■ メロひな第零集〜愛憎の行き着く果て〜 ■

 [第零話] [第一話] [第二話] [あとがき]




[第零話〜仮定前提〜]



…自分が信じていた相手が浮気をしていた時の反応は男女で違う。という話がある。





男は、浮気をしていた妻なり彼女(異性)を責め、女は、自分から夫なり彼氏なりを奪った女(同姓)に憎悪を抱くという。

何でも統計によるとそういう傾向があるらしい。

しかるにひなた荘内はどうか?景太郎の浮気(といってもこれは成瀬川の一方的な思い込みでの基準だが)に対しての反応は

景太郎に、つまり成瀬川から見て異性の方向に向かっている。これは統計とは異なった結果である。

というより、こうしないと展開がドロドロしていくから仕方がないのであろうが…



しかし、成瀬川の嫉妬が先の統計と同じく同姓に向かうのであれば…?その憎悪は、景太郎ではなく他の住人にむくはずである。

そう。「よくも、私の景太郎をたぶらかしてくれたわね…!」という具合に。

憎悪と嫉妬に狂った彼女の思いは暴走し、とどまるところを知らずに他者を攻撃するだろう。

その一方で他の住人達も身勝手な成瀬川に反感を募らせ、憎悪を抱くであろう。



その「IF」をラブひなに当てはめてみよう…

そう。するとそれはメロドラマのようなひなた荘…略称「メロひな」になる。





これは、「IF」のラブひなである…







[第一話〜必然崩壊〜]



神奈川県某所、ひなた市にあるひなた荘…ここは皆さんも知るように管理人である浦島景太郎が美女や美少女に囲まれて生活をしている。

女が大勢いる中で男が一人だけと言う事態…しかもそのほぼ全員が景太郎に対し好意を抱いているという。

このような状況でひなた荘内の人間関係は微妙なバランスで成り立っていた。

つまり、成瀬川なるが事実上とはいえ景太郎の恋人として認知され、その他の者達も景太郎に好意以上の感情を寄せながらも

おおっぴらに好きだと言ったり、露骨に態度に出さない事で成り立っているのである。

外面的には、明るいノリでラブコメとして見えたのだが、その実情はいつ愛憎劇に発展してもおかしくはない状況だった。



…だが、その微妙なバランスも一つのイレギュラーによって脆くも崩れ去る事になる。

それは、浦島加奈子の出現であった。

正面きって、大っぴらに景太郎への想いを告げ、行動に移す。

そんな彼女に触発されるように他の住人達も各々の想いを口にし始める。

そう。加奈子というイレギュラーな存在の乱入によって微妙にでも成り立っていたバランスは一気に崩れ去ったのである。

そこに、ある人物の手引きも加わって事態は愛憎劇の様相を見せはじめた。



そして、ラブコメを演じていた舞台はいつのまにか、お昼のメロドラマのような愛憎劇へと移り変わっていた。



疑心暗鬼。



その言葉が今のひなた荘にはぴったりだった。







[第二話〜想いの発露〜]





成瀬川…歪んだ愛情



最近、私は憂鬱。私は、一応景太郎の恋人ってことになっているんだけど、どうもその実感がない。
でも、それは、私が、いつもいいところで景太郎を拒んでしまうから、なんだけど。どうしてかな。私。
どうも素直になれない…でも…本当はあいつのこと、どう想ってるんだろ?好き…なんだよね。

瀬田さんの事もある…瀬田さんへの好きと景太郎への好き。どっちが好き?

あっ…でも瀬田さんには、はるかさんがいるのか…。じゃあ景太郎?ってこれじゃあ景太郎に悪いわね…

やっぱり私…景太郎が好き…?愛してる…?…たぶん。

ああ…わからない。でも、あいつが他の女の子といると腹が立つのよ。

ほんと、私って卑怯ね…。でも、あせる事はないよね。景太郎とはゆっくりやっていけばいいよね?
ねえ景太郎…?

こんな私の想い…



「絶対に私を裏切ったりはしないよね…?」





景太郎…ぐら付く想い…



最近、俺は憂鬱だ。俺は一応成瀬川の恋人ってことになっているけど、どうも成瀬川が俺のことを拒むんだ。

キス以上の事をやらせてもらえない。どうしてだろう?俺が成瀬川を抱きたいのはそれだけ成瀬川の事が愛しいだけのに。

俺のことがいやなのだろうか。それとも、俺と恋人になったのは、俺への同情心とその場の状況に流されたからなのか。

俺は、成瀬川が好きだ。けど、成瀬川は俺の事、本当はどう思っているんだろうか…

もし、成瀬川が俺の事を本気で好きでないのなら、俺のことを本気で好きだといってくれる他の住人たちにどう謝ればいいのか。
しのぶちゃんにしてもカナコにしても目に涙を浮かべて俺達を応援してくれた。

これで成瀬川が、俺の事を本気で好きでないなら俺は彼女たちへのけじめをつけなくてはならない。

思いに答えてあげるという形で…



俺の心は揺れる…成瀬川と俺を想ってくれる他の住人達との間で…



「俺は…」





加奈子…闇色の願望



何様のつもりだろう…!

