…初め、それは、目的のための手段だった。俺はシャオの為に強くなりたかった。だから俺は積極的に試練を受けた。
「主殿。試練を受けられよ。」
「おうっ!来い!」
どがしっ!!
壁に巨大化した包丁が突き刺さる。間一髪、太助はそれを避けた。あと10センチ右にずれていたら間違いなく串刺しだ。
「おい…こんなの避けられなかったら死ぬぞ…」
「それを乗り越えてこそ試練の意味がある。死ぬか死なないかは主殿次第だ。それとも、もうやめるか?」
「くそ〜だれがやめるか…次だ。」
「それでこそ主殿だ。ではいくぞ。」
…俺は毎日キリュウの試練を受けキリュウの側に常に居た。そのうちにキリュウの側にいるのが心地よくなった。
キリュウの悲しい過去も知った。彼女の背負う悲しい過去…辛い試練を与えると言う役目から常に人に嫌われてきた事。
皆に嫌われ、彼女は心を凍らせてしまった。彼女には心に余裕がなかったから…
だが、俺にはわかる。彼女の優しさや健気さが。…奥に隠された彼女の本当の姿が。
「大丈夫か?主殿。」
「これくらい…いたたたた…」
「ふふっ、主殿は強いな…」
…そしていつの間にか試練は目的のための手段ではなく、目的そのものになった…
シャオの為に強くなるための試練ではなく、俺とキリュウが共に時を過ごすための試練になった。
…俺はキリュウが好きだ。常に彼女の側にいたい、主としてではなく一人の男として。
だがキリュウはどうだろうか?彼女は俺のことをどう想っているだろうか。
俺はキリュウと同じ時を過ごすことに安らぎと幸せを感じる。…俺はキリュウを愛している。誰よりも…
…初め、試練は主殿の成長のためだった。それが、私の役目。万難地天としての役目。だから私は主殿に試練を与えた。
「いくぞ…主殿。」
「いつでも来い!乗り越えてやる。」
ずんっ…
巨大化した鍋が主殿を押しつぶす。う〜ん、と苦しそうなうなり声を上げる主殿。
「くそ〜避けられなかった…」
「主殿。怪我は無いか?」
「大丈夫だよ、キリュウ、ほら。」
自分に覆い被さっていた鍋を払いのけ、主殿は身体を元気に動かして無事をアピールする。
そんな主殿を見て、私は主殿に訊ねた。
「……なあ、主殿…本当に、試練が嫌だと思った事は無いか?…私の事が嫌だと思った事は無いか?」
「キリュウ…何言ってんだよ。俺のための試練だろ。嫌なはずないだろ。それにキリュウは俺の為に一生懸命してくれている。
俺がキリュウの事を嫌いな訳がないじゃないか…」
「…主殿は強いな…」(そして…やさしいな。)
…私は試練のため毎日主殿の側にいた。そのうちに私は主殿といつも一緒に居たくなった。…主殿といると私の心が癒される。
私の役目を理解して、主殿は人に嫌われるしかなかった私をあたたかい優しさで包んでくれた。
凍りついた私の心は溶け始めた。優しい主殿の存在のおかげで。
「よ〜し、次の試練だ。」
「うむ。試練を受けられよ。」
…いつしか、主殿の成長の為の試練は私のため…私が主殿と一緒にいるための理由になった。
試練という言い訳をして私はいつも主殿の側にいる。暖かい主殿の隣…そこは安らげる場所。心地いい私の場所。
私は主殿の事が…好きだ。いつも主殿の側にいたい、万難地天としてでなく一人の女として。
精霊の分際で主に恋をするなんて、いけない事だとわかっている。でも、私は主殿が好きなのだ。
だが、主殿はどうだろう?主殿にはシャオ殿がいる。彼が試練を受けるのはシャオ殿の為だと言う事はわかっている。
