「ん…」
気を失っていた私は意識を取り戻した。
状況を飲み込めないので辺りを見渡しながら、記憶を探って見る。
「私は…」
「確か主殿が呼び鈴を出して、それを鳴らして…そしたら後ろから、衝撃を受けて…主殿が笑っていて…」
思い出しては見るものの、記憶が断片的でなかなかそれらが一つに繋がらない。
しかも、頭に残る痛みと何も見えない暗闇の中では上手く思考がまとまらない。
「…ん?」
ふと、腕を上げてみると重さを感じてジャラジャラという金属音がしたので鎖に繋がれている事がわかった。
探してみると鎖は両手首と両足の他に首にも付けられており、皮製の首輪と思しき物に繋がれていた。
又、腕の付け根の辺りには、注射をされた形跡がある事もわかった。
睡眠薬でも注射されたのだろうか?
「何故、私は拘束されているのだろう。」
考えても考えてもわからなかった。
「主殿…」
主殿なら何か知っているかもしれない。
でも、今のままではどうする事も出来なかった。
どうしようもなくなってしまい、途方にくれていると…
コツコツ…コツコツ…
いやに響く靴の音が聞こえてくる。
それはどんどん大きくなってやがてぴたりと止まった。
…誰かがきたのだろうか?
キイ――
軋む金属音がして微かな光が部屋に差し込んでくる。
と言っても暗い麦色のような電球の光だ。
「…お前は誰だ。」
きっ…とその男を睨み付けながら私はその男を問いただした。
男は黙って私に近寄ると、私を拘束していた鎖を解き始めた。
私はその男の顔を見てやろうと思ったのだが、暗すぎてよく見えない。
「お前は誰なんだ。」
そして、私を拘束していた全てのものを取り去ると、その男から言葉が発せられる。
「…歩け。」
「…!?」
私の言葉を完全に無視した言葉であったが、その声を聞いて私は絶句した。
何故、出雲殿がこんな所にいるのだろう。
私は頭の中が混乱する思いだった。
「どうした。早く出ろ。」
「…出雲殿。これは一体どうしたというのだ。主殿はどこにいるんだ?」
「黙れ。俺はさっさと出ろと言っている。」
「…わかった。出雲殿…」
尋常でない出雲殿の様子に混乱しながらも私は出雲殿についていく事にした。
今の出雲殿に逆らってはいけないという予感がしたからだ。
それにこのままついて行けば主殿にも会えるかもしれない。
そうしたら私が何でこんな目に遭っているのかがわかるかもしれない…
「………」
「………」
コツコツ…
トントン…
私と、その先を行く私と出雲殿は無言のままで階段を上りつづけた。
ギィィ…
やがて辿り着いた鉄のドアを開けて、出雲殿が出て行き、私も後に続いた。
「うっ…」
白く眩しい蛍光灯の光の元にさらされた私は眩しくて目を瞑った。
徐々に眼を慣らしながら視界を取り戻していった
「しんい…ごほんっ、太助様、キリュウを連れてきました。」
「うむ。」
出雲殿は、礼をすると少し後ろに下がった。
「…気分はどうだ。キリュウ。」
「…!?」
聞きなれた声のする方へ眼をやった私は、信じがたいものを目にしてしまった。
私の目の前には玉座のような椅子に腰掛けた主殿がいた。
しかもその周りには、シャオ殿やルーアン殿、那奈殿、花織殿、翔子殿…
が一糸纏わぬ姿で絡み合っているではないか。
…何故こんな事に…
さらに、玉座に腰掛けた主殿は尊大に私に問いかけて来る。
「気分はどうだと聞いているんだ。」
「…あ、主殿。これはどういう事なのだ?」
そう主殿に尋ねる私の声は震えてしまっていた。
主殿が別人のような冷たい目をしながら私を見下ろしている。
「何だ?俺は言わなかったか。みんなが集まっている…って。」
「そうではない。この異常な状況は…」
などといっている間にも、女達が絡み合って淫らな音と声を上げている。
まだ私には彼女達がこんな事に興じていることが信じられなかった。
少し前までの平和でのどかな光景はどこへ行ってしまったのだろう。
みんなと楽しく過ごしていた時間は既に過去の物となり、私には信じがたい現実が突きつけられていた。
