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作品公開掲示板

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LAST 2007-03-01 14:51
短編作品を募集してます。遠慮なくどしどし投稿下さい
オレの騎士様 ボクの王様(第四回電撃掌編王応募作)
 ……これは何のアキバ系だ?
 高地栄樹が最初に抱いた素直な感想がこれだった。
 アイスを買いにコンビニへ出かけようと玄関を出た矢先――彼の足元に全身鎧が倒れていた。身体中を隙間無く覆うそれは世界史の教科書、もしくは博物館でしか見られないような見事なまでの鎧っぷりだった。
 思考停止に陥りそうになった頭を心の中で叩きつけ、無理矢理回転させると栄樹はしばし考える。真夏日の今日、このまま放っておいたらどうなるだろう。まず確実に脱水症状を引き起こすのは火を見るよりも明らかだ。かと言って、人道的精神を発揮して助けでもしたら絶対に厄介な事に巻き込まれるぞと、悪い予感だけは抜群に的中する第六感が警鐘を鳴らしているのも事実だった。
 強い陽射しが照りつける中、暑さに負けたかのように心の天秤が見捨てる方へと傾きかけた時だ。何の前触れも予備動作も無く、全身鎧がむくりと上半身を起こすと真っ直ぐに栄樹を見つめてきた。思わずたじろぎ、一歩後退する栄樹に鎧は右手を上げ、
「栄くん、ほら見て。ボク、騎士になったんだよ! 栄くんはもう王様になった?」


 大きくなったら何になりたいかという、他愛のないありふれた話題だった。
 男の子は王様になりたいと話し、忠実な騎士を募集しているんだと語った。
女の子は騎士になりたいと笑い、誠実な王様に奉公したいんだよと微笑む。
 近所の小さな公園の砂場。二人はトンネルを作りながら真剣に話す。
 男の子は少女が仕えるに相応しい王様になることを約束した。
 女の子は少年が恥じない毅然たる騎士になることを約束した。
 幼い故に純粋に、何よりも強く二人は願った。


「で。それはただのコスプレだろ?」
 小学校に上がる前に離れ離れになった幼馴染みから一通りの話を聞き、栄樹は机に片肘を着きながら呆れたように言葉を放った。
「もー、栄くんボクの話ちゃんと聞いてたの? ボクは正真正銘の騎士になったの! はい。これが証拠」
 栄樹の向かいに座る全身鎧少女――今はヘルムを脱いでいるが――は頬を膨らませながら懐から紙を取り出し栄樹の前に置く。
「若槻美亜殿。貴女は騎士検定に合格し、ここに正式な騎士として認定されたことを証します。全世界共通騎士協会……」
 上質紙に印字された文面を声に出して読み、思わずそれをクシャクシャに丸めたくなる衝動を寸でのところで何とか堪えた。なんだ? 全世界共通騎士協会なんていう胡散臭い団体は? これが英国女王陛下の名の元に発行されたナイトの称号ならまだしも、得体の知れない組織に認められて何の意味があるというのだろう?
「ほんと、大変だったんだよー!? 間違いなく一生分勉強したね」
 うれしそうに自慢げに、大げさな身振り手振りで武勇伝を語る美亜。
 これは何の冗談だ? 目の前で瞳をきらきらさせて竜がどうの指輪がどうのとのたまう少女。これが大好きだったみーちゃんと同一人物なのか? 面影もあるし、話し方も共通している所が多い。だが、夢物語を楽しそうに話す彼女と思い出の中の少女とは全く持って重ならない。
「あー、そっかそっか。王様検定には最低でも一名の騎士が必要なんだ。じゃあ、ボクがいるから安心して王様検定を受けられるね」
 騙されているんじゃないだろうか、と彼が真剣に思い始めた時だ。栄樹の様子に構わず話していた美亜が不意に彼の右手を取った。
「……え? 今なんて……?」
 気付いた時には遅かった。いつの間にかに広げられ、見慣れぬ文字で埋まっている紙に栄樹の右手はすでに置かれていた。
「ちょ……!」
 素早く栄樹は右腕を引っ込める。が、どうやら全ては遅かったらしく、
――登録を受付けました。検定を開始します――
 紙は淡く発光し、柔らかな女性の声を部屋に響き渡らせた。
「さあ、今から検定開始だよ!」
 輝く太陽のような笑顔の美亜と対照的に、栄樹の顔には冷たい北風が吹いていた。
「検定……試験……?」
「そうだよ。栄くんは王様になるんだよ! 大丈夫。ボクが付いてるし……それに何より栄くんにはボクの王様になって欲しいんだ……」
 ダメかな? と付け加え、美亜は上目遣いで栄樹を見た。
 その視線から逃げるように栄樹は横を向くと頭を掻く。そして「あー……」と半ばうめくような声を出し、
「ずるいよなぁ……。その顔で頼まれると嫌だと言えないって知ってるクセに……」
 彼の目に、思い出の少女と鎧の少女が重なって映った。あの顔はどうしても聞いてもらいたい真剣なお願いをする時の表情だ。そしていつも栄樹はその願い事を聞き届け、叶えてきたのだ。
「みーちゃんは約束を守った。なら……俺も守らなきゃいけないよな」
 照れ臭そうに言い、栄樹は苦笑した。
「栄くんはやっぱりボクの王様だよ!」
 感極まったのか美亜は机を飛び越え、勢いそのままに栄樹に抱きついた。思っていたよりも全然軽い幼馴染みを受け止めながら栄樹は思う。今年の夏は熱くなりそうだ、と。
by 日原武仁 2006.07.26 22:59

RE:オレの騎士様 ボクの王様(第四回電撃掌編王応募作)
 感想ありがとうございます。

>瓜さん
 いきなりびっくりがこの話の狙いでもありました。楽しんで頂いて何よりです。

>木村さん
 文字数的には難なくクリアーしたんですが、やっぱりこうインパクトというか、設定を消化しきれてないことは日原の思うところでもありました。二人の過去を少なく、あえて言葉遊び的な対比にしたんですが、逆にこここそ文章を割くべきだったのかもしれません。
 長編を視野に入れて書いたことは確かです。というか、どうも日原は「テーマだけの作品を作る」ということが苦手みたいで、なんだかんだでこういう形になってしまうようです。ですから全体の大まかな設定や話しは出来ていたりします(その一部が“ジャンクワールド”で垣間見れます)。ちなみに鎧はファンタジーっぽい魔法的な不思議金属なので軽いとういことでひとつ。
by 日原武仁 2006.07.26 22:59 [3]
RE:オレの騎士様 ボクの王様(第四回電撃掌編王応募作)
 う〜ん。
 ちょっと設定に振り回された感がありますね。

 短い中できちんと書かれているんですが、背景の説明部分が足りない気がします。

 削るんであれば脱水症状云々のところで、過去の話か騎士になった少女と栄樹の関係に文字を割いたほうが良かったのではないかと。
 それと鎧を着た騎士は抱えられません。たぶんww。

 話自体が面白いだけに惜しい気がします。
 唐突で物語りに引き込まれる主人公というタイプで、いくらでも発想が膨らみます。
 たぶんこれは続き物として使うタイプの話なんだと思いますよ。
 掌編で使うにはもったいない。
 そう思いました。
by 木村勇雄 2006.07.02 22:06 [2]
感想ー
なるほどーって感じでした。
面白い。
まだまだ勉強が足りないなーと思う瓜でした。

いきなり騎士が倒れていたのはびっくりでしたけどww
by 瓜畑 明 2006.07.01 16:20 [1]
No. PASS


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