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作品公開掲示板

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LAST 2007-03-01 14:51
短編作品を募集してます。遠慮なくどしどし投稿下さい
ファントム・ペインY〜二人だけのデュエルゲーム〜(第二回三題話)
 振り下ろされる巨大な刃を横へ跳んでかわし、着地と同時に槍をリューナへ突き込んだ。女剣士は半身にして避けると大剣を跳ね上げて槍を弾く。空へ持っていかれそうになる勢いのままに後方へ跳ぶと俺は槍を構え直した。同時にリューナも体勢を整え、己の得物を正眼へと構えた。
 3rdD.E.G.“中空画廊”。額縁に入った巨大な絵がいくつも宙に浮かぶ草原のフィールドだ。
 俺達は今、決闘をしている。もっとも、感覚的には格闘もののゲームと同じノリだがな。
 “ファントム・ペイン”はプレイヤー同士で戦う事が出来ない。だが、決闘コマンドという例外がある。
 アドレスを交換した者が合意の元にこいつを実行すると、自分と相手以外を攻撃出来なくなる上に第三者からの呪文支援等の外的干渉を受けなくなる。完全な一対一の戦闘状態になり、勝利条件は相手の体力を一にすること。過度なダメージを受けても最低一は体力が残るから通常戦闘時の死亡にもならないし課されるペナルティも無い。レベルに応じた経験値も入ってくるので親切なシステムでもある。
 俺はモンスターを倒すのが好きなのであまり行使しないが、挑まれれば応じるくらいの男気はあるので基本的には誰の挑戦でも受けて立つ。
 このリューナとは週一くらいで決闘をしていたのだが……ここ二週間はずっと決闘漬けだ。彼女から決闘メールが届く度に辟易してしまうが、きっちり付き合ってる俺は相当に人が良いんだろうな。
 お互いが対峙したのはほんの数秒だ。
 不意にリューナの姿が消えた。《透過》の呪文だ。俺は咄嗟に耳をすます。こいつの効果は姿のみ。透明人間にだって足音くらいはあるからな。
 ざっ、と右後方で音がする。コンパクトな円を描きながら槍を横へと薙いだ。
 手応えは無い。なら今の足音は――
「舞雷爪撃!」
 声は空から降ってきた。やはりジャンプしていたか!
空中で大きく剣を振り上げる女剣士に槍を向け、俺は叫びを叩きつけた。
「ギルティ・サンダー!」
 リューナが雷撃を、俺が蒼い稲妻を放ったのはほとんど同時だった。


 正座して足が痺れて立てなくなったり、触られると剣山で刺されたような痛みが走るだろう? 今の俺がそれだ。但し部位は全身で程度は五倍くらいだが。
 勝負はドロー。放った攻撃はお互いを貫き、体力は共に一。それに加え特殊効果の麻痺状態。
 針のむしろに包まれる? 熱い風呂をじっと耐えるが正確か? と痺れを紛らわす事を考えていた時間がようやく終った。
 ステータス異常が消えたのを確認するや決闘コマンドを解除。引いていく痺れを感じながらアイテムでステータスを最大値に戻した。
「……引き分けね」
 俺より早く復帰したリューナは草むらにあぐらをかき、どこかバツの悪そうな顔をして呟いた。
「初めて引き分けたな。二〇三戦一〇一勝一〇一敗一分か」
 リューナの横に立つ。と、メールの着信音が響いた。……ユリからだ。
「メール? 例のユリって子から?」
 俺の動きが止まったことで察したのだろう。リューナは片眉を上げるような表情をし、
「カワイイ彼女だわよね。二人でソフトクリームを舐めるくらい仲も良いようだし」
 な!? なんでその事を知ってるんだ……? お前はいつからテレパスのエスパーになったんだ。
 驚愕する俺にタネの知れた手品を見るような顔を向け、
「二週間前に検査を受けたでしょ。病院にママの忘れ物を届けに行ったの。そしたらどう? 中庭に鼻の下を伸ばした誰かさんがいるじゃない」
 みっともないったらありゃしない、と付け加えるとリューナはそっぽを向いた。ママとは須摩子さんの事で俺とリューナは従妹になるのだがまあそれはいい。
 それにしても何だ? 憮然として不機嫌そうな表情はいつものことだが……何をこいつは怒ってるんだ……?
「早く行きなさいよ。女の子を待たせるなんて最低な男のすることなんだから!」
 急き立てるリューナに困惑を覚えつつゲートオーブを発動させる。転送される間際に見た従妹の顔はやっぱり不機嫌そうだったが……俺にはなぜか泣いているような気がしてならなかった。


 月曜はただでさえ憂鬱なのに、昨日のリューナの顔がちらついてその度合いは三割増だ。
 様子が気になったのであの後携帯にメールしてみたが返信はない。もう一回くらい送ろうかと思案していると担任の三岩先生が教室に入ってきた。委員長の号令を手で制し、女性教諭はニンマリした笑顔でクラスを見渡した。
「喜べよ男子ぃー! カワイイ女子の転校生だぞぉ!」
 おぉー!? と生徒の半数がざわついた。転校生? 一週間もしたら夏休みだと言うのに?
「……はぁ!?」
 入ってきた女生徒を見る否や思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。……何だこの展開は……?
 転校生は名前を黒板に書くとくるりと振り向き、
「遠藤流菜です。これからよろしくお願いします」
 従妹の少女は大輪のひまわりのような笑顔で自己紹介した。
by 日原武仁 2006.07.25 00:28


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