■ 犬夜叉〜決別の時〜 ■





「本当にそこに行けば、四魂のかけらが手に入るのだな?」

「そうです。骨食いの井戸に行けば、必ずや・・・」

目の前にいるマントヒヒの成りをした男に、全員が不審に満ちた眼差しを送っていた。

洞窟を整えて作ったアジトにいるのは、盗賊たち。

彼らはもともとは田舎城の兵士たちだったが、戦国の世の中の荒波に押し流された、いわば落ちこぼれだった。

満足な暮らしをするのは厳しく、旅人から金品をせしめてなんとか食いつないでいる様である。

そんな時に、尋ねてきたのがこの謎の男だった。

「四魂のかけら・・・聞いた事はあるぜ。なんでも、強大な力を与えてくれるらしいな」

頭目の男は髭を手で弄びながら、笑った。

「妙な服を来た女が井戸から出てきます。彼女が持っています」

「女・・・ね・・・」

四魂のかけらを持っているのが女と聞いて、頭目の男は面食らった。

正体が妖怪なんてことはないだろうな・・・

男はしばし、考え込んだが決心した。

「よーし、お前の言葉信じよう」

「ふふふふ・・・」

マントヒヒの毛皮の奥で、男は薄く笑った。

「お前の名前はなんていうんだ?」

「奈落と申します」

毛皮を翻して、男・・・奈落は洞窟を立ち去った。











テストが終わったかごめは現代から、戦国時代へと再び戻ってきた。

骨食いの井戸から出ると、すっかり辺りは暗くなっている。

「大分、遅くなっちゃったわ。犬夜叉たち、心配してるかしら」

井戸から降りるとスカートの埃を払いながら、何とはなしに漏らした。

何時の間にか、現代と戦国時代を行き来している日常。

かごめの黒髪を夕暮れの風が優しく撫でる。

「早く行かないと・・・」

駆けだそうとしたかごめの正面を突然、男が数人現れて塞いだ。

「えっ?」

茂みから現れた男たちは、どの顔も醜くて汚かった。

着ている衣服はぼろぼろで、薄汚れた鎧で身を覆っている。

そして、手にはギラリと光る刀があった。

「だ、誰?」

つぶやくような声を漏らして、かごめは後ずさる。

現代に育った中○三年のかごめも、戦国時代という時代の姿を知っていた。

だから、この男たちの風体がどんな立場なのか、瞬時に理解した。

しかも、今は頼れる犬夜叉や仲間もいない上に、かごめの弓矢も村に置いてある。

「この女に違いない。捕まえろ」

頭目らしき髭面が、とりまきに声をかけた。

男たちに剣呑な気配を感じたかごめは、勇気を振り絞って叫んだ。

「そこをどいて!」

わずかの隙間を見つけて、かごめは走った。

が、盗賊たちの動きは俊敏だ。

「犬夜叉ーッ! 助けてぇっ!」

両手を掴まれて、かごめは叫んだ。

男の一人がかごめを後ろから羽交い締めにする。

「それにしても、妙ちくりんな着物じゃ」

「異国の者なのか?」

かごめとの距離を詰めながら、男たちは舌舐め釣りする。

「いやっ! 放して!」

男の手が一斉に伸びて、かごめの制服の中へと入り込んでくる。

「探せ・・・どこかに隠し持ってるはずだ」

「いやあっ! ちょっと、やだ!」

身体に伸びた手は、どれも厚くカサカサで気持ち悪かった。

