知らないけれども、
一面の岩。
風によって永い時でもって風化され続けたその岩は、今にも崩れ落ちそうであった。
風か吹くと土煙が舞い上がり、視界を遮る。
そのような中に生きる人々がいた。
土煙から顔を守ろうと、顔には布を巻き付ける。
岩場から少し離れた高原には少し緑が見える。
そこが彼らの主な住みかであった。
彼らは普段高原で生活している。だが、毎日岩場の下を流れる川に水を取りに行かなければならなかった。
それが当たり前のことであると思っていた。
人々は可哀相だと思った。
水を毎日取りに行き、毎日を過ごす彼らのことを。
彼らはそう思う人々の生活など知らなかった。
当たり前の生活をし続けていただけだ。
人々のことを知らない彼らと、彼らのことを知らない人々。
それでも地球は回っている。
今までも。
そしてこれからも。
20060505
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