玄関のベルが鳴った。
「ん…」
ジャックはだるい体を起こした。
玄関に出てみると見知った顔が立っていた。
「トニー…」
黒髪の男は同僚のトニー・アルメイダだった。
「大丈夫ですか?」
「ああ…どうしたんだ?」
特に大きな事件などなかったはずだと鈍った頭の隅で考える。
「昨夜の電話で具合が悪そうでしたので心配で…入っていいですか?」
ジャックが答えるより先にトニーは中に入った。
「何か胃に入れて薬飲んでください」
「そんな物は必要ない。今日一日寝てれば治る」
ベッドルームへ向かおうとしたジャックはふらついてトニーに支えられた。
「ジャック!」
「大丈夫だ…オ、オイ!」
トニーはジャックを軽々と抱き上げた。
「おとなしくして下さい」
「歩けるっ」
「いいから」
結局トニーに押し切られる形でジャックはベッドへと運ばれた。
「大丈夫だと言ってるのに…」
「結構熱いです。寝てて下さい」
トニーは上から布団を被せた。
「…分かった…」
トニーは満足したようにうなずくと部屋を出ていった。
ジャックはごそごそとトニーが動いているらしい音を聞いていたが、少しすると眠りに落ちてしまった。
「ジャック、少し食べて薬を…」
言いながら近づいたトニーはジャックが寝息を立てているのに気が付いた。
トニーはベッドの端に腰をかけるとジャックの額にそっと手を置いた。
かなり熱い。
「ジャック…」
「ん…」
その声が聞こえたわけではないだろうが、ジャックが身動いだ。
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「トニー…」
「果物なら食べられるかと思いまして…」
冷えてますよ、とイチゴが差し出された。
「ん…」
口の中で押し潰され、甘い香りが広がる。
「久しぶりに食べたな…」
擦れた声が応えた時、トニーはふいっと目を逸らした。
「トニー?」
「喋らないで下さい」
「なんだ、一個しか食わせないつもりか」
途端にキッ!と振り向いた。
「どれだけ俺を呷ってるか分かってないでしょう!?」
ジャックはぽかんとしていたが一気に真っ赤になった。
「お、お前…っ」
「その潤んだ目とか、ちょっと喘ぐとこだとか…俺が何も感じないとでも…!?」
トニーの剣幕にジャックは急いで布団を引き上げた。
だが、迫ってきたトニーはその布団を引き剥がした。
「俺を呷るのだから責任を取ってもらいますよ」
「トニー!やめろ!僕は…!」
「僕は、なんです?」
トニーが薄く笑う。
「びょ、病人だぞ…!」
「貴方らしくないセリフですね。いつだって、これくらい、と言うでしょう?」
トニーの指はすでにジャックの下着の中に潜り込んでいる。
「トニー!」
「ここも熱い」
どの熱なのかもう訳が分からない。
「イチゴでも食べさせて上げましょうか…」
トニーはジャックの下半身を曝け出させるとうつ伏せにと引っ繰り返した。
「まずは一つぶ…」
「冷たッ、っく!」
くぷと音がして赤いイチゴが飲み込まれた。
「トニィ…ッ」
「ジュースにするには一つじゃ少ないですよね」
「やめろ!トニー!」
「これ以上俺を煽ってどうするんですか?」
トニーは二つ目を押しこむと続けて三つ目も奥へと押しやった。そのまま指で
押し潰す。
「ふ、ぁ、あ」
指を内壁へと擦りつけるとジャックの体がビクビクと震えた。
「イチゴの種で擦れて気持ちいいでしょ?」
「馬鹿ッ」
「なんとでも」
トニーは指を引き抜くと己を宛がった。
「性急なのは分かっていますが、あまり長引かせて風邪を悪化させても困ります
から」
「あぅ、ぁあッ」
ジャックの秘門はトニーの怒張をあっさりと飲みこんだ。
「良いですよジャック…」
時折、ざらりと感じる。
それが二人ともを煽り立てる。
「そろそろですか?」
「んぁっトニ…!」
「いいですよ。一緒に…」
ジャックの物へ絡めていた指で更に刺激していく。
「や、あっはぁぁああ!!」
「んっ…」
完全に弛緩したジャックからようやく離れた。
「大丈夫ですか?」
呼びかけたトニーにジャックは涙目で振り返った。
「この馬鹿っ!」
トニーはジャックに赦しを乞うように口付けた。
「俺に移せば早く治るかもと思ったんですよ」
「トニー…」
「はい」
「この嘘吐きめっ」
言いきったジャックをトニーは笑いながら抱き上げた。
「ゆっくりシャワーでも浴びましょうか。ねぇ?」
ジャックの叫び声がバスルームで響いた。