その一つ一つの手が、四魂のかけらを探すという目的だけでなく、確かな欲望に満ちていた。

「変なところ、触らないで・・・助けてーっ! 犬夜叉ぁぁああっ!」

制服の中でもぞもぞと数人の手が動き、かごめの乳房や腰のくびれを触っていく。

「えっち! 痴漢! 放しなさいよ! 犬夜叉! 犬夜叉ーッ!」

男の腕の中でもがきながら、かごめは必死に犬夜叉の名前を叫ぶ。



いつもみたいに助けに来てくれる。



絶対に救い出してくれるはずだ・・・



「犬夜叉ぁぁぁっ!」

声を張り上げる間、男たちはかごめの制服の中を触姦し続けてるいる。

「こ、これか?」

不意に一人が制服の中から四魂のかけらの入った瓶を取り出すと、手は名残を惜しむように引いた。

「ほう・・・これが四魂のかけらか・・・」

頭目の声を耳元に感じて、かごめは事態に気づいた。

「な、なんで四魂のかけらのことを知ってるの?」

「そんなことはどうでもいい。早く、この女を・・・」

「どうでもいいわけないでしょ! あなたたちが持ったら、どんなことになるか分かってるの?」

四魂のかけらの恐ろしさをかごめはよく知っている。

いや、玉の魔力に、欲望にとりつかれて犠牲になった人間の生き様を散々というほど見てきたのだ。

「頭〜。早いところ、引き上げましょうぜ!」

「そうだな。よーし、女を連れて砦で宴会だ!」

頭目の声に、かごめは息を呑んだ。



でも、犬夜叉ならきっとあたしの居場所が匂いで分かるから助けに来てくれるはず。



「ああ・・・おっと、そういえば奈落という男から預かっていたものがあったな」

思い出したように、頭目は腰の巾着に手を伸ばした。

「奈落ですって?」

金槌で殴られたようなショックに、顔をあげるかごめ。

「奈落が妙なコトを教えてくれてな。なんでも、鼻が利く半妖があんたの仲間なんだってな?」

巾着から取り出したのは匂いの強い植物だった。

「こいつをこの辺にばらまけば、安心だとよ」

かごめは唇を噛んだ。

まさか、奈落が裏で糸を引いていたとは・・・



犬夜叉になんとしてでも、このことを知らせないと・・・



「犬夜叉! 助けて!」

かごめが声を張り上げた瞬間、男の一人が彼女の腹部に拳を叩き込んだ。

「声が仲間に届いたら困るからな・・・叫ぶのは砦についてからだ」

「犬や・・・しゃ・・・たす・・・」

かごめは薄れ行く意識の中で、犬夜叉の顔を思い浮かべながら最後の声を振り絞った。

空は完全に暗くなり、夕日が完全に沈んでいた。











「おい・・・かごめの奴、テストとかいうのは今日終わるんだよなぁ」

楓の家でかごめの帰りを待つ犬夜叉は苛立っていた。

窓に切り出された景色は、黒く塗りつぶしたように暗い。

月がやさしげに輝いているだけだ。

「遅い・・・遅すぎる」

犬夜叉は立ち上がると、囲炉裏の周りを行ったり来たり、せわしない。

「これ、犬夜叉・・・もう少し、静かにできないか」

「そうだよ。かごめちゃんだって、久しぶりの故郷でゆっくりしたいんだろうし」

法師の弥勒の言葉に追随するように、珊瑚も頷いた。

「こんなことしてる間にも、奈落の野郎がどんどんと力をつけていくんだぞ」

