■業界紙から 「ニンジン半値は何故?」 平成15年10月21日付日刊食料新聞青果版より抜粋

 ニンジンの価格低迷が続いている。東京都中央卸売市場・築地市場における8月、9月の入荷量はそれぞれ前年比115%、106%と若干多いせいもあると思われるが、単価はkg86円(同54%)、68円(同46%)と半値状態で、現在も安値圏で推移している。

 この時期の主力産地は北海道。ホクレン調べによると、昨年の高単価で北海道全体の栽培面積は約1割増加し、また冷夏の影響はほとんどみられず生育に適した気候だったため、正品率が約8割と高い、まさに大豊作(例年では7割程度)。価格の暴落を防ごうと8月盆明けから秀品L、Mサイズ以外の出荷を停止するなど調整したが、歯止めが利かず現在に至っている。

 しかしグラフから見てわかるように、出荷調整の効果から市場入荷は昨年と比較してもそれほど増えていない。にもかかわらず半値という事態はなぜなのか。

 卸業者、仲卸業者からは、冷夏により流通段階での品質劣化による数量減がほとんどなかったこと、加えて業務筋の動きの鈍化を挙げる声が多かった。業務・加工筋は安価で数量の安定した輸入物を使うことが常になってきている。「ここ2、3年で業務筋からの注文がぱったりなくなった」という仲卸業者もいるほどだ。

 特に今年春先の市況高騰により業務筋は中国産の買付けを増やしたようで、1月〜8月のニンジン・カブの中国からの輸入量(財務省・輸入通関)は前年の2.8倍となっている。業務・加工筋が輸入物で埋まるーそれが量販への販売に影響してくる、という具合で夏から相場が下がり始めたのではないか。

 輸入業者によると、現在は国産の価格低迷により取扱量は激減しており、特に8月の急落直後からは業務筋からの中国産の引き合いは皆無という。そして「輸入に替わり北海道産の太物が業務筋に低価格で販売されている」と語る。その結果「市場入荷は例年と大差がなくても全体的な市況低迷に陥っている」と分析している。

 「転送も全く動かなかった」(卸業者)ことから考えて、行き場のない状況に陥った。市況低迷は純粋に大豊作にある、といえそうだ。一方、量販店のバラ売りの定着化が取扱量を減少させ荷動きを鈍らせている、という声もある。

 しかし8月の家計調査(全国)によるとニンジンの購入数量は前年比113%と増加しており、消費の動きはまずまずという結果が現れている。青果物のバラ売りは、欲しい量だけ買える、包装資材などのゴミが出ない、などの理由で消費者から支持を得て、土物類、果実などで定着の兆しを見せている。大手量販店は「バラ売り導入前後で売上は変化しておらず、むしろ3本パックしていた頃は『多すぎる』と買い控えが見られた」と話す。

 ただ、大手量販店などは産地と契約し直接買い付ける形態が増加しており、バイヤーと産地との情報交換が蜜になってきているのは確か。今年の豊作情報を早い時期から耳にし、長期の価格形成がなされたとも考えられるだろう。



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