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作品公開掲示板

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LAST 2007-03-01 14:51
短編作品を募集してます。遠慮なくどしどし投稿下さい
ファントム・ペインW〜デッド・エンド・グラウンド〜(第一回三題話)
 様々な要因が重なって偶発的にエリアが生成されることがある。それらは不安定であるために数日で消滅、もしくはシステム管理者に消去される。だが稀に不完全ながらも安定し、消去出来ない――あらゆる干渉を受け付けないエリアが誕生してしまう。それがD.E.G(デッド・エンド・グラウンド)だ。確認されたものは八箇所あり、俺達は二週間前に発生したというD.E.Gに来ていた。
 ルートタウンとエリアを繋ぐゲートオーブからやたらに長い坂道を登りつめ、到着したのが二階建てのショッピングセンターだった。
「ファンタジーな世界に生活感溢れる建物ってのはシュールだな」
「D.E.Gでの建築物は五つ確認されている。いずれも神殿やダンジョンだが……これは何の冗談なのだろうな」
「この世界と現実はどこかで繋がっているんだー、とか考えれば楽しいと思うよ」
 真剣なコーヘイに対し、ユリはどこまでも気楽だった。
「早く入ろうよ。原因探しは運営会社の仕事だよ」
 中が見たくて仕方ないらしいユリに引っ張られ、俺達は探検を開始した。


 自動ドアを潜り、無人のレジを抜けたそこは商品棚が整然と並ぶ、特に代わり映えのないものだった。外見も一般的なら内装も普通。違いと言えば陳列されている品物がアイテムだというくらいか。価格は通常の三分の二前後。ここで買えたら大繁盛間違い無しだ。
 一階を見て回ったがモンスターは一匹も出ず、棚が続くだけで全く持って味気ないので二階へ移ろうとした時だ。階段脇の商品棚の裏側に扉があるのを見つけた。
 扉の事を告げると、俺とユリが見守る中、コーヘイは商品棚に手を伸ばす。と、棚は静かにスライドしたのだ。
「うわー! BBSに無い情報だ〜。レアアイテムが隠れてたりしてぇ〜?」
 誰も見つけていない隠し扉……ユリならずともドキドキものの展開だぜ。
 現れたのは非常口のような鉄扉だ。コーヘイはノブを慎重に回していく。鍵は掛かってないらしく、ゆっくりと扉は開いていき……
「……夕陽?」
 いきなりの光景に呆然となる。眼前で海岸線に沈もうとしている真っ赤な太陽が輝いていたからだ。
 俺は慌てて振り返った。砂浜の向こうは壁のような断崖。やってきた扉はどこにも無く、それがあったと思しき場所にゲートオーブが置かれていた。
「閉じ込められたという訳ではないようだ」
いつの間にか振り向いていたコーヘイは安堵するような息をついた。
「ん? 何か光ってない?」
 ユリの指差す絶壁の隙間から光がもれて――違う。岩壁に突き刺さった何かが光を反射しているのだ。夕陽に照らされた世界の中、それはなお紅い光を放っていた。
俺達は頷き合い、光へと歩を進めた。
 