だから私は…でも…。これが愛情…? …私は主殿を愛している。誰よりも…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とんとんと廊下に足音が響いた。音の主は七梨太助であった。彼はある部屋に向かっていた。
キリュウの部屋と書かれたドアの前で立ち止まり、コンコンとドアをノックする。
「…誰…?」
「あっ…キリュウ、俺だけど…開けていいかな。」
「あ、ああ…開いてるぞ。」
きい…とドアを開け、俺は中に入った。殺風景な部屋の中に佇む少女が一人いた。
神秘的な雰囲気を漂わせ、こちらを見つめている少女の名はキリュウ。
俺に試練を与え、俺を成長させるために来た精霊の少女だ。
「何か用か?主殿。」
いつもと変わらないクールな印象を与える声。
でも、今日はいつもより少し声が上ずっているような…
「あ…ああ、その…少し話があるんだ。」
どうも緊張してしまい、俺の声が上ずっているのが自分でもわかった。こんな事ではいけない。
俺はこれからキリュウに自分の気持ちを告げなくてはいけないのだ。こんな事では先が思いやられる。
「なんだ…?主殿?試練の事か…?」
「ん…いや、違うんだ。あの、その…大事な話なんだ。」
昂ぶる気持ちを抑えようと焦って余計に変になってしまう。こんな様子の変な俺をキリュウはどう思っているだろうか。
はやく、言わなければ…さっきからそう思っているのだが声にならない。俺は自分の勇気の無さ、不甲斐なさを心の中で嘆いた。
「…主殿…。」
「な、何…?」
「ここは、ほんとに平和な世界だな。私が前にいた世界とはまるで違う。こんな平和な世界なら私が主に試練を与えて、
鍛える必要はないかもしれないな。…この世界では私は要らないのかも知れない…」
綺麗な夕日が差し込む窓辺に立ち、悲しげな表情で自分の存在意義を否定するかのようにキリュウは窓辺で呟いた。
それを聞いて俺は少し悲しくなった。
(自分は必要ないのかもしれない。)
それは前から、わたしが気にしていた事。
こんなに平和な時代。それでも、主に幸せを与える慶幸日天や主を護ったり身の回りの世話をしたりする守護月天は必要かもしれない。
だけど…私は主に試練を与えて、鍛える事しか出来ない。こんな自分は主殿にとって本当に必要なのだろうか?
もしかしたら、自分はただ主殿に迷惑をかけて、嫌われているだけなのではないか…いつものように。
そう思ってしまう。いつも私がそんな風に考えると、主殿はいつも私を励ましてくれた。
キリュウはいつも俺の為に一生懸命じゃないか、俺がそんなキリュウを嫌うわけ無いだろ…って。
(自分は必要ないのかもしれない。)
それは、いつもキリュウが悩んでいた事。
常に人に嫌われ続けた彼女の心は深く傷つき、時たま、自分を否定するような発言をする。
その度に俺はキリュウを励ましたし、キリュウの試練を積極的に受ける事で、彼女の存在意義を確認させた。
彼女を、救う…っていうのは独善的かも知れないが、ますます俺が彼女に想いを告げなくてはいけなくなった。
キリュウに教えなければ…自分がこんなに人に好かれていることを。
「なあ…キリュウ…」
悲しげな表情のまま窓辺に立っているキリュウに近づいて俺は優しく声をかけた。
「なに…?主殿…」
キリュウが顔をこちらに向けて俺に尋ねた。赤い夕日が俺たちを優しく照らした。
「綺麗な夕日だな…」
「ああ…」
赤々と燃えるような光を出しながらも、どこか儚げな所がある夕日。それは夕日が一日の内の短い間しか見る事ができないからだろうか。
しばらく…二人の間に沈黙が流れた。気まずいそれではなく、なにか自然な感じの沈黙であった。ただ、時のみが過ぎていった。
