ともだち
「困った…」
湖の側の木の上、そろそろ紅くなりはじめたたくさんの葉が周囲を囲い、ちょっとした隠れ家のようになっている。その場所で、分厚い手紙を読み終えると
、リーマスは溜息をついた。淡茶の髪が風に巻き上げられてうっとうしいのだが、今、下に降りるのは得策ではない。数分前にも黒い髪の少年が通りすぎていった。上から見ると判らないが、並ぶとその背の高さに驚く。自分と同じ一年生とは思えない。
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ホグワーツに入学して一カ月ほど過ぎた。
リーマスは、名門として名高い全寮制のこの学校に入学出来るとは思っていなかった。自分に入学が認められるほどの、そんな魔法力があるなど信じられなかったからだ。
他の同じ一年生たちの話を聞いていると、幼い頃から不安定ながらも魔法が使えたとか、マグル生まれの子も、なんだか不思議なことが周りで起こっていて、あれは実は自分が起こしていたらしいとか、いろいろだ。しかし、リーマス自身はそんな不思議な現象は起きたことがない。しいて挙げれば一つ。
人狼に噛まれ、死ななかったことだ。
五歳の頃、それは突如襲い自分の腹部を噛みさいた。その強靭な顎と牙は今でもはっきり思い出せる。牙が食い込み引っ掛かった自分の小さな身体を大きく放り投げたことも。
身体中の血が流れ出るのを感じて、死んでしまうと思ったのに一命を取り留めた。取り留めてしまった。
満月を見たのはそれが最後だ。
人狼はひと月に一度、満月の夜に狼に変じる。ヒトである意識、記憶は狼になっている間は完全に失われていた。
以来、満月の夜は魔法で封じられた強固な壁のある一室で、ヒトを食いちぎるかわりに自分の身体に牙と刃を向ける化け物として過している。
手紙をもう一度見返した。最近知り合いになった同期生、先程リーマスがいる木の枝の下を通りすぎていった少年の事が記されている。
シリウス・ブラック、魔法界で最も古く由緒ある名家ブラック家の長男、貴族であった時代もある。その血は千年近い時間を伝う。
「貴族…そうだなぁ、雰囲気違うもんねぇ、喋ったらそうでもないけど」
有体にいえばガラが悪い。
「……それにしても母さん、なんで魔法界のゴシップみたいな情報に詳しいんだろう…? マグルなのに」
そのガラの悪い少年がまた戻ってきた。湖の傍だからか、晴天のためか、灰色の瞳が青みを帯びて煌めいている。
「うーん、僕を探してるのかなあ。それともジェームズって子かなあ」
ジェームズ・ポッターという名の少年は同じく一年生で、シリウスと仲が良い。同じ黒髪だが、シリウスの真っ直ぐな髪と違い、いろいろな方向に飛び跳ねて、何度櫛を入れても直らないと言っていた。眼鏡をかけた目は榛色、少し灰色かかった濃い茶で、そんなことからもリーマスは二人のことを兄弟のようだと思った。
その二人が、どういうわけかリーマスに興味を持った。切っ掛けは先日の朝食だったと思う。
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起き抜けでぼんやりしつつ、もそもそと食べていると、いつの間にか向いに座っていたシリウス・ブラックが食い入るように見つめていたのだ。その時まで、彼の顔も名前も知らなかったリーマスは、上級生だと思った。
「お前さあ、ちゃんと食えよ」
「え?」
「いつもトロトロしてっから全部食いきれたことねえだろ?」
「え? えーと…はい……」
どうしてそんなことを知っているのだろう。幼い頃から決まった時間に食べる習慣が無かったリーマスは、時間がきちんと決められている集団生活がそれだけで辛く、食事も周囲のペースに合わせて食べられない。自然と食事量が減ってきているが、それでも皆が授業に向かい初めても半分も食べていないことが多い。
そろそろ授業に向かわなくてはいけない時間だ。今日も諦めて席を立とうするのを、シリウスが止めた。
「まだ食ってない」
「だけど……もう授業が始まるし……」
「じゃあ持ってけ」
まるで自分の物のようにパンをナプキンに包み始めた。傍に合ったオレンジジュースが入っているポットも引っつかむ。
