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 Jubilee

暴力描写あり。陵辱あり。WW2末期でブタペスト陥落〜ウィーン占領。


1945年2月の初め。
灯火規制のしかれたブダペスト。
灯りを極力落とした暗い部屋で、二人は只抱きしめ合った。
何も言わず只お互いの匂いを、温もりを体に染込ませ、覚え込ませようとしていた。
多分、この世界中を巻き込んだ狂気の戦いはもう間もなく終わりを告げるだろう。

しかしそれは二人の期限の無い別れをも意味した。
この戦いが終われば・・・
多分、世界は二分される。
そして、自分達は離ればなれになる。

「オーストリアさん、今週…もしかしたらもう明日にはここは堕ちます。はやくドイツくんの所へ・・・」
抱き合ったままハンガリーがオーストリアに言う。
少し自嘲気味にオーストリアが笑った。
「命からがらやってきた私にもう帰れと?」
「でも・・・」
泣きそうな顔。こんな顔を見るためにウィーンからやってきたのではない。
ソ連がハンガリーまで進攻してきていた。
首都陥落まで時間が無いのは誰の目にも明白で、ここが堕ちれば…次はオーストリアの番だろう。
ハンガリーはそれを危惧していた。
ここにいるよりも、国で守りを堅め少しでも無事で居て欲しいから。

オーストリアはハンガリーの頬を撫で、出来る限り優しく微笑む。
「笑って下さい。お願いですから。」
そう言うとオーストリアは軽く口づけをした。
「貴女の笑顔を覚えていたいのです。」
ハンガリーはその言葉通り少し表情を和らげようとした。
が、言葉の意味を理解した途端、笑顔の代わりに双眸から涙がこぼれる。

「ーーー覚えていたいって・・・」
「言葉通りです。」
オーストリアはハンガリーの目からはらはらこぼれる涙をそっと拭う。
「・・・多分、今日で貴女の顔を見る事は出来なくなる・・・でしょうから・・・」
少し目を伏せ、もう一度抱き寄せる。
既に連合側によってウィーン割譲の絵は書かれている。
オーストリアは自分より、ドイツの行着く先、そしてそれ以上に愛すべき元妻の行く先を懸念していた。
薄々見え始めた戦後処理。
一番恐れる結末が待っている。

震える腕で、力を込めて。
つなぎ止めておきたい。
けど、自分にその力は無い。
オーストリアは今ほど力の無い自分を呪った事は無かった。

「大丈夫ですよ。私は消えません。」
オーストリアは自らの気持ちを悟らせぬ様、なるべく安心させる様に語りかける。
「必ず、貴女を迎えに行きます。…待っていて下さい。」
「はい・・・私も、私も必ずあなたの所へいきます。待っていて…下さい。」
ハンガリーは涙を流しながら微笑んだ。
そして、深く深く口づけを交わした。

壁にぐっとハンガリーを押し付け強引に軍服のボタンを外し、首に、胸に花を散らす。
乳首に吸い付き、胸を弄る。
さらけ出された胸が揺れる。
「ん・・・っふ、オーストリア・・・さん。」
自分のモノだという印を付けて行く。
「ずっとこの跡が消えなければいいのに。」
汗の匂い、声、肌の感触・・・全て全て自分のモノだったのに。
後悔は無意味な物だと頭では理解しても心が追いついて行かない。
ひたすら、只ひたすらオーストリアはハンガリーの体に口づけを落として行った。
ズボンに手をかけベルトを緩める。
既にハンガリーの上半身は完全に脱がされていた。
少し荒い呼吸、上気した顔でハンガリーはオーストリアを見つめている。
すっと手を伸ばしオーストリアの頭を胸に抱えた。
彼女は小さな声で、本当に小さな声で呟いた。

「行って下さい。」
こんな小さくか細い声は初めて聞いた様な気がした。
「え?」
「早くここから脱出して下さい。お願いです。」
・・・なぜ?と問いかけたかった。
しかし問いかける必要は無かった。外から聞こえる慌ただしい声。
不穏な空気が全てを物語っていた。
「…解りました。」
にっこりと、心のうちを見せないように、心配をかけない様に。
今自分が出来る、精一杯の笑顔で愛しい人を見送ろう。
ハンガリーは精一杯笑った。
心の中では、涙が止まらない。

