Part 18 歴史と文明を築く者 中編
- 151 1/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:25:23 ID:IV55pR5b0
-
○モララー族偵察隊から略奪した物資、一覧
・食品など
__lニl_
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ
|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| 0
|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| 0 O 0
ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;/ 0 O
 ̄ ̄ ̄
大きな革袋 茹で卵
(アク抜きしたドングリの粉入り) (鶏卵と推定)
_w_
__ ...◇... (゚∵:)
[:;:;:;:;:;:;)=3 ...:::::::::..◇:::... `ー"
 ̄ ̄
干し肉多数 革袋入りの岩塩 干しイチゴ
|`ゝ
/⌒ヽ _//´ @ @
`---' / :;/' @@ @
/⌒ヽ /⌒ヽ /@,;)ゞ @@
`---' `---'  ̄
どんぐりクッキー 干し魚 くるみ
__ /| ,、
/;:;:;:;:;:コ ,、 /\| /ミ|
ヽ;:;:;:;/ |f| `/ `i´
 ̄ ヽ
獣の内臓の水筒 山菜、薬草など
(羊と推定)
- 152 2/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:26:20 ID:IV55pR5b0
-
・武器、その他
==================X三>三> ==[二二二>
===============X三>==X三> ==[二二二>
=================X三>X三> ==[二二二>
できのいい尖頭器、複数本 銅剣三本
(ギコ、フーンは戦利品としてこれを選択)
_ i^i_
,、_ /;:;:/ 〈X;;;;;| _
(;:;:;::;:;:[ /;:;:/ | | ̄ 〈;:;:;:] /|
 ̄ ̄  ̄ |_|  ̄ `'
煮詰めた革の脛当て、小手など防具類 作業用石斧、握り斧、石錐など
/|XXXX| 彡三ミ _ _
ヽ_|XXXX| /;:;:;::;:;:| |;:;:;:|;:|
|XXXX| /;:;:;:;:;:;:;:ゝ .|;:;:;:;:;]]
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄
蔓製の背負い籠 外套、皮靴などの防寒具
(革製、要所に羊毛入り。保温性高)
- 153 3/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:27:04 ID:IV55pR5b0
-
高度な文化ってレベルじゃねーぞ……!!
<< ii) ズーン
|[:::::|
ノ;;i;;;;;;ゝ
し`J
既に十分「青銅の時代、草創期」と定義して反論出ねぇレベルじゃねぇか!
ただの蛮族じゃねぇとは分かってたが、これほど! これほどとは……!
- 154 4/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:27:49 ID:IV55pR5b0
-
俺はなんというか、更に認識の修正を迫られた。
ウララードが青銅の剣を持っていたのは、ひょっとして俺のような誰かが技術を伝えたためかと思っていた。
俺たちの集団と同じレベルの原始人集団に、歪んだ形で発展した技術が入り込んでいるのでは、と。
Α_Α ∧∧
(メ; ∀ ) と(Д ;)
/ ;;; ]つG[二二二> ヽ'三ミ0
く_;・;ノヽ_〉 /;;;i;;;;;ゝ
(__/ ヽ__) (,/ ヽ)
が、この物品から推測される連中の文化は、もっと自然に発展したものだ。
仮に向こうにも俺のような誰かがいるとしたら、そいつも実験考古学か民族考古学を志す学徒だろう。
そういう稀な事態が無い限り――連中の文化は、連中の手によるもので、それだけに始末に負えない。
- 155 5/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:28:30 ID:IV55pR5b0
-
歪んで進んだ技術ならば、その歪みの隙を突く手の一つや二つは思いついてみせる。
が、利用者が自らの手で作り上げ、骨身に染みた技術は簡単にはひっくり返せない。
となれば残る手は、――……やっぱ正攻法しかねぇよなぁ。
∧∧
(Д-;)
∞[:::|
ノ;;i;;;;;;ゝ
し`J
そこまで考えた時点で、俺の学者としての頭が一気に回転を始めた。
- 156 6/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:29:27 ID:IV55pR5b0
-
ちなみにそもそも学問というものには「学問分野」、あるいは「学問領域」と呼ばれる研究範囲がある。
例えば歴史を例にあげるなら、古代史、中世史近代史、現代史、戦史、文化史などだ。
従来の日本の学問研究は、その学問領域の中におさまった研究が基本となっていた。
範囲分けをすることで、初学者の理解を助け、一分野のより細密な研究を行うことができるからだ。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
