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9_21-24


 華氏230

 【メインCP】フィンベラ
 【傾向】  純愛っぽいネタ
 【その他】 本番なし
  作中に登場する某大会は、常に摂氏110度を保つ密室にブチ込まれるたいへん過酷な戦いです。
  チャンピオンの記録は18分15秒、とても喋れる状況ではなくそもそも男女は部屋が別れています。
  その意味でこの話は破綻しているといえます。
  平気そうな会話に騙され軽い気持ちで大会に参加されるのはやめておいた方が得策でしょう。泣きを見ます。



密室に響く男女の荒い息遣い。
全身が熱く火照り、額に、首に、背中に玉の様な汗が浮かび、流れていく。
ほとんど全裸に近い格好の二人の目は虚ろで、時折弱くか細い声が上がった。

「もう、だめ…」
女が息も絶え絶えになりながらうわごとのように繰り返した。
「意外と降参早かったですね」
すると、男が優しい声色ながら少し意地悪く返す。
それを聞いた瞬間、女の目に鋭い光が戻った。
「誰が降参なんかするかっ!!」

フィンランドの南スオミ州ヘイノラで開催されるサウナ世界選手権大会には、毎年様々な国々から参加者が訪れる。
しかしなんといってもサウナ発祥の国フィンランドは強く、他国の参加者は苦汁を舐め続けていた。
「男性の部の話だろ。女性の部の優勝は今年も私が貰う」
「2年連続ベラルーシさんの優勝ですもんね。今年も優勝確定ですねーおめでとうございます〜」
あさっての方向を向いてのおざなりな賞賛にカチンときたのか、彼女の眼光が一層厳しくなる。
密室に残っているのはフィンランドとベラルーシの二人だけ。他にもイタリアやドイツ、スウェーデンなど
馴染みのあるメンバーが参加していたが、この灼熱地獄に耐えられず次々と散っていった。
フランスとイギリスは服装規定に違反していたので失格。ウクライナもこぼれてしまい失格。
リトアニアはベラルーシの肢体に興奮したのか鼻血を出し棄権した。ポーランドは帰った。
「エストニアが悔しそうにギブアップしたときは嬉しかったなあ…!」
感慨深くつぶやくフィンランドを見て、ベラルーシはエストニアがフィンランド主催の某大会で
毎年優勝を掻っ攫ってのいるのを思い出した。


「それはそうと、僕たちもそろそろ出ませんか。優勝は僕達で決まりなんですし」
フィンランドの言葉を聞いてベラルーシは嘲笑うように答える。
「いいや。いい機会だし、お前とは決着をつけてやる。男女の区別なんて関係ない。
最後までこの部屋に残った方が今年の覇者だ。まぁもう限界ってんなら話は別だが」
「モイ!?まだまだ楽勝ですよ!どっちがよりサウナ王の名に相応しいかよーく思い知らせてやります!」
そして冒頭に戻る。

「う…、」
「ふ、…もう、終わり?…私、はまだあと50%、は余力を残してるわ…」
「字面にすると、…ギリシャさんみたいだから、普通に、ハァ…喋ってくれません?
それと僕は、55%くらい余裕ありますからぁ…」
「少し語弊があったわ…60%だった」
「どっこい僕は62%ですぅ…」
目の焦点の合っていない両者は不毛な会話を続けていた。
なんでも、考えるだけで脳は酸素を消費するそうな。なのでマラソン選手は走っている途中
余計なことは考えないらしい。だが考えるなと念じるほど余計な考えは浮かんでくるもので、
二人は自身とも戦っていた。
そして沈黙が訪れる。気を失ったのかと心配になりフィンランドは彼女の方をだるそうに伺い見る。
彼はその瞬間頭の血管が切れる音が聞こえた。
ベラルーシは上半身が肌色の水着を着ていた。全身肌色になるのも時間の問題だった。
「ちょ!何してんですか!脱ぐなああああああ」
両手の指を交差させて目を覆うフィンランド。その格子窓からでも彼女の美しい肢体が確認できる。
このままでは埒が明かないと思ったのか単に暑かったからかは分からないが、
色仕掛けという作戦のつもりで行動したならば彼女の目論見は成功だった。
「……?」
ぼんやりとベラルーシがフィンランドを仰ぎ見た。
全体に靄がかかっていてよく分からないけれど、色素の薄い金髪に紫の瞳、ちょっとぽっちゃりした体。
兄さんだ。頑張っている私を褒めにきてくれたのね。あぁ兄さん兄さんにいさん…
彼女は呪文のように心中でそう繰り返しながら愛する兄のもとへ向かった。
「え、え、こっち来ないでぇ!うぐぐぐっ」
ただでさえ熱気に晒されて真っ赤な顔が更に赤に染まる。それもそのはず、彼女の腕は彼の首の後ろにまわされ
豊満な胸が彼の胸板に押し付けられ、彼は彼女に押し倒される形になっていた。
フィンランドの耳元で「ありがとう」としきりに甘い声が呟かれ、
見たこともないような可愛らしい笑顔を浮かべている。