同じ息絶えてしまうならこの人の胸の中で息絶えたい。
ハンガリーは出来ないという事が頭の中では解っているのに、こんな事を願う自分の愚かさに泣きたくなった。
オーストリアに顔を寄せ、口づける。
最後の口づけ。
ハンガリーはぽつりと呟いた。
「なんで、私たちは人間じゃなかったんでしょうね・・・」

この言葉だけは、言ってはいけないと思っていた。
しかし口からついて出てしまった。
見上げれば、酷く酷く悲しそうな顔でオーストリアがハンガリーを見つめている。
ああ、こんな顔をさせたくなかったのに。
後悔して一度俯いて、もう一度顔を上げた。今自分に出来る極上の笑顔を見せようと。
「オーストリアさん、お元気で。」
もう一度、笑う。
愛しい人の本当にささやかな願いを叶えたい。その一心でハンガリーは微笑んだ。

ー笑顔なのに何故こんなに悲しいのだろうー
この状況で自分の気持ちに答えてくれたハンガリーの気持ちに泣きそうになる。
「ありがとう…ハンガリー。あなたも…」
無事でとは言えない。元気でとも…いえない。
紡ぐ事の出来ない別れの言葉。
もう一度抱き寄せる。
「ありがとう…」
「…オーストリアさんもご無事で…」
二人は離れ、向かい合う。
そしてもう一度オーストリアは言った。
自分の気持ちを。
「愛しています。必ず、必ず貴女を迎えに来ますから。…待っていてくださいね、ハンガリー。」
その力強く言った言葉にハンガリーも応えた。
「私も愛しています…何年かかっても貴方の所へ必ず戻りますから…待っていて下さい、オーストリアさん。」
その言葉を胸に抱いてオーストリアはウィーンに帰った。

そして悲劇の幕開けがブダペストの街を、ハンガリーを襲う。

数時間後、下士官がハンガリーに報告をしに執務室へ入って来た。
「オーストリア氏は国境を無事越えられたと報告がありました。」
「ありがとう…連合軍は、ソ連は何処まで来たかわかりますか?」
「はい…今日にもブダの街には…」
「…そう、出来る限り防衛を。一般人は早急に出来る限り退避をさせてね。」
「はい…了解しました…」
無駄だという事は解っている。
しかし戦士たる自分が諦め、国をみすみす滅ぼす様なまねだけは絶対にしたくない。
もう一度、あの人の胸に飛び込むためにも、滅びるわけには行かない。
ハンガリーは目を閉じて考えていたら急に外が慌ただしくなった。
不審に思い、部屋を出ようとドアノブに手をかける。
その前にドアは開いた。

冷たい空気が部屋を通る。
ハンガリーは自分がひゅうっと息を呑みこむ音を聞いた。

「やあ、ハンガリー。」
「…ロシア…さん…」
ごくりと唾を飲む。いきなりの急襲にどうしたらいいか頭が混乱した。
言葉が出ない。全身にじっとり汗をかくのを感じる。
「歓迎の言葉も無いの?」
にこにこと嗤いながらロシアはハンガリーの手を取る。
「汗、かいてるね。」
ロシアは手をとったまま、ハンガリーの手を自らの頬に手を当てる。
ひんやりとしたロシアの頬に全身が粟立つ。
が、次の瞬間、ハンガリーは回し蹴りでロシアの上半身を狙う。
狙いは外れる事も無くロシアの肩辺りに入る。
鈍い音が響いたが、効いているのかどうかも解らないほどにロシアの表情は変わらない。
むしろ、楽しんでいるかの様に嗤う。
「徹底抗戦、するつもり?」
なるべく弱気を見せない様にハンガリーは睨んだ。
「そのつもりだけど?」
ロシアの顔が暗い笑みを浮かべる。
「もう僕の軍はこの街に入ってるんだよ、ハンガリー?」
「最後の一人になっても戦うわよ。絶対あんたなんかに・・・・」
「ずっと進軍して来て、同士達は色々飢えているんだ。」
ロシアは笑顔でそう言った。
ハンガリーの顔色がすっと蒼く変わる。耳を澄ませば聞こえてくるのは街に響く女性達の悲鳴。
「・・・!!!」
ハンガリーの顔が怒りで真っ赤になる。
それを確認したロシアはハンガリーの手に口づける。そしてにっこり笑い、言葉を続けた。
「意味、解った?」
「あんた…最低・・・何やってるか解ってるの!!」
「君たちは負けてるんだ。勝利者の権利だよ。」
ロシアは嗤いながらそう言って、窓までハンガリーを連れて行き外を見させる。
ソ連軍兵士により繰り広げられる暴虐が窓の外に広がる。
自分も戦士だ。
血なまぐさい事に無縁ではない。事実、今現在だって戦いの中に身を置いている。
「許されない事をしているのはお互い様だよ?」
ロシアの声に背筋が凍る。
冷ややかな声でロシアは続ける。
「自分だけが高潔だと思ってるのかい?」
ハンガリーは眉根を寄せ、ロシアを睨むが反論できない。
失地回復を願い、この戦いに身を置いた。
何万もの人の命を奪った。敵味方関係なく。
そう考えると足からすうっと力が抜けて行くのが解った。
倒れ込みたくなる。しかし今それは出来ない。
民衆を助けなければ。それが自分の使命だ。