「ああ…これか。楽しそうだろう。俺が教えてやったら病み付きになったようでな…何なら今からキリュウも混じるか?」
「…主殿。もうこんなことは止められよ。」
「何を言っているんだ。これからお前もあの中に混じるようになるんだぞ。」
「そんな…」
主殿の言葉に絶句した私をにやにやとした下品な笑い顔で見下ろす主殿。
…これがほんとにあの主殿なんだろうか。あの優しかった主殿はどこへ消えてしまったのだろう。
「さて…と。話はこれぐらいにして…おい。出雲、たかし、乎一郎。楽しませてやれ。」
「はい…ひひひ…」
「楽しませてもらいます…」
「それではお先に。」
主殿の言葉にはっと後ろを向くと、いつも間にか男達がいた。
じりじりと間合いを詰めてくる男達の顔を見て私は驚いた。
「…みんな、どうしたんだ!?やめてくれ。」
「キリュウさん、私は以前からあなたに興味がありましてね…」
と主殿と同じく冷たい笑顔を浮かべる出雲殿。
「へっへっへ…たっぷりと犯し抜いてやるぜ…」
と今までに見せたことのない表情と口調で私に迫る野村殿。
「ヒッヒッヒ…精霊を犯せるとは…ワシもよくよく運がいい。」
と小柄な身体に似合わない不気味な声を上げる遠藤殿。
みんないつも私が見ている人ではなかった。
…おかしい。みんなが狂ってしまった。…どうして。
「くっ…やめろ…正気に戻られよ!」
出雲殿と野村殿に羽交い絞めにされて、私は動けなくなる。
すかさず、顔を歪ませた遠藤殿が私の正面へと来る。
「さあ〜て…キリュウちゃんのおっぱいは…と。」
「やめ…はなせっ!遠藤殿!」
「おほ…大きさこそ小さいが、形もいいし揉み心地もいい。良い乳をしておるのう。」
「くっ…だめだ…さわ…あうっ…」
遠藤殿が私の服の上から、私の胸をゆっくりと揉む。
そのネチネチとした揉み方に私は短く声を上げてしまう。
それが遠藤殿を喜ばせたらしく、嬉しそうに私の胸を揉むスピードを早くする。
「フォフォ…ここは、だめとは言っておらんようじゃぞ。ほれ…」
「ぅん!ちがう…!遠藤殿…止められよ…」
遠藤殿は私の乳首を指で挟むとこりこりと転がす。
その感触に私は思わず変な声を上げてしまった。
別に感じたとかそう言うことではない。
ただ、私は反射的に反応しただけなのだ。
しかし、遠藤殿はそうはとってくれなかったらしい。
ますます顔を歪めると私の胸をさらに愛撫する。
「口では何とでも言えるからのぉ…でも身体は、嘘をつけんようじゃな。ほれ…気持ちいいじゃろ」
「気持ち良くなんか…はっ…ない…」
遠藤殿の愛撫はかなり場数を踏んだ手馴れたものだった。
私の中の秘められた快楽は否応なしに引きずり出され、私は昂ぶっていく。
…だめだ…くう…感じてしまったら…
身体の置くから沸きあがってくる甘い感触に私の意識は朦朧(もうろう)とし始めた。
それにしても、私の身体は、初めての快楽を享受していた。
私の抵抗も、しばらくすると形だけのものとなり、身体からは力が抜けてしまっていた。
そんな私を羽交い絞めにするのも無意味だと思ったのか、私を押さえつけていた出雲殿と野村殿は私から離れた。
結果、支えを失った私は、ふらふらと前のめりに倒れこむことになった。
「フォフォ…立っていられんほど感じてくれたとは、ワシは嬉しいぞぃ。」
「い、や…違う…感じてなんかいない…」
「おい。爺さんばっかり楽しむのはずるいぞ。俺にも楽しませろよ。」
「お前は下の方を楽しんだらどうじゃ?ワシはもうしばらくココを弄っておる…」
「おいおい。古手川。俺はどうするんだ?」
「ん〜、後残ってる所は、もう口しかないのぅ…そこで、勝手にやってればいいじゃろ。」
「ちっ…わかったよ。しょうがねえ…オラ!こっち向きやがれ。」
「くっ、やめられよ、野村ど…むぐ!?…」
と男達は揉めながらも私の身体に群がると一斉に好き放題し始めた。
私は唇を奪われ、胸を乱暴に揉まれ、あそこを掻き回すように弄られていた。
…酷い。何でこんな事になってしまったんだ…
そんなめちゃくちゃに弄ばれている私を主殿は薄笑いを浮かべながら見下ろしていた。
…助けて…主殿。なぜ、私を見て笑うのだ…