ふと、俺はキリュウの顔に目をやった。美しい。夕日に照らされたキリュウの顔を覗き込んでそう思った。
「…………」
「…主殿は優しいな。いつも私を励まして、いつも私に優しくしてくれて。……ありがとう。主殿。」
「礼なんて言うなよ。俺はただ……なあ、キリュウ…」
俺は覚悟を決めた。今こそ言おう。…好きだってことを。
「ん…?」
「…俺は、キリュウの事が好きだ。本当に好きだ。誰よりも。」
キリュウの顔が赤い、それは夕日の所為だろうかそれとも俺の告白によるものか。
そのままキリュウは俯いてしまった。
「…あ、主殿。わ、私も…これが愛情なのかはよくわからないけど、私は…主殿と一緒に居たい。」
俺はキリュウを強く抱きしめていた。キリュウが愛しくてたまらなかった。
キリュウから暖かい温もりを感じ、彼女の匂いも感じた。このまま俺は彼女の全てを感じてしまいたかった。
「…キリュウ…好きだ。」
「…主殿…私も好きだ。だから、主殿の思うようにして欲しい。」
俺はもう一度キリュウを強く抱きしめて彼女と共にベッドに向かった。
「キリュウ…目を瞑って。」
「こうか?主殿。」
ベッドの上でキリュウが目を瞑り、俺は唇を重ねた。キリュウの唇は柔らかく、暖かい感触が俺の唇に伝わった。
キリュウも俺のキスを受け入れてくれた。そのまま彼女を強く抱きしめ、俺はなんとも言えないような満たされた気分になった。
抱きしめあっての長い長いキス。お互いがお互いを感じて、愛を確認しあうかのような。
「ん……主殿…苦しい…」
「あ、ご、ごめん。でも、もっとキリュウを感じたかったから。」
長く唇を重ねすぎたのか、強く抱きしめすぎたのか、キリュウが苦しそうにしたので俺は慌てて唇を離した。
でも…もっとキスしたいと思った。もっとキリュウを感じたい、キリュウにも俺を感じてもらいたい、そう思った。
キリュウもそう思ったのか、謝る俺に優しく微笑み、顔を俺のほうに寄せた。
「…うん…私も主殿をもっと感じたい。…ん…。」
また再び長い長いキス。今度はお互いの舌を絡めあうディープキス。より相手を感じる事ができた。
お互いの舌を絡めあい、味を感じ、匂いを感じ、存在を感じ、お互いの愛を感じた。
「んむ…あむん…」
舌を絡めあうぴちゃぴちゃと言う音があたりに艶っぽく響くが、そんな事に関係なく俺とキリュウはひたすらキスをしていた。
「ぷはっ…キリュウのキス…とてもよかったよ。」
「…恥ずかしい…主殿…」
キスを終えた俺がからかうとキリュウは赤面して俯いてしまった。ただからかっただけなのに、彼女は本当に恥ずかしそうにしている。
…可愛い。もの凄く可愛い。照れて俯くキリュウを俺は衝動的に抱きしめていた。
「きゃ…あ、主殿…?」
「可愛い…ホントに可愛いよ。」
いきなり抱きしめられてキリュウが驚くが、それも少しの間だけで俺が抱きしめていると、どこか安心したような表情になる。
俺が抱きついているとキリュウが俺の頭を撫でてきた。
俺の頭が柔らかい手で優しく撫でられる。
「…主殿は暖かいな。溶けてしまいそうだ。このままずっとこうしていたい…な。」
「…俺もこうしてずっとキリュウを感じていたい…でも…」
俺もずっとキリュウを抱きしめて撫でられていたかったが、それ以上に彼女と一つになりたかった。
キリュウにも俺の気持ちがわかったらしくギュッと強く俺を抱きしめてきた。
「キリュウ…いいかな…?」
キリュウの服に手を回した俺はキリュウの耳元で呟き彼女に確認した。
恥ずかしげに俯きながらもキリュウは頷いて
「主殿の好きにして欲しい…」
と言った。
