Nov.06.11 by 管理人
傾いた会社は立て直しの時期にきているのだろう。それが解散という形にならないだけマシというものか。どうすれば未来予測ができるかなんて、それこそ神様以外にはわからない。ここにアカシックレコードでもあれば別の話だが、そんなもん、あるはずもない。田村が帰ってきた時には、退院してきた病人のように肩を落としている。そして全員の作業を中断させると、弱々しい声で言った。 「人事は後ほど発表があるが、下泉と香坂以外は全員解雇の処分となった」 一瞬ざわつき、すぐに静かになった。下泉と香坂以外は幽鬼のように、まるで精気が感じられなかった。入社してこれからという者、ローンで家を買った者など、ほとんどの人間がこれからの生活に不安を隠せなかった。事前に情報が流れていたとはいえ、このニュースに部内が黒く沈んでいくようだった。悔しさよりも落胆、後悔よりも不安が色濃くでていた。まあ、自分が同じ立場ならそうなっていただろう。ただ、たまたま運が良く生き残っただけのことだと下泉は思った。
小説 | comments (x) | trackback (x)
|
RECOMMEND ITEM
NEW ENTRIES
CATEGORIES
CALENDAR
LOGIN
Mode: ゲストモード
SEARCH BOX
|