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作品公開掲示板

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COUNT:16768 LAST 2007-03-01 14:51 |
| 短編作品を募集してます。遠慮なくどしどし投稿下さい |
靴箱が異様に高く見える。 手紙をしっかりと掴み相手を待つ。 太陽がゆっくり沈みかけ、校舎にいる生徒の数も少ない。 相手を待つ時間がとても長く感じられる。
カツン・・・ カツン・・・
しばらくして階段を降りる音がした。 ごくりと唾を飲み込み、心を決める。 三年間の間培った思いを今、手紙という私の分身で渡す。
「あ、早川さん」
こっちへ来た彼が気づいた。 とっさに手紙を背中に回す。
勇気を振り絞れ!私!
喝を入れ口を開く。 「さ、さえ、さ」 「どうしたの?」 緊張して噛んでしまう私に彼がやさしく声をかけてくれる。 このさりげない行為にどれだけ悩まされた事だろう。 「ごめん」 そう言って深呼吸する。 じっと待ってくれる彼に申し訳ないがちゃんと言葉にしたい。 落ち着けてもう一度口を開く。
「私ね、引っ越すの」
一瞬、空白が世界を支配した。 葉のこすれる音が鮮明に聞こえた。 風の吹く音が寂しげだった。 「・・・そっか」 「うん・・・」 彼が寂しくなるねと呟く。 今日しかなかった。 もう、いつ会えるか解らない。 「私ね、今日。持ってきたの」 「え?」 彼が顔を上げて聞きかえす。 「だ、だから・・・、持ってきたの」 「何を?」 「て、手紙」 それだけ言って黙る。 しょうもない事だろうけど、その単語一つ言うのにとても力がいった。
「そっか。ありがと」 彼が照れくさそうに笑う。 背中に回した手紙を前に出す。
昨夜一晩考えて書いた私のラブレター。 小学校、最初で最後になるであろうこの手紙を彼に渡す。
「ありがとう」 彼が愛しいモノのように手紙をそっとなでる。 彼は読むねと言うと封筒から便せんを出した。
彼が黙読している間、再び静寂が支配する。 今まで聞こえなかった風の音が聞こえた。 やる事はやった。 悔いはない。 数分して彼が便せんから顔を上げる。 最後まで読んだのだろう。
「ありがとう」 彼がもう一度礼を言った。 「気にしないで、じゃあね」 相手の返事を聞かないように、足早で靴箱から離れる。
「待って」 彼が腕をつかんだ。 吹く風が落ち葉と一緒に髪を舞い上げる。 「なに?」 「僕から言いたい事があるんだ」 彼が真剣な目で言った。 彼の目を見る。
「君にあげたいモノがあるんだ・・・」
「いいよ、気にしないで」 とっさに拒否するが、彼は首を横に振った。 「うれしかった」 「そ、そう」 「もっと早ければ良かったのに・・・」 彼がつらそうに下を向く。 「私も・・・」 そう言って、ぐっと上を向く。 涙がこぼれそうになるのを防ぐ。
「目をつぶって」
彼がいった。 言われた通り、マブタをキュッと閉じる。
「僕も大好きだよ」
彼の唇が私の唇にそっと触れた。 それは僅か2・3秒の事だった。
堪えていた涙がこぼれ落ちる。 泣くまい、泣くまいと必死で思っても、決壊したダムのように涙があふれ続ける。 「泣かないで」 彼が制服の袖で涙を拭ってくれる。 「ありがとう」 ゆっくりとマブタをあける。 「私、行くね」 「・・・」 彼の瞳が揺れていた。
せっかく・・・
せっかく・・・
心が通じ合ったのに・・・
じゃあねと言って、彼に背を向ける。 風がもう泣くなと涙を吹き飛ばしてくれる。 「早川!」 彼が呼んだ。 振り返らず、歩き続ける。
「行ってらっしゃい」
「・・・うん」 彼の最後の言葉に応えて、私は走り出した。
全てを忘れたいと。 全てを忘れたくないと。 矛盾を抱えて。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ええっと、昔あるところで投稿していた作品を、上げてきました。 なんと、書いたのが中2の時。 今から4年前なワケです。 駄文ですが、何故か瓜的に気に入っている作品でした。 でわー |
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by 瓜畑 明 2006.07.26 23:09
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| RE:瞬きの間の永遠 |
拝読しました。こんばんは。日原武仁です。 なぜか、任されてしまいました。 初恋ですか? 初恋ですね? いいですね。こういう詩的で情緒的な文章はさすがです。 難を言うなら、彼女が彼を好きな理由や好きなところが書いてあったならなお良かったかな、と。制服のある小学校ということはかなりハイソなところだなぁ、と思ったのは余談です。 |
| by 日原武仁 2006.07.26 23:09 [2] |
| RE:瞬きの間の永遠 |
ども、西向くです。 読みました!
おぢさん、こういうやつは赤面してしまふので、コメントはパスです(^^; 申\し訳ない。
日原さん、真崎さん、任せた!(なぜか) |
| by 西向く侍 2006.07.22 16:48 [1] |
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