最近、私はなるさんを見ていてそう思う。

私の兄ことが好きなくせにいつまでも煮え切らない態度…

そのくせ、兄が他の女といると嫉妬して兄に怒る。

あの女はいったい何を考えているのだろう。

まったく、腹が立つ。どうしてお兄ちゃんはあんな女がいいのだろう。

邪魔…あの女は邪魔…あの女さえいなければ…

成瀬川という邪魔な女…私の兄への想い…

その想い…それが、私の暗い想い、願望。そして…そのどす黒い願望は私を闇色に染めてしまう…



「あなたは邪魔なんです…なるさん。だから、消えてもらいます…兄の前から…」



闇色に染まった心がそう結論を出した。





しのぶ…捨てきれぬ想い



私は、最近、憂鬱です。それは、せんぱいのことを考えているからです。せんぱい…浦島せんぱい。
ハンサムとか格好いいとかじゃないけど、やさしくて、暖かくて、ずっとそばにいたいって思える人。

私の初恋の人。大好きな、大好きな人。でも…せんぱいには、成瀬川先輩という恋人がいるんです…。

あれ?おかしいな。私、二人の事を応援してるって言ったのに。先輩に…言ったのに。先輩に幸せになってもらいたいのに。

どうして?成瀬川先輩に、ほほえんでいる浦島先輩を見てると涙がでるの?

やっぱり…自分に嘘は付けないよね。気持ちはいつでも正直だから…



「ごめんなさい・・センパイ…私、諦められない…。」





素子…気づいた想い。



私は、断じて浦島などという軟弱でバカでスケベなやからなど好きではない!!



「……」


……素直じゃない私は、そう自分自身にそういい聞かせる。

そうしないと、辛いから。浦島が他の女と楽しそうにしているとちくりと胸が痛んだ。

それは私が本当は浦島に好意を寄せているから。

だが浦島には、なる先輩という恋人がいる。なんだが、私は自分がわからなくなってきた。

多分私は浦島の事を本気なのだ…いや。ダメだ!涙が止まらない…

浦島の事が…好き?

ずっと前から分かっていた事ではないか…私はそれを今まで知らぬふりをしてきただけではないのか。

今更ながらに気づいた自分の想い…

私は、好き…浦島が…。



「でも…浦島には、なる先輩が…私は…何を望むのだろう…」



スゥ…無邪気な笑顔。



「ん〜。ウチはそんなんは、よ〜わからんわ〜。」



そう言っていつも景太郎のそばで無邪気に笑って戯れていた。

それでウチは幸せだった。

そして、これからもそうでありかった。

…でも。

最近、ひなた荘内に流れる不穏な空気。

それは明らかに景太郎をめぐる争い。

この争いの勝利者は、ウチから景太郎を奪い去ってしまうだろう。

それだけは、許せない。



「けーたろを奪っていく奴はゆるさへん。たとえ、仲のええ同居人であってもな。」



褐色の無邪気な笑みは、歪んでいた…





むつみ…幼き日からの想い。



「なっちゃん。なっちゃんもけーくんのこと、好きなの?」



「じゃあさ、じゃんけんでどっちがけーくんのお嫁さんになるか決めよーよ。」



「あれれーー。へへへ…負けちゃった。」



「………」



それは、幼い日の思い出。



昔、わざと負けた、けーくんをかけてのじゃんけん…

本当は…負けて上げたりしたくはなかった。

でも、なっちゃんが悲しむのは嫌だからと私はわざと負けてあげた。



そして、私は沖縄でのけーくんをかけてのじゃんけんで、またわざと負けた…

このときも、本当は…負けてあげたりはしたくなかった。

でも、なっちゃんが悲しむのは嫌だからと私はわざと負けてあげた。



記憶喪失なんて嘘をついた…

ただ、確認してみたかった。

自分の気持ち、そしてなっちゃんとけーくんの気持ちを。



時折、私は想う。

あのじゃんけんに勝っていたら…勝っていたら、私は、けーくんと…

昔からの私の想い…

けーくんとなっちゃんの間で揺れる私の想い…

けーくんは、どうして気づいてくれないの?