俺はキリュウの了解を得て彼女の服を脱がしにかかった。
キリュウが怯えないようにゆっくりと慎重に脱がしていく。まずは上着から脱がし、そして下着へと向かって行く。
ブラジャーに手を掛けてゆっくりとそれを外した。ぷるんと揺れて二なりの小振りな乳房が俺の目の前に露になった。
決して大きくはない、というよりもむしろ小さい。それはやはり試練を与えると言う万難地天の精霊としての役目上、
自分自身の女を自覚する事が少なかったからだろう。それでも、身体は全体に丸みを帯びていて、
各所の膨らみは小さいものの確かにあって、きちんとした女の子の身体である。
「キリュウのここ、可愛いよ。それにとても柔らかい。」
「…わ、私のは、小さいから…すまない…もっと大きかったら…」
キリュウは小振りな胸にコンプレックスを持っているらしく、小さい胸の事を俺に謝りだした。キリュウは悪くないのに。
俺は露になったキリュウの胸を見てそれにそっと触れた。本当に触っただけで力は一切、加えていない。
それはキリュウの体温が伝わってきて暖かく、それにとっても柔らかくて少しでも力を加えると崩れてしまいそうな気がした。
「そんな事ないよ。それに、俺は大きさなんかどうでもいいんだ。キリュウのものならそれでいいんだ。」
「ありがとう…主殿。うれしい…。」
(キリュウのだから…大きさなんか関係ない)と言われて感動したのか、少し声が震えて、目が潤んでいる。
そんなキリュウを見ていて、ますます彼女の事が可愛く思えて、さらに愛おしさを感じた。
「お礼なんていいよ。…それより、揉んでいいかな。」
「…揉んで欲しい。」
俺は胸に添える感じで置いていた手を優しく、ゆっくりと動かし始めた。キリュウに痛みを感じさせないように
彼女を傷つけないようにと、できる限り優しく揉んだ。それはマシュマロの様にとても柔らかくて、きめ細かくて…。
でも、まだ奥に芯を残して少しかたい部分もあった。未成熟な証拠だ。そんな部分を強く刺激しないように気をつけなくてはいけない。
「…あ…ん…主殿の手…とっても暖かい。…それに優しい。」
「キリュウの…とてもいいよ。マシュマロのようで…最高だよ。」
キリュウが俺の愛撫に反応して、軽く声を漏らした。それはなぜかとても色っぽく、セクシーで、可愛くて………!
とにかく、俺は反応してくれた事がとても嬉しかった。だから、もっと感じて欲しくて少し力を加え、乳首も刺激してみた。
「んん…あう…主殿…少し強い…」
「あっ…ご、ごめん、…キリュウ…」
俺は慌てて手を止めた。力を入れすぎたのか、乳首を弄ったのがいけなかったのか、キリュウが痛みを訴えた。
俺はキリュウに少しとはいえ、痛みを感じさせてしまった。
「謝らなくてもいい……主殿に色々な私を感じて欲しいから、胸だけじゃなくて他の所も触って欲しい…。」
慌てて手を止めて、申し訳なさそうにする俺をキリュウは優しく慰めてくれた。
それに俺の気持ちを考えて、もっと色々な所を触って欲しいって自分から言ってくれた。
俺は言われたとおり彼女を後ろから抱きしめて色々な部分を触った。脇腹、首筋、腕、太もも、おしり、など色々な部分を優しく触った。
優しくしすぎてキリュウにとってはくすぐったく感じたのか彼女の声に笑いが入る。
「きゃははは…主殿、くすぐったい。…ん…あん…そ、そこは…あうっ…。」
それでも、俺が手を脇腹からパンツの中へと移動させると上ずった声を上げた。
「ほら、ここは…?感じる?」
痛みを感じさせないように慎重に優しくパンツの中をさぐる。俺の手はうっすらと毛の生える小高い恥骨に到達する。