「ぷはっ、ふう…うまいぜ。」
「おぶ、げほ…」
キスを終えて小さくむせる私だが、そんな事に構わずに男たちは好き勝手している。
「ふふ…」
そんな状態の私を見て主殿は低い笑い声をもらした。
そして、主殿に奉仕していたシャオ殿やルーアン殿を払いのけると私のほうへ近寄ってきた。
その後ろからは先ほど払われたシャオ殿たちがよろよろと立ち上がって主殿についてきていた。
…何をする気なのだ…
「ふふ…」
「うふふ…」
シャオ殿達は不気味な笑い声を上げながらふらふらと歩いている。
その身体からは疲れきってぼやけた雰囲気が全身から出ているのに
その目だけは異常に輝きを発し、ぎらぎらしていた。
明らかに精神に異常をきたしているようすだ。
「出雲、野村、遠藤、下がれ。」
「…はい。」
主殿がそう言うと今まで私の身体を散々弄っていた出雲殿達は、さっと後ろへ下がった。
どうやらこの中では主殿が立場が上のようだ。
それにしても不思議なのは皆があまりにも従順な事だ。
特に出雲殿が主殿に頭を下げる所など今まで一度も見た事がない。
それなのに、今は当たり前のように礼儀を尽くしている。
まるで主人と使用人みたいに思えてくる。
…いったい、どうなっているのだ?
私の頭の中は、混乱していた。
「どうだ?気持ちよかったか?」
「あ、主殿。あなたは一体どうしてしまったのだ?それに皆も狂ってしまっている…」
「狂ってなんかいないさ。気付いただけさ。」
「気付く?」
「そう、新たな快楽の世界に。」
「さあ、シャオ、ルーアン、みんな。キリュウに教えてやってくれ。」
「うふふ…キリュウさん。」
全裸のシャオ殿を筆頭に皆が私に向かってきた。
その人数に私はどうする事も出来ず、床に押し倒されてしまう。
「くっ…シャオ殿…ッ!正気に戻ってくれ。」
「うふふ…キリュウさん…気持ちいいこと…」
うつろな表情でポツリとそう呟いて、シャオ殿は私の胸に手をのばしてもみ始めた。
ルーアン殿や、那奈殿達もそれに加わって私の身体を弄りだした。
「あふっ…だめ…だ…んっ…やめてくれ…」
先ほどまで出雲殿達に弄られて敏感になっていた私の身体はシャオ殿達の愛撫に敏感に反応する。
シャオ殿の細い指先は私の胸をゆっくりと揉み、
ルーアン殿は私のあそこを舐め、
花織殿は私の脇腹やへそ周りを舐め、
那奈殿と翔子殿は私の足やわきを舐めた。
身体の全体からもたらされる女の身体を知り尽くした愛撫は私を昂ぶらせる。
…だめだ…くっ、…耐えるんだ…
快楽に屈して甘い声を存分に漏らして乱れそうになるのをなんとか抑えた。
「はっ、うっ、ひあァっ…うあ…止められよ…」
「うふっ。うふふふ…」
薄気味悪い笑い声を上げながら愛撫を続けるシャオ殿たち。
私の理性を侵食して来る甘い感覚。
それを拒む声を上げるのが、精一杯だ。
「だめだ…やめ…むぐっ!?」
だが、その口さえもシャオ殿によってふさがれてしまう。
たっぷりと唾液を含んだ舌を私の口の中に差し込んでくるシャオ殿。
「んんっ…!むぐっ…!あむ…ぷはあっ、はあ、はあ、」
「………」
…だめ、だ…だめだ…感じては…
シャオ達の巧みな愛撫にもはや、形だけの抵抗すら出来なくなってしまう。
私は、はあはあと息を荒げてシャオ殿達に身を委ねていた。
「…もういいぞ。」
「………」
そんな私を見て主殿がそう言うとシャオ殿達は残念そうな顔をしながらも私の身体から離れた。
ぐったりとして床に寝ている私を主殿は抱えあげるように持ち上げた。
そして、主殿のモノがすっかり濡れた私のあそこに押し当てられた。
…ま、まさか…
「あ、主殿!それだけは、やめてく…」
「いくぞ。」
ひいっ…と私が息を呑んだ瞬間。
押し当てられていた主殿のモノが私を突き上げてきた。
「ひ…ぎゃあああああ…!!」
私は耳を劈くような大声を張り上げた。
…痛い、痛い、痛い、
正にあそこを内臓ごと槍で貫かれたような衝撃。
ぶつりという断絶音が私の下腹部から伝わって来る。
と同時に燃え上がるような痛みに頭が真っ白になる。
「いやあ!痛い!痛い!助けてぇーー!」