先生、今日は性以外について・・・ ___ | 性の文化史 |
∧_■ii /_______|
冂冂 ('ヮ `*)')
[ o-]勹 ( <y> /
[ / |__|
[[_,凵 し `J
ただしこれはデメリットとして、いわゆる「専門バカ」の弊害にもつながってる。
専門分野以外の知識がほとんど欠如した学者、というのは一般にも膾炙したイメージだろう。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
・・・・ ___ | 性の文化史 |
・・・・ ∧_■ii /_______|
冂冂 (' - `;)')
[; o-] ( <y> /
[ ] |__|
匚_凵凵 し `J
※……性の文化史は実在する真面目な研究分野であり、これを馬鹿にする意図はありません。
- 157 7/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:30:08 ID:IV55pR5b0
-
一方で、最先端の研究の進展の方向性を考えるとき、従来とは異なった観点や、発想、手法、技術などが
新たな成果を生み出す例は非常に多い。 複数の学問領域にまたがる、いわゆる「学際的研究」だ。
ただ、日本では学際的な研究を行う土壌がまだ不十分だ。 先の弊害と合わせて、これは長年問題視されていた。
俺も学者を志すにあたって、それを考慮して学際的研究への取り組みの十分な大学へ進学した。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
___ | 文化史総論(主として性の文化史) |
∧∧ + ∧_■ii /______________|
(,,゚Д゚)') + ('ヮ `*)')
|::::[::/ * ( <y> /
ノ;;;;;;i;;| |__|
し`J し `J
俺がこんな状況になっても様々な知識を引っ張り出せるのは、ほとんどそのおかげと言っていい。
古代史、歴史考古学、実験考古学、戦史、文化史、言語人類学、社会人類学、文化人類学、心理学、
社会学、技術史、自然人類学、各種フィールドワークや、そしてメインとしての民族考古学。
良質な講師陣の多彩な講義を真面目に聞いていたため、引っ張り出せる知識はかなり多いと自負している。
- 158 8/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:30:49 ID:IV55pR5b0
-
さて、長々とこんな前提を確認した理由は、これからやる分析が、それなりに分野を跨ぐことになるからだ。
まずは略奪品のうちから食品類に着目してみよう。
__lニl_
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|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| 0 O 0
ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;/ 0 O
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大きな革袋 茹で卵
(アク抜きしたドングリの粉入り) (鶏卵と推定)
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__ ...◇... (゚∵:)
[:;:;:;:;:;:;)=3 ...:::::::::..◇:::... `ー"
 ̄ ̄
干し肉 革袋入りの岩塩 干しイチゴ
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/⌒ヽ _//´ @ @
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/⌒ヽ /⌒ヽ /@,;)ゞ @@
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どんぐりクッキー 干し魚 くるみ
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ヽ;:;:;:;/ |f| `/ `i´
 ̄ ヽ
獣の内臓の水筒 山菜、薬草など
(羊と推定)
- 159 9/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:31:48 ID:IV55pR5b0
-
これを見て分かるのは、「モララー族は牧畜を行っているが、農耕は殆ど行っていない」という点だ。
鶏卵や干し肉が大量に手に入り、大がかりな革袋や防具も作れるほどの革と羊毛。
労働力として価値の高い若い男を、偵察にこれだけ派遣できる点から考えても、
まずもって食糧の安定供給のための牧畜は、行っている可能性が高いと言えるだろう。
,. ., __
〈゚x ゚::j´:‐:-、_ ,. ., __ - :‐:-、_
i,,;:; :;.,゙:; :;:゙'i ∧_∧ 〈x -::j´;゙.:. ;: :゙'i´
゙u'‐'uー‐゙u'. (・∀・ ) `゙u'‐'uー‐゙u'
/, ヽ ,. ., __
(,.へ ,.へj_〈゚x ゚::j´:‐:-、_
(__,j' (__,ノ` i゙;: .:';,;:. ;.;.,;:゙'i´
゙u'‐'uー‐゙u'
- 160 10/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:32:33 ID:IV55pR5b0
