「…失礼します。」
丁重なノックの音と共に宿直室のドアが開かれる。
直人が、霊体を歪ませて一礼しながら、スウーと部屋の中に入ってきた。
「シャオを連れて参りました。」
「…ああ。もう、さがっていいぞ…」
「はい。」
丁寧に頭を下げると直人は後ろに連れていたシャオを部屋の中に押し込めるように入れ、そのまま去って行った。
その場に立ち尽くすシャオ。
「…どうした?シャオ。」
「……?…」
俺が話し掛けてもシャオは何も反応しなかった。
ただ、その虚ろな瞳でキョロキョロと辺りを見渡して、時おり何かを呟く。
…ここが何処なのか解らないのだろうか。
「…質問に答えろ。」
「あっ…そうだ、晩御飯を作らなくちゃ…何がいいかな…」
「……」
「う、ふふ…太助様は美味しいって言ってくれるかなぁ…」
…会話が全く噛み合わない。
紳一はシャオとの会話を中断して全裸であるシャオの身体をあらためて見直してみる。
もう胸やあそこを隠す気もないのか、シャオの手はだらんと力なく、ぶら下げられている。
初めてここに来た時より身体はいくぶんか痩せて、肌の色もくすみ気味だ。
そのくせ表情と髪の毛だけは、妙に輝いており、澄み切った透明感のある表情と艶やかな髪は美しかった。
違う意味で守護月天の役目から解放されたシャオは何処か幸せそうにも見えた。
「おネギがなかったんだ。買い物にいかなくちゃ…」
「もう、お前はそんな事をする必要はないんだぞ。」
「あっ…太助さまだ〜。一緒に買い物いきませんか〜」
やっとの事で太助(紳一)の存在に気付いたシャオが嬉しそうな声を上げる。
が、その声も棒読みで感情はまるでこもっていない。
「……」
「ねえ、離珠…留守番お願いね…」
耐え切れない現実から完全に逃避してシャオは自分だけの世界に浸っているようだ。
こうする事で、自分自身がこれ以上傷つかないようにしているのだろう。
これがもう少し進むと精神分裂が起こり、医学的には多重人格症になる。
…まあ、別にどうなろうが知ったことではないが。
「そんな事よりシャオ。気持ちいいことをしよう。」
「太助様ぁ…気持ちいいこと…う、ふふ、太助様が喜ぶ事ぉ〜〜」
紳一はシャオの肩を抱くと布団の上へと誘導する。
そして、シャオをその上に仰向けに寝かせるとシャオに優しく微笑みかけてやる。
崩れた笑顔でかすかに微笑み返すシャオ。
「今から、してやるからな。」
「ふふ…うふふふ…あは、ははは…はん…あう…太助さまぁ・・・…」
シャオの喘ぎ声とも取れぬ不気味な笑い声が部屋に響く。
あられもない嬌声を張り上げて、シャオは待ちきれずに自慰を始めだした。
紳一は、その乱れるシャオを見て、軽い嫌悪感を感じて冷たい軽蔑の笑みを浮かべる。
「ふん…そんなにほしいのか…?これが。」
そう言うと紳一は、履いていたズボンのジッパーを下げて、天を突かんとばかりに怒張する肉棒を取り出した。
シャオはそれを見ると恋焦がれた少女の様に、その肉棒を羨望の眼差しで見つめる。
「あ、あう…?それ…欲しい…あ…うう…」
「慌てなくても、俺は逃げないぞ…では、フェラチオをしてもらおうか。」
「はぁい…あむん…ぺちゃ…は…ン…」
シャオは紳一の前に跪いて屈み込むと口の中に肉棒を滑らせるように含みこんでいく。
紳一に口の中の心地よい感触と袋を揉むシャオのひんやりとした細い指の感触が伝わってくる。
紳一は絶妙な力加減で伝わって来る快感にすっかり満足する。
「よし…うまいぞ…教えた通りに出来たな。」
「ふ…うむン…は…」
薄く笑いながらシャオは俺の教えた通りの奉仕を丁寧にこなし続けた。
紳一の射精感は徐々に強まっていく。
「どうだ。ご主人様の肉棒はさぞ美味だろう。」
「はっ…んちゅ…ぺちゃ…美味しい…ですぅ…あむっ…んぐっ…」
「後で、ご褒美をやろう。」
「…ご、ほうび…あ…うぁ…欲しい、ですぅ…」
俺への奉仕を続けながら、ご褒美がもらえる事に喜ぶシャオ。
もはや、以前の清楚可憐で純粋な面影は微塵も感じられない。
ただ、目の前の快楽を与えてくれる肉棒に奉仕して快楽をねだるのみだ。
今の肉欲の虜となってしまったシャオに紳一は少しつまらなさを感じていた。
「…あむ…ふぅん…ペチャ…む…あ…」
「…いくぞ。」
「あ、ぐぅ…ん・・・。」
シャオの口の中に紳一の精液が放出される。