「ははーん、さては犬夜叉、奈落が恐いのじゃな?」

子狐妖怪の七宝が冷やかすと、犬夜叉が殴る。

「やれやれ・・・そんなに心配なら、迎えに行ったらどうです?」

殴られて泣き出す七宝を横目に、弥勒が提案すると。

「なんで、俺が行かなきゃいけねーんだよ」

悪態をつく犬夜叉に、弥勒と珊瑚は顔を見合わせてため息をついた。



「んっ・・・」

かごめはむず痒いような感覚を覚えて、寝返りをうった。



なんだろう・・・この感覚・・・



スカートがまくれ上がり、手が何本も下着の感触を触る。

「不思議な服だなぁ。異国の娘なのか?」

「うむぅ・・・しかし、触りごこちのいい履物だ・・・」

服の感触に珍しさを隠せない盗賊たちは、未だに眠り続けるかごめの身体に手を伸ばして弄んだ。

「この荷物も不思議な物ばかりだぞ」

リュックサックの中からいろいろな物を取り出して、盗賊たちは未知の道具に首を傾げた。

一方の頭目は四魂のかけらを取り出してみたものの、どう使うのか分からずため息をついていた。

「この娘に聞くのが一番、早いみたいだな」

頭目は部下に囲まれているかごめに目を向けた。

「おい、起こしてさしあげな」

「へい!」

一人がかごめの身体を揺さぶると、かごめは目を覚ました。



突然、現れた景色は見慣れない戦国時代の景色の数々・・・

かごめはいつもの野宿の景色とは違和感を感じた。

荒々しく削りだされた岩肌に、たいまつのオレンジの明かり・・・

「犬夜叉?」

見回そうとして、男の顔がいくつもかごめの瞳を横切った。

その瞬間、ぼんやりとした記憶のピースが急激に収束した。

「あ、あなたたち!」

「目を覚ましたかい? 女よ!」

「あたしをさらって、どうするつもりよ!」

叫んで、かごめは身体を起こそうとして気づく。

両手を縄で縛られていた。

「ちょっ、ちょっと・・・これ、ほどいて!」

かごめの言葉に盗賊たちはニヤリと笑う。

今まで、このアジトで連れ込んだ女たちの行動パターンは大抵が怯えて震えるだけだった。

だが、目の前の少女は強い意志を感じさせる。

気の強い女の存在は、盗賊にとっては興奮のタネだった。

物怖じせずに、かごめは盗賊たちを睨んだ。



恐いよ・・・犬夜叉・・・でも、助けに来てくれるって信じる。



だから・・・



「あたしに手を出すと、ひどい目に遭うわよ!」

「ふん・・・"いい目"に遭うの間違いだろ?」

男たちの視線はかごめの隅々までを、獣が獲物を狙うよりもはるかに恐ろしい目で見つめた。

「女、四魂のかけらの使い方を教えてもらおうか?」

頭目の声だけが、やけに大きく聞こえた。

「それを使ってはダメよ! あなたじゃ、かけらの邪気に勝てない!」

かごめの言葉に頭目は眉をひそめた。

「お前に何がわかる? 素直にかけらの使い方を教えろ」

「イヤよ!」

「ふん・・・すぐに教える気にさせてやる」

言葉が終わらない内に、意図を理解した盗賊たちが身体を乗り出してきた。

「きゃあっ!」

かごめの制服に手がかけられると、乱暴に引っ張られる。

「やめてぇえええっ!」



ビリビリビリビリ!