-
逆に、このような農耕風景はありえない。
._,,-- =-..、
,,,r''";; ;; ;;,, `::、_ _,,._
.._,,..-‐''" ;; ;; ;;;;, `::、 __,, --‐''";;;, ,`
"`''::.、..,,__ ;;,,, ;; ; __ ,... .-‐``‐ -‐‐''''"" ;; ,,; ;,
''':‐-,,_,,‐‐''''" ;;; ,,, ;;;; ;;;,,, ;;
、/ . 、ノ 、/ . 、/ 、ノ . 、ノ 、/ . 、/ 、ノ . 、/ 、ノ . 、/ 、ノ . 、/
ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ . ミミ
ii ii ii ii ii ii ii ii ii ii ii ii ii ii
ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/ヽi|/
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∧_∧_____
(・∀・ )XXl
○ ○XXl
まずもって、所持品の中に栽培作物が見られないからだ。
どんぐり、くるみ、野いちご、山菜、薬草――いずれも採集で得られるものだ。
大規模栽培には向かない品種が多いため、農耕はあるとしてもごく小規模にとどまるものと考えられる。
このあたりは考古学の発掘調査で、出土品を前にして考えることとさして変わらない。
- 161 11/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:33:28 ID:IV55pR5b0
-
更に、連中は土器を持っている、ということも推測が可能だ。
∧_∧
(・∀・ )
ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/O )
/ ヽ / ヽ / ヽ / ヽ (
ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ(__)
なぜなら、連中の持ち物に青銅の剣がある。
==[二二二>
==[二二二>
==[二二二>
銅剣三本
- 162 12/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:35:24 ID:IV55pR5b0
-
土器と銅剣がどう繋がるのかというと、
(;:;:;,.,.;:,.;)
(:;,:.,.:;) ボォォォ……
(;;:,.)
| ̄|
| |
| |
l ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l ∧_∧
| ̄,,l ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l (∀・ )
| ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l ̄| (∞ )
| ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l ̄ ̄,,l ̄ ̄,,| ( つと )
""" "" """ "" """ "" """ "" """ "" """ "" """ ""
そもそも銅と錫を溶かして青銅の剣を制作する場合、
- 163 13/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:36:05 ID:IV55pR5b0
-
鋳型の製作が必要となる。
(( (
)) ) ∧_∧
ドロー (・∀・; ) アチー
○━━━━O━と \
|l´ ヽ ヽ
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (__)\__)
| |"" """ "" """ "" """ ""
| |
| |
|_____|
↑これが鋳型
技術史的に考えて、この時期の銅剣の鋳型といったら――
|iヽ
|lji|
|io| ∧_∧
_|ilj|(・∀・ )
と つ[二>
( つと )
木を削って模型を作って、
- 164 14/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:36:58 ID:IV55pR5b0
-
粘土に木の模型を埋めて、
【断面図】
ここが溶けた銅の注ぎ込み口
↓
___ __
| __||_,, |
| |iji| |
| |io| |
| |ilj| |
| ヽi| |
| .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
陰干ししてまるごと焼いて、
.::... . . .':::;:, .:.
':;:. :::. . ..:.:λ:: ::'; ::,)、::.:;.:,:;.:
..':;ヾ::.:ソ)人ノ从:.ソ)ノ ):.: .;,.'
.::Vィ' (ソヘ (::.:.:'.,; :. .
',:; .::) て:;;':.
..:.(ノ (::..
. . .::::) ヘ ソハ ,ゞ.:.
.;: . .:::: .:ソ ノ:.::.:.. :( (: :.
. . .::.: :::..::..:( (::..::..:::.::ノ ):::...