パンとポットをリーマスに押し付け、いきなり椅子に立ち上がると、テーブルをまたぐようにジャンプした。助走もなしでらくらくとリーマスの傍に
着地した。
「おし、行くぞ」
「うわ」
荷物を持たせたリーマスのローブを掴み、引きずるように大広間を出た。
ポットの中身が零れないように気をつけるのが精いっぱいで、どこに向かうか言いそびれていた。自分に授業があるように、彼にも授業があるはずだ。自分のために遅刻をさせては申し訳ない。
「あ、あの、僕自分で行けるから。薬学で地下牢教室だし」
「…………知ってる」
妙な間があって、そしてそっけなく答えた。
「だ、だけど、そっちの授業は…」
慌ててリーマスが言うのを遮るようにぴたりと歩みを止めた。振り向くと、困ったようなむくれたような、判断がつきにくい表情をしている。リーマスはシリウスを見上げて、なんだか幼いなあと思った。
「聞きたくなかったけど、お前っ」
「え、な、何……?」
「お前、ひょっとして、俺が同じ寮の同じ一年だってこと、知らないんじゃないか??」
「ええっっっ?! い、一年?」
腰に手をやり、覗き込むようにリーマスを睨んでいる。
「え、えと……そ、そうなんだ…知らなかった……」
「そうだろうなあ。お前、トロそうなわりに、いつも余裕ないみたいだし」
余裕がない、そう言われて背中に冷や汗が流れた。余裕がないのは人狼だということを知られてはいけないからだ。この一カ月、どうやれば他の人に知られずに済むか、そればかりを考えていた。
学校で初めて迎える満月の日は、夕方から、変身する場所として指定されていた、村外れにある無人になって久しい古い屋敷に潜み、朝、自分で傷つけた身体を引きずるように学校に戻った。
明け方だったので同じ部屋の生徒には気付かれていない。この調子でうまくやっていけば七年間、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせた。うまくやらなければここにはいられない。人狼だと知られれば、また追われる。
人狼となって六年間、母とふたりで各地を放浪しながら暮らしていた。人狼を恐れるあまり、パニック状態に陥った人々から追われることなど何度もあった。つい昨日まで親切だったひとが増悪に満ちた目で自分を追ってくる。それは一生続くものだと諦めていたが、それでも知られないで済むものなら、何が何でもそうするつもりだった。
「もひとつ驚愕の事実を教えてやろう。俺は、お前と同じ部屋だっ!」
「…………え……?」
「………やっぱり知らなかったみたいだな……」
がっくりとうなだれたシリウスをぼう然として見つめていた。この上級生と間違えてしまうほど背の高い少年は、改めて見ると目鼻立ちがとても端正な顔で、着崩した制服よりもっときっちりとした服装の方が似合いそうだった。こんなに容姿の目立つ少年が同じ部屋だっとは、今の今まで知らなかった。
「……ご、ごめんね……僕……」
ルームメイトの顔を覚えていなかった事実に、リーマスは改めて自分が極度の緊張のなかにいたことを思い知った。やっぱり七年間なんて無理だ。
せめて個室ならうまくやれるかもしれないけれど、数人ずつの共同寝室ではどんなに努力しても絶対に不可能に思えた。いや、もう知られてしまったかもしれない。
人狼であることを知られてはいけない、そのことだけに精いっぱいで、授業もまともに聞けてはいない。そのうちついていけなくなるのは分りきっている。
「ご、ごめんね……ほんとに……」
目が熱くなる。しまったと思ったときには涙が溢れていた。止めようとしたが止まらない。
「な、なんで泣くんだよっ?!」
慌てふためいた場所が運悪く教室のドアのそばだった。他のクラスメイトが二人を訝りながら教室に入っていく。
「うわ泣かしてやんの」
「うるさいっジェームズ、先行っとけ」
ひょっこりと現れた友人に噛みつくように返すが、相手まったく気にしていない。
「どう見たってお前、いじめてるとしか」
「てめ〜、こいつ連れてこいと言ったのはジェームズ、お前だろがっ」
『連れて』?やっぱり知られている―――?