「痛いのは、初めだけだ。すぐになれる。」
主殿が何かを言うが私の頭には入ってこない。
痛みから逃げようと反射的に私は身体を捻るが主殿に
抱えられていては、それに意味はなく、むしろ痛みを増幅してしまった。
暴れだした私を押さえるように抱きしめると奥まで突き刺したモノをいったん抜いて再び私の中へといれた。
「うがあっ!!ひやああ!!!」
…熱い、痛い…死んでしまう…
激痛に呼吸もままならない私は息を詰まらせながらも絶叫を捻り出していた。
そんな事に構わずにズンズンと下から突き上げて来る主殿。
主殿が動くたびに私のそこはえぐられる。
身体中が悲鳴をあげている。
…やめて!痛い…助けてくれ!
声にならない声を上げるが、そんな事に意味はない。
主殿は、薄笑いを浮かべて私のあそこを突き続けた。
「少しオーバーだぞ。あんなに濡らしてやったのに。」
「ひぎゃあ!くああ゛!!助け…ひぐっ!…てえ!!」
「お前の締りが、精霊の中で一番いいな。」
そう言って主殿は腰の突き上げを止めた。
脳に響くようなじんじんとした痛みがあるが、主殿が動いていないので私は少しだけ楽になった。
「はっ…くうう…もう、やめてくれ…」
「精霊は主のやる事に口を出すな。しっかりと俺に奉仕していればいいんだ。」
冷たく言い放つ主殿。
「そんな…」
「さて、もう動くぞ。」
「やめて!もう、やめてくれ!動かないでくれ!」
「却下だ。」
再び、主殿が動き出すと、収まっていた痛みがまた私を襲いだした。
「はぐうう!痛い!嫌!もう嫌だ…!なんでこんな目に…」
「お前だけがこんな目にあってるんじゃないさ。シャオも、ルーアンも、花織も、那奈も、翔子も…
その他にも俺にまつわる人間すべてだ。そして、最後にはああいう風になる。」
そう言って主殿は、犯されて泣き叫ぶ私を見ながら自慰に没頭しているシャオ殿たちを指差した。
お互いに絡み合って快楽を貪っている。
「そして、お前が最後のヒロインだ。」
「…ああ…助けて、くれ。誰か…」
あそこを貫く鈍痛に意識が薄くなっていき、うわごとのように助けを求める。
…誰でも良い…助けて…痛い…苦しい…
「飛染殿…」
そしてぽつりと私はそう言った。
「誰だ?前の主の名前か?」
「飛染殿…助けて…」
「厳しい試練を好き好んで受ける者などいない。その男にもお前は嫌われていたんだろう。」
「い、やだ…嫌わないでくれ。飛染殿…」
「何だ…?嫌うな…?なら、思いきり嫌ってやろう」
「お前なんかいなくなればいいのに。来なければいいのに。お前じゃなくてシャオなら、良かったのに。
お前なんか帰れ!帰れ!いなくなれ!」
「う…あ…い…」
主殿が私の心の傷を弄り始めた。
あの時の辛い気持ちが、忘れようとしていた事が鮮明に思い出された。
…嫌だ!もう、誰かに嫌われるのは!私は、もう誰にも嫌われたくない…
「いやあーーーー!」
トラウマを弄られて私は半狂乱になった。
私に精神的にダメージを与えた主殿は嬉しそうに言葉を続けた。
「お前を好きになってくれる奴なんかいないよ。俺もお前の事なんか大嫌いだ。
その美しい身体がなかったらとっくに短天扇ごと捨てていたな。」
「あ、ああ…」
とどめの言葉を主殿は刺した。
いつの間にか私はしゃくりあげていた。
ぼろぼろと大粒の涙が溢れては頬を流れていく。
流れる涙は、突き上げられて動く私の身体から飛び散った
「効果覿面だな。凄くいい顔をしている…」
「いや…いや…」
「そろそろ出してやろう。」
そう言うと主殿は腰のスピードを一気に速めた。
じゅぷじゅぷ…
がくがくと体が揺れて、あそこも大きく歪んだ。
「だ、だめ…」
「ほら。受け取れよ。主からの贈り物だ。」
「うっ…」
「う…あ…」
自分の中に何かが注ぎ込まれる感じを覚えた。
それが主殿の精液だとわかっても私は反応しなかった。
私の膣が主殿のモノを締め上げて精液の残り滓をも搾り取っている。
しばらく、余韻味わっていた主殿だが、しばらくすると私のなかからソレを
じゅぷっ…と言う音とともに引き抜き、私を床に降ろす。
…これで、終ったのか…?