- 165 15/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:38:44 ID:IV55pR5b0
-
木が焼けてできた空洞に、
___ __
| __|;|__ |
| |::::| |
| |::::| |
| |::::| |
| ヽ;| |
| .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
銅を流し込んで、
(( (
)) ) ∧_∧
ドロー (・∀・; )
○━━━━O━と \
___ ji__ ヽ ヽ
| __|.|_, | (__)\__)
| |: :| | """ "" """ "" """ ""
| |: :| |
| |: :| |
| ヽ,| |
| .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 166 16/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:39:50 ID:IV55pR5b0
-
最後に鋳型を叩き割って、
___ __
| __|;|_, |
| | | | ∧_∧
| | | |/ (・Д・# ) セリャ!
| | | |<二l三三===―
| ヽ;| |\ | | ヽ
| .| (__)_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
作るものだからだ。
∧_∧
( *・∀・) +
( つ[二二二>
| | | +
(__)_)
- 167 17/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:40:49 ID:IV55pR5b0
-
粘土を焼き固める技術を知っていなければ鋳型は成立しないし、
鋳型が成立している以上は土器を思いついていて当然なのだ。
ゆえに銅剣がある、イコール土器があるというという推測は成立する。
三本の銅剣を見比べ、全て細かいつくりが違うことも、それを裏付けている。
∧_∧ ∧_∧
(・∀・ ) ___ ( *・∀・) +
ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/O ) ___ ( つ[二二二>
/ ヽ / ヽ / ヽ / ヽ ( | | | +
ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ(__) (__)_)
技術の発展は、一見関係のないように見えるものが相関しながら進んでいく。
これは技術史的な視点と、実験考古学的な視点があってこその分析と言えるだろう。
- 168 18/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:41:30 ID:IV55pR5b0
-
上記の分析から、モララー族は青銅草創期にある牧畜民族であると結論できた。
では、モララー族の今後の動きについて分析してみよう。
┌―――――――――――――――――――――‐
| モナー。 前の秋のどんぐりの実りはどうだった?
└――――――――v―――――――――――――
┌――――――――――――――――――――――――――――‐
| 不作だったモナ。 モナーはモララーの攻撃も、
| どんぐりを取る森が欲しかったからなんじゃないかと思ってるモナ。
└――――――――――v――――――――――――――――――
∧∧ ∧_∧
(,,゚Д)') (´∀` )
|::[:::/ ( )
ノ;;;;i;;;ゝ | | |
し`J (_(__)
別にモナーの発言は、メルヘンでも笑いごとでも無い。
現代でこそ、どんぐりなど子供の拾い集めるものだが、古代におけるどんぐりの立ち位置は馬鹿にならない。
大量のデンプンを子葉に蓄えたドングリの出来不出来は、哺乳類の秋から冬への生存確立を大きく左右する。
- 169 19/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:42:12 ID:IV55pR5b0
-
現代でも、熊が食糧を求めて人里にまで現れる年のドングリの出来を調べたところ、
おしなべて不作であったという話もあるほどだ。
|! トヽヽ,\__ __,、
f ,i !- ':´  ̄ ̄ヽ. ヾト ィ',ィ, ,.ィ__
__∠ ― 二 =、 ヾY,}:i:iK '` `てイーzィ
`斗レ' ¬ .<ヾト、 Y}:}:j厶- - 、 `t__
__ノ’ ,. --、ヽ.\ヽ:Y!iv厂 --一- ``、 `^戈__,>`ヘ
__Z , ィ'´fiミ__Yiいヽ!:リ√ィ彡r '´ ̄´¬丶ヽ、 X. i{ ',
___) ≦ 'ラ_{(・)}j川 kソ个rイ〃 '// _ヽ ヽ. ヘヾ }
_,)'/, z 彡rシ ソソ:`,ソ:' メ⌒i. j ‐、ヾi i,.ィ_'ニ二ヽ, ヽ }:i /
勹/〃, -ー彳´ ;/¨:::`::く._ ヾ Yij{(・)>= ≧ヾ:ヽ:ヽ ヾ, `ミゞ--:r'
之. イ/ / , ゙ ,' {::f⌒}::,':::::::::ヽ ,丶 `iヾ三ぐ¬ミド} }ヽト :} ゞミ(^
'ライ〃i;' ,' ,' :v'ヾ| ,ノ:::/⌒!:::/ ,.i トヽヽ丶` ヾミ:ヾト、 ヾヽミi}
_,メィ/;:イ ' / ;i: i! ヽ.. ー' ¬'Lイ ji ,i ,i.l }: ヽ丶`` ヾ ヽ \:.ヽ:トゝ
__Z イィ /i ,〃 /!i iト .,___ ヾ´ '’ ,八 ヽ }! \ヽ` \、ヾ :,ハ ヘ,
ブイ〃//i ,:/:, ハ1i: ,>'‐L/7'ァ-ァァ'个 、 ヽ ヾ c ヾ` 、`: ミト、} ハ メゝ
厶'〃// ,' ,.イ ,' / 'i:iハ.y' {_  ̄ ブZ j:j:ヽヽ__,ィこつ ヾヽ、 ヽ. \ ヾト、ヘN
,ノiii/〃/ ,'/ ,' ,: ,' i:{,ハ! 7ー'´/り } :ト、  ̄´ ヽ \ヽ`: \ヽ`\ヘヘ!