丈夫に出来ている制服も、性欲に駆られた盗賊の握力の前には紙切れ同然だった。

上着が引き裂かれ、ブラジャーが露になる。見慣れないブラジャーの存在に、一瞬、手が止まる盗賊たちだったが、結局、乱暴に引きちぎられた。

健康的な若々しい肌が晒され、まだ発展途上の乳房が顔を出した。

「見ないで!」

上半身を制服の切れ端だけにされたかごめは声をあげたが、盗賊たちは極限の興奮に息を荒くするばかりで、返事もしなかった。

異国から伝わった未来の衣服は、彼らにとっては障壁でしかなかった。

スカートを引き裂き、パンティーも引き裂いていく。

とうとう、全裸になったかごめは身体をばたつかせて、少しでも男の目から己の姿態を隠そうとした。

「犬夜叉あぁっ! 犬夜叉!」

黒髪が顔にかかるのも気にとめず、かごめは想い人の名前を叫びながらもがき続けた。

男たちは群がりながら、かごめに手を伸ばすと乳房やお尻、未踏の花園までも触り始める。

「いやっ! やめてぇ!」

当然のことだが、男たちはかごめの身体を労わる気持ちなどまったく持ち合わせていなかった。

かごめの柔らかな肌を手形をつけるほどに握り、あるいは噛んだ。

「痛いッ! 乱暴しないで!」

「ならば、かけらの使い方を教えろ」

男たちとは距離を置いた床に座り込んだ頭目が、非情な口調で尋ねる。

乱暴な悪戯を我慢しながら、かごめは顔を上げて頭目を睨んだ。

「お断りよ! 早く、かけらを返して!」

頭目はかごめの答えを予想していたようで、髭の下で笑った。

「そうか・・・ならば、お前たち、続けてやれ」

この言葉が制止の声だったとしても、部下たちは止めなかっただろう。

彼らはかごめの綺麗な身体にすっかり夢中になっていたのだから・・・

「犬夜叉・・・助けて・・・」



「やっぱり、かごめ・・・遅いぜ」

犬夜叉は胸騒ぎを覚えて、弥勒たちを振り返った。

「確かに妙ですな・・・今まで、帰ってくるという約束をかごめ様が違えたことはなかったですし」

犬夜叉は頷くと、楓の家を飛び出した。

「私たちも行きましょう」

「ええ・・・」

珊瑚は頷いた。











「こっ・・・これは?」

キツい匂いが立ち込めていた。

「これは、屁コキ草ですね・・・かなりキツい臭いだ」

弥勒は鼻を押さえながら、犬夜叉を振り向いた。

暗い森の向こうを見つめたまま犬夜叉は俯いた。

「人為的に屁コキ草が撒かれたとしたら・・・」

「ああ・・・俺の鼻を使えなくするための罠に違いねえ・・・」

「だとすると、かごめ様の身に何か!」

弥勒の言葉に弾かれたように、犬夜叉が跳躍した。

「かごめ!」

「どこへ行くつもりです? 鼻が使えないのに、アテはあるのですか?」

「バッキャロ! この辺りをしらみつぶしに調べるんだよ!」

犬夜叉は声だけを残して、夜の闇に消えていった。

「かごめちゃん・・・無事だといいけれど」

珊瑚の呟きに、弥勒も頷く。

「我々も探しましょう・・・」

「ええ」



「犬夜叉あぁぁっ!」

かごめの絶叫が上がった。

彼女の身体に群がった男たちはしつこく恥ずかしい部分を触り、痛めつけた。

拷問なのだから、かごめに快感を覚えさせるつもりなどまったくない。

「やめて、乱暴しないで!」

男たちは、胸の膨らみを搾り出すように掴むと、頂点の乳首を口に含んだ。

「いや、気持ち悪い・・・」

「おいおい、お前ばかりで楽しむなよ」

「こっちを味わうか」

代わる代わるに乳首を悪戯するだけでなく、かごめの最も恥ずかしい部分にも手が伸び、舌が這いまわった。

「いやあっ!」

その間も他の男は指をくわえて見てるだけではなく、かごめの足や腹部を嘗め回してくる。

かごめの自慢の黒髪すらも、性欲の対象だった。

「ううっ・・・犬夜叉〜、早く助けに来てぇ!」

身体の至るところを嘗め回され、時には歯を立てられて歯型までつけられる。

今までに経験したことのない色責めに、悔しさと怒りがかごめの精神を切り裂いてくる。

盗賊の一人がかごめの身体に乗りかかると、顔を乳房に埋めた。

「きゃあっ!」

「うぉぉおっ! いい匂いだ!」

さきほどお風呂に入ったばかりのかごめの身体は、甘美な匂いを辺りに放っていた。