茫とした意識の中で、そう思った。
だが。
「おい…お前らも混じれ。第二ラウンド開始だ。」
「…はい。」
主殿がそう言うと、シャオ殿達や出雲殿たちが集まってきた。
…この悪夢はまだ終らないのか…
床に寝かされ、声も出せない私の頬に一筋の涙が伝った。
そこからの私はもはや、私ではなかった。
私もシャオ殿達と同じようになってしまった。
「ああ…もっと、もっとして下さい…」
「そうか。なら…これならどうだっ!?」
「ひゃう…!?あ…ひ…ん…もっと…気持ちいいこと。」
私の口から勝手に言葉が発せられて男達に快楽をせがむ。
そこには、もう私はいなかった。私は、シャオ殿たちと同じく、ただ快楽を貪る獣に成り果てていた。
堕ちたのだ。私も。
そして、男のモノを受け入れて限界まで広がる私のアナル。
「おら!」
「くはぁん…ああ…う…」
…なぜ、何故こんな目に…ここには、いままで感じたことのない安らぎがあって、優しさがあったはずなのに。
…悲しくなるほどの幸せがほんの少し前まで確かにあった。しかし、歯車は突如狂ってしまった。
…どうして、主殿は変わってしまったのだろう。あの優しかった主殿はどこへ行ってしまったのだろう。
…誰か、助けて…助けて…飛染殿…。
「おらぁ!イキやがれ!」
「ひあぁ…!あぐっ…イクっ…!あ、ああああああぁぁぁ…」
そして何度目かの絶頂。
そこで私の意識は果てた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エピローグ
轟々と燃え上がる太助の家の前で俺は全てを見つめていた。
慌てふためく刑事達にスクープだと喜ぶマスコミ。
必死に消火する銀色の服を着た消防士。
燃え落ちる家に群がる野次馬達。
「どうした事でしょうか。またしても連続美少女誘拐殺人が起きてしまいました。
またしても犯人は、焼身自殺をした模様です…いったい、警察は…」
レポーターの声も辺りの喧騒に掻き消される。
紳一(ふ、ふふふ…ふははははは…ッ!これでまたしても俺を追いかける刑事どもは無能をさらけ出したという訳だ。
それにみろ、あいつらのあの慌てぶりはどうだ。ふははは…誰も俺を止めることはできんのだ。)
二度もこんな事件が起きれば世間の動揺も大きいだろう。これからの狩りは流石に少し辛いかも知れない。
だが、それが何だというのだろう。
少しぐらい歯ごたえがある方がやる気も出ると言うものだ。
「次はどこへ行こうか…」
絶望の宴は終らない。
This story is endless…
――――――――
あとがき。
絶望シリーズ完結です。いかがでしたでしょうか。
今回の犠牲者はキリュウちゃんです。いや〜酷い扱いをしておいてなんですが、彼女、いいっすよね。(激萌え〜〜!!)
前半部分はキリュウの休日はこんな感じだろ。と勝手に妄想しました。
でも、キリュウの視点は本当に難しい…正直、やらなきゃ良かったかも。
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