「降伏するわ、早く止めさせて!!!」
ハンガリーはロシアに向かって叫ぶ。
ロシアの顔がすっと曇る。口の端をゆがめ呟いた。
「甘いよ、ハンガリー。」
そう呟くとロシアはハンガリーの前に立った。
「な?何する…!!?」
上着の襟を掴まれたと思ったらブチブチっと音を立ててボタンを引き千切られた。
前が開け、白い胸が露になる。
ロシアの薄紫の目に仄暗い火が灯った様に見えた。
「みんな楽しんでいるんだ。僕も楽しませてもらだけさ。」
その言葉の意味を理解したハンガリーは恐怖で顔が真っ白になる。
「戦勝国の権利の行使だ。文句は言わさないよ?」
にやりと嗤うとロシアはハンガリーに強引に口づけた。

口づけられた瞬間背中にぶわっと鳥肌が立ち、ハンガリーは本能的に身を引いてロシアの顔面に拳を叩き込もうとした。
ロシアは片手で軽々とそれを受け止め、返す手でハンガリーの頬を打つ。
「ふ、うう!!」
ガタン!と鈍い音が響き、ハンガリーは倒れ込んだ。そのまま横っ腹を蹴り飛ばされる。
「もう一回言うよ。君たちは負けてるんだよ。」
ロシアはうっ血するハンガリーの頬を力を込めて握る。
ギリギリと指を動かされ、口の中が切れ、広がる血の味。
「この痣、出来たばかり見たいだね。」
ロシアはハンガリーの首筋の痣をペロリと舐める。
数時間前までのあの悲しくても幸せな最後の時間を思い出され、泣きそうになる。

「誰に付けてもらったの?ドイツ?負け犬同士慰めあってるの?」
ロシアはくつくつと笑いながらオーストリアに付けられた痣を一つ一つなめ付けられる。
体に残っている彼の温もりが凍って行く様な感覚に襲われる。
ハンガリーは答えない。口をぎゅっとつぐみ、目を瞑った。
「ああ、この痣つけたのオーストリアでしょ?…ふふふ、最後の情事って訳?。君はこの戦争が終わったらウチにくるんだからね。
 解ってて、何感傷的な事してるんだろうね、オーストリアは。…バカみたいだ。」
そういって高らかにロシアは笑った。
「バカな事に手を貸しておいて、好きな女も国も失うなんて馬鹿だね。力も無いくせに何やってるんだって感じだよ!」
「黙んなさいよ!!!あんたにオーストリアさんを馬鹿にする権利なんて無い!!」
ハンガリーはそう叫んでロシアの横っ面を力一杯引っ叩いた。

ふうとため息をついたロシアが呟く。
「いい加減にしてくれる?」
その声の冷たさにハンガリーは得体も知れぬ恐怖を感じた。
しかしひるむ事は許されない。
ギッとロシアを見据える。その瞬間、腹にロシアの拳が叩き込まれ、思わずハンガリーはのたうち回った。
「何回言っても解らないの?君は負けたの。」
軍服のズボンにロシアの手。
「や、やめ…」
声をなんとか出そうとする。しかし口はロシアによって塞がれた。
ぐちゅっと口の中を蹂躙される。
口の奥まで舌をねじ込まれ吐き気がする。
ロシアは床に転がるハンガリーを満足そうに見下ろしていた。
苦痛に歪むハンガリーの顔を見ながらズボンを擦り下ろす。

