文明之道


海岸に立つ。

晴れ渡った青空。

雲一つ無い空だから、太陽の光を思いきり感じる。

おおきく一つ深呼吸。

胸一杯に、潮の香り。

風が吹く。

これもやはり潮の香りを乗せている。

鼻を突くほどでない、ほどよくいい香り。

波の音。

一定間隔ではないが、気持ちのよいリズムを刻む。

鳥の声。

遠くから、近くから耳に届く。

振り返るとそこには緑々生い茂る木々を抱く山。

風に木がそよぐ。




気持ちいいなぁ。

思わずそう声をあげてしまうであろう光景。

誰もが、そうだろう。





その瞬間、回りが一気に暗くなる。

そしてすぐにまた明るくなる。

しかしそこには現れたのは先ほどまでとは全く違う風景。

部屋の一室。

真っ白い壁に四方を囲まれ、中には数十の人影がある。

そのどの顔も、満足しているように見える。




「嗚呼、此れが今度我等が住まう星。何と美しいことであろう」

そのような声がちらほらとあがる。

「我等が嘗て住んでいた星の嘗ての姿そのものではないか」

数百年前に捨てたあの星の。

「あと数百年であの星に辿り着くのだな」

興奮した口調でそれは語る。




だがそれらは知らなかった。

その星は、それらが辿り着く時には求めている景色は消え去っていることを。






結局、文明の辿り着く先は同じなのだ。



20060827
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