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LAST 2007-03-01 14:51
短編作品を募集してます。遠慮なくどしどし投稿下さい
禁断恋愛 (第一テーマ小説)
わたしは籠の鳥みたいなもの。
見えないかごに阻まれて、外の世界と自由に夢を見る。
だから逃げ出したんだ。
自由を掴みたくて、わたしを殺したくなくて。
そして、最初で最後の恋をした―――...。

                             禁断恋愛 〜籠の鳥の夢見た自由

(神様、あなたに願うのはお門違いですけど、どうかお願いします…)

清潔感漂う白い色に包まれた室内。艶のある茶色の、間隔ごとに置かれた長いす。
石膏でつくられた人型。様々な色のステンドグラスで彩られた窓。神聖な雰囲気のこの場所は、カトリック系の学校内に設立された小さいながらも立派な教会。
十字架に向かって一直線に引かれた道に、この学校の制服に身を包んだ女子生徒が跪き、胸の前で両の手を組み、一心になにかを祈っていた。

「誰かいるのか…?」

きぃぃと細かな細工が施された扉を開く音が、祈っている少女の耳に届く。
きゅきゅっとシューズの床に擦れる音がして、この場に似つかない少年が入ってきた。

「誰…って、なんだ。フェリスか」
「…ラズノ?」

少女――フェリス・ソプシー ――は、名前を呼ばれた気がして振り返った。
そこには、よくこの場所で会う少年――ラズノ・ホルクリン――がいた。
彼もまた、この学校の制服を着ている。が、少々服装に乱れがある。
見た目は優秀なフェリスと並ぶとそれは一目瞭然で、少々どころではないだろうともいえてしまう。

「なんか、一生懸命に祈ってたな」

よいしょと、横長のイスに腰掛けるラズノ。彼は見た目にはかなりの問題があるが、中身は正反対でとても純粋だ。
人は見かけによらない、というのは彼のためにある言葉だろうか…?

「ちょっとね、願い事があったから。あたしが神様に頼むのは、お門違いかもしれないけどね」
「お門違い…?そんなこと無いだろ。フェリスの家、カトリックじゃないのか?」
「いろいろとね、複雑なのよ」

向かいがわのイスに、フェリスも腰掛けた。苦笑いを浮かべつつ、ラズノの問いに答える。
なぜだか続きを問うことができず、二人の間にしんみりとした空気が流れる。
それを打ち消したのは、以外にも原因を作ったフェリスのほう。

「ラズノはさ、忘れるのと、忘れられる、どっちが辛い?」

打ち消したというにはあまりに覇気のない声で、呟くようにぽつりと吐いた。
伏せ気味で前髪がかかり、フェリスの表\情は窺えない。
ラズノは少しだけ考えて、「そうだな」と声高に切り出した。

「俺は、忘れるのほうが辛いかな。忘れられるってのは、人間いつかは忘れることもあるだろうけどさ。だったら、なおのこと自分が覚えてなくちゃ、寂しいしな」

きりっとした顔で、ラズノは真正面を見ながら言った。まるで、フェリスに対して言うように。

「でも、なんでだよ?どっかに転校でもするのか」
「さて、どうでしょうね。なぁに、ラズノ、あたしがいなくなると寂しいの?」

さっきまでとは打って変わって、不敵な笑みを浮かべている。
例えるならば悪魔のような、いじめっ子モードだろうか。

「寂しい、かもな。ここで雑談するだけだけど、この時間、すごい楽しいし。なくなられると、いやかもしれねぇ」

「…俺、フェリスのこと好きかも」


さらりとなんの前触れもなく、ラズノはさくっと言い切った。
そういうふうに振ったとはいえ、まさかこんな答えが返ってくるなど予想していなかったフェリスは、水銀の体温計のように顔をかぁぁと赤くしていった。

「で、お返事いただけませんか?」

にんまりと笑うラズノを見て、フェリスの中でのラズノの人柄が変更されていた。
『純粋』から、『策士・キツネ』と。書き換えられた。

                           ―†―†―†―

「……っっ」

どくりと心臓の高鳴りを、フェリスは感じた。ぴたりと歩みを止めて、あたりを見渡す。
誰もいない。それを確認すると、すぅと軽く深呼吸して、常人にはわからぬ言葉を呟いた。