「キリュウのおまOこの形がわかるよ。」
「ん…あん…」
恥丘を降りて、綺麗な割れ目をつたって下へと指を滑らせる。
途中、クリトリスがあり、そこを軽く捏ねるように刺激して俺は指をさらに進ませ、アナルに辿り着く。
「っ…そんな所、汚い…」
「キリュウのなら汚くなんかないよ。」
軽く触れていた指を動かし、窄んだ穴を捏ね繰り回して愛撫した。
「…あ…んっ…主殿。…は、恥ずかしい。」
愛撫を続ける俺にキリュウが目を潤ませて訴える。
「大丈夫。綺麗だから、恥ずかしくなんかないよ。」
愛撫を続けるうちに俺は、興奮してきた。
「なあ…その、な、舐めていいかな?」
「ああ…主殿がそうしたいなら」
ベッドの上で足を広げたキリュウのあそこに顔を近づける。
汗と甘酸っぱい少女特有の匂いを感じた俺はますます興奮し、あそこを舌で舐め始めた。
あそこを舐める音がぴちゃぴちゃと辺りに響く。
「ん…あ…主殿」
それは、汗で少し塩辛くて、でも甘くて、…ああっ、上手く表現できない。
「キリュウのあそこ…とっても素敵だ。」
「は、あん…主殿…あうっ…ん…」
キリュウのあそこを舐める内に俺は、身体の奥から湧き上がる感情を感じた。
キリュウの中に入りたい。
そして、彼女と一つになりたい。
「キリュウ、もう入れていいかな。」
「主殿…好きに…」
そこまで、キリュウの言葉を聞くと俺は彼女をうつ伏せにねかせて挿入の体勢を整える。
いよいよ俺とキリュウは一つになるんだ。
そう思うと、緊張で心音が高まり、ごくりと喉を鳴らす。
「じゃあ…いくよ。」
「来て…主殿。」
俺はキリュウの様子を気にしながら中にゆっくりと肉棒を入れていく。
愛撫で濡れていたとは言えキリュウのあそこは明らかに処女のもので、中はきつい。
俺の腕の中でキリュウは目を閉じてシーツを握り締めて痛みにじっと耐えている。
「くうう…う…うっ…」
そんな痛みに耐えるキリュウと見ていると何だかいたたまれない気分になってきて罪の意識すら感じ始めた。
「キリュウ。痛いんだったら…」
「このまま続けてくれていい。痛いけどそれは仕方がない事だし、主殿が悪い事でもない。」
「……キリュウ。わかったよ。」
抜こうかと言いかけた俺の言葉をキリュウが遮り、罪の意識を感じ始めた俺を逆に気遣ってくれた。
挿入の痛みに襲われながらも俺と交わりたいと言うキリュウ。
俺はどうすればキリュウの苦痛を和らげる事が出来るだろうか。
このままゆっくりと挿入してもキリュウをいたずらに長い間苦しめるだけだ。
それなら一気に挿入してしまった方が痛みは少ないだろう。
「じゃあ一気にいくよ。」
「ああ。」
ぐっと腰に力を入れて腰を前に進める。
狭い膣内を一気に掻き分けるように薄い膜を突き破って俺の物は中へと入っていった。
「あうっ!!う…ぐ…」
一気に押し寄せる痛みにキリュウが唸り声を押し殺しながら、必死に俺にしがみついてきた。
男には想像も出来ない痛みを感じて俺にすがりつくキリュウを俺は優しく、しかし力強く抱きしめる。
痛みに耐えて俺の気持ちに答えてくれたキリュウに俺も精一杯答えてやらなくてはいけない。
「は…う…はあ…はあ…」
俺の胸の中で破瓜の痛みの余韻に肩で息をしてキリュウは耐えている。
今動くと痛みがさらに強くなってしまうだろう。
しばらく、痛みが収まるまでこのままでいることにする。
「キリュウ。いいよ…キリュウの膣(なか)暖かくて。」
キリュウの中はとても心地よかった。
暖かくて、安心できる。
まるでお母さんの中にいるような安らかな気分になる。
「キリュウ…俺達は、一つになったんだ。」