,jハ/:〃/〃/〃,' ,' ,'iハ/`ト、/__,_,_仄! .Nト、\ ヾミJヽト、ヾ` ` ヾ``ヾ``ヾ``ヾし!
, イ:〃/〃/〃/〃;ハli `'く,_l,」jノ┘iト :i: j: ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾ`ヾミ三;く
,ノィ〃/〃/〃/〃〃,':ヾ= ーz i 、トヾi: .:|:. ! i i:.i:. i:.ヾ\ヾ\ヾ\ヾ\ヾ\ヾミ::(_
ちなみにどんぐりは多くのものがそのままでは渋いが、アク抜きすれば意外と美味く食える。
保存もきくので、冬の間を凌ぐ食料としては非常に優秀な部類だと言えるだろう。
- 170 20/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:43:18 ID:IV55pR5b0
-
さて、ここからが重要だ。
以上の観点から、「モララー族による年内の大規模な侵攻は無い」という結論が出せる。
理由は一つ。 食料問題だ。
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/\ 森森森森森\ //森;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.∧_∧ /\ 森 森 森/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
( ・∀・) /【村】 / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
領域 /\ / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\ | ;;;;;;;;;[未探索領域];;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\ \ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\ )\ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\;;;;;;,,,,,,,,,,,,, / \,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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- 171 21/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:44:35 ID:IV55pR5b0
-
そもそも専業兵士を育成できない時代の戦争というのは、
それをしている間は集落内から、食糧を生産するべき働き手がごっそり消えてしまう。
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∧
∨
(≡)
/´二` ┃
[(゚O゚*[=O =(=== =(=== =(=== =(=== =(=== =(===
i:i:i:iつハ_┃ (*゚O゚) (*゚O゚) (*゚O゚) (*゚O゚) (*゚O゚) (*゚O゚)
〜ノ,,,ノミ ゚_┃ ━i:i:iつ━O━━━(((<>━(((<>━(((<>━(((<>━(((<>
彡(,`U"" ノ ┃ 〜ノ,,,ノヽヽ 〜ノ,,,ノヽヽ〜ノ,,,ノヽヽ 〜ノ,,,ノヽヽ 〜ノ,,,ノヽヽ〜ノ,,,ノヽヽ
> ̄>^> ε= (,/ `Jε= (,/ `Jε= (,/ `Jε= (,/ `Jε= (,/ `Jε= (,/ `J
"゙"~""""~"゙"゙"゙~"゙""゙"゙"~""""~"゙"゙"゙~"゙""゙"゙"~""""~"゙"゙"゙~"゙""゙"゙"~""""~"゙"゙"゙~
↑無理な戦争をすると、 後方がこーなる↓
∧∧
(゚oTr)
UU ヽ
,,;;''"""""`∧∧ | ,,)〜
,,;;'' ;;(ヾ -゙) し'`J
"~"゙"゙"゙~"゙"""""""""""""""~"゙"゙"゙~"゙"""゙"~""""~"゙"゙"゙~"゙"""゙"~""""~"゙"゙"゙~"゙""゙
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ので、まともな指導者ならば、ある程度の食料の余裕を見て戦争を起こす。
あるいは足りない場合、敵の貯蔵食料の略奪の見込みをつけて、仕掛ける。
侵略戦争というものは、基本的に指導者がこういった見通しを備えていないと上手くいかない。
- 172 22/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:45:44 ID:IV55pR5b0
-
これは歴史や戦史に少しでも知識のある人間ならば、知っていることだ。
――――翻って、これをモララー族の今の分析に適応してみよう。
1.戦争を起こすだけの食料の余裕
少ないと見るのが妥当だ。でなければ略奪目的の戦争を起こしていない。
加えてごく最近に戦争を起こした以上、兵士が疲労している。
更に無茶をすれば餓死者もでかねないし、疲労から戦死者も増える可能性が高い。
∧_∧
(・∀- ;) ンー、少ナイ…
ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/ ヽ ̄/O )