【………】

「…フェリスさま」
「姿を現せ。きちんとした、人型でだ」

くすんだ闇から、黒衣を纏った青年らしき人物がふっと現れた。
目元は黒の仮面で隠し、顔に表\情はなく、見事なポーカーフェイスだというべきだろうか。

「お戻りください。お父上様が…」
「知らん、あんな親父。わたしを道具にしか思っていないようなやつ」

ぎんと睨みつけて、フェリスはそこを後にした。
残ったのは黒衣の青年だけで、あとを追おうとはしなかった。

「……そういうことですか」



「お、フェリスー」
「…ラズノ?!どうしたの、そんなに怪我して」

いつもの教会でラズノを待っていたフェリスは、現れた人物がぼろぼろなのを見て我が目を疑った。
ゾクリという寒気が、背筋をつぅっと撫でた。
教会の隅に闇に、青年の姿が映った。それを見て、すぐに絡んだ糸がぴんと張った。
ラズノを適当にあしらうと、フェリスは人気の無い所に駆けていった。一分一秒さえも惜しむほど、必死に。


「どういうつもり、無関係な常人に手を出すなんて!!」
「ご命令ですから。フェリスさまを連れ戻すためらなば、人間の命など惜しむなとの」
「くそ親父がっ」

だんっとそばに植えてあった太めの木を、拳で殴りつけた。
フェリスの手に怪我はなく、むしろ木のほうがかわいそうなほど、くっきりと拳の跡がついてしまっている。

「フェリスさま、あの人間が大切ですか」
「…大切に決まっている。わたしは、どうでもいい者などそばには置かない」

青年のポーカーフェイスが崩れた。にやりと、口元をゆがめたのだ。
まるで、その言葉を待っていたかのように。一つの取引を持ちかけてきた。

                          ―†―†―†―

灯りのついていない夜の教会は、月の光だけが差し込んでいた。
真ん中の一直線の道に、同じ直線の光。
掲げられた十字架を見つめ、じっと祈っている。

「引き込むか、諦めるか…」

呟いて、くしゃりと顔をゆがめた。
できるわけがないと、心の中で叫び、泣いていた。

「フェリス…、?」

控えめに開かれた扉から、なにも知らない被害者のラズノが顔を出した。
光が当たり、まぶしそうに目を細めながら、フェリスのもとへと足を進める。
一方フェリスは、月光が逆光となり、顔は照らされずにいる。むしろ、暗くて見えない。

「どうかしたのか、こんな遅くに」

「…ラズノ、前に言ってたよね。忘れる方が辛い。自分が覚えてなくちゃって…」
「言った。けど、それがどうかしたのか」

はっきりとその事実を肯定し、疑問をぶつける。

「なら、あたしのこと、覚えていてくれる…?」

声が震える。それを自身も感じていた。
泣きそうだ。こみ上げてくるものをせきとめようとして、喉の奥が熱く痛んだ。

「覚えてって、一体どういう。―――フェリスっ?」
「さよなら、ラズノ。あなたのこと、大好きだった。誰よりも、好きだった」

耳元で囁きかけるように伝えて、風の如く姿が消えた。
ラズノは身体から力が抜けていき、その場に倒れてしまった。
―――彼の記憶の中に、フェリス・ソ\プシーという名の少女は、存在しなかった。
残ったのは、意味のわからぬ胸の痛みだけ…。


そして私は、外という名の自由を夢見る。
鳥篭の中で孤独の恐怖に怯えて。
―――彼が幸せであればいいと、ひっそりと祈り願いながら……。


       ―†―†―
時間間に合わず、でも投稿しておきます
またも意味のわからぬものが出来上がりました
もう笑うしかできませんね(ははは)
作中で入れようと思っていたのですが、入れ忘れていたので…(たぶん)
フェリスは、ヴァンパイアという設定になってます(しかもお嬢様)
父親の道具にされるのがいやで、常人の住む世界へと逃げた彼女は、そこでラズノと出会って…
一応悲恋にしたので、そう見えたらいいなと思います
最後の最後で駄文…
申し訳ないです(ぺこ)
by 村上 壱 2006.06.10 16:53

RE:禁断恋愛 (第一テーマ小説)
ども、西(短縮形)です。

読みました!

