っても見なかったのだが……
「ま、ベトナムまで食わなかったのは幸いというか……」
アメリカにとっては、トラウマとなっている女性だが、同時にほんのりと恋心を抱いていたので、ほっとため息をつく。
……が。
「……ん……アオザイは薄いから、上から触るだけで反応してくれるから燃えた。
いつもは強気なのに、こういう時は可愛い声だしてくれるのが、新鮮だった……」
寝言のように、ぼそっと呟くギリシャの言葉に、一同は沈黙し……
『有罪だぁぁぁぁっ!!』
男達の言葉は見事にハモったのだった。