お兄さんの憂鬱
諸君 俺はセクハラが好きだ
諸君 俺ははセクハラが好きだ
諸君 俺はセクハラが大好きだ
大事な事だから、3度言ってみた。
言葉でいじるが好きだ 接触セクハラが好きだ 隙をついてセクハラするのが好きだ セクハラ攻防戦が好きだ
反撃にあうのが好きだ 赤面する顔が好きだ 放置プレイが好きだ コスプレが好きだ 逃走が好きだ
平原で 街道で 会議室で 草原で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 廊下で 街中で
この地上で行われる ありとあらゆるセクハラが大好きだ
すました顔をした 貴族の顔が 羞恥に歪むのが好きだ
幼い頃を知っている少女が セクハラに必死に抵抗する時など 心がおどる
純情可憐な 東洋の美少女が 耳まで真っ赤にする姿が好きだ
泣き声を上げて 白旗を振る兄弟を タブルで攻略した時など 胸がすくような気持ちだった
眉毛が太い飯まずの コスプレした尻を 蹂躙するのが好きだ
かなりな鈍感の親分の 服をめくる時 何がなんだかわかっていない様子など 感動すら覚える
北欧の二人が サウナで汗を流す様子などはもうたまらない
あのむっつりが 俺の用意したメイド服に 赤面してたたずむ姿は最高だ。
頼れる騎馬民族が 使い慣れたフライパンで 健気にもむかってきたのを さけきれずに
脳天直撃した時など 絶頂すら覚える いや、マゾじゃねーが。
大きな胸に 滅茶苦茶にされるのが好きだ
折角セクハラしたのに 兄しか興味がなくて なかったことにされるのは とてもとても悲しいものだ
妹馬鹿にセダーンされて 追い掛け回されるのが好きだ
折角剥きにいったのに 先に裸でスタンバイされた日には 屈辱の極みだ
諸君 俺はセクハラを 天国の様なセクハラを望んでいる
諸君 俺に付き従う悪友一同 お前達は一体 何を望んでいる?
更なるセクハラを望むか? 情け容赦のない 嵐の様なセクハラを望むか?
血祭りの限りを尽くし いろんな奴をひんむいて エイプリルフールの様なセクハラを望むか?
セクハラ!! セクハラ!! セクハラ!!
よろしい ならばセクハラだ
俺は満身の力をこめて 今まさに服を脱ぎ捨ようとする。薔薇は忘れないが。
だが この暗い闇の底で 何世紀もの間 堪え続けて来た俺に ただのセクハラではもはや足りない!!
大セクハラを!! 一心不乱の大セクハラを!!
俺は芸術的なお兄さん 漁夫の利が大好きなお兄さんに過ぎない
だが君らは 可愛い反応をしてくれる逸材だと 俺は信仰している
だから君は 良い反応をみせてくれると信じている
羞恥心など忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中にセクハラをかまそう
髪の毛にハァハァして ズボンを引きずり下ろし スカートをめくり 思い出させよう
あいつらにセクハラの楽しさを 思い出させてやる
あいつらに俺の セクハラのテクを思い出させてやる
理性と羞恥心とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
お兄さんの海より深い愛で 世界を萌やし尽くしてやる
全裸発動開始 股間に薔薇装備始動
離床!! 羞恥心 全常識 廃棄
「最大のセクハラ かっこいいお兄さんより 全セクハラを愛する者へ」
目標 世界全域 可愛い子(男女関係無し)上空!!
第二次セクハラ大作戦 状況を確認せよ
征くぞ てめえら!
……でも、セクハラにも加減はあるから、ほどほどにしておくか。
特に女の子相手には加減しないといけねぇな。
……だから、コミュニケーションの軽いセクハラのつもりだったのだが。
「リヒテンシュタインちゃん、フェラって知ってる?」
話題作りに、箱入り妹なリヒテンちゃんにそう話を振ったのさ。
ちょうど、あのシスコンのスイスもいないし、運よく二人きりになれたし、丁度よい機会だったと思っていた。
俺の言葉に、顔を赤らめるのも可愛いだろうし、ぽかぽかと叩いてきても、そりゃ嬉しいだろう。
一番ありそうなのは首傾げて、『何ですか?』と尋ねてくる事だろう。
そうしたら、耳元で教えてあげるのも楽しいかもしれん。
だが、どれも違った。
……おにーさん、ちょっとスイスをどつきにいこうとも思ったもんな。
まあ、返り討ちにあうことは目に見えているが、ほら、それはそれ。
男のロマンとか意地とかというもんだ。
つまり、俺が思わず、そのような行動をとりたくなるような反応を彼女は見せたのだ。
首をかしげ、少し不思議そうな顔で問い返してきた。
うん、ここまでは予想通りなのだが。
「フェラチオがどうかなさったんですか?」
……誰だ?リヒテンちゃんに教えたのは。
い、いや、もしかしたら、単語だけしってて、内容はしらない……
その微かな希望も打ち砕かれた。
「あ、もしかしてやって欲しいのでしょうか?
私、結構上手なんですよ。
エスターライヒお兄さまなんか、数分でお口の中に出してくださいますの」
エスターライヒ……ああ、オーストリアの事か。
彼女は確か昔、貴族の家にいた気もするが……
ってか、あのむっつり貴族!こんな可愛い娘にまで手出しやがって!!
うらやましすぎだ!そのうちハンガリーちゃん襲ってやる!
俺の心の葛藤なんか、つゆ知らず、リヒテンちゃんは俺の前までくると、跪いて……ちょっ、まっ!