『早く……逃げなきゃ!』
そう思ったときにはもう駆け出していた。後から声があがったが、怖くて止まれない、振り向けない。
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階段を駆け上がり、玄関ホールをつっきり、外へ飛び出した。校門からホグズミートに向かおうとしたが即座に思い直した。人が多すぎる。立ち入りが禁じられている森へ走った。
森というより樹海だった。進むにつれ辺りは暗く、湿り気を帯びてくる。戻ることなど考えていない。とにかく学校から、彼らから離れることしか頭になかった。
手にしていた筈のパンとポットはいつのまにか無くなっていた。それに気づくと、急に息が切れて足がもつれた。
「わっ」
勢い付いて叢のなかへ頭から飛び込んでしまった。棘のある植物があったのか、顔や手に痛みが走った。しかし構わず立上がり、なおも奥へ入り込もうとした。
「……人の声…追ってきた…?」
木の陰に隠れ辺りの様子を見た。薄暗い緑の闇のなかに二人、シリウスとジェームズと呼ばれていた少年の姿を見つけた。
「お、追ってきた……どうしよう」
逃げなくてはいけない気持ちとそれ以上の恐怖が身体中を駆け巡って、その場から動けなくなってしまった。
「……足速いな〜、あんな細っこい身体で」
「わけわかんねえ、なんで逃げるんだ?」
「お前、なんか気に障ること言ったんじゃないの?」
「……『ちゃんと食え』『トロトロしてる』『持ってけ』『俺はお前と同室だ』この中で何が気に障ったってんだ?!」
「オレに癇癪起こすなよ。やっぱ『トロトロしてる』かね。ところで『持ってけ』とは?」
「パン。あいつまた残そうとしやがったから」
「……かいがいしい」
「なんだとっ」
だんだんと声が近くなる。聞こえてくる会話がはっきりと聞き取れた。リーマスは自分の身体が石のようになっているのを感じていた。
『……バレてない……?』
くしゃくしゃとした黒髪が見えた。ジェームズという少年のようだ。眼鏡を掛けた目は人懐っこそうだ。隣には背の高い少年がむくれて立っている。
「リーマス・ルーピン、さいしょはろくに喋らない陰気なやつだと思ってたけど、なんか面白いやつだよな」
「面白いってどこが」
「意外なとこ。ぼーっとしてるのかと思えばいつのまにか姿が見えない、夜中にもしょっちゅう抜け出してる。今みたいにいきなり禁じられた森に突っ込んでいったり…足にはオレたちも自信があったけど見失った」
「……あいつ、なんかに脅えてる」
「お前みたいに身体も態度もでっかい奴に捕まれたら、そりゃあ脅えもするだろうよ」
「お前、ケンカ売ってんのかよっ……いた」
細い木の枝のようなものが折れる小さな音がした方向へ目をやった。
リーマスは二人の前に出た。俯いていたので二人が安堵したような顔になったことは知らない。
「……僕……ごめんね……急に飛び出したりして……」
「まったくだ。あの薬学のババア、お前を連れ戻せないときは減点だとぬかしやがって」
「オレはサボれたから別にいいけどさ。自己紹介だ。オレはジェームズ・ポッター、こいつと同じく、君と同室さ。知らなかったろ?」
「う、うん……ごめんね…僕…」
「謝ってばっかだな〜。そんでこっちがシリウス・ブラック」
「シリウスでいい、苗字は呼ぶなよ」
「え…うん……」
すごい名前だ。だけど名前と容姿がこれほど合っている人も珍しいと思った。
「……お前こそ、知らないとわけわかんないぞ、それ」
「うるさい」
さっさとリーマスに近づくと、シリウスは彼の頭やローブに絡んでいた木の葉や蔓を払った。その瞬間、リーマスの身体が硬直したように震えたのを気づかないふりをする。
「じゃ、行くか?」
「そうだな。ところでどうやって戻る?」
ジェームズの、あっけらかんとしている割に内容が穏やかではない発言にシリウスは絶句した。