「それにこの感触・・・」

男が顔を動かすたびに、かごめの乳房が揺れる。

「やめなさいよ! こんなコトして、恥ずかしくないの?」

えらく場違いな説教だったが、かごめの反応に盗賊たちは興奮を隠せなかった。

「あなたたちにも、お父さんやお母さんがいるんでしょ? 悲しむわよ!」

「親なんか知ったことか!」

かごめの言葉に良心を動かされる人間など、盗賊の集団にはいない。

彼らは親にも見捨てられ、仕えていた城にも見捨てられた、人生の落伍者なのだから。

かごめの瞳には涙が光っていた。

だが、瞳の輝きは決して、彼らに屈していないことを示していた。

それが、男たちを余計に興奮させるなど、女の身であるかごめには理解できるはずがない。

「きゃあっ・・・何?」

不意に、かごめに覆い被さっている男の股間がかごめの腹部に押し付けられた。

熱く固い男根が、彼の着物とふんどしを退けながらはみ出していたのだ。

肌に直に当たった陰茎には急激に血液が集まりだして、男をさらなる興奮状態へと追いやった。

「うっ・・・我慢できん・・・」

「おい、お頭が一番だぞ・・・」

周りの男の制止の声も聞かずに、その男は陰茎を構えた。

「ひっ!」

かごめは何をされるのか瞬時に悟った。

「やめて!」

「うぐっ!」

盗賊が不意にかごめに倒れこんできた。

「犬夜叉?」

犬夜叉が助けに来てくれた?

ふと顔をあげると、刀を抜いた頭目の身体があった。その刀がかごめに乗りかかっている盗賊と繋がっていた。

「俺が一番最初に獲物に手をつけるというのが掟だ」

「ひどい! 自分の仲間になんてことするの!」

ついさっき、ひどいことをした盗賊の仕打ちなど関係ないかのように、かごめは声を荒げた。

「仲間なのに! 最低だわ!」

「ほほう・・・お前、自分の身よりもコイツらの命のが大事なのか?」

頭目の言葉にかごめは一瞬、声を失う。



あたし、何を考えてるんだろう。

この人の言う通り、助ける義理なんてないのに・・・



ううん、違う。

人が死ぬのは絶対にダメ・・・



「当たり前でしょ! 命は何よりもかけがえのないものだもの!」

「ならば、四魂のかけらの使い方を教えた方がいいぞ」

頭目は刀を弄びながら、薄ら笑いを浮かべた。

「どういう意味?」

頭目は、かごめの脇にいる別の盗賊に刀を向ける。

「ヒッ! お、お頭!」

まさか、信頼しているリーダーに刀を向けられるとは思いもしなかったのだろう。

首筋に刀の冷たさを感じながら、盗賊は声を震わせた。

「卑怯よ・・・」

「さっさと言え・・・気が短いんでね・・・」

「分かったわよ!」

かごめの言葉に満足した頭目は刀を納めると、かごめの身体に乗りかかった死体をどけた。

「かけらは身体に埋め込むの・・・」

「ほう、そんな簡単なコトだったのか」

「だけど、邪気に勝てなかったら身体を乗っ取られるわよ」

かごめの言葉が終わらない内に、頭目はかけらを両肩に埋め込んだ。

三つのかけらの内、二つが埋め込まれた。

「お頭・・・」

盗賊たちは言葉もなく、その場に立ち尽くした。

頭目の身体がやがて震えだし、筋肉が衣服の上からでも分かるくらいに分厚く膨らんだ。

「おっ・・・力が湧きあがってきたぞ・・・」

「お頭! 万歳!」

盗賊たちは飛び上がって喜んだ。

「あと、一つは・・・ここだな」

言うなり、頭目は着物をはだけて陰茎を取り出した。

「きゃあっ!」

醜悪な陰茎の姿を目にして、かごめは思わず顔を背けた。

「男たる者、ここは鍛えておかないとなぁ」

頭目が四魂のかけらを陰茎に埋め込むと、陰茎が大きく膨らんだ。

「立派ですぜ! お頭!」

盗賊たちは下品な喝采を上げた。

「さてと、この女と遊ぶとするか・・・」

頭目はかごめにゆっくりと近づいて来た。

「いやっ・・・いやっ! いやああああああああっ!」











天然のままの洞窟の岩肌は、かごめの背中に無数のひっかき傷を作っていた。

だが、そんなことを気にする余裕なんてない。

かごめは身体を揺すりながら、男から逃れようとするが、縛られている上に男の壁に囲まれた中で自由に動けるはずもない。男の身体に背中を預けた状態で、行き止まりになってしまう。

