真実
少年は尋ねた。
これなあに、と。
少年の目の先には煌きを放つ石が一つ。
大人は答えた。
これは夢を与える石なんだよ、と。
夢?少年はその言葉を聞いて思わずにっこりと微笑んだ。
そう、夢さ。大人も微笑みながら言葉を返す。
少年は嬉しそうにしながら大人の持つ石にめをやり、
じゃあ僕の願いをかなえてくれる?
訊いた。
微笑みながら大人は首を横に振る。
これは大人のある一つの願いしか叶えてくれないんだ。
それを聞き、少年は寂しそうに俯いた。
そんな少年の肩をぽん、と叩き、大人は言った。
大丈夫、君もすぐに大人になれるよ。そのためにこの石を採りに行こう。
優しい声で、少年を包み込むかのように…
少年はやがて静かに頷いた。
大人の差出した用具を身に着け、少年は大人に連れられ、ゆっくりと歩きだした。
深く、長い洞窟の中へ…
20060610
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