「……どうやってって…そりゃあ来た道を戻るんだろ」
少しの沈黙のあと、常識的な返事をしてみたが、森ではなく樹海とはっきり呼称を決めた方がいいような場所だ。道などというものは始めからない。
真っ直ぐに走っていたつもりでも、目印のない深い森では方向の感覚が容易に狂う。遭難したかもしれない。
「…うーん、いつかはこの森を探検してやろうと思ってたんだ。ちょうどいいや」
半ば投げやりなジェームズは、くしゃくしゃの髪をさらにかき回して、周囲を眺めた。
「あの……学校はあっちだよ」
「へ?」
リーマスは、一見、緑の闇の中を指し示した。森に駆け込んだとき、方角を確認していたのだ。どの方向にいけばホグズミードでもない場所へ抜けられるのか見当をつけていた。入学前までの放浪生活で培ってきた勘だった。
「……君は、けっこうシラフでこの森に駆け込んだんだなあ」
ジェームズが感心したように呟き、シリウスは切れ長の目を丸くさせてリーマスを見つめていた。
「じゃあ行こう。運が良ければ薬学の時間が終わってる」
どうやらあまり魔法薬学の授業が好きではないらしいジェームズが、喜々として歩き始めた。
「ほら、お前が来ないと俺たちも遭難するんだからな」
リーマスの手を掴んだシリウスも、その後を行く。リーマスはまた引っ張られていった。
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無事、禁じられた森から抜け出せたものの、待っていたのは五〇点減点だった。本当は百点減点だったのを、薬学の老教師が地下牢掃除をするならばと、激怒したグリフィンドール寮監のマクゴナガルに申し出た結果だった。
「…ごめんね…僕のせいで……」
「もうリーマスの『ごめんね』はいいって。けっこう楽しかったし」
ジェームズが得体の知れないものがつまっている瓶詰めを磨きながら笑っている。シリウスは大鍋にモップを突っ込んで乱暴に洗っていた。
「シリウス、これ使えるぞ」
持っていた瓶詰めの蓋をジェームズが開けた。途端にものすごい臭気が辺りに拡散した。
「お、お前っ、なにしてんだよっ?!」
シリウスが鼻をローブの袖で抑えながらジェームズにつかみ掛かった。ジェームズはひとりいつの間に用意していたのかタオルを口と鼻を覆うよう頭の後で縛りつけていた。
リーマスはつきさすような臭気で机の下にかがみ込んでしまった。狼としての感覚なのか、嗅覚が人より幾分鋭くなっているのかもしれない。
「リーマスっ、大丈夫か? ジェームズ、それ閉めろっ、リーマスがヤバいっ」
「わ、ごめんごめん」
頭がくらくらとしているが、しばらくすると慣れてきた。
「だいじょぶ……それ、なに?」
「さあ。だけど糞爆弾に仕込むと面白いことになりそうだ」
「……なるほど、これは破壊力アップだな」
「だろ?! よし、ちょっと失敬しよう」
「ええ?! い、いいの?」
「よくない」
にこにこと応じるジェームズに、リーマスは呆気に取られた。彼の意図を理解したシリウスが他にも無いかと棚を物色し始めている。
「お前、授業とか分るか?」
良からぬ企みのため棚を漁っているが、至極普通に心配そうにシリウスが聞いた。
「…………」
実は半分も理解出来ていない。そのことをどう言えばいいのか迷っていると、シリウスが小さな空き瓶に戦利品を小分けにしたものをリーマスのポケットに入れ始めた。自分のポケットにはもう入りきれないらしい。
「分らないところはジェームズに聞け、あいつ、バカみたいに見えるけど頭いいんだ」
「こいつなんか授業中に居眠りしててもその時間のことを覚えてる、ある意味むかつくやつだから大丈夫だぜ」
貶しあっているのか褒めあっているのか分らないやりとりだった。思わずリーマスはふきだした。
「課題でもやりながら、これの使い道考えようぜ。ほかになんか聞きたいことあるか?」