「失礼いたします」
かわいらしく一礼すると、ズボンの上から俺の息子をなで上げる。
その手つきは、そりゃうまいもので、布を挟んでいるのに、まるで直接揉まれているような感触で……
恥ずかしい事だが、百戦錬磨の俺が、あっと言う間にガチガチにさせられてしまった。
あー、情けねぇ。
「あら、元気になってきましたね。それじゃそろそろでしょうか」
その言葉と共に、ズボンのチャックを下ろされ、ぴょこんと顔を出す息子。
ここで股間に薔薇かなにか装備していれば、笑いの一つもとれただろうし、
それと同時にこちらのペースにもっていけただろう。
本気でなさけねぇ〜
泣きたくなるのをどうにか抑え……息子の方はすでに先から涙を出していたが。
いーか?お兄さんの股間に……じゃなくて、沽券にかかわるから言っておく。
お兄さんが早漏とか、女に飢えているというわけではないんだぞ。
女の子はその気になれば、いくらでもお持ち帰りできるし、出さずに相手を何度もイかす事も可能だ。
少しぐらいのフェラだったら、立たせない自信はある。
……だから、お兄さんの予想を超えて、リヒテンちゃんの技が凄いのだ。
小さな唇で息子に口付けをし、先走る涙をぬぐい取る。
歯を立てぬよう、唇全体で包み込むと、吸い込むような刺激を与える。
その際、わざと音を立てる事も忘れてはいない。
脈打つ息子を指でいじり、唇を根元まで移動し、舌先でくすぐりながら、ねっとりと先へと向かう。
その間も、手は優しく袋をいじり、しっかりと上目使い方で俺の表情を見つめている。
口の中にすっぽりと覆いこみ、前後に動かし……って、やべっ!
神経を集中させたのがまずかったのか、息子はあっと言う間に爆発し、彼女の口の中へと精を吐き出してしまった。
「んっ」
小さく声を出すと、喉の奥に放たれた精を飲み込み、口の中に溜まったのを零さないよう、慎重に息子から口を離した。
可愛らしい口元を指で押さえ、喉を鳴らして精を飲み込んだ。
周りに残った白濁液を、舌先でしっかりとぬぐい取り、口の周りを指でぬぐい、すました顔で一言。
「ごちそう様でした。美味しかったです」
……ああ、ここまで教育済みかい!
それならば、お兄さんも手加減しないぞ☆
「じゃ、続きをしようか」
おでこにキスをし、そっと押し倒す。
最初はきょとんとした顔をしていたが、少し頬を赤らめ、まっすぐに俺の顔を見てくれる。
くぅ、やっぱりリヒテンちゃん可愛いなぁ〜
下半身まるだしなのが、ちょっと雰囲気ぶち壊しだが、いちいち気にしてはいけない。
軽く手を合わせ、『いただきます』と心の中で呟く。
そして麗しきスカートの中に手を差し入れ……
「な に や っ て る で あ る」
こめかみに冷たい感触。
まさか……
ぎぎぎっとさびたロボットのように首を横に向ければ、殺意を放つ馬鹿兄……いや、スイスの姿。
つまり、こめかみに当たっているのは、あいつのお得意のライフルというわけか。
あ、いや、下半身のライフルとかじゃないぞっと☆ んな事わかってるだろーが、ここはお約束ってやつだ。
そういうキャラならば、中々美味しいんだが……残念なことに、あいつに冗談は通じない。
つまり、現状も『冗談でした☆』といって通用するわけもなく。
「あーその……ただのじゃれあいというか、軽いコミュニケーションというか」
リヒテンちゃんの上から退いて、スイスから一歩二歩、距離を置き……
「許さん! 男らしく逃げるな! 地獄で懺悔するである!!」
「やーなこった♪」
響き渡る銃声。逃げる俺。追いかけるスイス。そんな俺らをにこやかに見つめるリヒテンちゃん。
これが砂浜だったら『捕まえてごらんなさーい♪ あははうふふ』ができたんだが。
まあ、正直な所、ちょっとほっとしているのは誰にも秘密だ。
セクハラってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
会議室で隣に座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
触るかか触られるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。セクハラ初心者は、すっこんでろ。
――というわけで――
今度こそ下半身に薔薇をしっかりと装備した俺と、スイスの追いかけっこはまだまだ続く!
リヒテンちゃんが見ててくれるから、お兄さんハッスルしちゃうぞ☆
「あっ」
おや、リヒテンちゃんが何かを思い出したかのように、一つ手をうった。
立ち上がり、スカートの埃をはたくと、可愛らしく一礼する。
「すみません。今日のお食事当番は私でした。
これからお買い物してきますので、これで失礼いたします」
今度はスイスの方を見て、再び一礼。
「お兄様、今日は私が腕を振るいますので、楽しみに待っていてくださいませ」
ああ、本気で可愛らしいな。
やっぱりこんな妹を持つスイスに、八つ当たり的にセクハラでもしてやろうか。
そう思ったときにきっと俺の目が怪しく光ったのだろう。スイスが少し動きを止め
「あ、フランスさん、続きはまた後ほどおねがいいたします」
――え?
去り際のリヒテンちゃんの言葉に、今にもスイスに魔の手を伸ばそうとしていた俺の動きは完全に止まった。
あーと、それは期待していいってことだよな。
――そしてライフルに弾薬を充填する音をBGMに、俺は全力前進で部屋を抜け出していった。
嗚呼、セクハラ、万歳♪