吸血鬼ものは好きなので、その時点でマイハートをがっちりキャッチですw
吸血鬼と人間の恋は、小説にしろ漫画にしろ映画にしろ悲恋に終わることが多いので、フェリスとラズノには幸せになってもらいたいです(^^)

さてさて、肝心の内容に関してですが、「忘れるのと忘れられるのはどっちが辛いか?」という複線から、それを使ったラストまで巧くまとまっていると思います。

瓜さんが外伝(?)を書くみたいなことをおっしゃってたので、村上さんも是非つづきをお願いします。
by 西向く侍 2006.06.10 16:53 [5]
RE:禁断恋愛 (第一テーマ小説)
先に言います。
この作品消さないでー。

はい。
どうも、瓜です。
ええっとー、村上さん。
すごいです。
ハマリマシタ。
最初の10・11行。
綺麗な始まり方。
そして『(神様、あなたに願うのはお門違いですけど、どうかお願いします…)』のセリフに参りました。
良いです。
好きですよ。
悲しいし。
カギカッコのところもあえてやってる様で良かったです。
なんと言うかラズノの一瞬の息遣いが感じれました。

続編か番外編か書きたいと思った今日この頃です。
拍手です。
by 瓜畑 明 2006.06.05 21:12 [4]
RE:禁断恋愛 (第一テーマ小説)
キム兄です。

興味深いですね。
吸血鬼の主人公の恋愛。
人外のものとしてはあまりに人間に近く、人間臭いものとして、吸血鬼はよく対比の対象となります。
インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイアとかはその辺りの傑作ですが、「禁断恋愛」の主人公の痛みも、重く伝わってきます。

それが一番感じられるのは意外にも冒頭の神に祈る場面ですね。

直さんの疑問にもありました。
「吸血鬼はなぜ十字架が怖いのか」
実は、吸血鬼はキリスト教徒なんですね。

正確に言うと、世界最初のドラキュラを創作したブラム・ストーカーが、吸血鬼のモデルとしたヴラド・ツェペシュ公爵がカトリックの教徒だったんです。
そのため、ドラキュラは神を裏切った自分を恐れるあまり、信仰の対象たる十字架を見ることを恐れてしまうという。

ちなみに信仰のないドラキュラは十字架を恐れません。
以上のことはうろ覚えですから、違っていたらごめんなさい。

神を恐れ、しかし神にすがる。
その心境は簡素ながら真に迫っています。
村上さんの文章は比喩表現が味噌なんですね。
実に流麗な文章を書かれる。
切ない物語にぴったりの文章なので、ここではそれが引き立たれています。

問題点もいくつかあります。
会話分でラズノとフェリスが「転校する」のどうのと話している箇所ですが、同一人物が連続して喋っているのに、カギカッコが分かれているため、分かりにくい部分があります。
もう一つは細かい点ですが、「…」は二つつなげて「……」で使うのが普通です。

それくらいですね。
全体としては楽しく読ませていただきました。
by 木村勇雄 2006.06.03 23:14 [3]
RE:禁断恋愛 (第一テーマ小説)
僕は忘れられる方が辛いです、とどうでも良いことを先に述べておきます。どうも、直です。

切ないですねー。まさしく「幻」だと思います。
きれいな文章で、よかったです。

最後に一つ。吸血鬼って十字架苦手じゃなかったですかね? ……僕もよくはわからないのですが。
では。
by 2006.06.03 01:34 [2]
RE:禁断恋愛 (第一テーマ小説)
 こんばんは。日原武仁です。
 拝読しました。
 心優しいヴァンパイアほど生きるのが辛いんだろうなぁ……、と、こういう話を読むと思ってしまいます。
 ただフェリスが強気なのか弱気なのかいまいち掴みきれない部分があり、なんというか消化不良なイメージです。お話としてはきれいなので少しもったいないかな、と思いました。
by 日原武仁 2006.06.01 21:49 [1]
No. PASS


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