「ああ。主殿のを感じる。とっても大きくてドクドクしていて暖かい。」
キリュウの様子を確認しながら、話し掛ける。
痛みのほうは少し収まったみたいだが、さてどうするべきか。
「主殿。動いて。」
俺が悩んでいるとキリュウが俺に声をかけてきた。
「動いていいのか?痛くない?」
「痛い。でもそれは主殿と私が確かに繋がっている証。だから、辛くない。だから動いていい。」
俺がキリュウを気遣ってもいつも逆に、気遣われるのは俺のほうだ。
俺は、キリュウを救うとか偉そうな事を考えていたが、救われたのは俺のほうかもしれない。
「動くよ…」
俺は腰を少しずつ前後に、なるべくゆっくり優しくいたわりながら動かした。
「う…んっ…ふぅ…ああ…主殿…」
「キリュウ…気持ちいいよ。」
キリュウの中はただ入れているだけで本当に気持ち良いのだ。
ましてや前後に動くと中で肉棒に絡みつくような感じでたまらない。
「ん…あう…あ…は…あ…!」
(感じてきたのかな。)
前後運動を繰り返すうちにキリュウの声に艶やかな色が混じって来た。
さっきまでの苦痛に呻く声とは違う高いトーン。
小鳥の囀りのような短い声の集まり。
「気持ちいい?」
「ああ…!主殿のが私の中で…あうっ…!ふう、あうっ、んっ、あっ…」
顔を赤らめて短く悶えるキリュウ。
次第に俺の腰の前後するスピードも上がってくる。
「ここは、どう?」
「ひゃう…!?そこは…!」
激しく腰を動かしながら俺はキリュウの胸とクリトリスに手を伸ばす。
優しく外側から胸を揉みながら指先で乳首を摘まんだり擦ったりして刺激する。
胸への愛撫とともに秘部にも手を伸ばし愛撫する。
感じ始めているキリュウのクリトリスを乳首と同じように摘まんだり、擦ったり…
「あ…う…はう…」
「気持ちいいだろ。」
「あう…気持ちいい。」
キリュウの中のあまりの気持ちよさに俺には不覚にも限界が迫っていた。
しかし、ここで一人イってしまう事は絶対に出来ない。
なんとしてでもキリュウと一緒に…。
しかし、そうは思うものの、自然の摂理には叶わずもうだめだと思いかけた。
その時、苦悩する俺に朗報がもたらされた。
「あ…るじ…!殿。なにか…身体の奥が…これは…ひゃう!!来る!主殿ぉ…!」
そう言ってキリュウが俺にしがみ付いて来た。
何か経験した事のない物に脅えているようにも思える。
膣の中の痙攣の数も増えてきた
間違いなくこれはキリュウがイク前兆だ。
俺は、しがみ付くように抱きついてきたキリュウを抱きしめる。
「大丈夫…!キリュウ、いっしょにイこう。」
「ふあ…!あう…!あ……あぁ〜〜〜〜!!」
キリュウが大声で喘ぐとともに、今まで最大級の締め付けが俺の肉棒を襲う。
限界が近づいていた俺の肉棒はそれに耐えられるはずもなく、
俺はびくりと全身を震わせると、キリュウへの想い全てを精液に変えてありったけを注ぎ込んだ。
キリュウもそれを感じ取ったのか更なる締め付けで俺の肉棒から精液を搾り取った。
「はあ、はあ、はあ…」
「はあ、はあ、はあ…」
行為を終えた俺達は、挿入したまま抱き合いながら余韻に浸っていた。
俺の肉棒が刺さったままのキリュウのあそこからは、精液とキリュウの破瓜の血と愛液が混じった赤っぽいピンク色の液体が流れている。
「……………」
「……………」
しばらく、そのままお互いに会話もないままじっとしていた。
無言の心地よい時間が過ぎていく。
「……………あっ…!」
ふと俺はとても大事な事に気付いた。
「どうしたんだ。主殿。」
「…なあ、キリュウ…精霊と人間の間に子供って生まれるのかな。」