飲めと言われるまでも無くシャオは嬉しそうにこくんと喉を鳴らして飲み干した。
さらに尿道にこびれついた精液の残り滓を求めて吸い付いてくる。
「…いい子だ。さあ、褒美をやろう。」
「ご、ほうび…はやく…」
シャオのフェラチオに満足した紳一がそう言うとシャオは美しい顔を淫らに歪ませて喜んだ。
「早く、早く」とでもねだるように腰をくねくねさせる。
「おいおい…少しぐらい我慢しろよ。今からここに、たっぷりと肉棒をぶち込んでやるからなっ!」
紳一はそんなシャオの秘部を乱暴に手で弄る。
そこはすでに濡れており、その愛液は、太股を伝って床に大きな染みを作っていた。
「ひゃうっ!あ…んあ…」
秘部を弄られたシャオが、これから始まる行為を期待して歓喜の声を上げる。
とても待っていられないとさらに腰をうねらせ、細く白い綺麗な指で秘部を大げさに掻きまわし始めた。
くちゅくちゅという音が辺りに響く。
「あはぁ…あう…」
「そのままあそこを俺によく見せてみろ。」
紳一がそう言うとシャオは、紳一の方にお尻を向けてあそこをさらけ出す。
少しの恥じらいも感じていないのか、全くためらう様子はない。というか、積極的なほどだ。
「もっと拡げるんだ。あそこを隅から隅まで全部見せろ。」
シャオは自分の秘唇に指を食い込ませて指を左右に広げる。
シャオのまだ綺麗な色をした膣内にはもう、処女だった頃の形跡は跡形もなく、
ただ入り口の方に、固まった血がかすかにこびれついているのが見えるだけだ。
さらに奥を確認する。
うねうねと膣内で淫らに蠢く肉襞。
それらはまるで意思を持った別の生き物のように見える。
「……」
紳一は何も言わずにシャオの腰に手をかけると愛液でずぶ濡れのあそこに肉棒を挿入していく。
ずぶりっ…ぐちりっ…と肉棒は、徐々にシャオの中に入っていった。
「ふあぁぁ……入って…くる・・・!太助様のが…ああ…いい…気持ち…いい!あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜。」
少しずつ、肉棒が入ってくる感触に、シャオは歓喜の声を上げる。
足はふるふると震え、顔を快楽で歪ませ、長く美しい髪を乱れさせている。
「……っ」
シャオの中は、度重なる紳一の陵辱によって初めの頃とは比べ物にならない程に柔軟に肉棒を包み、そして絡み付いて来る。
中の締め付けは初めに比べると弱いが、それでも並みの女よりもずっと強い締め付けで紳一を快楽へと誘う。
「……」
「ふあ…あふ…!」
無言の紳一がシャオの上に覆い被さり、シャオの耳を甘噛みする。
一瞬、驚きの声を上げるが、それはすぐに喘ぎ声に戻る。
「……」
「く…んぅ…ひゃふぅ…ひんぃ〜。」
抽挿を繰り返しながら紳一は、様々にシャオを征服していく。
「………」
紳一の目の前で喘ぎ声をあげながら、紳一のモノを受けいれるシャオ。
…何回かシャオを犯す内にシャオは自分から求めてくるようになっていた。
清楚で可愛い少女だったシャオは今や、欲望を貪る大人の女に変わったのだ。
だが、その変化は紳一にとってつまらない物でしかない。
身体に感じる快感とは裏腹に紳一は、どんどん冷めた気分になっていった。
「……」
「…!!あぐぅ…ひい…があ…はあ…んくっ…」
紳一がシャオのもっとも敏感な所に触れて小さな豆を摘まむ。
だがシャオは嫌がる訳でもなく、紳一の腕の中で大人しくしている。
「……」
「…!!ひゃあ…だめぇ…いくぅ…あ…」
紳一は、摘まんだ豆を握り、くりくりと捏ねまわすように刺激する。
その甘い刺激にシャオは、体を起こし、紳一に抱きついた。
両手を紳一の身体に巻きつけて、その細い身体から出したとは思えない程の強い力で紳一を締め付ける。
「……」
特に振り払うでもなく紳一は、抱きつかれるままに腰を振り続ける。
そのまま、目の前にあるシャオの唇に舌を伸ばす。
紳一の舌がシャオに届く前にシャオは自分で舌を出して絡ませてくる。
そのままシャオに促されるようにシャオとディ―プキスをする。
「ふ…くちゃ…あ、ふ…ぺちゃ…ん…」
「……」
紳一は、キスをしながら手を伸ばしてシャオの頭を撫でた。
つややかな髪が手の中でとけて、さらさらと手からこぼれ落ちる。
こぼれ落ちて宙に舞った髪の毛が、窓から差し込む月の光に照らされて、神秘的な輝きを産む。