「やめて・・・」

「はあはあ、入れるぞぉ・・・」

常人よりも二周りくらい大きくなった陰茎が、四魂のかけらの魔力でビクンビクンと脈動している。

「犬夜叉あぁぁっ! 助けて!」

絶叫するかごめの肩を引き寄せながら、頭目は反り返った陰茎を押し倒して、かごめの秘裂に宛がった。そこはまだ毛がわずかに生え揃ったばかりの幼いものだ。

かごめは全身を震わせて、なんとか侵入を阻もうとするが、頭目の力の前では抵抗と呼べる代物ではなかった。

「犬夜叉〜ッ! 助けてぇッ!」

いつもなら、どんなに危険な状態になっても必ず助けてくれた犬夜叉・・・

かごめの前に犬夜叉の声も姿も現れる気配はない・・・



ズズッ・・・



「痛いッ!」

陰茎がかごめの秘所を押し広げながら、突入してきた。



ごめんね・・・犬夜叉・・・



「ううっ・・・」

かごめの頬に涙がいく筋もこぼれて、剥き出しの岩肌染みる。

岩肌の地面の上で頭目の身体はかごめと重なり合っていた。

そして、その二人を結ぶ接合部は痛々しくまくれ上がり、血が滴り落ちていた。

「はあはあ・・・四魂のかけらのパワーのせいか、いつもより締め付けが強いぜ」

無神経に身体を揺すりながら、頭目は接合部を見下ろした。

「ふはははは、やはり処女だったか」

「ううっ、犬夜叉ぁ・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」

悲しみにくれるかごめの身体を揺すりたてると、頭目の陰茎が締め付けられる。

「おっ・・・」

「痛いっ・・・お願いだから、抜いてぇっ!」

「上の口では抜いてと言ってるが、下は違うみたいだぜ・・・」

痛みに力んで締め付けてしまうかごめに、頭目は意地悪く笑った。



違うの・・・そんなんじゃない!

あたし、痛いってさっきから言ってるのに!



「犬夜叉! 犬夜叉〜!」

今や、頭目は自らの快感のためだけに腰を揺すりたて、かごめの悲しみの絶叫など気に止めることもなかった。盗賊たちは、頭目の性行為の荒々しさに見入り、それぞれが自慰に走った。