キリュウとの行為に夢中で全く気づかなかった。
もし、子供が出来るのならキリュウは妊娠してしまう。
お腹の大きなキリュウ…
それはまずい。
特にルーアン辺りに知られたりしたらなんと言われる事か。
近所の人になんと言って説明したら良いんだ。
ああ…どうしよう…(汗)
「子供か…さあ…出来るかも知れないな。」
「え”…(大汗)」
悩む俺を尻目にキリュウはさあ…?どうでもいいと言う感じで返事を返してきた。
「さあ…って。」
「出来たら出来たでそれでもいいな。主と私の子供か。うむ。それはいいな。」
キリュウはむしろ子供が出来た方が良いような口ぶりだ。
幸せそうに呟くキリュウも見ているとなんとなく俺も、それもいいかなって思えてきた。
俺とキリュウの子供か…
俺はキリュウが好きだし、キリュウも俺が好き。
両者を隔てるものはもう何もない。きっと精霊と人間という垣根も二人なら越えられる。
俺達二人に恐いものなんか…
「あっ…!」
「どうした。主殿。」
またもや余計な事に気付いてしまった俺。
俺はまだ中学生だ。
しかもキリュウは精霊だから戸籍に載っていないので身元は不明という事になる。
これじゃあ結婚できないや…
あっ、でも、待てよ。もし、この事が…マスコミに知れたら…
「身元不明の女性を孕ませた男子中学生!!」
なんて新聞の一面に載って、家族とかクラスメートがワイドショーで匿名で声を変えてインタビューに答えたりするのか!?
もと友達のS.Yさん。「あいつがそんな事をするなんて。ピ――(七梨)。俺は悲しいぞ。」
少年の姉のN.Nさん。「お前がこんな事するなんて…ああ…あの弟が…うっうっ…(泣き崩れる)」
少年の父親(手紙)。「がっはっは。元気でやっているようだな。ピー―(太助)。お前もなかなかやるなあ。
さすが父さんの息子だ。私も昔は……(以下略)。」
少年がよく行っていた神社の神主I.Mさん。「私は、彼がいつかはこんな事をするんじゃないかって思っていました。
ピ――(太助)君。後の事は、私に任せておいてください。」
少年の通っていた学校の担任のR先生。「きぃーーーー!ピ――(たーー)様ぁ。私というものが、いながら…酷いわ!!」
少年の後輩にあたるK.Aさん。「先輩…私の事は遊びだったんですね…でも、わたし…待っていますから。いつまでも…」
K.Aさんの親友の二人。「前から、噂でピ――先輩が色々な女の人に手を出してるって聞いていたんです。
だから私達はK.Aさんにピ――先輩に近づくのはやめた方がいいって言ったんです。
でも、私はあの人を信じてる…って言って聞かなかったんです。それなのに…こんな結末なんて。
酷すぎます。ピ――先輩!!K.Aさんにどう責任とるんですか!!」
少年と一緒に暮らしていた身元不明の少女。「ピー―(太助)様。(大泣き)いつか…いつか、きっと…帰って来てくれますよね。」
上の少女の親代わりのお爺さん。「まったく。何たる事じゃ。月天様を泣かしよって…お主に少しでも期待したワシが馬鹿じゃったわい。
小僧!お主は主失格じゃ!!」
少年の親友のT.N君。「心の友、ピ――(太助)よ!!俺はお前を信じてるぞ。」
同じく親友のK.E君。「ピ――(太助)君。酷すぎます。ルーアン先生があまりにも気の毒です。ボク、あなたを見損ないました。」
レポ―ター「調べれば調べるほど浮き彫りになるこの少年の乱れた生活。このような事で、未来の日本は大丈夫なのでしょうか。
では、スタジオに戻します。くOさん。」
くOさん「はい戻りました。今の少年達は、なんでもアリなんでしょうかねぇ。続いては、コマーシャルです。」