月の光が二人を照らす中、行為はクライマックスを迎える。
「あ、う…い、く…もう、だめ…は、ああああ〜〜〜〜!!」
「…っ………」
紳一に抱きかかえられながらシャオが絶頂に悶える。
絶頂を迎えたシャオが、紳一の肉棒を千切るほどに締め付ける。
きつくシャオを抱きしめると紳一は、どくどくと膣に精液を注ぎこんだ。
前立腺を精液が流れていく快感と、きゅうっ…と締め付ける膣内の快楽の中で紳一は、「うっ…」と低い呻き声を上げる。
紳一が出し終えるとともに気を失ったシャオの身体からがっくりと力が抜ける。
急に重たくなったシャオから、紳一は、肉棒を引き抜く。
「ふう……」
女を抱いて快楽を得た後だと言うのになぜか後味の悪い溜め息が洩れた。
ふと、意識を失い横たわっているシャオを見つめる。
紳一に犯された後だと言うのに、幸せそうで安らかな子供のような寝顔。
「……っ!」
それを見ていると何故か無性に腹が立って来た。
そして、そのままシャオから顔を逸らして、呼び鈴を取り出して古手川を呼びつける。
古手川にシャオを監禁室に運ぶように指示すると紳一は、せんべい布団に横になりながら、考え始めた。
「……………」
なぜ俺はいつも犯した女が淫らな反応をすると冷めてしまうのだろうか。
それが俺の性癖と言ってしまえばそれまでなのだが、何か理由があるような気がする。
女が悲痛な叫び声を上げて痛みに苦しむ様を見ると心が安らぐような感じを受けるのはなぜであろうか。
その答えを生前の俺に求めて、俺は少し自分が解った気がした。
…他人の苦痛は、俺の苦痛を癒していたのだ。
命の期限切れを今日か明日かと待つだけのあの頃の俺は、もの凄い苦痛と絶望を味わっていた。
そしてその負の感情は、他者への嫉妬という形で…今一番と輝かしい美少女達に向けられて昇華された。
他者を苦しめ、俺と同じ苦痛と絶望を与える事によって俺は、自分の心を癒していたのだ。
そしてそれがいつの間にか俺の性癖になってしまっていたのだ。
だとすれば…俺は―――。
そこまで、考えたところで俺の意識は深い眠りの谷へと落ちていった。
ジリリリリリリ………………
けたたましい耳障りな音が紳一を覚醒へと導く。
無意識に手を伸ばして紳一は騒音の元を止める。
そしてゆっくりと起き上がって少し身体を動かしてぼけていた体の感覚を、元に戻してゆく。
「ふう…」
ふと、横を見ると時計は八時と時を告げている。
(今日あたりキリュウを犯しておくか。)
そう思い立って紳一は、策略を考え始めた。
「ふむ…キリュウだが…さて、なにか新しい趣向は無いものか。」
全部で三人いる紳一のターゲットである精霊達の二人まで紳一は犯した。残りの獲物は万難地天、キリュウだけだ。
やはり最後の獲物であるから普通に犯したのでは詰まらない。できるだけの演出でキリュウを絶望の奥底へと追いやる…
その為の計画を紳一は練っていた。
「ううむ…難しいものだな…」
やはり、キリュウが信頼していた人物に犯されるのが一番効果的だろうか。
しかしそれでは今までのパターンとたいして変わらない。
その他にもいろいろ考えてはみたがどれもいまいちパッとしないのは、いままでにどれもこれもやり尽くしているからだろうか。
「ふむ…そうだ…いつかの肝試しの時にやった乱交パーティはどうだろうか。」
悩んでいた紳一の頭にふとあの時の事が思い浮かぶ。
そういえば、ここと同じような旧校舎に肝試しに来た奴らを根こそぎ犯して一晩中セックスの明け暮れたことがあった。
紳一(あれならば、精霊の散花の最後を飾るに充分ふさわしい…。)
それで、乱交パーティを、ここで盛大に開いた後、以前と同じように火をつけて捕まえた女ともども焼き尽くす…というのはどうだろうか。
第二の連続美少女誘拐殺人事件としてきっと世間は再び震え上がるに違いない。
その様を想像するだけでも、可笑しくてたまらない。実行のその時が楽しみだ。
そしてすぐさま俺は、その計画を実行に移すことにした。
呼び鈴を鳴らして、古手川を呼びつける。
暫くするとコンコンとドアがノックされる。
「お呼びでしょうか?お坊ちゃま。」
「うむ。実はな………」
紳一は、自分の考えた計画を古手川に話して聞かせた。
「それは、良い考えですな。それで手順としてはどのように…?」
「俺がしばらくしてからキリュウをここに呼び出すから、お前達は準備をしておけ。今までに犯した女を全員用意するんだ。」
