憂さ晴らしにお前を喰ってしまおうか 沖永
「怒られたわ」
すぱんと勢いよく障子を開けられたと思ったら一転、でろんとおれの膝にもたれてきた沖田さんは開口一番、そう漏らした。
「何したんですか」
「あッやっぱりお前もそういうのね、あたしが悪いと!」
「悪くないんですか」
「いやちょっと誤字が書類の五割を占めてたんだけど」
でもそれは眠いのに頑張ったんだから仕方なかったのよ、と連なる言い訳を流しながら仕事を続けていると、沖田さんはじわりっ、とおれの肩に寄りかかった。
「ねえ」
ながくら。
重い、熱い吐息。
「……何です、」
か。
こんな八つ当たりは勘弁して欲しい。皆まで言えなかったのは、唇が唇で塞がれたから。
歯列を舐める舌におれは堪らず、手を止め目を瞑った。
2009/07/08
坂本真綾『ループ』
坂本真綾『ループ』