ぐわあ。(痛。)
なんてスキャンダラスな内容なんだぁぁぁぁ(苦悩)
二流ワイドショーやマスコミの餌食は確実だ。(汗)
明日から俺はどうすれば……
ぐわああああぁぁ(大汗)
「あ〜る〜じ〜ど〜の〜」
「え…わあっ!!」
頭を抱えて悶絶する俺をキリュウが覗き込む。
いきなり目の前にキリュウの顔が出現したのでびっくりしまい、間の抜けた声を出して驚いてしまった。
俺の目の前には、はてな?という感じで俺を覗き込む可愛いキリュウの顔。
その顔を見ていたら、くだらない事に悶絶していた自分が可笑しくなってきた。
「ははは…わはははは。そうだよな。そう。俺はキリュウが好き。キリュウも俺が好き。それだけだよな。」
「?」
頭を抱えて悶絶していた俺が急に笑い出したので、ますます、はてな?といった表情をするキリュウ。
そんな可愛らしいキリュウを俺はギュウっと抱きしめる。
「あ、主殿?」
「はははは。キリュウ。」
「何だ…?」
「好きだ。」
その言葉に、ぽっ…と照れて赤くなるキリュウ。
キリュウの顔を見ていると俺達二人にとってはその他の全ての事がどうでも良く思えてくる。
そして…
「…私もだ。」
二人はキスをした。
お互いの事を分かり合った者同士が交わす…恋人達のキスを。
[エピローグ]
「くーーーーー。」
「……主殿。」
眠り続ける主の胸の中に顔を埋める様に顔を密着させて私は考える。
私は、万難地天、紀柳。
成長を司る大地の精霊。
主殿に試練を与える為に在る。
精霊と言っても私は、守護月天や、慶幸日天とは、少し違う。
彼女達は主に目に見える形の幸福なり安らぎを与える。
だが、私は違う。私は主に試練を与えて、主の成長を促す事しか出来ない。
しかし、好き好んで試練を受けるものなどいない。
試練を与えるだけの私は、いつもすぐに主に嫌われて、役目を終えると別れも言わずに短天扇に帰り、
そして、また短天扇の中の暗闇で次の主を待つ。
何千年もその繰り返しだった。
その繰り返しの中で…嫌われるのが当たり前の中で、
私は、淡々とその役目をこなしてきた。
そして今回も…今の主殿もそうだと、私を嫌うと思っていた。
でも、それは違った。
主殿だけじゃない。那奈殿。宮内殿。野村殿、他にも、いっぱいの人達。この世界は私が今までいた世界とは違う、とても平和で優しい所。
ここの人たちは、嫌われるだけだった私を受け入れ、歓迎してくれた。
私はこの世界が好きだ。
そして、私を受け入れて、優しく接してくれる人たちの為にしっかりと自分の出来る限り役目を果たしたいと思う。
私は、もう自分の存在意義に悩まない。
ここには、私を理解して支えてくれる人たちがいるから。
FIN.
[あとがき]
どーも。覇王です。今回、初の純愛と言う事で、どうでしたでしょうか?
しかし…ベタベタな展開しか書けない自分が情けない。
キリュウの性格がちょっち変だなぁ〜と自分でも思ってみる。
キリュウはあんな喋り方はしないぞ〜と自分でも思うが、好きな人の前では女の子はあんな感じになるの!!(本当か!?)
まあ、よろしければ感想ください。初めての純愛ですので、お手柔らかに。
キリュウ…いいですね彼女。なんか言い表せない魅力というか、なんていうか…萌えますね。
なんか隣にいると抱きしめたくなるような、そんな感じ。
シリアスな彼女も素敵だけど、時折みせる可愛らしい表情なり、仕草がグッと来ます。
はああ〜〜〜。キリュウ萌え〜〜〜〜〜。
では。
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