 それは灼熱の炎を思わせる、妙に尖った形の弓だった。ルビーを溶かして作ったような紅玉の弓が夕陽を浴び、濃く紅い影を落としていた。
「……どこかで見たことあるんだけど……?」
 しげしげと眺めていたユリが難しい声を出し、腕を組んで考え込む。レアハンターと称し、あらゆるアイテムに精通している彼女がすぐに思い出せないものか……すっげぇ興味あるね。
「“逢魔の弓”……」
 コーヘイが緊張と驚愕で顔を染め上げ、硬いものを飲み込むような声を出した。
「それだよそれ! ふわー、実在してたんだぁ……」
 ぽん、と手を打つユリ。
 プレイヤーの職業は六種類あり、世界を救った“六大頂”に由来する。盗賊の元になったのは《罠遣い》、《夕闇鬼光(ダブルマインド)》グラガルクで、彼が愛用した弓が“逢魔の弓”だったはず。設定グラフィックだけでゲームには無いという話だけど……どうやら存在していたようだ。
「こいつはまた最高クラスのレアアイテムが見つかったもんだ。日頃の行いが良いせい……コーヘイ? なんか顔色が悪いぜ」
 呪文使いの顔は酷く青ざめていた。まるで歴史に存在してはいけない遺跡を見つけてしまった考古学者のように。
「……すまない。……あまりに珍し過ぎるものを見たのでな。柄にも無くびっくりしてしまったようだ」
 そう言ってコーヘイは無理矢理笑ってみせた。
「そいつ取りなよ。盗賊しか使えないんだろ?」
 弓の周りを子犬のように行ったり来たりしていたユリは、俺に「分かったー」と答えると弓に手を伸ばした。
 弓はあっさりと岩壁から抜けた。そしてすぐに装備したのだろう。彼女の左腕に弓のグラフィックが固定された。
「ふわー! 全部のステータスが20%もアップしてるー!」
 それからユリは「すごい!」を十回くらい繰り返してはぶんぶんと弓を振り回していた。
「さて。そろそろ帰るか」
「……そ、そうだな」
 俺の言葉にコーヘイはじっとユリを――“逢魔の弓”を見つめながらどこか上の空で答える。……もしかしてコーヘイ、あれが欲しかったのかな……? 無理も無い話だがそれは諦めてもらうしかないからな。
  はしゃぐユリを呼び寄せ、俺達は夕陽の沈む海岸を後にした。
by 日原武仁 2006.07.08 14:33

RE:ファントム・ペインW〜デッド・エンド・グラウンド〜(第一回三題話)
 まさか三題話でも続けるとは……恐れ入ります。すごいです、二千文字でここまで書けるとは。
 しかし、本当に作り込まれていると思います。デッド・エンド・グラウンドなんて、本当にありそうです。
 でも、やっぱり文字数が少なすぎますよね。楽しみにしていたユリとのやり取りがなく、残念です。
 それにしても、やっぱりコーヘイは怪しいですね。何かありそうな予感がします……!

 次は現実なんですかね? 優希先輩が楽しみです。
by 2006.07.08 14:33 [3]
RE:ファントム・ペインW〜デッド・エンド・グラウンド〜(第一回三題話)
 私はこの作品を一つのエピソードとして見ました。
 作品として独立するにはちょっと足りないかな、というのが正直な印象です。

 ただ、三題話という制限の中、上手く物語りに溶け込ませ、かつ、今後に対する伏線もふんだんに含んでいる点で、ファントム・ペイン全体の評価は高くなりました。
 うん、面白いですよ、この作品。

 さりげなく「逢魔が刻」まで忍ばせているとこは感心します。

 今回の話で、作品全体の先行きが読めなくなってきました。
 いったいどれくらい話が膨らんでいくのだろうか。
 終着点が予測できません。

 さらに現実とRPGという二点を持っているので、今後、この二つが絡んでいくのかな。
 病気の性格から、RPGが現実世界に侵食していくような気がします。

 という私の妄想はおいておいて。

 私は楽しく読ませていただきましたよ。
by 木村勇雄 2006.07.02 21:46 [2]
RE:ファントム・ペインW〜デッド・エンド・グラウンド〜(第一回三題話)
ども、西向くです。
読みました!

今回はゲーム内ってことで、コーヘイくんが再登場ですね(^^)
ブログに書いてあったとおり、今回は字数を合わせるためにかなり省いてある印象が強かったです。キャラ同士の掛け合いがやはりもっと欲しいですね。日原さんがおっしゃっていたように「ストーリーを追っただけ」になってしまっていると思います。
なんだかラストも味気ない感じでしたし……

三題話、字数制限……自分は、おそろしくて手を出せないでいるんですけどね(^^;
by 西向く侍 2006.06.19 22:48 [1]
No. PASS


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