今日もまた、私は一人悲しい夢を見る…

けーくんと私が結婚式を挙げている、現実には叶わぬだろう悲しい夢を。



「それでも…けーくん…」



溢れる涙が、今日も枕を濡らす。





きつね…親友の影に隠した想い。



ウチはほんま、アホやで…

これまでも景太郎に何か特別な感情を抱く瞬間はあった。

特に留学から帰ってきてからは本当にいい男になったと思う。

ウチも女や。いつも、いつも、景太郎となるをくっ付ける為に行動してて、虚しさを感じないわけやない。

せやけど、親友やから…なるは。だから…。ふう…。やれやれウチもほんま、お人よしやなあ…。

そう思って来た。だけど…それも、もう…。最近の私はオカシイ。この前、二人がキスをしている所を見たとき、

ウチは嫉妬してしまってた。本来ならば喜ぶべき事なのに…親友の幸せを…。

けど…ウチはもう、あかん。自分を偽るのも限界や。



「ごめん、なる…でもな…ウチも…ウチも女なんや。」





…仕組まれた愛憎劇



「面白いことになってきたね。はるか。景太郎君を巡っての醜い争い。か。」



ひなた荘を窓越しに眺めながら、瀬田は楽しげにそうつぶやいた。



「うう…瀬田様ぁ…早く、早く、くださあい…」



はるかが瀬田の足元で四つん這いになって淫らな裸体と痴態をさらしていた。

だらしなく開かれた口と目は、快楽を瀬田にねだっている。

それをみて、くくくっ…と瀬田がうすい含み笑いをもらした。



「まったく淫乱だね、君は。昔からそうだ。あの、忌まわしい事件の後、俺が無理やりに犯してやったときから。」



「犯してやったのに、お前は喜んだよな?ええ?」



忌まわしい事件、という単語にはるかが、ピクリと反応する。

フンと鼻を鳴らして、瀬田ははるかの尻を平手打ちでたたいた。

ぴしゃりという張りのある小気味いい音があたりに響く。



「ああ…そうですう…はるかは、瀬田様専用の淫乱でどうしようもない犬です…かわいがってくださいぃ…」



瀬田のお尻打ちにはるかは、たまらなそうに身をくねらせた。

うつろな目をして、半開きの口から涎をたらしながら、服従と求愛の言葉を口にする。



「さて…ひなた荘は、これからどうなるんだろうねえ?」



「ふふ…連中をけしかけてやった甲斐があるというものだよ。実に面白い見ものになりそうだ・・」



「あふっ…!うああん…」



瀬田は、そう言って突き出した指をはるかのアナルに突き刺した。

いきなりの刺激に短く痙攣をして、はるかは指の入っていく感触に身をよじらせる。



「さ〜て、これからどうなるだろうね。愉快でたまらないね。



「ふぅん……!あン……!」



「愛なんていうくだらない物のために壊れていく友情、信頼…くくく…まあ、高みの見物でも気取ってますか。」



ぐちゅ、ぐちゅ…



アナルに差し入れた指を前後に突き動かす。

そのたびにはるかのアナルはきゅう、きゅうと締まり、瀬田の指を締め上げている。



「面白そうだったら、俺が入っていって掻き回してやるのも面白いな。」



「…うん。特になるちゃんやキツネちゃんあたりをかき回せば…くくく…」



じゅぷっ…じゅぷっ…!



湿り気を帯びていやらしい音を響かせるようになったアナルから瀬田は唐突に指を引き抜いた。

はるかの液体でぬめる指先を鼻先にかざして匂いをかぐ。



「臭いな。はるかの糞はいつも臭う。糞女め。」



「ああ…だめえ…」



瀬田の意地悪な言葉もはるかの耳には、入ってはいない。

うつろな目は快楽だけを、求めていた。



「…ふん。罵り言葉にも反応なしか。我ながら、見事な調教だよ。」



いくぶん満足げな表情で四つんばいのはるかを見下ろして、にやりと笑う。



「ああ…はるかは…もう我慢できません…」



快楽を中途半端に打ち切られて満足できないのか、はるかは瀬田へと擦り寄って快楽を求め、尻を振る。



「そんなに心配しなくてもちゃんと犯ってやるから安心しなよ。はるか。」



そう言って瀬田ははるかのアナルへと肉棒を突き立てた。







愛情 と 憎悪 交錯する、もうひとつの「ラブひな」は今より始まる…





つづく







[あとがき]




どうでした?ドロドロ模様のひなた荘は?

私的にこういった恋愛でドロドロするのは大好きなのでこんなの考えてみました。

愛情ゆえに狂った住人達をお見せできれば、思ってます。ダーク瀬田の活躍も期待です。

ここぞと言うときにひなた荘内をかき回してくれます。ドロドロ〜。

では。

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