/ ヽ / ヽ / ヽ / ヽ ( /⌒∧_∧ ツカレタ…
ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ ヽ_ノ(__) (_,○(;-Д-)○
2.略奪できる貯蔵食料について
そもそも俺たちは、“モララー族に住居を追われた集団”だ。
既に奪い尽くされ、何もかも捨てて逃げた連中から、まだ大量に絞れると考えるバカがいるとは思えない。
/| ∧∧
lX/ <<;;;:'⌒;;.'つ <:::::..^),. (゚o ゚il)
// ヽつJ;・;;';; ヽ;:,ζ;;・.:. <二X====と==0===
/∧_∧ し´∴;;,;;:,.,.;:, / 〈
(^( ・∀)つ :;, ;: ;,; (_/ ヽ)
//\ ( ∧_,,, ,.;:・:,、ノvヽ
// ) (__) と'⌒@(;;゙o;;。)つ ;:,.〉 〉ヽ)
(__) と;;;・;; (/
- 173 23/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:46:37 ID:IV55pR5b0
-
加えて、自然の要害である、山脈が存在する。
この山脈の厳しさは、俺も十分に承知しているし、向こうもウララードが経験した筈だ。
食料不十分、疲労のある状態で大侵攻を行えば危険と判断する可能性が大だ。
.::. ,,-‐''"´'':、,, ,,_,__
_,,.--ー''''''"゙゙ ゙゙̄"'''''―--.,,,,,,-‐'゛.:'"゙:.:゙,:;、,"'.:.: _,,.;:-−''"´`゙''ー、/ヽヾ\
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――少なくとも、ウララードのような冴えた戦士であれば、そう判断するだろう。
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- 174 24/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:47:43 ID:IV55pR5b0
-
もし仮に、そういった戦略的条件を無視して敵が大軍で侵攻してきた場合――
戦略的優位を確保できたものとして、戦術的な対応として散発的に襲撃。
平野部まで引きずりこんで日数を稼げば、そのうち食料面で限界を迎えるはずだ。
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/\/\/\森森森ヽ | / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\ 森森森森森\ //森;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/\森 ∧_∧ 森/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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ただ、それをするためには、女子供が山麓にいては危険が多い。
それに今回撃退されて警戒するであろうため、行われる確率は低いが、
今回同様の小規模な襲撃隊を、更に送り込んでくる可能性もまだ残っている。
- 175 25/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:48:34 ID:IV55pR5b0
-
移住を考えていたところだ。 ――ちょうどいい。
河向こうまで集落を移動して、最低限モララー族を警戒しつつ、発展に努める。
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/\/\/\森森森ヽ | /森
/\ 森森森森森\ //
/\森 森 森/
/\ /【村】 ←このへんに設置予定
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/\ )\
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/\ /\ /
/\ /\
/\
大規模侵攻があるとすれば、恐らく早くて今年の秋。
だが、秋は実りの季節。 冬の準備と収穫に人手を要する。 そして、それを終えれば即座に冬――
この時代において、冬に軍事行動をとる愚かさについては言うまでもない。
まして敵地で冬を迎えれば、その集団は壊滅したも同然だ。
- 176 26/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:49:16 ID:IV55pR5b0
-
となると、最も大規模な侵攻の可能性の高いのは、来年の春。
――来年の春までに、可能な限り技術レベルを高め、戦術を鍛え上げて迎撃に臨むしかない。
敵の規模は不明だが、川を防衛線として、凌げるだけ凌ぐ。
地の利と技術を駆使すれば、やってやれないことはないはずだ。
∧∧
(Д-;)
∞[:::|
ノ;;i;;;;;;ゝ
し`J
俺の頭で導き出せる結論だと、まぁ、こんなもんが妥当なところか。
- 177 27/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:50:24 ID:IV55pR5b0
-
それが最善だな。 ――よし! 行動!
