壊れゆく日常







ざぁー…



雨。

数日前から降り止まない。

明日には雪も混じり始める、と天気予報は伝える。



人々は、そういえば最近晴れの日なんて滅多に無いな、とぼんやりと思う。

それもそのはず。

低気圧はなかなか動かず、ようやく動いていったと思いきや、すぐにまたやってくる。

高気圧は遠いところを無情にも通り過ぎて行くばかり。



最初はなにも言わなかった気象予報士たちも、そろそろ何かおかしい、と騒ぎ始める。



地球温暖化が原因か?


それともただの異常気象か?



やがて新聞・テレビのニュースにもこの話題があらわれる。

新聞やテレビはこの異常気象がこの国だけでなく地球上のほとんどの国でも起っている事を伝える。

それはその後もずっと続いた。





各国首脳が会議を開き、知識人たちはあれこれ議論する

中には政府の政策のためだと根拠の無い発言をする者もあり。

また宇宙からの何かのせいだ、とこれまた根拠の無い発言をする者もあり。



とどのつまり地球上は大変な騒ぎになっていた。

両極に近い地方では大雪に大寒波、赤道に近い地方では降り続ける雨による土砂災害。

最早地球上どこもかしこも何かの災害が起こっている状況であった。

最早人類の科学技術ではこの状況を打破できないのか。





その様子をじっと見守っていたのは宗教指導者たち。

ここぞとばかりに立ち上がる。

神に祈る。

神に祈る。






この異常事態において全ての人類の思いが一つになる。

つまり、太陽の姿を誰もが望んでいた。



宗教、人種、性別、財産なぞ全て関係ない。

この地球が、一つになった。



だが、降り止まない雨、そして雪。

やがて人類は絶望する。





今までこの地球を我が物顔で使い続けていた報いなのだろうか、これが。

しかし人類はそれを償う術を知らない。



特に、便利な生活に慣れ親しんでしまった者たちは。


自動で動いてくれる乗り物。


バランスの取れたおいしい食事を毎日3食作ってくれる機械。


自分の代わりに部屋を掃除してくれるロボット。


自分の代わりに仕事を全てこなす全自動コンピューター。



嗚呼、どうやったらこの生活を忘れる事ができるというのだ!



人類はそう叫ぶ。



ざぁー…



決して止むことのない雨そして雪。





沈み行く島。

凍り付く島。





沈み行く都市。

凍り付く都市。





流れ行く土壌。

崩れ落ちる絶壁。








いつしか鳥もみなくなった。





町をあれだけうろついていた犬も、猫も…



他の全ての動物たちも…








そして、先史以来この地球を我が物顔で支配していた人類も……





ざぁー……





ただ一つだけ変わらないものは降り続けるもののみ──







 ─了─



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このせかいの未来
それはどうなってしまうのだろうか

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