▲坂道
夜七時。歩くのを止める僕の足。路地裏にある石畳の坂道に僕はいる。
中学と高校の時にも来た坂。今、またここに立っている。ここからの街の景色は最高で、川を挟んで手前に古い屋敷の暖かい明かり、向こうは新しい建物の新しい明かりが見ていて気持ちがいいんだ。僕はこの街のようにまだ未完成なんだ。そんなことを何度感じたことだろうか。
僕の目の前の下り坂を外灯が薄暗いオレンジ色に飾っている。
瓦屋根が暗くて古い家の窓から漏れる明りが目立って綺麗だ。
川辺では6人家族が着物を着て花火をしている。
それを見ながらタバコを吸ったりとはできないので、アクエリアスをぐびぐび。
もっとデカくなってここに帰ってこよう。
ここの景色も変わって見えるかもしれない。
今は岐路に立っている僕達だけど、まだまだ道の先は長い。