上着は裂かれ、ズボンを脱がされたハンガリーは何度かの暴力によりぐったりと横たわっていた。
白く滑らかな肌にちらされた花びら。
「気に入らないね。」
ロシアはそう呟いてハンガリーの足をぐっと広げた。
「君は僕のモノになるって解っててこんな事するオーストリアも。」
ロシアは自らの一物を取り出すと濡れてもいないハンガリーの中心にぐっと当てる。

「僕の物になるって解ってても僕の方を向こうとしないでオーストリアを思っている君も。」


そう言うとロシアはぐうっとハンガリーの中に沈める。
「い、やあぁっ!!入れないで!!」
「なんで?僕の物なんだよ?」
ロシアは無表情のまま腰を押し進める。
「君は僕の物なんだ。好きにさせてもらうよ。」
下腹を襲う激痛に涙がこぼれた。
ハンガリーは矜持も何かもかも捨て大声を上げて許しを請う。
そんな事おかまい無しにロシアは只腰を振り続ける。
自己防衛のために膣から分泌液があふれる。
ロシアはじゅるっと吸い付くいてくる襞に気分が良くなってくる。
「何だ、嫌だ嫌だって言う割に感じてるんじゃない?」
「そんなんじゃない!!お願い止めて!!止めてよ!!!」
「煩いね、いい加減黙ってくれないかい!」
ロシアはハンガリーの顔に一発拳を叩き込む。
ぼたぼたと口の端から落ちる血。
「歯折れたかな?ごめんよ?」
そう言ってロシアはすっとハンガリーを抱き寄せる。
「止めて…触らないで…」
力の無い声。色を失った瞳。全てを拒まれる。

ーこんな彼女を欲しいと思った訳じゃなかったのにー

恐怖に震える草原の瞳に映る自分の顔。
彼女にとって自分は悪魔にしか映っていないのだろう。
そう思うと自然と笑みがこぼれた。

自嘲の笑みが。

「…こんな風にするつもりは無かったんだけどね…」
ハンガリーに聞こえないくらいの小さな声で呟く。
「ずっと君が欲しかったんだ。強くて明るくて…優しくて。見ているだけで元気を貰えそうな気がしてた。」
ハンガリーの口の血を拭う。
出来るだけ優しくしているつもりだが手が触れるだけで拒否からビクッと体がこわばる。
「触らないで…」
ハンガリーはロシアの顔を見ようとしない。
背ける顔を自分に近づける。
「ねえ、ハンガリー。」
ロシアは耳元で囁く。
「僕を見てよ…」

ロシアの懇願を聞くまいとハンガリーの目が堅く瞑られる。
今起きている全ての事から逃れようとするかの様に。
「何で見てくれないの?」
まだ繋がったままの腹の中をもう一度かき回され突き上げられる。
自分を見ろと、名前を呼べというかの様に。
頭の中に火花がはじける。己を守るためには快楽に身を委ねてしまう事が一番いいと解っている。
ここで負けて快楽に流されてしまえばもうなし崩しに自分を失ってしまう。
それだけは避けたい。瞑っていた目を開きロシアを睨む。

絶対声をあげてやるものか、啼いてなんて…やらない。
瞼の裏にうかぶ幼なじみ達、懐かしい顔。
愛しい人の顔。ハンガリーは必死で考える。
もう一度あの人に会うためにこんな所で負けてなるものか。
そう考えた瞬間、ぐっと緑の瞳にが蘇る。
そんな彼女をおかまいなしにロシアは抽送を早める。
「ハンガリー!」
ロシアは一声叫んで中に精を放つ。
その感覚に、熱さにハンガリーは一瞬流されそうになる。
中に出し、ロシアは脱力する。
倒れ込みそうになったときハンガリーの顔を見た。
明らかに快感に流されていないハンガリー。
その顔を見てくっと笑う。
「さっきまで泣いていたのにね…強いね。僕はそんな君が好きなんだ。」
ロシアのその言葉にハンガリーは一瞬戸惑った。
「…そんな君に惹かれたんだ。」
目を伏せてロシアはすっと堅く噤んだ口に口づける。
思いは届かないと解っていても。
その言葉は、ロシアの最後の良心だったのかも知れなかった。