掃除道具を用具入れに放り込んでジェームズがリーマスに振り向いた。リーマスはそれならと遠慮がちに口を開いた。
「あの…糞爆弾ってなに?」
「…………」
「…知らない?面白グッズとしちゃ定番だけどな〜。爆発させると物を壊すかわりにめっちゃ臭いんだ」
「ぼ、僕…魔法界のこと、よく知らないんだ……母さんがマグルで、マグルの世界で暮らしていたから……」
「マグル?! なあ、マグルって月に行ったってほんとかっっ?!」
シリウスがジェームズを押しのけてリーマスの前に出た。ジェームズがぶつぶつと何事かをごちっている。
「え? あ、ああ、アメリカのロケット打ち上げのこと? うん、行ったみたいだね。テレビとか新聞とかでちょっと見た」
「へ〜すげえ」
目を輝かせているシリウスを見上げて、ようやく彼が自分と同じ歳なんだと思えるようになってきた。
そんなことがあって二人は、とくにシリウスはリーマスを何かと構うようになった。後から知ったのだが、シリウスのベッドはリーマスの隣で、時折夜中に抜け出すのを最初に気づいたのが彼だったのだ。
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『………困った…だけどなんかへんな感じだ……嫌じゃない……』
同世代の子どもと遊んだ経験は人狼に噛まれる前のことで、それ以来、自分から近づくことはいっさいなかった。仲良くしたいと思ったこともない。
木の枝に揺られてぼんやりと湖を眺めた。巨大イカが時折水面に現れている。……なぜ淡水湖にイカなんだろう?
「リーマスっ!」
「わっ」
突然すぐ傍で名を呼ばれた。驚いてバランスを崩し、慌てて幹にしがみついた。すぐ下の枝に足をかけて登ってくるシリウスがいた。
「お前、こんなとこにいたのか?」
「うん。どうしたの?」
「今度、城の抜け道を調べて地図を作るんだ。お前も協力しろ」
「抜け道…どうするの?」
「そりゃあ、知ってたらいろいろと便利じゃん」
「悪戯仕掛けるのに?」
「おう」
リーマスの隣に腰掛けて、にやりと笑った。とても嬉しそうだ。リーマスもつられて笑った。
手紙の最後に書かれていたことを思い出した。不思議な気持ちになる。
――友達ができたようですね。おめでとう。大切にしなさい――
大切に、と言われてもそれは自分が人狼だと知られるまでの話だ。知られてしまったら終わる。だから『大切に』とはどうすれば良いのかリーマスには分らない。
『友達……なのかな、このひとは…よく分らないや』
こうやって笑いあうのは初めてのことのような気がする。
「手紙読んでたのか?」
「うん。母さんから。今度、月面の写真を送ってくれるって。雑誌の切抜きだけど」
「やった! 楽しみだ、ジェームズが月なんて何にもないとこだって言ってたんだ」
その何にもない月に狂わされる自分の身体を思うとやり切れないが、月という天体そのものにはリーマスも興味があった。
「じゃ、行くか。そろそろ夕食だ」
「うん」
二人は木を降りた。
――友達ができたようですね。おめでとう。大切にしなさい――
母のよく分らない言葉が繰り返される。意味が分る日が来るのだろうか。
それでも誰かと一緒に笑うということは、嫌な気持ちじゃない。それがリーマスにはちょっとした発見だった。
卒業までの七年間、知られずにがんばってみようと思った。
とりあえず、六巻が出るまでに書いとけ的オリジナル設定満載話。
いろいろなサイトさまにて書かれているなれそめ(ちょっとちがう)話
ですが、わたしが書くとこんなことに。
人狼だとバレたとき、とんでもない修羅場になるしかないような(^^;)
たぶんわたしが書く話のなかで一番の鬼はリーマスのおかあさん。
2004.10.31
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