(あのベラルーシが!あの!いつも僕を蛆虫と同等くらいにしか思ってないベラルーシが!)
驚きと困惑でパニックになりながらも、彼は一方でもうこんなチャンスは二度とないと
確信するくらい冷静な面も持ち合わせていた。
目の前の乳房を乱暴につかみ舌を這わせると女の口から淫らな喘ぎ声が漏れる。
もう舌どころではない、喉の水分さえ嗄れ尽くしているだろうに。
そう思い彼は彼女の唇に自らの唇を重ね、舌を絡ませ彼女の口内をじっくりと味わう。
カラカラに嗄れた彼女の口内を犯した男なんて、僕くらいだろうなとフィンランドは内心ほくそ笑んだ。
通常よりも熱を帯びた口の中で、舌がとろけそうに熱い。
そろそろいいかな、と唇を離すと、違和感を感じた。
ベラルーシがぐったりしている。頬を叩いても返事がない。
彼は今度はサーッと自らの血の気が引く音が聞こえた。

ベラルーシは幸い少し気を失っただけで、すぐ目を覚ました。
彼女が倒れた理由は酸欠。原因は明白だった。
(これからが本番だったのにツイてない…キスに欲張っちゃったなぁ…。
 もうこんなチャンス、絶対ないだろうに)
肩を落としているフィンランドの横で、頭をたれていたベラルーシがきっと顔を上げて発言する。
「おい童貞」
「違いますよ!…なんですか」
一応否定はするが、気を失わせた原因を作った手前ここは静かに話を聞くべきだろうと
判断する。おとなしく女王様のお言葉を待った。

「今回は私の負けだ。それは認める。だけどもう絶対負けないからな」
「え、ああ…」
そういえばそんな勝負してたっけ。すっかり忘れていたフィンランドはベラルーシに気づかれない程度に呟いた。
「次はお前の家に直接行く。今度こそお前が地べたに這いつくばる姿を見物してやる」
(え、)
「もちろんサウナはついてるんだろうな?」
「も、もちろん!歓迎します!」
じゃあ決まりだ、と無愛想に言い残したベラルーシはそのまま布団にもぐって丸まってしまった。
(やった…)
彼の肩が震える。
「やったああああああああ!!」
次の瞬間枕が彼の顔に命中した。

お楽しみを想像してかついニヤける顔を元に戻しながら、フィンランドは少し疑問に感じることがあった。
彼女の真意が読めないのだ。
ベラルーシが自分との勝負に執着するのは単に過去の雪辱を晴らすためか、それとも…
(まぁいっか)
いずれそれはまた彼女に尋ねてみればいい。それよりも来る日にどう彼女を誘導するか考えなければ。
彼の思考はまたもやピンク色になった。
ベラルーシ。いつも仏頂面をして、報われないけど健気に兄を慕い続ける女の子。
(いつか彼女と、勝ち負け関係なく付き合える日が来たらいいなあ)





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[ベラルーシ][フィンランド][フィンランド×ベラルーシ]

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