そんな異様な光景の中で、松明の明かりに照らされたかごめの身体が、淫らに揺れていた。

艶やかな黒髪が乱れ、あどけない顔は苦悶に歪み、頬は恥ずかしさに赤く染まり、対称的に薄い唇は青くなっていた。

「いやあっ! 助けてぇっ! 犬夜叉〜!」

「はあはあ、四魂のかけら最高だぜ!」

まだ前戯もされず、性行為の準備も整っていない膣口なのに、通常よりも四魂のかけらで拡大した陰茎を押し込まれているのだ。

かごめの痛みと苦しみは想像以上だった。

頭目はただ、四魂のかけらのもたらす大きなパワーに翻弄されながら、力のこもった腰使いでかごめの身体に性欲をぶつけていく。

「痛いっ・・・壊れる、壊れちゃう! 犬夜叉ーっ!」



痛いよ・・・すごく痛いよ・・・

犬夜叉、早く助けに・・・助けに来て・・・

お願いよ・・・早く・・・



「おい、お頭、意識失ってしまいましたぜ」

頭目の身体の中でグッタリしているかごめに気づいた部下の声で、頭目は顔を下ろした。

「悲鳴を楽しめないのはつまらないな・・・」

悪魔の顔つきになった頭目は乗りかかっているかごめの身体を抱きかかえてあぐらをかいた。

途端にズブズブと体重によってかごめの身体は沈んでいく。

「ぎゃああっ!」

膣を押し広げられただけでなく、子宮まで到達して圧迫してくる巨大な陰茎の痛みに、かごめの意識は覚醒した。

気絶する前に感じていた痛みをはるかに上回る痛みの感覚にパニックに陥るかごめ。

「あぎぃいいいっ!」

「ふはは、断然、この方が気持ちいいぞ」

あぐらのままで器用に腰を使い、かごめに苦痛を与える頭目。

「んぶっ!」

不意に口付けをされて、かごめは息が詰まる。



犬夜叉とキスしたこともないのに・・・こんなヤツに・・・

こんなヤツに・・・



頭目は図々しくも、かごめに腰を使いながら、舌をかごめの中に入れていった。

「んんっ・・・」

悲しみが怒りに変わり、かごめは思い切り、舌に噛み付いた。

咄嗟に頭目はかごめの口を放すと、

「おらあっ!」

乱暴な平手打ちを浴びせられて、かごめの瞳の奥に閃光が走った。

「ううっ・・・」

強い痛みを頬に感じて、かごめは惨めさに涙をこぼして頭目の男を見上げる。髭面の顔はただでさえ恐いのに、鋭い目つきまでされて恐さは際立っていた。

四魂のかけらを埋め込んだためか、目の色までにごって人間的な雰囲気を失っていた。

血走った目の頭目は、思い出したように腰を揺すりたてた。

「痛いッ!」

なんとかこらえていた痛みが再びかごめの身体を苛んだ。

だが、それに追い討ちをかけるように頭目が囁く。

「お前に俺の子を産ませてやろうか・・・」

「えっ・・・」

弥勒がよく口にするセリフなのに、今は重さが全然違った。

かごめの身体に刻まれる痛みの感覚が、容赦ない現実として知覚される。

「だめ・・・だめ・・・」

中○三年にもなれば、男と女の交わりが何を意味するか分かる年頃なのだ。

「お願い、中に出さないで!」

かごめが訴えた瞬間、体内に何かが広がる感覚が伝わる。

「えっ・・・これって・・・」

「遅かったなぁ〜。はあはあ・・・」

わざわざ口に出して、男が現実をかごめにつきつける。

「い、犬夜叉あぁあぁ〜!」











「畜生・・・かごめのヤツ、心配かけやがって!」

犬夜叉は森の中を走り続けていた。不意に、視界に飛来するものが見えた。

「な、奈落の毒虫!」

蜂の妖怪、最猛勝(さいみょうしょう)だ・・・

「コイツを追いかければ、かごめの所に着くのか?」

まるで誘うように、最猛勝はゆっくりとした飛行を続けている。



「はあはあ・・・もう、やめてぇ・・・」

盗賊たちがかごめの身体を犯していた。

頭目に先を越されて、さんざん待たされた獣たちにとっては、我慢の限界をとうの昔に超えていたのだ。今更、後に引くはずなどあるわけがない。

かごめにとっては初めての精液に汚された直後だった。

盗賊たちに頭目は一言漏らした。

「自由にしていいぞ」と・・・

順番も決まりもないに等しい盗賊は、我先にとかごめの身体に襲い掛かった。

「やめてぇ! んごおぉっ!」

口に陰茎が押し込まれ、膣にも別の陰茎が入っていく。

「歯を立てたりしたら、殺すからな」

上から威圧的な声に脅され、かごめは頷くしかない。

それだけではなかった。

「ここ、使っていいか?」

「いいんじゃねえの? お前も好きだなぁ」

背後から迫る盗賊が、かごめの菊門に陰茎を捻じ込んで来たのだ。



痛いッ! そんな所まで?!