「はい。では早速、木戸と直人を呼んで下準備に入ります。」
「それでどれぐらいかかるんだ?」
「はい。最後という事で念入りに準備したいと思っておりますので、四時間ほどかかるかと…」
「そうか。四時間後には、盛大なパーティが開かれるんだな。」
「そうでございます。では準備がありますので、これで失礼させていただきます。」
「わかった。」
古手川は一礼をすると壁をすり抜けて去っていった。
「ふむ。三時間ほど睡眠をとるか。」
昨日はシャオを犯していたので、さすがに太助の肉体にはまだ疲れが残っていた。
しばらくは暇なので紳一は、再び睡眠をとることにした。
基本的に亡霊である紳一たちに疲労という物はないので、全く寝なかったとしても体調に何ら支障をきたす事はないのだが、
それはあくまで紳一たちの話で、身体はきちんと疲れるので睡眠は、できれば多目にとっておいたほうが良いのだ。
紳一 (これからと言う時に身体がだめになってはたまらんからな。)
目覚し時計を三時間後に合わせて俺は敷いてある布団に横たわった。
目を閉じると睡魔が襲ってくる。
ジリリリリリリリ…………
辺りに耳障りな目覚し時計の音が響いて紳一は目を覚ました。
「では、俺はキリュウをパーティに招待しに行くとしようか。」
身支度を整えて、紳一は太助の身体で学校の外に出た。
寝る前に昇っていた朝日はすでに天高く上がり、辺りを照らしている。
地上にさんさんと恵みをもたらす太陽を見て、紳一は以前に犯したルーアンの事を思い出していた。
「慶幸日天ルーアンか…。太陽のように輝く奴だったな。」
シャオが控えめな月の輝きなら、ルーアンは地上を照らす太陽の光というところか。
すでに紳一は、淡い光を放つシャオを散らし、目も眩む明るさを放つルーアンをも皆既日食がごとく、その光を奪い去ってやった。
次は万難地天キリュウ。すでに計画は動き、後は紳一が学校に連れ出すだけだ。
この地での狩りの最後に相応しい散り際にしてやろう。
「ふふふ…ははははは…」
太助や出雲や野村に襲われ、まわされて泣き叫ぶキリュウの姿を想像すると自然に笑いがこみ上げてくる。
「アーハッハッハ!!」
紳一が大笑いした時、天に浮かぶ太陽は、徐々に黒く巨大な雲に覆われ始め、しとしとと雨が降り出し紳一を濡らす。
「…雨か。」
この雨は、犯された精霊達の悲しみの雨であろうか。犯されて壊れた者達に対する鎮魂の雨か。それとも天の嘆きの雨か。
そのどれにせよ紳一にとっては全く意味は無い。
紳一に同情、優しさ、思いやり、慈愛、正義感などの偽善的な愚か極まりない感情は存在しない。
ただ己が思うままに生きて、その中の暇な時間を紛らす為に女を犯してその美酒に酔う。
紳一にしてみれば、女を犯す事はただの娯楽に過ぎないのだ。
その意味で、陵辱と世間一般で言う趣味とは同義である。
はたして、楽しみで釣りや狩りをする者が、その行為自体に罪悪感を感じるだろうか。
…つまりはそういうことなのだ。
「天よ!嘆くのなら俺を止めて見ろ!この前みたいに俺を消そうと刺客を送り込んで来い!」
「まあ…送ってきた所で天魔の力を手に入れた俺が返り討ちにしてやるが。ふははははは!!」
「……………」
紳一の声に答えるものはいない。
ただ紳一の声のみが辺りに響き渡る。
「……答えないか。ならいい。そのまま見ていろ。俺の所業を。」
それにも何の答も返さずに天はただ、神をも恐れぬその男を憐れむかのように雨を降らせつづけた。
雨の降りつづける暗い空を紳一は睨みつけて踵を返すと、再び歩き出す…獲物をパーティ会場に招待する為に。
つづく…
[あとがき]
ういっす。覇王っす。
今回で第三章でございます。
え〜二章の時には、三章で完結だよ。などと言っておきながら終われなかったです。
もう一度、シャオを!との声がありましたので書いてみました。
これ、どうですかね。シャオの壊れっぷりは、よかったですかね?
キリュウは…書き出したんですけど、う〜ん…ちょっとスランプ気味。難しいなあ…
あと、「こんなのどうですかね。」って言う方は、教えてください。参考にさせていただきます。
感想をよろしくです。
では…。
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