\人_人_人_人人_人_人_人人_人_人_人_人_人_人_人_人/
> <
> オルジさん! ちょっと来てもらいたいんですが! <
> <
/Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y\
∧∧
⊂ (,,゚Д゚)')
|::::[:/
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J
- 178 28/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:51:15 ID:IV55pR5b0
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
│ ………………何の用だ、小僧。 |
\________ ______/
|/
|\ /| ス……
| \ / |
| \ / |
| >ー‐< |
| | ビクッ!
V;:;:;:;:;::;:;:,., | /|
|;:;メ;:○;:;:;:,. ィ" フ | |\ / |
|;:;:;: ;:;::;:キ;:;:;i  ̄ | | \ / |
|;:;:;/;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ / | \ / |
ヽ;:;:ゞ;: __/ / | >―< |
, ‐|ヽ____/|ー-、_,, | | ┃┃
/ | | /;:;ヽ |/ ヽ| ・ ・
/ --一 ー-/;:;:;::/ \ / 、__,, |
./ _,_,-';:;:;:;:;:;:;:| | | U イ リ〉 〈
.| , `i-――';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:! ` | !  ̄ ヽ
| |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:i | | ̄ ̄ ‐' ─ _ U __ /
| i |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:| | |::::::::::::::::::::::::::::::`‐ _ ヽ:::::V
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐、 /
- 179 29/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:52:08 ID:IV55pR5b0
-
┌――――――――――――――――――
| あ、相変わらず予期せぬ所から……
└――――――v――――――――――――
┌――――――――――――――
| 静粛性は狩人の必須要件だ。
| ……それで。
└――v―――――――――――
/ヽ_ ヘ
(,::::_ゝ゜)
< )
,ソ ノ
(,_ノヽ._) ∧∧
(Д゚;) ⊃
|::::[:|
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J ※……一回り年上のため敬語使用
盛り上がった肩周り。太い腕。苛烈な古傷。寡黙さ。
いつ見ても原始の狩人の典型的なイメージだな、この人。
- 180 30/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:52:51 ID:IV55pR5b0
-
まぁ、だからこそ任せられるわけだが――
┌―――――――――――――――――――――――
| 数人連れて、しばらく下山道の監視をお願いします。
| ここはもう危ないので、川沿いまで移住しましょう。
└――――――v――――――――――――――――
┌――――――――――――――――――――
| …………成程。監視期間はこちらで判断か?
└――v――――――――――――――――――
┌――――――――――――――――――――――
| はい、移住の様子を見て、後から追って下さい。
| ああ、監視組の荷物はこちらで運びます。
└――――――v―――――――――――――――
/ヽ_ ヘ
(,::::_ゝ゜)
< )
,ソ ノ
(,_ノヽ._) ∧∧
(Д゚,,)
|::::[:|
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J
- 181 31/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:53:50 ID:IV55pR5b0
-
┌――――――――――――――┐
| モララー族出現の際の対応は。.|
└――――――――――――――┘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
il|!ll| Yii! .|!i!|il|ll| |,!((/(;;,,ヽノ ;;/,,"" .|ill |!i| |,!((/
il|!ll| |!,ii |ill|il|!l) |i|!ll| `(~...,,,,,,.....,,,⌒) .|!i| .|ill| |i|!ll|
.|lii!| |ill| |!!iill|!li .|il|lil| (;;,,ヽ;;;...(_;;::,, .|ill| |ill| .|il|lil|
.|lii!| |ill| (il|!llli!i| ||!li!i| Yii! .|ill| |l|!| .|!lli!i|
il|!ll| |l|!| |!!iill|!ll| ||liii!| |!,ii |l|!| |l|!| |!lli!i|
|!!iil|,,,,.., ,vv|Mvv(/"从ll|ノ( |il|!ll| |ill| vv|Mv vv|Mv , , |!lli!i|..,,..,
!ソ;ハj|W "" Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,Mv,w,.vw,.vW "" V"ji,,Iw,,MW "" w,,Mv,w,.vw,