口を塞がれたかごめは拒絶の意思を言葉にすることすらも封じられ、男たちの性欲の捌け口に晒される。優しさのかけらもない仕打ちに、かごめは涙を流し続けるしかなかった。

三つの穴を同時に犯され、処女だったかごめの精神は限界を超えていた。

「ちい・・・穴がないなら、手で相手してくれや」

男の一人がかごめの手の縄を解く。

いきなり、強い力で彼女の手を引っ張ると自らの陰茎を握らせる。

「んんっ!」



何? コイツ、何をするの・・・汚い・・・



先端から生暖かいドロドロの液体がにじみ出ている男の陰茎は、とても気持ち悪い。

手を離そうとしたが、かごめの小さな手の上から盗賊の大きな手が重ねられ、逃れられない。

「しっかり握るんだ!」

全ての行為が、かごめの中の常識を超えていた。

「んんっ・・・んむ!」

かごめの膣と尻穴に深く打ち込まれた杭のような陰茎が、往復するたびに激痛が走る。

それは頭目一人の陰茎を受け入れるよりも辛かった。

何よりも男の身体の檻に囲まれた圧迫感と恐怖は計り知れない。

「んぐっ」

苦しみを代弁する涙の粒が、ぽたぽたと落ちていく。

「うははは、最高の気分だ」

「こりゃあ、気持ちいい・・・こんなに締めつけられると長くもたんな!」

松明の明かりに切り取られた影が自分の凌辱される様子を鏡にでも映したように、かごめの瞳に飛び込んで来た。それを目にして、自分の今の境遇を改めて実感させられる。

痛みに腰をひねって逃れようとするが、男の手が伸びて固定されてしまう。

「んんんんんっ!」

「おらっ! 逃げるんじゃねえよ!」

「お頭のチ○ポは気持ちよかったかい?」

「良かったな〜。こんなにたくさんのチ○ポに相手してもらってよ」

男の言葉が、かごめの繊細な乙女心を傷つけていく。



犬夜叉・・・犬夜叉・・・ごめんね・・・

あたし、あたし・・・



「かごめええぇぇぇッ!」



洞窟の中に声が響いた。その叫び声はかごめがもっとも好きな人の声・・・

かごめは怯えたように、声の方向を振り向いた。

「お前ら・・・ただじゃおかない!」

怒りの頂点に達した犬夜叉・・・

「おい、なんだコイツ?」

盗賊たちは突然の来客に刀を手に色めき立った。

「もしかして、この女の男か?」

「残念だったなぁー。お前、一番乗りに間に合わなかったぜぇ!」

「ははははは」

盗賊たちの罵声に犬夜叉は声を震わせた。

「んぐぅっ!」

まだ陰茎を押し込まれたままのかごめが絶叫する。



全裸にされて、男たちの玩具にされているかごめ・・・

その姿を見た瞬間、犬夜叉の理性が消えていた。

いつの間にか、抜き放った鉄砕牙は血に飢えたように光った。

「お前ら、全員コロス!」

犬夜叉が跳躍すると、盗賊たちも切りかかってきた。

が、犬夜叉の身につけている火鼠の衣は、鉄の刀で傷つけることもできなかった。

「うおっ!」

盗賊の首が飛ぶ。

「犬夜叉! ダメ!」

かごめは慌てて叫んだが、怒りに我を忘れた犬夜叉は次々と盗賊を切った。

かごめの身体に返り血が降りかかる。

「犬夜叉・・・」



ごめんね。辛い想いさせて・・・



犬夜叉が鉄砕牙を振るう度に、風も泣いているようだった。

かごめは決心していた。



現代に帰ろう。もう、二度と犬夜叉の前に現れない・・・



さよなら・・・











暗い城の奥・・・そこに人の気配はないのに、気味悪さだけが色濃く立ち込めていた。

「そうか・・・かごめは消えたか・・・ふふふふ」

最猛勝の報告を受けた奈落は薄ら笑いを浮かべた。

その手にはかごめが持っていた四魂のかけらがあった。

もちろん、最猛勝が持ち帰ったものだ。

いつもそうだ・・・

自分の計略の通りにコトが進むと、笑いが止まらない。

「かごめを強姦させ、その現場を犬夜叉に目撃させる・・・相変わらずの悪趣味だね」

控えていた神楽に言われ、奈落は苦笑する。

「これで犬夜叉もかごめも立ち直れまい。かごめは犬夜叉の前に現れないだろうし、四魂のかけらも手に入った・・・」

もう、奈落の頭の中では、新しい策略が渦巻いている。

彼の策略の妄想には、絶望にくれる犬夜叉の姿が浮かび上がっていた・・・

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