その後はただハンガリーは犯されるだけだった。
しかし彼女は声も上げず、ロシアを睨み据えていた。
そのハンガリーの目を見てロシアは暴力の限りを尽くす。
何度と犯し、殴っても彼女は自分の手に入らないと解っていても体の制御が効かない。
汗と精液と愛液でベタベタの体。
匂いに狂いそうになる…でも狂えない。


彼女を支えていたのはほんの数時間前の短い時間。
彼を突き立てるのはどうしても手に入らない者への思慕。



体は重なっていても心は交わる事の無い。
ただ時間だけが過ぎていった。

それから二ヶ月後の4月の半ば。春の目覚め作戦は失敗。
ソ連ははそのままウィーンを占領し、枢軸の崩壊は目前となった。
ウィーンに到着したロシアはオーストリアの私邸に向かう。
ピアノの前で只佇んでいるオーストリアを見た瞬間、腹の中で仄い火がつくのを感じた。
「やあ、オーストリア。」
「・・・ようこそ…というのも変ですね。」
表情を全く変えず、ただ無機的に会話をする二人。
「そうだね、てっきりドイツに逃げ込んだかと思ってたよ。」
「私がそのような事できる訳無いじゃないですか。」
「そうだね。…そうだ君にお土産…って訳じゃないけど。リトアニア、ベラルーシ、持って来て。」
「?持って…?」
オーストリアの怪訝な顔を嬉しそうにロシアは見ていた。
ドアが開く。
オーストリアの目に少し怯えた表情のリトアニアと不機嫌そうな顔のベラルーシが映る。
ベラルーシに抱えられているのは血まみれでぼろぼろになったプロイセン。
そしてリトアニアに抱き抱えられていたのは…意識も無く、ボロボロの服に見える部分は痣だらけの体のハンガリーだった。
「…!!!」
オーストリアの顔色がみるみる青ざめる。
彼女がこの2ヶ月何をされて来たかは一目瞭然だった。
青ざめるオーストリアの顔をみてロシアは溜飲が下がり、気分がいい。
「二人とも言う事中々聞かなくってね。これからウチで一緒に住むんだから躾させてもらったよ。
 僕達に捕虜の条約など無意味だからね。」
くくっとロシアが笑う。
「負けたんだから、仕方ないよね?」
ロシアはすっとオーストリアを見据えた。
「負けたんだから何も出来ないよ。文句も言えないんだよ君は。」
言い返せない。オーストリアはぐっと唇を噛む。
しかし感情には抗えず次の瞬間、ロシアに殴り掛かろうとした。
「止めろ!」
うっすらと意識のあったプロイセンが叫ぶのとベラルーシがオーストリアに向かってナイフを投げたのがほぼ同時だった。
ロシアは片手でオーストリアの手を取りそのまま捻り上げる。
ナイフはオーストリアの左肩に刺さり、血が滴る。
冷たい目でロシアはオーストリアを見下す。
そして呟いた。
「ハンガリー、いい声で啼くよね。むしゃぶりついて来て困るくらい淫乱で僕好みだ…ふふ、君が躾けたの?」
オーストリアの膝が崩れる。
ロシアはそれを見てにっと笑うと手を離し、二人を伴って部屋から出て行った。
俯いたまま彼らが立ち去るのを待った。
見る事が出来なかった。

出て行った後、憔悴した表情のオーストリアは顔を上げる。
ふらり立ち上がり窓の外を見る。
玄関から彼らが出て行くのが見えた。
窓越しに見ていればハンガリーが目を覚ましこちらを見ている。
思わず窓に張り付いた。
彼女の口が動いている。
「ごめんなさい」と。

「待っていて下さい。」
ハンガリーの顔を見据えてオーストリアは呟く。聞こえないように、絶対聞かれてはいけない決意を呟く。
「必ず…迎えに行きます。無事でいて下さい…」
オーストリアはロシアから見えない様に見送る。
そして次の時代への準備を始めようと決意する。
悪夢を終わらせるために。
皆が笑って過ごせる幸せな時間を取り戻すために。

終わりー




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