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) ( ・∀・) (・∀・ )
( ) ( つ=====X三> ==○====つ=======X三>
〈二二| | |=ll | | | | | |
(__)_) (__)_) (__)_)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌―――――――――――――――――――――――――――――――┐
| 潰し切れると見たら仕掛けて下さい。 無理なら可能な限り妨害、撤退で。 .|
| ただし、出現と同時に一人は集落に走らせて、知らせを送って貰います。.|
└―――――――――――――――――――――――――――――――┘
- 182 32/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:54:33 ID:IV55pR5b0
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
│ ふむ…………そうだな………… |
\________ ______/
|/
|\ /|
| \ / |
| \ / |
| >ー‐< |
| |
V;:;:;:;:;::;:;:,., | ・・・・
|;:;メ;:○;:;:;:,. ー-‐ |
|;:;:;: ;:;::;:キ;:;:;i |
|;:;:;/;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ /
ヽ;:;:ゞ;: __/ /
, ‐|ヽ____/|ー-、_,,
/ | | /;:;ヽ
/ --一 ー-/;:;:;::/ \
./ _,_,-';:;:;:;:;:;:;:| |
.| , `i-――';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:! ` |
| |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:i |
| i |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:| |
- 183 33/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:55:59 ID:IV55pR5b0
-
┌――――――――――――――――
| おおむね可能と見た。引き受けよう。
| ――監視の面子はこちらで選ぶが。
└――v――――――――――――――
┌――――――――――――――――――
| 構いません。 それじゃあ、お願いします。
└――――――v――――――――――――
/ヽ_ ヘ
(,::::_ゝ゜)
< )
,ソ ノ
(,_ノヽ._) ∧∧
(Д゚,,)
|::::[:|
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J
- 184 34/35 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:56:56 ID:IV55pR5b0
-
┌―――――――――――――
| ファグ(犬の名前)、行くぞ。
└――v―――――――――――
┏━━━━━━━━┓
┃ オルジステルス .┃
┗━━━━━━━━┛
ス… _/)/) ポテポテポテ…
〈w ゙ )ー-、/
と i、 ))
(,/  ̄ ̄ しヽ)
∧∧ !?
(゚; )
|::::[:|
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J
しかしマジでこの人の挙動、目で追えねぇんだけど!?
- 185 35/35+1 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:57:38 ID:IV55pR5b0
-
まぁ、このコンビが下山道を押さえてれば、モララー族の奇襲は無いと言っていい。
ファグの鼻は敵の臭いに敏感だし、オルジさんの立ち回りは年期が入った安定感がある。
タタタ…!
_/)/)―――____
〈w ゙ )ー-、/―――____
cc ⌒ヽ___―――――――
 ̄ ̄ ヽヽ)___―――――
∧∧
(゚; )
|::::[:|
ノ;;;;;;i;;;ゝ
し`J
何か異常があれば、彼の手で敵が到達する前にこっちに知らせが届く寸法だ。
さて。 あとは、俺の移住案が飲まれるかどうかだけが問題だ――
- 186 36/35+1 ◆LiWish2aKA [] 2009/10/18(日) 22:58:19 ID:IV55pR5b0
-
・
・
・
――数時間後、村落にて。
\人_人_人_人人_人_人_人人_人_人_人_人_人_人_人_人/
> <
> ギコ=ハニヤから集落の全員に提案がある!! <
> <
/Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y\
∧∧ ∧__∧ ∧_∧
(`(゚Д゚#) く_` ) (´∀` )
ヽ'::[::::) | ∞ ) ( )
ノ;;;;i;;;;ゝ | | | | | |
し `J (_,(_) (_(__)
ざわ・・・ ざわ・・・ ざわ・・・ ざわ・・・
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∧∧ ∧_∧ ∧∧ ∧_∧∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧∧_∧
( )( )( )( ( ) ( )( ) ( ( )
( .)( .) | | ( | ( ) ( ) ( ( )
..| | | | | | |..| | .| | .| | | | | | | | | | | |
..し`J (__)_)し`J(__)_(__)_) (_(__)(__)_) (__)__(__)_)
――――つづく